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oneday in the autumn 2 - (2009/11/01 (日) 13:57:07) のソース

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さて。アホの意見に耳を貸すのはここまでにして、この忌々しいレポートを完成させるかね。と心の中で呟いたはずなのだがハルヒは俺の思考でも読み取ったのか、<br />
「あたしがアホならあんたは大アホね。もしかしたらそれ以下。」<br />
などと呟きやがる。俺もちょっと毒を吐く。<br />
「お前にだけは過去現在未来においてアホと言われたくねぇな。」<br />
いきなりハルヒは俺のネクタイを掴み無理やり立たせる体勢を取らせながら不敵な笑みを浮かべて言い放つ。にしても顔がさらに近いぜ。また唾が掛かったらどうする。<br />
「ふ~ん。言うわね。なんなら、次の期末で勝負する?進研模試でもいいわよ?あんたはハンディキャップで+50点の勝負ね。」<br />
情けが余計己を惨めにさせるからそんな勝負は願い下げだ。仮に受けたとしても勝ち目がないしな。というか学業の面でアホと言ったんじゃない。<br />
「男なら売られたケンカは買いなさい!SOS団団員として情けないと思わないの?」<br />
団員の看板は関係ないだろ?<br />
「大いにあるわよ!キョン、SOS団団長様がどれだけ勝負事が好きかまだ解ってないようね。」<br />
十分解ってるさ。2年近く付き合わされてたら気づかない方がおかしい。<br />
――ここで普段の俺ならハルヒの戯言など華麗にスルーしたはずだ。<br />
次に吐いた俺の調子に乗った言葉が今度はハルヒを乗せてしまっていた。やれやれ。俺は何をやっているんだろうね?<br />
「勝負なら勉強以外で受けて立つ。」<br />
「その言葉買ったわ。ついでに言うと男に二言もあっちゃいけないのよ。」<br />
「ああ。麻雀か囲碁か将棋かチェスでどうだ?コンピ研から貰ったあのゲームでもいいぞ。」<br />
「・・・・あんた勝負事がそれって中年のオッサン?プロレスとか、スポーツは?」<br />
残念ながら運動能力にそこまで自信がない。つーか女とプロレスというのは俺の主義に反する次第である。そして誰がオッサンだ。<br />
「じゃあ麻雀でいいわ。何やっても結果は同じだし。」<br />
「おっと、それは俺の全勝という意味か?」<br />
「よほど自信があるみたいね。そこまで大口叩いたんだから負けたら罰ゲームよ!」<br />
「勿論お前も入ってるんだろうな?」<br />
「当たり前よ。」<br />
ところでハルヒ、そろそろ苦しくなってきたからネクタイからその馬鹿力離せ。<br />
そんな俺をかまわず、さて何の罰ゲームがいいだろうかとハルヒが考えてるその時―<br />
「わっ!」<br />
――と、突然、調子に乗り過ぎて前にのめり込んでいるハルヒがバランスを崩したのか俺にのしかかってきた。なので体重を預けてきたハルヒによって俺までもが後ろに倒れたのは言うまでもない。<br />
「のわっ!」とマヌケな声を出してハルヒの下敷きとなる俺の声が教室中に響き渡る。<br />
安心したのはまず俺の後ろに壁や備品の障害物がなかったってことだ。次はその拍子に俺のネクタイからハルヒの手がはずれたので酸欠のカウントダウンを最後まで聞かずに済んでほっとしたね。だがほっとしたのは束の間だった。<br />
いやぁー何て言えばいいんだろうね、これ。端から見なくとも男が女に押倒されてるなんてのはどう見てもいい光景ではない。しかもだな世の男子諸君、性格を抜けばオールオッケーの美人が眼前に倒れ込んでみろ。さっきまで痛んでいた背中すらどうでも良くなるぜ。マジで理性が吹っ飛ぶ5秒前だ。だが鼓動かカウントダウンか解らんものが聞こえてきやがるのは気のせいだと信じたい。今までもハルヒに押し倒されるなんつーことは多少あった。朝比奈さんに倒されたのなら理性が飛びそうになるのも自己納得出来るものだが・・・。<br />
いや待て、考えるべきことはそんなことじゃない。この状況はマズイだろ。<br />
「いったー・・・くないわね・・・?・・・・わっ!ちょっとキョン、大丈夫!?」<br />
すぐに半身を起こし下敷きにしている俺に気づく。顔が真っ赤になっているだろうからあんま見ないでくれ。って、なんか既視感(デジャビュ)すら沸いてきたぞ。あの時ワーストタイミングで俺らを目の辺りにしたのは朝比奈さんだったな・・・。<br />
「大丈夫だけどな。お前調子に乗りすぎ―」<br />
「あー・・・・お取り込み中のところ非常に悪いが、とっくに下校時間を過ぎてるんだ。続きは他所でやれ、な?」<br />
ハルヒはどうだか知らんが第三者の唐突な介入に少なくとも俺は石のように硬直した。<br />
まだ仰向けで寝転がっている俺は恐る恐る声の主を確認する。するまでもない聞き覚えのある声だったのが余計嫌だ。それは我等が担任、岡部教諭であった。だからどうしてこんなタイミングで登場しやがるんだ!<br />
「先生、これ事故っス・・・・」<br />
ベタだ。ベタすぎだ。見つかったのが教師ってのもなんか精神的にくるものがある。いますぐ岡部の記憶を消去したい。帰りに長門の家にでも寄って頼むか。<br />
だが俺の抗議も虚しく、目の前の女が立ち上がりながらの一声によって雲散霧消する。<br />
「あ?岡部?あんた人に無理矢理面倒事押し付けといて何様のつもり?」<br />
そっくりそのままお前に当てはまるぜ。お前こそ何様だ。<br />
「何様なのはお前だ涼宮。お前らのふしだらな行動について敢えて触れないし胸にしまっといてやるから、とりあえず帰れ。」<br />
だから岡部(あんた)誤解だっつーの。</p>
<p>岡部は帰宅を促した後、帰り間際に俺の肩をポンと意味深に叩いたのにムカが入ったのを除けば本当に何もなしで職員室へ撤退した。<br />
ハルヒと俺が生徒玄関へ出るまでにハルヒの岡部への愚痴は続いたが、どうでもいい。ツッコミを入れる元気すらない。脳内では木枯らしすら吹いてる。谷口が忘れ物を取りに介入しなかっただけマシと思うべきなのだろうか・・・?</p>