涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「長門有希の憂鬱IV 二章」で検索した結果

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  • 長門有希の憂鬱II
      長門有希の憂鬱II 目次    長門有希の憂鬱II プロローグ 長門有希の憂鬱II 一章 長門有希の憂鬱II 二章 長門有希の憂鬱II 三章 長門有希の憂鬱II 四章 長門有希の憂鬱II 五章 長門有希の憂鬱II 六章 長門有希の憂鬱II エピローグ 長門有希の憂鬱II 外伝 長門有希の憂鬱II おまけ 未公開シーン(外部リンク)   関連作品(時系列順) 長門有希の憂鬱Ⅰ 長門有希の憂鬱Ⅱ 長門有希の憂鬱III 涼宮ハルヒの経営I 古泉一樹の誤算    共著: ◆kisekig7LI ◆nomad3yzec   青空文庫版(携帯電子ブック,PDAブンコビューワルビ対応) 元テキスト(Nami2000データ形式)   Special thanks to どこここ プロローグへ  
  • 長門有希の憂鬱Ⅰ
    目次長門有希の憂鬱Ⅰプロローグ 長門有希の憂鬱Ⅰ一章 長門有希の憂鬱Ⅰ二章 長門有希の憂鬱Ⅰ三章 長門有希の憂鬱Ⅰ四章 長門有希の憂鬱Ⅰおまけ 関連作品(時系列順)長門有希の憂鬱II 長門有希の憂鬱III 涼宮ハルヒの常駐(◆eHA9wZFEww氏による外伝) 涼宮ハルヒの経営I 古泉一樹の誤算 元テキスト(AAData形式) 青空文庫版
  • 長門有希の憂鬱IV 二章
      二 章 Illustration どこここ   「……起きて」 長門の声で目が覚めた。 「おう、おはよう」 俺はこめかみを抑えた。自分の声が頭にガンガン響く。長門が二日酔い用の薬と水を持ってきてくれた。 「すまんな……」 俺は頭をかきむしりながら起き上がり顔を洗いにシンクに向かった。リビングの壁にかかった自分のスーツを見て、言うべきことを思い出した。 「長門、昨日はすまん。俺どうやってここまで来たんだ?まったく覚えてないんだが」 「……午前一時に、電話があった」 「それで俺、なにか言ってた?」 「……意味消失していたが、昔好意を抱いていた女性の話」 ま、まじか。そんなたわけ話をしたのか俺は。 「そ、それから?」 「……会話の途中で意識を失った。わたしが迎えに行った」 長門に抱えられてここまで来たのか。マンションの七階まで。なんて野郎だ。 「あの、俺、なんか変なこといたしまし...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰ二章
    長門有希の憂鬱Ⅰ 二 章 目の前に、口をあんぐり開けたおっさんがいた。 よれよれの服を着てベンチに座っている。 「あんた……今、そこに現れなかった?」前歯が一本欠けている。 「え……ええ」 「ワシゃずっと見てたんだが。あんた、そこに、いきなり現れた」 「そうですか……?たいしたことじゃありません」人がいきなり出現したなんて全然たいしたことだろうよ。 ホームレスっぽいおっさんは俺をまじまじと見つめていた。 やがて飽きたのか、目を閉じ、うとうとしはじめた。 ここはいったいどこだろうか。俺は目をこすって周りを見た。 ほっぺたをパシパシと叩いてみた。これは夢じゃない。人が大勢歩いてる。閉鎖空間でもないようだ。 どこからか列車の発車を告げるアナウンスが聞こえた。どうやら駅のコンコースらしい。 駅の名前は見慣れない、俺の知らない地名だった。 さて...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰプロローグ
    長門有希の憂鬱Ⅰ プロローグ 窓の外は曇っていた。 今年ももうすぐクリスマスだねー、などとクラスの女子がのたまっているのを、 俺はぼんやりと眺めながら次の授業がはじまるのを待っていた。 高校に入って二度目の文化祭を終え、やっと落ち着いたとため息をついたばかりだ。 そういやハルヒのやつ、今年もやるんだろうなクリパ。また俺にトナカイやらせるつもりじゃあるまいな。 長門が暴走したりSOS団が消えちまったり、朝倉に二度も襲われたり、去年はいろいろあった。 俺も長門には気を配るようになった。あいつは感情が希薄なわけじゃなくて、 実は表に出ないだけなんだと知ってからは。おかげさまで落ち着いてるようだが。 振り向いて後ろの席にいるやつに、今年のクリパはやっぱ部室でやるのか、と尋ねようとしたらいきなり首根っこを掴まれた。 「キョン、あんた進学するの?」 いきな...
