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第100話 もし世界がバカだったら - (2007/04/08 (日) 01:57:28) のソース

<p><br />
<br />
プロローグ</p>
<p>キョン「全くハルヒのヤツは&hellip;&hellip;」<br />
古泉「いいじゃないですか。涼宮さんがああして楽しそうにしているのを見るのは<br />
  僕としては安心できる状態です」<br />
キョン「お前はいいのかよ。あんな映画」<br />
古泉「前回と違って出番が減ってしまうのは残念ですね。脇役に降格ですから」<br />
キョン「なんなら俺と主演を変わってやろうか?」<br />
古泉「ふふっ、冗談ですよ。それにしても驚きましたよ。映画の内容を聞かされたときには<br />
  心臓が口から飛び出るかと思いましたよ。顔面の硬直を抑えるのに必死でした。<br />
  まさか涼宮さんがあんなことを考えていたなんて思いもよりませんでしたから」<br />
キョン「ああ、少し設定が違うだけでまさかあれほどとはな&hellip;&hellip;」<br />
古泉「本当に&hellip;&hellip;涼宮さんには話していないんですよね&hellip;&hellip;?」<br />
キョン「&hellip;&hellip;なんだよ。なんで俺の方を見るんだよ」<br />
古泉「しかし、涼宮さんにはいつも本当に驚かされますね。とても偶然とは思えません。<br />
  もしかしたら僕たちは最初から全て涼宮さんの手のひらの上で踊らされているのでしょうか。<br />
  その方が神たる存在の振る舞いにふさわしいとはいえますが」<br />
キョン「とにかく長門にあんな映画を撮らせるわけにはいかないな」<br />
古泉「おっと、僕はその意見には反対ですね。涼宮さんを止めるのでしたらご自分一人の責任でお願いしますよ」<br />
キョン「なんでだよ、お前あんな映画に出たいのかよ」<br />
古泉「僕が出たいか出たくないかの選択肢を選ぶ上で重要なことは、僕自身の感情よりも<br />
  自分の果たすべき役割の方だと思うんです。そういう理由で言えば僕はあの映画には<br />
  ぜひとも参加したいのですよ」<br />
キョン「ダメだ。俺が嫌だ。長門にあんなふざけた役やらせるわけにいかねえだろ&hellip;&hellip;」<br />
古泉「おやおや、今回はやたらと長門さんに肩入れしますね。<br />
  二人の間に何か特別な感情でも芽生えているように見えますが」<br />
キョン「殴るぞ&hellip;&hellip;」</p>
<p><br />
 ~話は数日前に遡る~</p>
<p><br />
&hellip;&hellip;&hellip;<br />
&hellip;&hellip;<br />
&hellip;</p>
<p><br />
喜緑「あ、そうそう最近会長からかうのがマイブームなんだけどさ」<br />
朝倉「んもー、その話13回目よ」<br />
長門「違う。23回目」</p>
<p>喜緑「そしたらね、会長ったら顔真っ赤にして逃げ出すの。なんかもうおっかしくて」<br />
長門「朝起きて隣に裸の女が寝ていたら誰でもそうする」<br />
朝倉「そういうときは刺しちゃえばいいのよ」<br />
喜緑「でねでね、会長の寝ている夜中にラブコールをしたの。108回。無言で」<br />
長門「あー、もうこいつウザい」<br />
朝倉「こういうときこそ刺しちゃえばいいのよ」ザクッ<br />
喜緑「いたたっ」</p>
<p>朝倉「それにしても有希はバカのくせによく進級できたわね」<br />
喜緑「ほんとね、ランニングでもしたんじゃないの?」<br />
朝倉「カンニングでしょ」<br />
長門「わたしバカじゃないもん」<br />
朝倉「有希はバカでしょ」<br />
喜緑「有希はバカよねー」<br />
長門「わたしバカじゃないってば」<br />
朝倉「バカはみんなそういうわ」<br />
喜緑「あなたもそうだもんね」<br />
朝倉「いたっ」ゴツン<br />
喜緑「何やってんのよバカ」<br />
長門「よそ見して歩くから&hellip;&hellip;バカ」<br />
朝倉「な、なによー! バカって言った方がバカなんだからねー! だから有希がバカなのー!」<br />
喜緑「そうよバカー」<br />
長門「バカって言った方がバカならあなた達も言ってる。あ&hellip;&hellip;自分も言ってた」<br />
朝倉「バーカ」<br />
喜緑「バーカ」<br />
朝倉「あら、今つまづいたこの石みたいなの。なにかしら。ルービックキューブ?」<br />
喜緑「懐かしいわね。文字が書いてあるみたいだけど&hellip;&hellip;」<br />
長門「これは、世界&hellip;&hellip;ゴニョゴニョ&hellip;&hellip;のである。世界に&hellip;&hellip;ゴニョゴニョをもたらし&hellip;&hellip;」<br />
朝倉「漢字多いわね」</p>
<p> ──これは世界秩序崩壊装置である。<br />
  世界に混沌をもたらし、母なる海を馬鹿なる海に変え、<br />
  大いなる大地をホモいなる大地に変え<br />
  偉大なる天を肥大なる天麩羅に変えよう。</p>
<p>  もしこの装置が発動すればたちどころに世界に破滅が訪れるだろう。</p>
<p>  (※だからこの装置を使ってはいけません。<br />
  お子様の手の届かないところに大切に保管してください)──</p>
<p><br />
長門「&hellip;たちどころに&hellip;&hellip;に&hellip;&hellip;が&hellip;&hellip;れるだろう」<br />
朝倉「バカねぇ、有希ったらそんな漢字も読めないわけ?」<br />
長門「バカっていうなー!」<br />
喜緑「じゃあ、あなた読んでみなさいよ」<br />
朝倉「え?わたし? わたしはー、よ、読めるわよ? 最後の方だけだけどね。<br />
  せかいにへいわがおとずれる、よ」<br />
喜緑「なーんだつまんない。すてちゃえ」ポイッ<br />
朝倉「世界平和なんて今はやんないもんねー」<br />
喜緑「ねー」</p>
<p>長門「&hellip;&hellip;バカじゃ&hellip;ないもん」<br />
朝倉「ほら、バカー。なにやってんのー」<br />
喜緑「バカなんだからちゃんとついてきてよねー」<br />
長門「バカっていうなー!」</p>
<p><br />
<br />
 ~その1~</p>
<p> それはなんてことのない、りんごが地球の引力で下に地面に落ちるがごとく、<br />
 当然のことが当然として流れていた一日だった。<br />
 至って普通の日のことだった。<br />
 いや、人によっては今日が人生最大の告白をする日かもしれないし、<br />
 人生最後の一日になるかもしれないしで、その一日を抜き出して俺ひとりの主観的な考え方で<br />
 勝手に評価することなどすることはできないのだが、<br />
 そしてあんなことがあったくらいだから全く持って普通の日ではないのは確かだが、<br />
 その事件が起きなければ、俺にとってはごくごく当たり前の一日が過ぎていくべきの普通の日だったはずなのだ。</p>
<p> たしかに、世間一般の常識で語るのであれば、<br />
 わがSOS団は世界に誇る非常識極まりない奴らの集団である。<br />
 その集団の一員の俺が常識を語っても説得力がないこと極まりないのであるが、<br />
 長門有希はバカである。<br />
