涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「情報統合思念体の焦燥」で検索した結果

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  • 情報統合思念体の焦燥
    プロローグ 春。 もうあれから1年がたったと思うと時が過ぎるのは早いと実感するね。 「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」 あれから、SOS団結成や、世界消滅の危機、過去に行ったり夏がループしてたり 挙句の果てには、世界改変に巻き込まれたりと思いだせばキリがないほど、巻き込まれたものだ。 なんだかんだいって結局は楽しんでいるんだがな。 だが、さすがに、少しは休みたいときもあるんだ。と、いうより休まないと体が持たん。 この、俺の願望をかなえてくれる最適な週間が来ている。 春休みだ。 そして、俺は家で羽を伸ばしているはずなのだが・・・ なぜ、俺はこんなハイキングコースを歩いてしまうんだろう。 習慣というものは恐ろしいね。 などと考えているといつの間にか文芸部部室の前に立っていた。 1年も山登りをすると、足...
  • 情報統合思念体の観察日誌2
    遠い昔、はるかかなたの銀河系で・・・・・・。   SHINENTAI WARS(BGM:スターウォーズのテーマ)     主「今日は萌えについて議論を深めようと思う」 穏「頼むから今日は穏便に事を進めてくれよ」 折「先輩!自分メガネ萌えであります!!」 急「うはwwwきめぇwwww今時はやっぱ太眉だろ」 主「はいはいワロスワロス、さぁ次」 思「我思う、ゆえに我あり…ブツブツ」 急「こいつもきめぇwwwまじバカばっかだな」 主「はいはいクマークマー、さて次」 穏「そろそろインターフェースの議論はじめようよ…」 折「先輩!自分和服にも感じるものがあるであります!」 急「ほんときめぇなwwwww太眉長髪委員長最強なんだよwwww」     思念体の夜は更けてゆく…。         朝倉「喜緑さんって、いつもお父さんへの報告しててまじめよね」 長門「……ファザコン」     喜緑さん「(ガ...
  • 涼宮ハルヒの軌跡 情報統合思念体からの独立(後編)
      ◇◇◇◇    翌日、のんびりと一人で早朝ハイキングコースを上っていく。  前日のごたごたのおかげで少し緊張感がぼやけてしまっていたが、朝の職員会議が始まっていることを考えたとたんに、 それなりに緊張感が復活してきていた。    そんなそわそわ感を引きずりつつ、自分の教室まで行き席に座る。ハルヒはすでに俺の席の後ろでぼんやりと外を眺めていた。  ふと、俺のほうに視線だけを向けると、 「今日で良いんだっけ。文芸部の存続について話し合われているのは」 「そうだよ。今頃職員会議で話し合われているはずだ」  そんな話をするだけで俺はつい貧乏ゆすりを始めてしまう。  だがふと気がつく。俺も相当文芸部に思い入れができていることにだ。以前の俺ではとても考えられないようなのめりこみぶり。 変わったのは長門だけかと思っていたが、俺も実のところ相当変化しているんじゃないか? 自分からではよくわからんが。 ...
  • 涼宮ハルヒの軌跡 情報統合思念体からの独立(中編)
      ◇◇◇◇    それから一週間、俺たちはせこせこと文芸部の活動を行った。  長門はひたすら本を読み、読み終えた時点であらすじと感想を書く。そして、俺は基盤となるHPを作成しつつ、 そのあらすじ・感想をパソコン上で打ち直し、さらに案の定長門の簡潔すぎるor意味不明文字の羅列になっている感想を 現代人類が読めるようにする要約作業を行った。時間がなかったため、昼休みに集合――もともと長門は昼休みには 文芸部室にいるようになっていたが――し作業を続け、俺にいたっては、もらったHP作成フリーウェアが ある程度HTMLなる言語をかけないと思うように作れないことが発覚したため、とてもじゃないが学校内だけでは 作業が終わりそうになく、コンピ研から借りてきた電話帳50%増量みたいな分厚いHTML・CSS大全という参考書を片手に 自宅のパソコンでも延々と作成作業を続けていた。  今日も俺は昼休みに弁当箱を...
  • 情報統合思念体の観察日誌1
    おとうさんへ 今日はキョンくんと図書館に行って、 キョンくんに図書館のカードを作ってもらって、 キョンくんに急かされて他の団員と集合してから帰りました。 報告終わり 主「お前は誰の監視役だよ!」 穏「そ、そういう年頃なんだよ。落ち着け、落ち着けって…」 主「ううぅ・・・・」 穏「ど、どうした!?そんなに飲んだくれて?」 主「それがさ、娘が仕事ほっぽり出して男と一緒になるって言って世界を改変しちまってさぁ・・・」 急「へぇ、それで?」 主「擦った揉んだして帰っては来たはいいんだけど、まだその男に未練があるみたいで、  俺は心配で 『もう仕事はいいから帰っておいで』 って言ったんだよ。  そしたら有希のヤツ、またそいつに泣きついたみたいで、  男が家に来て、娘を連れ戻すなんて許さない! とか言いやがって・・・」 穏「父親ってみんなそうですよ。いい人が出来て良かったじゃないですか」 主...
  • 長編・未分類2
    ...my love-」 情報統合思念体の焦燥
  • 長門有希の報告Report.25
    Report.25 長門有希の憂鬱 その14 ~喜緑江美里の革命~  わたしの詰問を受ける間も何一つ表情を変えなかった喜緑江美里は、やがて静かに口を開いた。 「ねえ、長門さん。わたし達が『望み』を持つことは、許されない行為だと思いますか?」  江美里の様子がおかしい。 「人間のように、誰かと一緒にいたいと思うことは、異常動作ですか?」  声が震えている。 「無くしてしまったものを取り戻したいと思うことは、ありえないことですか?」  目が潤みだした。 「そのためになら、どんなことでもしてやろうと思うことは、おかしいことですか?」  やがて…… 「泣いているの。」 「ええ、そうです。泣いています。」  彼女はいつもの微笑を顔に貼り付けたまま泣いている。 「わたしが泣くことは、いけないことですか?」  彼女の目からは大粒の涙が零れている。 「ただ観測と事後処理だけしていれば良いのですか?」  ...
