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chapter3 - (2008/05/12 (月) 18:15:29) の編集履歴(バックアップ)



しばらく互いに唖然としていたが、ふと思いついた。
「もしかして、異時間同位体か?」
しかし、もう一人の俺は未だに唖然とした様子で、
「…いじかんどういたい?なんだ…そりゃ。」
とだけ答えた。どうやら違うらしい。となると…、

だっだっだっだっだっだっだ

まずい。ドア開けっ放しだった。妹が上の様子がおかしいから
見に来たんだ。ええい、止むをえん!
「すまん。」
「ちょ、なっ…。」

ガラガラガラ

ガシャ

「キョン君。何か一人事言ってたみたいだったけど、どうしたの?」
「いや、大した事じゃない。明日の化学の小テストの暗記をしてたけだ。」
「ふ~ん。でもドアを開けっ放しでしないほうがいいと思うよ。」
「ああ、今度から気をつける。」
「勉強がんばってね。」

バタン

だっだっだっだっだっだっだ

「ふー。もういいぞ。」
俺は窓の外に放り出したやつにそう言った。
「いったい、何なんだ?」
「正直なところ俺にもよくはわからんが、それでも一応説明
したほうがいいか?」
「頼む。」
もう一人の俺はしかめっ面でそう答えた。俺ってこんな顔するんだな。
「わかったから、そんな面すんな。だだここじゃあ少し都合が悪い、
いったん外に出よう。お前が先に外に出てくれ。俺は窓から隣の
家の壁を伝って外に出る。」
「わかったよ。靴は俺がもって出ればいいんだな。」
「ああ、頼む。」

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「で、何処に行くんだ?」
「そうだな、とりあえず人のいないところだ。知り合いに見られるとまずいし。
光陽園駅前公園とかどうだ。この時間なら人いないだろ。」
「わかったよ。それじゃあまた後でな。」
俺はもう一人の俺を見送りつつ、自分もまた別のルートで
光陽園駅前公園を目指した。

やっと、自分のおかれた状況だけは理解できた。
どうやら俺は異世界に来たらしい。
今まで得た情報ともう一人の俺の様子から言ってほぼ間違いないあろう。
時空平面の改変では同じ人間は二人生じないからな。
道理でチャリが無い訳だ。もう一人の俺が乗って帰ってたんだからな。
後はこの状況の打開策だが、さてどうしたものか…。
もうひ…面倒だ、俺(異)に状況を説明しても信じてもらえんかもしれんし、
信じてくれても多分俺同様ごく普通な高校生であんまり役に立たん気がする。
でも一人で悩むよりはましだよな、多分。

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「よっ。待たせたな。」
「ああ。それより説明を早く頼む。お前は何もんだ?」
そう急かすな、お前はハルヒか。
「いいか、今から俺の言うことは信じられん事だが事実だ。」
「いいから早く言え!」
ちょっ、何かキャラが違うぞ俺(異)。
「俺は異世界人だ。」
「……」
俺(異)はまたもや唖然とした表情となった。
確かにハルヒの言うとうり間抜け面だな、悔しいが。
「マジか!?」
っ、いきなり大きな声な出すな。本当にあいつみたいだな俺(異)。
「マジだ。」
「へー。異世界人か。異世界の俺もやっぱ普通なんだな。」
うるさい。しかし、信じんの早っ。
「疑わないのか?」
「ああ。お前俺そっくりだし、制服も同じ北校のやつだ。こんな偶然早々無いだろ。」
それに、そのほうが面白そうだ。」
面白いって…。どうやら俺(異)はハルヒと同レベルらしい
「正直言ってさ。今のありふれた生活に退屈してたんだ、俺。」
まあ確かに、俺だってハルヒに出会なければ少なからありふれた日常に退屈を
感じていたかもしれんが…。まさか、こんな俺が異世界に存在していたとは。
俺を非日常に巻き込んでくれたハルヒに感謝すべきだな、こりゃ。
「聞かせてくれよ、お前はどんな人生を歩んできたのか。異世界に来れる
くらいだから、俺なんかよりよっぽど楽しい人生送ってるんだろ。」
俺(異)は昔話を親にせがむ子供みたいな顔で俺を見ている。
「わかった、わかった。話してやるから、そんな昔話を親にせがむ子供みたいな
顔で俺を見るな。」
「そんな顔になってたか。悪い悪い。」
やれやれ。
「人生と言っても、俺が非日常な体験をし始めたのは北校に入ってからのことで―」

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「―と言ったところだ。」
あんまりのんびりしている場合でもないのだが、俺(異)が余りにも興味深そうに
聞くもんでついつい調子に乗りつつ、ハルヒの例の自己紹介を皮切りに、
宇宙人、未来人、超能力者のことやSOS団の活動等など、俺が今まで
体験してきたことをほぼ全てをダイジェストで語っていた。
「まるでマンガやアニメの話みたいだな。」
かなり長い間話していたにもかかわらず俺(異)は最初の状態から変わることも無く
興味深そうに俺の話を聞いてからそう言った。
この集中力が普段からあれば俺もこいつも、もっと成績が上がるんだろうね。
「『事実は小説よりも奇なり』ってやつだ。」
「でも楽しそうだ。」
「誰かさんのおかげでね。」
「ところでお前はなんでこの世界に来たんだ?」
「さあな。俺もそれが知りたい。気付いたらこっちの世界に来てたんだ。」
俺は肩をすくめた。おっと、これは古泉の専売特許か。
「なるほどね。」
俺(異)は何か考えているようである。俺にわからんものを俺(異)に
わかるのだろうか。頭の出来は変わらんだろうが、経験の面では
俺のほうが圧倒的に上だが。
「お前がこっちに来た理由だが、ひとつ思い当たるところがある。」
「本当か。」
「ああ。かなりベタだがこんなのはどうだ。―」

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俺(異)が提案したそれはとびきりベタなしろものだった。
しかし、それなら府に落ちなくも無い。
これで今回の事件に関するカードはそろったのか…!?

そのとき公園に俺の携帯の着信音がこだました。

着信 涼宮ハルヒ


to be continued