 これは世界の常識である。<br />
 長門と書いてバカと読むくらい、<br />
 この世界では長門がバカであることは世間の常識としてまかり通っており、<br />
 そのことは北高にいる誰もが知っていることであった。</p>
<p><br />
 もしも平行宇宙のパラレルワールドがあったとして、<br />
 そっちの世界にはバカじゃない長門がいるかもしれない。<br />
 だがもしその住人に会うことが出来たとしても、<br />
 異世界の人間にとっては自分の世界の方が正しいと感じるのが当然であり、<br />
 同じようにこの世界にいる俺も、こうして自分の世界を正しいと感じている。</p>
<p><br />
 長門はバカっぽいし、そのまんまバカだと思う。<br />
 そして長門がそんなバカであることが至って普通のことに感じるのだ、俺は。</p>
<p><br />
 そんな俺が自分のクラスの異変に気づいたのはそういう意味での普通の朝のHRのときだった。</p>
<p> ~~~</p>
<p>長門「わたしはバカじゃない!」ドン!!<br />
キョン「ど、どうした、突然うちのクラスに来て」<br />
長門「バカにバカって言われた」<br />
キョン「なにバカなこといってるんだ」<br />
長門「バカっていうなー」<br />
岡部「よーし、みんな~、おっはよー。さあみんなー、席に着けー」ガラガラ<br />
キョン「ほら、自分の教室に戻れよ。話は後で聞いてやるから」<br />
長門「ううぅぅ&hellip;&hellip;」<br />
岡部「よーし出欠の点呼をとるぞー! 国木田ー」<br />
キョン「ほら、早く帰れよ。お前欠席扱いになっちゃうぞ」<br />
長門「もういい! 知らない!」ピュー<br />
岡部「国木田ー。いないのかー?」<br />
国木田「はあぁぁ~、あぁぁんいいん」<br />
岡部「はははは、元気だなー。谷口ー」<br />
キョン「ん?」<br />
谷口「わ、わわ、わはぁ~い」<br />
キョン「お、おい&hellip;&hellip;な、何してんだ」<br />
岡部「おーし、いるな。山根ー」<br />
山根「あぁん、せ、先生! 先生!」<br />
岡部「なんだー?」<br />
山根「さっきから先生が取ってるのは点呼じゃなくてち●こですよ!」<br />
岡部「お、おっとっと。失敬失敬。どおりで女子が誰もいないことになってるわけだな」</p>
<p><br />
 どっ。<br />
 あーはっはっは。<br />
 クラスのみんなから笑いが起こった。<br />
 谷口も笑いながら股間を抑えていた。</p>
<p><br />
キョン「おい&hellip;&hellip;。い、今何をしていた!?」</p>
<p> 誰か、今俺の目の前で起こったことを説明してくれないだろうか!?<br />
 担任がクラスの男子のち●こを揉んでいた!?<br />
 しかもなんでみんな笑ってるの!?<br />
 あれ? ここ笑うとこ?<br />
 い、いやいやいやいやいやいや何かの間違いじゃないのか!?<br />
 俺はあまりの意味不明な出来事に得意のツッコミを入れることもできなかった。<br />
 ただ後ろの席にいたハルヒも同じようにその異常を感じていたようで、<br />
 口を中途半端にだらしなく開けて、両目を大きく見開いたままその様子をただボーゼンと眺めていた。<br />
 おそらく俺も同じ様子だったに違いない。岡部に呼ばれるまでは。</p>
<p><br />
岡部「おい、キョーン」<br />
キョン「はっ! ちょ、なんで俺の方に近づいてくるんですか?<br />
  しかもなんで俺のことをあだ名で呼んでるんですか?」<br />
岡部「なんでって&hellip;&hellip;そうしないと取れないだろ? ちんこが」モミッ<br />
キョン「あっ、はぁぁ~ぃ」</p>
<p><br />
 どっ。<br />
 あーっはっはっは。</p>
<p><br />
キョン「っておい! く、く、く国木田&hellip;&hellip;どうなってるんだこれ&hellip;&hellip;。っておい!!!」<br />
国木田「どうしたの?」<br />
 国木田を見て俺はまた俺は驚愕の色を隠せなかった。<br />
 おかしいなんてもんじゃない。もうヤバイ。信号が黄色や赤じゃない。<br />
 黒だ。真っ黒だった。なんで教室に入った時点で気づかなかったんだ、これに!</p>
<p> なんと、国木田の額に『肉』と書かれていた。</p>
<p><br />
国木田「ははーん、わかった。今日学校来る前にトイレを探していたら、<br />
  ベンチに座っていたつなぎを着たカッコイイ男がチャックを下ろし始めたんだね。<br />
  よくあることだよねー」<br />
キョン「あるあr&hellip;&hellip;ねーよ! 国木田、お前&hellip;&hellip;バカになっていないか?」<br />
国木田「なに言ってるんだよ、キョン」<br />
 国木田はこちらを見てやれやれと言った表情で溜息つきながらこう漏らした。<br />
国木田「僕は元々バカじゃないか」<br />
キョン「はあ?」<br />
国木田「いや、カバだったかな。カバは英語でヒポポタマスっていうんだよ。知ってたかい?」<br />
キョン「意味がわからん&hellip;&hellip;。それとその額の『肉』はなんだ」<br />
谷口「国木田今日はかっけぇー、額に文字を入れるのかー。へぇーなるほどなー。<br />
 俺もバカだから『肉』って書いたほうがいいのかな」</p>
<p><br />
 谷口の額には『肉』の文字はない。<br />
 いや、なかったが今その場で書き始めた。今は『肉』と書いてある。<br />
 鏡文字になっていたが、字が字だからあまり違いはない</p>
<p><br />
 バカすぎる。<br />
 俺の周りでバカといってまず思い当たる人物はあいつしかいない。<br />
 バカの専門家のような人物がいたではないか。</p>
<p> きっとあいつが関わっているに違いない。<br />
<br />
 俺は急いで教室を出た。<br />
 とにかくこの場にいられない。<br />
 ハルヒをこの異常な空間に残してきたのが気がかりだが、今はそれどころではないのだ。</p>
<p><br />
 まず最初に俺は6組の教室に向かったが、あいつの姿はなかった。<br />
 てっきり教室に帰ったものかと思っていたが。<br />
 仕方ない、こういうときは&hellip;&hellip;9組だ。</p>
<p><br />
キョン「はぁ、はぁ、古泉! こ、これはいったいどういうことなんだ!?」<br />
古泉「来ましたか。これはとんでもない異常事態です」<br />
キョン「気づいたか。お前は大丈夫だったんだな」<br />
古泉「時間がないので簡単に言いましょう。みんながバカになってしまったのです」<br />
キョン「みんながバカ?」<br />
古泉「世界がバカになる病気です。そしてこれはどうやら感染するようです」</p>
<p><br />
 なんてこった!<br />
 バカが感染する病気だったなんてバカなことがあるか!<br />
 バカにするのも大概しろ!!</p>
<p><br />
<br />
 ~もし長門がバカだったら 第100話~<br />
   『もし世界がバカだったら』</p>
<p><br />
<br />
 ~その2~</p>
<p><br />
古泉「異常を検知したのは昨日の夜中過ぎだったそうです。その時点でもう既にかなり汚染は進んでいたようです。<br />
  今も懸命に原因の究明を続けていますが、まだはっきりとしたところはわかっていません。<br />