  • 長門有希の消失 第二章
    二章   夢を見た。  実はわたしの場合、夢にもいろいろな区分があって、まったく意味不明なもの、何か心当たりがある内容のもの、長く頭に残るものなどがある。どのような条件が揃うとどんな夢を見るのか、まだわたしには解らない。ひとつ言えることは、どの夢にも何かしら種類分けができそうな要素が含まれているということだった。  ところが、わたしが今日見た夢はそれらのどこにも属さなかった。わたしは目を覚ましたとき今までいた空間が夢の中だったことに気づいたが、しかしよく考えるうちにそれが夢だったと言い切れるだけの証拠がないことが解った。混沌さ、夢の中の会話、起きたときの感覚。どれをとってもわたしが今まで見てきた夢とは異なるものだった。だから正確に言うと、これは夢ではないのだ。  わたしが夢の中で眠りから醒めたとき、目の前には黒い空間がはてしなく広がっていた。上も下も横も、すべてが黒。その黒がどん...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰ一章
    長門有希の憂鬱Ⅰ 一 章 やれやれだぜ。俺は朝比奈さんを待ちながら呟いた。このセリフ、何回言ったことだろう。 ハルヒがSOS団を立ち上げてからというもの、このセリフを吐かなかったことはない。 俺はきっと死ぬまでこの言葉を言いつづけるに違いない。 さて、今年も残すところあと数日だが、年が明ける前に俺は朝比奈さんに折り入っての頼みごとをしなければならなかった。 俺は十日前の十二月十八日に戻らなければならないことになっている。 戻ってなにをするのかと言えば、特別なことをするわけじゃない。 ただ自宅から学校に通って、一度やった期末試験を受けなおさなければならないだけだ。 試験はどうでもいいんだが、考えようによっちゃこれ、百点満点を取るチャンスかもしれないな。 ハルヒに国立を受けろと言われたので、ここで成績アップしといても天罰はくだらないだろう。 本当は俺...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰ四章
    長門有希の憂鬱Ⅰ 四 章 長門有希の日記 こちらの世界へ来て二年が過ぎた。 情報統合思念体からの連絡はない。支援もない。誰も助けに来ない。 このまま時が過ぎれば、わたしの有機サイクルはいつか性能の限界に達し寿命を遂げる。 それまで、色がない世界でわたしの思考回路は物理的に機能するだろう。 それならばわたしはいっそ、目を閉じ、耳を塞ぎ、口をつぐんだ生命体として生きようと思う。 わたしは長期の待機モードを起動させた。 果たして奇蹟は起きるのだろうか。 タクシーの運転手に住所を棒読みで伝えると、十分くらいでそのアパートの前に着いた。 二階建ての二階、二〇五号室……。郵便受けにもドアにも表札らしきものはなかった。 呼び鈴を押した。こんなにドキドキするのは久しぶりだ。 赤の他人だったらなんとごまかすか、新聞の...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰ三章
    長門有希の憂鬱Ⅰ 三 章 俺はひどい頭痛と轟音とともに目が覚めた。 自分がどこにいるのかしばらく分からず、起き上がったところで天井に頭をぶつけた。 あれ、こんなところに天井があったかな。 そうだった。俺は泊まるところがなくてホームレスに段ボール箱を借りたんだった。 頭上では電車がひっきりなしに行き来している。 俺はそろそろと箱の外に出た。寒い。震え上がってまた中に戻った。 段ボール箱の中、意外に保温性があるんだな。手放せないわけだ。 俺はジャンパーを着込み、身をすくめてやっと外に出た。 一晩の宿は冷蔵庫の箱だった。それを見てまた寒気がした。 時計を見ると七時だった。おっさんたちはまだ寝息を立てているようだ。 俺はサンちゃんの家に、その玄関らしきところからありがとうと書いたメモに千円札を挟んで差し込んだ。 もしかしたら明日も世話になるかもしれない、などと不安と期待の入り混じった気...
  • はるかぜふくまえに・第一章
    ○第一章   「キョーンくん! おはよ!」 翌日通学路で早速長門と出くわした。なんだお前、朝から俺の調子を狂わそうというのか。 「えー何それ? 今日はたまたま寝坊しただけだよ」 「寝坊してこの時間か。そういえばいつも何時に登校してるんだ?」 俺がそういうと長門は顎に人差し指をあて呻吟し、 「んーと、始業一時間前かな?」 いくらなんでも早すぎんだろ。 「だって、ハルヒちゃんの観測しないといけないじゃない? それがわたしのお仕事だもの。 万一ハルヒちゃんが学校に早く来た時のために、わたしはいつもそうしてたの」 なるほどな。一年経って明かされる真実があったものである。道理で一度も長門と出くわさないわけだ。 ん? となると…… 「今日はいいのか? 観測するんだろ」 「だって寝坊しちゃったんだもん、しょうがないじゃない」 いいのかそれで! しょうがないで済むならハルヒの超変態パワーもまったく阻止する...
  • 異界からの刺客
    プロローグ SOS団の部室ではただ、ページをめくる音だけが聞こえていた。 長門はこの時間、誰れもいない部室でただページをめくるだけの時間が「好き」だった(もし、ヒューマノイドインターフェースたる「彼女」にそんな感情があるとして、だが)。知覚のごく一部分で目の前の原始的な情報インターフェースから情報を読みとる一方で、残りの無尽蔵とも呼べる知覚能力で情報統合思念体と交信し、宇宙全体の時空に想いを馳せる。そんな時間が「好き」だった。 が、それでは、残りのSOS団員たちが来ない方がいいのかというその状態も「好き」でないわけでは無かった。知覚の別のごく小部分を、ハルヒやキョンや古泉や朝比奈みくるのたわいもないやりとりの観察に費すのもまた嫌では無かった。 つまるところ、「彼女」は一種の情報収集システムとして生み出されたのであり、バックアップとして非常事態に過激な対応をするために作りだされた朝倉ユ...
  • 涼宮ハルヒの追憶 chapter.2
    二章 cruel girl’s beauty ――age 16 俺を待っていたであろう日常は、四月の第三月曜日をもって、妙な角度から崩れ始めた。 その日は、憂鬱な日だった。 朝目覚めると、すでに予定の時刻を過ぎ、遅刻は確定していたので、わざとゆっくりと学校へ向かうことにした。週明けの倦怠感がそうさせたのかもしれない。風は吹いていないものの、強い雨の降る日だった。ビニール傘をさし、粒の大きい雨を遮った。昨晩からの雨なのか、地面はすでに薄暗いトーンを保っており、小さな水溜りからはねる水が俺のズボンの裾を濡らした。急な上り坂は水を下にある街へと流し、留まるのを拒んだ。 学校に着いたのは一時間目が終わった休憩時間だった。雨で蒸しかえる教室はクラスメイトで満たされ、久しぶりの雨音は教室を静穏で覆った。俺の席――窓際の後ろから一つ前だ――の後ろを見た。ハルヒは窓ガラスの外側を眺め、左手をぴ...
  • 恋は盲目 第一章
    第一章 その日、あたしはいつもと同じように食堂で昼食を食べていた。 学食を求めて並ぶ人の列。周囲から聞こえてくる他愛ない友達同士の会話。普段と同じ日常の風景がそこにはあった。 ふと、人ごみの中に普段見慣れない女子生徒の姿を見つけた。神聖なるSOS団のメイド兼お茶くみ係のみくるちゃんだ。 いつもはお弁当のはずなのに珍しいこともあるのね。 あたしが普段見慣れない食堂でのみくるちゃんの様子を観察していると、きょろきょろと周囲を覗っている。どうやら誰かを探しているようだ。 あたしが声をかけようかどうか迷っていると、みくるちゃんはあたしに気づいたらしく、こちらの方につかつかと歩み寄って来た。 「す、涼宮さん!たたたいへんなことが起きました!」 みくるちゃんは息を切らしてあたしの前まで来ると開口一番こう告げた。いったい何をやらかしたのかしら。でも、まあ、みくるちゃんが慌ててるのなんていつものことよね...
