「a long wrong way 三章」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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<div class="main">
<div>
ハルヒが出て行った教室に俺はしばらく残っていた。<br>
そんな俺に阪中が恐る恐るといったふうに近付く。<br>
「ねえ、涼宮さんの送迎会に、行かないの?」<br>
聞いてただろう、俺は呼ばれてないんだよ。<br>
「行ってあげたら喜ぶと思うよ」<br>
怒るだけだと思うがな。<br>
「ちょっと、様子見るだけでも、ね?」<br></div>
<br>
<div>その後も俺たちは押し問答を繰り広げ、最終的に<br>
阪中に押し切られる形で俺は文芸部室前に行くことになった。<br>
中からいい匂いが漂ってくる。また、鍋か。<br>
入って、と眼で阪中が言っている。<br>
俺がドアノブに手を掛けた丁度そのときにハルヒが中で叫んだ。<br>
「あいつは『ただの』一般人よ!」<br>
いつの間にかあいつの中で俺はそこまで格下げされていたらしい。<br>
それはだいぶきつかった。<br>
確かに俺は平々凡々な一般人だが、<br>
それなりに団員として――こう言っていいのか甚だ疑問だが――<br>
誇りを持っていた。それを踏みにじられた気分である。<br>
何よりも、ハルヒがまだ拒絶の態度を崩していないのがショックだった。<br>
「やっぱり、帰る」<br>
そう言って俺は部室前を後にした。<br></div>
<br>
<br>
<div>あいつはどこまで意地っ張りなんだ。<br>
それとも本気で俺が嫌になったか。<br>
……どっちにしろ、もう終わりだ。<br>
明日、ハルヒはずっと遠いところへ行っちまう。<br>
もう、会うことはないのだろう。<br>
そんなことを考えながら寝転がっていたのがまずかった。<br>
</div>
<br>
<div>
俺はそのまま寝てしまい、結局二日連続で晩飯を抜くはめになった。<br>
</div>
<br>
<div>「だるい……」<br>
晩飯を抜いたうえに、私服のまま寝てしまった俺は次の日、<br>
体調不良と言う名の報いを受けていた。<br>
「今日は、坂の途中で野垂れ死ぬかもな……」<br></div>
<br>
<div>どうにか、こうにか到着した教室で<br>
ぽつんと一つ、座る主がいない机があった。<br>
「そういえば、今日出発だったか」<br>
意識しちまうと、もう駄目だな。授業に身が入らない。<br>
一時間目が終わると俺は荷物を持たずに教室を出た。<br></div>
<br>
<div>
「まさか、体調不良がこんなところで仇になるとはな」<br>
学校を走って出たのは良いが、俺の体力が尽きるのは早かった。<br>
息も絶え絶えな俺がハルヒの家についたとき、<br>
そこには誰もいなかった。<br>
「遅かったか……」<br>
ここから遠くに見えるあの車に乗ってるのか?<br>
……そんなわけはないな。<br>
「結局、駄目だったか」<br>
俺は独り言のつもりで言った。<br>
だから後ろから答えが返って来た時、それはもう驚いた。<br>
「そうみたいですね」<br>
「古泉?」<br>
なんでお前がここにいるんだ。<br>
「僕だけではありませんよ」<br>
古泉の後ろには朝比奈さんに長門がいた。<br>
「あなたが学校を飛び出したと聞きまして、慌てて追いかけたわけです。<br>
しかし、あなたも不思議な人ですね。何も今日じゃなくて<br>
昨日謝ってしまえばよかったのに」<br>
心底呆れたといったような口調で言う。<br>
「俺だってそのつもりだったさ。<br>
ところがあいつは俺の顔見るなり<br>
『これでもうあたしに会わないですむわね』<br>
だぞ?そりゃ、謝る気もなくなるだろう」<br>
俺が聞いた中で最大級の溜め息。<br>
「本当に困った人達だ」<br>
悪かったな。<br></div>
<br>
<div>「まあ、本題に入りましょうか」<br>
今のは違うのか?<br>
「ええ。取りあえず今後の僕たちの<br>
身のふり方に付いてお教えしておきます。<br>
僕は二学期の終わりに転校します。<br>
さすがに今度は彼女と同じ学校とはいきませんが、<br>
それなりに近いところに行きます」<br>
なんで転校する必要がある?<br>
「お忘れですか?あくまで僕の仕事は涼宮さんの監視と<br>
閉鎖空間の対処です。ここまで言えばわかりますよね」<br>
ああ、分かりすぎるぐらいだ。<br>
「長門と朝比奈さんもですね」<br>
こくりとうなずく長門。<br>
しかし朝比奈さんは首を振った。<br>
「あたしはもともと今年までしかこの時間平面にいられないんです。<br>
だから、卒業と一緒にお別れです」<br>
「本当はもう少しあなたといたかったのですが、仕方ありません」<br>
そうだな。仕方がない。<br>
「取りあえず、そんな予定です。もしかしたら<br>
また、どこかで会うかもしれませんが」<br>
そう言って、古泉は身を翻した。<br>
長門はその顔に寂しさを滲ませて去っていった。<br></div>
<br>
<div>「まだ、早いけど、さようなら、キョン君<br>
楽しかったです」<br>
朝比奈さんはそう言い残して去った。涙とともに。<br></div>
<br>
<div>ああ、俺は全部無くしちまったんだな。<br>
高校生活そのものといっていいSOS団を。<br>
正直に言って、俺はあいつらの目的を忘れてた。<br>
いや、意識する必要がなかった。<br>
なぜなら、俺はずっとハルヒといるつもりだったから。<br>
でも、そうじゃなくなった。<br>
一体どうしてこんなことになったのか。<br>
誰も答えてはくれない。<br></div>
<br>
<br>
<ul>
<li><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/706.html"><font color=
"#666666">四章</font></a></li>
</ul>
</div>
