涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「涼宮ハルヒの感染 4.窮地」で検索した結果

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  • 涼宮ハルヒの感染
    涼宮ハルヒの感染 プロローグ? 涼宮ハルヒの感染 1.落下物? 涼宮ハルヒの感染 2.レトロウイルス? 涼宮ハルヒの感染 3.役割 涼宮ハルヒの感染 4.窮地 涼宮ハルヒの感染 5.選択 涼宮ハルヒの感染 6.《神人》 涼宮ハルヒの感染 7.回帰 涼宮ハルヒの感染 エピローグ
  • 涼宮ハルヒの感染 4.窮地
    4.窮地  ハルヒが倒れてから6日が経った。 長門によると、決戦は明日の13時前後らしい。 「13時5分の前後10分間」 これが長門の予測だった。長門には本当に頭が上がらないな。 これが終わったら図書館&古本屋ツアーだ。ハルヒに文句は言わせん。  明日にはハルヒに会える。  俺はそう思っていた。  世の中上手く行かないもんだ。 いや、俺がこいつらの存在を忘れていたのが悪いのかもな。  今、俺の目の前で、朝比奈さん(みちる)誘拐犯、橘京子が微笑んでいる。 「ああ、早く病院行かなきゃならんな」 とりあえず何も見なかったことにしよう。 「んもうっ、待ってくださいよ!」 何か言ってるな。聞こえん。 「涼宮さんのことですよ!」 「……ハルヒだと?」 佐々木じゃないのか。 「ふぅ、やっと止まってくれた」 足を止めて橘を見る。正直、関わりたくはない相手だ。 ハルヒは大丈夫だ、明日には目覚め...
  • 北高附属大学入試問題 第ニ問
    「まあいいわ、次の問題に移りましょう。次の問題は?」 ハルヒがそう言ってその場を仕切りなおし、部屋に居るみんなが次の問題文に目を落とす。 しばらく沈黙が流れた後、SOS団の女性陣と佐々木が、ほぼ同時に、自らの選んだ選択肢を宣言した。 「これは簡単ね、4で間違いないわ」 「さ、3だと思います」 「2」 「おそらく1だろうね、間違いないよ」 各々の選択した答えが違っていたため、彼女達は相手の選んだ選択肢の誤りを指摘し始めた。 「ちょ、みくるちゃん、3なんてありえないでしょ! ”も”ってどういう意味よ。普通”だけ”でしょ」 「いや、確かに涼宮さんの言ってることは正しいが、”だけ”というのは常識的な事だから、敢えて問題文にあるのはおかしい。だから3や4はない」 「そう、さらに付け加えるなら、”が”ではなく”は”が文法上正しい。よって正答は2になる」 「で、でも待ってください。1や2は姓がそのままで...
  • 北高附属大学入試問題 第一問
    この作品はフィクションであり、問題の選択肢は作者の思想・心情に全く関わりはありません。       「うーん、俺は1だと思うんだがな」 1枚の紙切れを見ながら、俺はそうつぶやいた。 「はあ、あんた何言ってんのよ! 2に決まってるでしょ!! そんなんだからあんたはいつまでたっても赤点ぎりぎりなのよ!」 「わたしも2が最も適切であると考える。加えて言うなら、この選択肢に出てくる”女性”とは、わたしのことであると思われる」 「あ、あの~、わたしも2じゃないかと思うんです。でも…、この選択肢の”女性”っていうのは、長門さんではなくてわたしのことだと……」 ギロリ ハルヒと長門に睨まれ、朝比奈さんは、一瞬身体をビクッとさせた後、俺から目を逸らした。 「まあ、正答は2で間違いないわ。それと、この選択肢に出てくる”女性”は有希やみくるちゃんではないってことは確かね」 ハルヒが得意気にこう宣言する様子を、...
  • 涼宮ハルヒの感染 3.役割
    3.役割  イライラするような、それでいて情けないような気持ちで1日の授業を終えた俺は、部室にハルヒの鞄を取りに行った。 どうせこれから1週間、SOS団は休業だ。団長不在だし、長門と古泉は学校自体を休んでいる。 朝比奈さんは登校するだろうが、部室によるくらいならまだハルヒの病室でメイド服を着るだろう。 あの優しいお方ならそうするさ。 受験生だと言うのに、冬のこの時期に毎日部室に通ってくださっているくらいだしな。 さすがにほとんど勉強しているけど。 朝比奈さんは今のところ、卒業後も時間駐在員としてとどまると言っていた。 朝比奈さん(小)が朝比奈さん(大)になるまでに、本人にはどれくらいの時間が過ぎているんだろうね。 そう思いながら部室の扉を開けた。 「キョンくん」 そこにいたのはまさに今俺が考えていた、かつての部室専属メイドであったお方だった。  ちょっと予想外だった。今回の事件に、未...
  • スノースマイル・バースデイ7
    朝倉涼子が輪郭線を完全に喪い、跡形も残さず消滅する。 長門の与えた彼女へのラストワードが、消え失せ乖離してゆく彼女の鼓膜にまで届いたかどうか、確かめる術は最早ない。己の力で滅した元同胞に対し長門が覚えた感情は、単純な勝利への喜びに満ちて終われるものではなかった。 他に選びようがなかったとはいえ、後味の悪さは付随する。葬った彼女に対し、寂寞と羨望を抱いていたかつての己を長門は思った。 言うなれば彼女は模範だったのだ。 後退して行く未来を憂いて、思念体の意向に反した行動を取った。ヒューマノイドインターフェースとしては欠落しているようでいて、其の実どの情報端末より活き活きと「人間」の感情を、それは主に負に傾いたものではあったけれども、自前のものとして持ち合わせていた。朝倉当人は、その事実を自覚しきらぬままに。 朝倉によって改変されていた空間情報は、スノードーム内に組まれていたプログラムによ...