  • はるかぜふくまえに・第二章
    ○第二章   翌日も天気は崩れることがなく、俺たちは時間前に全員集合した。 奢り役はもちろん俺であった。 「キョンくんありがとっ! いつも頼りにしてます!」 ぽんと俺の肩を叩くのは性格ノーマライズされた長門である。いやそんなにまっすぐ礼を言われるとどういたしましてとしか言えないな。 「僕もあなたには感謝していますよ」 古泉が擬音をつけられそうな微笑で言った。そんな感情の無い声で言われてもありがたくも何ともない。 「あたしも。キョンくん、いつもありがとう」 ありがてぇ。本当にありがたいですよ朝比奈さん。長門がお礼を言うようになっても、あなたの言葉は別格です。 「キョンは義務を果たしてるにすぎないの! 当たりまえよそんなの」 ありがたいと思っていないのはこいつくらいである。……ハルヒ、お前もたまには長門くらい快活に感謝してくれ。 「何言ってるのよ。ほら、さっさと行くわよ」 別に怒ってるわけじゃ...
  • 長門有希の憂鬱IV 一章
      一 章  Illustration どこここ    我が社の社員旅行、じゃなくてSOS団夏の強化合宿から帰ってきてからやっと仕事のペースが戻った八月。ゲームと業務支援ソフトの開発とメンテで寝る間もない開発部の連中に気を使ってのことか、俺たち取締役も夏休み返上で出社していた。お盆はどこも営業してないんだからせめて三日くらいは休みをくれと上訴してみたのだが、「社員旅行楽しかったわよねぇ」ニヤリ笑いをしながらのたまう社長にむなしく却下された。俺は合宿でCEOの権利を得たはずなのだが、ハルヒの言う次期ってのが四半期のことを言っているのか営業年度を言っているのか分からず、結局はまだまだ先の話だ。    そういやこの会社に入ってまともな休みはなかった気がするが、それはハルヒが土日にやる突発的イベントのためで、そのほとんどは市内不思議探索パトロールなのだが、疲れ果てた体に鞭打ってまで駅...
  • 白有希姫 演劇篇
      第一章 プロローグ   「昔、白雪姫というとても美しい王女と、深い谷に住む魔女が居た。魔女は、自分が世界で一番美しいと信じており、彼女の持つ魔法の鏡もそれに同意したため、満足な日々を送っていた。」   このナレーションの語りは国木田。そして文章はウィキペ○ィアから参照したものである。   「『鏡よ鏡よ鏡っ!世界でいっちばーん美しいのは誰かしら?』」   体育館、ステージから見て右側の大きなスクリーンに谷口の顔が映し出される。いいなあ、こいつは出番が少なくてよ。   「『それはもちろん涼み…魔女様に決まってるでしょー。』」   こいつ、ちゃんと練習してきたのか?   「白雪姫が16歳になったある日、魔女は魔法の鏡にもう一度問いかけた。」 「『ちょっと!かがみ!世界で一番美しいのは誰かしら?』」 「『それは白有希姫でございますー。』」 「『なんですって!?聞き捨てならないわ、今すぐ白有希...
  • 遠距離恋愛 第十二章 決意.
    第十二章 決意   家まであと少しというところで、携帯が震えた。   着信:涼宮ハルヒ   「あ、キョン?新しいクラスはどうだった?何か不思議なことはあった?」 いきなりそれかよ。ああ、不思議なことは有ったぞ。 「え!ホント?何?担任がサスカッチとかヒバゴンだったとか?」 お前な、それは一体どこの学校だ?大体、サスカッチやヒバゴンから何を教わるんだ俺は? 「冗談よ。で、不思議って何なの?早く教えなさい!」 ああ、実はな…… 俺は今日のことをハルヒに話してやった。 Sクラスという進学クラスになったこと。そこのクラス委員が、俺たちが1年の時にカナダに転校していった朝倉だったこと。そして……佐々木が同じ学校、同じクラスに転校してきたこと。 最初のウチは「うんうん、それで?」とか聞く気満々で先を促してきたハルヒだったが、朝倉の話あたりから徐々にトーンダウンし始め、佐々木の話あたりからは「……ふぅ...
  • 涼宮ハルヒの交流 第二章
     屋上に出てきてからどれくらい経っただろう。  もうすでにかなり経った気がしないでもないが、こういうときは想像以上に時間が長く感じてしまうものだ。  それにしても一体何が起こっているんだ?  俺がもう一人いる!?どういうことだ?どこからか現れたのか?  一番ありえるのは未来から来たということだろう。となると朝比奈さんがらみか?  大きい朝比奈さんか?  とにかく少しばかりややこしい事態になっているようだな。    と、そこで屋上のドアが開かれた。 「古泉、……と俺か」         『涼宮ハルヒの交流』 ―第二章―          古泉ともう一人の『俺』が屋上に出てくる。 「おや、あまり驚いていないようですね」 「さっき声が聞こえたからな。そうだろうと思っていた。もちろん最初は慌てたが」  俺は『俺』の方を向き、古泉に尋ねる。 「で、そっちの『俺』は未来から来たのか?」 「な、それはお...
  • 台風一過のハレの日に:第一章
    『台風一過のハレの日に』       ○ 第一章:再会   「その節はいろいろとお世話になりました」 そう言って、長門のリビングのコタツ机の向こう側に座っているこゆきはにっこりと微笑みながら小さく頭を下げた。   マンションの前の通りで久々の再会を果たした俺たちは、ひとまず長門の部屋にやってきた。 ちょっと大きめのコタツ机以外には家具の無い相変わらず殺風景なリビングに、宇宙人製アンドロイドと、小柄な液体宇宙人と、なんの変哲も無い平凡な地球人が集まった。 数ヶ月前、梅雨時の退屈を持て余したハルヒの「雨の中から宇宙人が降ってこないかしら」という願望をきっかけにして、地球上に分散していた液状化分散集合生命体がこの周辺に降り注ぐ雨として集まった。 長門の力も使いつつ、その雨水をためたここの浴槽の中からすっと立ち上がったこゆきの姿を初めて見たときは本当に驚かされたことをはっきりと覚えている。 今、久...