  バカウィルス、とでも名づけましょうか。<br />
  そのバカウィルスのようなものが空中に漂っているようなのですが、<br />
  それを吸うとその人間はバカのようになってしまうようなのです。<br />
  そしてそれは現在の科学ではどうしても検出することができないようです。<br />
  『機関』の人間も数人がもうすでにバカになっています。<br />
  おかがで原因の究明は遅れる一方です」<br />
キョン「いったいどうしたらいいんだ!」<br />
古泉「どうにもならないかもしれませんね」<br />
キョン「そんな」<br />
古泉「なぜならバカの世界に住む住人は世界がバカであることに違和感を感じないからです。<br />
  バカにとってバカな世界は居心地のいい、至って当たり前の世界だからです。<br />
  つまり、僕たちが今この世界を異常だと感じているのはバカになっていないからです。<br />
  全てがバカになればバカにとっての法則で世界はうまく巡航します。<br />
  そうなれば誰も世界を元の姿に戻そうとは思わないでしょう。<br />
  なぜなら世界が改変されていることに、誰も気づかないからです。僕もあなたもです」<br />
キョン「いったい誰がこんなことを&hellip;&hellip;?」<br />
古泉「これはあくまで推測なのですが、うっ!&hellip;&hellip;」<br />
キョン「古泉!? おい、どうした古泉! しっかりしろ!」<br />
古泉「き、気をつけてください&hellip;&hellip;バカ達は僕達をバカ&hellip;に&hellip;&hellip;」ガクッ<br />
キョン「おい、古泉! 古泉ー! ん、う、うわぁぁぁー!!」<br />
 一瞬目の前が真っ暗になったと思ったら俺は自分の体が跳躍するのを感じた。</p>
<p><br />
キョン「くっ、こ、ここは?」</p>
<p> 気がつくといつもの教室にいた。<br />
 だがいつもの教室はいつもの風景ではなかった。<br />
 窓がコンクリで塗り固められ、四角い密閉空間は薄暗い蛍光灯の明かりだけが<br />
 うっすらと辺りを照らしていた。</p>
<p>朝倉「気分はどう?」<br />
キョン「朝倉&hellip;&hellip;なぜ、ここに?」<br />
朝倉「さっそくだけどあなたを殺しにきたわ」<br />
キョン「冗談はやめろ。ああ、このセリフどっかで言い忘れていたような気がする」<br />
朝倉「冗談だと思う? なぜかわたしもようやくこのセリフを言えたような気がする」<br />
 キランッ<br />
 朝倉の右手に鈍い光が走った。<br />
キョン「ま、待て! いったいなにがどうなってるのかわからん! 説明してくれ」<br />
朝倉「詳しい話をしている暇はないの。説明とか苦手だし。それにほら&hellip;&hellip;めんどい」<br />
キョン「めんどい言うな」<br />
朝倉「それにあなただけはどうしても死なないと終わらないみたいだから」<br />
キョン「終わる?」<br />
朝倉「じゃあ、死ん&hellip;&hellip;ん?」<br />
キョン「うわぁー! ん、んー?」<br />
朝倉「ナイフとバイブを間違えた&hellip;&hellip;」ウィンウィン<br />
キョン「ある意味そっちの方が100倍ヤバイ」<br />
朝倉「あぁー、うーん&hellip;&hellip;」ウィンウィン<br />
キョン「あー、うーん&hellip;&hellip;まあ、ねぇ&hellip;&hellip;」<br />
朝倉「ま、いいわ。死んで」ウィンウイン<br />
キョン「それで死ねるか!」<br />
朝倉「どうして? これをつっこまれた男はみんなキャー死ぬーって叫ぶわ」<br />
キョン「経験済みかよ!」<br />
朝倉「だからあなたも&hellip;&hellip;」<br />
キョン「キャー!」</p>
<p><br />
??「危ない!」ドン!!<br />
朝倉「キャッ!」<br />
キョン「お、お前! いったいどうやってここに!?」<br />
朝倉「あなたは&hellip;&hellip;古泉一樹!」<br />
古泉「彼に危害を加えようとしているのをこのまま黙って見過ごすわけにはいきません」<br />
キョン「古泉&hellip;&hellip;復活したのか」<br />
朝倉「邪魔する気?」<br />
古泉「朝倉さん、あなたは間違っています。<br />
  世界をバカにすることで自分の相対的な地位を向上させても何も意味がありません」<br />
キョン「どういうことだ?」<br />
古泉「この世界をこのようにバカにしてしまったのはおそらくこいつらだったんです。<br />
  彼女たちは自分がバカなのが悔しくて他のみんなをバカにしようと考えたのです。<br />
  『機関』の調査ではTFEIの誰かが今回の騒動の原因を作ったと考えています」<br />
キョン「彼女たち&hellip;&hellip;ということはまさか」<br />
古泉「喜緑江美里や&hellip;&hellip;長門さんも可能性としては含まれます」<br />
キョン「長門まで? そんなバカな&hellip;&hellip;はっ、いやまさか&hellip;&hellip;」<br />
朝倉「あなた達はおとなしくバカになるべきなのよ!」<br />
古泉「手を引くなら今のうちです。ふふ、それにこの空間では&hellip;&hellip;ボゥン!!<br />
  僕も力を使うことが出来るようです」<br />
キョン「そうだ! 古泉は強いんだぞ!」<br />
古泉「あなたにはここは譲れません」<br />
朝倉「くっ&hellip;&hellip;!」<br />
古泉「キョンたんのアナルは僕んだ!」<br />
キョン「そうだ!そうだ! &hellip;&hellip;って、ちょっと待ておいっ! お前! 額に&hellip;&hellip;」</p>
<p><br />
 古泉はバカになっていた。<br />
 見りゃわかる。額に太いマジックで『肉』と書かれていたからだ。</p>
<p><br />
古泉「安心してください。あなたのアナルは僕が奪います」ウィンウィン<br />
キョン「ちょ、待て。その右手のバイブ、朝倉のよりエグイんだが&hellip;&hellip;」<br />
古泉「極太サイズ。海外から特注しました」<br />
朝倉「そ、そんな&hellip;&hellip;わたしのより太くてゴツゴツしてるなんて&hellip;&hellip;」<br />
古泉「ふふふ、朝倉涼子さん。彼のアナルは僕の物なんです。諦めてください」<br />
キョン「ちげーよ」<br />
朝倉「彼のアナルは絶対に譲らない&hellip;&hellip;」<br />
キョン「目的変わってるし」<br />
古泉「あなたとは共に天を抱かず。キョンを抱くデス! いざっ!」<br />
朝倉「はぁっ!」<br />
キョン「どんな戦いだよ&hellip;&hellip;」</p>
<p><br />
 キーン!!<br />
 バキンバキンガキーン!!</p>
<p><br />
古泉「ふんもっふ!」バシューン!!<br />
朝倉「はっ!」ガキーン<br />
古泉「はっ、せいいっやっ!」<br />
朝倉「くぅっ!」バシュゥ</p>
<p>キョン「効果音はカッコイイが&hellip;&hellip;バイブで闘うな古泉よ」<br />
朝倉「ちっ、このバイブでは勝ち目がないわ。だってあっちの方が高そうなんだもん。手加減しちゃうよ」<br />
古泉「覚悟してください。これはあなたとキョンたん両方に言えることです」<br />
