涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「消えていく日々、いつもの風景・第四章」で検索した結果

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  • 長編・キョン2
    涼宮ハルヒのロックバンド キョンとキョン Happiness! 『思い出の結晶』 『キョンの悪夢』 志 ハルヒの好きな人 『lakeside love story』 真夏の日の夢 3人娘の本音 BR 未完? キョンの突撃 To非日常 from日常 初恋 in the middle of nowhere カントリーロード ガール・ミーツ・ガール 涼宮ハルヒの微笑 とりあえず無題(仮) 宇宙戦争 SOS団お掃除大作戦 全力疾走!ロミオ&ジュリエット ただ一人のための物語 ある日のイベント 緋色の媚薬 命の価値 キョンの日常 ) 幸せの定義 尾行大作戦? あるカップルの優劣 And everyone passed away リセット(微鬱描写有) 虫歯と歯医者 恋愛お試しお手伝い! 涼宮ハルヒの中秋 ハルヒになっちゃった 月で挙式を 三者面談 とびだせ大作戦はサイケデリック 親愛の情 デッサン ...
  • 遠距離恋愛 第四章 想い
    第四章 想い   『もう少しましな伝え様は無かったのですか?』 心底疲れたといった声で、携帯の向こうの古泉が呟く。   『今日の1時限目の授業中に、突然閉鎖空間が複数発生しました。一つ一つの規模や速度はそれほど大きくないのですが、一つを崩壊させるとまたすぐに別の空間が発生するというイタチごっこでして……現在、機関総出で対応していますが、この発生ペースだといずれはまずいことになりそうです』 そうか、本当にすまんな……しかし、あいつの不思議パワーは減少しているんじゃなかったのか?   『確かに、我々の調査結果を見る限り、最近では最盛期の半分程度まで落ちていました。閉鎖空間発生も希な状態になってきていましたしね。しかし、今回のこの閉鎖空間の数は過去最大です。涼宮さんには、まだこれほどの力が残っていたんですね、驚きです』 あいつの力が復活したと言うことなのか?   『それは分かりませんが、今は...
  • はるかぜふくまえに・第四章
    ○第四章   その姿はいつぞやの雪山での光景を思い出させた。 俺のいたベンチは突如騒然となった。俺は誰が何を言っているのかも聞かずに席を飛び出した。 ハルヒや喜緑さんが駆け寄っている。守備についていた他のメンバーも二塁に集まり、気付くのが遅れた谷口が傍らで怪訝そうにしている。 俺は五秒で長門のいるベースに駆け寄ると、輪をくぐって中に入った。 長門は力なく倒れており、古泉が抱える形で呼びかけていた。 「長門さん! 長門さん!」 かがんでいた俺はちらと上を見る。喜緑さんが蒼白な表情で口元に手を当てている。……何てことだ。 「新川、すぐに車の準備を!」 「かしこまりました」 新川さんと森さんの声が聞こえたが何を言っているのか頭が回らない。 「長門、長門っ!」 「有希! どうしたの! 有希っ!」 俺とハルヒの声。さっきまでベンチにいた会長チームの面々が走ってきた音が聞こえる。 「……! すごい熱だ...
  • 涼宮ハルヒの交流 第四章
    「――て、起きて」  いつものような妹による激しい攻撃ではなく、体を軽く揺すられて目覚める。  ん、何だ。朝か。 「おはよう。朝食、できた」  もう朝ごはん出来てんのか。 「サンキュー、長門。今起きるよ」  長門の動きが止まる。 「朝は、……おはよう」 「あ、ああ。おはよう長門」         『涼宮ハルヒの交流』 ―第四章―          長門の作った朝食は思ったよりも、というのは失礼だろうが、かなりしっかりとしたものだった。  カレーだけじゃなくて普通の料理も作るんだな。 「どう?」 「ああ、おいしい。お前料理うまいんだな」 「そう」  ゆっくりと朝食を食べながら長門は言う。 「私は学校に行く。あなたは?」  そうだな、どうするか。放課後まではかなり時間があるからな。ここでゴロゴロしているのも退屈だ。  かといって別に何が出来るというわけでもないよな。学校へ行けるわけでもないし。...
  • Black Lily・第四章
     翌日。 「何読んでるんだ?」  休み時間にトイレから戻ると、カバーつきの文庫を読んでいた由梨が目に止まった。 「解体新書」  医学書かよ。 「おもしろいか?」 「べつに」  そうかい……。ん、何か懐かしいやり取りだな、これ。 「本、自分で買ったのか?」 「姉に借りた」  何とまぁ。有希が貸したのだろうか? にしては趣味がオカルトだが。 「このクラスには慣れたか?」 「べつに」  こいつの口癖は「べつに」なのだろうか。中身も長門そのままかと思いきや、微かに違いがあるようだ。 「あなた」  受け答え一方だった由梨が、本から目を離さずに言った。何だ? 「長門有希は好き?」 「なっ!」  何を言い出すんだ!? というか、話に何の脈絡もない。それもあれか、調査の一環か? 「周囲の人間との関係についての理解も必要。感情と呼ばれる概念についてわたしは理解しないが、事実は把握しておく必要がある」  由梨...
  • 涼宮ハルヒのビックリ」第四章α‐7 β‐7
    第四章 α‐7  坂を下りながら、ハルヒと朝比奈さんを先頭に、そのすぐ後ろに本を読みながら歩いている長門、さらに離れて歩く俺とその横には、ニコニコ顔の古泉の五人がいるいつもの下校時間だ。新入部員が入った日には、部室からぞろぞろと引き連れて下校するのだろう。カバン持ちなんぞさせるなよ。  もっとも、いかなる理由であれ、校内に名を轟かせているこのSOS団に新入生が入部するなんてことあるのか?ましてあんな追い返し方をして。そんなことにもめげずにやってくる新入生に対して、明日は筆記入団試験をやるつもりなんだろう。  「そういえば古泉、気になる新入生はいたか?」  「おや、そんな言い方は何かご存知なのでしょうね。さすがあなたと言えます」  古泉が気になった新入生の容姿を言うと、俺と同じ意見であった。  「他の人と比べて熱心に涼宮さんの弁論を聞いていましたしね」  「...
