涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「キミがキミで居られるように 第五話「復活の殺人者に対する薔薇の結晶」」で検索した結果

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  • 長編・古泉一樹
    ...機一髪 閉鎖空間記 キミがキミで居られるように 世界の反対側 選択肢の無い世界で スノウマーチ 月光 一樹ちゃん☆スマイル 女古泉 ちゃん の憂鬱 四月の雪 キャッチボールwith古泉球 一樹くんに女神の祝福を! 温泉と札幌 前髪に揺れる四ツ葉ふたつ 雪解けの想い もりのこいずみくん 戦士達の休日 【K.B.F.】 秘密の音色 若葉の頃 新米保父さん一樹は大童 古泉一樹の私情 小さな、親切 Kiss&Kiss 魔法少女フェアリーユキ 刹那主義 赤ク染マル こいずみくん一斉大売り尽くし そらをとぶこいずみくん 『僕』の覚醒 届かぬ想い 古泉一樹の災難 桃色空間奮闘日記 僕は誰だろう 僕と森さんと時々2ch 夏の少女 教科書文通 うそつきの本音 闇に降る雨 笑顔は癖のような感じですよ 一夏の恋 あらしのよるに 恋愛相談 遊園地と花火 それぞれの愛のかたち 古泉一樹の消失 ゲ泉記 スノーホ...
  • 遠距離恋愛 第十八章 佐々木
    第十八章 佐々木   卒業式も終わった3月中旬。大学の合格発表が行われた。 佐々木はもちろん合格した。流石だね。伊達に3年間勉強に身を費やしていた訳じゃない。 朝倉は予定通り、高校卒業後に海外の両親の元へと行くと言うことで俺たちの前から姿を消した。   俺はと言えば……簡潔に言うと、落ちた。いや、落ちたというのは正確じゃないな。 補欠合格という曖昧な立場だ。合格したものの、他の私立大学等に行くために入学を辞退する人間が毎年多少居るので、次点の不合格者を補欠と言う形で「仮合格」させる。しかし、国内でも有数の超一流大学だから、毎年補欠で入学できるのは1人か2人なのだという。だからこの場合「落ちた」と同義な訳だ。   「キョン、残念だよ。キミとまた一緒に学舎に通いたかったのだが」 「……そうだな。約束を守れなくて、すまない」   いよいよ向こうに出発する佐々木を見送りに来ていた俺は、搭乗待合室...
  • ながとぅーみー 第五話「NHK(人間捕食協会)へようこそ!」
    何でこうなるんだ・・・? 「はん・・・ど・・・ぼぉ・・・るやろぅぅう・・・・・」 「岡部は最強クリーチャー扱いかよ!!」 「うわぁぁぁああ!!岡部の顔のタイラントうわぁぁぁあぁああ!!」 ハルヒ達の居る体育館に戻ろうとした俺達の目の前に現れたタイラント・・・もとい岡部。 そんな状態になってもハンドボールと呟くお前の信念は認めるがその爪では出来まい。 由良と成崎を守りつつ戦える俺達だけで必死に銃をぶっ放す。 長門でさえ少し苦悶の表情を浮かべているあたり、どうやら今回の岡部は相当ヤバい。 そして、ウザい。 「長門、古泉!倒すことを考えずに脚を狙って足止めだ!!」 「それしか無いようですね!」 俺達は一斉に脚へと集中砲火を浴びせた。 結果、岡部は呻き声を上げてその場にずっこけた。 そのついでに頭を近くの壁に思いっきりぶつけていた。 なんかすぐに立ち上がって追いかけてきそうな気がするんだが・・・。...
  • 分裂、或いはSのモノドラマ
     ◆ 0 ◆      目が覚めると、そこは見知らぬ場所だった。  ただ、ここがどんな場所かということは未だ半覚醒状態の脳であっても、なんとか判断することが出来た。  なぜならば、俺が突っ伏していたのはどこにでもある一人用机であり、座っていたのは、それに付随するスチールと木で出来た椅子だ。加えて足下は木製のタイル。  そして周囲には同じような机と椅子のセットが並び――顔を上げた先には、俺の日常生活において、平日の1/4以上の時間、視界を占拠するもの――つまり黒板があったからだ。  つまり、ここはどこかの教室ということだ。  どこか、というのは風景に全く見覚えがなかったからだ。小・中・高、どの教室の記憶にも該当しない風景。一体全体なんで俺はこんな所にいるんだろうか。    自分の四肢身体を確認すれば、どうやら俺は制服を着ているらしい。だが、その制服も見覚えのないものだった。  頭...
  • 間違いだらけの文化祭 Scene2
     受験の年に厄介な事を押し付けられちまったな。  ただでさえ英単語や年表で圧迫されている記憶容量に無理矢理詰め込んでるから、フライパンにかけたポップコーンのように頭が破裂しそうだ。  塾のない日は、放課後遅くまで演劇練習で居残りだ。  帰る時間が遅くなる理由を聞いたお袋は色々文句を言っていたが、ロミオとジュリエットの主役を俺と佐々木がやると白状したら(させられた)態度が一転した。 「それなら仕方ないわね、がんばりなさい」で片付いたのだ。  なんだろうね、この変わり身の早さは。  一応ありがたく思っておくか。しつこく説教されるよりはいい。  だが妹と一緒にニヤニヤして俺を見るのは止めろ。  学校でもクラスのやつらがニヤニヤするんで不快指数は鰻上りだ。    そして俺は気づいていなかった。  このとんでもなく疲れる事態に、まだ追加される要素があることを。     「おはようジュリエット」とから...
  • 涼宮ハルヒの団結 第二章
         そんな感慨を抱きつつ、放課後、文芸部室。  今週の頭に生徒会から突如として課せられた、というかハルヒが課したポエム創作に紛糾していたSOS団員であったが、本日その内の二人の悲鳴は安堵の溜息となって開放された。   一人はもちろんであろう古泉だ。  そして残す一人は長門……ではなく、朝比奈さんである。  それぞれの詩を端的に紹介すると、古泉のはこいつが超能力者になる以前、自分の胸に秘めていた世界に対する本音を夢見がちな視点から書き綴ったもので、つまり少年の頃に密かに抱いていた願望をポエムにしたものだった。  朝比奈さんのはテーマが未来予想なものであるにも関わらずほとんど創世記のような内容で、後半に少しだけ未来の世界像が抽象的に書かれているという感じであった。俺の読解によるところでは、本来人間は諸々の管理や調整を行うために生まれており、未来では自然と人間の調和が実現するといった隠...