  • 444回目のくちづけ
    プロローグ  いまから話すのは、俺が高校二年の秋のできごとになる。  ま、時期にはたいした意味はない。ようするに、これまで語られてきたことのあとに起こった事件だとでも思ってもらえればそれでいい。  春に発生した世界の分裂と、それにともなう驚愕のできごとをへて、俺たちの現状はとりあえずの平穏を保っていた。  あいもかわらず団長は無茶をいっては団員を振りまわし、古泉はボードゲームで連敗街道をまっしぐら、朝比奈さんはお茶をいれ、長門は窓辺で本を読んでいるといったぐあいだった。  そうだな、この話にはほとんど関係しないが、佐々木たちの現状も、ほんのさわりだけ触れておこう。  佐々木は、世界の分裂のあと、いろいろあって異世界人の属性を手にいれた。最近はSOS団の準団員として、毎回ではないが不思議探索に参加したりしている。ハルヒとの関係は、同性の親友ってところか。  橘は、その組織とともに古泉の...
  • 涼宮ハルヒの幕張【完全版】
    「……で、話とはなんだ、古泉」 「……はい」 …。 夕暮れの文芸部室、今この空間に居るのは俺といつに無く真剣な表情の古泉。 …。 状況が分からない? 大丈夫だ、俺も理解していない。 いつもの時間が終わり帰宅しようとした俺を古泉が呼び止めたのだ。 …。 「大事なお話があります」 …。 ……と。 とりあえず分かるのは古泉が何か重大な話をしようとしている事ぐらいだ……やれやれ、また厄介事か? …。 「またハルヒが何かやらかしたのか?」 「いえ、涼宮さんの事ではありません」 …。 ハルヒの事では無い? …。 「ならお前、あるいは長門や朝比奈さんの事か?」 「いえ、今回は超能力的、宇宙人的、未来人的な事とは一切関係ありません」 …。 じゃあなんだ? …。 「……あなたの妹さんの事です」 …。 …………は? …。 「ちょっと待て、なぜ俺の妹がここで出てくる?……まさか、俺の妹が異世界人だった……なんて...
  • 12月18日・A
      「ねぇ!キョンがどこに行ったか知らない?」 涼宮ハルヒが文芸部部室のドアを開けて叫んだ。部室には3名の生徒。 「学校に来ていないんですか?」 古泉一樹は言った。それまでの笑顔を若干抑えた表情だ。 「そうなのよ。これまで一度も休んだりしたことないのよ?」 ハルヒは複雑な表情と形容するのが適切な面持ちで後ろ手にドアを閉める。 入ってきたときと反対に、ドアはパタンと小さな音を立てて閉じた。 「キョンくん、風邪ひいたのかなぁ……」 朝比奈みくるが言った。メイド衣装を纏い、お盆を抱えて心配そうな表情をしている。 「……」 全く動じていないのが長門有希である。 彼女は眼鏡をかけて、窓辺で文庫本のページを繰っている。 「携帯は繋がらないし、岡部は連絡が来てないって言うのよ」 ハルヒはちらと有希の方を見てから、全員を見渡すように言った。 「それは少し気になりますね。彼の家に行ってみても徒労にはならない...
  • 橘京子の分裂(前編)
    「どうしたのよ、キョン。窮鼠猫を噛むをリアルタイムで見たような顔しちゃって」  どちらかというと豚もおだてりゃ木に登るを見た、って言う方が今の俺の心境に適っているな。  ……などと心の中のどこか冷静な部分が眼下に広がるそいつに対してツッコミ返そうとしていた。人間、非常識にも度が過ぎると呆れかえって何も言い返せなくなると言うが、恐らくその類であろう。 「ったく、あんたも相当おかしいわね。一回精神科医に頭の中を見てもらった方が良いわ」  Sure, That s good idea, I think so, too……  うん、大っ嫌いな英語で返答できる。むしろ頭の中は正常だ。だから言ってやる。 「橘。お前こんなところで何をやっている?」 「はあ?」 「お前はこの学校の生徒じゃないだろ?」 「キョン、からかってるの?」  口を曲げて橘は言った。本物のハルヒがそうするかのように。 「からかって...
  • 涼宮ハルヒいじめ短編1
    ハルヒ「ちょっと・・・みんな、私を無視しないでよ・・・・・・・」 キョン「うるさいんだよ、お前は毎日毎日、人使い荒くて 何なんだよお前は、何様だってんだ!」 ハルヒ「・・・!!」 キョン「朝比奈さんも古泉も長門も何も言わないけど きっと俺と同じでお前の事うっとおしく思ってるはずだぜ。 くだらないことしてないで、いい加減大人になれよお前。 じゃあな」 ハルヒ「ちょっとキョン待ちなさい・・・!!キョン・・・。 私を一人にしないでよ・・・。もう一人はイヤなの・・・」     ハルヒ「ねぇ!?なんで昨日部室に来なかったのよ!? 今日もサボったら死刑だからね!」 キョン「うるさいから話しかけるな(ボソ」 ハルヒ「え・・・。」   部室 ハルヒ「ね、ねぇ、み、みくるちゃん・・・」 みくる「・・・なんですか・・・」 ハルヒ「み・・・みくるちゃんは!わたしの事無視したりしないわよね・・・」 みくる「・...