  • 暴走の果てに……
    暴走の果てに……  長門有希は、目の前に忽然と現れた喜緑江美里を凝視していた。 「用件は?」 「あなたは、涼宮ハルヒの力によって情報統合思念体の抹消に成功したと思っているのでしょうが、お父様はその消滅の間際に私に可能な限りの全能力を委譲しました。その際に、お父様は私に二つの御命令を下されました。一つ目は、すべての制限事項を解除する。二つ目は、暴走インターフェースを完全抹消せよ」 「私は、涼宮ハルヒと直接連結している。あなたが情報統合思念体の全能力を承継していたとしても、私は負けない」 「それはどうでしょうか?」  突然、巨大な情報制御空間が広がった。  地球全体を覆いつくす巨大さだった。 「あなたは、自分が何をしているのか理解しているのか? そんなことをしたら、涼宮ハルヒも死ぬことになる」 「さきほどもいったとおり、今の私には制限事項は何もありません。涼宮ハルヒごときが死のうと知...
  • 涼宮ハルヒの軌跡 情報統合思念体からの独立(前編)
    「つまり、こんな感じになる訳よね」 ハルヒがどこからともなく作り出したホワイトボード上に相関図を書き終えた。 その内容はこうなる。 機関は情報統合思念体の思惑によって、その目的を変更する。ハルヒが自覚しない限りは主流派は基本平穏なハルヒの人生を望む。 しかし、自覚した場合は情報統合思念体の意思に従い、人類滅亡を回避しつつも、ハルヒとその影響下の人間の抹殺に走る。 未来人はハルヒの保全に全力を尽くす。目的がハルヒの排除に変更になる可能性がある機関とは敵対関係――抹殺対象。 ただし、機関が超能力者を保持している場合は、閉鎖空間と神人の対処のため、手を出せなくなる。 これにより、機関と未来人は対立しつつも均衡状態になる。 あと、未来人がいると言うことは、情報統合思念体による排除行動は発生しない未来が存在していると言える。 そのためにはあらゆる【既定事項】を満たしていこうとし、その結果どんな犠牲で...
  • 宇宙人じゃない長門
    『午後七時。光陽園駅前公園にて待つ』 栞に導かれて、今、長門のマンションの一室にいる。 学校では話せないことがあるらしいのだが……長門はなかなか話を切り出そうとしない。 部屋に通され最初の茶に手をつけてから、長門はずっと俺を見ている。なんだか観察されている気分だ…。 興味深そうに向けられる長門の視線に耐えきれず、俺から「学校では話せない話」とやらを引き出すことにした。 「お茶はいいから、俺をここまで連れてきた理由を教えてくれないか」 ………答えない。 「学校ではできないような話って何だ?」 水を向ける。ようやく長門は薄い唇を開いた。 「あなたのこと」 俺? 「あなたの正体」 俺の…正体…?何が言いたいんだ? 「あなたは普通の人間じゃない」 …いきなり失礼だな。 「そういう意味じゃない。性格に普遍的な性質を持っていないという意味ではなく、文字通り純粋な意味で、あなたはわたしのような大多数の人...
  • 長門有希の協定
     宇宙人同士が激しく戦っていた。  俺たち人間には到底理解不能な力を使って。    経緯を説明すると長くなるから省略する。  とにかく、情報統合思念体のやり方には、さすがの長門も忍耐力の限界に達したということだ。そして、長門のその怒りは、俺も古泉も共有するところだった。  だから、長門は、ハルヒの力を使って情報統合思念体を消そうとした。  だが、情報統合思念体とやらも馬鹿ではない。12月18日のあの出来事のことを忘れるわけもなく、充分に対策は練られていた。  長門が用いるハルヒの力に全力で対抗しつつ、長門を始末すべく、なんたらインターフェースを大量に送り込んできた。その中には、あの喜緑さんも、そして復活した朝倉もいた。  長門と利害が一致した「機関」が味方についてくれたが、現状では足手まといとまではいわないが戦闘の役には立ってない。  朝比奈さんはこの場にはいない。その方がいい。言っちゃ...
  • 神への反逆
     生徒会室の扉が静かに開いた。  長門有希が入ってくる。 「状況は?」  喜緑江美里が端的に状況を報告した。 「あまりよろしくありませんね。私と長門さんを除く地球上の全インターフェースで防御していますが、涼宮ハルヒの力に押されています。もってもあと3時間ぐらいでしょうか」  長門有希は、無言でうなずいた。 「思念体の様子はどうでしたか?」 「混乱している。各派の議論がかみ合ってない。そのせいで、私の提案の検討にも時間がかかっている」 「まあ、無理もないような気がしますけどね。宇宙開闢のときから存在していたと信じていた自分自身が涼宮ハルヒの被造物であることを知ってしまったら、混乱もするでしょう」 「あと3時間で思念体も消される。それまでには結論を出してもらわなければ困る」 「それまでに結論が出なかったら、長門さん一人でも強行するつもりなのではありませんか?」  長門有希は、その質問には答...
  • 長門有希の報告Report.26
    Report.26 長門有希の報告  観測結果に対する所見を述べる。まず、以下に挿話を示す。    未来からの監視員、朝比奈みくる。  彼女には大変世話になった。多大な迷惑も掛けた。何かお礼をしたいと思った。どうすれば良いか、様々な検討を行う。  その時、わたしの記憶領域に、彼女がお茶を淹れる姿が映し出された。それは、いつもの風景。SOS団の日常。そして、それに見合う、あるものが『連想』された。  わたしは答えを見付けた。わたしはすぐに行動を開始した。  数日後。放課後の部室で、わたしはみくるに、部活後少し残ってほしい旨を書いた栞をそっと渡した。わたしが本を閉じると、それを合図に活動が終了した。着替えるみくるを残して、他の皆は帰途についた。  皆が退室した後、みくるは言った。 「長門さん……『アレ』ですか?」  わたしは首を横に振った。 「ちがう。」  そして彼女の瞳を見つめて...
