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気持ち - 第三章 - (2010/01/01 (金) 06:22:00) の1つ前との変更点
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午前の授業もろくに頭に入らないまま飯の時間になる。<br />
ハルヒはいつも通り、学食に行ってしまった。<br /><br />
近くの谷口と国木田とで席を囲む。<br />
「おい国木田、ちょっと耳貸せ!」<br />
「ん、なんだい?」<br /><br /><br /><br />
「本当に?」<br />
「あぁマジだ」<br />
「キョンもやるねぇ」<br />
谷口が何を言ったのかはすぐに分かった。下手に否定すると自爆する気がする。<br />
「谷口てめぇ覚えとけよ・・・」<br />
「お、バレた?」<br />
「キョンも落ち着いてよ。もうクラスのみんなはとっくにそういう関係だって思っていたから、<br />
別に特別驚くことじゃあないよ」<br />
そうなのか?俺とハルヒがそういう風に見られていたとは・・・<br />
「僕も応援するよ、キョン」<br />
「んでさ、国木田。コイツ涼宮にプレゼントを贈るって考えてるんだってよ」<br />
もうどうでもいいや。<br /><br /><br />
「へー。キョンは何を贈るつもりなの?」<br />
「それが思いつかないからこのオールバックバカに聞いたんだよ」<br />
「誰がオールバックバカだ!俺は何かお揃いのものを贈るべきって言ったんだ」<br />
「谷口にしちゃ随分まともな意見だね」<br />
その前にこいつは愛があればすべてがうまく行くとか言ってたけどな。<br />
「ハハ!愛ねぇ。ちょっとクサすぎない?確かに大切だけどさ」<br />
「やかましい!なんだよこの俺の言われよう・・・」<br />
そういいながら谷口は梅干しの種を出す。<br />
「僕も谷口と同意見だよ。お揃いの何かってのはすごくいいアイデアだと思うよ」<br />
まぁ否定はできないな。<br /><br />
「あとは、形の残るものにしたほうがいいね」<br />
形の残るものか・・・。<br />
「食べ物とかだと形に残らないでしょ。クリスマスプレゼントを贈るならやっぱり<br />
形に残るものがいいよ。思い出にもなりやすいしね」<br />
谷口は軽くふてくされたのか、のり弁の海苔を一枚一枚剥がすという謎の行動に出ている。<br />
「キョンのことだからジンジャークッキー詰め合わせとか贈りそうだから一応言っておくよ」<br />
流石にそこまで馬鹿じゃないぞ俺は。俺はそんな風に見られてるのか。<br />
「ハハッ、冗談だよ。とにかく、キョン頑張ってよ。友人の恋愛が成就するのはうれしいことだし」<br />
「そうかい。とにかく、不本意ながらも相談に乗ってくれてありがとよ」<br />
「キョンは素直じゃないねえ」<br /><br />
「終わったか?」<br />
谷口がそう言ってからはいつも通りの昼食の時間に戻った。<br />
ナンパがどうだとか、噂話とか。<br /><br /><br />
午後の授業と後ろからのシャープペン攻撃を適当に受け流し、俺は部室に向かった。<br />
ハルヒは幸いにも掃除当番だ。これならある程度は相談できる時間があるだろう。<br /><br />
朝比奈さんのお宝映像を目に焼き付けない為に、ノックをし返事を待つ。<br />
「はーい、どうぞー」<br />
ドアを開けるとメイド服の朝比奈さんと長門が居た。<br />
「あ、キョンくんこんにちは。今お茶居れますねー」<br />
「こんにちは、ありがとうございます」<br />
鞄をその辺に置き、指定席に着く。<br />
「よう、長門」<br />
「・・・」<br />
この三点リーダも今では長門なりのあいさつだということが分かるまでになった。<br /><br />
「はい、どうぞ。今日はとっても寒いですねぇー。だから体の芯まで暖まるお茶にしてみました。<br />
漢方に似たような効用があるみたいなんです。」<br />
「へー。頂きます」<br />
漢方というワードがあったからものすごく苦いお茶だと思って飲んだが、<br />
まったくもってそんなことはなく、とても旨いお茶だった。<br />
「どう・・・ですか?」<br />
「とってもおいしいですよ。暖まります。」<br />
