「情報統合思念体の焦燥」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
情報統合思念体の焦燥」を以下のとおり復元します。
春。
もうあれから1年がたったと思うと時が過ぎるのは早いと実感するね。
進級を控えた春休み。
普通なら家でゴロゴロしているはずなのだが…
なぜ、俺はこんなハイキングコースを歩いてしまうんだろう。
習慣というものは恐ろしいね。
などと考えているといつの間にか文芸部部室の前に立っていた

「なにボーッとつったてるの?早く入りなさいよ!」

ハルヒは、いつも通りに元気だった。こいつに憂鬱とかいうものはないのだろうか
しょうがないのでっさっさと部室に入ると

「あ、キョン君に涼宮さん。おはようございます」
「おはようございます」

朝比奈さんと古泉がいた。…長門は?

「わかりません」

長門が休み…俺の頭の中に不安で支配された。
長門が休む時は決まって、悪いことが起きることが規定事項なのである

「どうしたのかしら。めずらしい」
「長門さんも、風邪ぐらいひくのではないですかね?」
「うーん。心配だわ。お見舞いに行きましょう!」

古泉がしまったという顔を浮かべた。顔はニヤケたままだが。
そりゃそうだ。長門が休む時は絶対なにかあるしな。
古泉がひそかにあそっている。
少しフォローでも入れておこう

「ま、まあ長門だって、お見舞いに行ってくれるのは嬉しいと
思うが、なるべく動きたくないときもあるんじゃないか?」
「何言ってるの!皆がいた方が元気をだすに決まってるじゃない!
そんな薄情だからキョンはもてないのよ」
「いや、俺がもてるかどうかはこの際関係ないだろう」

これでもそれは気にしているつもりなのだ。触れないでほしい。

すると。

ガチャ

長門が入ってきた
その液体ヘリウムの様な眼をみると安心するのも、習慣なのかもしれない。

「…寝坊した」

…めずらしい。

「なんだ…。心配したじゃないのよ!」
「…心配かけた。謝る」
「いいのよ、別に。元気ならそれでいいのよ!」

本当に団員思いな団長様でいいんだが…
俺にもそのぐらい優しさをもって接してくれよな
などと心で訴えていると、古泉がとんでもないものを出した

「で、今日はこれでどうでしょう?」

…おい、古泉
なんだその無駄にでかい将棋盤もどきは

「もどきでは、ありませんよ。立派な将棋盤です。
これは大局将棋といいましてね。最も多い駒数と最もでかい盤面を持つ…」

これ以降は無駄な知識らしいと判断した脳が活動を停止した
5分ぐらいたってやっと説明は終わったらしい

「でやります?」

そんなんやるか!というつもりだったのだが

「古泉君!それすごいわね!私がやるわ!キョンはどいて」
「俺の座る椅子はどこなんだよ」
「しょうがないわね。団長席に座らせてあげるわ。光栄に思いなさい。
別に団長の座を譲るつもりはないわ!」

天地がひっくりかえっても、俺はSOS団団長などにはなりたくないが…

こうして、今日の活動が始まったのだが、俺はこれから、巻き込まれること
を知る由もなかった。








俺はヒマなので、仕方なくネットをしていた。
これも慣れなのか…
俺は、将棋やらチェスやらをやっていた。
古泉と違って、非常に張り合いがあるな。
一方、大局将棋は終盤を迎えていた。
ハルヒの圧勝だろうと考えていたが、そうでもなく
互角の戦いらしい。
最後には、ハルヒが勝ったらしい。
今、思ったんだが、現実で強い人はボードゲームに弱いのではないか?
ハルヒは頭もよし、運動神経よし、容姿もよし、ボードゲームは古泉と同レベ
長門もハルヒのパワーアップバージョンだがボードゲームは毎回古泉に負けている
古泉はハルヒの男バージョンみたいだが、まあ、説明するまでもないな。
では朝比奈さんはどうなんだろうか?
試してみよう。

