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涼宮ハルヒの仮入部~軽音楽部編~」(2020/03/12 (木) 14:56:11) の最新版変更点

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<div class="main">今年もこの季節がやってきた。<br /> あたしが、この学校に入学して3回目の春。<br /> <br /> さてさて、あたしは今、部室でこれ以上来るかどうか分からない、1年生を待っている。<br /> というのも、今日が仮入部できる初日だからだ。<br /> でも、そろそろ・・・かな?<br /> <br /> とりあえず、あたしは、目の前で適当に並んでいる1年生にむかって挨拶することにした。<br /> ちょっと緊張するけどね。<br /> 「みなさん、今日は軽音楽部に来てくれてありがとうございます。あたしが、部長の中西です」<br /> 改まった挨拶は苦手なんだけどね。<br /> 去年、一昨年に先輩がやっていたようにやる。<br /> <br /> 「じゃあ、まずは名前聞いていこうか」<br /> と、名前を聞いていって、その中に一人、髪の長い女の子。<br /> <br /> 涼宮ハルヒ<br /> <br /> はっきりと名前を言ってくれたから聞き取りやすかった。<br /> うんうん、こういう子がボーカルするといいよね。<br /> やっぱ、歌は聴き取りやすく歌うのが一番だし。<br /> <br /> さて、一通り名前を聞いて、ここから何をするか。<br /> 「じゃあ、今から、あたしたちが演奏するから、しっかり聴いてて<br /> 毎年これはお決まりらしい。<br /> それからあたしはギターを手に取り、目の前にある小さいステージに立つ。<br /> 「じゃあ、まずは軽くメンバー紹介からいこうか。ボーカルが榎本美夕紀、あたしがギターで中西貴子、ドラムが岡島瑞樹で、ベースが財前舞<br /> 4人の頭文字を取って、ENOZっていう名前のグループ名」<br /> そこで、あたしは一度、深呼吸する。<br /> 「じゃあ、やるよ!」<br /> それからドラムの瑞樹に合図して、演奏を始めた。<br /> <br /> 「わたしついていくよどんなつらい世界の闇の中でさえ」<br /> <br /> ボーカルの美夕紀の相変わらずキレイな声が、部室に響き渡る。<br /> 1年生のみんなも、その歌に夢中になっているよう。<br /> みんな、自然に体が動いている感じだし。<br /> <br /> そして、最後にあたしのソロがあり、1曲目終了。<br /> みんなからは拍手喝采。<br /> 掴みはOKかな?<br /> <br /> と思ったんだけど、一人、先ほどと変わらず何もしないで立っているのが一人。<br /> 涼宮さんだ。<br /> うーん、まあ年齢が年齢だからそういう人が一人ぐらいいてもおかしくないけど、ちょっと残念。<br /> <br /> それより、礼を述べなきゃ。<br /> 「みんな聴いてくれてありがとう。今の曲はオリジナル曲で、『God knows...』っていう曲。まだまだ練習中だけど、これからうまくなっていく予定だから」<br /> と、ここまで言うと。<br /> 「いや、全然うまいっすよ」とか「作詞作曲だけでもすごいのに!」とかいう声が聞こえてきた。<br /> なかなか、うれしいこと言ってくれるじゃん、1年生。<br /> <br /> で、最後のほうには、アンコールと言う声まで・・・<br /> そして、その声がだんだん大きくなる。<br /> ライブならともかく、見本で見せるものなんだから・・・。<br /> 「まあいいや、じゃあもう1曲だけ」<br /> そう言うと、「ヒュー!」とか「イェーイ!」とか聞こえてくる。<br /> あたしは、美夕紀と瑞樹と舞のほうを振り向き、「『Lost my music』で」と言って、2曲目を演奏し始めた。<br /> それから先ほどと同じように瑞樹に合図。<br /> また、演奏が始まる。<br /> <br /> 「あなたは今、ドコで誰といるのでしょう」<br /> <br /> ん?こっちの曲は微妙に涼宮さん反応した。<br /> 似たような経験があるのかな?<br /> <br /> そして、1分ほどしてこちらも演奏を終える。<br /> 「ありがとうみんな。他にも文化祭用に曲作ってるから、まだまだ先のことだけど、よかったら見に来て」<br /> これから、部員になるであろう人がほとんどだから、ちょっと変な言葉かもしれないけどね。<br /> 一応、そう言っておく。<br /> <br /> 「それじゃあ、今から、じゃんじゃん基礎から教えてくから、自分がやりたいパートに分かれてちょうだい」<br /> <br /> そう言うと、ほとんどの人はボーカルとドラムに行ってしまった。