「『観測日誌』」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
『観測日誌』」を以下のとおり復元します。
<p> 4月4日<br>
 平成○年度、県立北高入学式の日。<br>
 本日より私の観測が始まる。<br>
 …北高へ無事「進学」という形で潜入できた私に、この3年間<br>
の学業生活の間、本分である学業はともかく、として、課せられ<br>
た「使命」は大きい。<br>
 もちろん「観測対象者《達》」への接触・調査・尾行・親交を<br>
始めとして、私自身、そして私の帰属する《団体》への利益も<br>
追及しなければならない。<br>
 今日はその初日のことを記そうと思う。<br>
 長い、長い坂道を登っていく。最近の高校生のスカートの短さ<br>
には目を見張るものがあるが、ちょっと前を女子生徒が歩いて<br>
いたりすると目のやり場に困る。あからさまな行動は慎まなければ<br>
ならない。できるだけ、普通に、この坂道を登っていくことが課題<br>
なのかもしれない。入学式前から、3年間の課題が一つ増えて<br>
しまった。自らに課題を与えるのはヒーローの特質だ。<br>
安西先生も草葉の陰で喜ぶだろう。<br>
 <br>
入学式自体は、特に普通そのものであった。式の後のクラス分け<br>
で私の配属されたクラスは1年5組であった。この高校は、市内の4<br>
つの中学からの出身者でほとんど、占められている。もちろん、《所<br>
属団体》の後ろ盾があったとは言え、私の出身中学からも、何人<br>
かこの高校へ進学し、また、同時に5組にも何人か見知った顔が<br>
いる。しかし、見知った相手とは言え油断は禁物だ。どんな出来事<br>
が高校で待ち受けているかわからない。中学時代から数年、同じ<br>
学び舎で過ごした者であっても、高校に入りどんな変化が現れるか<br>
わからない。過去の情報を抹消するわけではないが、それに頼りす<br>
ぎていても、仕方がない。なぜなら、使命を果たさなければならない。<br>
 しかし、このクラス…、観測対象者、もしくはそう「なりうるもの」が<br>
大勢いる。これは私にとっても《団体》にとっても好都合だ。<br>
 自己紹介の折に、観測対象者の確認、また、新規で観測対<br>
象者となりうるものをピックアップしていく。朝倉、阪中、瀬能…、そ<br>
して重要観測対象者であろう、涼宮。<br>
 私の、3年間の内のまず【1年目】がこうして始まった。<br>
4月某日<br>
 5組での重要観測対象を2名、とここに記す。<br>
 一人は、涼宮。東中出身。当初からの重要観測対象者である。<br>
ここ数日の行動は大人しく、事前から知っていた彼女の様子とは<br>
異なるのが気にはなるが、様子を見ることにする。<br>
 もう一人は、朝倉。駅前の公園近くのマンションに住んでいるよう<br>
だが、出身校不明。更なる調査を続行する。性格は明るく、また、<br>
人当たりもよく、成績優秀な様子である。すでに我々クラスの中心<br>
人物となっている。カリスマ性も高い。涼宮の観測と同時にこの人<br>
物の観測を強化する。<br>
 観測対象者のピックアップもひとまず出来たので、観測資材を手<br>
に入れるために、電気街へと放課後赴く。デジカメ、DVDハンディカメ<br>
ラ、望遠レンズ等を購入。<br>
 <br>
4月某日(s-p)<br>
 涼宮に接触する男子が現れた。彼の名は…キョンと呼ばれている。<br>
彼と同じ出身中学の男子が彼をそう呼んでいる。酔狂な、あだ名<br>
だ。まったく相手にされていない様子。観測対象、涼宮には特に変<br>
動なし。自宅での様子を探るため、毎晩、定点観測を行い、同時<br>
に、静止画・動画での撮影を今後続けることにする。<br>
 また、朝倉がクラス委員になったことを付け加えておく。彼女は成<br>
績が優秀なだけではなく、運動神経もなかなかのものであることを体<br>
育の授業で確認。また、周囲への気配りも忘れない、まさに、優等<br>
生である。清楚な雰囲気もあることを付け加えておく。<br>
 <br>
4月某日(s-o)<br>
 涼宮が体育の授業の際、下着姿を男子に見せ付ける。<br>
 また、部活動の仮入部をあちらこちらで繰り広げているらしい。既<br>
知の情報と変わらないので、接触はせずに、そのまま観察にとどめ<br>