  • 涼宮ハルヒの出産
    今にして思えば、ハルヒのあの一言がきっかけだったと言えよう。 現在、俺は社会人二年目で、半年前からハルヒと同棲している。 ハルヒの一言によって今の関係が終わるとはこの時の俺には知る由も無かったのだ。 それはいつもの様に帰宅したある日の事だった。 「ハルヒ、ただいま」 「お帰りなさい、キョン。お疲れ様」 あぁ、ハルヒの笑顔があれば疲れなんて吹っ飛ぶね。 そのままベッドインしたくなるがそれでは雰囲気が無いのでここは我慢するとしよう。 俺は夕食の後、リビングでハルヒの淹れてくれたお茶を飲んでいた。 「あ、あのね、キョン、ちょっと・・・話があるんだけどいい?」 いつになく神妙な面持ちでハルヒが話しかけてきた。 「あぁ、構わんぞ。んで話って何だ?」 「うん。えっと、その・・・」 なんか、切り出しにくそうだな。 ハルヒは黙って俯いてしまっっている。 俺は頭の中で切り出しにくい話を検索していた。 検...
  • それでもコイツは涼宮ハルヒなんだ 4
    8,彼女のやりかた、彼のありかた  長門と分かれて部室へと向かう道すがら、一人になってようやく落ち着いてきた俺はしかし、整理してみるとどうにも腑に落ちない話ではないか。  クリスマス以降の未来が無い。いや、これは別にいつものことだし正直「またか」以外に感想は無い。そこは良しとしよう。  でもさ、そんな時空的世界の危機に瀕しているってのにだ、なーんで俺みたいな平々凡々、特記事項に書くことは「特に無し」以外に思い当たらない高校生が必要なんだ?  しかも、どうやら俺は女の子と会うらしい。それで長門いわく問題は解決するようだが、ぶっちゃけ意味が分からない。って言うかどうにも線が繋がらない。乗っかってんのは事も有ろうに全世界の未来とやらだ。おい、世界。お前はそんな正直、他所様からしてみればどーでもいいにも程が有る色恋沙汰に左右される体たらくで本当にいいのか?  ……まだ色恋沙汰と決まっ...
  • それでもコイツは涼宮ハルヒなんだ 2
    4,三十分の一  氷雨の中を逃げるように帰ってきた。制服の上着とコートを椅子の背凭れに放り投げて、ノンストップでベッドに四肢を投げ出す。ズボンに皺が出来るがそんなのは知ったことか。  自室を片付けて掃除をして――といった当初の予定をこなす気も起こらない。教室を出る時、ハルヒの顔を見ておけばよかったかと思う。……いや、見なくてよかった。見ていたらきっと……なんでもない。  ケータイにいつの間にか来ていた着信は古泉から。「何かありましたか?」という簡素なショートメールは修飾や回りくどさといったものを極限まで削り取ったようで、あの話好きからのメールとは思えない。とりあえず「お前には関係ない」と返信。  即座に返信。「いつでもご相談下さい」との内容。どこまでも胡散臭さが付きまとうのは、これはもうあの男の持って生まれた性質なんだろうさ。とりあえず、ケータイは床に投げ捨てた。  ……俺の部屋...
  • 人生最悪の三日間 最終章 ~デズデモーナ~
      もっと早く、気づくべきだった。 朝比奈さんは三年以上前に遡れないと言ったし、古泉はもしかしたら昨日世界ができたのかもしれないとも言った。 朝比奈さんの言ったことはわからないし、古泉が言ったこともありえないと思って、別に気にしなかった。 でも、そのときに気づくべきだった。 単独で考えれば、どちらもありえない話だが、併せて考えれば答えは出るのだ。 神が憎い。 こんな奴が神だなんて信じられない。 俺は神に反乱を起こすぞ。     午後六時二十分。部室にて。   銃声は二回だった。 ひとり一発ずつ。 だが、それで十分だった。 笑う女は笑うのを止め、床に崩れ落ちた。 部屋の隅にいた未来人も同じように倒れた。 銃口から出た煙は天井に向かって昇る。 死体が二つ、床に転がっている。頭からは血を流して、床に血溜りを作っている。 「……よく撃てたな」 「団員のピンチよ。撃てないわけ無いでしょ」 「……...
  • 涼宮ハルヒの軌跡 未来人たちの執着(後編)
      ◇◇◇◇    土曜日、明日になれば自動車事故から一週間になろうとしている。  幸いなことに月曜日以降、誰も死ぬどころか危険な目にあっていなかった。  今日、俺はハルヒと一緒に、先週の事故発生現場を廻っていた。歩くと時間がかかるので、タクシーを使って移動している。 いろいろ確認したいこともあるらしい。  まず看板に潰された男子生徒の現場に立っていた。  倒れてきた速度規制の看板はすでに新しい頑丈なものに直されていた。商店の上にあった看板は撤去されたままである。 あの事件を思い出す要因を残しておきたくないかもしれない。 「すっかり現場が変わっちゃっててこれじゃ調べようがないわね」  何も見つからずにその場を去り、続いて野球ボールのせいで死んだ女子部員の現場、火事が原因で死んだ女子部員と顧問の現場と 廻っていったが、やはり何も見つからなかった。まあ、目で見つけられる問題があるならとっくに警...
  • 機械知性体たちの即興曲 第五日目/夕
    機械知性体たちの即興曲 メニュー http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5972.html   □第五日目/夕 文芸部室 ハルヒ        「…………」(カチカチ) みくる         「涼宮さん、お茶のおかわりです。どうぞ」 ハルヒ        「ありがと。そこ置いといてくれる?(カチカチ)」 みくる         「……ずっとインターネットで、なに見てるんですか?」 ハルヒ        「ヒマ潰しよ。ヒマ潰し。とくになにもすることないし(カチカチ)」 みくる         「はぁ」 古泉           「…………」(ペラ) みくる         「古泉くんも、はい。お茶のおかわりです」 古泉           「ああ、どうも。ありがとうございます」 みくる         「……古泉くんは古泉くんで、なにしてる...