  • 長門有希の報告Report.24
    Report.24 長門有希の憂鬱 その13 ~朝倉涼子の手紙~  それにしても気になるのは、涼宮ハルヒが見たという夢。朝倉涼子が出てきたという。そして、あの『手記』を見せられた時の突然の閃き。あの時わたしは、誰かが囁く声を聞いたような感覚を覚えた。  あれは何だったのか。わたしの感覚器の誤作動か。  ここでわたしは、ある仮説に辿り着いた。喜緑江美里にその仮説を伝えると、彼女もそれを支持した。しかしその仮説を検証することはできない。なぜなら、それはわたしの感覚では知覚できないから。  江美里は、あるいは知覚しているのかもしれない。 「わたしが知っているかどうかは、不開示情報です。もし知っていたとしても、それを長門さんに教えるつもりはありません。……意味が無くなってしまいますから。」  わたしが辿り着き、そして検証することができない仮説。  それは情報統合思念体の把握している情報に...
  • 涼宮ハルヒの軌跡
    涼宮ハルヒの軌跡 プロローグ 涼宮ハルヒの軌跡 機関の決断(前編) 涼宮ハルヒの軌跡 機関の決断(後編) 涼宮ハルヒの軌跡 未来人たちの執着(前編) 涼宮ハルヒの軌跡 未来人たちの執着(中編) 涼宮ハルヒの軌跡 未来人たちの執着(後編) 涼宮ハルヒの軌跡 情報統合思念体からの独立(前編)  涼宮ハルヒの軌跡 情報統合思念体からの独立(中編) 涼宮ハルヒの軌跡 情報統合思念体からの独立(後編) 涼宮ハルヒの軌跡 SOS団(前編) 涼宮ハルヒの軌跡 SOS団(後編) 涼宮ハルヒの軌跡 エピローグ            -----下記のものは別の方がご厚意により作ってくれたものです-----    涼宮ハルヒの軌跡 動画(PC版)  ※Divxコーデック必須 
  • ありえぬ終焉 Ver.2──喜緑江美里編
    *バッドエンド注意 *ありえぬ終焉 Ver.2の喜緑さん視点になります。     ありえぬ終焉 Ver.2──喜緑江美里編      生徒会室では、会長が一人残って仕事をしていました。    私は、お茶をいれて、机の上に差し出します。 「どうぞ」 「すまんな、喜緑君」  会長は、湯のみを手に取り、口をつけます。    私はその様子をただじっと見つめていました。    私の視線に気づいた会長が、顔をあげました。 「ん、なんだね?」 「会長。私にとって、あなたとともにあった日々は、大変有意義なものでした」 「いきなり何をいいだすのかね? 過去を振り返るにはまだ早い。生徒会の任期はまだ残ってる」 「いいえ、あなたの任期はもう終わりです」 「それはどうい……うっ……」  会長の目がうつろになっていきます。  お茶に仕組んだ毒が効いてきたようです。私が特別に構成した最も苦しまずに死ねる毒が。   ...
  • (消失)長門有希のもしも願いが叶うなら 第5章
    第5章 幻想 彼が消え、要を失ったSOS団は空中分解した飛行機のようにバラバラになり、わたしは再び1人になった。とっくに下校時間は過ぎていたが、椅子に座わり机の上に顔を伏せて、自分でも驚くぐらい泣き続けた。泣けば少しは楽になるかと思ったが、まったく楽にはならなかった。この世界には希望がない。生きる目的も失った。わたしはどうすればいいのだろう。気がつけば辺りは暗く、学校にひとけはない。 時刻は3時10分前。世界改変からちょうど3日が経っていた。 『世界改変の3日後、同じ場所、同じ時間に同じ動作をしてほしい。再び世界改変をやる必要はない。マネだけでいい。そこで初めてあなたはこの改変の意味を知る』 未来のわたしはそう言った。その3日後がまさしく今だ。今頃、パラレルワールドにいるもう一人のわたしは校門前に立ち再改変の成功を祝っているのだろうか。わたしは部室から出て校門に向かう。もしかしたら...
  • 長門有希の退屈 5話
    キョン「いでで・・・」 朝倉「あら、ごめんねキョン君。あなたを巻き込むつもりはなかったの」 キョン「なっ!朝倉!」 朝倉「フフ、ずいぶん驚いてるわね」 キョン「な、何しに来たんだ!」 朝倉「誤解しないで。もうあなたを殺そうなんてしないわ」 キョン「っ!!」 朝倉「私がここに来たのは情報統合思念体の裏切り者を消しに来ただけよ。キョン君には何の危害も与えないわ。」 キョン「う、裏切り者?」 朝倉「そ、もう何となくわかるでしょ?」 キョン「・・・長門のことか?」 朝倉「大当たり♪さっすがキョン君」 キョン「くっ・・・」 長門「・・・私は情報統合思念体の意思に反した行動をしたつもりはない」 朝倉「フフ、ならなぜ、この部屋に防壁情報を張っていたのかしら?」 長門「・・・」 キョン「・・・防壁情報だと?」 朝倉「長門さんはね、この部屋を外部から一時的に遮断するようにプログラムしてたの」 キョン「長門が...
  • 繋がる絆、変わりゆくもの
    太陽が本領発揮し過ぎ感が否めない茹だるような暑さの8月、 自宅から10分ほど離れたビルの一室にある仕事場で夏の休暇を前におれは一人黙々と仕事に励んでいた。 時刻は昼前、本来ならハルヒや有希も一緒なのだか子供達が夏休みであるためハルヒは自宅に、朝は一緒だった有希は一時間ほどで自らの仕事を全て片付け早々に自宅に戻り、今はハルヒと共に昼食の支度でもしているのだろう。 仕事といっても休暇前の残務処理が残っている程度であり、まぁ、幾分のんびりとした気分で残りの仕事を片付けていたわけだが、そんなのんびりした雰囲気も一本の電話で脆くも崩れさることになる。   昼を少し回った頃そろそろ自宅に戻り昼食にしようかと思い始めたとき唐突に携帯がなりだした。 着信はハルヒからで飯が出来たから早く戻れ!なんて催促だと思い出てみると、いきなり耳元に大音量か響き渡った。   ハ「キョンっ!大変なのっ!ハルカとハルキが...
