<p><br /> 俺たちSOS団は、夏休みにもかかわらず部室に集まっていた。<br /> 気が触れたのだろうか、谷口と国木田、さらには朝倉までが部室にいる。だが、俺を含めて誰もそれを咎めない。<br /> 窓に目をやる。陽は、もうすぐ一番高いところに到達しようとしている。<br /> そこから放たれる光は、部室を際限なく熱している。汗が止まらない。<br /> 黒板に視線を移すと、誰が書いたのだろうか、右端には八月十五日とわざわざ記してある。<br /> 再び、俺は壁の時計を視界の中心に入れる。<br /> 俺を含む全員が、壁掛けの丸い時計に注目している。<br /> 細い針は、忙しなくカクカクと動き続けている。毎日ご苦労なこった。<br /> そして、三本の針が次第に距離を縮め……、静かに重なった。<br /> その瞬間、俺たちは同時に立ち上がり、一斉に目を瞑り、静かに黙祷を捧げた。<br /> 窓から吹く風が俺たちを優しく撫でて、どこかへと去っていった。<br /><br /> 了</p>