  • ながとぅーみー
    ながとぅーみー   第一話「粉雪のふる頃に」 第二話「ちょこっとミスだー」 第三話「あれなんて大王」 第四話「夕焼けより血液色な」 第五話「NHK(人間捕食協会)へようこそ!」 第六話「逃げてるぜベイベー★★」 第七話「メルティーバレット Re.Act」 第八話「しにがみのバレット」
  • そしてイブはリンゴを齧る
    「申し訳ありませんが。今は特定のどなたかとお付き合いする事は考えにくいものですので」 「あ…そう、ですか…」    放課後の、人気の無い校舎裏。まだ何か言いたそうにしている新入生の子に「では、失礼します」と一礼して、わたしは足早にこの場を去りました。  少し、素っ気なさ過ぎたでしょうか? でも変に期待を持たせるような言動をして、執着されても困りますし。情報統合思念体の指示で学生生活というものを始めてから何度かこういう場面がありましたが、わたしには人間の恋愛感情というものがいまいち理解できていないので、こういう時の線引きには迷います。  いっその事――いえ、これはエラーに類する考えですね。長門さんの監査役を務めるようになってからでしょうか、どうもこういう非論理的な思考の発生確率が増えてきたような気がします。統合思念体に判断を仰ぐべきでしょうか。でも余計な申告をして、処分を検討されたりして...
  • シフォンの幸福論(藤原・橘)
    「佐々木さん、遅いね」  シフォンを食べ終わった後の、白くて丸い小皿に視線を落としてあたしが呟くと、 「それは独り言なのか、それとも僕に何かを求めているのか分からないな。思考が口をついて出る癖があるのなら直した方がいい。意味がない上に若干迷惑だ。ふん」 「…………もう」  あたしは今、市内の喫茶店で甘いものを頂いてます。それも……未来の使者さんと二人っきりで。  どうしてこんな憂鬱な状況になったのか。  考えるまでもなく、佐々木さんとくーちゃんが遅刻しているから。  ちなみにくーちゃんは周防さんのことで、あの人は何においても素っ気なさすぎだから、せめてもの愛嬌としてあたしがそんなあだ名で呼んでみたりしてるだけです。あたしらしくもないと思うけど、この集団に決起を促すためにはまだまだ献身しなければなりません。 「それにしても……」 「なんだ?」 「あ、いえ、その……なんでもないです」 ……...
  • 感情と距離は反比例する?
     春は出会いの季節とは誰かが言ったかも知れないし、実際に学校生活に置いても社会人生活に置いても、 初々しい新入生や新入社員とかやってくるから、それは歯の浮いたテンプレート的な挨拶ではなく、事実として捉えるべきだろう。 さらに、このぽかぽか陽気で寒すぎず暑すぎないという一年の中に置いても最高の陽気に恵まれているタイミングが、 それを好意的な意味合いとして捉えることを促進している。  もっとも俺が春の訪れに出会ったのは、初顔ではなく懐かしい姿だったわけだが。出会いではなく再会だな。  だが、出会いがいろいろな波紋を呼び起こしてしまうのもまた事実だ。まあSOS団がらみでいろいろ、というのもあるが、 一番うっとうしいのは同じクラスの男女間の清い清くないを含めた上で、非常に興味津々の青春真っ盛りにある男どもである。  特に、入学式以来いそいそと新入生の品定めにいそしみ、目星のついた女子生徒片っ端から...
  • くたばっちまえ
    どこまでも澄み渡る青空、心地よい風が吹き、空には雲ひとつない六月のある日。 いつもは梅雨のため、じめじめとして鬱陶しい季節であるが、この日はからっとした晴天に恵まれ、日差しのわりに暑くもなく過ごし易い一日だった。 いま、僕は教会にいる。そして、目の前では僕が中学生だったあの日から夢にまで見た幸せな光景が広がっている。 教会の窓から差し込む陽光は穏やかで、まるでふたりの幸せを祝福しているように見えた。 どこからともなくオルガンの音が聞こえてきて、その音色は僕の心の奥へと溶け込んでくるようであった。 僕の足元から続くバージンロードの向こうには白いタキシードに身を包んだキョンの姿がある。 いつのころからだっただろうか、僕がキョンに淡い恋心を抱いたのは。いつだったかははっきりと思い出せないが、確かにそれは中学生だった僕の心の中に存在していた。       中学生だった頃、僕は学習塾が終わると、キ...
  • 佐々木「憂鬱だ」キョン「佐々木でも憂鬱になることがあるんだな」 
    「――中学出身、佐々木です。不束者ですが、どうかよろしくお願いします」    振り返ると、そこに佐々木がいた。    中学からの付き合いだから別に振り返ってまで自己紹介を聞かなければいけないほど俺と佐々木の仲は浅いものではなかったのだが、  なんとなくここで振り返っておいたほうがいいような感じがした。    佐々木はゆっくりと、柔らかい皮肉に包まれた微笑を浮かべたままでクラスを見回し、最後に目の前の席に座る俺に視線を合わせた。   「どうかしたのかい、キョン? 不思議そうな顔で僕を見て。ここに僕がいることに何か不都合でも?」   「いや、そんなものはない」    佐々木はくくくと笑った。俺はなんだか恥ずかしくなって前を向いた。    ちなみに、佐々木のこの一言によって直前の俺の自己紹介でクラス全員の脳内メモリに新規作成されたはずの俺の本名は完全に『キョン』で上書きされてしまったらしいことを...
  • 遠距離恋愛 第十一章 親友
    第十一章 親友   新しい学校への登校初日。 昨日中等部に入学したばかりの妹は、早速気の合う友人を見つけたらしい。昨日の夕食時に、溢れんばかりの笑顔で報告してくれた。まあ、この調子でうまく学校に馴染んで欲しいものだ。   「おはようございます」 「おう!おはよう!」 一昨日来た高等部の職員室で、担任に挨拶した。朝のSHR前と言うことで、職員室の中はかなり慌ただしかったが、真新しい制服を着た俺を担任は明るく出迎えてくれた。朝っぱらから進路指導でもしていたのか、担任の前には女子生徒が座っていた。 「今日からだな。一年間頑張って、良い大学に行ってくれよ」 「はあ……頑張ります」 「何だ何だ、覇気が無いな。そんなので大丈夫なのか?」 担任の呆れたような声を聞き流そうとしたとき、彼の前に座っていた女子生徒がすっと立ち上がった。   「先生、彼はやるときはやる男です。心配要りません」 あれ?どこか...