る。自宅への監視を続行。<br>
 <br>
5月某日(s-w)<br>
 ゴールデンウィークが明けた。5月とは思えないほど暑い。<br>
 この頃になると、私は「ごく普通に」坂道を登校することが出来る<br>
ようになった。無駄に人目を気にすることも、前かがみになることもな<br>
い。そうできるようになったのは友人(と、ここでは言っておこう)と、傍<br>
目からは見える存在を得たことである。高校生らしい風景だが、私<br>
に課せられた使命をw忘れるわけにはいかない。<br>
 <br>
5月某日(s-y)<br>
 観測対象、涼宮に変化が発生。髪を肩くらいまでに切りそろえ<br>
て登校。しかし、彼女の髪は願掛けだった、という未確認の情報も<br>
あるが…。慎重に調査を進める。<br>
 また、全学年への一通りの調査を終了した。<br>
 <br>
5月某日<br>
 《団体への報告書の写し》<br>
 重要観測対象者を以下に羅列する。留意されたし。<br>
 朝倉:観測レベルAAA(1年5組)自宅マンションを2日おきに<br>
監視中。<br>
 阪中:観測レベルABB(同)自宅住宅街付近を含め毎週日曜<br>
日に監視。<br>
 瀬脳:観測レベルABC(同)通学途中を中心に監視。<br>
 涼宮:観測レベルAAA(同)重要観測対象に付き、深夜2時ま<br>
での観測を継続中。<br>
 長門:観測レベルAAB(1年6組)朝倉と同じマンションなので2<br>
日おきに同じく監視中。<br>
 朝比奈:観測レベルAAA(2年)自宅不明。学校での様子を監<br>
視。<br>
 鶴屋:観測レベルAAB(2年)自宅のセキュリティーレベルが高い。よ<br>
って学校での様子を監視。<br>
 喜緑:観測レベルABB(2年)自宅不明。<br>
 中西:観測レベルABC以下の4人は学校でも私生活でもグルー<br>
プ行動をすることが多いので、同様に監視する。<br>
 財前:観測レベルABC<br>
 榎本:観測レベルABB<br>
 岡島:観測レベルABB<br>
 以上。識別コード「B」「C」対象者については別種郵送する。<br>
 <br>
5月某日(s-o,n-w)<br>
 重要観測対象:涼宮AAAと、キョンと呼ばれる男子が接近。新<br>
密度が上がっている模様。<br>
 自宅での涼宮AAAの様子が変わってきている。特に、どう、とは<br>
言えないが、一言で言うならば「楽しそう」である。<br>
 <br>
5月某日(s-w,n-w)<br>
 重要観測対象:涼宮AAAが授業中に、文字通り叫んでいた。<br>
観測対象に変化の兆しが見える。<br>
 尾行の監視作業に入るかは、慎重に見極めたい。<br>
 <br>
5月某日(s-b,n-w)<br>
 季節外れの転校生がやってくる。9組に編入されたようだ。男子<br>
生徒、古泉。8月末の報告書には追加しておこうと思う。<br>
 <br>
5月某日(s-y,n-w,a-b)<br>
 重要観測対象:涼宮AAA,謎の団体設立。別途、報告する。<br>
 また、朝倉AAAと長門AABの自宅マンション監視中、朝倉が長<br>
門の部屋を訪れていることも確認。どうやら交友がある模様。<br>
が、監視に気づかれているはずはないが、電気を消されてしまった。<br>
どういう意図か、趣味か、嗜好か、注意深く、観測を継続する。<br>
 <br>
5月某日(s-r,n-w,a-b)<br>
 入梅が前倒しになるんじゃないかと言うくらい暑いが、観測はそう<br>
も言っていられない。<br>
 重要観測対象:涼宮AAAは、暑さにまいっているのか、様子が<br>
大人しい。先週の様子とは違う。同じく重要観測対象の朝倉AA<br>
Aが気にしているが、無視している様子。<br>
 放課後、5組の教室で異常事態が起こっていた模様。と、いうの<br>
も扉が開かなかった。時刻は17時過ぎのこと。この後にあったこと<br>
は、別に報告したい。<br>
 <br>
 5月某日(s-g,n-w)<br>
 重要観測対象:朝倉AAA転校。<br>
 疑念が募る。もう少し事を早く積極的に行っておくべきだったか?<br>
と後悔するが、我が使命に振り返ることは許されない。彼女の居<br>
住地だったマンションへと赴くが、途中、重要観測対象:涼宮AA<br>