キョン「ひぃー! どっちが勝ってもダメじゃねーか」</p>
<p><br />
朝倉「くそっ、こうなったら!」<br />
キョン「なんだそれは」<br />
朝倉「このぷらすちっく爆弾であなた達は皆殺しなんだから」<br />
キョン「うわー、宇宙人のくせにSFなしかよ」<br />
古泉「ちょ、ちょっとそれは無理ですー! 爆弾とか無理ー!」<br />
キョン「えぇー! そんなぁ!」<br />
朝倉「ふふふ、逃げようとしてももう無駄よ&hellip;&hellip;。残り10秒&hellip;&hellip;」<br />
キョン「うわっ、や、やめろー!」<br />
古泉「キャー!!」<br />
朝倉「あっははは。もうあなた達は終わりよ。5&hellip;4&hellip;3」<br />
キョン「くっ、この狭い教室じゃ逃げるに逃げられねえ」<br />
朝倉「&hellip;2&hellip;1&hellip;!」</p>
<p> ぼかーん!!</p>
<p><br />
朝倉「キャーッ!!」バタッ<br />
キョン「早く投げろよバカ」<br />
朝倉「うかつ&hellip;&hellip;」ガクッ</p>
<p>キョン「ふぅ、終わった&hellip;&hellip;」<br />
古泉「ふふっまだ本当の戦いはこれからですよ。いや、これから全てが始まるのですよ」<br />
キョン「んなっ!」<br />
古泉「おっと、暴れないでください」ガシッ<br />
キョン「くっ、や、やめろ!」<br />
古泉「力を抜いてください」<br />
キョン「やめろお!」<br />
古泉「力を抜かなきゃ入れられません」<br />
キョン「入れるなぁぁ!!」<br />
古泉「ふぅー」<br />
キョン「み、耳に息をかけるなぁ&hellip;&hellip;あ、あ、あぁ!」<br />
古泉「ふぅー」 <br />
キョン「あ、あぁぁぁ、あっあ!」 <br />
古泉「ふぅー、ふぅー、ふぅー」 <br />
キョン「あ、あぁぁぁ、あっあ!」 <br />
古泉「ふぅー」 <br />
キョン「って早くしろよ」 <br />
古泉「していいんですか?」 <br />
キョン「あ、いや、ダメだ!」 <br />
古泉「それでは!」 <br />
キョン「アッー!!」</p>
<p> バリーン!!</p>
<p><br />
 盛大な破裂音と共に小さな影が飛び込んできた。<br />
 これが正常な世界での流れなのだろうか。<br />
 あの長門が古泉の前に立ちはだかり、両手を広げて俺を庇っている。</p>
<p><br />
長門「一つ一つの」<br />
キョン「な、長門! 助けに来てくれたのか!?」<br />
長門「一つ一つの」<br />
古泉「ちっ、邪魔が入りましたか」<br />
長門「ひと」<br />
キョン「やっぱり来てくれたんだな。信じてたぜ!」<br />
長門「&hellip;&hellip;」<br />
キョン「どうした、長門?」<br />
長門「一つ一つ」<br />
古泉「長門さん&hellip;&hellip;。あなたとは分かり合えると思ってたんですが?<br />
  あなたは僕と彼のボーイズラブ小説を書いていたじゃありませんか」<br />
長門「古泉一樹&hellip;&hellip;」ゴゴゴゴゴゴゴゴ<br />
古泉「なんでしょう?」<br />
長門「&hellip;&hellip;」<br />
キョン「どうした、長門。さっきから変だぞ」<br />
長門「あなたは攻めではなく受けの方がいい。古泉&times;キョンはありきたり。<br />
   これからの時代はキョン&times;古泉」<br />
キョン「ってなんだそりゃー!」<br />
古泉「なかなか渋いですね。ですが僕は攻め専なんでね。その意見は受け入れられません」<br />
キョン「そんなに違いがあるのか」<br />
古泉「受けと攻めの違いは水と油のようなものです。お料理には欠かせません」<br />
キョン「このバカが」<br />
長門「古泉一樹を敵性と判定&hellip;&hellip;ぐすん」<br />
キョン「泣くな! お前の判定基準はそこか!」<br />
古泉「僕も簡単にやられるわけにはいきません。アナル全開でいかせてもらいます。<br />
  ハァー!! ふん!」ぶりっボワン!!<br />
キョン「くさっ、全開にするな! 締めろ!」</p>
<p><br />
<br />
古泉「キョンたんのアナルをかけて」<br />
長門「いざ」<br />
古泉「勝負!!」<br />
キョン「かけるな、んなもん」</p>
<p> 俺のアナルをかけた長い戦いが今&hellip;&hellip;始まる</p>
<p><br />
<br />
 ~その3~</p>
<p><br />
 FIGHT!!<br />
  カーン!!<br />
 終わりました。</p>
<p>長門「滅・殺!!」<br />
古泉「アッー!!」</p>
<p> 開始一秒で長門の指が見事に古泉の尻をえぐっていた。</p>
<p>古泉「うぐぅ」ドサッ<br />
長門「あなたは普段から受けに回って括約筋を鍛えるべきだった。それとアナルを全開にしたのが敗因」<br />
 そういう問題じゃないと思う。<br />
 だが俺はやるべきことはやっておくことにした。<br />
キョン「こいつめ! こいつめ!」<br />
 俺は古泉の持っていた極太バイブを、これでもかというほど何度もヤツのアナルに突っ込んでやった。<br />
 古泉のアナルは今日バカになったばかりなのに、なぜか極太バイブをすんなりと受け入れていった。<br />
 そもそもこいつはおかしいのだ。なぜ注文したら時間が掛かるはずの海外特注のバイブなんかもっているんだ?<br />
 あとで元に戻ったらじっくり尋問してやらなくてはならない。<br />
長門「助さん格さん、もういいでしょう」<br />
キョン「二人もいねっつの」ペシ<br />
長門「つっこんでる場合じゃない」<br />
キョン「そうだった。長門&hellip;&hellip;」<br />
長門「&hellip;&hellip;」<br />
キョン「古泉はお前も疑っていたけど、今回の騒動、お前が原因じゃないのか?」<br />
長門「違う。わたしは何もしていない」<br />
キョン「そうか。ならいいんだ。てっきりみんなをバカにしてみたかったのかと思って」<br />
長門「&hellip;&hellip;」<br />
キョン「何か思い当たるものはないか? お前らが原因とかそういうことはないか?<br />
  例えばみんながバカになってしまうスイッチのようなものを押してしまったとか」<br />
長門「ない」<br />
キョン「本当か? 少しでも怪しい出来事とかはなかったか?」<br />
長門「神に誓って、&hellip;&hellip;ない&hellip;&hellip;はず」<br />
キョン「そうか&hellip;&hellip;あとは怪しいのはあの人か&hellip;&hellip;まいったな」<br />
<br />
長門「ない&hellip;&hellip;かも」</p>
<p><br />
<br />
長門「&hellip;&hellip;と思う」</p>
<p><br />
長門「&hellip;&hellip;だと、いいな」</p>
<p>&nbsp;</p>
<p> ~その4~</p>
<p><br />
キョン「さっきまでどこ行ってたんだよ。探したんだぞ」<br />
長門「迷子になってた」<br />
キョン「隣のクラスに戻るのに迷うなバカ」<br />
長門「またバカって言った&hellip;&hellip;」<br />
