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涼宮ハルヒの仮入部~文芸部編~ - (2020/03/12 (木) 14:47:45) のソース

<p>3年前の7月7日、わたしは彼と出会った。<br />
それから、今年の7月7日まで彼をあずかっている。<br />
それまで、2ヶ月と少し・・・<br />
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<br />
無音なこの文芸部室。<br />
彼が来るまで、後2週間。<br />
たった2週間。けれども、2週間も後。<br />
廊下から足音が聞こえる。<br />
徐々にこちらに近づいてくる。<br />
きっと、この文芸部室を通り過ぎる。<br />
そう思う。<br />
<br />
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<br />
足音が止まった。<br />
ドアが開く。<br />
わたしは、その方向にゆっくりと首を向けた。<br />
そこにいたのは、進化の可能性、<br />
<br />
涼宮ハルヒ<br />
<br />
おかしい。涼宮ハルヒが来るのは2週間後なはず。<br />
わたしは涼宮ハルヒを見た。<br />
涼宮ハルヒも、わたしを見ている。<br />
「仮入部したいんだけど」<br />
涼宮ハルヒは言った。<br />
仮入部?・・・検索開始。<br />
該当項目を発見。<br />
「そう」<br />
わたしは答えた。その言葉だけで充分だと判断した。<br />
顔を本に戻す。<br />
<br />
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<br />
「あんた確か6組の子よね?体育の授業一緒だから」<br />
「そう」<br />
「あんた名前なんていうの?」<br />
「長門有希」<br />
「他の部員は?」<br />
「部員はわたしだけ」<br />
「へー、じゃああんたが入部しなかったらこの部活、廃部だったんだ」<br />
「そう」<br />
そして、涼宮ハルヒは本棚から本をとりだし、パイプ椅子に座って読み出した。<br />
わたしも読書をつづける。<br />
<br />
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<br />
「アメンボ アカイナ アイウエオ ウキモニ コエビモ オヨイデル」<br />
隣の部室から声が聞こえる。<br />
必要な情報ではない。削除。<br />
<br />
やがて、涼宮ハルヒは落ち着きをなくしだした。<br />
足を揺らす、椅子を揺らす。あくびをする。<br />
なぜそのようなことをするのかは、わたしには分からない。<br />
<br />
「あんたよくこんなのずっとしてられるわね。しんどくならない?」<br />
どう答えるべきだろうか?<br />
「大丈夫」<br />
そう答えておく。<br />
<br />
「ねえ、あんたのクラスに宇宙人とか未来人とかいたりしない?」<br />
「いない」<br />
ここは、嘘をついておくべき。<br />
そう判断した。<br />
<br />
「やっぱり、あたしやめるわ」<br />
「そう」<br />
涼宮ハルヒは鞄を持って、部室を出て行った。<br />
ドアが開きっぱなし。<br />
わたしは、念動力を使い、ドアを閉めようとする。<br />
<br />
やめた。<br />
わたしは歩き、ドアを手で閉めた。<br />
<br />
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<br />
<br />
涼宮ハルヒが文芸部に仮入部してから、2週間がすぎた。<br />
現在、昼休み。<br />
足音が聞こえる。文芸部室のドアの前で止まる。ドアが勢いよく開く。<br />
<br />
「あっ!いたいた!ねえ、この部室貸して!新しい部活作るから!」<br />
「かまわない」<br />
「そう、ありがとう!」<br />
そう言って、涼宮ハルヒは急いぐように部室を出て行った。<br />
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<br />
今日、涼宮ハルヒはSOS団を設立する。<br />
けれども、わたしの待機モードはまだつづいている。<br />
彼が来るまで。</p>