  • 涼宮ハルヒの終焉 第二章
    二章 七月に入りやはりハルヒは憂鬱になっていた。今回憂鬱な理由は俺にはわかる。 きっと4年前のことを思い出しているに違いない。 4年前に何があったかというと俺は朝比奈さんに4年前に連れて行かれ幼いハルヒに声をかけ話をした、 それだけならまだしも俺は校庭でハルヒの落書きの手伝いをしたのだ、というか俺が全部やった。今考えると映画作りやらホームページ作りやら何も変わってないじゃないか。 そしてハルヒには正体を黙りジョンスミスと名乗った、そして幼かったハルヒに向かって「世界を大いに盛り上げるジョンスミスをよろしく」と叫んだ。 恐らくはこれが原因で世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団、通称SOS団なんて名称にしてしまったんだろう。 大体、世界を大いに盛り上げる~なんてのは誰が最初に考えたのだろうか。 時系列的に言えば俺がハルヒに「世界を大いに盛り上げるジョンスミスをよろしく」と言ったのが原因だ...
  • 情報統合思念体の焦燥
    プロローグ 春。 もうあれから1年がたったと思うと時が過ぎるのは早いと実感するね。 「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」 あれから、SOS団結成や、世界消滅の危機、過去に行ったり夏がループしてたり 挙句の果てには、世界改変に巻き込まれたりと思いだせばキリがないほど、巻き込まれたものだ。 なんだかんだいって結局は楽しんでいるんだがな。 だが、さすがに、少しは休みたいときもあるんだ。と、いうより休まないと体が持たん。 この、俺の願望をかなえてくれる最適な週間が来ている。 春休みだ。 そして、俺は家で羽を伸ばしているはずなのだが・・・ なぜ、俺はこんなハイキングコースを歩いてしまうんだろう。 習慣というものは恐ろしいね。 などと考えているといつの間にか文芸部部室の前に立っていた。 1年も山登りをすると、足...
  • 第一章 ある日、突然に。
    長門ふたり   プロローグ   我々は情報統合思念体。宇宙を統べるもの。全ての時間と空間を超越し、全存在の 上位に位置する。我々は無誤謬であり決して間違いを犯さない。ごく少数の例外を 除いては....。   第一章 ある日、突然に。   授業が終わってから教室で宿題をやった後、僕は団室に向かった。団室に行くのも なかなか難しいタイミングが必要だ。一番理想的なのは最後に部屋に入るというパターン。彼や涼宮さん がすでにその日のパターンを作ってくれているから、それに乗ればいい。 ただ、このパターンの場合、部屋の扉を開けたときに何が起きているか解らないから とっさの対応が難しい場合もある。あの5月の日、世界が消滅の危機に瀕した日の前日、 部屋に入って行くと涼宮さんがバニーガール、朝比奈さんがメイドの格好、そして なんか険悪な雰囲気、僕は 「今日は仮装パーティの日でしたっけ」 などととっさにボケてみ...
  • 涼宮ハルヒの団結 第十一章
    「……無事に出発されたようですね」 「ええ。キョンくんとみゆきなら、無事に涼宮さんを連れて来てくれるはずです」   ――古泉一樹。朝比奈みくる、異時間同位体。 「そして……これからの古泉くんの行動ですが、あなたには長門さんの思念体を過去のキョンくんの元へと送り届けて欲しいの。その、古泉くんはこちらの意図を理解してくれていますよね?」 「概要は掴めているつもりです。僕の有するファクターと過去への時間遡行、そして長門さんの記憶を取り戻すという事柄から、僕の行動は必然的に導き出されていますから。つまり、僕の精神探訪の能力をもって時間を止められている彼の精神領域へと長門さんの思念体をダイブさせ、そして過去……去年の七夕から、長門さんには彼の目を通して世界を見てきてもらう。彼女が抱える自分自身の悩みを、まさしく第三者的客観を通して見つめ直してもらうためにね。もしかして、彼を長門さんの部屋に寝か...
  • 涼宮ハルヒの誤解 第二章
    二章 断絶 週のあけた月曜日。あたしは不機嫌オーラをばらまきながら登校した。 半径5メートル以内に人がいないのがわかる。 教室に入り、誰も座っていない前の席を睨む。 二年生になっても変わらないこの位置関係に怒りを覚えたのは初めてだ。 あいつを見ていなければいけないなんて。   幸いなことに今日は席替えがある。 入学してからずっと続いていた偶然が途切れることを祈った。   遅刻ギリギリにあいつが教室に入ってくる。 席に鞄をおろして声をかけてくる。 「土曜日はすまなかった」 無視。 「今度からはちゃんと行くからさ」 無視。 「……?おーい」 無視。 ため息をつくとキョンは前を向き、岡部が入って来た。   授業中はイライラしっぱなしでろくに話も聞いていなかったけど 学校の授業なんて余裕よ、余裕。 こんなのもわからないなんて本当にキョンはバカよね。   待ちに待った席替え。 あたしは窓際一番後...
  • 長門ふたり
    長門ふたり       第一章 ある日、突然に。     第二章 彼、登場。     第三章 急進派の逆襲     第四章 ダブル消失     第五章 長門を消去せよ!     第六章 ハルヒ、古泉に恋す。     第七章 ラストバトル     外伝 消失長門の真実      
  • Am I father ? 第一章
      1.   俺が北高に入学し、SOS団とかいう世にも奇妙な団体に入団してから、いや、拉致されてからと言ったほうが正しいだろうか、まあそんな感じで早々と時間は過ぎ去り、二回目の夏休みを迎えていた。その間にもいろいろと、古泉発案の第二回SOS団夏合宿やら、その古泉が真っ青になり、朝比奈さんがおろおろとし、長門が奔走しまわった事件などがあったのだが、ここでは語らないでおこう。それはまたいつか他の機会があれば話そうとおもう。 さて、俺は今、クーラーがきいた自室で朝から久々の惰眠を貪っている。 両親と妹は商店街の抽選で当たったとかいう三泊四日温泉旅行の三名様用チケットとやらを使って今朝早くから出かけてしまった。俺を置いてな。 全く酷い家族だぜ。母親いわく、あんたは涼宮さん達と合宿に行ったでしょうが。だったらあんたは行かなくてよし、なんだそうだ。 悔しいから見送りなんてしないで寝てようとしたのだが、...