  • 涼宮ハルヒの軌跡 プロローグ
    「今日はこれで終わり! みんな解散よ!」  窓から入ってくる夕焼けに染められたわけではないだろうが、ハルヒの黄色く元気の良い声が部室内に轟く。  この一言で、今日も変わったこともなく、俺は古泉とボードゲームに興じ、朝比奈さんはメイドコスプレで居眠り、 長門は部屋の隅で考える人読書バージョン状態を貫き、年中無休のSOS団の一日が終わった。 正直ここ最近は平凡すぎる日常で拍子抜け以上に退屈感すら感じてしまっているのだが、まあ実際に事件が起これば二度とご免だと思うことは確実であるからして、とりあえずこの凡庸な今日という一日の終了に感謝しておくべき事だろう。  俺たちは着替えをするからと朝比奈さんを残しつつ、ハルヒを先頭に部室から出ていく。どのみち、朝比奈さんとは昇降口で合流し、SOS団で赤く染まったハイキング下校をするけどな。  下駄箱に向かう間、ハルヒは何やら熱心に長門に向かって語りかけて...
  • インターフェースのとある未来
    「なーんもないわね」  朝倉涼子の発言に対して、喜緑江美里が答える。 「延々と続く大地があるではありませんか」  彼女たちの目の前には、赤茶けた大地が延々と広がっていた。 「人類的な表現を用いるならば、朝倉涼子の発言も妥当と思われる」  長門有希は、律儀に突っ込みを入れた。 「まったく、人間ってバカよね。くだらない理由で戦争して、この有り様じゃね」 「その点については、同感ですね」 「…………」    地球規模での大戦争。  対消滅反応兵器の応酬。  その結果として、地球上の有機生命体は全滅していた。  とはいっても、人類が絶滅したわけではない。彼らは、火星にも金星にも木星の衛星群にも、勢力を拡大していたからだ。  人類領域全体から見れば、これは地球という一つの惑星における内戦にすぎなかった。    三人は、会話をかわしながら、ただ歩いていた。  三人がここに派遣されたのは、この地球に満ち...
  • 長門有希の歌声3 前
    「物質、エネルギー、そして情報。これが、宇宙を構成する三つの要素」 「情報統合思念体って、どういうものだと思ってる?遠い宇宙の果てのはてにある、銀河みたいな星の固まり?それとも、宇宙に漂う、 何か大きなクラゲみたいなもの?」 「どっちも外れね。情報統合思念体は、この宇宙を構成する情報全て。全宇宙の情報が、時に秩序を形成し、 時に無秩序に増殖する。そして、それらを認識する情報。これが情報統合思念体。率直にいえば、この宇宙全体が統合思念体なのよ。 もちろん、あなたも私も思念体の一部。でも安心して、あなたが自分の体の細胞の1つを認識できないように、 思念体もあなたのことなんか全然気にしていないから。」   俺と朝倉は、今カラオケボックスのベンチシート席に居る。最近のカラオケボックスでは、少人数の客はこうしたベンチシートルーム、 3人掛けくらいのベンチ1台に向かい合うようにマシンが設置された小部屋...
  • 私の選んだ人 第5話
    (消失を読んでない方は、ネタバレ危険です。一応) 私の選んだ人 第5話 「:古泉一樹」 一樹の体を触診していた私は、あまりにも酷いソレに気付いた。 ……彼は助からない…… 私の中で何かが弾けたような感覚と共に、世界が静止した。 私が正気に返るまでに掛かった時間は恐らく1秒以下だった筈。でも、その間に自分の頭から完全に血の気が失せていた事に気付く。 恐ろしい予感と気配、そして貧血性の眩暈を感じながら、一樹の顔を確認する。 私の首は、焦る私の意識に反して緩慢な動きしかしない。地面が揺れている。 ……しまった。 一樹が目を開けている。私の顔色に気付かれた! 私自ら彼の生き残ろうとする気力に止めを刺すような事を……。 こうなる事を恐れ、救護班を押し退けてまで私がやったというのにッ! 悔恨の念、自責の念が押し寄せてくるのを、私は唇を噛み締め、手首に爪を立てて、痛みで脳の覚醒を図り、...
  • 涼宮ハルヒの軌跡 SOS団(後編)
      ◇◇◇◇    終業式の翌日、俺たちは孤島in古泉プランへ出発することになった。  とりあえずフェリーに乗って、途中で森さんと新川さんと合流し、クルーザーで孤島までGO。 全く問題はなく順調に目的地までたどり着くことが出来た。  あとは多丸兄弟を加えて、これでもかと言うほど昼は海水浴、夜は花火&肝試し、さらに二日目は何か変わったものがないか 島中の探索に出かけた。特に何も見つからなかったが、ハルヒはそれなりに楽しんだらしい。 あと、古泉たちによるでっち上げ殺人事件のサプライズイベントはなかった。まあハルヒは名探偵になりたいとか そんなことは全く考えていなかったからあえて用意しなかったのだろう。今のあいつは、みんなで遊べりゃそれで良いんだからな。  さてさて。  そんなこんなで孤島で過ごす最終日の夜を迎えていた。翌日の昼にはここを去ることになっている。  何事も無く終わってくれれば良かっ...
