わかめ伝説喜緑さん
<p> 喜緑「失礼しま…あーっ、会長! また隠れてタバコ吸ってましたねっ!」<br> 会長「ななな、何の事かな? 私にはさっぱり」<br> 喜緑「ウソおっしゃい! こんなに部屋の空気が淀んでるじゃないですか!<br> まったくもう、聞きわけがないんだから!」</p> <br> <p> 会長(カーテンを開けて、何を…? げげぇーっ! こ、これは!?<br> 喜緑くんの髪が輝いて…部屋の空気があっという間に浄化されていく…?)<br> 喜緑「ふう、ようやくスッキリしました」<br> 会長「き、喜緑くん…キミはもしや、キン肉星の王位継承者…?」<br> 喜緑「なにバカなこと言ってるんですか、もう! そんなわけないでしょう!?<br> これはただの光合成ですっ!」</p> <hr> <p>会長「む、降ってきたか?」<br> 喜緑「きっとにわか雨ですよ。会長、あそこの軒先で雨宿りしていきましょう!」<br> 会長「(バシャバシャ)ふう、さすがに少し濡れてしまった…なっ!?」</p> <br> <p>喜緑「どうかしましたか?」<br> 会長「いいいいや、何でもないぞっ、うむ!<br> (き、喜緑くんのセーラー服が透けて、下着が…これはなんとも扇情的な。<br> ああしかし肝心な所が髪で隠れて見えない…)」<br> 喜緑「うふふ、ヘンな会長☆(ゴワゴワゴワ)」<br> 会長(いや、いかんいかん! こんな目で見ては喜緑くんに失礼だ…<br> って、髪増えてる? 増えてるーーーっ!?)<br></p> <hr> <p> 会長(それにしても、喜緑くんの髪は綺麗なウェーブが<br> 掛かっているな。<br> いや、美しい事は美しいんだが…まさか生徒会役員が<br> パーマを掛けている、などという事は…?)<br> 喜緑「あら、どうしたんですか、会長? わたしの髪を<br> まじまじと見つめたりして?」<br> 会長「ああ、つまらない疑問なんだが。一応念のために<br> 確認させてくれ。<br> 喜緑くん、キミの髪は天然(パーマ)だよな?」</p> <br> <p> 喜緑「当たり前じゃないですか! 天然ミネラルたっぷりですよ!」<br> 会長「(ミネラル?)い、いや、すまん。変な事を訊ねたりして<br> 悪かった」<br> 喜緑「まったく、言っていい事と悪い事がありますよ?<br> 養殖物なんかと一緒にしないでくださいっ!」<br> 会長「(養殖?)すまなかった。以後、気を付けるよ…」</p> <hr> <p> 喜緑「本当にいいんですか? このお寿司屋さんって結構お高いんじゃ…?」<br> 会長「フッ、そう畏まらないでくれたまえ。先日のお詫びだ。</p> <p> それにこの店、実はランチは割とリーズナブルでな。遠慮は無用だ」<br> 喜緑「じゃあ、お言葉に甘えてご馳走になっちゃいますね。うふふ」<br> 店員「へい、らっしゃい!」<br> 喜緑「それじゃ、わたしはこのマグロ丼を」<br> 会長「私はウニ丼を貰おうか」<br> 喜緑「う、ウニ!? ウニですって!?」</p> <br> <p>会長「どうかしたかね、喜緑くん?」<br> 喜緑「どうかしたか、じゃありません! 会長…わたしは会長を<br> 見損ないましたっ!」<br> 会長「な、何だというんだ、いったい?」<br> 喜緑「ウニ…それは海の悪魔…鋭い棘皮で周囲を威圧しながら<br> 海藻類を食い荒らす…。<br> あの乱暴者たちに圧し掛かられ! 好き放題になぶられ!<br> 無残に穴を空けられる海草たちの気持ちが、会長、<br> あなたには分からないんですかっ!?」</p> <br> <p> 会長「あー、いや…すまんがそこまで海の生態には詳しくないもので…」<br> 店員「へいっ、ウニ丼お待ちっ」<br> 喜緑「ひどい! ひどいです! うわああああん!(ばくばくっ)」<br> 会長「(でも食べるんだな…)って喜緑くん! それは私の注文した<br> ウニ丼だぞっ!?」<br> 喜緑「うわああああん!(ばくばくばくばくっ)」</p> <hr> <p>会長「どうしたんだ、喜緑くん。こんな所で一人で…<br> な、泣いているのか?」<br> 喜緑「あっ、会長…。いえ、これはその…。<br> もうすぐわたしたちの任期も満了するかと思ったら、<br> 少し感傷的な気持ちになってしまって…」</p> <br> <p> 会長「そうだな。この一年、いろんな事があった。厄介事も多かったが、<br> 振り返ってみれば皆いい思い出だ」<br> 喜緑「ええ。でもわたしが思いを馳せているのは、過去の事じゃ<br> ありません。未来の、あなたの事です――」<br> 会長「き、喜緑くん!?(ドキドキ)」</p> <br> <p> 喜緑「あなたが会長でなくなってしまったら、わたしはあなたを<br> どう呼称したらいいんでしょうか?」<br> 会長「って、俺の名前まだ憶えてなかったのかよ、おいっ!?」</p> <hr> <p>喜緑「ええまあ、特に興味とか無かったもので」<br> 会長「ひ、ひでえよ! うわああああん!」</p> <br> <p> 喜緑「もう、会長ったらこんな所で膝を抱え込んだりして。</p> <p> 本気で落ち込まないでくださいよ。あんなの冗談に決まってるじゃ</p> <p> ありませんか」<br> 会長「ひっく、ぐすっ、うう…」<br> 喜緑「仕方の無い人ですね。じゃあ、呼び方に困らなくなる方法を<br> 教えてさしあげます。<br> 会長が…わたしをお嫁に貰ってくれればいいんです。そうしたら<br> いつでも呼んであげますよ。あ・な・た、って」</p> <br> <p>会長「き、喜緑くん…。<br> よし、分かった! 私も男だ! キミを娶らせて貰うぞ!」<br> 喜緑「うふふ、ふつつか者ですがよろしくお願いしますね(///<br> あ、でも…」<br> 会長「んっ、どうかしたかね?」</p> <br> <p> 喜緑「名前が分からないんじゃ、婚姻届の出しようがないですね☆」<br> 会長「ひでえ、結局こんなオチかよ!? うわああああん!」</p>