キョン「ところで喜緑さんのクラスって何組かわかるか?」<br />
長門「奇面組」<br />
キョン「おい、バカなこと言ってる場合じゃないだろ」<br />
長門「バカっていうなー」<br />
キョン「いまのはお前が悪いだろ。知らないのか?」<br />
長門「わたしはバカじゃない」<br />
キョン「そんなことはどうでもいいから喜緑さんを見つけて事情を聞かないと」<br />
長門「どうでもよくない。わたしはバカじゃない」<br />
キョン「わかった。わかった。お前はバカじゃないよ」<br />
長門「&hellip;&hellip;わかってない」プルプル<br />
キョン「三年生の階にいるのかな」<br />
長門「バカじゃないもん!」ダッ!!ピュー!!<br />
キョン「あ、おい! 長門! &hellip;&hellip;あのバカ何やってんだ。ん? あの人は&hellip;&hellip;」</p>
<p> 俺の視線の先に人だかりが見えた。<br />
 その中心で何かを叫びながらストリップをしている男が知っている男だった。<br />
 話しかけるどころか目線に入れたくもないが、今はそんなことを気にしている場合ではない。</p>
<p><br />
キョン「会長」<br />
会長「脱ぎますから! これからもっと脱ぎますから許してください!」<br />
キョン「今ちょっとお時間いいですか?」<br />
会長「なんだね、私の選挙活動の邪魔をしないでくれたまえ」</p>
<p><br />
 額に『肉』と書かれた会長はあられもない姿で周りの群集達と握手していた。<br />
 何の選挙か知らないが俺はこんな投票権などいらない。</p>
<p>キョン「喜緑さんを知りませんか?」<br />
会長「無論、知っている」ヌギヌギ<br />
キョン「今どこにいるかわかりますか?」<br />
会長「知っている」ポイポイ<br />
キョン「どこにいるんですか?」<br />
会長「この私に清き一票を! 穢れなきこの体に神聖なる一票を!」<br />
キョン「ちょっと、喜緑さんはどこなんですか?」<br />
会長「なんだね、もっと脱げというのかね? 仕方ないな」<br />
キョン「もうパンツ一丁なのでこれ以上は勘弁してください」</p>
<p> バカになった観衆が会長のパンツに投票用紙を差し込み始めた。</p>
<p><br />
会長「ありがとう。ありがとう」<br />
キョン「教えてください」<br />
会長「体で教えよう」<br />
キョン「いりません」<br />
会長「そうか、じゃあ、君もズボンを脱ぎたまえ」</p>
<p> もういい。これ以上は関わり合いたくない。<br />
 それにしてもおかしい。普段の喜緑さんならこんな会長を放っておくはずがない。<br />
 ということは喜緑さんは何か企んでいるに違いないのだ。</p>
<p><br />
みくる「キャー、キャー! 投票しますぅ!」<br />
キョン「あ、朝比奈さん! な、何やってるんですか! 無事ですか!?」<br />
みくる「武士?」<br />
キョン「あーあ&hellip;&hellip;まさかあなたもバカになっているのでは&hellip;&hellip;」<br />
みくる「ああ、わたしなら大丈夫ですよ~。未来保険に入ってますから~」<br />
キョン「無事じゃないんですね」<br />
みくる「武士でござる!」<br />
キョン「まあいいや。喜緑さんを見かけませんでしたか?」<br />
みくる「え? あの&hellip;&hellip;ワカ、じゃなくて生徒会の書記の方ですよね?」<br />
キョン「ええ、そうなんですけど」<br />
みくる「わたしはこの時代の人間ではありません。もっと未来から来ました」<br />
キョン「知ってますよそんなの。だいぶ前にその話聞きましたから」<br />
みくる「信じてもらえないでしょうね、こんなこと」<br />
キョン「いや、信じるも何も&hellip;&hellip;。実際時間移動したことあるし&hellip;&hellip;」<br />
みくる「信じてもらえないなら、わたし、脱ぎます!」<br />
観衆「おおおおーー!!」<br />
キョン「ちょ、ちょっと朝比奈さん、な、ななななにをしてるんですか!」<br />
みくる「キャー! こ、ここどこですか? なんでわたし裸なんですか?」<br />
キョン「ちょ、ちょっと朝比奈さんっ! あなたかなりのバカなっていませんか!?」</p>
<p><br />
 朝比奈さんの周りに黒山の人だかりが出来始めた。<br />
 ああ、残念なことに俺は朝比奈さんが服を脱ぐのをただじっと見ている事しか出来なかった。</p>
<p><br />
??「見てないで止めろよ」<br />
キョン「お、お前は!」<br />
 振り返るといつかの朝比奈さん誘拐事件のときのあの男がいた。</p>
<p>キョン「パンジー!」<br />
パンジー「はぁ? パンジー?」<br />
キョン「いや、名前も聞いてないからなんて呼んでいいかわからなかったし」<br />
パンジー「だからって勝手に人を変な名前で呼ぶな。つけるにしてももう少しまともなあだ名つけろ」<br />
キョン「そうは言うけどな、パンジー。お前の方から名乗らないから悪いんだぞ」<br />
パンジー「藤原」<br />
キョン「なあ、パンジー。この騒動はいったいなんなんだ? なにが原因なのかさっぱりわからん」<br />
パンジー「ちょっと待て。藤原でいいから」<br />
キョン「パンジーは大丈夫なのか? バカになっていないのか?」<br />
パンジー「おいっ! 人を変な名前で呼ぶなといってるだろう! お前も相当バカだぞ!」<br />
キョン「ところで何をしにきたんだ」<br />
パンジー「ふんっ、まあいい。今回はお前に協力しに来た」<br />
キョン「そうか、それは助かるよパンジー」<br />
パンジー「&hellip;&hellip;」<br />
キョン「どうしたパンジー?」<br />
パンジー「&hellip;&hellip;今の状況を説明してやる。一度しか言わないからよく聞け。<br />
  今世界がおかしくなっているせいで未来の時空次元にも大きな影響を及ぼし始めている。<br />
  このようなおかしな連中ばかりの世界になった原因は、世界秩序崩壊装置のせいだ。<br />
  これは情報統合思念体の端末が作り出した代物で、<br />
  世界中にバカウィルスをばら撒き、世界の秩序を狂わせるというもの。<br />
  まずはこれを見つけて、暴走しているその装置を止めなくてはいけない」<br />
キョン「やっぱり朝倉とか喜緑さんが原因なのか&hellip;&hellip;」<br />
パンジー「あの二人は真犯人ではない」<br />
キョン「なに!? じゃあ、なんで変な動きを?」<br />
パンジー「あの二人は世界秩序崩壊装置に操られているだけだ。<br />
  そして朝倉がさっき倒れているところを調べたが何も持っていなかった。<br />
  おそらく喜緑江美里がその装置を持っている」<br />
キョン「そうか、でもやっぱり喜緑さんが鍵を握っているのか。<br />
  で、その世界なんとか装置とやらをみつけたとして、俺は何をすればいいんだ?」<br />
パンジー「わからん。あの装置を止める瞬間の世界を俺たちには観測できない。<br />
  世界が狂っているせいで時空間位相の変動が予測不能だ」<br />
キョン「じゃあ、これからどうなるのかもわからないわけか」<br />
パンジー「俺も相当の危険を犯してここに来ている。とにかくお前がなんとかしろ」<br />
キョン「なんとかって&hellip;&hellip;お前は何もしないのか」<br />