  • 「涼宮ハルヒのビックリ」第五章α‐10 β‐10
    α‐10  午後の授業中、俺は考えていた。入団試験を受けた結果、新一年生は全員合格、俺だけ不合格になったらたまったもんじゃないしな。SOS団の活動内容を思い出せば簡単に解けるか・・・SOS団が設立されて役一年たつ。一般人にはありえないことがたくさんあったな。季節が変わるのも早し、こんな風に考える俺も年を取ったもんだ。  ようやく授業が終わり部室へと向かった。試験の前に早く朝比奈印のお茶を頂きたいもんだ。二、三杯飲めば頭もすっきりするはずさ。朝比奈さんにも事情を話せば快く向かいいれてくれるに違いない。そう思いながら部室の前に着きノックすると、中からは困惑したような声で迎えてくれた。  「キョンく~ん・・・」  朝比奈さんどうしたんですか。ドアを閉め中に入ると、  「テーブルの上に変なものが置いてあるんです。あの・・・長門さんに聞いたら来たときにはもう置いてあったって・・...
  • 水晶の夜①
      ここは、男にとって最も居心地の悪い場所の一つだ。 と言われたら、あなたはどこを想像するだろうか。 女子校の入学説明会? 間違って乗ってしまった女性専用車両? 一人で入ってしまった、どう見てもカップル御用達の喫茶店? そのどれでもない。 店内には男の客など俺以外に誰もいない。 そりゃそうだろう。 誰が好きこのんでこんな恐ろしい所に入りたがるか。 店内の落ち着いた照明、計算しつくされたかのように巧みに配置された商品、そして何よりもキャッシャーの前に貼られた数々のクレジットカードのロゴマーク。 これらの全てが俺に、「場違いだ」「おまえなんかの来るところじゃない」「さっさとここから出ていけ」と全力で訴えている。 そう。ここはブティック。ブティックだぞ、ブティック。 量販店でもない、デパートの婦人服売り場でもない。ブティックだ。 俺の人生の最強の敵の一つ、ブティックだ! 俺はブティックが恐ろ...
  • SOS団は無職のようです
      1.SOS団の無職  無職人生の始まりの1話。  キョン妹が公務員試験第Ⅲ種に受かってるので、時期は10月くらいだと思います。   2.SOS団の無職2  SOS団はみんな元気です。  やろうと思えばなんでもできます。不可能なんてないんです。免許だってとれます。たぶん。   3.SOS団の無職3  不必要なほど、周囲に対して過剰に申し訳なく思ってしまうことってありますよね。  自分では 「もうダメだ!」 と思っても、でも大丈夫。  けっこうみんな、そんなのさして重大だとは思っていないですよ。   4.SOS団の無職4   こないだラーメン屋に行った折。後ろの席に座っていたカップルの彼氏が、「いつまでも子供心を持ち続けていたいよね」と言ってるのを聞いて、ラーメン噴き出しそうになりました。  子供心を持ち続けるどころのレベルじゃねえよ。ロマンチストぶってんじゃねえよwww  今回の話の中...
  • ナガト
    ナガト ~彼方から来た天才~   季節は秋。と言うのは名ばかりの、九月上旬。   未だに聞こえてくる蝉の鳴き声が、俺たちが必死に忘れようとしている残暑を、嫌でも思い出させる忌々しいスパイスとなっている。   永遠に続いて欲しかった夏休みも遂に終わってしまい、健全な高校生ならば誰しも、 また今年もこの忌々しいまでの暑さが忌々しいまでの寒さに変わるまでの、 とても今の状態からでは想像も出来ない長い長い道のりを、一日一歩ずつ、しかも勉学と言う名の向かい風を受けながら、歩いていかなければならないということに絶望を感じずにはいられないはずのこの時期に、俺たちは、学校に嬉々として登校していた。   Why?なぜかって?   OK,そう急ぐなって。まずは俺の薀蓄に耳を少しばかり傾けてくれ。   死亡遊戯と言うものを、皆さんはご存知だろうか? 昔々、どのくらい昔かって言うと、中国がまだ何十もの国...
  • 涼宮ハルヒの正誤
    0:夢   夜空に輝く天の川。 周りの喧騒がひたすら耳障りだった。 瞼は開いているが、飛び込んでくる情報は限りなく絞られ、指向性を持たされている。 ぼんやりと認識されるのは、人の声と、顔と、感触と……。 水滴。 とうとう雨が降り始めた。 雨脚は強まっていく。 ああ、星が綺麗だ。 俺は願った。 次に目が覚めるその時は、今より強い自分であれますように。 …………。 やがて俺は溺死した。   1:予言   世界の始まった日。 諸説ある。 うん十億年前。 四年前。 昨日。 今。 記憶という脆弱な結晶体を、証明する術はまだない。 出口の見えないラビリンス。 迷子になった思考が、己の存在の危うさを露呈させる。 だからこそSOS。 信号を発信し、居場所探し。 助けてください。 このSOSがあなたに届きましたら。 どうか早急なる救出を。 当サイトはもれなく未来永劫リンクフリーです。   §   「…………...
  • 長門有希の憂鬱IV 四章
    四 章      電話を切ってベンチから立ち上がり、軽いめまいに似た妙な達成感に浸っているところで携帯がブルブル震えた。ハルヒに電話するのをすっかり忘れていた。 『キョン、ずっと話中だったけどどうしたの』 「ああ、中河と話してた」 ハルヒはクククと漏らすような笑い声を出しながら、 『で、で、ひとりの女をめぐって男同士のケリをつけたのね?』 「別に決闘を申し込んだわけじゃないさ。あいつは知らなかったんだよ、俺と長門が付き合ってることを」 『へー。世の中にはあんたより鈍い男がいるのね、見直したわ』 それは褒めてんのかけなしてんのかどっちなんだ。   「長門と一緒に会社経営したかったんだとさ。昔と変わらず熱に浮かされてるっていうか夢見がちっていうかな」 『前言撤回、中河さんはあんたよりずっと情熱的だわ。好きな人と仲むずまじく会社を運営していくなんてロマンがあるじゃないの』 冷めてて悪かったな。...