  • Am I father ? 第四章後半
      4-2   そして場所は移って俺の家の居間。 「夕飯はわたしが作る」 という長門の提案を俺と朝倉(小)はあっさり、いやむしろ大歓迎で受け入れ、今は父娘そろって台所から聞こえるトントンという軽快なリズムをBGMにして、ソファでのんびりしている。おいそこ、ぐうたらしすぎだとか言うな。 これはな、親子水入らずってやつだ。 だが、さすがにそろそろやることがなくなってきたが・・・。さて、どうしたものか。 「お風呂を沸かしてある。涼子といっしょに入って………あなた」 おう、気が利くな・・・・・っておい!今お前なんて言った!? 「なに?………あなた」 その言葉で俺の頭にズガガガガァァァァァァンと雷が落ちるっ! 「な・・・なななな・・・長門?頼む!もう一回!もう一回言ってくれ!」 「はい……あなた」 少し頬を染めた顔!上目使い!夕食準備で少し汗ばんだ肌!エプロン装着モード!そして微妙に漂う夕飯のいい匂...
  • Am I father ? 第四章前半
      4-1   「ふう・・・」 図書館のドアを開けると、その隙間からふわぁと涼しい空気が流れてきて、火照った身体に心地よい清涼感を与えてくれる。 こんな真夏の一番暑い時間に図書館に人なんぞいるのだろうか、と思っていたのだが、意外も意外、結構人はいるようだ。 このヒマ人め、と以前の俺なら思ってしまいそうだが、悔しいかな、ここの快適さ・・・とはいっても俺の場合、本を読む、というよりは、その快適な温度の中での、敗北と決まっている心地よい睡魔との闘いの一時を指すのだが、それをここにくる度に味わっている身としてはそんなことは言えんのだ。むしろ、俺のほうがヒマ人みたいだしな。 俺がぼけーっとそんなことを考えているうちに、朝倉(小)は、あちこちきょろきょろしながらすたたたたっと走っていこうとする。 こらこら、図書館では走っちゃいけません。それにお前が読むような本はそっちじゃないぞ。 朝倉(小)を呼び止め...
  • 長門有希の雨しずく
    長門有希の雨雫 夢を見ていた。 夢、そんなものみないはずなのに、見ていた。 なぜだろうか?なんでそんなことがありえるのだろうか? まず、今のが夢というものなのだろうか、みたことがないので彼女は、 理解することはできるはずがなかった。加えて、内容も理解することができなかった。 いや、理解したくもなかったのだ。あまりにも、突飛すぎていたし、 何よりも凄惨なものだった。 が、しかしこの夢はすぐに消えてしまった。   学校はいつものように、文芸部の部室、兼SOS団の部室に入り、 パイプ椅子にすわって本を読む。それを繰り返していく毎日。 その毎日にいつも彼からの話かけられることがあった。 自分の正体を知りながらも、やさしく声をかけてくる彼。 「今日は何の本をよんでいるんだ?」 「………SF」 「そうか。」 「読む?」 「いや、その量は読める気がしない。」 「……そう」 なぜだろう?もうすこしだけ話し...
  • 第四章 ダブル消失
    長門ふたり   第四章 ダブル消失   長門さんが二人いるのにもすっかり慣れてしまった今日このごろ。 なにしろ、二人いたおかげで命拾いまでしてしまった以上、 もはや、文句をいう筋合でもなくなってしまった。 彼も、自分の二重化が起きてからは下手に二人のうちどちらかを 帰らせようとするのは問題があると思い直したようだ。 長門さんも一日交替で登校してくるし、記憶は完全に同期しているので 僕や彼の様に二人の長門さんを区別できる人物以外にとっては、 事実上、何の問題もない。もともと、長門さんはSOS団員以外とはろくに 接点もないわけだし、そうそう強烈なことなど起きようもなかったのかもしれない。 結局、人間の慣れとは恐ろしいもので我々SOS団員は、事の次第にまったく 気づいていない涼宮さんをふくめて、長門さんが二人いる状況に適応しつつあった。   文芸部室に赴くと、早く来すぎたのか、長門さんしかいなか...
  • Am I father ? 
    ・プロローグ ・第一章 ・第二章 ・第三章 ・第四章 (外伝) ・第五章 ・最終章 ・エピローグ ・後日談
  • 長門有希の消失 第四章
    第四章    学校を休もうと思っていた。  あの文章を読んで、わたしが独立した存在ではないと悟ってしまったとき、本当に立ち上がれなかった。茫然自失としていた。どんなことを思い、考えたのかも記憶にない。ただ気がつくと窓の外の空が明るくなっていて、わたしの部屋もかすかながら太陽に照らされていたのだった。パソコンはカーソルを物語の最後の文字で点滅させたまま、何十分も前と同じ状態の画面を表示していた。  涙は止まっていた。枯れてしまったのかもしれない。頬を伝った部分には少しだけ違和感があった。  でも確かに、涙に浄化作用はあったらしい。カタルシス。わたしは黙って泣いているうちに、いったい何が哀しいのか解らなくなってしまったのだ。一人暮らししていることなのか、あの物語が『わたし』のものだったことなのか、わたしは存在的に独立した人間ではなかったということなのか、あるいはその全部か。  悲しさも涙...
  • 人生最悪の三日間 第四章 ~堕ちていく鍵~
        午前十一時四十分。A市の廃墟ビルの地下室にて。     トラウマ【trauma】 虎と馬ではないし、馬にまたがった渥美清でもない。 トラウマとは眉毛がチャームポイントの元学級委員か、五月の薄暗い空間での出来事のことである。 ここでは前者を指す。   この閉ざされたドアが再び開かれるのは、俺の予想では二十年後くらいだと思っていたが、実際には十分後だった。 部屋が明るくなって、俺がドアが開かれたことに気づくのにそう時間はかからなかった。 「誰だ!」 長門や古泉や朝比奈さんがここへ来る必要は無い。ここの存在を知っているのはあの三人だけのはずだ。 「まだ生きてる?」 最初、ソイツの姿は逆光で見えなかったが、そいつが一歩部屋の中に足を踏み入れると、顔が見えた。 顔が見えた瞬間、俺の全身に鳥肌が立った。 俺の精神的外傷はマリアナ海溝以上に深かった。 そいつが俺と同じく被害者だということはわか...
  • お茶会へようこそ!