<br /> おーい、さっきのあたしのギターテク見たでしょうが。<br /> <br /> とは言ってもまあ、あたしのもとに一人も来なかったわけではなく、その中に先ほどの涼宮さんがいた。<br /> この子はボーカルのほうがあってると思うんだけどなー。<br /> まあ、ギター、ボーカル両方こなすのが一番いいかもしれないけど。<br /> <br /> 「じゃあ、コードから教えるわよ」<br /> そういいながら、みんなにギターを渡して、あたしはギターの基礎を教え始めた。<br /> 思ったより、みんな覚えが悪いなーと思う中で一人、涼宮さんは完璧にあたしが言うことをこなした。<br /> やったことあるのかな?そう思って聞いてみると。<br /> 「ない」<br /> と、短い返事。<br /> これまたはっきりした口調で。<br /> <br /> その後、あたしは他になかなかできない人でつきっきり、涼宮さんは他のメンバーのところに行った。<br /> 今度は、ボーカルの美夕紀のところに行ったみたい。<br /> やっぱり、あの子は声的にボーカルがあってると思うんだよね。うん。<br /> <br /> 「さっきの歌の歌詞どこ?後、譜面。それとテープ」<br /> 「えっと、それはこっちに」<br /> 「ふーん・・・」<br /> 何するんだろ?<br /> まさか、ここで歌う・・・なんてことはないと思うんだけど・・・<br /> <br /> と、思ったらそのまさかだった。<br /> いきなりマイクの電源入れて、ボーカル用のテープ流しだすと、急に歌いだした。<br /> 最初、部長のあたしが止めに入ろうと思ったんだけど、これが、すっごいうまい!<br /> 普通に圧倒され、聴き入ってしまった。<br /> それは、あたしだけでなく、この部室にいる全員が・・・。<br /> <br /> 「あなたがいて、私がいて、他の人は消えてしまった」<br /> <br /> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<br /> <br /> 結局、涼宮さんは軽音楽部に入部してこなかった。<br /> 他の部活の友だちの話によると、いろんな部活に仮入部しているみたい。<br /> みんなの気持ちは一緒。<br /> やめてほしくなかった・・・と。<br /> もちろん、あたし達もね。<br /> あの実力をいかせきれないのは惜しいよ。<br /> <br /> そのうち何かあったら、ピンチヒッターでもやってもらおうかな?</div>
<div class="main">今年もこの季節がやってきた。<br /> あたしが、この学校に入学して3回目の春。<br /> <br /> さてさて、あたしは今、部室でこれ以上来るかどうか分からない、1年生を待っている。<br /> というのも、今日が仮入部できる初日だからだ。<br /> でも、そろそろ・・・かな?<br /> <br /> とりあえず、あたしは、目の前で適当に並んでいる1年生にむかって挨拶することにした。<br /> ちょっと緊張するけどね。<br /> 「みなさん、今日は軽音楽部に来てくれてありがとうございます。あたしが、部長の中西です」<br /> 改まった挨拶は苦手なんだけどね。<br /> 去年、一昨年に先輩がやっていたようにやる。<br /> <br /> 「じゃあ、まずは名前聞いていこうか」<br /> と、名前を聞いていって、その中に一人、髪の長い女の子。<br /> <br /> 涼宮ハルヒ<br /> <br /> はっきりと名前を言ってくれたから聞き取りやすかった。<br /> うんうん、こういう子がボーカルするといいよね。<br /> やっぱ、歌は聴き取りやすく歌うのが一番だし。<br /> <br /> さて、一通り名前を聞いて、ここから何をするか。<br /> 「じゃあ、今から、あたしたちが演奏するから、しっかり聴いてて<br /> 毎年これはお決まりらしい。<br /> それからあたしはギターを手に取り、目の前にある小さいステージに立つ。<br /> 「じゃあ、まずは軽くメンバー紹介からいこうか。ボーカルが榎本美夕紀、あたしがギターで中西貴子、ドラムが岡島瑞樹で、ベースが財前舞<br /> 4人の頭文字を取って、ENOZっていう名前のグループ名」<br /> そこで、あたしは一度、深呼吸する。<br /> 「じゃあ、やるよ!」<br /> それからドラムの瑞樹に合図して、演奏を始めた。<br /> <br /> 「わたしついていくよどんなつらい世界の闇の中でさえ」<br /> <br /> ボーカルの美夕紀の相変わらずキレイな声が、部室に響き渡る。<br /> 1年生のみんなも、その歌に夢中になっているよう。<br /> みんな、自然に体が動いている感じだし。<br /> <br /> そして、最後にあたしのソロがあり、1曲目終了。<br /> みんなからは拍手喝采。