さて、これはどういうことだろうか。 ハルヒ、長門、朝比奈さん、古泉が朝から俺の家にいる。 そして、一緒に朝飯を食ってる。しかも、親も妹も何も言わない。 なぜだ? 昨日こいつらは家に泊まってはいないはずだ。 とりあえず俺は長門に小声で聞いてみた。 「なぁ、長門。これはどういうことだ?」 「あなたと涼宮ハルヒ、古泉一樹、朝比奈みくる、そして私は姉弟ということになってる。」 「またハルヒの力のせいか?」 「そう。今日の午前0時に改変された。起きたらあなたの家にいた。他の3人も一緒。」 「また、俺とお前と朝比奈さんと古泉だけ以前の記憶があるのか?」 「そう。」 「あいかわらず都合のいい能力だな。で、これは何時直るんだ?」 「わからない。涼宮ハルヒが以前のほうがいいと思えば元に戻ると思われる。」 やれやれ、全く厄介なことをしてくれたもんだ。一気に大家族じゃないか。 両親にハルヒ達、そして俺の本当の妹。 一気に8人家族か。親父の収入じゃだけじゃ暮らしていけないだろう。 まぁいい。とりあえず、ちゃんと状況を把握するとしよう。 「とりあえず飯を食ったら俺の部屋に来てくれないか?朝比奈さんと古泉と一緒に。」 「わかった。」 俺には二つ疑問があった。 まず、ハルヒは何でこうなることを思ったんだ? そして、俺とハルヒ達が姉弟って、年はどうなってるんだ? 前者は、古泉にでも聞いてみるか。後者は、長門が適当か。 さて、朝食後一つ驚くことがあった。全員分の部屋があることだ。 ハルヒの能力はここまですごいのか?4人分の部屋を用意するなんて。 「別に涼宮さんの能力をもってすれば簡単なことですよ。」 「古泉お前は人の考えまで読めるようになったのか?第一何でお前がいるんだ。」 「おや、これは心外ですね。あなたが来いと言ったんですよ。」 ふと気づくと3人が部屋に来ていた。 「それに僕は人の考えを読めるような人間ではありませんよ。」 「じゃあ、なんでわかったんだ?」 「あなたの声が出ていたもので。」 頭の中で考えてたことが声に出ていたとは我ながら恥ずかしいな。 まぁ確かに人をあんな空間に閉じ込めることができるんだもんな。部屋を増やすくらい簡単か。 さて、まずは簡単そうな疑問から片付けるか。 「長門・・・俺達の関係・・・つまり、年の差とかはどうなってるんだ?」 「古泉一樹が長男であなたの二つ上。そして、涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、私が三つ子。ちなみに私達はあなたの一つ上。」 「三つ子!?無理ありすぎだろ・・・。」 「僕達以外の方には、普通に認識されてますよ。」 「百歩譲って三つ子は認めよう。しかし、お前が俺の兄というのは認めん!」 「そんなこと言われましても涼宮さんが望んだことですから。」 「そう。しょうがない。」 「私は楽しいですよ。兄弟が欲しかったので。」 俺もあなただけが姉ならこの状況を楽しめるでしょうね。朝比奈さんに「お姉ちゃ~ん」なんて甘えてみたいもんだ。 しかし、今はハルヒも姉だ。ハルヒに甘えるなんて考えれん。 「幸い今日は土曜日、月曜までには元に戻りたいですね。さすがに、三年の授業は受けれませんよ。」 確かにこの事態をこのまま放置するわけにはいかないしな。 「元に戻るには、ハルヒに元の方がいいと思わせるしかないのか?」 「そうです。まぁあなたに任せますよ。」 「何だ。無責任だな。俺にまかせっきりかよ。」 「あなたは、涼宮さんの鍵ですよ。いい加減自覚していただかないと。」 「あなたもいい加減にするべき。」 「そうですよ。キョン君もいい加減に涼宮さんの気持ちに気づかないと。」 朝比奈さんまでそんなことを。第一ハルヒの気持ちってなんだ? 「・・・鈍感」 「ん?なんか言ったか?」 「別に。」 とりあえずこの状況を月曜までに戻さなきゃいけないのか。やれやれまた骨が折れそうだ。 「あっそうそう一応僕達はあなたの兄や姉ですので、それなりに対応してくださいね。 苗字で呼ぶなんてもってのほかですよ。」 「なに!?そこまでしなきゃいけないのか?」 「当然です。自然にしながら涼宮さんに元に戻してもらわないといけません。」 「あなたは有希姉(ゆきねぇ)と呼ぶべき。」 「じゃあ、私はみくる姉(みくるねぇ)がいいです。」 「それでは僕は一樹兄さんがいいですね。」 「お前ら楽しんでるだろ。」 朝比奈さんはまだしも長門や古泉までそんな風に呼ばなきゃいけないとは。 やれやれ。 そのときいつも部室に入ってくる時のように勢いよくハルヒが入ってきた。 「みんな!不思議探索に行くわよ!!」 「たまには、休むという考えはないのか?」 「そういって休んだときに不思議なことががあったら悔しいじゃない!」 「常に探さないと不思議はやってこないのよ!」 まぁハルヒに何を言っても無駄なのはわかってたが、こんな時ぐらい休みたいものだ。 「じゃあみんな5分で仕度しなさい!!」 というわけで、いつもの喫茶店に来たわけだが、ふと疑問に思った。 誰が、ここの金を払うんだ? 「おい、古泉。ここは誰が払うんだ?」 「そうですねぇ。あなたが「一樹兄さんおごってくれ」と言ってくれれば僕が払いますよ。」 