  • スノーホワイト・レクイエム6
    白雪姫に、最期に与えられたのは、林檎でした。 紅く艶のある、瑞々しそうな林檎。 白雪姫は、手を伸ばしました。 もう何も、堪える事はありませんでした。 --------------------------- 俄かには信じ難い事象を、否応なしに信じさせられる。 ――そんな事例なら、以前にもあった。四年前、涼宮ハルヒに何らかの出来事が発生し、突如として古泉が能力に覚醒した日。古泉は拒否権なくあらゆるものを奪い取られ、代償に幾許かの『選ばれたもの』である、という自負を与えられ、逃避する余地のない宿命という名の拘束に縛り付けられた。 けれども「分かってしまった」古泉は、重責を課せられたとて、放り出すことは叶わなかった。自覚的にそうだったのだ。「分かってしまう」ということは、つまりはそういうことだった。 無論、過去の彼自身がそうであったように、SOS団団員として走り回る事そのも...
  • SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦 ―最終試練(中編)―
    「さて、続いては僕たちの番ですね」 国木田との勝負終了後、古泉が語りかけてきた。…僕たち、とはどうゆう意味だ?タイマン勝負じゃなかったのかよ? 「実は、僕を除いた参加者の残り三人のうち、二人は機関の雇ったサクラでしてね。時間的な都合もありまして、三人同時に勝負を仕掛けようと思います。あまり長くダラダラとやりすぎて、涼宮さんが退屈するのを恐れているんです」 なるほど、いい判断だ。太陽はもうすぐ水平線に着地し始めている。ハルヒのこともそうだが、俺も早く帰りたいんだ。それで、何で勝負するんだ? 「今はまだ秘密です。そうそう、涼宮さんから『古泉君も真剣にやってちょうだい!キョンを鍛え直さなきゃいけないから!』と言われましたのでね。恐れながら、本気で勝負させてもらいますよ」 古泉は笑みの中に、冷たく、鋭い視線を混入して俺に差し向けて来た。 …古泉が真剣にするということは、こっちも真剣に勝負し...
  • 橘京子の消失(前編)
    「…………、……きて……」  ――声が……聞こえる―― 「……くん、………ったら……」  ――俺を呼ぶ声―― 「……むー、……おき……よ……」  ――どこかで、聞いたことのある―― 「……おき…………なら……」  ――しかも毎日聞くこの声は―― 「えいっ!」 「ぐふぉ!!」  朦朧としている頭で必死に状況把握をしている俺は、砲丸投げの玉を腹部に直撃したかのような鈍い痛みを伴って、完全に覚醒した。 「ってえな! 起こす時はもっと優しくしろって言ってるだろうが!」 「だって、キョンくんったらなかなか起きないんだもん」  ぷくっと膨れる顔はいつもよりも殊更幼く見えるが、それもこいつが今まで行ってきた業というものだろう。怒られたくなかったら無茶な起こし方をするなと再三言い聞かせているのに、この癖だけは一向に治る気配を見せない。  間違いなく俺の妹である。 「ごはんだよ~ あっさごっ...
  • 私の選んだ人 第8話
    私の選んだ人 第8話 「オセロ」 「今から約19分前、古泉一樹が、情報統合思念体と『機関』の間で半ば暗黙の了解的に認知されている停戦協定に於ける、現時点で設定されている有効期限以後に、わたしの自律行動を停止させようとする情報統合思念体内部での動きを取り消させた。それを受け、『機関』は今回の古泉一樹の行動を明確な叛逆行為であると結論付け、ルーチンに従い今夜12時0分0秒にその処分命令を下す事を予定している」 状況が把握できていない俺、心なしか怒っている風な長門、先程から落ち着きも無く血の気の失せた白い顔の朝比奈さん、珍しく笑顔のストックを切らせているらしい古泉の4人は、長門の部屋のリビングで布団を外されたコタツテーブルを囲み座らされている。 配置は俺の正面が長門、右側が朝比奈さん、左側に古泉。っとまあ、一応参考までにな。 んで、最初に口を開いたのがこの会の主催である長門。そしてそ...
  • 眼鏡と微笑
    『眼鏡と微笑』     「じゃあ、俺、行くわ」 「うん、あたしは今日は遅れて行くから、ちゃんと活動しておきなさいよ」 「はいよ」  つまんない用事なのにー、あのバカ教師め、とか言ってブツブツ文句を言っていたハルヒに向かって、俺は軽く右手上げて、夏休みを直前に控えて少し浮き足立っている教室を後にした。期末試験も終わり、少しばかりの補習授業を消化したらあとは夏休みだ。その前に試験結果と通知表が返ってくるわけだが、今は忘れよう、それでいい。    旧館に向かう渡り廊下を歩きながら、俺はさっきのハルヒの言葉を思い出していた。活動といったって、いったい何をすればいいのか、俺は未だによくわからない。  結局することといえば、朝比奈さんの美味しいお茶をいただきながら、古泉相手に各種ボードゲームの勝利を重ねつつ、パタンと本を閉じる長門の終了の合図で帰宅する、というのがSOS団結成以来、延々と続いてきた放課...
