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a long wrong way 三章」(2020/03/13 (金) 01:07:43) の最新版変更点

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<div class="main"> <div> ハルヒが出て行った教室に俺はしばらく残っていた。<br> そんな俺に阪中が恐る恐るといったふうに近付く。<br> 「ねえ、涼宮さんの送迎会に、行かないの?」<br> 聞いてただろう、俺は呼ばれてないんだよ。<br> 「行ってあげたら喜ぶと思うよ」<br> 怒るだけだと思うがな。<br> 「ちょっと、様子見るだけでも、ね?」<br></div> <br> <div>その後も俺たちは押し問答を繰り広げ、最終的に<br> 阪中に押し切られる形で俺は文芸部室前に行くことになった。<br> 中からいい匂いが漂ってくる。また、鍋か。<br> 入って、と眼で阪中が言っている。<br> 俺がドアノブに手を掛けた丁度そのときにハルヒが中で叫んだ。<br> 「あいつは『ただの』一般人よ!」<br> いつの間にかあいつの中で俺はそこまで格下げされていたらしい。<br> それはだいぶきつかった。<br> 確かに俺は平々凡々な一般人だが、<br> それなりに団員として――こう言っていいのか甚だ疑問だが――<br> 誇りを持っていた。それを踏みにじられた気分である。<br> 何よりも、ハルヒがまだ拒絶の態度を崩していないのがショックだった。<br> 「やっぱり、帰る」<br> そう言って俺は部室前を後にした。<br></div> <br> <br> <div>あいつはどこまで意地っ張りなんだ。<br> それとも本気で俺が嫌になったか。<br> ……どっちにしろ、もう終わりだ。<br> 明日、ハルヒはずっと遠いところへ行っちまう。<br> もう、会うことはないのだろう。<br> そんなことを考えながら寝転がっていたのがまずかった。<br> </div> <br> <div> 俺はそのまま寝てしまい、結局二日連続で晩飯を抜くはめになった。<br> </div> <br> <div>「だるい……」<br> 晩飯を抜いたうえに、私服のまま寝てしまった俺は次の日、<br> 体調不良と言う名の報いを受けていた。<br> 「今日は、坂の途中で野垂れ死ぬかもな……」<br></div> <br> <div>どうにか、こうにか到着した教室で<br> ぽつんと一つ、座る主がいない机があった。<br> 「そういえば、今日出発だったか」<br> 意識しちまうと、もう駄目だな。授業に身が入らない。<br> 一時間目が終わると俺は荷物を持たずに教室を出た。<br></div> <br> <div> 「まさか、体調不良がこんなところで仇になるとはな」<br> 学校を走って出たのは良いが、俺の体力が尽きるのは早かった。<br> 息も絶え絶えな俺がハルヒの家についたとき、<br> そこには誰もいなかった。<br> 「遅かったか……」<br> ここから遠くに見えるあの車に乗ってるのか?<br> ……そんなわけはないな。<br> 「結局、駄目だったか」<br> 俺は独り言のつもりで言った。<br> だから後ろから答えが返って来た時、それはもう驚いた。<br> 「そうみたいですね」<br> 「古泉?」<br> なんでお前がここにいるんだ。<br> 「僕だけではありませんよ」<br> 古泉の後ろには朝比奈さんに長門がいた。<br> 「あなたが学校を飛び出したと聞きまして、慌てて追いかけたわけです。<br> しかし、あなたも不思議な人ですね。何も今日じゃなくて<br> 昨日謝ってしまえばよかったのに」<br> 心底呆れたといったような口調で言う。<br> 「俺だってそのつもりだったさ。<br> ところがあいつは俺の顔見るなり<br> 『これでもうあたしに会わないですむわね』<br> だぞ?そりゃ、謝る気もなくなるだろう」<br> 俺が聞いた中で最大級の溜め息。<br> 「本当に困った人達だ」<br> 悪かったな。<br></div> <br> <div>「まあ、本題に入りましょうか」<br> 今のは違うのか?