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みなさん、こんにちは。……もしかしたら、こんばんはでしょうか? それとも、おはようございますかな?<br />
うーん、挨拶はなんでもよかったですね。失礼しました、朝比奈みくるです。今日はすこし、わたしのことをお話しようかと思います。<br />
ええ、みなさんもご存知のとおり、わたしは鶴屋さんと同学年で、涼宮さんたちから見たらひとつ先輩になります。だから、SOS団のみんなとは、一年はやくお別れということになってしまいました。<br />
もともと、見習い時間駐在員としてのわたしの仕事は北高卒業までで、以降はとりあえず自分の時代に帰還することが決まっていました。そのごどうなるかは未定で、努力次第で出世していくかもしれないし、あんまりかわらないかもしれない、現状はそんな感じです。<br />
わたしが、涼宮さんの監視任務というものすごく重要な仕事の一端をまかされた理由は、いろいろあろうかと思います。『あろうかと思います』なんて、ちょっとぼやけた言いかたですが、これは禁則事項とかではありません。単純に、まだまだ下っ端なので、くわしくしらされていないのです。<br />
ただ、年齢――いちおう、鶴屋さんと同い年というのはほんとうです。早生まれですが――とか血縁とかを考慮した結果ではないかという気はしています。<br />
というのも、どうやらわたしは、SOS団メンバーの子孫のひとりみたいなのです。<br />
もちろん、時代がずいぶん違うので、いろいろと混ざってはいますけどね。だれのというより、鶴屋さんや涼宮さんのクラスのかたなど、準団員とかもあわせた全員の子孫というふうにいったほうが適切かしら。<br />
はい? 涼宮さんとキョンくんはむすばれたかですか? それは、とりあえず禁則事項ということで。うふふ。<br />
おほん。お話がそれてしまいました。さきにもいったとおり、わたしは涼宮さんとはじめて会ったときに十六、卒業時点でも十八という年齢で、重大な任務につくことになりました。駐在員として選ばれたのは、時空管理局の判断ですが、そもそもこの職業を志願したのは自分の意思でした。<br />
なぜ、そんな年で、時空管理局職員になろうと思ったのかというと、端的にいえば、家族、とりわけお父さんとお母さんに恩返しがしたかったからになります。<br />
TPDD、時間平面破壊装置は、わたしの時代では、みなさんの時代でいうところの携帯電話ていどにはだれでも持っているもので、おもに通信や限定的な空間移動にのみ使われています。<br />
時間移動を規制する法律はありますが、無許可でやろうとする人間はめったにいません。適性のない人間が、補助もなくむりに時間跳躍しても、時間平面のはざまに飛ばされて帰ってこられなくなる可能性が高いからです。<br />
特別な才能が必要であるため、時間移動適性をもつ人間は一定の尊敬をうけており、時空管理局職員は名誉なエリートとしてあつかわれています。当然、身内がその職業につくことになれば、家族の鼻も高くなります。<br />
だから、血のつながらない両親ではありましたが、わたしはあの人たちの誇りになるために、だめもとで志願してみました。すると、なんと受かってしまったわけです。びっくりですね。<br />
まあ、キョンくんにいわせれば、わたしの時間跳躍はずいぶんと酔うみたいですから、才能があるといってもたいしたものではないのでしょうけども。<br />
……血縁上のお父さんとお母さんですか? わたしが生まれるまえに、乗り物の事故で亡くなってしまいました。もっとも、こういってはなんですが、会ったこともないひとたちなので、正直ぜんぜんぴんとこなかったりします。<br />
あ、生まれるまえというのは、ちょっとわかりにくい言いかたでしたね。ようするに、わたしが胎児だったころという意味です。みなさんの時代だと、まだまだ技術が確立されていないみたいですが、こちらではいろいろな方法でそういうことが可能なのです。<br />
とにかく、わたしは、本来なら生まれてこなかったはずの人間でした。命をうしなうまえに、善意の第三者さんのお腹にうつされたことで、生きる機会をあたえられたのです。<br />
善意の第三者さんは、はじめわたしを自分の子供として産み、育てようとしてくださいました。ところが、仕事がいそがしくなったとかで、どうしても養育がむりになってしまったのだそうです<br />
その結果、当時二歳だったわたしは、里子にだされました。<br />
いまの両親は、そんなわたしをひきとって、ほんとうの娘のように育ててくれました。<br />
両親の恩にむくいるために、わたしは時空管理局のなかで、出世していきたいと願っています。もちろん、いまとなっては、北高で出会った大切なひとたちとの思い出を守るためにも、できるだけ自分の意見を通せるような立場になりたいという気持ちもあります。<br />
すこし、前置きがくどくなってしまいましたね。これからするのは、卒業にともなう鶴屋さんやSOS団とのお別れ、そしてそのご、時空管理局でがんばっていこうという決意をあらたにするきっかけになった一連のできごとについてです。ながながと、ごめんなさい。<br />
では、どうぞ。<br /><br /><p><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6456.html">次へ</a></p>
