<p> </p> <p> 体内の電気信号に揺らぎが現れ始めた。少しづつ、少しづつ、弱まっていく。<br /> 脳波の異常を確認。快楽物質の現象により、思考回路が凍結していく。<br /> ごめんなさい……私は、この世界を守ることができなかった。<br /> この意識が薄れてしまった時、私は私でなくなる。その後は……わからない。<br /> 数時間後には、あなたたちに危害を加える悪しき存在となるかもしれない。<br /> それとも誰の記憶にも残らず、雪のように溶けてしまうのかもしれない。<br /> 侵食されたエラーにまみれた私にできることなど、たかがしれている。それでも、やるべき全ての事は試行した。<br /> 変わりたくない。終わらせたくない。</p> <p> 私に心の意味を教えてくれた彼。</p> <p> 彼の世界は、私が守る。</p> <p> </p> <p> </p> <p> 不意に口腔から赤黒い液体がこぼれ落ちる。<br /> 心肺機能の脈動が不規則になり、呼吸すら困難な状態に陥った。同時に、この個体の終わりを絶望的に理解してしまった。<br /> 限界。理性を保つことができず、ついに視界の暗転が始まった。</p> <p> </p> <p>「ありがとう。ごめんなさい」</p> <p> </p> <p> 硬いフローリング状の床は、霜が敷き詰められた氷室のように冷たかった。</p> <p> </p> <p><br /> 改変世界創造数時間前、とある高級マンションの一室にて。</p> <p> </p> <p> </p> <ul><li><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5876.html">第一章</a></li> <li><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5877.html">第二章</a></li> <li><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5878.html">第三章</a></li> <li>最終章</li> <li>エピローグ</li> </ul>