Aとキョン、観測対象:長門AABの姿を見つける。もしや。彼ら、彼<br>
女らも?と不審を覚えるが、今日はこれ以上の調査は出来ない<br>
、危険と判断、帰宅する。<br>
また、この夜、重要観測対象:涼宮AAAがベッドでうずくまって、泣<br>
いている様子。この頃、感情の起伏が激しいようだ。<br>
キョン、と呼ばれる男子の影響か?やがて、電気が消えたので観測<br>
終了。<br>
 <br>
5月某日(s-w,n-w)<br>
 重要観測対象:涼宮AAAの髪型が変わっていた。<br>
 が、昼過ぎには戻った。<br>
 <br>
6月某日(s-w,n-w)<br>
 重要観測対象:涼宮AAA。観測対象:長門AAB。観測対象<br>
者:朝比奈AAA。観測対象:鶴屋AAB。キョンなど揃い踏みでの<br>
野球大会。観測続行。<br>
 <br>
7月7日(s-y,n-w)<br>
 七夕。この使命が果たされるように、願いをかける。<br>
 窓辺で、星たちに願いをかけるため、両手を組んで祈る。<br>
 神よ、全知全能の神よ、我が使命、願いを受け入れんことを。<br>
 <br>
7月某日(s-bl,n-w)<br>
 期末テスト終了。この頃、先の野球大会での謎の団体、SOS<br>
団は毎日、文芸部室を根城として活動していることが周知の事<br>
実となっている。<br>
 観測対象:喜緑ABB,文芸部室SOS団に接触。<br>
 <br>
7月某日<br>
 夏休み突入。観測を夏休み中までは続けることが出来ない。<br>
 なぜなら、私には私で、海での、プールでの強化合宿があるためで<br>
ある。<br>
 つらい、合宿だが、楽しみを一つでも見つけ、いい夏休みを送りた<br>
い。<br>
 <br>
8月某日<br>
 最近、だるい。何故か、何回も夏休みを送っている気分になる。<br>
夏バテだろうか?<br>
 しかし、今日も今日とて合宿だ。張り切らなければ。<br>
 <br>
8月某日<br>
 合宿を自主休み。体調管理には気をつけたい。とはいえ、使命<br>
を忘れるわけにはいかない。プライベートでも観測機器は一通り持っ<br>
て出かける。<br>
 気が向いたので、夏祭りに来ると、浴衣姿の観測対象達を発<br>
見した。さっそく、木陰から観測する。<br>
 <br>
9月1日(s-g,n-w)<br>
 2学期のスタート。しばらく、観測を続けていなかった観測対象た<br>
ちの夏休み後の変化を探るため、危険だが今学期より、尾行、私<br>
物等のチェックをすることにする。<br>
 危険な行動とはわかっているが…、夏合宿で鍛えた私の力を試<br>
すチャンスだ。<br>
 <br>
9月某日(s-y,n-w)<br>
 夏合宿の成果なのか、尾行・私物チェックとも気づかれた様子が<br>
ない。私のスキルも上がったようなので、観測をもっと《見るだけでな<br>
く》、《声をかけたり》、《触れたり》、《もっと記録に残していったり》し<br>
ようと思う。<br>
 よくよく考えれば、短い高校生活の間に、使命を果たさねばなら<br>
ない。思い立ったら吉日。さっそく実行する。<br>
 <br>
9月某日(s-bl,n-w)<br>
 重要観測対象:涼宮AAAを尾行。SOS団たる謎活動が終わ<br>
ってからの彼女は、ただの美少女女子高生だ。途中、下着を買っ<br>
ていった現場を観測。その後一人でカラオケboxへと入っていった。<br>
流行のヒトカラか?隣の部屋で聞き耳を当てると、アニソンを熱唱して<br>
いた。中の人も大変だ。キョーダインなんかゆとりには通じないぞ。<br>
 <br>
9月某日(s-o,n-w)<br>
 観測対象:朝比奈AAAと同じく鶴屋AABを放課後、尾行。学<br>
校でもそうだがプライベートでも仲がいいこの二人は、数メートルごと<br>
に男から声をかけられている。<br>
 <br>
9月某日(s-???n-w)<br>
 観測対象:長門AABを尾行。しかし、途中で見失う。<br>
 <br>
9月某日(s-???n-w)<br>
 観測対象:喜緑ABBを尾行。しかし、途中で見失う。</p>
<p>10月某日(s-w,n-w)<br>
 観測対象:中西ABC、財前ABC、榎本ABB、岡島ABBの4<br>
人が文化祭でのステージ発表をするとの情報。観測しなければ。<br>
 <br>
10月某日(s-bl,n-w)<br>