<br> 「ええ。取りあえず今後の僕たちの<br> 身のふり方に付いてお教えしておきます。<br> 僕は二学期の終わりに転校します。<br> さすがに今度は彼女と同じ学校とはいきませんが、<br> それなりに近いところに行きます」<br> なんで転校する必要がある?<br> 「お忘れですか?あくまで僕の仕事は涼宮さんの監視と<br> 閉鎖空間の対処です。ここまで言えばわかりますよね」<br> ああ、分かりすぎるぐらいだ。<br> 「長門と朝比奈さんもですね」<br> こくりとうなずく長門。<br> しかし朝比奈さんは首を振った。<br> 「あたしはもともと今年までしかこの時間平面にいられないんです。<br> だから、卒業と一緒にお別れです」<br> 「本当はもう少しあなたといたかったのですが、仕方ありません」<br> そうだな。仕方がない。<br> 「取りあえず、そんな予定です。もしかしたら<br> また、どこかで会うかもしれませんが」<br> そう言って、古泉は身を翻した。<br> 長門はその顔に寂しさを滲ませて去っていった。<br></div> <br> <div>「まだ、早いけど、さようなら、キョン君<br> 楽しかったです」<br> 朝比奈さんはそう言い残して去った。涙とともに。<br></div> <br> <div>ああ、俺は全部無くしちまったんだな。<br> 高校生活そのものといっていいSOS団を。<br> 正直に言って、俺はあいつらの目的を忘れてた。<br> いや、意識する必要がなかった。<br> なぜなら、俺はずっとハルヒといるつもりだったから。<br> でも、そうじゃなくなった。<br> 一体どうしてこんなことになったのか。<br> 誰も答えてはくれない。<br></div> <br> <br> <ul> <li><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/706.html"><font color= "#666666">四章</font></a></li> </ul> </div> <!-- ad -->
<div class="main"> <div>ハルヒが出て行った教室に俺はしばらく残っていた。<br /> そんな俺に阪中が恐る恐るといったふうに近付く。<br /> 「ねえ、涼宮さんの送迎会に、行かないの?」<br /> 聞いてただろう、俺は呼ばれてないんだよ。<br /> 「行ってあげたら喜ぶと思うよ」<br /> 怒るだけだと思うがな。<br /> 「ちょっと、様子見るだけでも、ね?」</div>   <div>その後も俺たちは押し問答を繰り広げ、最終的に<br /> 阪中に押し切られる形で俺は文芸部室前に行くことになった。<br /> 中からいい匂いが漂ってくる。また、鍋か。<br /> 入って、と眼で阪中が言っている。<br /> 俺がドアノブに手を掛けた丁度そのときにハルヒが中で叫んだ。<br /> 「あいつは『ただの』一般人よ!」<br /> いつの間にかあいつの中で俺はそこまで格下げされていたらしい。<br /> それはだいぶきつかった。<br /> 確かに俺は平々凡々な一般人だが、<br /> それなりに団員として――こう言っていいのか甚だ疑問だが――<br /> 誇りを持っていた。それを踏みにじられた気分である。<br /> 何よりも、ハルヒがまだ拒絶の態度を崩していないのがショックだった。<br /> 「やっぱり、帰る」<br /> そう言って俺は部室前を後にした。</div>   <div>あいつはどこまで意地っ張りなんだ。<br /> それとも本気で俺が嫌になったか。<br /> ……どっちにしろ、もう終わりだ。<br /> 明日、ハルヒはずっと遠いところへ行っちまう。<br /> もう、会うことはないのだろう。<br /> そんなことを考えながら寝転がっていたのがまずかった。</div>   <div>俺はそのまま寝てしまい、結局二日連続で晩飯を抜くはめになった。</div>   <div>「だるい……」<br /> 晩飯を抜いたうえに、私服のまま寝てしまった俺は次の日、<br /> 体調不良と言う名の報いを受けていた。