  • 涼宮ハルヒの団結 第一章
     そして翌日。  結局神になれなかった俺は、朝からハルヒの苦言を雨あられと背中に浴びる覚悟を決め、登校中も土砂降りの酸性雨に見舞われたために既に辛酸をなめるような気持ちでいた。  そして下駄箱でも憂き目に合いながら教室へ辿り着き自分の席へと腰を下ろすと、ハルヒから他の意味でぎくりとさせられる言葉を掛けられることとなった。 「ねえキョン」 「……何だ? ポエムなら、スマンがまだ少ししか出来ちゃいないぞ」  嘘をついた俺に、 「それは急いで仕上げなさいよね。学校は明日までなんだから。どうしても出来ないってんなら、土曜の不思議探検までなら待ったげる」  なんて、二十段の跳び箱が十九段になった所で無茶な指示に変わりゃしないぜ。  俺は失敗が怖くて動けないといった根性はないつもりだが、派手に転ぶとわかっていて「やります」とは到底言えず、そして当然の如く「出来ません」など言えるわけもなく、「ああ、あ...
  • 機械知性体たちの狂騒曲 メニュー
      □『機械知性体たちの狂騒曲』    機械知性体シリーズの解説はこちら。  http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5979.html   【あらすじ】  情報統合思念体・急進派インターフェイスの朝倉涼子は、自身の暴走行為により、主流派端末である長門有希と対立。  激しい戦闘の末、有機情報結合を解除され(主原因、頭突き)、消滅した――かのように思われた。    しかし、朝倉涼子は用意周到に自身のバックアップを保存。  それにより端末本体を再生したのだが――。   そこに現れたのは、人形サイズに矮小化され、能力も制限された不完全な体だった。  こうして「あちゃくらりょうこ」は誕生し、主流派の長門有希に保護(厳密には捕獲)され、共に七〇八号室で暮らすことになるのであった。    そして始まる、のんきで、能天気で、ほのぼのとした、幸せな生活。  これまで...
  • 機関の動乱 その3
     新川に連れられた超能力者たちは、機関の執拗な追跡をくぐり抜け、大小の建物が乱立している地域にある ワンルームマンションの隠れ家までたどり着いていた。脱出したときはまだ昼だったが、すでに日はすっかり沈み、 外は繁華街の明かりに包まれていた。  全員逃げ切ったという安堵感から、今までため込んだ疲労が噴出し、おのおのに疲れ切った表情で 床に力なく座り込んでいた。  一方新川は多丸圭一と電話で連絡を取っている。携帯電話では追跡される可能性があるので、 部屋に取り付けてあった固定電話を使用している。 『二人は機関に捕らえられたよ。拘束されて中央に連れて行かれたみたいだ。今のところ手荒な扱いは 受けていないようだけど、今後どうなるかは流動的だな。で、どうする? 二人を奪還するか?』 「いえ、あの二人は自分の意志であそこに残った以上、こちらからの手出しは余計なお世話というものでしょうな。 何らかの考え...
  • 間違いだらけの文化祭 Scene6
     佐々木の吐息が俺の思考を酷くかき乱す。  ほんの少し近づくだけで唇が触れ合うだろう。  それを望む自分と、止めようとする自分が繰り返して争いを続ける。  本当は争うまでもないんだ。一時の感情で佐々木との関係を壊したくない。  だが彼女を欲しいと思った気持ちが止まらない。  葛藤で熱暴走を起こした頭に佐々木の姿が浮かんでは消えた。 『キョン』  目を閉じていたって鮮明に思い出せる。声だって、リアルに響く。  この半年に限って言えば一番時間を共有した相手だ。 『なあ、キョン。知ってるかい』  得意げに笑うあいつが、 『キミが遅刻した分だけ僕の時間は無為に過ぎてしまったのだが』  不機嫌に説教を始めるあいつが、 『呆れるほど鈍感だなキミは』  どこか困ったように俺を見上げるあいつが、次々に俺の脳内を侵食する。  この顔が強張ってしまったら俺は――    ダンッと鳴った音が俺の思考を中断させた。...
  • 鶴屋さんと古泉
    「ここはカメラ屋……というよりも写真屋ですか」 文芸部部室から半ば強引に連れ出された古泉一樹がたどり着いた場所は、大手のカメラ メーカーが運営を委託しているような店とは違い、建物の造りも古風な個人経営の写真屋 だった。   店先に飾られた人物写真や風景写真は、店主の写真好きが高じて店を開いた……そんな 雰囲気が漂っている。今ではひとつの街に一件あるかないかというその場所に彼を連れて 来たのは──SOS団のメンバーではなかった。   「さっすが古泉くんっ! いやぁ~、物わかりがよくて助かるよっ!」   はっはっはーっと笑いながら、こんなところまで古泉を連れてきた張本人の鶴屋は、い つものハイテンションを維持したまま、「じゃっ、行くよーっ」と宣言して写真屋の中に 突撃していった。   鶴屋がこの店にどんな用事があるのか、いまだに分からない。そもそもどうして自分が ここへ連れてこられたのかさえも...
  • My little Yandere Sister 第2話「桜花咲きそめにけり」
    <キョンサイド> 四時間目の授業もチャイムの音が終わらせる。 そして、いつもの弁当の時間になった。 国木田と谷口との下らない談笑がよりご飯の味を美味くしていく。 俺はこのただ飯を食うそれだけの時間を楽しいと思っている。 いや……。   正しくはそう思っていた。   その日常はあっという間に、たったの一日で崩れ去ってしまったんだ。 あれだけ長かった日々が、たったの一日で。 恐ろしいほどあっさりと。なんでこんなに容易いのかと思ってしまうぐらい。 それは賽の河原で積み上げられた石の塔を鬼が壊してしまったかのように。 一人、欠如しただけなのに。 「………」 「………」 ただ黙々とした食事。空いた空間にあいつが来るような気がしていた。 WAWAWAとか言って来てくれると信じていた。いや、信じている。 今でも絶対に来るって思ってる。飄々と教室の扉を開いて何事もなかったように。 それで何か言い訳とか言う...
