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ツインズパニック! - (2007/12/08 (土) 23:31:22) の1つ前との変更点
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<p>「双子……いいわね」<br>
あぁ。なぜこいつはこんなに嫌な予感をさせる一言をいきなり発することが出来るのだろうか。<br>
「立花兄弟でもマナカナでも某スロットの姉妹もみんな息がピッタリじゃない。しかも双子には不思議な体験がつきものなのよ!」<br>
確かにそれはそうだがなぜ高校生のお前が某スロットのことを知っている。<br>
「やったもん。スロットってつまらないわね。1000円で簡単にお金稼げるじゃない。あんなので負ける奴って意味がわかんないわ」<br>
天はこいつに何物も与えすぎだ。たまには負けさせてやってくれ、神様よ。<br>
「話を戻すけどこの中に実は双子でしたっていう子はいない? そうね……古泉くん!」<br>
「残念ながら一人っ子なもので」<br>
残念じゃない。お前みたいなのが大量にいられても困る。気色悪い。<br>
「じゃあ有希!」<br>
当り前のように長門は首を横に少しだけ振った。そりゃそうだ。<br>
「むー……みくるちゃんは!?」<br>
「そそそんな人いないですぅっ!」<br>
はい。全滅だ。まったく……そんな都合よく双子なんかいるわけないだろ。<br>
つまらないだろうがそれが現実だ。そろそろ下校時間だ。帰るぞ。ハルヒ。<br>
「……あんたはもうちょっとあたしの気持ちわかってくれると思ってたのに。あたし一人で帰るから」<br>
ハルヒは鞄を掴むとすぐさま外に飛び出した。……俺は何か悪いことしたか?<br>
そんなににらむなよ。古泉よ。朝比奈さんまで。俺は普通のことを言っただけだ。<br>
「まったくあなたという人は……」<br>
「少しは涼宮さんの気持ちも考えてくださいよう……」<br>
この二人の言う事はよくわからん。今回は確実に俺に非はない。とりあえず今日は帰るか。<br>
それからは普通だ。家に帰りメシを食い風呂に入る。普通だ。普通だった。<br>
なにか違いを感じたのは寝て起きた後だったのさ。<br>
<br>
<br>
ところで諸君。双子といえばどこの世界でも正反対の性格だと相場が決まってると思わないか?<br>
そんなことはないか。……その通りだ。しかし俺みたいに非日常な世界にいる場合はそうなるらしい。<br>
そう、『無いのなら自分で作ればいいのよ!』と言わんばかりに奴は作ってしまったのだ。<br>
涼宮ハルヒ、自分自身の双子をな。<br>
<br>
<br>
つづく</p>
<p>「双子……いいわね」<br>
あぁ。なぜこいつはこんなに嫌な予感をさせる一言をいきなり発することが出来るのだろうか。<br>
「立花兄弟でもマナカナでも某スロットの姉妹もみんな息がピッタリじゃない。しかも双子には不思議な体験がつきものなのよ!」<br>
確かにそれはそうだがなぜ高校生のお前が某スロットのことを知っている。<br>
「やったもん。スロットってつまらないわね。1000円で簡単にお金稼げるじゃない。あんなので負ける奴って意味がわかんないわ」<br>
天はこいつに何物も与えすぎだ。たまには負けさせてやってくれ、神様よ。<br>
「話を戻すけどこの中に実は双子でしたっていう子はいない? そうね……古泉くん!」<br>
「残念ながら一人っ子なもので」<br>
残念じゃない。お前みたいなのが大量にいられても困る。気色悪い。<br>
「じゃあ有希!」<br>
当り前のように長門は首を横に少しだけ振った。そりゃそうだ。<br>
「むー……みくるちゃんは!?」<br>
「そそそんな人いないですぅっ!」<br>
はい。全滅だ。まったく……そんな都合よく双子なんかいるわけないだろ。<br>
つまらないだろうがそれが現実だ。そろそろ下校時間だ。帰るぞ。ハルヒ。<br>
「……あんたはもうちょっとあたしの気持ちわかってくれると思ってたのに。あたし一人で帰るから」<br>
ハルヒは鞄を掴むとすぐさま外に飛び出した。……俺は何か悪いことしたか?<br>
そんなににらむなよ。古泉よ。朝比奈さんまで。俺は普通のことを言っただけだ。<br>
「まったくあなたという人は……」<br>
「少しは涼宮さんの気持ちも考えてくださいよう……」<br>
この二人の言う事はよくわからん。今回は確実に俺に非はない。とりあえず今日は帰るか。<br>
それからは普通だ。家に帰りメシを食い風呂に入る。普通だ。普通だった。<br>
なにか違いを感じたのは寝て起きた後だったのさ。<br>
<br>
<br>
ところで諸君。双子といえばどこの世界でも正反対の性格だと相場が決まってると思わないか?<br>
