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アルバム巡り - (2007/10/28 (日) 00:01:32) の1つ前との変更点
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<li><a href=
"http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3560.html">家出少女</a>の続編のようなものです</li>
</ul>
<p><br>
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佐々木の家出というサプライズが起きた今年の夏休み、今年は二週間がエンドレスすることはなく今は秋真っ盛り。<br>
朝比奈さんが受験勉強のためSOS団を一時離脱しているのを除けば何一つ異変はない。<br>
そしてある日の放課後、いつものように俺達SOS団は文芸部室を占拠している。<br>
<br>
…ああ、朝比奈さんのお茶が恋しいねえ。<br>
<br>
「なんなら僕が煎れて差し上げましょうか?」<br>
<br>
いらん、俺は朝比奈さんの煎れたお茶が飲みたいんだ。<br>
<br>
「フフッ、残念です」<br>
<br>
古泉とそんな取り留めもない会話をしていると、妙にソワソワしているハルヒが目に入った。<br>
<br>
「どうしたハルヒ、妙に挙動不審じゃねえか」<br>
<br>
「な、なんでもないわよ!」<br>
<br>
そう言いながらもハルヒは時計を何度も確認している。<br>
いや、どう考えてもなんかあるだろ。<br>
俺がそんな言葉を口から出そうとしたとき、部室の扉がノックされた。<br>
ハルヒがそれと同時に叫ぶ。<br>
「待ってたわよ!入って!」<br>
<br>
そう促され部室に入ってきた人物は、最近会う機会がコペルニクス的転回が起きたように急増した………、ああ、用法が違うとかはつっこまんでくれ、まあなんだ、とにかく佐々木がいた。<br>
言い忘れていたが佐々木の家出事件以来、ハルヒはことあるごとに佐々木を呼び出すようになっていた。<br>
佐々木の迷惑も考えてやれー、と言いたいところだが佐々木のやつも楽しんでいるご様子なのでまあいいかな、と思う。<br>
それと俺の考え通り、佐々木とハルヒの相性は良かったらしくすぐに友達になった、2人が話しているときの笑顔は絶品だったね。<br>
とまあ、少々長々と語ったが今の問題はそこではない。<br>
なぜここに北高の制服を着た佐々木がいる。<br>
「何ブツブツ言ってんのよキョン。<br>
木を隠すなら森の中、本を隠すなら図書館の中、そして佐々木さんを隠すなら北高の中じゃない」<br>
<br>
まったくもって意味が分からん。<br>
佐々木がここに来た理由は何なんだ。<br>
<br>
「僕は涼宮さんに届け物があってね。<br>
それよりどうかな、この制服似合ってる?<br>
涼宮さんが制服を2枚持っているというのでね、貸してもらったよ」<br>
<br>
佐々木は俺の前でクルリと回ってみせた。<br>
………正直たまりません。<br>
実は内緒にしていたが俺はセーラー服萌えでもあるのだ、おっとご都合主義の設定とか言うなよ。<br>
それにお前らもこの佐々木を見たら思わずそうなっちまうさ。<br>
ああ、スカートからチラチラ見える太ももがたまりまs―――――<br>
<br>
ここでハルヒのハイキックが飛んできたのは言うまでもあるまい。<br>
いやー、ダイナマイトやC4も真っ青のナイスキックだったね。<br>
俺の首から聞いたことない音が聞こえたくらいだもの。<br>
おい古泉、顔真っ青だぞ、病院に行った方がいいんじゃないか、ああそうか、病院に行かなきゃならないのは俺の方だ。<br>
<br>
「まったく間抜け面して、今の顔はホントに危なかったわ!<br>
それより佐々木さん、例のもの例のもの」<br>
<br>
ん、そういや佐々木は届け物があるとか言ってたっけ。<br>
ハルヒ宛ての荷物だったんだな。<br>
<br>
「はい、これよ」<br>
<br>
そう言って佐々木は本のようなものを渡す。<br>
<br>
おや、それ遠い昔にどこかで見たことある気がするが、気のせいか?<br>
<br>
「見たことあるのは当たり前じゃないか、これは僕等の中学校のアルバムだ」<br>