  • おあいこ(佐々木×キョン)
    (この作品には原作には名前しか出ていないキャラクター及び、キョンの母親が登場します。そのため、そのキャラクター性は想像です。ほとんどオリジナルキャラクターです。よってあらかじめ了承できない方はご遠慮ください)        夏休みは明けたが残暑という名の余韻に体を焦がし、季節は秋。校庭からは華々しいほどに煌びやかに着飾ったチアリーディング部の女生徒達、廊下にはトランペットやサックス等の演奏の間違いを減らしているブラスバンド部員、その他来週に控えた体育祭の中で披露するレクリエーションの関係者達が、校内のさまざまな場所に散らばって練習を行っていた。  僕達はその光景を視界の片隅に置いておく程度に眺めながら校門を通り過ぎた。 「やれやれ、たかだか中学校の一イベントだって言うのに熱心だな」  彼はチアリーディング部の華やかな音楽が鳴っている方角を見ながら呟いた。 「キョン、今すぐ鏡を見てみるか...
  • 団活、事件、図書館にて
       現状を説明しよう。  今、俺のわき腹―ちょうど肋骨の下辺り、すなわち肝臓だろう―部分にナイフが刺さっている。  は? 何だそれ?  んなことを思ってるのはわかるが、俺からするとかなり切実な状況だ。何より黄昏の教室と某同級生兼委員長兼対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースを思い出しちまう。ヤダね。  とりあえず俺からすると1ミリ秒の余裕もないが、物語を進めるためだ、仕方ない。回想スタート。その前に一旦、タイトルコール入りま~す。                     【団活、事件、図書館にて】                       「図書館へ行きましょう!」   「は?」    放課後、俺がSOS団団室―正確には文芸部部室だが―へ到着し、入室した最初の会話がこれだ。  ドアを開けると、そこにはいつもであれば居ないか、団長席にどかっと座っているのが常のSOS団団長...
  • 機関の動乱 その2
     明かり一つつけない暗闇の中、長門はじっと喜緑江美里と正座のまま対峙していた。キョンたちが来て以降、 この状態のまま四日にらみ合っている。  窓からたまに飛んでいくヘリコプターのライトが見えた。  と、ここで喜緑江美里が閉じていた目を開けて、 「どうやら始まったようですね」 「状況を」  長門が確認を求める。  現在彼女は情報操作能力を封じられている。情報統合思念体との通信も喜緑江美里によって完全に封じられ、 ただの人の形をしたものに情報だけが封じられた状態にされていた。そのため、外部で何が起きているのか 全く把握することができていない。 「この星の有機生命体には我々では理解できない矛盾した行動を取ることをご存じですか?」 「…………」 「わたしたちにとってはそれは単なるエラーに過ぎません。ですが、実に興味深いことですが、彼らはそれから 目的を達成しようと試みます。そして、場合によってはそ...
  • 魔法の言葉~would you marry me?~
    「僕がこの時間平面で行ったことは無駄に終わったが、一つだけ言えることがある。……キミと過ごした時間は、無意味じゃない」 「限られた条件下でなくとも、キミには私の傍にいてもらいたい―――そう思っているのは、こちらだけだろうか? ああ、人はそれを確かめるために……自分の気持ちを伝えようとするのだな」 「もしこれが叶わぬ想いだとしても、僕にはそれを捨てることなど出来ないのですよ。願いは届かないかもしれない――そう思ってしまえば、人は星に願うことを止めてしまいますから」 ―――藤原くん。会長。……古泉くん。 「わたしは、人を好きになるという感情を知りませんでした。でもそれは人も同じで、みんな誰かから愛情を教えて貰うのですね。あなたは……わたしにそれを教えてくれました」 「人間はさあ、よく『愛とは求めるものでなく、惜しみなく与えるものだ』って言うけど、わたしには無理。だってあなたにあ...
  • 恋は盲目 第二章
    第ニ章 銃声が屋上に響く。 背後から撃たれたみくるちゃんは、前に仰け反るように倒れた。キョンが驚愕の表情でこちらを睨んでいるのがわかった。 キョンの表情とは対称的に、古泉君の表情は、普段の笑みは浮かべていないものの、冷静そのものだった。 「古泉! 貴様」 キョンが古泉君に掴みかかる。 しかし、古泉君は見事な体裁きでキョンの攻撃をかわすと、反対にキョンの腕を掴み、地面にねじ伏せた。 「武道の心得も無い一般人のあなたでは、僕にかないっこありませんよ」 不適な笑みを浮かべ古泉君はキョンにそう言い放った。 キョンはあたしの方を睨みつけ 「ハルヒ!」 と怒りを込めて叫んだ。 「おやおや、あなたは涼宮さんではなく、朝比奈みくるを選んだのではないですか」 そう言いながら、古泉君はキョンの腕を離すと、あたしの方に歩み寄ってくる。 「なのに、朝比奈みくるがいなくなった途端にまた、涼宮さんに乗り換えるつもり...
  • 下衆谷口のなくころに ~尻隠し編~
    谷口「頭の中には夢いっぱい。おならのにおいが部屋いっぱい」   谷口「どうも。”何周しても花嫁はフローラ”谷口です」   谷口「本日は近所のレンタルビデオ店からお届けしております」 国木田「お届けするのはいいけど、堂々と山積みでAVを持ってこないでよ」 谷口「おやおや、レンタルビデオ店アルバイターの国木田くん。お客さんに向かってそんな言い方はないんじゃないかな? かな?」 国木田「宜しくない行為をするお客さんをたしなめるのも、店員の仕事だよ」 谷口「たは! これは手厳しい! 申し訳ない。実に申し訳ない。反省いたしました」 国木田「分かってくれればいいから。土下座はやめてよ。ものすごい当てつけがましいよ」 谷口「いやはやどうも」   谷口「それじゃあ、和やかな空気になったところで。手早く商品を袋につつんでくれたまえ」 国木田「ぜんぜん反省してないよね、キミ」 谷口「バカになっちゃうわよ!?...
