「涼宮ハルヒの仮入部番外~帰宅部の連中~」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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<div class="main">5月末<br>
あの閉鎖空間にハルヒと二人で閉じ込められてから数日がたつ。<br>
今、俺は国木田と谷口二人で弁当を食っている。つまり昼休みだ。<br>
まあ、いつものことだな。ハルヒはいつものように食堂に行っている。<br>
それにしても、今月はいろんなことがあった。<br>
先月の俺じゃあ全く考えれないことばかりな。<br>
と、その時急に、先月の今頃の昼休みに話していた何の変哲もないいつもの三人との会話を思い出した。<br>
こんな、なにげない会話を覚えてるぐらいなら、もっと勉強の中身を覚えていろと自分の脳に言ってやりたい。<br>
あれは確か、桜も散って、4月も終わろうとしていたときの話だ。<br>
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「部活、どこに入るか決めた?」<br>
国木田が箸で卵焼きをつかみながら、二人、つまり俺と谷口に聞いてきた。<br>
このころの俺は、たしかにどこかに入っといたほうがいいとは思い、放課後になれば、適当に部活を見学して、どこにしようかも悩んでいたものだ。<br>
いや、心のどこかには、もう帰宅部でいっか・・・とも思っていたんだがな。<br>
まあ、その2週間後にはSOS団という非公認クラブに入ることになったのだが、そのときの俺にはそんなの予測できるわけがない。<br>
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「俺は、部活なんか入らずにバイトでもするつもりだ。金があったほうが女も寄ってくるだろうしな」<br>
ご飯を口の中に含んだまま、谷口はそう言った。<br>
汚いから、食べ終わってから言え。<br>
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「僕も、帰宅部でいいかな?」<br>
国木田が言った。<br>
まあ、別に国木田が何の部活に入ろうが別に俺には関係ないが、こいつはそれなりにマジメだから何かには入ると思っていたもんだ。<br>
だから、少しは意外だった。<br>
あれ?でも、こいつ中学のとき何部だったっけな?<br>
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「キョンは?」<br>
国木田が尋ねてくる。<br>
とりあえず俺は、「まだ考え中だ」とだけ言っておいた。<br>
まあ、SOS団ができなかったら、きっと俺も今頃、帰宅部だっただろうけどな。<br>
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「にしても、涼宮は本当にどっかの部活に入る気あんのかねー?どうせ、全ての部活に仮入部するんだろうが」<br>
ところで、俺はこの谷口の言葉を聞いて、ハルヒは全ての部活に仮入部したと勘違いしてしまったいた。<br>
後のハルヒの行動で分かったことだが、ハルヒはコンピュータ研究部にも書道部にも仮入部してないはずだ。<br>
初めて見たとき、ハルヒはコンピ研部長も朝比奈さんがどこの部活に入ってるかもしらないようだったしな。<br>
まあ、もしかしたらハルヒが仮入部したときには、コンピ研の部長さんも朝比奈さんも偶然いない日だったという可能性もあるわけだが。<br>
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「だいたい、部活なんかやってるより、やっぱ金が得られるバイトしてたほうがよっぽどかいいだろ」<br>
確か、そのときの俺は、「人それぞれだろ」とか言ってたはずだ。<br>
さすがに、ハルヒは個性的すぎるけどな。<br>
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「でも、朝倉さんはどこかに入ると思ったけど、帰宅部なんだね」<br>
国木田が言う。<br>
「ああ、あいつもどっかの運動部にでも入ったらいいのにな。運動神経いいんだから」<br>
「それだったら、俺もその部活に入ってたかもしれん」<br>
谷口が言う。<br>
お前は、そんな理由で部活を選ぶのか!<br>
と、思ったものだ。<br>
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そして、俺はその時、なにげなく教室を見渡した。<br>
俺の左下に座っている、手島という男は、相変わらずパンを食べ終えたらすぐに眠っている。<br>
授業中でも眠ってるからな。<br>
猫よりも寝てるんじゃないか?と思ったものだ。<br>
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中嶋と吉崎は二人で五目並べをしていたように思われる。<br>