そうだっけ、やはり先程のハルヒの蹴りが不味いところにはいってしまったんじゃ……。<br>
<br>
「そんな訳ないでしょ!<br>
あんたにこの前アルバムのこと訊いたらそんなもの知らん、って言ってたからただ忘れただけでしょ!」<br>
<br>
ああ、そういやそうだ。<br>
学校からアルバム貰って一度も開かずに無くしたからな。<br>
俺くらいのもんだぞ、そんなをことするやつは。<br>
<br>
「何威張ってんの、バカ!<br>
そんなことより、アルバム見ましょ」<br>
<br>
そう言いながらハルヒはアルバムをめくり始めた。<br>
俺もきちんと見たことないから一緒に見るとするか。<br>
それから俺はしばらくハルヒと共にアルバムを見ていた、………懐かしいな。<br>
俺がそんな気持ちに浸っているとき、一定のリズムでページをめくっていたハルヒの指が突然止まった。<br>
<br>
おい、どうしたハルヒ?<br>
<br>
「キョーン、この写真な あ に?」<br>
<br>
<br>
そう言いながらハルヒは俺を見てくる。<br>
うおっ、ハルヒの顔怖っ!フレディ&ジェイソンも真っ青だ、ホラー慣れしたアメリカンもHAHAHAの笑い声が引きつるのは必至だぜ。<br>
とまあそれよりもだ、ハルヒが指差した写真――そこには俺と佐々木が照れ笑いしながら相合い傘をしている写真が写っていた。<br>
俺は思わず佐々木を見る、そして制服に見とれる!おおっと、そんな場合じゃない。<br>
佐々木はというと苦笑いを浮かべこっちを見ている、頬が少し朱を帯びている気がするが気のせいか、な。<br>
はあ、そんなことよりさ………なんでこの写真がアルバムにあるんだよ……。<br>
<br>
―――その写真を撮った日は修学旅行の二日目にあたる。<br>
しかしそれに至るまでの経緯を説明するには一日目の話からしなければならない、まあそこまで長くないかもしれんから聞いてくれ。<br>
一日目、俺達はクラス全員で特に興味もない寺巡りをさせられていた、大仏様とか正直どうでもいい。<br>
新しい寺に訪れるたび、横からは佐々木が蘊蓄を懸命に話すのが聞こえてくる、いつもならそれでいいのだがその日の俺はどうしようもないくらい疲れていた。<br>
何故かって?前日に修学旅行が楽しみでほとんど眠れなかったんだよ、畜生、悲しくも妹と同レベルである自分に失望したね。<br>
まあ、そんなこともあり俺は佐々木の話を聞き流すことに専念していたわけだ、無意識に変な発言をしてまっては困るからな。<br>
だがしかし、それが不味かったらしい、暫くすると佐々木は俺をじっと見て悲しそうな顔をし馬鹿、とだけ呟き女子の方へ行ってしまった。<br>
結局、その日はそれ以降佐々木と話すことはなかった。<br>
<br>
でもって問題の二日目、天気は生憎の曇り空。<br>
ちなみにこの日はグループ別での行動となっており、俺のグループは国木田、須藤、岡本、そして佐々木だ。<br>
ホテルを出た俺達はしばらくその辺りをブラブラすることにしていたのだが……、正直かなり気まずい、俺と佐々木はあの時以来未だに一言も言葉を交わしていないからな。<br>
そしてある土産物屋に入ったとき、岡本が俺に話しかけてきた。<br>
「ねえキョン君」<br>
<br>
……ん、何だ?<br>
<br>
「今から私と国木田君と須藤君は一旦別行動するから、その間にちゃんと佐々木さんと仲直りしてあげてね」<br>
<br>
は!?おい、岡本――<br>
<br>
声をかけるが時すでに遅し、岡本達は脱兎のごとくその場からいなくなっている。<br>
<br>
取り残された俺が呆然としていると、佐々木はそんな俺に構うことなく店を出て歩き始める――、と思ったのだが、なかなか店から出ようとしない。<br>
何事かと思い外を眺めると……、雨かよ。<br>
とりあえず傘を買おうかな、と思い探してみるが一本しか見つからない、……これ何てフラグ?<br>
<br>
俺が傘をどうしようかと迷っている間、未だに佐々木は外をじっと見ていた。<br>
そして次の瞬間、何を思ったのかいきなり走って出て行った。<br>
うおいっ!焦った俺は変な叫び声をあげながら急いで財布の中からお札を取り出しレジの前に叩きつける。<br>
<br>
釣りはいらないぜ<br>
<br>
ちょっとかっこいいな俺、一応言っとくがナルシストではない。<br>
<br>