  • 消滅の代償
    プロローグ 「ジョン=スミスは俺なんだ!」 俺はハルヒに向かって叫ぶ、ハルヒは目を丸くして驚き、女子トイレに明らかなおかまのおっさんが入ってきたのを見たような表情をしている。 それを見ていた朝比奈さんは怯えた顔で、古泉はいつもの微笑で見守っていた。 「…え…ちょっと待ってよ!あの頃はあんただって中学生でしょ!ジョンは明らかに高校生だったわよ!」 くそっ!時は一刻を争うというのに、変なところで常識的な奴だ、すべてをハルヒに教える前に今回、なんでこうなっちまったのか急ぎ足で振り返ろう。   一章 季節は春。 寒かった冬も終わり、雪が溶けて川になって流れていったり、つくしの子が恥ずかしげに顔を出すそんな季節である。 だがしかし、今の地球の異常気象はそんなことはお構いなし、と、いうのも3月になるというのにまだ寒かった、というわけだ。 そうそれは先月ハルヒ達からやたら凝った方法で渡されたチョコレート...
  • 餃子の季節
      餃子の季節 【プロローグ】    西暦2008年X月X日。    この日、世界中を凶報が駆け巡った。   『北京オリンピックにて涼宮ハルヒ、涼宮哈爾濱に敗北す。』    これは中華人民共和国の野望を何者をも妨げ得ないと言う事を意味していた。    後の世に”炎の七日間”と呼ばれる、悪夢の一週間の始まりであった。   ───「我が神、我が神、何故に我を捨てたまいしや」(マルコ15章34節)   挿絵 http //society6.2ch.net/test/read.cgi/gline/1202756066/1 【第一章・中華人民共和国の興亡】   ──翌日、中国軍は世界侵略を開始した。   鈴宮ハルヒ「北米方面軍より報告、アメリカ・カナダの制圧完了しました。」 涼官ハルヒ「欧州方面軍より報告、NATO軍は壊滅しました。」 涼宮八儿匕「台湾方面軍より報告、台北市内でゲリラ部隊が...
  • 第一章『ゲ泉一樹』
          辛く寒い冬が終わりを告げ、春一番が女の子達のスカートをチラつかせる頃 僕はキョンたんの事ばかりを考えていました     早く今日の授業を終え、一刻も早くキョンたんのいる文芸部室・・・・いえ正確にはSOS団の団室に向かいたいものです     おや? 靴箱に手紙が入っていますね? どうやら僕宛ての恋文のようです     ================昼休み==============   女生徒「あ・・・古泉くん」   ゲ泉「少々遅れてしまったようですね。申し訳ございません」   女生徒「ん・・・大丈夫」   ゲ泉「いえいえ、気を使って頂く必要はございませんよ。それで話と言うのは?」   女生徒「わ・・・わたし・・・・古泉くんの事が・・・」       やはりですか・・・ しかし僕の答えは決まっているのです     ゲ泉「申し訳ありませんが・・・」     その言葉を聞いた彼女は...
  • 涼宮ハルヒの誤解 第一章
    秋の風が吹き始めたある日の黄昏。 一人の女性が町に来た。 ――いや、帰って来たと言うべきだろう。 女性はこの町にすんでいたのだから。 女性は考える。 『彼』は、『彼女』は元気だろうか?   涼宮ハルヒの誤解   第一章 目撃 今日は土曜日。市内探索パトロールの日。普段なら楽しいはずの出来事。 しかし、あたしの顔は不機嫌の極みだった。 「遅い!あー、なにしてんのよあいつは!」 それもそのはず、キョンがまだ来ていないからだった。 「もう集合時間を十分も過ぎてるってのに!」 さっきから電話を何度もかけているがつながらない。嫌な予感がする。 「おかしいですね。いつも最後に来るといっても、集合時間には間に合っているのに」 補足のようなこのセリフはSOS団副団長・古泉君のもの。 「……」 無言を貫く無表情の有希。 「何か、あったんでしょうか?」 オドオドと言ったのはSOS団のマスコットキャラみく...
  • 涼宮ハルヒの終焉 第一章
    第一章 新しいクラスが発表されるのは始業式の後なのでもちろんここで言う教室というのは1年のときの教室である。 ハルヒはもう教室で憂鬱げなというよりは疲れているような顔を浮かべていた。 どうかしたのか?と聞いてみると「何でも無いわよ。」と言い返されたところで元担任の岡部が入ってきて体育館に強制連行された。 入学式に劣らないテンプレートな始業式は幕を閉じた。 とうとう新クラスの発表である。 この時、俺はハルヒと一緒のクラスになるのは確定だと思っていたので谷口か国木田でも何でも良いからまともな知り合いと同じクラスになれと祈っていた。 そして新クラス発表終了後俺は唖然としていた、なんとハルヒと同じクラスにならなかったのだ、ありえない。 谷口や国木田と同じクラスになれたのはよかったのだが… 俺の頭の中では?がありえないぐらいに大量発生していた。 俺は新クラスでの自己紹介を去年した自己紹介を適当に...
  • 涼宮ハルヒの夢幻 第一章
      第一章      3月も末に入る。 ついに1年も終わり、2年生へと向かうのだが、自覚も湧かない。 地獄のような坂で谷口の話を聞くが右の耳から左の耳へと通り抜ける。 授業も学習範囲を終え、自習に近い時間が多くなる。 ………憂鬱だ。非常に憂鬱だ。 そんなアンニュイな気分を勝手に打破するのは、我が団体の団長様だ。 今なら、ハルヒの厄介事に付き合っても良い。 すぐに「やれやれ」と言いながら、前言撤回するのはいつもの事なのだがな。   放課後 俺はドアをノックして中に入る。 はい、前言撤回だな。 いつもと変わらない部室。 だが、異常な空気だけが立ち込めていた。 原因はあいつとわかりきっていたが… 「あ、こんにちは。い、今お茶いれますね。」 おどおどしながら、朝比奈さんは俺のためにお茶をいれだした。 「やあ、どうも。」 苦笑混じりの古泉が話かけてきた。 「これは、何だ?」 「さぁ解りません。」  ...