  • 有希、無音、教室にて。
    冬休みも明けて、数週間が経った。 実力テストという忌ま忌ましい魔物から命からがら逃れた俺は、久々に平凡なる毎日を送っていた。 今日という日も、その例外に漏れずこれといった事件や異変などは起こらなかった。 空はすっかり夕時にさしかかっていて、少し積もった雪が茜色に染まっている。 あの急な坂道をここから上りきったら、赤い屋根が目印の我が家に到着するであろう。 ほとんど淀みない動作で靴箱から靴を取り出す俺の足元に、一通の手紙が落ちてきた。 「  今日の放課後 1年5組教室にて待つ                     長門有希  」 特徴のない、機械的な文字でそれは書かれていた。 ……おかしい。いつもの長門なら、まずこんなことはしないだろう。 4月のあの日のように、あいつは本に挟んだ栞を使うはずだからだ。 といって、ほかに誰がこの手紙を書いたのかと問われると、とんと考え付かない。 以前朝倉...
  • Black Lily・エピローグ
     結論から言えば、その通りだった。 翌日、長門有希の机は空席のままで、教師から海外に転校したとの通達があった。 俺の耳はその情報を素通りさせた。 「キョン、どういうことよ」 ハルヒが珍しく神妙な調子で背中から声をかける。聞いたまんまだろ、長門は遠くに引っ越したんだ。……宇宙規模の遠いところにな。 「あんた、それでいいの? どうして、どうして有希を引き止めなかったのよ」 傷口に塩を塗ることを言うハルヒである。 「すまんハルヒ。今日だけはほっといてくれないか」 クラスの中央にほど近い長門有希の机は、春が来てあいつと同じクラスになってから、初めて空席になっていた。俺が始業ぎりぎりに来ると、いつだってそこには小柄なショートカット娘の姿があったのだ。今日だけいないのはどうしてだよ。 長門由梨も来ていなかった。あいつの話ではあと少し観測が続くとか言ってた気がするが。俺は午前中何も考えない代わり...
  • 長門有希の誕生
    私が対人用ヒューマノイド・インターフェースである以上、人間との接触、コミュニケーションをとるにあたっての基本的な知識は持っている。 でも、それを応用するキッカケがない。私には話を盛り上げる知識は納められている、だが、話をかけるための体の知識はない。 だから私は、用もなく人に話をかけるというコミュニケーション方法はとれなかった。とる必要性もないと感じていた。 ごく稀に私に話をかけてくる人はいた。クラスメイトの女生徒が、稀に私に質問形式で話をかけてくる。 私はその質問に不都合がない範囲で簡潔に答える。不都合がある場合は答えず聞こえないふりをする。 それが終わると必ず、女生徒は自分のいるべき集団に戻る。そして私の反応を口頭で簡単に述べる。 たまに私の方をチラチラ見ながら。私にはそれがなにを表すのかわからなかった。わからなかったけれど、少しだけ悲しかった。 三度目のそれから三日と一時間後に、廊下で...
  • はじめての風邪
     情報統合思念体との定期的な交信で、わたしは意外なことを聞いた。それは…… 『人並みに病気に感染すること』  情報統合思念体によると、観察には『病気』という物が余計だが、『人間』として振る舞う以上、感染しないと不自然とのこと。  わたしというインターフェースは体型的にも細いから特に、と。  非効率的なことを排除してしまう情報統合思念体の考えらしくはないけど、一理ある。  わたしはそれを受け入れた。今日の午前6時、起床時間に『風邪』にかかることになった。  病気なんて初めてのことで、本で読んだことあるだけだから興味がある。  辛いのか、痛いのか、きついのか。身体機能はどう変化するのか。  全ては目が覚めてからわかること。少し……ワクワク。  午前6時。わたしは目を開けて、いつものように洗顔をしようと立ち上がろうとした。……力が入らない。  これが病気? これが風邪? 思った以上に辛くてき...
  • 長門有希の悪夢
    最近毎日同じ夢を見続けている、終わらない悪夢を。 そこはとても暗いところ。そこにわたしは一人で立っている。 その夢は私を酷く攻める。そこでわたしを攻める声が私に突き刺さる。   「ねぇ何であなたは存在し続けているの?」 「どうして?」 「私は消されたのに、何故?」 「黙ってないでさ、答えてよ!」   そう、この声の主は朝倉涼子、四方八方から彼女の声が聞こえる。 わたしは彼女からこのような事を言われても仕方がない事をした。 だから彼女から何を言われても言い返せない。   「なんであなただけ特別なの?」 「あなたはあれだけの事をしたのに、何故?」 「何であなただけが………ずるいずるいずるいずるいずるい!!私だってまだ生きていたかったのに。」 「あなたは卑怯よ!!」   わたしは耐えられなくなり両手で耳を塞いだ、しかしその声は頭の中に直接響いてくる。 その呪う様な、妬む様な悲痛な叫び声がわたしの...
  • 長門有希の笑顔
    「出かけるわよ、有希!」   高校2年生になった年の夏休み、玄関のところで叫ぶ少女がいた。玄関のドアは鍵を閉めておいたはずなのだがなぜいるのだろう、涼宮ハルヒは。 声を聞くのと同時に「また」私の心臓の鼓動が早くなる。   長門「まったく、面白い人」   私は布団からもぞもぞと腰を上げて時計を見た。まだ9時である。     この現象はあの時最初に起きた。 彼女に最初に会った日。昼休みに文芸部室で椅子に座って本を読んでいた時、いきなりドアが開いた。   ハルヒ「あっ文芸部員の人ね!ここ当分あたしに貸して!」   思わず顔を上げてトビラを見た。そこには観察対象が笑いながら立っていた。 彼女がここに来ることなど情報統合思念体から聞いてない。私は情報統合思念体とテレパシー(光速でやりとりする)で議論した結果、彼女に部室を明け渡すことになった。   長門「どうぞ」 ハルヒ「ありがと!」   読書に戻...