「――佐々木、待てよ!」<br>
<br>
急いで出たのが良かったのか、意外にもあっさりと佐々木を捕まえることができた。<br>
しかし佐々木の制服は時間の割に思いのほか濡れている。<br>
それを見た俺は学ランを脱ぎ佐々木に被せ、傘の中に入れようとする。<br>
しかし佐々木は断固として入ろうとしない。<br>
……このままではダメだ。<br>
<br>
「風邪引いちまうだろ!いいから入れ!」<br>
<br>
少し強めに言うと、佐々木は肩をビクッとさせて傘の中にそろそろと入ってきた、つまり俗に言う相合い傘という状態なんだが、………気まずい………とりあえず、謝っとくか。<br>
<br>
「……昨日は、すまん」<br>
<br>
「……僕も、少し意地を張っていたよ、申し訳ない」<br>
<br>
俺も佐々木も前を向いたまま言った。<br>
恥ずかしかったんだろうな、きっと。<br>
そして佐々木は続けた。<br>
<br>
「昨日は本当に悪かった、一方的にあんな態度をとってしまって。<br>
でも……キョンにだけは僕の話を聞いてもらいたかった……。<br>
君くらいだったんだ、いつも僕の話に付き合ってくれるのは。<br>
実際に三年に上がるまで僕は誰一人として話し相手がいなかったからね。<br>
………だから、キョンにまで見捨てられたかと思ったらこれ以上なく悲しくなってきてね………、言いたくないが昨日は柄にもなく涙が出てきてしまったよ」<br>
<br>
激しい自己嫌悪に襲われる………、昨日の俺をフルボッコにしてやりたい、寝不足ぐらいなんとかしやがれって言いながら。<br>
てめえのせいで、佐々木はここまで傷ついたんだぞ。<br>
そしてふと思う。<br>
―――今の俺に出来ることはないだろうか?<br>
「………なあ、佐々木。お前が嫌じゃないならさ、もう一度寺にでも行かないか?」<br>
<br>
「何故かな?」<br>
<br>
「お前の話が聞きたい、それだけだ」<br>
<br>
ここで久しぶりに佐々木の顔を見た。<br>
1日くらいしか経っていないはずなのに、まるで長年見ていなかったような感じがする。<br>
俺が佐々木をじっと見ていると佐々木も顔を上げ俺の方を見てきた、そして少しの間をあけ、くくっと笑い出す。<br>
<br>
「君は本当に、本当に優しいね、キョン。<br>
……行こう、君とならどんなところでも嫌じゃない」<br>
<br>
その後、俺達は昨日も訪れた寺を巡った。<br>
昨日はつまらないとしか感じなかったが、今日はとても楽しい。<br>
理由?そんなもんは決まってる、佐々木と一緒にいるからだ。<br>
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ちなみに電車代などは佐々木に奢ってもらった。<br>
理由?傘を買ったとき間違えて諭吉さんを置いてきちまったから金が無いんだよ、くそっ。<br>
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最後の寺を出たとき、空は綺麗な夕暮れに染まっていた、横にいる佐々木は思わず感嘆の声を漏らしている。<br>
気が付くと、雨もすっかりあがっていたので、俺が傘を畳もうとすると、佐々木に腕をつかんで止められた、甚だしく痛い、力が強すぎる。<br>
<br>
「ん、どうした?というかめちゃくちゃ痛いんだが」<br>
<br>
「おっと申し訳ない。<br>
ただ傘を閉じるのは少しだけ待ってくれないか」<br>
<br>
そう言うと、佐々木は近くにいた異国の方と話し始めたではないか、なぜだかちょっぴり感動しちゃった。<br>
暫くして佐々木が戻ってくる、異国の方の右手にはカメラ。<br>
なるほど記念撮影してもらうってか、あれ、じゃあ傘は邪魔じゃねえのか?<br>
そう思いながら傘を持っていると佐々木が再び傘の中に入ってきた。<br>
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……おい、まさかこの状態で撮ろうなんぞ思ってないよな?<br>
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「何を言ってるんだい、この状態で撮らないと傘がある意味が見出せないじゃないか」<br>
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いや、わざわざ見出してやることもないだろう。<br>