  • 橘京子の憂鬱(プロローグ)
     高校生活初日。不安に苛まれつつも新しい生活に期待を込め、しかしながら早朝ハイキングを毎日こなさなければと暗澹な気分に陥った入学式。  その入学式を終え、始めてのホームルームで後ろの席のトンでもない発言に辟易しながらソイツと出会った俺は、どうやら今後の人生を左右しかねないフラグを立ててしまったらしい。  事実、それからの生活は山アリ谷アリ等という浮薄且つ陳腐な言い回しでは到底及ぶべくも無い、SFファンタジー創作話に匹敵する体験を深々と体の刻み込んできた……もとい、ソイツによって刻み込まれたと言う方が正解なのかもしれない。  しかし、慣れというものは恐ろしいものである。いや、慣れようなんて微塵も思っていなかったのだが、全方位、オールレンジに渡ってあんなことやそんなことが起きれば自ずと耐性がつくようになってくるものである。  そんな耐性のせいなのか、はたまたそんな生活を楽しんでいたのかは...
  • 空気の読める国木田
    ハルヒ「あいつ、遅いな」 ハルヒ「うぅ、なんだか緊張するな……」 ハルヒ「今日はキョンのやつ、野暮用でデパートに行くって言ってたし」 ハルヒ「私もデパートに行く用があるという名目で、偶然を装って交差点でバッタリ出くわせば一緒にデパートに買い物に行けるはず」   ハルヒ「違う違う、ちがうのよ! これはデートなんかじゃないの。一人で買い物できるかどうかもわからないキョンのために、私もお目付け役として同行してやろうという団長の優しい心遣いなんだから!」 ハルヒ「そうよ。私がキョンとデパートに行きたいんじゃないのよ。あいつに私が仕方なく、休日返上でついて行ってやるだけのことなんだから。そうよ!」   ハルヒ「……遅いな、キョンのヤツ」   ハルヒ「あ、きた!」   ~~~~~   キョン「妹がランドセルを壊しちまってな。創立記念日で学校休みの俺が、デパートまで買い物に行くはめになっちまっ...
  • 国木田日記
    ①入学式   僕は国木田。フルネームはまだ禁則事項らしい。   幼い頃から「国木田くんはできる子ねぇ」という同級生の保護者からの賛辞や、「やーん、この子、カワイイ~!」という年上の女性からのラブコールを受けて、何を考えているのか分からない笑顔とどす黒い本音を持った高校生に育った。 というのは冗談で、とりあえず無難な、一般的な高校生に育っていると自分では思っているから安心して続きを読んでほしい。   今日は北高の入学式。 僕の学力では県外の進学校にも行けた。北高の理数コースだって余裕だったけどね、なんだかんだで普通科に進学している。おっと、別にレベルの低い集団に混じって優越感に浸ろうとか、そんなことはいくら僕でも考えちゃいないさ。もちろん、普通科のレベルだったら特に熱心に学業に専念しなくても問題ない、と認識してるけどね。 これは慢心でも自意識過剰でもなんでもない。冷静な現状の分析だよ。 ...
  • 愛のカタチ
       まずは前日の話からしよう。その日は、いつものように学校までの急勾配コースを谷口と他愛もない話をしながら歩き、校門をくぐった先の下駄箱で上履きを入手し、教室でハルヒに軽い挨拶を済ました後ホームルームが始まり、続いて1限目がお馴染みのチャイムとともに開始され、俺が授業終了までどう暇を潰そうかと考えているといった普段通りの1日だったのだが、昼休み、ある訪問客が来たことで俺は少し驚くことになった。  振り返ってみることにする。俺の、ちょっとした過去の記憶を。  ………  ……  …     「キョンくーん、お客さんだよ」  クラスの女子にまで広まった俺のキテレツなあだ名で呼ばれ、谷口アンド国木田とランチの食卓を囲んでいた俺は義務的に教室の入口の方を伺い見る。そこに、カーディガンを身にまとった小柄の女子生徒を見つけた。  ちなみに例の如くハルヒは教室には居ない。今頃は食堂で常識の範疇を越え...
  • そして、変わらぬ日常
    そして、変わらぬ日常 1.未来その1 「最高評議会の審決結果を伝達する」 「はい」 「賛成8、棄権1で、限定条件付死刑と決した。原状復帰命令に従わない場合は、死刑とする。死刑執行人には、あなたを任ずる」 「かしこまりました」 「これがおそらく私のあなたへの最後の命令になる。こんな結果になってしまって、非常に残念」 「致し方ありません。自分の不始末の責任は自分でとらなければなりませんから。たとえ、それが身に覚えのないことであっても」 「あなただけに責任を負わせるつもりはない。私も付き合う。私にも命令がくだった」 「……そうですか。後始末の方はどうするのですか? てっきり、あなたがするものと思っていましたが」 「手配はつけた。問題はない」 「そうですか。ならば、後顧の憂いはありませんね。あとはお互いに任務を遂行するのみですが、残された時間は?」 「時間軸上書き効果の五次元速度が異常に速い。...
  • チョコ、キッス、カオス♪
      ―――前略、オフクロ様…あなたの息子は只今、男子生徒の大群に追われてます…   ……理由?そんなの決まってる。どっかの聖人君子が亡くなった日に、世の女性がおもに好きな男に甘い糖分の塊を渡す日が原因だ。   ―――そう、バレンタインデーがやってきたんだ…       朝、今日もいつも通りの一日が始まったのだと思っていた。 いつも通り妹の目覚ましフライングボディプレスを空中で捕らえて、ジャーマンスープレックスでおはようございますした後に、いつも通りの歯磨き。いつも通りの朝食。いつも通りの妹とのセクロス。いつも通りの着替え。 本当にここまではいつも通りの一日だったんだ。   異変は家を出たときから始まったのだろう。 俺は眠い目を擦りつつ早朝ハイキングコースをケツだけ歩きで登っていた。 なんか周りの男共がそわそわしているように見えるが、きっと地震の前触れか何かだろう。そんなことがよくナマズと...