  • 長門有希の憂鬱II 一章
    一 章      Illustration どこここ    そろそろ梅でも咲こうかというのに、いっこうに気温が上がらない。上がらないどころか意表をついたように雪を降らせる気まぐれの低気圧も、シャミセン並みに寒がりの俺をいじめたくてしょうがないようだ。朝目覚ましが鳴ると、いっそのこと学校を休んでしまおうかと考えるのが日課になっている。俺は窒息しそうなくらいにマフラーをぐるぐる巻きにして家を出た。    結果はともあれ本命も滑り止めも無事に受験が終わって、学校では三年生をほとんど見かけなくなった。生徒の三分の一がいなくなり、校舎の一部がガランとして静まり返っている。一年生も二年生も残すところ、憂鬱な期末試験だけだ。三年生でも朝比奈さんだけは、SOS団のためにまじめに通ってきているようだが。    その日の朝、教室に入ると俺の席の後ろで机につっぷしているやつがいた。ハルヒが珍しくふさぎこん...
  • wish upon a star 一章
    一章   何かが変ね……。 あたしが部室のドアを開ける、いつものように本を読む有希、二人でボードゲームに熱中する古泉くんとキョン。 ここまではいつものみんな。ただ一人、みくるちゃんの様子が異常。 ボードゲームをするキョンの横に座り、盤面ではなくキョンの顔をじーっと見ている。 たまにキョンが気にして目が合うと、頬を赤らめて体をよじる。前から不思議な娘だったけど……おかしいわ。 「みくるちゃんお茶っ!」 「あ、す、涼宮さんこんにちわぁっ!いま、お茶淹れますぅっ!」 ……あたしは3分前くらいからずっと居たんだけどね。 いつもは、ムカつくけどキョンがみくるちゃんを眺めてるから、なんか入れ替わったみたいねぇ……ま、あたしには関係無いけどさ。 あたしは団長席に座り、パソコンを起動させた。 ディスプレイ越しに二人の様子を探る。 どうやら古泉くんが考えてる間にゴニョゴニョと内緒話をしてるみたい。なんかムカ...
  • 台風一過のハレの日に:第二章
    『台風一過のハレの日に』       ○ 第二章:親睦   「えー、それではみなさん! これよりSOS団主催、鶴屋杯争奪、こゆきちゃん歓迎大ボウリング大会を開催いたします!」 すっくと椅子の上に仁王立ちし、いつものように腰に手を当てて高らかに宣言するハルヒ。単なる開会宣言にしては態度がでかいが、気にするのも無駄なことだ。 「まずは、SOS団名誉顧問、鶴屋さんに開会のご挨拶を頂きたいと思います。鶴屋さん、どーぞ!!」 「いやー、ただいまご紹介いただいた、鶴屋でっす! 硬い挨拶は抜きだ、みんな、こゆきちゃんとの再会を祝って、めっがっさ楽しむっさ!」 この二人に任せたら、また南の海上でうろついている次の台風でさえ遥か彼方に飛んでいってしまう、そんな勢いだ。 昨日のカレーパーティで決まったように、今日はこゆきの歓迎のためのボウリング大会が開催されている。 そのこゆきと長門はほぼお揃いの格好をして鶴...
  • 第二章 彼、登場。
    長門ふたり   第二章 彼、登場。   翌朝。僕は憂鬱な気持ちで学校へと続く坂道を上がっていた。 昨夜は機関上層部に連絡をとり、対応を打診したが、とりえあず、 様子を見るように、という以上の指示は無かった。平たく言うと 「良きに計らえ」ってことだろう。僕の本来の任務は涼宮さんの力の 監視であって、宇宙人がらみの三角関係(いや、厳密には 登場人物は彼と長門さんの二人だから、これは二角関係だろうか?)の 清算ではない。とんでもないことに巻き込まれてしまった。 全ての原因は彼にあるのだから、彼が全てを解決すればいいのだ。 とここまで考えて、彼はいつも同じ立場に置かれていると言うことに気づいた。 全ての原因は涼宮さんにある。僕と長門さんと朝比奈さんには任務がある。 だが、彼は?たまたま、涼宮さんに選ばれたという以上の理由は無い。 「何で俺なんだ」と自問しない日はきっと無いだろう。他人の 立場とい...
  • 未来からのエージェント 第一部 朝比奈みくるの真実
    未来からのエージェント 第一部 朝比奈みくるの真実 プロローグ 時間とは不思議なものだ。かつて、とある科学者はこういった。 「時間について聞かれなければわたしは知っている。聞かれるとわたしは知らない」 実のところ、時間についての理解がそれほど進んだとは言えない。それは、 時間旅行が可能になった今の時代でもそう変わらない。 あの時間平面に常駐的な観察者を派遣することには多くの議論もあり、 反対も多かった。派遣が決した後も人選は難航した。 派遣するエージェントをどの様な人物にすべきか。 徹底的に優秀なエリートを送るという選択もあった。が、実際に時間管理局がした 選択は徹底的に無垢な観察者を送る、という決定だった。 人間にはミスがつき物だった。だが、何も知らなければ、真実をもらすこともなく、 間違った行動もとりようが無かった。実際、彼女が「禁則事項」として 教えられている『秘密』の殆どが嘘...
  • 人生最悪の四日間 第一章 ~デジャヴと乱闘~
    二日目 午後五時。部室前にて。 『三名欠席により 今日の活動は休み』 という貼り紙を見たのは放課後のことだった。 ハルヒが風邪で欠席しているのは知っていたが、古泉まで休みか? 珍しいな まず、俺がこの貼り紙を見て思ったことは一つ。 もう、殺人現場を目撃するのは嫌だ。 もしかしたら、また何か巻き込まれるかもしれないな。なんてレベルじゃない。 少しでも変わったことがあったら、俺が俺を殺してしまう現場を俺が目撃する前兆だ。 このドアに貼られた貼り紙を剥がして、そのままさっさと帰ろうとしたときだった。 部室の中から人の気配を感じた。気配だけだが、明らかにドアの向こうには誰かがいるのだ。 それに物音もする。足音のような音。おそらく一人だ。 団員以外にこんな部屋に入るような物好きな人間はこの世どころかあの世にも存在しないので、おそらく長門だろう。 というか、長門であってくれ。 一人でいつものように読...