 我がクラスの文化祭出し物がアンケート発表に決定。つまらない、と正直思う。<br>
 <br>
10月某日(s-y,n-w,am-w)<br>
 重要観測対象:涼宮AAAが率いる謎団体SOS団が映画撮<br>
影をしている模様。観測対象が3人もいる団体だ。隠し撮りをしつ<br>
つ、観測を続ける。特に朝比奈AAAの衣装が素晴らしい。<br>
 <br>
11月某日(s-bl更衣室確認n-w)<br>
 文化祭。合宿の成果を見せ付ける。周囲の反応、特にキョンの<br>
反応が面白かった。うさぎちゃんカワイス。<br>
 <br>
11月某日(s-???n-w)<br>
 観測対象:長門AABの様子が違うようだ、とキョンからの情報。<br>
聞くところによれば、SOS団はコンピ研とのゲーム対決の練習中な<br>
のだが、長門の様子が、楽しそうだ、ということだ。<br>
 これは、いい観測チャンス、と思い、今日から観測対象:長門AA<br>
Bの尾行を続ける。<br>
 <br>
11月某日(s-???n-w)<br>
 観測対象:長門AAB、帰り際にコンビニでお菓子を買う。カール<br>
チーズ味とポテロング、きなこもちチロルチョコ、だった。カールはカレー味だ<br>
と思う。チロルチョコのチョイスは素晴らしい。<br>
 <br>
11月某日(s-???n-w)<br>
 観測対象:長門AAB、今日も帰り際にお菓子を買う。やっぱり<br>
ポテロング、きなこもちチロルだった。<br>
 <br>
11月某日(s-???n-w)<br>
 SOS団、ゲーム勝負にて圧勝、との話。キョンから下駄箱で聞い<br>
た。観測対象:長門AABの尾行を継続。何故かスキップで帰る<br>
観測対象をデジカメに収める。もちろん動画にも。今日もお菓子を<br>
買っていった。ポテロング5箱、きなこもちチロル箱買い。<br>
 <br>
11月某日(s-???n-w)<br>
 観測対象:長門AABの自宅マンションでの様子がおかしいので、<br>
記す。彼女は自宅に帰っても、読書ばかりしているのだが、最近は<br>
ぼーっとしている回数が多くなってきた。先日のゲーム対決以来、ど<br>
んどんおかしくなってきている気がする。<br>
 <br>
11月某日(s-bl,n-w)<br>
 私事で恐縮だが…、これも合宿で得た一つの能力とその結晶と<br>
して報告する。<br>
 坂の下のお嬢様高校「光陽園」の1女子生徒とのアプローチに成<br>
功した。クリスマスは使命、プライベート共に大いに盛り上がりたい。<br>
 <br>
12月某日(s-g,n-w)<br>
 カーディガンを朝は着ていたはずの観測対象:長門AABが、カーデ<br>
ィガンを着ずに帰宅している。忘れたのだろうか?<br>
 重要なアイテムと判断し、入手すべく学校へ侵入するも文芸部室<br>
には鍵がかかっていた。<br>
 <br>
12月17日(s-?,n-?,a-b)<br>
 信じられない…としか言いようがない。まさに奇跡だ。一足早い、ク<br>
リスマスプレゼントなのだろうか?<br>
 重要観測対象:■■■■■が■■の部屋にいた。なぜ?かは、<br>
わからないが、こんなにうれしいことはない。早速■■■号室の監視<br>
に入る。<br>
 <br>
12月18日(s-y,n-w)<br>
どうにもおかしい。風邪をひいたわけでもないのに、鞄にマスクが入っ<br>
ていたり、昨日の報告書にもわけのわからないことを書いている。<br>
 使命、プライベート共に安定しているので、浮かれているのだろう<br>
か?でも…何か大事なことをwa忘れているような気もする。<br>
 505号室はやはり無人だった。どうかしてしまったようだ。<br>
 キョンが階段から落ちたことを付け加えておく。<br>
 <br>
12月19日<br>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<br>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<br>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<br>
・・・・・。(修正コードを確認。修正箇所を暫定的に■へ置<br>
換。)<br>