  • 間違いだらけの文化祭 Scene3
     演劇ロミオとジュリエットの準備は全体的に見れば順調に進んだ。  一番セリフが多いやつはさっさと覚えたし、全員の衣装は出来上がり、宣伝のポスターも校内中に貼られた。  ポスターは画用紙に開催時刻とクラス名を書いた適当なものだ。  わざわざポスターなんて貼らなくても強制的に体育館に集められることになっている。  サボることもできるが点呼時にいないと欠席扱いになってしまう。  だいたいは大人しく体育館で出し物を見るか、居眠りをするのが通例だ。  そんなわけで、クラスの準備は整って来ていた。一部を除いて。    体育館で衣装を着ての練習が始まった15分後、いきなり中断が入った。 「キョンくん、まだセリフ覚えてないの!?」  眼鏡をかけた女子が金切り声で非難を口にした。  文化祭実行委員の彼女は自分のことのように眉を吊り上げている。  受験生だってのに余裕のあることだ。そういや学年10位以内だった...
  • 誰もいない国
     キョソの旅Ⅱ ――the Anal World――      夢がある限り、人は輝き続ける。アナルがそうであるように。  ―Anal goes tomorrow.―      第十二話 「誰もいない国」   ―No Anal lives there―  キョソとこいずみくんがその場所に着く頃、まるで見計らったかのように日がかげりはじめた。 「観光地とか言ってたわりには誰もいねぇな」 「僕もおとこの気配をまったく感じないですもふ」  キョソのつぶやきにこいずみくんが返事をした。  森を迂回する道は、進めば進むほど人の気配が希薄になっていた。キョソは少し気味の悪さを感じながら、 「引き返しちまおうか」  そう言いながら、キョソはこの場所に何としても立ち寄らねばならない予感がしていた。 「キョソたん。ここ、僕はずっとずっと前に来たことがあるような気がしますよ」  こいずみくんは無人の国の入り...
  • dearest
    K×H  大学一年生のクリスマスの日、あたしはキョンから一つのペンダントをもらった。  それはキラキラと輝く宝石のついた、シンプルだけと可愛いペンダントだった。 「……ねえ、これってダイヤ?」 「天然じゃないけどな」 「そんなの分かっているわよ」  本物のダイヤモンドなんて、大学生が買えるはず無いじゃない。  けどダイヤかあ、嬉しいわね。  キョンが選んだにしてはセンス悪くないし……、あ、でも、これは後から聞いた話なんだけど、デザインをどうするか迷った挙句、古泉くんと鶴屋さんに相談して決めることになったんだって。  こういうことくらい一人で決められるようになりなさいよって言いたい気もするけど、何かまあ、キョンらしい気がしたから勘弁してあげたわ。  そんな風に誰かに相談しているキョンってのも、何だか可愛い気がするもの。  そう言えば、同じ日に鶴屋さんも古泉くんからダイヤモンドの指輪を貰っ...
  • Automation
      ※欝モノ・古長風味注意       限界だった。 深夜に悲鳴を上げて跳ね起きた。何度目かはもう記憶にない。 眠るのを諦めた。心臓の音と××の音ばかりが五月蝿くて堪らず、いっそ刃を突き立てればこの耳を侵す煩わしいものを止めることが出来るだろうかと精神病患者の如く考えたりもした。実際に思い立って、果物ナイフの切っ先を睨みながらいつこれを胸に突き刺そうか耳に突き刺そうかとタイミングを見計らいながら過ごした晩もあった。七日前だか十日前だか曖昧だけれども、そのときは姿見に映った己の血走った眼に我に帰ったのだった。だけれど昨日は――昨日は危なかった。何せ食い込ませてしまった。 血は少量だった、まだ。寸でのところで袋小路の思考を、「暁」が呼び戻してくれた。神経を徐々に狂わせていく僕の破滅思考が晴れ間を見せるのは、「暁」を見越したときだ。余りの美しさに眩暈がし、これだけは失いたくないと泣きじゃくりな...
  • 間違いだらけの文化祭 Scene1
    「おお、ロミオ。どうしてあなたはロミオなの?」 「君がロミオという名が気に入らないなら、もう僕はロミオではない」    体育館のステージに、やる気のない声と凛とした声が響く。  名前が連呼されたのですぐわかったと思う――ロミオとジュリエットを演じている最中だ。  日本でも知れ渡っている有名な恋愛劇。  イギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピアが作った戯曲だ。  詳しい内容は知らなくても、大体の人がロミオの名前をどこかで聞いたことがあるだろう。    俺のクラスは文化祭の出し物でこれを演じる。  俺が体調を崩して学校を休んだ日に決まっていた。  やれやれだ。適当に歌でも歌うほうが手間がかからないんじゃないか?  せめて舞台裏なら良かったんだけどな。  俺も舞台で演じる一人だ。なお悪いことにセリフがとても多い。  配役まで知らぬ間に決まってたんだ。知ってたら無理にでも学校に来たぞ。  クラス...
  • 長門有希の消失 第三章
     第三章   朝の光に照らしつけられる前に、わたしは起きあがった。時計は四時を差している。一般人の朝には早すぎる時間だ。普通ならもう一度布団をかぶるところだろう。  けれどわたしは、二度寝をしようと思ったり、ましてやおとといのように散歩に出かけようと思ったりすることはなかった。  それよりもやっておくべき作業が残っていた。  さっきの彼女との会話。そこで、わたしは自分が所詮『わたし』に似せてつくられた人形に過ぎないかもしれないという恐ろしい幻想を抱いてしまった。わたしの存在は彼女に頼らずしては成り立たないかもしれない。わたしは今からそれを証明しに行くのだ。怖い物見たさという感情なのかもしれない。  リビングは薄暗かった。曖昧な光がどこかから射している。わたしは部屋の電気をつけて窓を開け、灰色の街の様子を眺めた後パソコンに歩み寄った。もう古くなったノートパソコン。買ったのはいつだったか...