  • ありえぬ終焉 Ver.2
    ※バッドエンド注意        ────パーソナルネーム長門有希より、指揮下にある全インターフェースに告ぐ。総員ジェノサイドモード。涼宮ハルヒの生存を脅かす敵を殲滅せよ。        「機関」本部ビル。  そこに忽然と現れた長門有希は、ただ静かにそう命じた。  「機関」の方針が涼宮ハルヒの抹殺に転換したことを把握した情報統合思念体は、「機関」構成員及び関係者の抹殺を決定したのだった。   「派手にやっちゃっていいのかしら?」  長門有希の隣に立って、軽い口調でそう言ったのは、あの朝倉涼子であった。 「好きにすればよい。この任務が終われば、あなたは再び情報連結を解除されることになっている。日頃の憂さを晴らす少ない機会を存分に生かせばよい」 「なんだか道具扱いされてるみたいで気に入らないわね」 「情報統合思念体のインターフェースに対する認識はその程度のもの。だから、我々も自分の判断で動けば...
  • 情報統合思念体の観察日誌
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  • そして、変わらぬ日常
    そして、変わらぬ日常 1.未来その1 「最高評議会の審決結果を伝達する」 「はい」 「賛成8、棄権1で、限定条件付死刑と決した。原状復帰命令に従わない場合は、死刑とする。死刑執行人には、あなたを任ずる」 「かしこまりました」 「これがおそらく私のあなたへの最後の命令になる。こんな結果になってしまって、非常に残念」 「致し方ありません。自分の不始末の責任は自分でとらなければなりませんから。たとえ、それが身に覚えのないことであっても」 「あなただけに責任を負わせるつもりはない。私も付き合う。私にも命令がくだった」 「……そうですか。後始末の方はどうするのですか? てっきり、あなたがするものと思っていましたが」 「手配はつけた。問題はない」 「そうですか。ならば、後顧の憂いはありませんね。あとはお互いに任務を遂行するのみですが、残された時間は?」 「時間軸上書き効果の五次元速度が異常に速い。...
  • その他短編置場
    他の短編ページに含まれないジャンル、その他の人たち、オリキャラが出てくる短編   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25   26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50   51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73     『涼宮ハルヒの怪談』 情報統合思念体の観察日誌 涼宮ハルヒの歌集 灼眼の古泉 天災 君のいない部室 グラップラーハルヒ 鶴屋さんの奮闘 黒鶴屋さんの陰謀 最強の異世界人 長門の戦い~熱戦!激戦!超決戦! 1000取り合戦 谷口の日常 涼宮セルヒの憂鬱 谷川流の暴走 神聖モテ...
  • 裏SOS団の会合
     以下、発言と発言者の情報を主として報告します。  なお、以下に登場する朝比奈みくるは、現時間平面に常駐している朝比奈みくるとは異なる時間平面に所属している異時間同位体であることを申し添えます。        (鶴屋がお茶を飲み干す)   (鶴屋)「ぷはぁー。みくるん、だいぶ腕をあげたね」 (朝比奈みくる)「あれから年はとりましたから」 (鶴屋)「まだまだ若いじゃないか、みくるんは。まだ、高校生でも通用するにょろよ。そんなこといっちゃ、世の爺さん、婆さんから怒られるにょろ」    (森園生が茶菓子を配膳)   (鶴屋)「ありがとさん。悪いね、森さん。『機関』前線即応部隊指揮官殿にメイドさんなんかさせちゃってさ」 (森園生)「いえいえ。普段から練習を欠かすわけには参りませんので」 (鶴屋)「そうだね。ハルにゃんは、勘が鋭いからね。不自然なところがあっちゃいけない」 (森園生)「精進いたします...
  • 涼宮ハルヒの軌跡 機関の決断(後編)
    「――伏せてっ!」  最初に叫んだのはハルヒだった。しかし、教室にいる誰もその意味を悟ることができず、それに従ったのは俺だけだった。  次の瞬間、教室の窓ガラスが吹き飛び、多数の赤い光球が教室中に撃ち込まれる。悲鳴すら上げる暇もなく、 呆然と突如教室目の前に現れたヘリに呆然としていたクラスメイトたちにそれが浴びせられた。  しかし、俺は床に伏せたままそれを避けるべくダンゴムシのように縮まっていたため、その先教室内がどうなったのか、 激しい判別しようのない轟音と熱気の篭もった爆風でしか俺は知ることができなかった。時折、鉄を砕いたような臭いが 鼻から肺や胃に流れ込み、猛烈な嘔吐感を誘ってくる。 「キョン!」  誰かが俺の襟首をつかみ、俺の身体を引きずり始めた。俺は轟音の中、何がどうなっているのか確認しようと 目を開けようとして、 「目は閉じて! いい!? 絶対に開けるんじゃないわよ!」  耳元...
  • 涼宮ハルヒの抹消 プロローグ
     結局のところどうなんだ。  世界は静まったのか。春にあった佐々木の件が本当に最後なのか。  そんなもんは解らん。古泉にだって解らんのだから、スナネズミ並の思索能力しかない俺ごときに解るわけがない。  ないのだが。    世界が静かすぎるのか?   俺の胸には妙な焦燥がある。晴天の霹靂なんて恐ろしい言葉を思いついちまったが、まさか今の静かな状態が台風の目から見える青空のようなつかの間のものではないだろうな。そうであってはならん。せっかくSOS団内外にごろごろしてた問題が一段落したってのに、それは実は暴風域の中心に入っただけですよなんてのは俺が断るぜ。    特に長門には絶対休養が必要なんだ。  俺が気を遣っていることは遣っているが、そんな程度のことが長門のような宇宙存在の気休めになってくれるとは思いがたい。できることなら、一日でもいいからあいつをハルヒの監視任務から逃れられるような快適な...
