第七章 ラストバトル
第7章 ラストバトル<br> <br> 涼宮さんが僕を『好きになる』という珍事が終息してから数週間後の日曜日、<br> 長門さんは僕達を呼び出した。「僕達」というのはいうまでもなく、涼宮さんを<br> 除く、SOS団の面々である。思えば、長門さんがふたりになってから、既に数ヵ月が<br> 経過していた。いろいろなことがあった。世界の改変、彼の二重化、未来からの刺客と<br> 情報統合思念体が放った暗殺者。最初はあまりにも異常と思えた長門さんが二人いると<br> 言う状況にも、僕等は何時の間にかなれてしまい、あたりまえに感じるようにさえ、<br> なり始めていた。もともと、長門さんは人間ではないのだし、これが涼宮さんが二人とか、<br> 朝比奈さんが二人、とかいうことになるとなかなかきびしかったかもしれないが、<br> 長門さんだとそれなりに許されてしまう。人間とはいい加減と言えばいい加減なものだ。<br> 今回の呼び出しもまた、何かの「事件」の発端であることは間違いないだろうけど、<br> しかし、それはそれ、これはこれだ。もはや、僕達は長門さんが一人になって欲しい<br> (つまり、どっちかの長門さんがいなくなって欲しい)とさえ、<br> 切実には思わなくなり始めていた。<br> だから、呼び出されてもそれはそれほど不安だったわけではなかったが、<br> ただ、集合場所が気になった。<br> マンションではなく、いつもの喫茶店だったのだ。これは長門さんのうちどちらか<br> 一人しか来ないことをほぼ確実に意味していた。なぜ、一人だけ?<br> なぜ、喫茶店で?嫌な予感がした。<br> <br> 喫茶店に着くと、そんな心配はおくびにも出さずに、<br> 僕は作り笑いを浮かべながら席についた。<br> 既に僕以外は皆集合していた。最後について場の雰囲気に合わせるという<br> いつもの目論見はとりあえず、首尾よく開始されたわけだ。<br> 僕の前に彼、横は朝比奈さん、彼のとなりに長門さんAが座った。<br> <br>