  • 機械知性体たちの即興曲 第五日目/深夜
    機械知性体たちの即興曲 メニュー http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5972.html   □第五日目/深夜 七〇八号室・寝室 キョン        「……がー」 みくる        「すぅ……すぅ……」 あちゃくら  「むにゃ……」 ちみどり    「……くー」 にゃがと    「…………」(モゾモゾ)(キョンの顔のところまで這いずる) キョン        「がー……」 にゃがと    「(ヒソヒソ)……起きて」(ペチペチ) キョン        「……ん?」 にゃがと    「(ヒソヒソ)静かに」 キョン        「(ヒソヒソ)……なんだ?」 にゃがと    「(ヒソヒソ)話がある」     七〇八号室・居間 キョン        「……あれだけ寝たのに、まだ眠いとは」(にゃがとを頭の上に乗せながら居間へ) にゃ...
  • 涼宮ハルヒの団結 エピローグ
    「ねえあんたたちっ! みゆきちゃん見なかった!? こっちの方に飛んできたはずなんだけど……」 「いや知らんが、ハルヒよ。あんまり着物姿で走り回らないほうがいいと思うぞ。折角鶴屋さんの家の人から綺麗に着付けて貰ってるんだ。着物だって借り物なんだし、鬼ごっこが出来る程ここが広大だからといって早速始めちゃダメだろ」 「そんなのやるわけないでしょ! みゆきちゃん、着替え中に髪留めを取るのを渋って逃げちゃったのよ。どこ行ったのかしら……」  桃色の振袖を着飾るハルヒは、八重桜の下で座ってでもいればこれ以上ないほどの美麗な風貌を見せているのだが……やはりと言うべきか、こいつは裾をまくって鶴屋さん宅の廊下を跳ね回っている。 「涼宮さんらしくて良いではありませんか。ああやって快活な姿を見せていてくれるほうが、こちらとしても心が安らぎます。それに……」  古泉は俺に笑顔を向けると、 「異世界の問題も、無...
  • 涼宮ハルヒの消失ー長門有希の憂鬱
    私は情報思念体が作り出した対有機生命体用インターフェースのひとつである。 太陽系、と本人たちによって呼ばれる辺境の惑星系の第三惑星に発生した有機生命体のなかに、全宇宙の中でもユニークな一個体が発生した。 そしてそれは進化の袋小路に閉じ込められた情報思念体になんらかの脱出口となる要素を抽出できる可能性がある、と判断された。 単体という概念を持たず、いかなる光学的手段を持っても不可視である情報思念体にとって、一地球人固体を観察し、必要ならば彼らの言語による意思疎通を可能にするインターフェースが不可欠であることから作られたものの一体である。 同時に作られたバックアップと比べて、私というインターフェースは一見して他のインターフェースとは際立った地球人的な「個性」が与えられている。 そう。被観察者涼宮ハルヒによって、私に必要とされた属性。 極端な無口、非情動的で非社交的なキャラクター。 彼女にと...
  • ある秋の日のこと
    SOS団史を紐解く中で、空白になっている期間がある。 それは俺たちが一年だった頃の9月と10月だ。 後になって知った小さなエピソードだが、どこにも記せそうにないのでこの場に書いておこうと思う。   9月のある日、あの終わらない夏休みをようやく終わらせ、俺は部室で朝比奈茶を優雅に味わっていた。 部室には全員が揃っていて、すなわち現在パソコンに注意の全てを傾けている団長の涼宮ハルヒ。 メイド服を着るためにこの世に生を受けたかのごとき妖精、朝比奈みくるさん。 一瞬見ただけでは等身大の置き物にしか見えない読書ドール、長門有希。 微笑みしか表情を知らないようなハンサム野郎、古泉一樹である。   9月になったとはいえ風は一向に冷たくならず、夏の熱気だけが絶賛継続中だった。 夏は嫌いじゃないが、こういつまでもだらだら続かれるとさすがにバテそうになる。 俺の周りの4人は全員が暑さを気にしていないような顔を...
  • SOS団の無職9
    前回のあらすじ  心の友、谷口の紹介でバイトを始めることを決意するキョン。とうとう彼は無職ではなくなりました。フリーターへと進化したのです。  一部の人を除いて、みんなそれを祝福してくれました。キョンもそれがとても嬉しかったのです。  不安と期待が入り混じる新1年生のような気分で、キョンは初めてのアルバイトに立ち向かっていくのです。     ~~~~~      バイトの面接を終えてから、もう2週間が過ぎた。面接と言っても谷口の口利きで99%内定していたようなものだったから、それは採用の可否を決めるための面接ではなく、仕事の内容を教えられるための説明会のようなものだった。  そして説明会的な簡易な研修が終わると、俺を含めて10人近い新採用のアルバイターたちはフロアーで使用する作業着を渡され、その日は解散となった。  その翌日から店が開店したわけだから、かれこれ俺はこの店で2週間...
  • 涼宮ハルヒの団結 第九章
     そして時間遡行。亀的TPDDの内部には、後部にやたらでかいグラウンド整地用のローラーみたいなものが取り付けられており、みゆきが稼動させている間中、それに対応するように幾何学的な模様が描き出されていた。これが技術革新によって、あの小さい金属棒へと変貌するんだろう。  とまあ、これ以外に時間遡行中に特筆すべきものはなかった。そして俺たちが着いた先は……。 「……同じ公園、か?」  多分、さっきまで居た公園と一緒なのは間違いない。ただ、備え付けの設備が若干綺麗だったり、後でペンキの塗り替えでもしたのだろうかという感じで俺の知っているものとは色違いな遊具がある。それに……、 「フフ。ちゃんと時間が止まってるみたいですね」  なんで時間を止めなければならないのかも疑問だが、それは瑣末な問題でしかない。朝比奈さん(大)に聞けばわかるかも知れんが、俺は実行あるのみだ。よって聞かない。 「…...
  • HERO
    文字サイズ小で上手く表示されると思います  甘甘甘より    例え話をするにしても、こんな事を話題にするのは趣味じゃないんだが……あいつの姿を 見ていると本気でそう思うことがある。  なあ古泉。もしも自分が犠牲になれば世界を救えるとしたら……お前はどうするんだ?    昼休み、なんとなく部室へ行こうかと歩いていた俺が見たのは、左腕を包帯で吊って歩いて いる古泉の姿だった。遠目に見ても添え木と一緒に巻かれた左腕は、普段の倍程の大きさにな ってしまっている。  古泉、その腕……。  そう言いながら近寄った俺を見て、古泉が一瞬気まずそうな顔をしたのを俺は見逃さなかっ た。  その顔はすぐに消えたものの、いつもの営業スマイルはどことなくぎこちない。 「やあ、どうも。……実は階段で転んでしまいまして。見た目は大げさですが、それ程酷い怪 我ではないんですよ」  そうか、それは不幸中の幸いだな。っ...
