<p>「ねぇ、キョン。事実婚って知ってる?」<br> 「・・・・なんだそりゃ」<br> 「籍を入れずに結婚生活を送るってやつですか?」<br> 「そう、それ!」<br> 「ヨーロッパの方では広く普及していると聞いております」<br> 今日のハルヒは俺が部室に来たときには既にパソコンでなにやら調べていた<br> 「流石、副団長。物知りね・・・・ねぇこれなんだか楽しそうじゃない?」<br> ハルヒの笑顔が輝いている・・・・いやな予感がするぜ<br> 「これやってみない?」<br> 「やってみない?って言われたって誰と誰がやるんだよ」<br> 「そんなのあたしがやらなかったら、あたしが楽しくないじゃない!」<br> 「・・・・・となりますと、相手は必然的にあなたということになりますね」<br> 「俺かよ!」<br> 「・・・・なによ・・・・・嫌なの?」<br> っう・・・・目を潤ませての上目使いは反則だ!<br> 「い、嫌じゃないが・・・・・親にも聞いてみないとな。それに何処でやるかも」<br> 「それならご安心を。僕の知り合いにちょうどマンションの一室を(ry」<br> 「じゃぁ決まりね。あとはキョンの親の許可が下りるのを待つだけね!」<br> ・・・・・やれやれ</p> <p><br> <br> その夜<br> 「なぁ親父」<br> 「ん?なんだ・・・」<br> 「お願いがあるんだが」<br> 「ok!ok!許可する」<br> 「いや、まだ何も言ってないだろ・・・・実は部活で長期合宿に行くんだが」<br> 「よし、言ってこい!かあさんには俺から話しとくよ」<br> 放任主義にも程があるだろ・・・・<br> <br> 「『親の許可は下りたぞ』っと・・・・送信」<br> ・・・・・・<br> 「『わかったわ。明日古泉くんの紹介で部屋を見に行くからそのつもりで。明後日の土曜日からは引越しよ』」<br> 「『了解』っと」</p> <p><br> <br> 「広くもなく狭くもない、ちょうどいい部屋ね。流石、古泉くん。やるわね」<br> 「お褒め頂くとはありがたき幸せ」<br> あ、あれ?違和感感じているのは俺だけか?<br> なんかさっき起きたと思ったら学校の記憶がないまま午後の住居見学になってた<br> お~い、古泉。ちょっと話がある<br> 「えぇわかってます。恐らく涼宮さんが『早く部屋が見たい!』とでも願ったのでしょう。特に問題はありません」<br> そんなに楽しみだったとは・・・・可愛いところもあるんだな<br> 「わ~お風呂が広い!」<br> 相変わらずはしゃぎっぱなしのハルヒ、いい笑顔だ<br> 古泉(の機関)に紹介された部屋というのはなかなか綺麗で<br> 2人で住むには丁度いい大きさだった<br> さらにサービスがいいことに家具家電の一式が最初から備え付けられていた<br> 「ふふ、結婚&引っ越し祝いだと思ってください」<br> まだ結婚しとらんわ<br> 「『まだ』っと申しますと・・・・結婚式には呼んで下さいね、では」<br> あぁ墓穴掘った・・・・ハルヒは顔真っ赤だし<br> <br> <br> 「キョン、買物行くわよ!冷蔵庫があっても食材がないわ」<br> 冷蔵庫とか家電一式プレゼントは嬉しかったが食材が入ってないとは・・・・古泉、抜かったな<br> 「う~寒いわ。流石にもうすぐ12月、手が凍っちゃいそう。ちょっとキョン!ぼーっとしてないで何とかしなさいよ」<br> 「何とかって言われたって・・・・・カイロでも買うのか?」<br> 「バカ!違うわよ。手よ、手!」<br> いつもみたいに手首を掴むのではないく手と手を繋ぐ<br> 正直あったかい、って言うか幸せだ<br> 「事実婚者同士ならこれくらい当たり前よ」</p> <p><br> 「ふふ、作戦通り」</p> <p><br> <br> 「ねぇ何が食べたい?」<br> 「ん~ハルヒは何作ってもうまいからなぁ」<br> 「あ、ありがとう・・・・」<br> というわけで近所のスーパーに来ているのだが、「近所」っていうのをサッパリ忘れていた<br> 「おい!」<br> 突然後ろから肩を叩かれ、声を掛けられる。振り向くと<br> 「・・・・親父!」<br> 「何してんだ、お前?」</p>