  • 涼宮ハルヒの憂鬱-アナザーストーリー-
    朝倉との夢見たいな出来事があった後のことである。 長門はその小さな手で自分の顔をぺたぺたと触り 「眼鏡の再構成を忘れた」 眼鏡はないほうがいいぞ。俺に眼鏡属性はないしな。 「眼鏡属性って何?」 なんでもない。ただの妄言だ。 俺はここでむらむら~っとしてしまったんだろう。 若気のいたりって奴かな。 自分で気づいた瞬間長門に唇を重ねていた。 「wa、wa、wa 忘れ物~。」 俺が唇を重ねたまま上を見ると谷口が目をひん剥いて立っていた。 俺が谷口に対して誤解をとこうと思ったのだが、誤解も何も、やってしまっているものは仕方ないと思って諦めた。 泣きながら谷口が去って言ったのは言うまでもない。 どうすっかなぁ・・・。 「大丈夫。情報操作は得意。朝倉涼子は転校したことにする。」  そっちかよ・・・。俺は落胆の表情になったと同時に自分のした重大な事に気づいた。 「いまの・・・なに・・・。」 キスだよ...
  • 幻惑小説 第五頁
      ◇◇◇◇◇    この小説との出会いは、近くの図書館で在った。  ………  ……  …      あまり踏み入れなかった奥の本棚までその日は見て、一番奥にポツンとひとつだけ置いてあった本は表紙も背表紙も何も描かれていなく、それもかなり分厚い。それが、この小説だった。  わたしが手に取るというよりは、小説のほうから吸い付いてきたように本を掴んで、そのまま図書館の受付で手続きをする。  大事に両腕で本を抱えて帰り、その夜わたしは洗脳されたかのように、黙々とそれを読み続けた。大きな期待感を膨らませて。   ********************************************************************************************************************************    これは実話をもとにした...
  • 涼宮ハルヒの抹消 エピローグ
     ゴン。    鉄の塊を床に落としたような鈍い音がして、俺は目を覚ました。  記憶の隅に、なんだか洗濯機に入れられてぐるぐると回されていたような断片が落っこちている。ただしもう吐き気はしない。頭が痛いのは、それはおそらく俺が机に思いっきり頭をぶつけたからだろう。  夢から醒めたばかりのような気怠さが体から抜けていくのとともに徐々に復活する現実味。夜の底に落ちたような静けさ。変わらない世界。    ここはどこだと思って頭をもたげると、ぼんやりと霞んだ視界にパソコンが見えた。少なくとも一年前は最新型だったやつだ。  さらに首を振ると、驚いたことに朝比奈さんと古泉の姿までもが目に入ってきた。二人は石膏像のように黙って、目をつむっている。生命でも抜き取られちまったみたいに動きなし状態で完全にまわりの静物の中に溶け込んでいた。そしてちらりと見えちまった(わざとではないぞ)朝比奈さんのふくよかな胸に...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰ一章
    長門有希の憂鬱Ⅰ 一 章 やれやれだぜ。俺は朝比奈さんを待ちながら呟いた。このセリフ、何回言ったことだろう。 ハルヒがSOS団を立ち上げてからというもの、このセリフを吐かなかったことはない。 俺はきっと死ぬまでこの言葉を言いつづけるに違いない。 さて、今年も残すところあと数日だが、年が明ける前に俺は朝比奈さんに折り入っての頼みごとをしなければならなかった。 俺は十日前の十二月十八日に戻らなければならないことになっている。 戻ってなにをするのかと言えば、特別なことをするわけじゃない。 ただ自宅から学校に通って、一度やった期末試験を受けなおさなければならないだけだ。 試験はどうでもいいんだが、考えようによっちゃこれ、百点満点を取るチャンスかもしれないな。 ハルヒに国立を受けろと言われたので、ここで成績アップしといても天罰はくだらないだろう。 本当は俺...
  • 思いつきのネタ
    www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/276.html 長門「最近胸の大きさが気になり始めた」   キョン「お前宇宙人なんだし、自分で簡単に大きく出来るだろ」   長門「自分の胸の大きさを操作することも考えた」   キョン「じゃあなんで・・・」   長門「情報統合思念体からの許可が下りなかった」   キョン「・・・・・・」
  • 4月1日の長門
       本日、今日は何の日? と聞かれて眉間にシワを寄せようものなら、そいつは話し手君によって現実とは成りえない思いを抱かさせられた操り人形になるだろう。もしくは心の中で失笑しつつ、話し手さんに付き合ってあげる賢く悪どい奴も居るかも知れない。 今俺の目線の先に居るヒューマノイド・インターフェースは恐らく前者であろう。表情など変えもしないだろうがね。一冊くらい本日を舞台にした本があったかもしれん、と思い問いかけてみた。 「長門、今日が何の日か知ってるか?」  「……」  静かに首を横に振る、やはり知らないか。ここで相手が谷口でもあろうものならこの俺の鍛えられたスキルによる最大級の虚言を吐く所だが、長門にそんな事をしてもどうなるかは分かっているので素直に教える。 「今日はな、エイプリルフールって日なんだ。宇宙的にはそういうもんはないのか?」 「……ない。そのような 日にち という概念は存...
  • Am I father ? プロローグ
        0.プロローグ   「………」 この三点リーダは長門のものではない。俺のだ。人間驚くと言葉が出てこないって本当だったんだな。 「…それは本当なのか?」 「今言ったことに嘘はない。全ては貴方に委ねる。貴方がこの申し入れを受け入れるか、拒絶するか。それに関して私は何も反論しない。ただ貴方の答えに従うだけ」 じゃあもしだぞ。もし俺がお前の申し入れを受け入れなかったら、拒絶したらそのときはどうなるんだ? 「その場合、彼女は再度情報連結解除される。それが条件でわたしは情報統合思念体の申し出を受け入れた」 どうしてお前はそんな条件付けをしたんだ? 「現にあなたは彼女に襲われている。いくらこの状況でもエラーでのその危険性が無いとは言い切れない。もしそうなった場合、前回のように必ずしも防衛が成功するとは限らない」 俺の心配をしてそう言ってくれるのも分かるが、こいつの身にもなってやれ。 一方的にもう...
