セーラー服とメイドさん
<div class="mes"> <p>ここか……と俺がケーキを持って訪れたのが以前入院したことのある病院、そう機関が関係するというあそこだ。</p> <p> </p> <p>GW休みを田舎で満喫中であった俺のところへ連絡があり古泉が足を折り入院したというのだ。<br /> 突然の事故であのにやけ顔が苦痛にゆがんだかと思うと日ごろの思惑は別として人としてお見舞いには行かねばならないだろう。<br /> というかハルヒが電話口で直ぐに来いなどと口やかましかったからではない。<br /><br /> 「あらひさしぶりね、古泉君ならこの奥よ。そうそう彼女も来てるわよ、待ち合わせ？ 相変わらず仲がいいのね」<br /> などというの顔見知りの看護婦の妄言を聞き流し俺は病室へと向かった。<br /><br /> 「遅いわよ、キョン！」<br /> 一週間ぶり相変わらずの声でハルヒが俺を出迎える、例によって俺が一番最後らしい。<br /> 「キョン君、おひさしぶりです。元気でした？」<br /> 「……」<br /> ベットに伏せる古泉を中心にSOS団の誇る三人娘が勢ぞろい、ちょっとだけ古泉がうらやましい。<br /> あぁ……古泉これお見舞い、と俺は買ってきたケーキを渡す。<br /> 「わざわざどうもすいません」<br /> 「キョンにしちゃ気が利いてるわね、おなかも空いてるしみんなで食べましょう」<br /> おいハルヒそれは古泉にだな……。<br /> 「まぁまぁ、こういうものは大勢頂いた方がよろしいかと……」<br /> 怪我で入院中だというのイエスマンとにやけ面は健在なようだ。<br /> 「大体こういうケーキは日持ちしないんだから直ぐに食べないといたんじゃうのよ、普通はお見舞いにこういうのはＮＧなんだから…ホントにキョンは気がきかないわね……あっ、みくるちゃんお茶用意して頂戴」<br /> 俺は気が利くのか利かないのかどっちなんだよ……。<br /><br /> 「……すいませんが肩を貸して欲しいのですが」<br /> あぁ？ 俺はいぶかしげに問いかける。<br /> 「トイレですよ、トイレ……流石に涼宮さんたち女性の方々にはお願いできませんしね」<br /> 別に俺じゃなくて看護師さんでもいいはずだが……、まぁ女性の看護師さんだと色々気後れするのかも知れん。<br /> と考えかけたところに古泉が意味ありげに目配せをする、トイレというのは口実でどうやら話があるらしい。<br /> どうせハルヒがらみなんだろうと思いながらハルヒ達に断りをいれて俺たちはトイレへと向かった。</p> </div> <p> </p> <div class="header"> <p> </p> <p>トイレ内に他に誰もいないことを確認し俺は古泉に話しかける。<br /> しかし災難だな、折角のGWだってのに怪我とは……そういや階段から落ちたとかきいたが本当なのか？<br /> 「えぇ実は久しぶりに例の閉鎖空間が発生しまして……そこでの負傷、いわば名誉の負傷ですね」<br /> ほう閉鎖空間ねぇ、しばらくぶりだな。ここ最近はないって話だったよな。<br /> 「まぁ休み前にあんなことがあったのでこのところ毎日でしてね…」<br /> 憂いを顔に含ませながら古泉が話を続ける、心なしかにやけ顔も若干曇りがちだ。<br /> へぇ休み前？ なにかあったけ？<br /> 「なにかじゃないでしょう、涼宮さんが我々SOS団のGWの予定を発表されたときのことですよ」<br /> あぁアレな、不思議探索とかみんなで動物園とか水族館とか毎日団活で埋まってたやつね。<br /> 「えぇそれですよ、その時あなたが……」<br /> そうそうGWは田舎にいかなきゃって俺が断ったら、全員参加じゃないなら中止ってハルヒがいったんだよな。<br /> やけに不機嫌だったが。GWの団活ができなかったのがそれほど悔しいのかアイツは？<br /> 「いやそうじゃなくてですね、GWを一緒に過ごせないというのがですね……」<br /> だってしょうがないだろ、おれんちはGW毎年そうなんだしな。<br /> 「……あなたは……えぇ…そういう方でしたよね………、まぁ今日はこれで不満も解消されたと思いますので閉鎖空間も発生しないでしょう、感謝します」<br /> まぁ確かに俺を怒鳴り倒してハルヒはストレス解消ってか、お前たちには悪いが無意味に怒鳴られる俺としちゃ困りものだな。<br /> 「……ひょっとわざとやってませんか？」<br /> えっ何が？<br /> 「………それですぐに退院はできるのですが完治するにはしばらくかかりそうで僕の行動もかなり制約されます」<br /> おいなんだか思わせぶりだな。しかしまぁ、怪我は足だし通学とかも不便そうだ。<br /> 「えぇそこで体制強化ということで上層部の指示でバックアップの支援要員が北高に増員されます」<br /> ふーん増員ねぇ……って俺はお前ら機関の動向なんか知りたくもないんだがな。<br /> こいつらの都合を聞かされているうちにいつの間にか機関に取り込まれていたりしてはかなわない。<br /> 古泉個人はともかく組織としての機関は今ひとつ信用できん。<br /> 「それはそうかも知れませんが…、増員の件はかくしておいてもあなたにすぐにばれてしまうことですので事前にお知らせしておいたほうが良いと思いましてね」<br /> まぁ確かにすぐにばれるような話であれば事前に教えておいて貰った方がいいといえばいいか。 <br /> それですぐにばれるって……ひょっとして俺達の知ってる人か？<br /> 「えぇ支援要員はあなたもご存知の者、……森です」<br /> あぁ、あのメイドさん？ 俺は年齢不詳のメイドさんの姿を思い浮かべた。<br /> 例の無人島の事件やらなにやら俺だけでなくハルヒたちとも面識があるんだよな。<br /> 「そうです、ですがすでにメイド枠は埋まっていますので……」<br /> メイド枠……ってなんだそりゃ朝比奈さんのことかよ、するとまぁ教師か職員ってあたりか？<br /> 「おそらく……、僕も詳しくはしりませんが……休み明けに北高に現れることになってます。おっとそろそろ戻らないと」<br /> あぁ、そうだな。スーツをビシッと決めた女教師ルックのメイドさんの姿を妄想しつつ俺たちは病室へと戻った。<br /><br /> そしてGW明け俺たちは森さんに出会った…身分を隠すため森さん本人ではなく森さんの妹という設定らしいが……。<br /><br /> 「みんな、はじめまして転校生の森苑子です、わたしのことそのそのって呼んでください」<br /><br /> ……森さん……それ…なんてコスプレＡＶですか………orz。<br /><br /> －つづく、といいな</p> </div>
