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いわゆるひとつのエンディング - (2007/01/15 (月) 06:46:53) のソース

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「バカキョン!!アンタなんか死んじゃえばいいのよ!」<br>
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<div>毎度おなじみハルヒの台詞である。<br>
実はこれはたった今聞いた台詞じゃない、言われたのは昼休みである。<br>

その昼休みに俺は机を漁ってたんだがあるものが無い事に気付いた。<br>

「部室に置きっぱなしか……」<br>
「何が?」<br>
後ろからハルヒが覗き込んでくる。<br>
「数学のプリントだよ」<br>
「はぁ?数学の担当厳しいのよ?そんなものなんで部室に忘れるのよ」<br>

「部室でやってたからに決まってるだろ」<br>
「相変わらず抜けてるわね。とっとと取ってきなさいよ」<br>

「言われなくても取ってくるっての……」<br>
プリントを取って戻って弁当を食う。<br>
至極簡単な事だ。<br>
俺は小走りで部室棟まで行って部室に入る。そこに居たのはいつもどおりの宇宙人こと長門。<br>

いつもとひとつ違ったのは彼女が弁当を広げていた事だ。<br>

「いつもここで食べてるのか?」<br>
おれの経験上、長門の弁当食べる姿なんて結構レアである。<br>

「……」<br>
僅かに頷くのを確認できた。<br>
「お前が作ったのか?」<br>
質素ながらも広げられているのは紛れも無い手作りの弁当である。<br>

「……そう」<br>
「お前も料理とかするんだな」<br>
「……」<br></div>
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さてと、向き直って俺はプリントの探索を開始する。<br>
そう広い部室ではない筈なのだがプリントは見当たらない、机の上、床、ロッカーの中、
探せどもお目当てのプリントは出てきやしない。<br>
「……ったくどこ行っちまったんだよ」<br>
そんな俺の姿を長門が注視していて一言呟いた。<br>
「……食べる?」<br>
「?」<br>
なんの気まぐれであろうか。長門は自分の弁当箱からタコさんウィンナーを挟んで俺の鼻先に突きつけてきた。威圧感ってのはあったが、まぁ俺の中で興味と嬉しさが勝っていたわけで。<br>

「……いいのか?」<br>
「構わない」<br>
じゃあ遠慮する事も無いだろうと俺は目の前のタコさんを口に含んだ。<br>

「おいしい?」<br>
「……ん、ああ」<br>
「そう」<br>
そう言って今度はダシ巻き卵を鼻先に突き出してくる。<br>
「……」<br>
「お前の弁当だろ?俺が食べたらマズイだろう」<br>
「……」<br>
そんないつもの変わらないようで微妙に期待の混じった目で見ないでくれ……<br>

「……」<br>
「じゃ、遠慮なく」<br>
まぁ、何だかんだで結局ダシ巻き卵を頂く俺。餌付けされてる気分だぜ。<br>
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そうやってプリントそっちのけで悠長にしてたのがまずかったんだろうね、なにせ次の瞬間には部室のドアが勢いよく開いてハルヒの声が響いたんだから。<br>

「ちょっとキョン!アンタなに油売ってんのよコッチは腹ペコでま――<br>

そこでハルヒの声は止まった。無理も無い、何せ部室の中には俺と長門。長門は弁当箱から取り出したおかずを箸で掴んで俺の目の前に差し出しているし俺に至ってはアホ口開けてアーンの姿勢だ。今思い返しても恥ずかしい。<br>

「何やってんのよキョン?」<br>
重々しい口調でいうな。もっと穏便に言ってくれ。<br>
「何って、別に長門の弁当を分けてもらってただけだ」<br>
「嘘、恋人みたいにアーンとかやっちゃって、バカみたい!」<br>

「あのなハルヒ、そこは否定できないが別にやましいこ――<br>

「言い訳なんか聞きたくないわよ!どうせプリントも嘘なんでしょ!?そんなに有希と弁当食べたかったら正直に言えばいいじゃないのよ!」<br>

何を言い出すかと思えば、正直にもなにも誰と弁当食べようとお前に断るギリはないぞ。<br>

「ハルヒ勘違いを――<br>
「アンタなんか待たないでお弁当食べればよかったわよ!バカらしい!」<br>

「……」<br></div>
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「バカキョン!!アンタなんか死んじゃえばいいのよ!」<br>
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<div>それだけ言い残してハルヒは駆けて行った。<br></div>
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<div>さて、本題に戻るとしよう。<br>
忘れかけていたがハルヒは神様らしい。<br>
一瞬であれアイツはマジで俺の死を望んだのだろうか?<br>
ああ、もう一つ感心してる事がある。<br>
死の瀬戸際ってのはスローモーションで走馬灯が見えるらしいが、昼休みを思い出すだけの余裕はあるらしい。<br>

すごいもんだ、目の前に大型トラックが迫ってきてるのにコレだけ冷静に思考していられるなんて正直俺もお――<br>
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<div>グシャ……<br></div>
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<div>簡単に説明しておこうか<br>
俺は死んだんだが……って短絡的すぎるな。<br>
ハルヒの癇癪で俺はトラックに轢かれ、大変遺憾ながら涼宮ハルヒの目の前の席には花瓶が置かれる事となった。<br>

想像も出来ないがハルヒは泣いたらしい、朝比奈さんは当然のように泣いてくれた。長門も目に見えるくらいは俯いていたし古泉も嫌味な笑顔が消えていた。<br>

葬式が終わった頃、荒れに荒れていたハルヒの精神。<br>
なにせ、死ねと言った翌日に相手が死んでしまったのだ。無理も無い。<br>

古泉は学校にこれなくなった。それほどまでに神人狩りが大変になったのだ。<br>

そんな状況を見るに見かねて、未来人、宇宙人、超能力者、3つの勢力は共通の答えを出した。<br>

穏便に状況を眺めていようと意見した者達がこの最悪の状況展開で強行派に流れていったわけだ。<br>

つまり、<br></div>
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「……つまり、涼宮ハルヒを野放しにしていたら世界は間違いなく滅びる。それなら神を殺した先の展開に期待するほうがいい。そう皆さん考えたわけです」<br>

「ねぇ、古泉君?ちょっと、冗談もいい加減にしてよ」<br>
「古泉君、ちょっとどうしちゃったのよ」<br>
「朝比奈さんと長門さんはこの役を拒否しました。僕もあまりこういうやり方は好きじゃないんですが」<br>

「ねぇ、どうせモデルガンなんでしょ?ほら、ミステリーツアーの一環なんでしょ?あ、あたしは騙せないんだから」<br>

「嘘と思いたいのも最もです。心中痛み入りますが、アナタの神様ゴッコはこれまでです涼宮さん」<br>

「いやあああっ!」<br></div>
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部室棟に火薬の破裂音が響いた。何人かの生徒は音を耳にしたがSOS団が何かしてるのだろうと気にも留めなかったらしい。<br>

その後、世界がどうなったのかはご想像にお任せする。<br></div>
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<div>死んだ俺の知ったこっちゃ無いね……<br></div>
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<div>「という夢を見たんだけど。キョンはどう思う?」<br>
「んなこと言われても、どうも思わねぇよ」<br></div>
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