    それは、卒業式を翌日に控えた夜のことだった。ふと、夜中に目を覚まし、布団の中で天井を見つめている自分に気づく。どれくらいの時間こうしていたのだろう。時間の感覚がいつもと違う気がした。 あまり物事に執着心など持たない人間だと思っていた自分にも、卒業式を迎えるにあたって、やはり何か思うところがあるのだろうか。思えば、あの日涼宮ハルヒと出会って以来、俺の高校生活は予想を大きく裏切る非日常の連続だった。 当時は怒ったり呆れたりの連続で、自分の不運を恨んだこともあったが、いまではそのことも含めて大切な思い出だと思っている。きっと大学に行っても、これ以上のサプライズに満ちた日々は送れないだろう。 そう思うと、高校生活が終わってしまうことが少し惜しい気がする。もっと、たくさんの何かができたであろうのに…… 目を閉じると、SOS団で過ごした日々が走馬灯のように目頭に浮かんでくる。ハルヒの怒った顔、長...
  • 台風一過のハレの日に:第四章
    『台風一過のハレの日に』     ○ 第四章:ハレの日   翌日の放課後。 やはり掃除当番だった俺が遅れて部室の扉を開けると、そこには昨日とは異なる衣装を身に着けた女性陣が待機していた。 朝比奈さんは、どんぐりのメイド衣装で、定位置に座っている長門はなんとナース服だ。朝比奈さん用に用意されたものなので、若干、いや、長門には申し訳ないが正直かなり胸元が寂しそうに感じられる。 ハルヒは普段朝比奈さんが着ている通常のメイド服だった。ハルヒも決して似合わないわけではないのだが、着る人間が違うとこうも印象が異なるものかと、俺は感心することしきりだった。 こゆきだけが北高のセーラー服のままだが、これだってある意味コスプレには違いないわけで、俺は少しばかり痛む頭を抱えながら、パイプ椅子に腰を下ろした。   「なによ、なにか不満でもあるわけ?」 そんな俺の姿を見たハルヒは口元をアヒルにしている。 「いいや...
  • 涼宮ハルヒの自覚 「結」
    「ちょっと……どういうことよ、記憶を消去するって!」 「言葉の通り。あなたの能力は自覚するにはあなたの精神への負担が大きすぎる。  故に、このことを忘れ自覚してない状態に戻すのが適切と判断した。」 「でも……でもそれじゃあ、今までと変わらないじゃないの!」   確かにな。ハルヒの能力が消えるわけじゃない。 ハルヒ自身が忘れるだけで、神懸り的な能力も閉鎖空間もそのままだ。 だが……   「いいんじゃないのか?それで。」   自然に口から出た言葉。これは俺の本心だ。   「これは俺自身の勝手な考えだがな、ハルヒ。俺はお前に振り回される日々、嫌いじゃないんだぜ?  能力的な面でも、そうでない部分でもだ。  お前、自分の役職言ってみろよ。」 「……SOS団の、団長……」 「だろ?お前普段から言ってるじゃないか。団長について来い、ってさ。  お前は自分の周りのヤツらを振り回すぐらいで丁度いいのさ。」...
  • 第四章『消えなさい!あたしの弱さ!』
    第四章『消えなさい!あたしの弱さ!』      キョンの机やあたしの机を懐かしむ暇はない。おぼつかない足取りを正しながら、一年五組の出入り口を跨いだ。 ――ピンポンカンコーン。  いきなり鳴り響くチャイムの無機質な音。 『みなさんこんにちわ、ENOZです』  五組の黒板上に取り付けられたスピーカーから流れてきたのは、あたしの声だった。 『Lost my music!』  同時に、体育館のある方角から、かすかにドラムの軽快な音が聞こえてきた。 「誰かいる……わけないわね。でも、なにかがある」  足は自然と体育館へと進み出した。    体育館の中には予想通り誰もいなかったが、今すぐにもバンドがライブを行うかのように、ステージに楽器一式が設置されていた。 「懐かしいな……。もう三年か」  ステージによじ登り、マイクとギターを軽く握った。高一の文化祭でのライブは本当に楽しかった。ただ、もうちょ...
  • 朝倉涼子と長門有希の日常
    暮れてゆく年 去年よりものの増えた部屋 窓から見える変わらぬ景色 空から降り行く無数の粉雪 あの人から、あの人たちからもらったたくさんの大切なもの 言葉にはできないけど、とても大切なもの 私は私の部屋でゆっくりと感じていた - ピンポーン - 突如鳴り響く来訪者のベル 私はゆっくり席を立ち、来訪者を迎え入れた 「おでんできたから一緒に食べましょ?晩御飯はまだだよね?」 「まだ」 前のような偽りではない笑顔 紺色の長い髪 朝倉涼子を、部屋に招きいれる             If Story - 朝倉涼子と長門有希の日常 - ……… …… … 「相変わらず、殺風景な部屋ね」 「そう」 朝倉涼子は部屋を見渡し、呆れる様に語る 「ま、キョン君が来てから多少物は増えたかな」 クスクスと笑ってコタツの上におでんの入った鍋を置いた 私は台所から二人分の食器を運んでく...
  • 涼宮ハルヒの抹消 第四章
     翌、土曜日。    ハルヒの一存で決定された市内パトロールに意気込んで、というわけではなく、早く会っておきたいやつがいるために俺は早く家を出た。今日ばかりは妹の必殺布団はぎもなしである。一人で起きた朝ってのは爽快感に満ちあふれているもんなんだろうが、俺の心は昨日のホームルーム前から陰鬱にまみれている。   ママチャリをこぎこぎ、駅前の有料駐輪場に自転車を止めてから俺が集合場所に到着するまでには十分とかからなかった。時計は八時三十分を指している。  あたりを見回してみたが団員は誰も見あたらなかった。この時間帯に来れば俺が奢るはめにもならなさそうだが、ハルヒのことだ、屁理屈をねじ曲げて理屈にした上で俺のサイフから金を徴収するに違いない。それに、どうせ今日は俺の奢りが確定しているのだ。木曜日に宣告された。五人分、いや四人分だっけ。 「やあ、おはようございます」  俺がサイフの中身...