しかも恥ずかしい。<br>
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「今までずっとやっていたのに今更だ。<br>
……それに僕だって恥ずかしいさ」<br>
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佐々木は聞こえるか聞こえないかギリギリの声でそう呟いた、と思う。<br>
佐々木の顔はほんのり赤くなっている、夕焼けのせいだけじゃなさそうだ。<br>
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―――とまあそんな話だったのさ、おしまい。<br>
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「おしまい、じゃないわよ!このアホンダラッ!<br>
その後どうしたの、まさかキs…………、死ねぇ!」<br>
<br>
なんなんだコイツは、久しぶりに喋ったかと思えば支離滅裂なこと言いやがって。<br>
その後って普通に写真を撮ったに決まってんだろ、それで出来上がったのがそのアルバムに載ってるやつってことだよ。<br>
……それでだ、佐々木。<br>
なぜこれがここに載っている、この写真は俺とお前しか持っていないはずだ。<br>
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「キョンはこの写真を現在どう保管しているんだい?」<br>
お前、そりゃ大事に飾ってるに決まってんだろ。<br>
この前俺の家来たとき見なかったのか?結構目立つところに張っていたはずだがな。<br>
全く、お前は変なところで抜けてるよな。<br>
今度からはちゃんと周りに気をつかえるようn………………、って話をすり替えるんじゃねえ!!<br>
ったく、結構ノっちまったじゃねえか。<br>
<br>
「人の所為にするものではないよ、キョン。<br>
現在の世の中、騙される方が悪いんだ」<br>
<br>
もうそれはいい、俺の質問にさっさと答えなさい。<br>
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「君もせっかちだね、少しは遊び心というものをもったほうがいいよ。<br>
実は岡本さんに深く懇願されてね、二人きりにしてあげたのだからその礼物として撮ってきた写真をアルバムへ献上しろ、と」<br>
<br>
……いや、待て。何故岡本が写真のことを知っていたんだ。<br>
<br>
「彼女のアイデアだからさ、相合い傘での撮影もね」<br>
<br>
………はあ、そういうことかい。<br>
うーむ、じゃあしょうがねえな。<br>
そのおかげで照れるというレアな佐々木が見れたし。<br>
<br>
「な!?僕が照れるわけ無いだろう!」<br>
<br>
はいはいワロスワロス。<br>
「………あんたら、いつまでいちゃついてんのよ」<br>
<br>
おい、これのどこがいちゃついてるって言うんだ、ただの口喧嘩だろ。<br>
まったくお前は何言ってんだよ。<br>
<br>
「……あなたって人は……」<br>
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お前まで何だ古泉、それに佐々木も何だ、ホントに渋い渋柿を食べたような顔して。<br>
それよりハルヒ、アルバムの続き早く見ようぜ。<br>
<br>
そう俺が言うと同時に長門が本を閉じる音が聞こえた。<br>
ちぇっ、じゃあ続きはまた明日か。<br>
その後、俺達は妙な空気のまま帰宅した、特にハルヒの周りには邪悪なオーラが漂っていたな。<br>
俺はその日少々興奮していたこともあり、珍しくもうすぐ日を跨いでしまうくらいの時間まで起きていた。<br>
そして、俺が寝る前にトイレに行こうかと思い、部屋のドアを開けると……………………、あれ?何で?<br>
<br>
ここでみんなに聞きたい、俺の部屋を出るとどこに出る?いや、まあ普通に家の廊下なんだがな。<br>
ところがどっこい、なんと俺は家の外に出てしまったではないか。<br>
しかも寝間着から中学時代の学ランになっている、意味解らん。<br>
更に太陽が眩しい、意味が解らん。<br>
思わず意味が解らんと二回呟くぐらい意味が解らん。</p>