みなさん、こんにちは。……もしかしたら、こんばんはでしょうか? それとも、おはようございますかな?<br />
うーん、挨拶はなんでもよかったですね。失礼しました、朝比奈みくるです。今日はすこし、わたしのことをお話しようかと思います。<br />
ええ、みなさんもご存知のとおり、わたしは鶴屋さんと同学年で、涼宮さんたちから見たらひとつ先輩になります。だから、SOS団のみんなとは、一年はやくお別れということになってしまいました。<br />
もともと、見習い時間駐在員としてのわたしの仕事は北高卒業までで、以降はとりあえず自分の時代に帰還することが決まっていました。そのごどうなるかは未定で、努力次第で出世していくかもしれないし、あんまりかわらないかもしれない、現状はそんな感じです。<br />
わたしが、涼宮さんの監視任務というものすごく重要な仕事の一端をまかされた理由は、いろいろあろうかと思います。『あろうかと思います』なんて、ちょっとぼやけた言いかたですが、これは禁則事項とかではありません。単純に、まだまだ下っ端なので、くわしくしらされていないのです。<br />
ただ、年齢――いちおう、鶴屋さんと同い年というのはほんとうです。早生まれですが――とか血縁とかを考慮した結果ではないかという気はしています。<br />
というのも、どうやらわたしは、SOS団メンバーの子孫のひとりみたいなのです。<br />
もちろん、時代がずいぶん違うので、いろいろと混ざってはいますけどね。だれのというより、鶴屋さんや涼宮さんのクラスのかたなど、準団員とかもあわせた全員の子孫というふうにいったほうが適切かしら。<br />
はい? 涼宮さんとキョンくんはむすばれたかですか? それは、とりあえず禁則事項ということで。うふふ。<br />
おほん。お話がそれてしまいました。さきにもいったとおり、わたしは涼宮さんとはじめて会ったときに十六、卒業時点でも十八という年齢で、重大な任務につくことになりました。駐在員として選ばれたのは、時空管理局の判断ですが、そもそもこの職業を志願したのは自分の意思でした。<br />
なぜ、そんな年で、時空管理局職員になろうと思ったのかというと、端的にいえば、家族、とりわけお父さんとお母さんに恩返しがしたかったからになります。<br />
TPDD、時間平面破壊装置は、わたしの時代では、みなさんの時代でいうところの携帯電話ていどにはだれでも持っているもので、おもに通信や限定的な空間移動にのみ使われています。<br />
時間移動を規制する法律はありますが、無許可でやろうとする人間はめったにいません。適性のない人間が、補助もなくむりに時間跳躍しても、時間平面のはざまに飛ばされて帰ってこられなくなる可能性が高いからです。<br />
特別な才能が必要であるため、時間移動適性をもつ人間は一定の尊敬をうけており、時空管理局職員は名誉なエリートとしてあつかわれています。当然、身内がその職業につくことになれば、家族の鼻も高くなります。<br />
だから、血のつながらない両親ではありましたが、わたしはあの人たちの誇りになるために、だめもとで志願してみました。すると、なんと受かってしまったわけです。びっくりですね。<br />
まあ、キョンくんにいわせれば、わたしの時間跳躍はずいぶんと酔うみたいですから、才能があるといってもたいしたものではないのでしょうけども。<br />
……血縁上のお父さんとお母さんですか? わたしが生まれるまえに、乗り物の事故で亡くなってしまいました。もっとも、こういってはなんですが、会ったこともないひとたちなので、正直ぜんぜんぴんとこなかったりします。<br />
あ、生まれるまえというのは、ちょっとわかりにくい言いかたでしたね。ようするに、わたしが胎児だったころという意味です。みなさんの時代だと、まだまだ技術が確立されていないみたいですが、こちらではいろいろな方法でそういうことが可能なのです。<br />
とにかく、わたしは、本来なら生まれてこなかったはずの人間でした。命をうしなうまえに、善意の第三者さんのお腹にうつされたことで、生きる機会をあたえられたのです。<br />
善意の第三者さんは、はじめわたしを自分の子供として産み、育てようとしてくださいました。ところが、仕事がいそがしくなったとかで、どうしても養育がむりになってしまったのだそうです<br />
その結果、当時二歳だったわたしは、里子にだされました。<br />
いまの両親は、そんなわたしをひきとって、ほんとうの娘のように育ててくれました。<br />
両親の恩にむくいるために、わたしは時空管理局のなかで、出世していきたいと願っています。もちろん、いまとなっては、北高で出会った大切なひとたちとの思い出を守るためにも、できるだけ自分の意見を通せるような立場になりたいという気持ちもあります。<br />
すこし、前置きがくどくなってしまいましたね。これからするのは、卒業にともなう鶴屋さんやSOS団とのお別れ、そしてそのご、時空管理局でがんばっていこうという決意をあらたにするきっかけになった一連のできごとについてです。ながながと、ごめんなさい。<br />
では、どうぞ。<br />
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