  • 長門の日々 第12話『長門"有希"の憂鬱Ⅲ』
    第12話『長門 有希 の憂鬱Ⅲ』   急に天井が爆発したかのような勢いで割れた。 誰かがライダーキック風飛び蹴りでブチ割ったようだ。 そいつは勢いを保持したまま俺に向かってナイフを構えて突進してくる朝倉を蹴飛ばす。 朝倉は凄い勢いで5mくらい吹っ飛び、鈍い音を立てて壁にぶつかる。 壁の表面が崩れ、朝倉は瓦礫に埋もれる。   目の前の奴は誰だ?! しかし、コンクリートの破片、砂、埃、蛍光灯の残骸などで俺の視界は塞がれている。 まったく見えん。   ……次第に視界が晴れていく。   俺は驚く。 「―――な、なんでお前が来るんだ?!」   そいつはふん、と鼻息を鳴らして大きな声で言う。   「助けに来てやったわ!あたしに感謝しつつ、せいぜい死なないよう頑張りなさい!」   そこに現れたのは――――黄色いカチューシャをつけた長髪のハルヒだった―――   さっきまでの緊張感や、なぜかハルヒが来た事に...
  • ユキキス 第一章
    夢。 夢の中にいる。 いつもと同じ風景の、終わりを感じさせない繰り返し。 ゆっくりとまどろみに揺られながら、ひとつのことをただただ願ってしまう。 目を閉じて、もう一度開けたとき、少しでもこの風景が変わっているように、と。   久しぶりに、すがすがしい朝を迎えた。 空は白の中に微かに青をのぞかせていて、反対に地面には銀が広がっている。 こんなに気持ちがいいのはなぜだろうか。その答えはすぐに出すことはできなかった。 しかしなぜか、昨日見たなんでもないような夢が思い出される。 そう、その夢も、この現実世界と同じ、爽快な風景が広がっていた。 カーテンを開け、ゆっくりと背伸びをする。 時間がゆっくり流れている、ということばを初めて身体で実感した日だった。     リビングへ降り、朝食もそこそこに家を出る。 今日は休日だが、例のごとく俺は不思議探索へ狩り出されることになっている。 このところできるだけ...
  • 遠距離恋愛 プロローグ
    プロローグ   季節は初春、3月中旬。先週行われた期末試験明けの球技大会も、我ら2年5組は男子サッカー・一回戦敗退/女子バスケットボール・優勝と、旧1年5組と全く同じ結果となってしまったのは、昨年と競技種目が違うとはいえ、なんとなく想定内ではあった。これで高校2年生としての行事は全て消化し、あとは来るべき春休みまで短縮授業という、来年は受験戦争という監獄に放り込まれること確定な我々の学校では最後のオアシスたる怠惰な時間を満喫することになる……はずなのだが、残念ながら、現在の俺はそのような穏やかな心境ではない。 何が何でも今日は部室に行き、おそらく、今日もそこに勢揃いしているであろう非日常的存在に、折り入って相談しなければならないことがあったからだ。 ああ、ちなみにハルヒは用事があるとかで本日は部室には来ない。   一応ノックをする。先月末に卒業してしまわれたとはいえ、それ以降も健気に毎日...
  • 機械知性体たちの狂騒曲 第1話
     機械知性体たちの狂騒曲 メニュー  http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5951.html    あちゃくらりょうこ。  かつて、朝倉涼子と呼ばれた、情報統合思念体急進派が生み出した高精度情報端末。  その、なれの果て。  人類の理解を超える情報操作能力という万能の力を奪われ、今在るは幼児のごとき体のみ。  無力な存在。  哀れな存在。  それが、今の彼女。    ―ある情報端末の現状―   「長門さん。歯は磨きました? お休みの時間ですよ?」 「もう少ししたら」  彼女の部屋。七〇八号室のいつもの風景です。  リビングの真ん中にあるテーブルに、いつものようにパソコンとにらめっこのままの長門さん。  その傍らには、風船犬のキミドリさんが意味もないのに後ろ足で頭をかきかき退屈そうにしています。  そしてわたしといえば、身長三〇センチ程度の、ま...
  • 第四章 テンスイブ
    第四章 テンスイブ それからはいろいろなことがあった。あのハルヒがおとなしくしているわけは無く、 そいつと結婚してしまった俺はいろいろなことに巻き込まれていろいろと 大変な目にあった。それでも、大学を卒業し、実際にいっしょに暮らし始めた。 その間も、クリスマスイブには必ずUSJに行った。ハルヒがいっしょとなると、 さすがにベンチに並んでただ座って、長門が本を読む、というわけには いかなかったがな。たまに古泉や、鶴屋さんを連れていったりもした。 そのうち、ハルヒは妊娠して子供を生んだ。男の子だった。 まあ、ハルヒの血を受け継いだ子だからな。歩きだすのも早く、 話し始めるのも早かった。ようやく、歩きだしたばかりの息子を連れて USJに行ったのはちょうど10度目のイブだったな。 俺たちは徐々に年をとりつつあったが、長門は相変わらず、 高校生のままだった。もっとも、仮に待機モードに移行しなくて...
  • 消えない雪
    土曜日の早朝、いつもの集合場所へと向かう。薄く汗を滲ませながらたどり着くと、貴重な私服姿の長門がすでに到着していた。 しかもダッフルコートに白いニット帽のおまけつきだ。 うむ、小柄な長門にはぴったりな服装だな。そんなことを考えつつ近づいていく。 ちなみに他の団員はいない。 「すまん、待ったか?」 「平気。」 平気ってことは待ったってことだよな。長門の小さな手を取るとやはり冷えきっていた。こりゃ宇宙人とはいえまずいな。 「とりあえず暖かい場所に行くか?いつもの喫茶店にでも。」 「いい。それよりも早く駅へ。」 そういうと長門はさっさと歩き始めた。待ちきれないみたいだな。苦笑しながら俺はあとに続いた。さて状況を説明するとだな… 「消えない雪」 ~回想~ 「今日も汗が滲んできたか。」上り坂の中ほどで俺はそうぼやいた。 今年はまれに見る暖冬で、冬の寒さに凍えながらシャミセンとコタツで丸くなるよ...
  • 解釈問題
     それは、いつもの放課後のことだった。  俺はいつものようにドアのノックして部室に入り、朝比奈さんのお茶をいただいて、古泉と将棋をさす。  長門は、いつものように分厚い書物を黙々と読んでいる。  やがてハルヒがやってきて、ネットサーフィンを始めた。  それはいつもの団活の風景であり、なんらの異変もないように思われた。  しかし、このとき既に異変は起こっていたのだ。  俺が、その異変に気づいたのは、長門が本を閉じる音を合図に団活が終わったときだった。   「キョン、今日は私と一緒に帰りなさい」 「なんでだ?」 「私たち付き合ってるんだから、そろそろそういうことがあってもいいじゃない」    俺は唖然とした。  それは他の三人も同じだったようで、朝比奈さんは口に手を当て固まり、古泉は0円スマイルを引きつらせ、長門ですら表情が1ナノメートルほど変化したように見えた。    ちょっと待て、ハルヒ...