「そう、よかったぁ」<br />
まあもっとも、朝比奈さんの入れたお茶ならなんでも暖まりそうだが。<br /><br />
コンコン<br />
「失礼します。おや、涼宮さんはまだのようで」<br />
ニヤケスマイル古泉だ。<br />
「ハルヒなら掃除当番だ」<br />
「古泉くん、こんにちは。お茶入れますねー」<br />
「ありがとうございます」<br /><br />
ピロリーロリーロ<br /><br />
この音は俺の携帯のメール受信音だ。<br />
送信相手はハルヒだった。<br />
─────────────────<br />
メール0001<br />
From 涼宮ハルヒ<br />
To ****@docomo.ne.jp<br />
Sub ちょっとだけ<br />
─────────────────<br />
岡部に進路のことで呼び<br />
出されたから遅れるわ。<br />
みんなに言っておいて。<br /><br /><br /><br />
─────────────────<br /><br />
『おっけ、了解。』と書いて返信する。<br /><br />
「ハルヒからメールが来た。ちょっと遅れるみたいだ」<br />
三人なりの返事を聞いた後、俺は誰に相談するか考えた。<br /><br />
ハルヒは幸いにも掃除当番だ。これならある程度は相談できる時間があるだろう。<br /><br />
朝比奈さんのお宝映像を目に焼き付けない為に、ノックをし返事を待つ。<br />
「はーい、どうぞー」<br />
ドアを開けるとメイド服の朝比奈さんと長門が居た。<br />
「あ、キョンくんこんにちは。今お茶居れますねー」<br />
「こんにちは、ありがとうございます」<br />
鞄をその辺に置き、指定席に着く。<br />
「よう、長門」<br />
「・・・」<br />
この三点リーダも今では長門なりのあいさつだということが分かるまでになった。<br /><br />
「はい、どうぞ。今日はとっても寒いですねぇー。だから体の芯まで暖まるお茶にしてみました。<br />
漢方に似たような効用があるみたいなんです。」<br />
「へー。頂きます」<br />
漢方というワードがあったからものすごく苦いお茶だと思って飲んだが、<br />
まったくもってそんなことはなく、とても旨いお茶だった。<br />
「どう・・・ですか?」<br />
「とってもおいしいですよ。暖まります。」<br />
「そう、よかったぁ」<br />
まあもっとも、朝比奈さんの入れたお茶ならなんでも暖まりそうだが。<br /><br />
コンコン<br />
「失礼します。おや、涼宮さんはまだのようで」<br />
ニヤケスマイル古泉だ。<br />
「ハルヒなら掃除当番だ」<br />
「古泉くん、こんにちは。お茶入れますねー」<br />
「ありがとうございます」<br /><br />
ピロリーロリーロ<br /><br />
この音は俺の携帯のメール受信音だ。<br />
送信相手はハルヒだった。<br />
─────────────────<br />
メール0001<br />
From 涼宮ハルヒ<br />
To ****@docomo.ne.jp<br />
Sub ちょっとだけ<br />
─────────────────<br />
岡部に進路のことで呼び<br />
出されたから遅れるわ。<br />
みんなに言っておいて。<br /><br /><br /><br />
─────────────────<br /><br />
『おっけ、了解。』と書いて返信する。<br /><br />
「ハルヒからメールが来た。ちょっと遅れるみたいだ」<br />
三人なりの返事を聞いた後、俺は誰に相談するか考えた。<br /><br />
しかし案の定考えても「こいつだ!」というような的確な人物が思い浮ばないし、俺は三人全員に相談することに決めた。<br /><br />
「みんなちょっと聞いてくれ。」<br />
「なんでしょうか?」<br />
口を開いたのは古泉だ。結構おしゃべりなんだよなコイツ。<br />
朝比奈さんと長門は無言でこっちを見ている。<br /><br />
俺は昨日の出来事を話した。<br /><br />
「なるほど。あなたもやっと自分の気持ちに気付いたんですね。我々としてもうれしい限りです」<br />
「そこでだ・・・。ハルヒにクリスマスプレゼントを贈ってやろうと思うんだ。でも、あいつのことだし、普通なものじゃ喜んでくれそうにないから何を贈ろうかって悩んでたんだ。<br />