今度は、古泉と五目並べもいいかもしれない。<br>
これなら、シンプルなゲームだからあいつでも勝てるかもしれないからな。<br>
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「おい、賭けをしないか?」<br>
急に谷口が言ってきた。<br>
「何をだよ?」<br>
「涼宮がどこの部活に入るかだよ。お前らは何だと思う?」<br>
ったく、そういうことはもっと早くに言うものだ。<br>
予想はしていたが、3人の答えは一緒だった。<br>
どこにも入らない・・・ってな。<br>
「それじゃあつまんねーじゃねーか」<br>
んなこと言ったって、そう思うんだからしかたない。<br>
「しかたねー。賭けはなしか」<br>
まあ、結局その回答はある意味間違ってたけどな。<br>
まさか、新しいクラブを作りあげるなんて誰も思いもしなかっただろうし。<br>
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他にもいろいろ話していたが、何分かしてハルヒが帰ってき、もうすぐで5限目だということが分かると、二人とも席に戻っていった。<br>
今で言ったら、長門が本を閉じると、部活終了の合図というような感じだったのかもしれないな。<br>
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その日の髪はポニーテール。<br>
次の日は祝日で休み、中には明日からゴールデンウィークという贅沢なサラリーマンすらいるらしい。<br>
そろそろそんな時期か・・・いとこの連中と今年も集まらなければ・・・と思っていたはずだ。<br>
その1週間後、後ろの女とちょっと話しただけで、俺の人生を狂わされることになったなんて思いもよらなかったけどな。<br>
あれが、今のところあいつの髪が長いときで、最後のポニーテールだ。<br>
そうだな、1年後ぐらいにはそれなりに伸びてるんじゃないか?<br>
その時に、また薦めてみよう。<br>
関係ないが、長門の髪は伸びるのか?<br>
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「おいキョン、聞いてんのか?」<br>
と、谷口の呼びかけで我に帰った。<br>
よくよく見てみると、箸もまったく進んでいない。<br>
くそ、何であんな何の変哲もないことを回想してしまったんだ。<br>
「悪い、聞いてなかった。何の話だって?」<br>
「だから、お前の所属するSOS団の朝比奈みくるさんのことだって。とりあえず、3学年全てみて回ったら俺の美的ランキングでは1番かもしれないな」<br>
とうとう、他学年の女子まで調べはじめたか、こいつは。<br>
「朝倉を超えたな。でも、やっぱり朝倉がいなくなったのはショックだ。学校に来る理由がなくなっちまう」<br>
お前はそんな理由で学校に来てるのか!<br>
と、突っ込みたいが、俺にそういうこと言える権利は持っていない。<br>
俺が、SOS団に通う理由もそんな感じだからな。<br>
おい国木田、そこは「すごいねー」って言うところじゃねーぞ。<br>
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と思いながら、ようやく箸を動かそうとすると、<br>
「キョン!ちょっとこっち来なさい!!」<br>
と、俺が今座っている窓側の反対側、つまり廊下側から声が聞こえてきた。<br>
すぐ行かなきゃ、どうせネクタイ掴まれて引っ張られて屋上へ出る扉がある踊り場にでも連れて行かれることだろう・・・<br>
それなら、したがっとくほうがいい・・・<br>
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で、俺は結局、ネクタイを引っ張られて踊り場に連れて行かれたわけだ。<br>
「今回は何のようだ?」<br>
どうせろくなことじゃないだろう・・・と俺は思っていた。<br>
のだが・・・<br>
「これ」<br>
と言って、俺になにか無地の布を差し出してきた。<br>
何だこれ?<br>
「枕カバーよ」<br>
枕カバー?・・・はて・・・なんでこんなものを俺に渡してくるんだ?<br>
「先月、手芸部に仮入部して作ったのよ。今のあたしに枕カバーなんて必要ないから、糸外して再利用でもしようと思ったんだけど、どうも面倒くさいし、アイディアも思いつかなくて」<br>
いや、そうじゃなくてだな、何で俺に渡すのかと聞いてるんだ。<br>
「あたし物を捨てられない人間なのよ。だから、あんたが捨てといて」<br>
・・・俺はゴミ箱じゃねーぞ。<br>
「別に、使いたかったら使ってもいいけどね」<br>
そう言ってから、ハルヒは一人先に、教室に戻っていった。<br>
俺が教室に戻っても、弁当の中身が空になってないことを祈ろう。<br>
<br>
ところで偶然だろうか?<br>
ちょうど、俺の枕カバーがボロボロになってきたところで、替えようとしていたのは。<br>
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