「その技の名は」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

その技の名は - (2008/07/01 (火) 10:12:55) の編集履歴(バックアップ)





……パチン

「む、そこか…」

…パチン

「ふむ…」

………パチン

「んー…長考していいか?」
「どうぞ」

静かですね…

こんにちは、古泉一樹です。
あぁ、名乗ることのできる素晴らしさ。
今日もまたいつのように彼とゲームで勝負をしてるのですが、
珍しく女性陣の方は1人も着ていないようです。

…そこ、期待するような目で見ないでください。

しかし、彼が長考するのも珍しいです。
久しぶりに勝つことができるかもしれません。

パチン

「よし、これで王手飛車取りだ。」

…少し浅はかだったようですね。
しかし僕にはコツコツと積み立ててきた戦略があるのです。
この飛車を動かして…

パチン

「これは…」
「詰みですよ。あなたがどの駒をどこに動かそうと、『次の僕の番』に勝利が確定するわけです」

どうやら森さんの特訓が功を成したようです。
間違った手を打つとすぐ叩くんだからあの人は…

「降参ですか?」
「…あほか」

パチン

…僕の王が取られてしまいました。
どこで間違ったんでしょうか…
…今日も森さんのお仕置きフルコースのようですね。

「少しは将棋の打ち方を勉強したらどうだ?」
「毎日のように特訓しているのですが」
「今回はそれ以前の問題かと思うが。 もう一回打つか?」
「えぇ、望むところです」

せめて一勝でもすれば森さんも許してくれるでしょうか。

「しっかし蒸し暑いな…雨も降るなら潔く降ってくれんかね」
「もう9月に入るのになかなか涼しくなりませんね」
「…やれやれ」

そんな会話をしながら対局していると彼がふと手を止めました。
また長考ですか?

「…そういやお前」
「どうしました?」
「…裏切ったよな?ほら、あの長門カレー事件の時」

…覚えていましたか
誤魔化しきれないかと思っていたのですが…

「はて…なんのことか存じませんが」
「ほぉ…しらを切るつもりか…」

…ちょっとなに立ち上がってるんですか?
オーラが怖いですよオーラが。
ってバットなんてどこから出したんですか!?

「悟史君のロッカー」

あまり他の世界に介入しないでください…
ネタを知らない人が困りますから

「いいだろ?もう一回"転校"するくらい」

お断りします!
近づかないでください!!

「さぁ…覚悟はいいか古泉ぃ!!」

マズいですね…彼の目が完全にイっちゃってます

「あ!外で朝比奈さんが行水してますよ!!」
「マジで!?」
「嘘に決まってるじゃないですか!」

言うや否や僕はすぐに部室を飛び出しました。

「あ、待て古泉!」

………

なんとか逃げ切りましたか…
ここは購買ですかね?
疲れたので飲み物でも買いますか。

「あれ?古泉?あんた団活は?」
「いや何やってるんですか森さん?」

そこには購買の受付で売上ノートをまとめている森さんがいました。
…メイド姿で。

「いや、視察ついでにバイト。なかなか給料いいんだこれが。
何か買いにきたのかしら?」

そんな気も失せましたよ。

「だったら邪魔だからどっか行きなさい。
ほらお客がきたからどいて」
「あ、どうもすみま…」

…この人は…

「ねぇねぇお姉さん」

…鶴屋さん?

「スモークチーズはあるかい?」

にしては小さすぎる気が…

「ん~…スモークチーズは扱って無いみたいね」
「にょろ~ん…」

寂しそうに去って行きましたね…
結局誰だったんでしょうか…

「見つけたぞぉ!古泉ぃ!」

げ、見つかってしまいましたか!

「森さん、失礼します!」
「ん~、頑張れよ~」

……はぁはぁ

「バタン」

やっと部室まで戻って来れましたか…
あとは彼がくる前に涼宮さんが到着すればなんとかなると思うのですが…おや?