///////////////////////////////////////////////<br>
 <br>
「………。」<br>
 「なっっっっっっ…!!!!」<br>
 「ふ…ぇ…」<br>
 今、私の目の前には、3人の観測対象者がいる。そして、彼女た<br>
ちが見ているのは、私の数ヶ月間に渡る「観察日誌」だ。<br>
 私の状況といえば、ぐるぐる巻きにされて地面に転がっている。し<br>
かもチェーンでだ。こんなチェーン、貨物の積み下ろしデッキにしかないよう<br>
なものだが、観測対象者の一人である長門有希は、私の首根っ<br>
こを左手に、チェーンを右手にここまでやってきた。<br>
 そして、ここは、なぜか港である。<br>
 「ま、まてよ…、ほら♪冗談だって、じょうだ…」<br>
ドンっ!!寝転がっている俺の側頭部を涼宮の足が貫いた。<br>
 「おう!危ねーじゃねーか!ってパンツ見えるぞ、涼宮」<br>
こんなアングルこそ絶好の観測、ではないか!!<br>
 「見えたって構わないわよ…。あんた…ここで死ぬんだから」<br>
 あぁ、そうなんですか…って、おい!!sisisisi死んじゃうの俺!?<br>
長門と朝比奈を見やる。長門は、キョンの言っていた「凍り」の目<br>
線で、いつもは天使のようだと、これもキョンの言っていた朝比奈は、<br>
目に涙を溜めながらも「悪魔」のような様子である。うむ、俺、冷静☆。<br>
 「でもねぇ…あっさり死んじゃっても、あたし達、つまんないし。まず<br>
は、全部ゲロッてもらいましょうか!?」<br>
 涼宮は、靴の底で俺の顔をにじり踏んだ。パ、パンツ…。<br>
 <br>
「どっからいきましょうね…?まず、日付の横にある記号はなに<br>
っ!?」<br>
 視界が涼宮の靴によって遮られているので、どっちかはわからない<br>
が、腹を思いっきり蹴られた。うーん、この靴のサイズなら、朝比奈<br>
か。<br>
しかし、痛みは大きい。誰だ?天使から悪魔に豹変させたやつ<br>
は!?<br>
 「早く言えっ!!!」<br>
 蹴られた痛みの上に、顔面を踏みつけている涼宮の全体重が俺<br>
の顔に押しかかる。<br>
 「う…、う…、し、した…ぎ」<br>
 「はぁっ!?!?」<br>
 喋りにくいことを察したのか、涼宮の靴底が俺の顔の上からどい<br>
た。<br>
 「だぁかぁらぁ、下着の色だよ、いぃろ!wが白、yが黄色、Oがオレ<br>
ンジ、bは黒、blが青、rが赤。みりゃわかんだろ?ちなみにSっての<br>
は涼宮、nってのが長門aってのが朝倉、朝比奈さんはamだ。だ<br>
ってみくる、だろ?」<br>
 「気安くよぶんじゃねーよ!」<br>
 朝比奈が俺の横腹を蹴飛ばした。やっぱりさっきの痛みは朝比<br>
奈のものだったか。痛みが、ほら♪一緒だ♪<br>
 「この記号は…なに?」<br>
 長門が聞いてきた。俺は得意げになって答える。<br>
 「あーそれはな、ランクだよ。朝倉はAAAだから《AAプラス》長門は<br>
AABだから《Aマイナー》だな。お前は顔はかわいいんだけどな、胸が、<br>
な。あと下着が白ばっかりってのも、うぅうぐぅおぉっっ!」<br>
 <br>
聞かれたから答えている、のにもかかわらず、話の途中で長門は<br>
俺の脚を蹴り始めた。雪のように白く細い足から繰り出されるキッ<br>
クは美しい。蹴られながら、その美脚をうっとり眺める。美しい…。<br>
 俺がうっとりしているのがわかったのか、長門は俺の視線に気づく<br>
と「ちっ、カスが。」と言って止めてしまった。おしい。非常におしい。<br>
 「ってことは、あんた!なに!?あたしたちのことずーと見てたわ<br>
け!?」<br>
 「見てた、だけじゃないぜっっ!!!」<br>
 両腕が塞がってなければGJポーズをしたいところだ。<br>
 「見る、だけじゃ、俺の使命は達成できないからな。もちろん撮影も<br>
録画もしたぜっ☆ちゃんとCDRにもDVDRにもwawawa忘れずに焼<br>
いたからなっ☆!」<br>
 3人は何故か、唖然、とした様子だ。俺は主張を続ける。<br>
 「だいたいなぁ涼宮、お前カラオケ行ってもアニソンばっかりじゃ<br>
ねーか。いくらよう京○ア○の狙いとはいえ、あれじゃー飽きられるぜ。<br>
それに、お前あの枕もとの写真?キョンぅうぐへぇおえっ!!」<br>
 涼宮の蹴りが俺の頬を射抜いた。しかし、めげない俺!<br>