  • 機械知性体たちの即興曲 第五日目/夜・前編
    機械知性体たちの即興曲 メニュー http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5972.html   □第五日目/夜・前編 マンション1F。エレベータホール ――ちーん にゃがと    「カサすげー」 にゃがと    「……たしかにあちゃくらりょうこが、そう評価するのも理解できる」 にゃがと    「こうまであっさり外に出られるとは」 にゃがと    「(キョロキョロ)」 にゃがと    「管理人もいない」 にゃがと    「……白い悪魔(訳注:例の白いネコ)もいない模様」 にゃがと    「……仲間を求めて、れっつご」(ボテ) にゃがと    「…………」(キョロキョロ) にゃがと    「転んだところは、誰にも見られていない。問題ない」(ムクリ……トテトテ)     本屋 みくる         「(料理本を立ち読み中)……うーん」...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰ三章
    長門有希の憂鬱Ⅰ 三 章 俺はひどい頭痛と轟音とともに目が覚めた。 自分がどこにいるのかしばらく分からず、起き上がったところで天井に頭をぶつけた。 あれ、こんなところに天井があったかな。 そうだった。俺は泊まるところがなくてホームレスに段ボール箱を借りたんだった。 頭上では電車がひっきりなしに行き来している。 俺はそろそろと箱の外に出た。寒い。震え上がってまた中に戻った。 段ボール箱の中、意外に保温性があるんだな。手放せないわけだ。 俺はジャンパーを着込み、身をすくめてやっと外に出た。 一晩の宿は冷蔵庫の箱だった。それを見てまた寒気がした。 時計を見ると七時だった。おっさんたちはまだ寝息を立てているようだ。 俺はサンちゃんの家に、その玄関らしきところからありがとうと書いたメモに千円札を挟んで差し込んだ。 もしかしたら明日も世話になるかもしれない、などと不安と期待の入り混じった気...
  • 下衆アドベンチャーTANIGUTI
    谷口「爽やかな朝はとびきりに熱いブラックコーヒーを口にふくむ。そしてその香りでゆるやかな目覚めを楽しむのさ」   谷口「俺の名は谷口。探偵だ」   ルソー「お目覚めですか、クソ野郎」 谷口「はっはっは。相変わらず口が悪いな、キミは。朝ごはんを用意してくれたのかい?」   谷口「いつもいつも身の回りの世話を焼かして、すまないね。まあ、それがメイドロボであるキミの仕事なワケだけれど」 ルソー「御託はいいから、さっさと召し上がりやがれ谷口野郎」   ~~~~~   谷口「いやあ、実にうまい。ルソーの焼くパンはいつも最高だよ。表面の黒いコゲが食欲をそそる香ばしさを教えてくれる」 谷口「それにこの期待を裏切らない苦味はどうだ。無味乾燥な食パンに、見事なまでの深い味わいアクセントを付け加えている」 谷口「どうやればこんなコゲパンが毎日毎日作れるのか。それが俺にはわからない。素晴らしいよ、このポン...
  • スノースマイル・バースデイ8
    ―――ひとひら春の日に舞い降りる、それは、雪のように。 奇蹟はありふれて此の世に降り立つ。 綺麗に晴れた水色の空が、世界に被さる様に続いている。吹き寄せる優しい風には、寒さを抜け切れない冷たさをも和らげる、柔和な春の光が溢れている。 見知らぬ僻地、見知らぬ定刻。 向き合う少女と少女が、出遭った。一人はまだ彼女自身の名を獲得する以前、一人は幽霊を自称していた為に、名を明かしはしなかったのだけれど。 「どこへでも行くことはできます。あなたの行きたい場所はどこですか?」 天使と見紛う、清純で愛らしい笑顔を、幽霊の少女は表情を作る機能のない少女に与えた。少女は生み出されて間もなくであり、人との直接的な接触は初めてのことだった。無機物の如く、彫像のように立ち尽くす彼女を諭すように幽霊の少女は告げる。何もかもを終えて遣り切った事に対する誇らしげな瞳が、長らく共闘し触れ合い、歩んで来た者に対し...
  • ながとぅーみー 第四話「夕焼けより血液色な」
    学校内で戦い続けてもう一ヶ月を軽く過ぎた。 Hom-Okabeの無差別攻撃によってだいぶ人は減ってきた。 奇跡的に帰ってきた生徒会長曰く、 「あそこは地獄の地獄の地獄の地獄の地獄だ」 との事。映像がフラッシュバックする度に、生徒会長は発狂した。 相当やばい所だったらしい。 そんなこんなで確かにもう一ヶ月、もしかしたら二ヶ月過ぎたかもしれない。 なのに、何故だ。 一向に学校外から人が来る気配がしない。少しは心配しても良いだろうに。 それに喉も渇かないし、腹も空かないのだ。凄く走り回ってるのに。 とりあえず、疑問を長門に話してみた。 「風景は進んでも時間は進んではいない。涼宮ハルヒがそういう風に時間を止めた」 「なんてこった・・・」 ええい、ややこしい。 「・・・ただ、改変を保っている力が弱くなっている」 「どういう事だ?」 「元に戻りつつある」 「やっとか・・・」 「このまま戻ると危険」 「...
  • アル日と佐々木、アル人佐々木
     それはアル晴レタ日ノ事。  夏から秋に成り代わろうとする九月手前の八月末の事。  俺は偶然ブックオフでテニプリのアンソロジーを立ち読みしている佐々木と出会った。  いや、偶然なのか必然なのかは俺の独断で判断出来るようなものではないのだが、  運命によって位置づけられた必然とも言えるし全く予測されない偶然とも言えるのである。  まぁ、SOS団という連中や、橘京子達のような存在に今まで遭遇した俺にとっては、  必然だろうが偶然だろうが個人的にはこの小さな出来事は気にしなくて良いことなのだと思う。  さて、そんな訳で出会った俺達は流れで喫茶店に入る事になったわけだ。  その喫茶店というのが妙な作りで普通の席と何故か個室があった。  俺はどちらでも良かったのだが佐々木が個室を望むから俺達は個室へ入る事となった。  最初のうちはコーヒー等を口に入れながら本当にただ単に普通の会話を楽しんでいたのだが...