  • 古泉一樹の動揺
    おれはベッドで眠りふけっていたはずだ・・・。 少なくとも学校の校庭なんかで寝ちまうほどのマヌケでもないつもりだ。 灰色の空、灰色の風景、どこかで見たことがある風景だ。 ここは・・・・・閉鎖空間だ。 何故か隣には古泉が寝ている。またこいつがおれをここに連れてきたのか? 「おい起きろ古泉。」 古泉の頬を何度かペチペチと叩く。 「ん・・・・?ここは・・・?」 とぼけてないでさっさと事情を説明しろ。 「これは・・・どういうことでしょう・・・僕の能力は今・・・完全に消えています」 「何?ここにおれを連れてきたのはお前じゃないのか?」 おれは少しばかり動揺していた。しかしそれは古泉にも同じだったらしい。 「いいえ。今回のことは僕にも全くわかりません・・・なぜ貴方と僕がここにいるのか、そしてなぜ僕の能力が消えてしまったのか・・・。」 ふいに昨日朝比奈さん(大)に言われた言葉を思い出した。 ...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰ四章
    長門有希の憂鬱Ⅰ 四 章 長門有希の日記 こちらの世界へ来て二年が過ぎた。 情報統合思念体からの連絡はない。支援もない。誰も助けに来ない。 このまま時が過ぎれば、わたしの有機サイクルはいつか性能の限界に達し寿命を遂げる。 それまで、色がない世界でわたしの思考回路は物理的に機能するだろう。 それならばわたしはいっそ、目を閉じ、耳を塞ぎ、口をつぐんだ生命体として生きようと思う。 わたしは長期の待機モードを起動させた。 果たして奇蹟は起きるのだろうか。 タクシーの運転手に住所を棒読みで伝えると、十分くらいでそのアパートの前に着いた。 二階建ての二階、二〇五号室……。郵便受けにもドアにも表札らしきものはなかった。 呼び鈴を押した。こんなにドキドキするのは久しぶりだ。 赤の他人だったらなんとごまかすか、新聞の...
  • あたしのものよっ!
    「ハルヒ、別れてくれ」 有希が帰った後の文芸部の部室で、夕日に赤く染まったキョンは突然別れを切り出した。 「嘘でしょ?」 この時一瞬にして頭の中が真っ白になった。いつもの席に座ったキョンは申し訳なさそうに目を泳がせている。   あたしは高校二年のクリスマスにキョンに告白をされた。 ツリーやモールが放置された二人以外誰もいない部室で、キョンは何かを搾り出すように告白したことは今でも覚えている。 あたしはその時大泣きした。やっとあたしに近い人が見つかって、その人に女として認められた。それだけで嬉しかった。 それ以来あたし達は校内で誰もが知ってるカップルとなり、キョンとはいつも一緒にいた。そのせいかSOS団の活動も次第に疎遠になり、気づけばみんな結団する前の生活に戻っていた。みくるちゃんは卒業して、有希も文芸部の活動を再開させた。古泉くんは同じクラスの女の子とつき合い始めたらしい気づけば、あたし...
  • 無限の結論
    もう見慣れてしまったこの風景。 無限の剣。 無限の荒野。 そこに、 「うわっ!」 「ふえぇぇぇ!?」 見慣れない、三つの影。 「な!?朝比奈さん!長門!何でここに!?」 うむむ、おかしいな。ちゃんと回りは確認したのに。…ああ、そうか。長門が不可視フィールドを展開してたのか。 「あの…無視しないでいただけますか?」 いや、まあ、何となく閉鎖空間に近いからお前はいても驚かなかっただけなんだよ。何となく入り込めそうな気がするし。 「それは無理ですね。ここは閉鎖空間と似てますが根本は違うものみたいですし。どちらかと言えば…そうですね、コンピュータ研の部長氏のときのものに近いですね」 そうなのか…って心を勝手に読むな。俺は口に出してないぞ、そんなこと。 「まあ、とにかく…ここは何なんですか?」 「…簡単に言えば、俺の閉鎖空間だ」 俺の言葉に、古泉はわざとらしくほう、と呟いた。 「ええと…つまり、ここ...
  • ポニーテールの秘密・第3章
    第3章  4月になったというのに地球に野郎は冬の厳しさを伝え続けている。昨日の夜ちらりと見た天気予報によれば、今日の最低気温は1ケタらしい。そんな天候の中、布団剥ぎなんぞを食らおうものなら俺はシベリアに来た南国民のごとく体を震わせるだろう。  「キョーンくーん!」  そんな訳で俺は今シベリアにやって来た。別に南国民ではないが。ほら、起きたから先下いってなさい。  「はーい。シャミー、ごっはんっだよー」  調子外れな歌と共に妹が部屋を出て行くのを確認してから着替えた俺は、部屋を出る際そこら辺にほっぽってあった通学鞄に足を引っ掛けた。まるでちょっとお待ちと告げる様に。 ━━━しまった。  俺は慌てて鞄をあさる。そして長門から渡された文庫本を取り出し、栞を探す。いくら朝比奈さんの事があったにせよ、これじゃ最初の二の舞じゃないか。  栞には長門の整った字でこう書いてあった。  午後七時。光陽...
  • 涼宮ハルヒの団結 第四章
     ……と、いかん。回想にかまけているうちにすっかり日が暮れちまった。  ハルヒは雨が降ってるからという理由で朝比奈さんを連れてとっくに帰っている。俺と長門はポエム作成を仰せつかり部室に残っていて、古泉は……こいつもまだ居残りながら、前回の小説誌をなにやら思わしげな表情で読みふけっていた。時々長門に話しかけていたりしたので、長門の不思議小説の解読でもやっていたんだろう。あれの内容では古泉のような登場人物が意味深な発言をしているので、俺よりも更に気にかかるんだろうね。しかし、何故今頃になって。  それはともかくポエムの方なのだが、明日が金曜日であるにも関わらず長門も俺も未だにテキストエディタを活用することなく、パソコンにはまっさらな画面が広がっているのみだった。ホントにどうすりゃいいんだよ。これ。  しかし、今はそれも隅においておこう。朝からずっと言いつぐんでいたのだが、俺はまた朝比奈さん...