「長門さん、遅かったですね」
「図書館で本を探していた」

それだけ言うと手元の本を読む…ことはせずこちらを見てますね。
心なしか笑うのを堪えてるように見えるのですが…

「志村、後ろ」

…後ろ?

「古泉くん見ないで下さい!」

…朝比奈さん?

「あ、あの、今着替えてる途中なので…
出来ればそのまま部室の外に出てくれませんかぁ?」

そういうことですか。
…声しか聞こえないのが残念ですが…
ってか長門さん知ってるなら「後ろ」とか言わないで下さい。

「す、すみませんでした…」

そう言って静かに部室を出る
そのまままったりと朝比奈さんの着替えが終わるのを待てたらよかったのですが…

「…そこにいたのか古泉」

扉を閉めた僕の目の前な阿修羅と化した彼がいました。
そこまで怒らせるようなことだったのですかね?

「もう逃がさんぞ!」
「ち、ちょっと待って下さいって!」

「バタン!!!」

彼が突進した勢いで僕は彼と仲良く部室に転がりこむことになりました。
当然部室の中には着替え途中の朝比奈さんがいるわけでして…

「き、き、きゃあぁぁぁぁ!」

本来聞くはずの無かった悲鳴を聞くことになってしまいました。
長門さん、本で隠しても笑ってるのはバレバレですよ。

――――――――――――――
「次は気を付けて下さいね?」
「「すみませんでした…」」

朝比奈さんが着替え終わったのを確認してからとりあえず謝りました。
彼は知らなかったとはいえ、僕は注意を受けた後ですしね。
…しかし相当な目の保養になりました。朝比奈さん、感謝です。

「今日は蒸し暑いので麦茶でも入れますね」
「ありがとうございます」
「そういやハルヒのやつはまだ来ないの「きゃあぁぁぁぁぁ!!」

今度はなんですか!?
朝比奈さんの半裸なんか想像してないですよ!?
本当ですよ!長門さんそんな目で見ないでください!!

「な、なんですかこれはぁ!?」

あれは…本?

「今日の○の2か?あんなところにあったのか…」

あぁ、長門さんがみな○けと間違えて買ってしまった本ですか。
本当にチカちゃんの顔がめり込んでますね…
しかも目に画鋲が刺さっている上、
冷凍庫に入れてたみたいなのでカチコチに凍ってます。
正直朝比奈さんじゃなくてもビビりま「お待たせ~!早速だけどみくるちゃん!これに着替えなさい!!」

…このタイミングで涼宮さん登場ですか。

「ふえぇぇぇ!?」

まぁ朝比奈さんもその反応が妥当でしょう。
今日の5の○を片手に固まってますね。

今日は婦警さんのコスプレですか…
気付けば誰に言われるでもなく彼と一緒に部室の外に出ていました。

「ほらほらちゃっちゃと脱ぐのよみくるちゃん!」
「じ、自分で着替えますからぁ~
下着まで脱がさないでくださいぃ~」

中から朝比奈さんの悲鳴が聞こえてきます。

「なぁ古泉」
「どうしました?」
「なんだかんだ言って今日も平和だよな」
「おっしゃる通りです」
「しかしハルヒはどこからコスプレを仕入れてるんだろうな?
多分こないだ遅れて来たときに準備でもしたのか?」
「さぁ、存じませんが…」
「まぁ朝比奈さんのコスプレが見れるなら何だっていいが」
「確かにそうですね。
でも僕としては長門さんのコスプレも見てみた「ドゴン!!!!」

「「…………」」

何の音でしょうかね…
普通こんな音がするなら涼宮さんは黙っちゃいないでしょうし、
朝比奈さんなんかは悲鳴を上げるものですが…

彼も状況が飲み込めないようです。

次第に部室の扉が静かに開いて

「キョン君古泉君…ちょっと中に入ってもらえますか?」

にこやかにブチ切れている婦警さんもとい

…SOS団専属メイドの朝比奈さんが立っていました。

続く