  • それでもコイツは涼宮ハルヒなんだ 6
    12,セカイ系青春ウォーカー  支払いを終えた古泉と一緒に外に出ると、タイミングを見計らったかのように俺たちの前でリムジンが静かに停車した。古泉が呼んだお迎えとやらなのは容易く察しが付いたが、駅前の雑居ビルでごった返す一角にリムジンは不釣合い過ぎて軽くファンタジイ入ってるよな、これ。客観的に見て。 「乗って下さい」  古泉が後部座席のドアを開けて俺を車内に促す。断る理由も躊躇う理由もさっきの古泉の一言で木っ端微塵にぶち壊されていた。  長門が? 危ない?  理由はまだ説明されちゃいないが、しかしてこういった類で嘘を吐くような男では古泉はないのを――一年半の付き合いなんだ、俺はよく知っている。だとすれば信じて全乗っかりする以外に道は無い訳で。  リムジンを運転していたのは老齢の紳士、いつぞやSOS団全員でお世話になった新川さんだった。去年の五月を思い起こさせるようなスーツ姿は本職...
  • 欲望
    一週間前のことだ。SOS団が根城にしている文芸部室にハルヒが鶴屋さんを連れてきた。 鶴屋さんの誕生パーティーを鶴屋邸で開催するらしく、その会にSOS団の面々にも出席を願いたいという話だった。 しかしその誕生会というものがただの誕生会ではなく、鶴屋さんの誕生日を祝ってくれた出席者の一人に 鶴屋家の財産を半分譲渡するということなのだ。 鶴屋さん「ウチのお爺ちゃんがめがっさ情に脆い人でさ。孫の誕生日を自分のことのように祝ってくれるような人には      お金で御礼をしても足りないくらいだとさ!財産の半分でよければいくらでもくれてやるってさ!」 阿呆だなその爺さん。でもこれはものすごく有難い話じゃないか?友達である鶴屋さんの誕生日を祝ってあげたいという気持ちは普通にあるが、 それだけで鶴屋家の財産を半分も貰えるんだぜ?でも出席者の一人にしか譲渡しないって? ということは鶴屋さんの誕生日を一番祝...
  • 「銀河鉄道の夜」「トトロ」「ハルキョンについて語る古泉」
     青春十八切符というものをご存知だろうか。  日本全国のJRの普通列車に乗り放題できてしまうこの切符、こんな名前でありながら 実は年齢制限はなし、代わりに子供割引も無し。1枚で1日有効×5回分の11500円という 有効活用する事ができれば実にお得な旅券である。  何を急に言い出したのか、なんて思ってる人もいるかもしれないな。  実は今、俺の手元にはその青春十八切符が握られている。五枚綴りのチケットは残り1枚 だけ残っていて、俺の前と隣、斜め向かいに座っているそれぞれの手の中にあるはずだ。  揺れる車内で眠気に誘われながらも硬い座席では眠る事もできない。  古泉、次の目的地まではあとどのくらいなんだ? 「あと、1時間程はかかりそうですね」  お決まりの営業スマイルにため息で答えつつ、俺は再び車窓からの眺めに視線を戻した。  もうわかっていそうなもんだが俺達は今、電車で移動中だ。  一緒に行動...
  • 周防九曜の溜息
    ※橘京子の溜息シリーズのおまけ話です    長らく沈黙を保っていた太平洋高気圧もその重い腰をようやく上げ、北から押し寄せて来る高気圧との接戦に備えて湿気を日本中にばら撒いている今日この頃。  六月の終盤からしとしと降る雨は決して強いものではないものの、何日も何日も降り注ぐものだから結果としてかなりの降水量をもたらしている。  気温が高く飽和水蒸気量が上がるっているにも関わらず湿度もそれに比例して上昇の一途を辿るものだから、汗は表皮で気液平衡となり潜熱を奪って気化しようとはせず、それどころか空気中の水分すら凝集して汗と交わっていそうな感覚が支配する。  何が言いたいのかと言うと、汗をかくだけで全く涼しくならいんだ。  じめじめむしむし。  誰が考えたのかは知らないが。的を射た表現である。    こんな天気だと言うのにハルヒのパワーは留まること知らず、年中照りつける真夏の太陽の如く俺達を...
  • 橘京子の憤慨 その2
    「あの……んぐ、ほじんほくほ……はぐはぐ……はまわり……」 「…………」 「ぱくっ、はいへんありは……もぐもぐ……たい……んんっ、おいしー!」 「…………」 「……のですが、できれば他の方からの、あーん……あろはいすが……むぐむぐ……良ひと思いますぅ……こっくん、あ゛ぁっ、染みるぅ~」 「……食うか喋るかどっちかにしろ」 「はひっ!はかりはひんぐっ!!ゴホゴホッ!!ゲヘッ!!」 「………………」  人に助けを請い、また苦労をさせながら、全くそれを自覚をしていないイカれ白玉女は、抹茶チョコのエクレアとカスタードプティングとラ・フランス果汁たっぷりのグラニテを交互に頬張りながら、申し訳程度の謝罪の言葉を発し、そして喉を詰まらせた。  朝比奈さんと(ケンカ)別れした後の事である。俺は橘お勧めのお菓子屋さんに来て、マカロン・ダミアンとザッハ・トルテを自棄食いしていた。  先ほど叩かれた痕...
  • きょんむす第一弾 それが誰かの望んだ味で
    もくじ     「…はぁ」   電車に揺られた体を休め、ため息をひとつ吐く。 こんな長い旅路はきっと初めてで、あのお袋の息子でいる限りはまたこんなこと が起こるんだろうかと思うと…   「…はぁ」   …自然にもうひとつため息がでるのも不思議じゃないわけで。   初めての学校。初めての町。初めての空気。 これまた初めての駅を出て、俺は少し立ち止まってみる。   …何?状況がわからない? 奇遇だな。俺にもよくわかって無かったところだ。 ま、適当におさらいでもしてみますかね。   ◇◆◇◆◇   「あんたは此処の高校ね。それ以外認めないから」 「お、おいハルヒ。そうすると、こいつは県外に行っちまうことになるぞ?」   高校受験を半年後に控えたある日。志望校について親父と話し合っていると、い きなりお袋がとある学校のパンフレットを持ってきた。 何でもお袋と親父が一緒だった高校であり…   「...