  • 涼宮ハルヒの遡及Ⅴ
    涼宮ハルヒの遡及Ⅴ      さて、俺たちは眼下に見えるカマドウマ対三人娘の激闘を尻目に、塔の外観をぐるぐる回りながら登り続けていた。  入った時は確かに内側を二階ほど登ったんだが、三階に続く階段を上ったらいきなり外に出たんだ。  ちなみに眼下に見える戦闘は、まあ激闘と言えば激闘なんだが、ド派手に爆撃音や閃光が飛び交っているものの、ここから見た感じでは、長門、朝比奈さん、アクリルさんが苦戦しているようには思えない。  というか、カマドウマたちが俺たちに気づいていないんだから、あの三人が相当手強いのだろう。周りを見ることすらできないようである。 「ううん……」  そんな中、俺はなんとも妙な既視感(デジャ・ヴュ)を感じつつ唸っていた。 「どうされました?」 「いや……なぁんか、どっかで見たような気がする塔のような気がしてな……」  などと俺が難しい顔をして呟くと、 「それは興味深い。いったい...
  • 蜃気楼
    「あ、こんにちは、キョンくん」 俺の愛しの天使様、朝比奈みくるさんが今日も部室で出迎えてくれた。 俺はいつも言い過ぎとも言える表現で朝比奈さんを比喩するが、あながち言い過ぎとは言えない。 何故なら……俺は、完全に心奪われていたからだ。 あれは先週だったか?SOS団全員が俺の家に来たときだった。 ゲームに夢中になってる奴等から少し離れて、シャミセンと戯れる朝比奈さんの笑顔を見た時に俺は恋に落ちた。 穏やかで、かわいくて、それでいて守りたくなるような笑顔に俺は完全に惹かれたのさ。 ともかく、俺はいつものようにお茶をもらった。 今まではそんなに気にしていなかった距離、今じゃお茶を受け渡す距離でさえ俺の鼓動は早くなる。 本気で恋に落ちたのは初めてだ……。それを悟られないようにするのも一苦労なんだな。片思いの奴の気持ちがよくわかるぜ。 「あの……お茶、美味しくなかったですか?」 とても不安げな表情で...
  • 春先の風物詩
    『春先の風物詩』     2月も半ばを過ぎてそろそろ3月、春はもうすぐそこまで来ているはずなのだが、その前に学年末試験という嵐が待っている。 「ほら、そんなことじゃ、あんた一人だけ留年よ、留年!」 唾を飛ばしながら、シャーペンでビシッと俺を指し示すヤツの腕には、「超教師」の文字もくっきり鮮やかな腕章が輝いている。 そう、俺は放課後のSOS団のアジトである文芸部室でハルヒ先生の指導を受けて、今日も試験勉強中だ。 朝比奈さんと古泉は、今日は自宅で勉強するので、と言って先に帰っているため、部室にいるのは、ハルヒと俺と長門の3人だけだ。長門はいつもの席でいつものように読書中。宇宙人は試験勉強などしなくても余裕なのだろうが、俺はハルヒに言われたように厳しい状況におかれている。だってそうだろ、四六時中振り回され続けた1年間だったんだから。他の連中と違って生身の人間である俺にはこたえるのさ。   「なー...
  • 反英雄 第四章
         蹴破った引き戸が板張りの床に直撃し、付属のガラスが網目状に割れた。  夕日が教室で佇む女の黒髪を照らし、不覚にも絵になると思ってしまった。  俺の物語も最終ステージだ。 「こんにちわ。西野君」  朝倉涼子はマネキンみたく不気味に頬を歪ませる。  そして、その手に握られているのは夕日色に煌く刀身を持つサバイバルナイフ。  それを見て思わずほくそ笑んでしまったのはなぜだ?いや、そんなことは分かっている。  俺が笑っちまったのは虚勢でも発狂でもない。純粋に、目の前の女へ拳を叩き込める覚悟決まったからだ。  朝倉涼子は俺の命を奪う気に満ちている。俺を殺さなけれキョン殺害の障壁となる。  もちろんさせてたまるか。例え宇宙人が許しても、俺の魂が許さない。    朝倉涼子の物語は、ここで潰える。   「来いよ朝倉。それがお前の役割だろ」 「あなたの役割でもあるわよ?」  ああ、その通りだよ...
  • 男の戦い・第四話
    「ここが生徒会長の家、ね」 「はい。ここが決戦の場です」  森さんの言葉を聞きながら闇夜にそびえ立つ巨大な建造物を見上げる。  月明かりに照らされたそれは、まるで中世の古城のように…………は、見えないわね、流石に。  スケールは文句ないけど、見た目が新しすぎてファイナルステージにしては風格が足りないわ。  もっと、こう……燃え盛る高層ビルとか、沈みゆく豪華客船とかを希望したいとこだけれど……ま、仕方ないか。 「ここにキョンと古泉君、ついでに谷口がいる訳ね?」 「そうです。彼らの交友関係や目的を考えれば、ここがもっとも理想的な逃げ場所と言えるでしょう」  ……無駄にデカい家ね。金持ちのボンボンで、陰険な性格で、更に生徒会長……これで悪事の一つでも働いてなきゃ詐欺ね、詐欺。  それにしても、古泉君と生徒会長が友人同士だったなんて意外だったわ。捕まえた後で色々と問い詰める必要があるかしら?  意...
  • ありえぬ終焉 Ver.2──喜緑江美里編
    *バッドエンド注意 *ありえぬ終焉 Ver.2の喜緑さん視点になります。     ありえぬ終焉 Ver.2──喜緑江美里編      生徒会室では、会長が一人残って仕事をしていました。    私は、お茶をいれて、机の上に差し出します。 「どうぞ」 「すまんな、喜緑君」  会長は、湯のみを手に取り、口をつけます。    私はその様子をただじっと見つめていました。    私の視線に気づいた会長が、顔をあげました。 「ん、なんだね?」 「会長。私にとって、あなたとともにあった日々は、大変有意義なものでした」 「いきなり何をいいだすのかね? 過去を振り返るにはまだ早い。生徒会の任期はまだ残ってる」 「いいえ、あなたの任期はもう終わりです」 「それはどうい……うっ……」  会長の目がうつろになっていきます。  お茶に仕組んだ毒が効いてきたようです。私が特別に構成した最も苦しまずに死ねる毒が。   ...