パンジー「俺ができることはここまでだ。なぜならこれは既定事項だからだ」<br />
キョン「それと喜緑さん達が犯人じゃないなら、今回の騒動の原因はなんなんだ?」<br />
パンジー「犯人は&hellip;&hellip;ふんっ、これ以上は『金玉事項』だ」<br />
キョン「あっちゃー&hellip;&hellip;この人もバカになっちゃった」<br />
みくる「&hellip;&hellip;どうしましょう」<br />
キョン「どうしましょうかねぇ、朝比奈さん」<br />
みくる「あの人、かっこいい&hellip;&hellip;」<br />
キョン「あ、朝比奈さん?」<br />
みくる「ポワーン&hellip;&hellip;」<br />
キョン「ポワーンじゃないですよ!」<br />
パンジー「朝比奈みくるか」<br />
みくる「はい。ポワーン」<br />
パンジー「『金玉事項』の『金玉事項』が『金玉事項』に『金玉事項』している」<br />
みくる「はい。ポワーン」<br />
パンジー「ここは『金玉事項』だから『金玉事項』してくれるか」<br />
みくる「ひゃーい。きんたまー!」<br />
パンジー「イエス! きんたーま!」<br />
みくる&パンジー「うぅ~、さいたまー!(禁則事項です)」</p>
<p>キョン「一生やってろ」</p>
<p> 俺はその場を後にした。</p>
<p><br />
<br />
 ~その5~</p>
<p><br />
ハルヒ「あ、キョン! こんなところにいたのね!」<br />
キョン「あ、ハルヒ&hellip;&hellip;」<br />
ハルヒ「ねえ、このおかしな状況わかる? なんかみんなすんごいバカなんだけど!」<br />
キョン「ああ&hellip;&hellip;わかるよ。お前もわかるんだな」<br />
ハルヒ「みんなが自分がバカな行動していることに気づいていないみたいなの。<br />
  岡部はハンドボールの授業始めちゃうし、<br />
  国木田はその間ずっと山根のお尻触ってるし、<br />
  阪中さんなんかルソーの霊が乗り移っちゃってワンワン鳴いてるの。<br />
  なんか可愛かったから餌付けしたらなついて来ちゃった」<br />
阪中「わん!」<br />
キョン「げぇ&hellip;&hellip;」<br />
ハルヒ「キョン! わかる? この世界の異常な事態。ついに世界の最後の日が訪れたのよ」<br />
キョン「お前、楽しそうだな」<br />
ハルヒ「楽しいに決まってるじゃない!!」<br />
キョン「お前はこんな狂った世界の方がいいっていうのか?<br />
  お前の望んでいる世界はこんな狂った世界だったのか?」<br />
ハルヒ「そうじゃないけどさ&hellip;&hellip;でも前の退屈なときよりずっとマシよ!<br />
  退屈な授業も出なくていいし、将来退屈な仕事に就くこともなさそうね。<br />
  何よりみんな楽しそうじゃない! この方がずっと自然よ!」<br />
阪中「わん!」<br />
キョン「でもそんなことで社会が成り立つと思うのか?<br />
  誰も働かない社会じゃいつか破綻するのは目に見えてるだろ」<br />
ハルヒ「なんとかなるわよ! みんながバカなんだし、欲にかられて暴動が起きたりする様子はないしね<br />
  きっとみんながバカになればうまくいくのよ。世界ってそういうもんじゃない?」<br />
キョン「いや、ダメだ。そんな世界にいるべきではない」<br />
ハルヒ「なんでよ」<br />
キョン「もう戻ろう、ハルヒ」<br />
ハルヒ「戻る? 嫌よ! こんな面白い世界があるのに!」<br />
キョン「こんな狂った世界の何がいいんだ」<br />
ハルヒ「だってこの方が面白いじゃない!」<br />
キョン「俺は元の世界に戻りたいんだ。」<br />
ハルヒ「そう。じゃあ戻りたければ一人で戻りなさい。あたしはここにいるから」</p>
<p> ダメだ。こいつに説得しようとしても無駄だった。<br />
 こうなったらいつかの方法をもう一度やってみるしかない。<br />
 だからハルヒの能力にかけてみよう。<br />
 あのときみたいに&hellip;&hellip;</p>
<p><br />
キョン「いいか。元の世界に戻るんだ。もうすぐこれは夢だったと気づく。<br />
  そう、これはお前の夢なんだよ。お前が目を覚ませばそこはベッドの上だ」<br />
ハルヒ「いやよ! 夢なんて嫌! このままでいい! あ&hellip;&hellip;」</p>
<p>キョン「いつだったかお前の」<br />
ハルヒ「ふんふーんふーん」<br />
キョン「って、なにをしているんだハルヒ」<br />
ハルヒ「なにって、額に『肉』書いてるに決まっているでしょ!」<br />
キョン「なあ、それはこの世界での常識なのか?」<br />
ハルヒ「どう? わたしのは29(ニク)よ! AKIRAみたいでかっこいいでしょ!」<br />
キョン「アキラは28号だ」<br />
ハルヒ「じゃあ鉄人ね!」<br />
キョン「残念だがそれも28号だ」<br />
ハルヒ「ビューンと飛んでくてーつじん、28号~、グリコグリコグ~リ~コ~♪」<br />
キョン「聞けよ、人の話」<br />
ハルヒ「聞いてるわよ、バラバラにされても再生するんでしょ?」<br />
キョン「ヒトデの話じゃねえよ」<br />
ハルヒ「ねえ、キョン!」<br />
キョン「なんだ」<br />
ハルヒ「&hellip;&hellip;すき」<br />
キョン「んなっ!」<br />
ハルヒ「やき食べたい!」<br />
キョン「&hellip;&hellip;意味わからん。でもこの空間じゃすきやきどころか食べ物なんて一切なさそうだぞ」<br />
ハルヒ「バカね、ニク繋がりの話じゃない。空気読みなさいよ」<br />
キョン「お前が空気読め。今がどういう状況かわかってるのか?」<br />
ハルヒ「空気、元気、安藤美姫の三本の木を植えまーす!」<br />
キョン「植えるな!」<br />
ハルヒ「ねえ、キョン」<br />
キョン「なんだ」<br />
ハルヒ「ちゅっ」<br />
キョン「んなっ!」<br />
ハルヒ「きゃははー、赤くなってるー! まるで女の子にキスされたみたい」<br />
キョン「みたいじゃなくてそのまんまだ。あれ? 元の世界に戻らないぞ&hellip;&hellip;」<br />
ハルヒ「ジャーンジャーン! げぇ!! 孔明の罠だ!」<br />
阪中「わんわん! わおーん!」</p>
<p> ハルヒはどうやら完全にバカになってしまったようだ。<br />
 これでは俺がいくらハルヒに説得しても意味が無い。<br />
 ハルヒが元の世界を望む望まない以前に、そもそも現状を認識できないのだから話にならない。<br />
 どうりでキスとかで元にもどらないわけだ。</p>
<p><br />
キョン「お前、バカになってもあんま変わらないのな」<br />
ハルヒ「何よ。普段からバカだって言いたいわけ?」<br />
キョン「話が噛みあっていないのはいつものことだからな」<br />
ハルヒ「ふふん、嫉妬してるんだ。わたしに」<br />
キョン「俺の言葉をどうとるそうなるんだ?」<br />
ハルヒ「あんたの額にも「肉」って書いてあげるわ! 明朝体で!」<br />
  そういうとどこから取り出したのか、あるいはハルヒが生み出したのか、<br />
  ハルヒは右手に握っていたマジックで俺の額を狙って襲い掛かってきた。<br />
キョン「バカ!&hellip;&hellip;ってそのとおりか。やめろ! おい! 痛でででぇ」<br />
ハルヒ「ごめん、痛かった? ゴシック体だったら痛くないかな?」<br />