<br /> 「今日は、坂の途中で野垂れ死ぬかもな……」</div>   <div>どうにか、こうにか到着した教室で<br /> ぽつんと一つ、座る主がいない机があった。<br /> 「そういえば、今日出発だったか」<br /> 意識しちまうと、もう駄目だな。授業に身が入らない。<br /> 一時間目が終わると俺は荷物を持たずに教室を出た。</div>   <div>「まさか、体調不良がこんなところで仇になるとはな」<br /> 学校を走って出たのは良いが、俺の体力が尽きるのは早かった。<br /> 息も絶え絶えな俺がハルヒの家についたとき、<br /> そこには誰もいなかった。<br /> 「遅かったか……」<br /> ここから遠くに見えるあの車に乗ってるのか?<br /> ……そんなわけはないな。<br /> 「結局、駄目だったか」<br /> 俺は独り言のつもりで言った。<br /> だから後ろから答えが返って来た時、それはもう驚いた。<br /> 「そうみたいですね」<br /> 「古泉?」<br /> なんでお前がここにいるんだ。<br /> 「僕だけではありませんよ」<br /> 古泉の後ろには朝比奈さんに長門がいた。<br /> 「あなたが学校を飛び出したと聞きまして、慌てて追いかけたわけです。<br /> しかし、あなたも不思議な人ですね。何も今日じゃなくて<br /> 昨日謝ってしまえばよかったのに」<br /> 心底呆れたといったような口調で言う。<br /> 「俺だってそのつもりだったさ。<br /> ところがあいつは俺の顔見るなり<br /> 『これでもうあたしに会わないですむわね』<br /> だぞ?そりゃ、謝る気もなくなるだろう」<br /> 俺が聞いた中で最大級の溜め息。<br /> 「本当に困った人達だ」<br /> 悪かったな。</div>   <div>「まあ、本題に入りましょうか」<br /> 今のは違うのか?<br /> 「ええ。取りあえず今後の僕たちの<br /> 身のふり方に付いてお教えしておきます。<br /> 僕は二学期の終わりに転校します。<br /> さすがに今度は彼女と同じ学校とはいきませんが、<br /> それなりに近いところに行きます」<br /> なんで転校する必要がある?<br /> 「お忘れですか?あくまで僕の仕事は涼宮さんの監視と<br /> 閉鎖空間の対処です。ここまで言えばわかりますよね」<br /> ああ、分かりすぎるぐらいだ。<br /> 「長門と朝比奈さんもですね」<br /> こくりとうなずく長門。<br /> しかし朝比奈さんは首を振った。<br /> 「あたしはもともと今年までしかこの時間平面にいられないんです。<br /> だから、卒業と一緒にお別れです」<br /> 「本当はもう少しあなたといたかったのですが、仕方ありません」<br /> そうだな。仕方がない。<br /> 「取りあえず、そんな予定です。もしかしたら<br /> また、どこかで会うかもしれませんが」<br /> そう言って、古泉は身を翻した。<br /> 長門はその顔に寂しさを滲ませて去っていった。</div>   <div>「まだ、早いけど、さようなら、キョン君<br /> 楽しかったです」<br /> 朝比奈さんはそう言い残して去った。涙とともに。</div>   <div>ああ、俺は全部無くしちまったんだな。<br /> 高校生活そのものといっていいSOS団を。<br /> 正直に言って、俺はあいつらの目的を忘れてた。<br /> いや、意識する必要がなかった。<br /> なぜなら、俺はずっとハルヒといるつもりだったから。<br /> でも、そうじゃなくなった。<br /> 一体どうしてこんなことになったのか。<br /> 誰も答えてはくれない。</div>   <ul> <li><a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/706.html"><font color="#666666">四章</font></a></li> </ul> </div>

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