  • 七夕シンドローム 第四章
     あの後結局ハルヒはダウナーなオーラを放ったままで、俺との会話は一度も無かった。朝比奈さんにまでちょっかいを出したと知ったらどうなるだろうか。考えるだけでも恐ろしい。  そんな一抹の不安を残しつつ一旦家に帰ると、私服に着替えしばらくゆっくりしてから駅前へ向かおうと思っていたのだが、いてもたってもいられなくなった俺はまだ空が暗くならないうちに家を出た。こうして着いたのが指定された時刻の一時間ほど前。いくらなんでも早く来すぎたかなと思いつつも、入口に寄り掛かって忙しく駅に出入りする人々をぼんやりと眺めている俺だった。  流石に中へ入ることはしない。また昨日のあの光景を思い出すからだ。なんだか、高校へ入ってから俺のトラウマは増えるばかりだな。沈む夕焼けを眺めながらなんとなくそう思う。 『プログラム起動条件・鍵をそろえよ。最終期限・二日後』  あの冬、改変が起こってから見つけた長門のヒントが...
  • 『Hirundo rustica』
    1 去年の今頃…それは忘れたくても忘れられず、忘れるためには脳内の記憶をつかさどる分 野…どこだっけな?海馬か脳下垂体か、まぁそのあたりを外科手術によって取り除いてもら わなければならないだろうが、当然、そんなことをするわけでもなく、俺の記憶に三つ又ジャベ リンのように突き刺さっているのは、SOS団結成とそれにまつわる、「あの」日々だ。  今年はと言えば…同じように新学期早々に忘れたくても忘れられない事件が起こっている のだが、なんだ、俺の体質は毎年春にトラウマのように事件が起こり、それを記憶の深い 領域へと保存され上書き不可となるようになってしまったのか?ということを誰に嘆くわけでも なく、あぁこれも全部自分の行いのせいなのか?懺悔の一つでもしてきたほうがいいのか? 教会ってどこにあるんだっけ、町や村に一つずつあるんじゃないのか?なんて考えている のも、すべてはここSOS団のせいなのか?...
  • 涼宮ハルヒのデリート
    涼宮ハルヒのデリート 誤解なんてちょっとした出来事である。 まさかそんなことで自分が消えるなんて夢にも思わなかっただろう。 キョン「あと三日か・・・。」 キョンつまり俺は今、ベッドの上で身を伏せながらつぶやいた。今を生きることで精一杯である。 なぜ今俺がこんなことをしているのかというと、四日前に遡ることになる。 ハルヒ「キョンのやつ何時まで、団長様を待たせる気なのかしら?」 いつもの集合場所にいつもと変わらない様子で待っているメンバーたち。 団長の話を聞いた古泉が携帯のサブディスプレイをみる。 古泉「まだ時間まで五分あります。」 と、団長に伝える。 ハルヒ「おごりの別に、罰でも考えておこうかしら。」 っと言ってSOS団のメンバーは黙り込んだ。誰一人として口を開こうとしない。その沈黙を破ったのは、ベタな携帯の着信音だった。 ハルヒ「あとどれぐらいで着くの?団長を待たせたんだから・...
  • はるかぜふくまえに・第一章
    ○第一章   「キョーンくん! おはよ!」 翌日通学路で早速長門と出くわした。なんだお前、朝から俺の調子を狂わそうというのか。 「えー何それ? 今日はたまたま寝坊しただけだよ」 「寝坊してこの時間か。そういえばいつも何時に登校してるんだ?」 俺がそういうと長門は顎に人差し指をあて呻吟し、 「んーと、始業一時間前かな?」 いくらなんでも早すぎんだろ。 「だって、ハルヒちゃんの観測しないといけないじゃない? それがわたしのお仕事だもの。 万一ハルヒちゃんが学校に早く来た時のために、わたしはいつもそうしてたの」 なるほどな。一年経って明かされる真実があったものである。道理で一度も長門と出くわさないわけだ。 ん? となると…… 「今日はいいのか? 観測するんだろ」 「だって寝坊しちゃったんだもん、しょうがないじゃない」 いいのかそれで! しょうがないで済むならハルヒの超変態パワーもまったく阻止する...
  • 鶴屋少女の孤独 SIDE.A.「笑顔」
    些細なこと   そう、それはとても些細なこと   誰しもが感じること   誰しもが思うこと   そして誰しもが乗り越えてきたこと   それが、当然のこと             - 鶴屋少女の孤独 -   ……… …… …   SOS団が立ち上がってもうどれぐらい立つっけ 唐突にそんな疑問が頭をよぎった 一年生のときに立ち上げたSOS団   涼宮ハルヒによって作られ、そしてオレを未知の世界へとひきずりこんだSOS団   万能で完璧かと思いきやたまに弱みがちらつく無口で無垢な宇宙人 守ってあげたくなるような言動と意外としっかりした芯を持つ未来人 いけすかない笑顔と共にいつだってそこにいてくれた超能力者   そして世界をわがままに変えてしまう手のかかるお嬢様   暑い季節が迫る オレ達が出会ってから、一年以上の月日が流れていた   窓から差し込む陽の光を背中に浴び、オレは長門し...
  • 消えた..
    いつも変わらない毎日。 いつも変わらない学校。 いつも変わらないSOS団。 一言で言うと平穏ということだ。 そんな毎日にハルヒはやはりという訳か、時々つまらなさそうな顔をしている。 そんなに退屈そうな顔をするな。平穏もいいもんだぞ、少なくとも俺はそれなりに 毎日を楽しんるぞ。まあ、少々退屈な面もあるかもな。 だが、そんなことをハルヒに言うと、野球大会みたいなイベントを持ち出してきそ うだ。そうだな。。ハルヒに退屈だなんて言ったら最後、平穏な日常が1光年くら い遠ざかってしまいそうだ。やっぱり日常は平穏が一番だな。 そんなSOS団の俺とハルヒと朝比奈さんと長門と古泉は今日も何をするということも なく、活動を終えて部室を出て帰路についた。 ・・・ 翌日。 俺はいつものように早朝ハイキングのような通学路を通り学校に行った。 そこでは授業を受ける。時々寝る。また、時々ハルヒがこついてくる。と...