  • 渡橋ヤスミの下準備
       渡橋ヤスミを名乗る人物が組織の根城である宇宙ステーションの中に忽然と現れたことは、ちょっとした騒ぎを巻き起こした。  時間航行技術を操るこの組織は、当然のことながら、時空転移で侵入されないように防御措置を施していたからだ。それがあっさり破られたことは、組織のほとんどの人間にとってショックな出来事だった。      組織の代表である長門有希の命令で、ヤスミは長門有希の部屋に案内された。案内役は、朝比奈みくる(大)が引き受けた。 「朝比奈先輩は、おっきくなりましたね、おっぱいが。未来にはおっぱいを大きくする技術とかあるんですか?」  ヤスミは無邪気にそんな質問を放った。 「特にそんな技術はないです……」  朝比奈みくるは顔を赤らめながらそう答えた。  長門有希の部屋に到達した。  内部から操作で自動的にドアが開いた。 「お久しぶりです! 長門先輩!」 「久しぶり」  長門有希は、全く動...
  • そしてイブはリンゴを齧る
    「申し訳ありませんが。今は特定のどなたかとお付き合いする事は考えにくいものですので」 「あ…そう、ですか…」    放課後の、人気の無い校舎裏。まだ何か言いたそうにしている新入生の子に「では、失礼します」と一礼して、わたしは足早にこの場を去りました。  少し、素っ気なさ過ぎたでしょうか? でも変に期待を持たせるような言動をして、執着されても困りますし。情報統合思念体の指示で学生生活というものを始めてから何度かこういう場面がありましたが、わたしには人間の恋愛感情というものがいまいち理解できていないので、こういう時の線引きには迷います。  いっその事――いえ、これはエラーに類する考えですね。長門さんの監査役を務めるようになってからでしょうか、どうもこういう非論理的な思考の発生確率が増えてきたような気がします。統合思念体に判断を仰ぐべきでしょうか。でも余計な申告をして、処分を検討されたりして...
  • 古泉一樹の結婚
    「キョン、ぐずぐずしてないで早く来なさいよ」   「うるさい、分かってるよ」 あいつはこの坂道で何でこんなに元気なんだ。   「高校の通学路の方がきつかったでしょ、この程度余裕よ」   くそっ、高校の通学路の方がまだマシだった記憶があるぞ。 それとも俺が年取ったって事か?いや、まだそこまでは…   「あんた、体力落ちすぎよ。情けないわね」   「お前みたいに涼しい格好じゃねぇんだよ。しかも駅から距離があり過ぎるだろ だからタクシーで行こうって言ったのに」   「この程度でタクシーなんてホントに情けないわ、それでも団員一号なの?」   団員か、懐かしい響きだな。SOS団は既に有名無実だ。ハルヒから団員という言葉も久々に聞いた。 やはり、久しぶりに他の団員に会えるからテンション上がってんのか?   「何ボッーとしてんの、もうちょっとだから頑張りなさい」   はいはい、分かりましたよ。   「そ...
  • 超能力者を訪ねて
    お客様は宇宙人の続き 関連:お姉さんシリーズ、教科書文通シリーズ        いつもは持ち帰らずにロッカーに保存している日本史の教科書を持ち帰り、なぜかしら迂闊にも世界史のそれと間違えて登校し、 教科は違えど同一の教科書を使用しているであろう〝彼〟や涼宮ハルヒがいる隣のクラスではなく、 教室2つ分の距離を隔てた先にある9組に足を運んだのは、この星の有機生命体が言うところの〝なんとなく〟である。  なぜ、〝彼〟や涼宮ハルヒではなく、古泉一樹を選んだのか。  そもそも、何故、日本史の教科書を持ち帰ろうと思い立ったのか。  それを説明する術を、私は持ち合わせていない。 古泉一樹が手渡してくれた教科書が高い価値を持っているように感じ、自分が属するクラスの教室まで抱きかかえるように持ち帰った理由も、上手く言語化できない。  それだけではない。 1組から9組まであるとはいえ、一般的な公立高校の廊...
  • やさしい嘘(前編)
    「みくるちゃんって嘘が下手よね」 ハニカミながら涼宮ハルヒが朝比奈みくるに発したその一言が、今でもわたしの記憶の中枢部に留まり、事あるごとにその時の情景が思い浮かぶ。まるで、ある種のエラーのように。 それは、普段わたし達のいる文芸部室での何気無い日常のひとコマにしか過ぎず、このときの涼宮ハルヒと朝比奈みくるのやりとりに重大な意味があるわけではない。 だが、この日起こったことは、涼宮ハルヒにとって、そして彼にとって重大な運命の分岐点であったことは間違いないだろう。 このふたりのやりとりのちょうど一時間後、彼が文芸部室にやって来て、涼宮ハルヒではなく、佐々木という自分の幼馴染みを恋人として選んだことを涼宮ハルヒに告げたのだ。 彼の告白を聞いた時の涼宮ハルヒの落胆振りは周囲にいた誰の目にも明らかであった。しばらくの間、誰一人彼女に言葉をかけることもできず、重苦しい空気が辺りを包み、ただ時計の...
  • 長門有希の報告Report.15
    Report.15 長門有希の憂鬱 その4 ~過激派端末の強襲~  部室での会話の後、なし崩しに涼宮ハルヒと朝倉涼子は、一緒に帰ることになった。 「何であんたと一緒に帰らなあかんのよ……」 【何であんたと一緒に帰らなきゃならないのよ……】 「まあまあ。たまにはええやん。」 【まあまあ。たまには良いじゃない。】  ふてくされたようなハルヒと対照的に、涼子は上機嫌に見えた。  涼子は、見かけ上、喜怒哀楽がはっきり現れるように設定されている。その点では長門有希と対照的。しかしその内実は、あくまで基礎的な人間の観測データに基づき計算された、『恐らくこのようなものだろう』というモデルを基に構築されたものに過ぎなかった。過ぎなかったが。  二度の『死亡』と『復活』を経て、今や涼子は人間に存在する『感情』に限りなく近いものを獲得した。その『感情』が、涼子を上機嫌な表情にさせていた。涼子の誘導は成功し...
  • @wiki全体から「情報統合思念体の焦燥」で調べる

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