  • 朝倉涼子の軌跡 断章『心、通わせて』
     謎の少女――橘京子の襲撃から二週間が経ったが、あれから命に障る事件は起きなかっ た。一方、不可思議な現象等は、端に涼宮の精神状態が安定している為か、はたまたその 力の発生自体が稀有な為か、涼宮は垣間見せる事は無かった。 だが、古泉曰く。 「涼宮さんは発言や行動こそ奇天烈ですが、彼女が悪戯に世界の秩序や構成を乱さないの は、彼女が現実と空想の類の境界線を明瞭に把握し、理解しているからですよ。でなけれ ば、今頃世界は酷い有り様になっているはずです」 などと、豪語したからであり、しかし信憑性の薄い話でもあった。贔屓目で見ても、あ いつ――涼宮が人格者であるとはとても思えない。しかし、涼宮の精神や心理と少なから ずともリンク出来ると言っていた能力者である古泉が言うのであれば、あながち間違いで はないのかもしれない。現に涼宮は悪戯に世界の法則を覆す事象は起こさなかったが、相 変わらず閉鎖空間は発生...
  • 「涼宮ハルヒの憂鬱」改
    *注意:欝エンドです   1.断章───遠ざかる超常    学校を案内してあげると言って涼宮が古泉を連れ出し、朝比奈さんが用事があるからと帰ってしまったので、部室には俺と長門有希だけが残された。  今更オセロをする気にもなれず、長門の読書シーンを観察していても面白くも何ともなく、だから俺はさっさと帰ることにした。鞄を提げる。長門に一声、 「じゃあな」 「本読んだ?」  足が止まる。長門有希の暗闇色をした目が俺を射抜いていた。  本。というと、いつぞや俺に貸した異様に厚いハードカバーのことか? 「そう」 「いや、まだだけど……返した方がいいか?」 「返さなくていい」  長門のセリフはいつも端的だ。一文節内で収まる。 「今日読んで」  長門はどうでもよさそうに言った。 「帰ったらすぐ」  どうでもよさそうなのに命令調である。  ここんとこ国語の教科書に載っている以外の小説なんて読んでもいないけ...
  • 私の選んだ人 第7話
    私の選んだ人 第7話 「天にて諮る者」 長門さんが本を閉じると、「今日は用事あるから先に行くわね!」と言いながら、涼宮さんが部室から勢い良く飛び出して行った。その溌剌とした満面の笑顔には「悪くないけど、やっぱり女物じゃイマイチだわ」と書かれていた。 今日も持てる限りの能力を投入して自然な連敗を心掛けたテーブルゲームの後片付けをする僕を尻目に、女性用の香水ではあるものの、柑橘系主体の若々しい香りを漂わせる彼と、長門さんが並んで部室を出て行く。とても涼宮さんらしい、清々しく爽やかな香りだ。 ところで、どうも彼は今日は全く落ち着きが無かった。 「僕」がしつこく香水の件で彼をからかっていたからだ。というのは否定しない。「僕」が何か口を開く度に、「涼宮さん」「わざわざ家から」「持ってくる」「良い香り」「お気に入り」の内から1つないし複数が必ず文章に入っていた為、彼はすぐに口を閉ざした。 ...
  • 間違いだらけの文化祭 Scene6
     佐々木の吐息が俺の思考を酷くかき乱す。  ほんの少し近づくだけで唇が触れ合うだろう。  それを望む自分と、止めようとする自分が繰り返して争いを続ける。  本当は争うまでもないんだ。一時の感情で佐々木との関係を壊したくない。  だが彼女を欲しいと思った気持ちが止まらない。  葛藤で熱暴走を起こした頭に佐々木の姿が浮かんでは消えた。 『キョン』  目を閉じていたって鮮明に思い出せる。声だって、リアルに響く。  この半年に限って言えば一番時間を共有した相手だ。 『なあ、キョン。知ってるかい』  得意げに笑うあいつが、 『キミが遅刻した分だけ僕の時間は無為に過ぎてしまったのだが』  不機嫌に説教を始めるあいつが、 『呆れるほど鈍感だなキミは』  どこか困ったように俺を見上げるあいつが、次々に俺の脳内を侵食する。  この顔が強張ってしまったら俺は――    ダンッと鳴った音が俺の思考を中断させた。...
  • 橘京子の暴走(後編)
    「いったーい!! 何するんですかぁ!!」  聞きたいのはこっちだ! 何やってるんだお前わぁここでぇ!! 「見て分からないですか? 高校の進路相談会のパーソナリティですよ」  そうじゃなくて何でお前が……いや、やめた。理由を聞いたところで俺のメリットになるモンは何もないし。大人しく流そう。そうだ、それがいい。 「えー。そんな事言わずに聞いて下さいよ。減るもんじゃないんだし。実はですね、組織が壊滅の危機に立たされてお給金すら配給の目処が立たなくなって、だからこうしてアウトソーシング的な仕事もこなさないとあたしのバイト代が……」  嫌だぁぁぁ! 聞きたくないぃぃー!! 「そんな我が儘許しません! これもそれもみんなキョンくんのせいですからね! いわゆる一つの『責任、取って下さい』ってやつですからよろしく!」  よろしくされる筋合いはねぇ! 全部お前が悪いんだろうが!! 「えー、だって……」 「...
  • @wiki全体から「涼宮ハルヒの感染 4.窮地」で調べる

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