  • 悩みの種2
    お前昼間からおかしいぞ?なんか体の調子でもおかしいのか? 俺はハルヒに尋ねた。だがこれからが問題になってしまったのだ。 「えっ、だっ、大丈夫よ!なんでもないわよ!そんな心配そうにしないでよ…」 『そんなこと言ったって私…いろいろ考え過ぎて胸が苦しくて何も喉が受け付けないぐらいなのに… 昼間だって、これからが不安で何も受け付けなかったのに…』 そんなこと言ったってだな。お前がなにか食べないなんておかしいじゃないか?あんなに食欲旺盛なお前が? 「なんでもないって言ってるでしょう!!」 『…またやっちゃった。なんで私ってこう素直になれないんだろう…出来ることなら~を伝えたい。だけど素直になれない…なんで?』 『相手がキョンだから?…違う。それは私の弱さ。今まで絶対に他人に見せなかった自分の弱さ。見せなかったからこそ、もう後戻りは出来ない。』 『でもキョンはいつも付いてきてくれた。...
  • 涼宮ハルヒのOCGⅢ
    涼宮ハルヒのOCG③  (2008/9/1の制限改訂です) 「やっほー! みんな、新しい制限改訂が出たわよーーー」 団員全員が机に座って向かい合ってるという、いつもと少し違う日常を過ごしていた俺たちだが、その日常を変えるのが、ドアを蹴破るようにして部室に入ってきた我らが団長涼宮ハルヒ。まったく、もう少し静かに入ってきてくれ。ドアが壊れても俺は知らんぞ。 「さっきコンビニ行ってVJ買ってきたわ、みんな見ていいわよ?」 なんかえらくハルヒが上機嫌だな。とはいえ制限改訂となれば俺も気になる。前回は死者蘇生が戻ってくるなんていうハプニングもあったしな、どれどれ・・・。 新禁止が・・・早埋、混黒、次元融合とかか、まあ妥当だな。インスタントワンキルはもうこりごりだ。サイドラも制限か、世界大会での採用率が高かったらしいしこれも普通かな? 準制限と制限解除が・・・・...
  • Am I father ? 第四章外伝~洗浄×戦場×扇情~
      「なあ長門。この話はなんなんだ?本編も終わってないのに外伝か?」 「この話は作者が本編で行き詰まり、ついカッとなってやったもの」 「後悔はしてないんだな?」 「・・・微妙にしている。それに連載中の外伝なら他にも例があるから大丈夫。例を挙げえるなら範馬刃牙10.5」 「苦しいな。それは言い訳か?」 「言い訳」 「それで、これはどんな話なんだ?」 「これはあなたが後日に回すと言って誤魔化した部分の話」 「おいおい、別に誤魔化したわけじゃ・・・ってアレを話すのか!?」 「前後の話が気になるなら四章後半を読むことを推奨する」 「人の話を聞けよっ!俺の立場がやばくなるって!」 「それでは・・・・・・どうぞ」 「・・・はぁ。もうどうでもいいや」   脱衣所に着いたとたん、朝倉(小)は我が妹のように一気にスポーンと服を脱ぐと体当たりをするかのように風呂場のドアを開けてその勢いのまま浴槽...
  • テディベア
    「すぐ戻ってくるから、ちょっと座って待っててくれる」 そう言い残して、ハルヒは先ほど俺たちが登ってきた階段を降りて行った。一人部屋の中に残された俺は動揺している心を落ち着かせるために小さく深呼吸をする。 胸の鼓動が速くなっているのが分かる。別に今日何かをしようという気があるわけではないし、ハルヒに自分の家に来るように誘われた、ただそれだけなのだが、妙に緊張する。何せ妹以外の女の子の部屋に入るのは初めてだからな。 おそらく谷口あたりも最初はそうだったんじゃないだろうか。いや、あいつは今でもそうかも知れない。それ以前に女の子の部屋に招かれたことが無いかもな。国木田は……なんだかんだで要領良さそうだから大丈夫なのかも知れないが…… 目をつむって心を落ち着かせるように自分に言い聞かせる。しばらくそうしていると、胸の鼓動も通常に戻り、若干落ち着きを取り戻したように思えた。少し安堵の感がわいてくる...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰ二章
    長門有希の憂鬱Ⅰ 二 章 目の前に、口をあんぐり開けたおっさんがいた。 よれよれの服を着てベンチに座っている。 「あんた……今、そこに現れなかった?」前歯が一本欠けている。 「え……ええ」 「ワシゃずっと見てたんだが。あんた、そこに、いきなり現れた」 「そうですか……?たいしたことじゃありません」人がいきなり出現したなんて全然たいしたことだろうよ。 ホームレスっぽいおっさんは俺をまじまじと見つめていた。 やがて飽きたのか、目を閉じ、うとうとしはじめた。 ここはいったいどこだろうか。俺は目をこすって周りを見た。 ほっぺたをパシパシと叩いてみた。これは夢じゃない。人が大勢歩いてる。閉鎖空間でもないようだ。 どこからか列車の発車を告げるアナウンスが聞こえた。どうやら駅のコンコースらしい。 駅の名前は見慣れない、俺の知らない地名だった。 さて...
  • 赤い絲 後篇
    『赤い絲 後篇』  夜空に歪な形の白い月が浮かんでいる。月だけぽつんと。不思議なことに星が見えない。  晧晧とした明りの中、あたしは一人頭上の月をただぼんやりと眺めた。  一体あたしは何でここにいるんだろう。こんな暗闇の中たった一人で。  周りには何もない。あったとしても闇に紛れてしまって見えないのかもしれない。  気付いたらあたしは制服姿でこの暗闇に立ち尽くしていた。  そういえばいつ着替えたっけ。いつの間にかパジャマではなく制服を着ている。  自分の身なりをぐるりと一通り点検して──気がついた。  右の小指に糸が絡み付いている。  でもそれは『白い糸』だった。  その白い糸は自分の小指から見る見る伸びていき、闇の方に消えていく。  あたしはその白い糸を誘われるかのようにふらふらと追いかけた。  月明りに照らされた白い糸は真っ直ぐ真っ直ぐ延びていく。  あたしはただそれに従うように...
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