  • 涼宮ハルヒの団結 第一章
     そして翌日。  結局神になれなかった俺は、朝からハルヒの苦言を雨あられと背中に浴びる覚悟を決め、登校中も土砂降りの酸性雨に見舞われたために既に辛酸をなめるような気持ちでいた。  そして下駄箱でも憂き目に合いながら教室へ辿り着き自分の席へと腰を下ろすと、ハルヒから他の意味でぎくりとさせられる言葉を掛けられることとなった。 「ねえキョン」 「……何だ? ポエムなら、スマンがまだ少ししか出来ちゃいないぞ」  嘘をついた俺に、 「それは急いで仕上げなさいよね。学校は明日までなんだから。どうしても出来ないってんなら、土曜の不思議探検までなら待ったげる」  なんて、二十段の跳び箱が十九段になった所で無茶な指示に変わりゃしないぜ。  俺は失敗が怖くて動けないといった根性はないつもりだが、派手に転ぶとわかっていて「やります」とは到底言えず、そして当然の如く「出来ません」など言えるわけもなく、「ああ、あ...
  • キョンとキョン 一章
    雨の降りそうな金曜日。俺はいつも通りとも言う平な日々をのうのうと暮らしている。 「はい、どうぞ」 にっこり微笑んでお茶を差し出してくれる朝比奈さん。ありがとうございます。相変わらずの甘い舌ッ足らずですね。とは言わないが。 「いえいえ」 ドキッとするような笑顔を見せて古泉と長門にもお茶を渡して歩き出した。 一口啜って一息。やっぱり美味いよなぁ。いっそ商標登録でもしてこのお茶売れるんじゃないか? ロリ巨乳のメイドが入れた茶、なんつってね。安もんのお茶でも倍で売れると思うんだがな。 「どうしました?手詰まりですか?」 正面に座って五目並べの相手をしているのは古泉。と言うかこいつ以外は誰も相手をしてくれないわけなんだが。 あと卓上ゲームを持ちかけてくるのがこいつだけなわけだ。 「んな訳ねーだろ」 お前に負けを認めるなんてありえないぞ。さっきから五目並べようとするばかりで俺の妨害が疎かだ。そこら辺に...
  • 涼宮ハルヒの夢幻 第二章
      第二章     俺の安らかな眠りを妨げる者は誰だ。 目覚まし時計が朝を告げる音を軽やかに鳴らす。 朝特有の倦怠感と思考の低下は、俺の1日の始まりである。 不機嫌な状態で居間へ下り、テレビを観てハッとする。 「8 45」 あれれー? 急いで洗顔を済ませ、歯を磨き、着替えて愛車にまたがる。今日は朝飯抜きだ。 「待て。」 「あ?」 振り返ると1人の男がいた。俺の全神経が集中する。この自嘲的な笑みが憎たらしい。 こいつはいつぞやの俺と朝比奈さんの邪魔をした未来人っぽい奴。 「生憎、俺は男に興味は無いのだが。」 「忠告しに来ただけだ。死にたくないなら、今日は行くな。」 「お前を信用出来ない。お前は俺の敵だろ。」 「知るか。俺の敵は朝比奈みくるだ。」 「朝比奈さんは、俺の見方だ。その敵は俺の敵でもある。」 「まあいいさ。規定事項で近日中にお前は死ぬことになっている。」   ますます嫌な事言うな。「...
  • Am I father ? 第三章
      3、   時刻はお昼ちょっと前。 ふう・・・。やっと我が家に帰ってこれた・・・。 俺は今、クーラーの効いたリビングで麦茶を飲みつつソファーで休んでいる。 朝倉(小)は俺の隣で約束していた例のアイスをちびちび食っていて、長門はとてとてとどこかへ行ってしまった。買い物だとか言ってたが、何を買いに行ったのやら。 それにしても、家に帰るのってこんなに大変だったっけ? 朝倉(小)がおとーさんおかーさん言いまくるおかげで、道行く奥さん方の視線がもの凄い勢いで背中やら顔やらに突き刺さってきた。某有名ゲームで言うなら、きゅうしょにあたった。こうかはばつぐんだ、といった感じだな。 視線だけならまだいい。時間が時間だったので人通りもそこそこあったのだ。 だからだ。あいつが俺らのことを変に言うたびにひそひそと話をする姿が目に入る。 頼むからこの噂だけはハルヒにまで伝わらないでくれ! もし奴が知ったら世界と俺...
  • 人生最悪の三日間 第一章 ~オレ殺人事件~
      一日目   午後五時。部室前にて。 『三名欠席により 今日の活動は休みです。 by古泉』 という貼り紙を見たのは放課後のことだった。 ハルヒが風邪で欠席しているのは知っていたが、長門まで風邪か? 怪しいな。 インターフェースはインフルエンザウイルスも倒せるんじゃないか? もしかしたら、また何か巻き込まれるかもしれないな。 少しでも変わったことがあったら、俺が厄介ごとに巻き込まれる前兆だ。 このドアに貼られた貼り紙を剥がして、そのままさっさと帰ろうとしたときだった。 部室の中から人の気配を感じた。気配だけだが、明らかにドアの向こうには誰かがいるのだ。 それに物音もする。足音のような音。おそらく一人だ。 団員以外にこんな部屋に入るような物好きな人間はこの世どころかあの世にも存在しないので、おそらく古泉だろう。 それにしても一人でなにやってるんだ? オセロか? 一人で? 寂しいな。 本来二...
  • 絡まった糸、繋がっている想い 第一章
    *1* まず、何から話せばいいのだろうか… ことの始まりは2ヶ月前だった。 おれはいつものように、掃除が終わると部室に向かって歩いていた。 ハルヒは掃除当番ではなかったので部室にいるものだと思っていた。 おれはいつも通り部室に着くと扉をノックした。 トントン ノックしたが声が聞こえない… おれはおそるおそる部屋に入った。 すると中にいたのは長門だけだった。 キョン「あれ?長門だけか?」 すると長門が 長門「涼宮ハルヒからあなたに伝言を預かっている」 長門は読んでいるぶ厚いSF本を閉じた。 長門「今日は…………休み」 キョン「………休み?」 長門「そう」 呟くようにそういうと本を鞄にしまった。 キョン「朝比奈さんと古泉は……?」 長門「ふたりはあなたが来るまえに来てこのことを伝えた」 キョン「そうか」 長門「だから…休み」 そういい終わると長門とは扉を開け出て行った。 いま思えば、こ...