  • 長門有希の妊婦生活
    (長門有希の結婚生活 [R-18]の続き)   「おめでたです。」 産婦人科の先生にそう告げられた。 結婚してから一年半、ようやく私も母親になれるのだ。 彼にはどうやって伝えよう? 昔の私なら単調に事実を告げるだけだったかもしれないけど、今は違う。 どうにかして彼を喜ばせたい。   方法1:数日間思いきり冷たくしてそれから発表 …駄目。 冷たくしたら彼の私に対する態度も冷たくなるだろう。 そんなの堪えられないし、胎教に悪い。   方法2:以前のように豪華な夕飯、お風呂の後にラブラブ発表 …いい。 けどいつも通り過ぎて思い切り喜ばせるのには向かないかもしれない。 最悪の場合これでいこう。   方法3:いつも通り普通に過ごし、夜寝る前に発表 …これ? いつも通りだからかなりのハプニングになるはずだ。 取り乱す彼を想像するとつい口元が緩む。   方法4:妊娠検査の紙を「あのー…」   「…?」...
  • 誰も知らない二人のためのフィルム
      二人のために用意されたステージは、雪の中に浮き出た木造りの円形の踏み台だった。粉雪は、公園内の遊具の殆どを穢れのない白に沈めてしまっていた。浅い雪が絨毯のように敷かれた土台の上に、古泉は真っ先に足を掛けてよじ登り、次いで長門を引き上げた。 すっくと台の上で立ち上がり、地上よりも一段上となった場所から見渡した世界にあったものは、穏やかに降り積もり続ける氷の結晶と、白濁した空模様と、冷たさを湛えすぎたためにこの上ない無色である鋭利な寒風。それがすべてだった。 薄い雪を踏みしめた足を動かすと、シャーベットをスプーンで掬い取ったときのような、心地いい音が耳に跳ね返る。 一歩を踏み出したところで立ち止まり、古泉は綺麗に靴を模写した、白い下地にかたどられた己の足跡を振り返って眺めた。長門は動かず、やはり無言で、古泉の靴跡を眺めていた。 この広場から突き出たような円い壇の上で、ちょっとした...
  • えれべーたー☆あくしょん りた~んず
    ※このお話は『生徒会長の悪辣』の後日談です※ チン、という無機質な音と共に上階から降りてきたエレベーターが停止し、わたしの前で左右に扉が開く。すると庫内に一人だけ乗り込んでいた先客が「あら」と小さく声を上げた。 「奇遇ですね。おはようございます、長門さん」 「………おはよう」 にこにことした柔らかい笑顔。人当たりの良い挨拶。しかしわたしはむしろ、本当にこれは偶然なのだろうかという思いで彼女を見つめていた。パーソナルネーム、喜緑江美里。穏健派のヒューマノイドインターフェース。わたしの監査役。  何にせよ、このまま立ち尽くしているわけにも行かず、わたしはエレベーターの内部に乗り込んだ。1Fを示すボタンが既に点灯しているので、そのまま江美里の横に並び立つ。まもなく自動で扉が閉まり、エレベーターは再び降下を始めた。 「そういえば、今日は土曜日でしたね。では、長門さんはこれからSOS団の...
  • 小さな、親切
    「隣、よろしいですか?」    僕が声を掛けるまで、彼はどこか呆けた様子で、こちらの存在にも全く気付いていなかったようでした。はてさて、何をそんなに真剣に考え込んでいたのでしょうね。     「梅の花も香り始める頃だとは言え、まだまだ外の風は冷たいと思いますが。どうして部室に行かないんです? 朝比奈さんが美味しいお茶で出迎えてくれるでしょうに」      自分で言うのも何ですが、少し芝居がかった僕の問い掛けに、彼はうさんくさい宗教勧誘でも見るようなジト目で答えます。     「たまには、こういうクドいのを飲みたい日もあるだろ」      そうして、彼は紙コップのココアに口を付けました。ふむ、見た所、もうだいぶ冷めてしまっているみたいですけどね。  同じテーブルに着いた僕も、自販機で購入したホットレモンを口に含みました。授業が終わってすぐですので、何人かの生徒が脇道を通り過ぎていきます。...
  • SOS団の無職
       先日、妹が地方公務員試験に合格した。高校卒業以来1年間、必死に勉強してきたんだ。努力の成果が実ってよかったなと大いに祝福してやりたい。兄としても、非常に鼻が高い。  しかしそのおかげで、俺の現状がより肩身の狭いものになったのもまた、否めない事実なのだ。妹に先を越された兄。その重みが十字架となって俺の双肩にのしかかる。  そもそも俺は年の離れた妹に対して、並々ならぬ威厳を持って接してきた。妹がおいたをした時も、冷静に実父のような対応をしてきたものだ。  その俺の兄としての立場が、一気に瓦解した。3日前、妹が満面の笑みで合格通知の入った封筒を俺の部屋に持って駆け込んできた瞬間から、だ。  俺の考え過ぎだろうか。妹が俺を呼ぶ時のイントネーションが、いつもの「キョンく↑ん↓」ではなく、目上の者が下の者を諭すような「キョンく↓ん↑」だったような気がする。  とにかく。その時以来、ガラス...
  • 涼宮ハルヒの邁進 その1
     まぶしい。目の奥がきゅっと締まるような痛みに、俺は苦痛ではなく懐かしさを感じた。 同時に全身の感覚が回復し始める。手を動かし、指を動かし、足を動かす。やれやれ。どうやらどこか身体の一部が無くなっている ということはなさそうだ。  俺はどうやらベッドに寝かされているらしかった。右には――あー、映画か何かでよく見る心電図がぴっぴっぴとなるような 機械が置かれ、点滴の装置が俺の腕に伸びている。 「病院……か、ここは?」  殺風景な病室らしき部屋に俺はいるようだ。必要な医療器具以外は何もなく、無駄に広い部屋が俺の孤独感を増幅する。 窓から外を眺めると、空と――海のような広大な水面が広がっていた。ただ、その窓自体が見慣れたような四角いものではなく、 船か何かにありそうな丸いものだった。 「ここはどこだ……?」  寝起きの目をこすりつつ、俺は立ち上がる。幸い点滴の器具は移動式のようで、それとともに移...
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