キョン「関係ねえー! 助けてえー!!」</p>
<p>長門「はい、それまーでーよ」ゴツン<br />
ハルヒ「げふっ」<br />
キョン「な、長門!?」<br />
長門「おやすみ坊や」<br />
ハルヒ「いったぁー、ちょっと有希! 何するのよ!」<br />
長門「おやすみリターンズ」バコン<br />
阪中「わんわん! わおーん! ぐるるるる!」<br />
長門「おやすみリローデッド」バコン<br />
阪中「きゃいーん! くぅん&hellip;&hellip;」<br />
キョン「ひでぇ&hellip;&hellip;」<br />
ハルヒ「ぐぅ&hellip;&hellip;むにゃむにゃ&hellip;&hellip;もうハメられないよ&hellip;&hellip;」<br />
キョン「それを言うなら『もう食べられないよ』だろ」<br />
長門「寝ている人にまでつっこまなくていい」<br />
キョン「すまん&hellip;&hellip;」</p>
<p><br />
<br />
 ~その6~</p>
<p><br />
長門「ところで&hellip;&hellip;」<br />
 長門は右手に持っていたフライパンを投げ捨て、ハルヒの寝顔にチラッと目をやってから<br />
 こちらを見てはっきりとこうたずねた。<br />
長門「わたしと涼宮ハルヒを比べて、どう思う?」<br />
キョン「どうって何が?」<br />
長門「どう思っているのか。どう考えているのか」<br />
キョン「いきなりなんだよ」<br />
長門「答えて」<br />
キョン「今答えなきゃいけないことか?」<br />
長門「今、どっちか選んで」<br />
キョン「選ぶって&hellip;&hellip;」<br />
長門「わたしか、涼宮ハルヒか」<br />
キョン「そんな&hellip;&hellip;」<br />
長門「どっちがバカか」<br />
キョン「そっちかよ!」<br />
長門「他に、何が?」<br />
キョン「う、うん&hellip;&hellip;まあ、今のハルヒと比べたらお前の方がまともだよ」<br />
長門「そう&hellip;&hellip;勝った」<br />
キョン「よかったな」<br />
長門「うん」</p>
<p>キョン「いったい誰がこんなことを&hellip;&hellip;?」<br />
長門「今回の黒幕は&hellip;&hellip;あいつ」<br />
キョン「黒幕?」<br />
長門「銀幕だったか&hellip;&hellip;」<br />
キョン「いや、そこは黒幕でいいだろ」<br />
長門「処女膜の可能性も」<br />
キョン「ねえよ! で、誰が黒幕なんだ」<br />
長門「何の話?」<br />
キョン「だから今回の事件の真犯人だよ!」<br />
長門「そう。今回の黒幕は&hellip;&hellip;あいつ」<br />
キョン「だから誰なんだって!」<br />
長門「やっぱり銀幕かも&hellip;&hellip;」<br />
キョン「だから繰り返すなって!」<br />
長門「バカ派の&hellip;&hellip;」<br />
キョン「バカ派?」</p>
<p>喜緑「お話そこまでよ」</p>
<p><br />
長門「ワカメ!?」<br />
喜緑「はい、そこちがーう」<br />
キョン「喜緑さん、やっと出てきたな!」<br />
喜緑「へへへ、やっと出番がきたわ」<br />
キョン「何しにここへ!?」<br />
喜緑「へ?」<br />
キョン「へ? じゃないですよ。そんな登場シーンで出てきて何も考えてないんですか?」<br />
喜緑「あれ、何しに来たんだっけ」<br />
キョン「まさか朝倉見たいに俺のことを殺しに来たんじゃないでしょうね」<br />
喜緑「あ、そうそう、それそれ!」<br />
長門「忘れるな」<br />
喜緑「ってわけで! 空間閉鎖!!」シャキーン!!<br />
キョン「うわっ! 黄緑色!」<br />
長門「目に悪そう」<br />
喜緑「これで外部の人間をシャットアウトよ」<br />
キョン「なんであんた達は俺を殺そうとするんだ!?」<br />
喜緑「だって邪魔なんですもの。世界にバカじゃない人はいらないの」<br />
長門「わたしは?」<br />
喜緑「あなたは元からバカでしょ」<br />
キョン「そうだぞ長門」<br />
長門「&hellip;&hellip;」<br />
喜緑「なぜこうなったのかはよくわかんないけど、わたしはこの世界に納得してます。<br />
  みんながバカになった方がうまく行くと思いますし、みんながバカなら平等なんです。<br />
  未来は元の世界よりずっとすばらしい世界が拓けているはず。<br />
  ねえ、長門さん。あなたもそう思ってるんでしょ?」<br />
長門「&hellip;&hellip;」<br />
喜緑「自分だけみんなバカバカ言われて悔しい思いをするよりも、<br />
  お互いにバカバカ言い合える素敵な世界。<br />
  そういう世界に住みたいって一度でも思わなかった? わたしはそういう世界がいいなぁ」<br />
長門「&hellip;&hellip;思いもよらなかった。なるほど」<br />
キョン「おいおい」<br />
長門「でも&hellip;&hellip;」<br />
喜緑「あら?」<br />
長門「彼がそういう世界を望んでいないし、わたしもそういう彼を望んでいない」<br />
キョン「長門&hellip;&hellip;」<br />
喜緑「そう、残念ね。でも、あなたを殺せば強制的に世界はバカに染まる」<br />
キョン「お、俺ですか?」<br />
喜緑「そう。世界がバカになるためには今までのまともな常識を持った人間がいてはダメなの。<br />
  全ての宇宙法則をバカにするために欠かせない条件だから。<br />
  これからの世界はボケ役だけがいればいい。ツッコミ役はいらないの」<br />
キョン「俺ってやっぱりツッコミキャラなのか&hellip;&hellip;」<br />
喜緑「でも、なぜかあなただけは簡単にバカにならないようだから、殺すしかないのかなって」<br />
長門「それなら仕方ない」<br />
キョン「仕方なくねえ」<br />
長門「&hellip;&hellip;仕方なくない」</p>
<p>キョン「あなたは世界秩序崩壊装置を持っていないんですか?」<br />
喜緑「何ですそれ? 知りません」<br />
キョン「え、でもパンジーが喜緑さんが持ってるって&hellip;&hellip;」<br />
喜緑「持ってませんよ。なんなら服を全部脱いでお見せしましょうか?」<br />
キョン「えぇ? そ、そんなことまでしなくても。<br />
  あー、でも確認だけでもしとこうかなぁ&hellip;&hellip;なーんて」<br />
長門「じーーー&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
キョン「あー、い、いや、いいです。そんなこと必要ないですよ、うん」<br />
喜緑「そう、少し残念です」<br />
キョン「ところで喜緑さん、あなたに聞きたい事がもう一つある」<br />
喜緑「死ぬ前に聞いてあげます。何?」<br />
キョン「あなたの額に書かれている文字なんだが」<br />
喜緑「『殺』でしょ。ふふ、わたしは流行に流されないタイプなの。似合ってるかしら?」<br />
キョン「いや、『投』になってる」<br />
喜緑「え!? 嘘! や、やっだー&hellip;&hellip;、恥ずかしい~。ちょろーんと待ってて!<br />