  • 遠距離恋愛 第二十一章 ちから
    第二十一章 ちから   既定の高度に達したのか、ビジネスジェットは水平飛行に入った。 ……つーかさ。普通の旅客機が、どれほど乗客に気を遣って飛んでいるかが分かったぜ。小型の旅客機は大型旅客機に比べて加速・上昇性に優れ、安定性に劣るってのは聞いたことがあるが、それには大いに同意する。まるで映画の戦闘機のような機動をしながら飛ぶ旅客機ってのは、はっきり言って乗客にとっては悪夢以外の何者でもない。それが身に染みて分かった気がする。   「……大丈夫?」 俺の隣には長門が居て、グロッキーになった俺の顔を覗き込んでいた。 あー、何とかな。 「そう。現地到着までは約1時間。その間に私の話を聞いて」 そ、そうだな。とりあえず、事情が分からんと何とも出来んからな。だが、今俺はこの状態だ。出来れば分かり易く頼む。 「……分かった。努力する」 そう言った長門は、しばらく隣で虚空を見つめて何か呟いていたが、再...
  • 遠距離恋愛 第二章 それぞれの思惑
    二章 それぞれの思惑   一通りの説明を聞き終えた古泉は、いつもの0円スマイルを3割減の顔で首肯した。 「そうですか、家庭の事情というわけですね……貴方は宜しいのですか?」 「だから、ここで相談しているんじゃないか。お前らなら、何とかしてくれるんじゃないかと思ってな」 「なるほど、それは常識的な判断です……ふむ……分かりました。少し裏を当たってみましょう。貴方が『下宿できる』『格安な』物件の探査も含めて調べてみますよ」 「手間を掛けてすまない。俺も生まれ育ったこの町から、今更全く知らない土地に引っ越しなんかしたくないし、何よりSOS団を抜けたくはない」   ほう、という表情で古泉が感嘆の言葉を出す。 「……驚きました。貴方がそれほどこのSOS団に……いや、この環境に執着していたとは」 「この2年間色々あったし、おそらくこれからも一生忘れられないような事が起きるだろうしな。それが俺だけ抜...
  • 七夕シンドローム 第一章
     その日、坂道を登る俺を取り巻く空気は暑かった。  最近だんだん暑くなってきたなという事は感じていたが、なにもこんな急に気温を上昇させることはあるまい。慣れない暑さのおかげでじわりと額に汗が浮き、俺は急に日本列島に躍り出た暖気に恨み事を漏らすことも出来ずに黙々と学校への道を辿っていた。 「よう、キョン。今日はあっちいなー!」  後ろから余計気温を上昇させそうな声が降りかかってくる。振り返るまでもない、谷口だ。 「だんだん暑くなってきてるとは思ってたんだがな、こうもいきなり暑くなるとは思わなかったぜ」 「うるせえ。暑い暑い連呼すんな。余計暑く感じるだろ」  視線もよこざすにそう返す。しかし谷口は気にしたふうも無く、 「まーそんなこと言うなって。それよりキョン、聞いたか?」 「何がだ。俺はエスパーじゃないんだから、目的語ぐらいちゃんと言え」 「テストだよ、それも数学の! 抜き打ちだったんだが...
  • キョンとキョン 二章
    さて、区切りが良いからここで俺の気の動転っぷりを見てもらおう。 「なっなんだあれ!シッCMで見た!見たけど映画のあれはフィクションだがなんで登場人物、地名は全てノンフィクションな出来事が超一般Peopleな俺の目の前で起こってんだ!?」 どうだこの素晴らしい狂乱ぶりは。正直言ってあのグレムルらしきものは気持ち悪い。蛇腹でヌメヌメ光ってて内臓みたいなのが薄く透けて見えて… 「あー……とりあえず落ち着け俺。いいから落ち着け」 俺に慰められても落ち着くわけないだろうが! 「だろうな。それ俺も言った」 「ど、どうしろって…うぐっげほっげほっうぇ゛ええええ!」 思わず吐いちまった俺。ここまでテンパるのは初体験だ。処女だ処女。俺の胃液が貫通させました。いや本当におめでたいな。いろんな意味で。 「それおれもやった」 そんなことは聞いてないんだが?とりあえず俺は落ち着こう。お前は説明をしてくれ。 「まず...
  • 古泉一樹の誤算 一 章
      一 章      日曜日だというのに朝っぱらから電話がかかってきた。 「お休みのところすいません。早急にご相談したいことがありまして」古泉だった。 「なんだ。日曜くらいゆっくり寝かせろ」 「実は……その……」 ボソボソ言うだけでよく聞こえない。口篭もる古泉なんてらしくない。 「なにがあったんだ、言ってみろ」 俺はもう、たいがいのことでは驚かない。 「涼宮さんと……なんです」 「なんだぁ?聞こえねーぞ」 「だからですね!涼宮さんとヤッってしまったんですよ!!」 そのとき俺は、数秒間だけ硬直し、次の数分を爆笑の渦に巻き込まれて一気に目がさめた。腹を抱えて笑い出すのを抑えきれず、電話のマイクの穴をやっとの思いで押さえた。 「もしもし、聞いてますか」 「ああ、き、聞いてる、聞いてるとも」胃が痙攣するかと思うくらい腹がよじれた。 「ずいぶんと大げさに笑ってらっしゃいますね」 だって、これが...
  • 冬風のマーチ 第一章
     2月も下旬から3月にさしかかろうとしていた。 いつもはやる気のなさそうに飛ばされていた枯れ葉も、冷えた風が嫌で有給をとったのだろうか。 舞う葉すらなくなったと思えるくらいの強い風が、この辺り一帯を寒さで包んでいる。 俺は暖かい季節を待ち遠しく思えながらも、まだ続くと思われるこの寒さに非常に深いため息を漏らしていた。 まあ、俺がため息を漏らしていたのは、勿論そんなセンチメンタルな理由だけじゃない。そんなに繊細でもないと我ながら思っているさ。 そう、その理由の一つが目の前で繰り広げられている光景だ。当然、いつものことである。 「あんたも参加すんのよ、いいわね!」 毎度お馴染み涼宮ハルヒが教室で会話をしていた。 というかこの怒鳴り声は会話と呼ぶに値するのであろうか。俺ならば恐喝と答えるだろう。そのマシンガントークはまさに弾の尽きることなど知らぬが如しだ。 だがしかし、いつもと違う点がある。それ...
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