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<div>ハルヒが出て行った教室に俺はしばらく残っていた。<br />
そんな俺に阪中が恐る恐るといったふうに近付く。<br />
「ねえ、涼宮さんの送迎会に、行かないの?」<br />
聞いてただろう、俺は呼ばれてないんだよ。<br />
「行ってあげたら喜ぶと思うよ」<br />
怒るだけだと思うがな。<br />
「ちょっと、様子見るだけでも、ね?」</div>
<div>その後も俺たちは押し問答を繰り広げ、最終的に<br />
阪中に押し切られる形で俺は文芸部室前に行くことになった。<br />
中からいい匂いが漂ってくる。また、鍋か。<br />
入って、と眼で阪中が言っている。<br />
俺がドアノブに手を掛けた丁度そのときにハルヒが中で叫んだ。<br />
「あいつは『ただの』一般人よ!」<br />
いつの間にかあいつの中で俺はそこまで格下げされていたらしい。<br />
それはだいぶきつかった。<br />
確かに俺は平々凡々な一般人だが、<br />
それなりに団員として――こう言っていいのか甚だ疑問だが――<br />
誇りを持っていた。それを踏みにじられた気分である。<br />
何よりも、ハルヒがまだ拒絶の態度を崩していないのがショックだった。<br />
「やっぱり、帰る」<br />
そう言って俺は部室前を後にした。</div>
<div>あいつはどこまで意地っ張りなんだ。<br />
それとも本気で俺が嫌になったか。<br />
……どっちにしろ、もう終わりだ。<br />
明日、ハルヒはずっと遠いところへ行っちまう。<br />
もう、会うことはないのだろう。<br />
そんなことを考えながら寝転がっていたのがまずかった。</div>
<div>俺はそのまま寝てしまい、結局二日連続で晩飯を抜くはめになった。</div>
<div>「だるい……」<br />
晩飯を抜いたうえに、私服のまま寝てしまった俺は次の日、<br />
体調不良と言う名の報いを受けていた。<br />
「今日は、坂の途中で野垂れ死ぬかもな……」</div>
<div>どうにか、こうにか到着した教室で<br />
ぽつんと一つ、座る主がいない机があった。<br />
「そういえば、今日出発だったか」<br />
意識しちまうと、もう駄目だな。授業に身が入らない。<br />
一時間目が終わると俺は荷物を持たずに教室を出た。</div>
<div>「まさか、体調不良がこんなところで仇になるとはな」<br />
学校を走って出たのは良いが、俺の体力が尽きるのは早かった。<br />
息も絶え絶えな俺がハルヒの家についたとき、<br />
そこには誰もいなかった。<br />
「遅かったか……」<br />
ここから遠くに見えるあの車に乗ってるのか?<br />
……そんなわけはないな。<br />
「結局、駄目だったか」<br />
俺は独り言のつもりで言った。<br />
だから後ろから答えが返って来た時、それはもう驚いた。<br />
「そうみたいですね」<br />
「古泉?」<br />
なんでお前がここにいるんだ。<br />
「僕だけではありませんよ」<br />
古泉の後ろには朝比奈さんに長門がいた。<br />
「あなたが学校を飛び出したと聞きまして、慌てて追いかけたわけです。<br />
しかし、あなたも不思議な人ですね。何も今日じゃなくて<br />
昨日謝ってしまえばよかったのに」<br />
心底呆れたといったような口調で言う。<br />
「俺だってそのつもりだったさ。<br />
ところがあいつは俺の顔見るなり<br />
『これでもうあたしに会わないですむわね』<br />
だぞ?そりゃ、謝る気もなくなるだろう」<br />
俺が聞いた中で最大級の溜め息。<br />
「本当に困った人達だ」<br />
悪かったな。</div>
<div>「まあ、本題に入りましょうか」<br />
今のは違うのか?<br />
「ええ。取りあえず今後の僕たちの<br />
身のふり方に付いてお教えしておきます。<br />
僕は二学期の終わりに転校します。<br />
さすがに今度は彼女と同じ学校とはいきませんが、<br />
それなりに近いところに行きます」<br />
なんで転校する必要がある?<br />
「お忘れですか?あくまで僕の仕事は涼宮さんの監視と<br />
閉鎖空間の対処です。ここまで言えばわかりますよね」<br />
ああ、分かりすぎるぐらいだ。<br />
「長門と朝比奈さんもですね」<br />
こくりとうなずく長門。<br />
しかし朝比奈さんは首を振った。<br />
「あたしはもともと今年までしかこの時間平面にいられないんです。<br />
だから、卒業と一緒にお別れです」<br />
「本当はもう少しあなたといたかったのですが、仕方ありません」<br />
そうだな。仕方がない。<br />
「取りあえず、そんな予定です。もしかしたら<br />
また、どこかで会うかもしれませんが」<br />
そう言って、古泉は身を翻した。<br />
長門はその顔に寂しさを滲ませて去っていった。</div>
<div>「まだ、早いけど、さようなら、キョン君<br />
楽しかったです」<br />
朝比奈さんはそう言い残して去った。涙とともに。</div>
<div>ああ、俺は全部無くしちまったんだな。<br />
高校生活そのものといっていいSOS団を。<br />
正直に言って、俺はあいつらの目的を忘れてた。<br />
いや、意識する必要がなかった。<br />
なぜなら、俺はずっとハルヒといるつもりだったから。<br />
でも、そうじゃなくなった。<br />
一体どうしてこんなことになったのか。<br />
誰も答えてはくれない。</div>
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<li><a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/706.html"><font color="#666666">四章</font></a></li>
</ul>
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