そんなことはないか。……その通りだ。しかし俺みたいに非日常な世界にいる場合はそうなるらしい。<br>
そう、『無いのなら自分で作ればいいのよ!』と言わんばかりに奴は作ってしまったのだ。<br>
涼宮ハルヒ、自分自身の双子をな。<br>
<br>
<br>
そう。その朝までは俺は何の違和感も感じることなく生活していた。<br>
妹に起こされ朝メシを食いあの地獄のような坂道を上る。そんな日常を今日もこなしていたはずだった。<br>
それがどうしたことだ。まずはほんの些細なことに気付いた。ハルヒがいない。<br>
いつも俺より先に来て不機嫌そうに外を眺めている涼宮ハルヒがいないじゃないか。<br>
休み……はまず無いはずだ。遅刻と部室でサボりは可能性大だな。しばらくすれば来るだろう。<br>
なんて思っているとほらな。やっぱり来やがった。あの不機嫌そうな面……?<br>
「あらキョン。早いわね。おはよう」<br>
ちなみに俺が早い理由は昨日筆箱を忘れたせいで課題が出来なかったから学校でやるために早く来たというごく普通のつまらない理由だ。<br>
いや。そんな本当につまらないことなんかどうでもいい。今大変なのはハルヒが俺に微笑みかけていることだ。<br>
いつもの悪巧みを考えた時の笑顔とは違う無邪気な笑顔だ。まさか機嫌がいい? いや。それだけでは笑顔は振りまかないだろう。<br>
きっと俺がまばたきする間にいつもの不機嫌そうな顔をしたハルヒになっているはずだ。<br>
<br>
<br>
ほらな。やっぱり戻ってる。おはようハルヒ。<br>
「おはよう。キョン」<br>
「…………」<br>
もう一回目を瞑っていいか? 有り得ないものが見えた。いや。有り得なくはなかった。<br>
昨日の会話の流れから少しだけ覚悟はしていた。しかし本当に起こるとはな。<br>
<br>
ハルヒが二人いる。<br>
<br>
やってくれたな。しかしどっちがどう違うのかわからん。顔は瓜二つ。体型も一緒。表情は違うが……名前はどうだ?<br>
「おい。ハルヒ」<br>
「なになに! キョン。どしたの?」<br>
「なによ。あたし徹夜明けで眠いのよ」<br>
はぁ。そうですか。二人とも涼宮ハルヒのようだ。せめて呼び方くらい変えるくらいの慈悲は与えてくれよ。いたずら好きな神様よ。<br>
俺が黙って考えていると二人のハルヒ……機嫌良さそうなハルヒAと機嫌悪そうなハルヒBは席についた。<br>
右にハルヒA。後ろにハルヒB。そんなに俺を苦しめたいのか。<br>
「キョン。どうせ課題やってないんでしょ。見せてあげるから写しときなさい」<br>
そう言ってノートを俺の机に放り投げてきたのはハルヒAだ。珍しいな。雨が降りそうなことをしてきやがる。<br>
「なによ。そんな言い方するなら別にいいわよ」<br>
待て待て。冗談だ。本当に助かる。ありがとな。ハルヒ。<br>
「しょうがないわね。まったくあんたはあたしがいなきゃダメなんだから」<br>
どうやらハルヒAのほうは非常に優しいらしい。たまに優しさを見せるハルヒがいつも優しい感じだ。そして……。<br>
「…………」<br>
不機嫌そうな顔で黙って俺の背中をシャーペンでつつき続けるこいつは間違なくいつものハルヒだ。<br>
むしろいつもより強く突かれてる気がするぞ。いてえって!<br>
「なによ。バカみたい。あたしの妹なんかにデレデレしちゃって」<br>
ほう。ハルヒBのほうが姉か。というよりそんなことはどうでもいい。<br>
それより二人とも名前は『涼宮ハルヒ』なのか?<br>
「当たり前じゃない。とうとうボケた? あんた入学して初めにそれをあたしに聞いたじゃない。あたしはちゃんと答えたわよ。字は違うけど読み方は一緒だって」<br>
うむ。俺は入学して初めに聞いたのは髪型のことだがな。どうやら何かが変わっているらしい。<br>
とりあえず休み時間に入ったら宇宙人か未来人か超能力者のところに行かなくてはな。まったく面倒くさい。それにしても……だ。<br>
「なによ。バカキョン」<br>
ハルヒBのポニーテールは反則だな。そういえばこいつはまだ髪が長いな。<br>
また毎日髪型を変えているのか。こりゃポニーテールの時が楽しみだな。いや。そんなに長くハルヒを双子にしとくわけじゃないが。<br>
さて。そろそろ1限が始まる頃か。古泉でも呼び出してサボりながら話を聞くとするか。<br>
<br>
<br>
「やはりこうなってしまいましたね」<br>
やはりという言葉が示す通りに予想通りってわけだ。<br>
「はい。昨日の会話の流れから僕たちの誰かが双子になることは予想していました。まさか涼宮さん自身がなるとは少し意外でしたが」<br>
ほう。それならお前は誰が双子になると予想していたんだ?<br>
「それはもちろんあなたですよ」<br>
なぜだ。<br>