こいつは、なんつー事を言うんだ。まぁしかし、今月は俺の財布も厳しかったんだ。 それさえ言えばおごりが免れるんならいいだろう。 「一樹兄さんおごってくれ」 「おや、本当に言ってくれるとは。以外でしたよ。」 うるさい! 「わかりました。ここは、僕が持ちましょう。」 「古泉君うらやましいですぅ~」 「・・・ずるい」 さて、午前の探索が始まったわけだが今日はなぜか妹までついてきた。 まぁ、家族なんだから普通なんだろうけどな。 ちなみに、午前のメンバーは俺と古泉そして妹だ。 ここで、俺にとって不愉快なことが起こった。 妹が、古泉のことを「一樹お兄ちゃん」と呼んだことだ。 どうして、俺のことはお兄ちゃんと呼んでくれないんだ。妹よ。兄は悲しいぞ。 おっと、話がそれたな。まぁ不思議なんかあるわけなく、妹に振り回されて午前は終わった。 午後は俺とハルヒそして妹だった。 また、妹とハルヒに振り回されて終わったのだが、時折ハルヒが何かを言いたげだったな。 なんなんだろうか。まぁハルヒのことだからくだらないことだろうけどな。 古泉・みくる・長門サイド 「今回の件でようやく僕のアルバイトも終わりそうですね。」 「そうですね~。いくら鈍感なキョン君でもどうして涼宮さんがこうしたのかわかるはずですぅ。」 「これで、わからなかったら相当な鈍感。思念体でもどうしようもできない。」 「まぁ、今回は彼に任せといても大丈夫でしょう。」 「そうですねぇ。あっ!そういえば、古泉君ずるいですぅ~。キョン君にお兄さんなんて呼ばれるなんて」 「古泉一樹を敵性と判定。情報連・・・」 「ちょっ長門さん!やめてください。抜け駆けしたのはあやまりますから。」 「次やったらあなたの未来はない。」 「肝に命じときます。」 その夜 キョンの部屋 午後の探索はハルヒと妹に振り回されて終わった。 それにしてもハルヒは何でこんなことを願ったんだ? 全く自分の考えの方がよっぽど不思議だって何で気づかないかねぇ。 まぁ、今日は疲れたし、とっとと寝るとするか。 また、明日考えよう。 翌日 いつものように妹が起こしに来ると思ったが今日は違った。 そう。恐怖の団長様が俺の腹に降ってきたのだ。 「 こらぁ!キョン!いい加減起きなさい!」 「いいじゃねぇか!日曜くらいゆっくり寝かせろよ!」 「日曜だからってゆっくりしていいとは決まってないわ!不思議はいつ来るかわからないのよ!」 こいつに何を言っても無駄だと再確認した。 さて、日曜日なわけだがハルヒがどうしてこうしたのかわからんからどうしようもできないな。 もしかしたら、ハルヒは土日をいつもと違う環境で過ごしたいと思ったのか? これは、かなり有力だな。てことは明日になりゃ戻ってるんじゃねぇか? じゃあ、俺が案ずることないじゃないか。もう一眠りするか。 同日 キョンの部屋 なんだかんだ言って夜になっちゃったな。 まぁ朝考えたとうりどうせハルヒの気まぐれだ。 明日になりゃ戻ってんだろ。 さぁ寝よ寝よ。 日曜の夜 ハルヒの部屋 まったくキョンたら何であたしに告白してこないのかしら。 元に戻りたくててっきり告白してくると思ったのに。 古泉君たちはあたしが自分の力に気付いてないと思ってるんだろうけど甘いわ。 あたしはとっくの昔にしているのよ。みんなの正体もね。 でも、あたしが気付いたのをみんなが知ったらきっと有希はあたしの記憶を消したりするでしょうね。 なんせ宇宙人ですもの。 消さないにしても、もしかしたらみんないなくなっちゃうかもしれないし・・・。 それにしても、キョンの鈍さにはいい加減うんざりするわ。 この間みたいにキスの一つでもしてくれればいいのに。 そりゃあ、あたしから告白しようとも思ったことあるわよ。 でも、それじゃ納得いかないの。あのキョンのことだもの。何も考えずにOKしそうだわ。 もういいわ。また別の作戦立てましょ。今回は元に戻すことにするわ。 翌日 古泉宅 どうやらうまくやってくれたようですね。 ようやく僕のアルバイトも終わりとまではいきませんが軽くなるでしょう。 SOS団部室 「彼は涼宮ハルヒに告白していない。」 「なんですって!!では、なぜ私達は元に戻ったのですか?」 「不明。思念体も判断に困ってる。」 「うい~す。」 なんだこの視線は。かなりきついぞ。俺が何かしたのか? 「どうしたんだ?そんな顔して。」 「あなたには失望しました。」 「何でだ?元に戻ったんだからいいじゃないか。」 「もういいです。」 なんなんだ?全く。ハルヒも今日は不機嫌だったし。満足したから戻ったんじゃないのか? 「みくるちゃん!お茶!」 「あっはい」 朝から不機嫌オーラ全開の団長様がやってきた。 「おいハルヒ。朝から不機嫌だがなんかあったのか?」 「ない!全然ない!」 なんか久しぶりのフレーズだ。 「・・・全くなんでこんなやつ好きになったんだか。」 「何か言ったか?」 「何でもないわよ!!」 全く相変わらず何を考えてるかわからんやつだ。 そんな時ハルヒが突然俺を指してこう言い放った 「絶対いつか気付かせてやるんだからね!!」 「何をだ?」 ハ・古・朝・長「・・・はぁ」 END