<br /> 掴みはOKかな?<br /> <br /> と思ったんだけど、一人、先ほどと変わらず何もしないで立っているのが一人。<br /> 涼宮さんだ。<br /> うーん、まあ年齢が年齢だからそういう人が一人ぐらいいてもおかしくないけど、ちょっと残念。<br /> <br /> それより、礼を述べなきゃ。<br /> 「みんな聴いてくれてありがとう。今の曲はオリジナル曲で、『God knows...』っていう曲。まだまだ練習中だけど、これからうまくなっていく予定だから」<br /> と、ここまで言うと。<br /> 「いや、全然うまいっすよ」とか「作詞作曲だけでもすごいのに!」とかいう声が聞こえてきた。<br /> なかなか、うれしいこと言ってくれるじゃん、1年生。<br /> <br /> で、最後のほうには、アンコールと言う声まで・・・<br /> そして、その声がだんだん大きくなる。<br /> ライブならともかく、見本で見せるものなんだから・・・。<br /> 「まあいいや、じゃあもう1曲だけ」<br /> そう言うと、「ヒュー!」とか「イェーイ!」とか聞こえてくる。<br /> あたしは、美夕紀と瑞樹と舞のほうを振り向き、「『Lost my music』で」と言って、2曲目を演奏し始めた。<br /> それから先ほどと同じように瑞樹に合図。<br /> また、演奏が始まる。<br /> <br /> 「あなたは今、ドコで誰といるのでしょう」<br /> <br /> ん?こっちの曲は微妙に涼宮さん反応した。<br /> 似たような経験があるのかな?<br /> <br /> そして、1分ほどしてこちらも演奏を終える。<br /> 「ありがとうみんな。他にも文化祭用に曲作ってるから、まだまだ先のことだけど、よかったら見に来て」<br /> これから、部員になるであろう人がほとんどだから、ちょっと変な言葉かもしれないけどね。<br /> 一応、そう言っておく。<br /> <br /> 「それじゃあ、今から、じゃんじゃん基礎から教えてくから、自分がやりたいパートに分かれてちょうだい」<br /> <br /> そう言うと、ほとんどの人はボーカルとドラムに行ってしまった。<br /> おーい、さっきのあたしのギターテク見たでしょうが。<br /> <br /> とは言ってもまあ、あたしのもとに一人も来なかったわけではなく、その中に先ほどの涼宮さんがいた。<br /> この子はボーカルのほうがあってると思うんだけどなー。<br /> まあ、ギター、ボーカル両方こなすのが一番いいかもしれないけど。<br /> <br /> 「じゃあ、コードから教えるわよ」<br /> そういいながら、みんなにギターを渡して、あたしはギターの基礎を教え始めた。<br /> 思ったより、みんな覚えが悪いなーと思う中で一人、涼宮さんは完璧にあたしが言うことをこなした。<br /> やったことあるのかな?そう思って聞いてみると。<br /> 「ない」<br /> と、短い返事。<br /> これまたはっきりした口調で。<br /> <br /> その後、あたしは他になかなかできない人でつきっきり、涼宮さんは他のメンバーのところに行った。<br /> 今度は、ボーカルの美夕紀のところに行ったみたい。<br /> やっぱり、あの子は声的にボーカルがあってると思うんだよね。うん。<br /> <br /> 「さっきの歌の歌詞どこ?後、譜面。それとテープ」<br /> 「えっと、それはこっちに」<br /> 「ふーん・・・」<br /> 何するんだろ?<br /> まさか、ここで歌う・・・なんてことはないと思うんだけど・・・<br /> <br /> と、思ったらそのまさかだった。<br /> いきなりマイクの電源入れて、ボーカル用のテープ流しだすと、急に歌いだした。<br /> 最初、部長のあたしが止めに入ろうと思ったんだけど、これが、すっごいうまい!<br /> 普通に圧倒され、聴き入ってしまった。<br /> それは、あたしだけでなく、この部室にいる全員が・・・。<br /> <br /> 「あなたがいて、私がいて、他の人は消えてしまった」<br /> <br /> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<br /> <br /> 結局、涼宮さんは軽音楽部に入部してこなかった。<br /> 他の部活の友だちの話によると、いろんな部活に仮入部しているみたい。<br /> みんなの気持ちは一緒。<br /> やめてほしくなかった・・・と。<br /> もちろん、あたし達もね。<br /> あの実力をいかせきれないのは惜しいよ。<br /> <br /> そのうち何かあったら、ピンチヒッターでもやってもらおうかな?<br /></div>

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