「あなたが2人いれば涼宮さんにとっては逆ハーレムでしょう?」<br>
古泉。ふざけるな。殴るぞ。<br>
「冗談ですよ」<br>
まったくこいつの冗談は冗談に聞こえん。俺は早くハルヒを元に戻したくてしょうがないというのに。<br>
「なぜですか?」<br>
「あんなのが2人もいたら鬱陶しいだろ。ただでさえ疲れるというのに」<br>
「その点は心配ありません。元々の涼宮さんが2人に分かれただけですので。あなたに降りかかる災難の量は変わりませんよ」<br>
それはそれで嫌だがな。とりあえず今回は何をすれば元に戻るんだ?<br>
「わかりません」<br>
ハルヒのことはほとんどわかるお前でもか。<br>
「そうです。むしろわからないということがわかってしまいますね。今機関では総力を挙げて調査をしていますのでしばらく2人の涼宮さんを相手に頑張ってください」<br>
古泉は見事な作り笑いを浮かべた。いや。実は傍観者として楽しくてたまらないという笑みだな。この野郎。<br>
しょうがないな。とりあえず数日は我慢して過ごすか。それにしても双子か。<br>
双子には不思議な体験が付き物っていう言葉が非常に気になるな。<br>
考えてもしょうがないか。とりあえず教室だ。休み時間になったし頃合もいいだろう。<br>
<br>
<br>
昼休み。午前中の授業をサボりと睡眠に使ったにも関わらず俺の胃袋は音をたてて鳴っていた。<br>
さてと。今日もさっさとメシを食おうじゃないか。……どうした。ハルヒ。<br>
「3人でご飯食べるわよ」<br>
「あぁ。国木田と谷口と食べてくる」<br>
「違うわよ!」<br>
ハルヒAは乱暴に机を俺のほうに寄せてきた。そういうことか。俺がハルヒ2人と昼メシ……うん。無理。<br>
「なんでよ!」<br>
俺にはあいつらと先約がある。というのは建て前でそんな状態でメシを食ったらいろいろと考えすぎで精神が持たなくなる。<br>
「でも……」<br>
そんな表情はやめてくれ。ハルヒA。お前の顔でその表情は似合わん。良心が痛むだろ。<br>
微妙に重い空気が流れる。畜生。だから精神的に持たなくなると言っただろう。<br>
そんな重苦しい空気を破ったのはハルヒBだった。<br>
「別にいいじゃない。キョン。この子あんたとご飯食べたいからってわざわざ早起きして弁当作ったのよ? あたし達はいつも学食なのに。なんならあたしは学食行くから2人で食べなさいよ」<br>
「ちょ、ちょっと何言ってんのよ! あたしはそんなつもりじゃ……」<br>
むぅ。同じ顔が2人で喋っているのは新鮮だ。……じゃないな。しょうがない。一緒に食うか。<br>
「ほんと!?」<br>
「もちろん姉ハルヒも一緒に食うよな?」<br>
「なによその呼び方。別にいいけどあたしは学食に行くから。2人で食べなさい」<br>
ハルヒBはそれだけの言葉を発すると足早に教室を去った。なるほど。やはり元々のハルヒに近いのはハルヒBのようだな。<br>
そしてハルヒ的理論の『双子は性格まで正反対』ということでハルヒAが出来た感じか。……だからって元に戻す方法がわかるわけではないけどな。<br>
「キョン……あたしと2人になっちゃったけどいい?」<br>
断る理由は無いだろう? さあ食おうぜ。さっきから空腹で死にそうだったんだ。<br>
谷口と国木田よ。お前らには悪いがどうやら俺はハルヒには勝てん。そんなこんなでハルヒとメシを食うハメになったから。<br>
「うん。わかったよ。僕は谷口と2人で食べるから」<br>
「キョン。見損なったぞ。俺的ランクでも最上位の涼宮妹と2人でメシなんて……」<br>
ほう。お前はハルヒにはふられたんじゃなかったのか?<br>
「そりゃ姉のほうだ! 髪はロングの方が好きだからと思ってアタックしたら……。性格まで調べてからするんだった! 畜生!」<br>
こいつに彼女が出来るなんて相当気が遠くなるような話だろうな。<br>
だが谷口のおかげでハルヒAの人物像も少し見えたぞ。さっき阪中を筆頭に数人の女子と仲良く話していた。<br>
そして谷口ランクでもかなり上の方になるくらいに男子にも人気だ。成績優秀にスポーツも万能。<br>
……まるで朝倉みたいだな。なんてな。ハルヒはハルヒだ。<br>
しかしこれだけハルヒAが人気があるとハルヒBは孤立してるんじゃないのか? 高校最初の時期のように。<br>
うーむ。わからん。これはあとで谷口に聞いておくか。今は目の前で弁当をパクついてる奴としばらくの時間楽しんでおこう。<br>
とはいえ戻す方法が見つからないとはどうしたもんかね。この生活に慣れる前に長門のところにも行ってみるか。<br>
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つづく</p>
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