  すぐだから! 今すぐ直すからちょっと待ってて!」</p>
<p><br />
キョン「長門」<br />
長門「&hellip;&hellip;」コクリ</p>
<p><br />
喜緑「いや~ん、わたしったらおっちょこちょいボンゲなんだから!<br />
  『でも、そんなドジなところもかわいいよ江美里』『会長&hellip;&hellip;』なーんてね! なーんてね!」<br />
長門「三年殺し」ブスッ<br />
喜緑「うっぎゃあぁぁぁぁああ!」<br />
キョン「おいおい&hellip;&hellip;」<br />
喜緑「あ&hellip;&hellip;ラピュタが&hellip;見える&hellip;&hellip;バ、バル&hellip;&hellip;」ガクッ<br />
長門「手ごわい相手だった&hellip;&hellip;。あと少しでこっちが死んでいた」<br />
キョン「どこがやねん」</p>
<p><br />
<br />
 ~その7~</p>
<p><br />
長門「あ&hellip;&hellip;あなたに重大な話がある」<br />
キョン「ん? どうした長門」<br />
長門「さっき喜緑江美里の直腸内に世界秩序崩壊装置を発見した」<br />
キョン「そんなところに隠してたのかよ! どうりで見つかんないわけだよ!」<br />
長門「だが装置は喜緑江美里の肛門深くに入り込み、取り出すことは不可能になっている」<br />
キョン「マジかよ&hellip;&hellip;。あのワカメなにやってんだか」<br />
長門「おそらく落ちていた装置を単なる石と勘違いしてお尻に詰め込んでいた模様」<br />
キョン「どういう勘違いだ」<br />
長門「だが、この指を介してその情報を盗み出すことに成功した」プーン<br />
キョン「浣腸した指を見せんな」<br />
長門「この指の先に(禁則事項)がついている」<br />
キョン「いいから見せんな!」<br />
長門「この装置を解析したところ、この装置はバカウィルスを作成し、自動でバラ撒くように出来ている。<br />
  そして世界にまともな人間はもうあなたしかいないということが判明した」<br />
キョン「お、俺だけかよ&hellip;&hellip;」<br />
長門「しかし、世界を元に戻すワクチンの作成に成功した」<br />
キョン「おお! やったな! じゃあ、さっそくそれを」<br />
長門「ダメ」<br />
キョン「なんで!?」<br />
長門「このワクチンを使うには条件がある」<br />
キョン「それはいったいどうすればいいんだ?」<br />
長門「あなたの協力が必要」</p>
<p> なるほどそういえばいつだったかハルヒと二人で閉鎖空間に取り残されたときと同じなのか。<br />
 あのとき&hellip;&hellip;</p>
<p> ハルヒと二人っきりのあの空間で&hellip;&hellip;<br />
 俺はさまざまな自問自答の末、<br />
 長門や朝比奈さんのわかり安すぎるヒントにしたがい、<br />
 ハルヒの唇を奪った。</p>
<p><br />
 つまり、今俺が今回すべきことは&hellip;&hellip;。<br />
 もうわかるよな?</p>
<p><br />
 俺は長門の肩に手を置いて真剣な目で<br />
 ハルヒと二人の世界から戻ってきたときのように&hellip;&hellip;</p>
<p><br />
キョン「長門、俺実は綾波萌えなんだよ。いつだったか──」</p>
<p><br />
 パシーンッ!<br />
 痛ーっ!!<br />
 長門の平手が俺の頬を痛打した。<br />
 親父にもぶたれたことないのに!<br />
長門「キスで元に戻るのはあのときの涼宮ハルヒだけ。今回の解除条件はそれとは全く別」<br />
 長門は俺のとんがらせた唇を横に押しやるように、もう一度平手を打ち抜いた。<br />
 パシーンッ!<br />
 痛い。二度もぶった!<br />
 でも、いいじゃねえか、少しくらいちゅーしたって&hellip;&hellip;。</p>
<p>長門「ダメ」<br />
 パシーンッ!<br />
 三度もぶった!</p>
<p> それにしてもさっきから長門の反応がおかしい&hellip;&hellip;なんでいつもみたいにボケねえんだ?<br />
 長門の顔に異変があるのにいまさらながらに気づいた。<br />
 額に「肉」の文字があるじゃねえか!!</p>
<p>長門「さっき喜緑江美里から情報を抽出したときに強力なバカウィルスが侵入してきた。<br />
  だが、わたしは元々バカプログラムがフォーマットになっていた。<br />
  バカにバカをかけたことによって、マイナス同士が打ち消しあい、プラスになった」<br />
キョン「どういう理屈だ&hellip;&hellip;。それにしてもまともな長門か。すげえひさしぶりに見たぜ」<br />
長門「あなたはバカなわたしと一緒にいたおかげでバカに対する抗体ができていた」<br />
キョン「バカの抗体って&hellip;&hellip;」<br />
長門「だがしかし、それも時間の問題。まだなんとか正常な精神を維持してはいるものの、<br />
  あなたにもバカウィルスは確実に感染している。このまま行けばあと一時間もせずあなたは確実にバカになる」<br />
キョン「そんな&hellip;&hellip;。もう俺もバカになるのは止められないってか。<br />
  そうすると俺もあのさっきのハルヒのように、意味のわからないことを言い出すようになっちゃうのか」<br />
長門「なっちゃう」<br />
キョン「なっちゃうって、そんなあっさり&hellip;&hellip;」<br />
長門「でもあなたのこれからの行動次第で止められるかもしれない」<br />
キョン「どうすれば?」<br />
長門「謝って」<br />
キョン「本当にお前のバカ直ってるのか? ふざけるなよ」<br />
長門「ふざけてなどいない。わたしに謝って」<br />
キョン「なにをだよ」<br />
長門「わたしのことをバカにしたことを」<br />
キョン「&hellip;&hellip;根に持っていたのか」<br />
長門「少し違う。わたしはこの世界を元に戻したいと思っている。<br />
  だが、もう一つのわたし。つまり、バカな方のわたしはもうあなたにバカにされたくないと思っている」<br />
キョン「お前、二重人格だったのか」<br />
長門「便宜的に言えばそう、バカじゃない方のわたしと、バカなわたしは記憶は共有しているものの、<br />
  人格としては正確には別に扱われている。そして本来の人格はこの正常なわたし」<br />
キョン「そうだったのか&hellip;&hellip;本当は長門はバカじゃないのか。<br />
  で、どうして俺が謝らないとワクチンが使えないんだ?」<br />
長門「それはもう一人のわたしがそのまま世界を元に戻すことを拒んでいるから」<br />
キョン「お前はそっちを説得することは出来ないのか?」<br />
長門「でもわたしという個体もあなたに謝ってほしいと感じている。<br />
  わたしは本当はバカじゃないのに、今まで不当な扱いを受けていた。<br />
  そういうことも含めて謝罪してほしい」<br />
キョン「たしかにそうだな」</p>
<p>谷口「うぃーっす、WAWAWAわすれものー」<br />
キョン「た、谷口ぃ!?」</p>
<p><br />
<br />
  つづく</p>
<p>  <a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1276.html">目次</a>へ</p>