 <br>
  「長門もさぁ…お前部屋にカーテンつけたほうがいいぜ。あれじゃ、<br>
風呂上りもたまんねーうびゃぼびょうぅおう!!」<br>
 長門の膝が俺の腹に落ちた。ブライアント兄弟並の追い討ち攻撃<br>
だ。しかし!逃げちゃだめだ!逃げちゃだめだ!<br>
 「でも、なにが残念かって朝比奈さんの自宅がわからなかったこと<br>
だぜ!朝比奈さんなら隙だらけだからきっといい画が手に入っただろ<br>
うに。俺、残念。でも、朝比奈さん、いっつも角まがったところで消え<br>
ちゃってうびょぉぼぅろぇっ!!」<br>
 「禁則事項ぉぉぉぉぉっ!」と叫びながら朝比奈が俺の顔を2度3<br>
度踏みつける。……いい♪<br>
 「で、あんたの《使命》ってなに?所属団体って!?」<br>
 3人が声を揃えて詰め寄る。俺の使命っ!それは!<br>
 「俺の使命は、かわいい女子の一部始終を永遠の記録として撮<br>
影することだっ!!そして所属団体の名はSOS団!<br>
Sugeeeeeeee<br>
Otokoga<br>
Satueisuru<br>
団!!」<br>
「…なにそれ」<br>
それが、3人の声を聞いた最後だった。<br>
 <br>
12月24日<br>
 クラスのみんなの「久しぶり」「大丈夫だった?」との声に迎え入れ<br>
られて、俺は久しぶりの5組へ入った。<br>
 久しぶり、と言っても、「改変世界」じゃ会ってるし、「大丈夫?」と<br>
言われても、本当に大丈夫なのは世界のほうか?と疑いたくもな<br>
る。<br>
まったく、やれやれだ。<br>
 いつものように軽薄に声をかけてくるクラスメート1名の姿が見えない<br>
が…「改変世界」で風邪をひいていただけに、こっちでもひいたか?<br>
などと考えながら、後ろの席に声をかけた。<br>
 「なぁハルヒ?」<br>
 「ん?」<br>
 そっけない返事もいつものこいつだ。安心する。<br>
 「谷口、今日休みか?」<br>
 ハルヒは外を見たまま答えなかったが、しばらくすると呟くようにこう<br>
いった。<br>
 「今、有希が再構…、しらないわ」<br>
 ?わけがわからん。<br>
 国木田が、近寄ってきたので同じ事を聞いてみる。<br>
 「あぁ彼ね。団体のほうにも連絡ないし。どうしたんだろうね」<br>
 ??ますますわからん。そっか、とだけ答え、ハルヒと同じく外を見<br>
てみる。<br>
 ガラスに反射するハルヒの視線が何故か国木田を追っていた。<br>
 <br>
----終わり-----<br>
 <br>
あとがき兼いいわけ<br>
7/23の2つ目の投下になります。粘着?<br>
前々作「ワードオブライツ」<br>
<a href=
"http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2896.html">http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2896.html</a><br>
前作「Hirundo rustica」<br>
<a href=
"http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2912.html">http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2912.html</a><br>
がプリンスレ投下でしたので、内容的に心配でした。のでアナルに<br>
投下したんですが、住人皆様暖かく迎えていただきthxです!<br>
また、文の一部に「輪舞の人」様のSSの影響もあります。<br>
勝手ですが、この場を借りてお礼申し上げます。<br>
相変わらず、つたない文とありきたりな表現ですが、読んでいただいた皆様には<br>
お礼しかもうしあげることができません。本当にありがとうございます。<br>
最後部で原作とは違う点もありますけど2次創作物なので、ごめんなさいです。<br>
まとめサイト管理人様、協力者様お疲れ様です。<br>
VIPPERの皆様、お付き合いいただきありがとうございます!<br>
毎日暑い日が続きますが、みなさん健康にはきをつけるのよっ!///<br>
【ヨーロピアンパフェ2007/7/23】</p>

復元してよろしいですか?