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涼宮ハルヒの情熱 第2章 - (2007/01/13 (土) 05:21:04) のソース

<div class="main">第2章<br>
雨で中止になった第2回SOS団花見大会だが、ハルヒはそれほど不機嫌ではなかった<br>

それは今、俺の部屋で格闘ゲーム大会を催し、長門と決勝戦を繰り広げる様子や古泉の話からも明らかだ<br>

「そこぉ!」<br>
ハルヒの超必が決まり、決勝戦の幕が閉じる<br>
ハルヒが勝ったという結果を残して<br>
長門はゲームをするのは初めてと言っていたが、慣れるにしたがってどんどんうまくなった<br>

それでもハルヒにはかなわない<br>
どうでもいいが古泉は最下位だった<br>
ボードゲームも弱いがコンピューターゲームも弱いらしい<br>
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「簡単すぎるわね、もっと難しいゲームはないの?」<br>
ひとしきり優勝にはしゃいだあと勝ち誇ったようにハルヒが言った<br>

「ソフトならそこの棚に入ってる。好きに選べ」<br>
ハルヒがソフト探しに夢中になっている隙をみて俺は長門に耳打ちした<br>

「この雨はいつやむかわかるか?」<br>
すると長門も小声でこたえてくれた<br>
「不明、ただしこの雨により桜の花が落ちる可能性は92.7%」<br>

俺は頭をかいた<br>
やばいな、このままだと第2回SOS団花見大会が中止になっちまう<br>

別にこうやって騒いでるのも楽しいのだが、ハルヒが閉鎖空間を生み出さないとも限らない<br>

ただやたらご機嫌なハルヒをみているとそれも無駄な心配に思えてくるから不思議だ<br>
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まぁ、その後も特筆すべきことがらもなく、急遽開催された第1回SOS団ゲーム大会もハルヒの万能っぷりを見せ付けただけで幕を閉じた<br>

帰りぎわハルヒは<br>
「明日は晴れたら公園で花見、雨だったら部室に集合ね」<br>

と言ってANGIE
DAVIESのSUPERMANを歌いながら帰っていった<br></div>
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<div class="main">―そして翌日<br></div>
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と、いきたいところだったのだが、正直そうもいかないらしい<br>

妹が風呂を知らせに来た午後7時半、ハルヒから電話がかかってきた<br>

「キョン、何も言わずに今すぐ例の公園に来なさい、いいわね!」<br>

相変わらず一方的に話すだけ話して切る奴だ<br></div>
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<div class="main">仕方なく俺は家を出た<br>
昼に降っていた雨も止んで、空を見れば朧気ながら月が顔を出していた<br>

しかし、その公園でたとえノストラダムスでも予言できないようなことが起きようとしていたなんて、いったい誰が予想できただろうか<br>
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公園に着いた俺をハルヒの背中が迎えてくれた<br>
桜の花は昼の豪雨によってほぼ散っていたが、残った微かな花により、儚げな美しさを醸し出していた<br>

俺はハルヒの背中に話し掛ける<br>
「よお、待ったか?」<br>
「わかんない」<br>
ハルヒは後ろをむいたまま首を横に振った<br>
「すごく待った気もするし、すぐだった気もする」<br>
わけのわからないことを言い出した<br></div>
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<div class="main">「ねぇ、あんた選択授業なんにした?」<br>
これは本当にいつものハルヒなんだろうか<br>
その声はまるでつついたら壊れる脆いガラス細工のようだった<br>

「多分、お前と同じだ。私立文系受験の…」<br>
「違うの!!」<br>
―悲愴<br>
そんな感情を込めた叫びに思わず俺の気持ちが後退りをする<br>

不意に月が雲に隠れ、まわりの家の灯り、公園の街頭、すべての明るさが陰りを見せたような錯覚に陥った<br>

そう、それはまるで閉鎖空間に迷い込んだような…<br>
「あたしは…理系を選んだ」<br>
ぽつりと出た、蝶の羽音のような声は一瞬、俺の思考を停止させた<br>

俺は考えていた<br>
2年になっても俺はハルヒの席の前でシャーペンでつつかれたり、その笑顔を見ながら過ごすことになるだろう、と<br>

ただ、逆に北高は2年のクラス替えを理系、文系に分けてやる<br>

だから頭のいいハルヒが理系にいってもそれはそれで別にそれでもかまわないと思っていたが<br>
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<div class="main"><br></div>
<div class="main">―今だから正直に言おう<br></div>
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<div class="main">俺はそうじゃなければいやだ<br>
そこにあって当然のものだから油断していた<br>
ハルヒの席の前に俺以外の人間がいるなんて俺の中ではありえない<br>

空気はそこにあって当然のものだが、空気がなくなると人間は窒息死してしまう<br>

そんな例えがわかりやすいだろうか<br>
とにかく、その発言を聞いた俺の目の前は真っ暗になったのだ<br>

そうだな、この瞬間に閉鎖空間にハルヒと閉じ込められたなら、俺はこっちの世界に戻ろうなんて考えなかっただろうぐらいに<br>

しばらくそんなことが頭の中を縦横無尽に駆け巡っているとその沈黙をどう受け取ったか、ハルヒが口を開く<br>
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<div class="main"><br></div>
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「あんたが文系を選ぶことは知ってた。その時は別に部室で会えるし、全然構わないと思ってた、だけど…今の気持ちはそうじゃない!」<br>

ハルヒがゆっくり振り返る、その目は、顔は、涙に濡れていた<br>

「キョン、あたしはあんたと一緒にいたい!離れたくない!精神病でも何でもいい!あんたが好きなの!」<br>

張り上げた涙声は魂の叫びとなって静寂を保つ夜の闇に響く<br>

普遍的な行為を嫌うハルヒが、こんなに一般的な告白をしなければならないほどこいつは思い詰めていたのか<br>
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<div class="main"><br></div>
<div class="main">そこで俺は考えた<br>
俺にとっての<br></div>
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<div class="main">―涼宮ハルヒ<br></div>
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<div class="main">の存在を<br>
クラスメイト?団長?<br>
一緒にいる理由は?<br>
仕方なく?おもしろそうだから?朝比奈さんを守るため?<br>

すべてのハテナマークをふりきり、一つの答えにたどり着いた<br>
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<div class="main"><br></div>
<div class="main">―俺は涼宮ハルヒに惹かれている<br></div>
<div class="main"><br></div>
<div class="main">この状況に合う言葉を口に出すなら<br>
「俺も…ハルヒが好きだ」<br>
考えよりも先に言葉が出ていた<br>
それに気付いてからも俺に後悔はない<br>
これは心のままの気持ちだから<br></div>
<div class="main"><br></div>
<div class="main">「…ありがとう」<br>
ハルヒに言われた初めてのありがとうは俺の心を暖かくし、泣きじゃくるハルヒを抱き締めるのに十分な理由をくれた<br>
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<div class="main"><br></div>
<div class="main">―ただ俺は知らなかったんだ<br>
この出来事が明日以降の、サプライズ具合では今ほどではないが、しかし非常に厄介な出来事の引き金だったことを<br>
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<ul>
<li><font color="#666666">第3章</font><br></li>
</ul>
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