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第5章-4 The trouble of all - (2011/02/02 (水) 20:17:48) の編集履歴(バックアップ)


「とにかく今のままじゃ何もわかりません。とりあえず、俺が通っている学校に行きませんか?長門や古泉がいるかもしれませんし」


「そう……ですね。いろいろ確かめたいこともあります」
 

 最初こそアタフタしていたが、すっかり落ち着いている。これが年の功ってやつなんだろうか。それとも、涼宮の変態能力のせいで、こういう事態に免疫がついてしまったのか?どう見ても、年上に見えない朝比奈さんは年を偽っているかもしれないから、きっと後者の方が当たりだろう。
 

 都合のいいことに部屋には制服があったので、朝比奈さんに制服に着替えてもらい、いつも乗るバスより1本遅いバスに乗って、学校に向かった。
 

「のどかですね」
 

 朝比奈さんは、バスの窓から流れる景色を眺めてつぶやいた。なんで、この人はこんなクソ田舎を見ているだけで絵になるのかねー。ただでさえマイナスイオンが出ているこの風景に、朝比奈さんが加わると、さらにマイナスが加わってプラスになっちまうぜ。


 ふとバスを見渡すと数人しか乗っておらず、最近体験していた満員の電車通学とは変わってゆったりしている。なんだか懐かしい気分だ。そんなに、時間は経っていないはずなんだけどな。そうこうしている内に、俺の世界の北高に到着した。
 

「ここです」
 

 俺達が通っている北高は、朝比奈さんが通う北高とは違い、小規模でなんともしょぼい作りとなっている。田舎のため、生徒数が少なく、立派な作りの建物は必要ないと判断して作ったのだろう。
 

「ここが、あなたの通っていた学校なんですか」
 

 へーと言って朝比奈さんが、学校を見上げていた。こんなぼろい学校に朝比奈さんを連れてきて、なんとも恥ずかしく、そして申し訳ない気分になった。ほんっと、恨むぞ涼宮。
 

「俺の経験からなんですが、たぶん朝比奈さんは、向こうの世界と同じクラスだと思います」
 

3年の下駄箱に行き、朝比奈さんの下駄箱を探したところ、朝比奈さんの名前が書かれている上靴を見つけた。朝比奈さんにはいてもらったところ、シンデレラのガラスの靴のようにぴったりだ。
 

「慣れない世界で、不自由かもしれませんが、しばらく我慢してください。涼宮達がいないか調べておきますので、昼休みに待ち合わせましょう。朝比奈さんのクラスまで迎えに行きますので」

 

 数週間ぶりに会った同級生と懐かしみながら話をして、現在の状況について情報を集めた。だが、想像以上に状況は芳しくない。


「涼宮?長門?そんな珍しい名字のやついたかな?」
 

「朝比奈先輩?あの人、可愛いよなー。たしか、お前仲が良かったよな。まさか……、あはは、ないない。ありえねー」
 

 同級生A君、B君のセリフなわけだが、Aのセリフにがっかりし、Bのセリフに殺意を覚えたわけだ。ということで、1発ずつ殴っていいか?
 

 ふと教室を見回すと、なぜか違和感。なんだ、わからん。何か足りないんだよな。


 必死になり過ぎるのも考えものだ。何かを探していると、別の大事な何かをすっかり忘れ、見落としてしまうことが結構ある。知ってるか?大切な物ほど、無くしやすいんだぜ。俺のちっぽけな人生で学んだ教訓さ。