クラスメイトにも相談したんだが、一応確定要素として、『お揃いのもの』と『形に残るもの』っていうのは俺の中で確定的なんだ。みんなはどんな贈り物をしたらハルヒは喜んでくれると思う?」<br /><br />
「なかなか難しいですね。」<br />
古泉だ。<br />
数秒の沈黙の後口を開いたのは意外にも長門だった。<br />
「私の情報処理能力を使えば、涼宮ハルヒが何を贈られたいが知ることが可能。」<br />
そうか、確かにそうだな。長門の能力を使えば少なくともハルヒが喜ぶことは確実だ。<br />
だが、その選択肢は二秒とかからないうちに消えた。<br />
「長門、ありがたいんだが、それだと俺の気持ちがちゃんと伝わらない気がするんだ。<br />
あくまで、意見を聞くだけで、買うものは俺の気持ちで決めたいんだ」<br />
「私もそのつもりだった。この選択肢を推奨するつもりは毛頭ない。・・・私はあなたを試してしまった。謝罪する。」<br />
「いや、長門。全然気にしてないし、謝る必要なんてないさ」<br />
「そう。」<br /><br />
「あのー」<br />
朝比奈さんだ。<br />
「私の考えなんですが、涼宮さんに贈るものは別に特別変わったものじゃなくていいと思います」<br />
「というと、どういうことでしょうか?」<br />
「涼宮さんはたぶんこういうことまで変わったものを求めてはいないと思います。もし求めているなら、<br />
キョンくんとイヴにデートなんて普通のことは考えないでしょうし、涼宮さんはたぶん少なくともイヴの日は普通の女の子として過ごしたいんだと思います。」<br />
なるほど、さすが女の子だ。すごく納得できる。<br />
「僕も彼女の意見に同じですね。あなたの話によれば、彼女はあなたに用件を伝える時にとても緊張していたようですね。<br />
彼女が『SOS団団長』としてでなく、『女の子』として話しかけたから緊張してしまったのでしょう。<br />
彼女が『SOS団団長』の時にはこんな態度は見せませんからね。」<br />
ほう、古泉にしては随分まともじゃないか。<br />
「あなたも『SOS団雑用係』ではなく『男』として彼女に接してあげてください」<br />
「もちろんそのつもりだ。そうじゃなきゃ俺はこんな決心しない」<br />
「失礼、これは不要な心配をしてしまったようで」<br />
数秒の沈黙が訪れる。ハルヒは『女の子』として接されたい、か。あいつらしくないな。<br />
「僕だったら、プレゼントはお揃いのマフラーとか贈りますかね」<br />
「古泉、それは普通女の子からのプレゼントじゃないか?」<br />
「そうですか?僕としては男からでも問題ないとは思いますが」<br />
「マフラーは女の子から男の人にプレゼントしたいですぅ。手編みのマフラーなんて、いかにもっていう感じでいいなぁ・・・。」<br /><br />
「とりあえず、僕からは『プレゼントはこれ』とは言いません。あなたは事前にお店などに行って、ご自分でプレゼントを選ぶのがよろしいかと」<br />
「私もそれがいいかと思います」<br />
「・・・」<br />
「みんなありがとう。行ける日を見つけてプレゼントを探しに行ってみようと思う。ごめんな、わざわざ時間とってもらって」<br /><br />
バーン!<br /><br />
「あーもううんざり!みくるちゃん、お茶!」<br />
「あ、は、はーい!」<br />
なんていいタイミングなんだろうか。もしかしたら聞かれていたっていう可能性もあるが。<br />
聞かれていないことを願いたい。ハルヒには驚いてもらいたいし、喜んでもらいたいからな。<br /><br />
「どうした?うんざりだなんて。なにかあったのか?」<br />
「特にはないわ。ただ話が長いのよ!ただでさえ寒いのに教室でずっと座りっぱなしで話を聞いてるだけなんて耐えられるわけないじゃない!」<br />
「お茶どうぞー」<br />
「あっ、ありがとう」<br /><br />
ゴクゴク<br />
プッハー!<br />
「暖まるわ、みくるちゃんのお茶はやっぱり美味しいわね」<br />
「あ、ありがとうございますぅ」<br />
昨日の電話での『女の子』らしさはどこへ行ったのだろうか。<br /><br />
それからは特に変わったことはなく、古泉をバックギャモンでぶちのめした後、長門の本を閉じる音で団活は終了した。<br />