「ちょっと、朝比奈さん」
「は~い。なんですかぁ?」

ああ、何度聞いてもいやされるな…じゃないな

「ちょっと、このゲームやってくれます?」
「あ!将棋ですね!私、これ好きなんですよ。小学校のころ、超昔の遊びクラブでよく…」

ふぅん、小学校は続いてるのか。これって、禁則事項じゃないのか?
ま、違うんだろうな
にしても、『超』はいらないよな

ま、結果は言うまでもないであろう。
一番難しいレベルを10戦10勝だ。
どうやら、容姿は関係ないらしい。
ドジッ子ぶりがそれらを超越しているだけかもしれないが。

「おもしろいですね。やっぱり」

古泉とやらせたら…ま、古泉がかわいそうだしやめておこう。
古泉が駒をかたしていると

「今日は、ここまで!解散!!」

と、いい鼻歌を歌いながら帰って行った。よほど、おもしろかったのだろう。

「古泉、よかったな、弱者仲間がいて」
「いえいえ、涼宮さんのご機嫌を取るためですよ」

などと、言い始めた。すると

「…ウソ。あなたは実力で負けた」
「長門さん…あなたにいわれたくはないですね」
「失敗は成功の元。今までの経験はこれからに生かされる」
「何回。それをいっているんですかね」
「ふたりとも・・・。ケンカはだめですよぅ」

長門と古泉の間に火花が散っているようにみえてきた。
朝比奈さんはオドオドしている。
二人ともそこまで、ボードゲームがすきなのか

「まあまあ。長門も古泉も落ち着け。こんなので熱くなってちゃだめだろう」
「そうでしたね。こんなことで言い争うなんて、どうかしてました」
「…謝る」
「落ち着けばいいんだ」

すぐ冷静になってくれるから助かるな。
すると、ここでとんでもないことを長門が言い始めた

「すっかり、忘れていた」
「なにをだ?」
「情報統合思念体内で変革が起きた」
「……………」

いや、落ち着け俺。変革と言っても大したことじゃないだろう。

「急進派が主権を握った」
「なに!?」
「本当ですか!?」
「ふええええぇぇぇ」

三者三様の反応を見せた。とか、どうでもいいぞこのさい。

「恐らく、地球上の急進派以外のインターフェースは消滅する」
「それって、いつなんだ?」
「…明日の0時」

って、32時間ぐらいしかないじゃないか!

「どうすればいい?」
「どうしようもない」
「機関や未来人組織の介入は不可。変えられるのは天蓋領域…ぐらい」

…ものすごい危機的状況のような気がする
そして、長門から重要な語句を聞いた気がする
そうか

「ぐらいってどういうことだ。そんな曖昧ってことはあるんだな」
「あることにはあるが…オススメはしない」
「言ってみてくれ」
「一つは、思念体内のクーデターや無派閥に期待する」
「無派閥ってなんだ?」
「ここは、僕が。思念体内にも色々派閥があるのは知ってますよね?」
「知っているが」
「主流派や急進派などが2つの大きな派閥なのですが、派閥に所属していない情報も
あるのですよ」
「仲間はずれか」
「そういう人もいれば、主権の奪いあいみたいなのが嫌いなのが無派閥ですね」
「で長門。もう一つは」
「あなたも分かっているはず」
「…ハルヒか?」
「そう」
「ジョン・スミスをいうのか?」
「そうでなくても、できるかもしれない」
「なるほど。では、思念体に頼るよりそちらの方が可能性は高いというわけですね?」
「そう。ただし危険は後者の方が高い」

確かにそうかもしれない。
でも、長門がいない世界ではなくても同じだ。
ハルヒもそう思うはずだ。
SOS団は一人もかけてはいけない。

「そうです。彼の言うとおりです。今回は機関ではなく、SOS団の副団長として協力させてもらいます」
「そうですよぉ。長門さんはSOS団の一員です!」
「と、言うわけだ。長門」
「…ありがとう」

こうして、一大危機を乗り越える策を考え始めた。

復元してよろしいですか?