<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" ?><rdf:RDF 
  xmlns="http://purl.org/rss/1.0/"
  xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
  xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom"
  xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
  xml:lang="ja">
  <channel rdf:about="http://w.atwiki.jp/heavenslink/">
    <title>Heaven&#039;s Link ! @ wiki</title>
    <link>http://w.atwiki.jp/heavenslink/</link>
    <atom:link href="https://w.atwiki.jp/heavenslink/rss10.xml" rel="self" type="application/rss+xml" />
    <atom:link rel="hub" href="https://pubsubhubbub.appspot.com" />
    <description>Heaven&#039;s Link ! @ wiki</description>

    <dc:language>ja</dc:language>
    <dc:date>2008-09-16T21:29:25+09:00</dc:date>
    <utime>1221568165</utime>

    <items>
      <rdf:Seq>
                <rdf:li rdf:resource="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/2.html" />
                <rdf:li rdf:resource="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/18.html" />
                <rdf:li rdf:resource="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/15.html" />
                <rdf:li rdf:resource="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/34.html" />
                <rdf:li rdf:resource="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/12.html" />
                <rdf:li rdf:resource="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/1.html" />
                <rdf:li rdf:resource="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/30.html" />
                <rdf:li rdf:resource="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/11.html" />
                <rdf:li rdf:resource="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/33.html" />
                <rdf:li rdf:resource="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/32.html" />
              </rdf:Seq>
    </items>
	
		
    
  </channel>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/2.html">
    <title>メニュー</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/2.html</link>
    <description>
      **メニュー
-[[作品一覧&gt;作品一覧]]
-[[登場人物&gt;登場人物]]
-[[用語解説&gt;用語解説]]
-[[既刊情報&gt;既刊情報]]

**おまけ
-[[イラスト&gt;イラスト]]

**リンク
-[[本家あずきめし&gt;&gt;http://adzuki.main.jp/]]
-[[旧サイト&gt;&gt;http://heavenslink.client.jp/]]


//**更新履歴
//#recent(20)



&amp;link_editmenu(text=ここを編集)    </description>
    <dc:date>2008-09-16T21:29:25+09:00</dc:date>
    <utime>1221568165</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/18.html">
    <title>用語解説</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/18.html</link>
    <description>
      ヘヴンズリンク内で登場する用語についてまとめています。
A50音順で随時追加予定。



----
#right(){alphabet}


**Fブロック支部
ヘヴンズ・アソシエイション本社ビルと同じ区域に位置する支部。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
----
#right(){ア行}

**アビリティ
異種族が潜在的に持つ能力のこと。
種類や出来ること等は様々で、効力も個人差がある。

**古代遺物（アンティーク）
異種族と同時期に現れたとされている時空のゆがみの産物。

**エージェント
ヘヴンズやヘルズに勤務する社員のこと。主に捜査・事件の処理などを直接遂行する役目を担う。

**エンゼルハイツ
Aブロックにあるおんぼろアパート。リセとキサラの居住地。
リセは二〇三号室、キサラは二〇二号室である。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
----
#right(){カ行}

**ガーディアン
ヘヴンズやヘルズに勤務する社員のこと。主にエージェントの補佐やデスクワークを行う。

#right(){
&amp;link_up(▲)
}
----
#right(){サ行}

**審判の日（しんぱんのひ）
異種族が地球に現れたと世界的に発表された日。

**二種混血（セカンドレイス）
天使族と地球人、または悪魔族と地球人など、二種族の血筋を受け継ぐ異種族。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
----
#right(){タ行}

**特殊警察機関（とくしゅけいさつきかん）
ヘヴンズ・アソシエイションやヘルズ・アソシエイションのこと。
国家という公的機関から設立されたわけではなく、異種族間から生まれた対異種族の警察機関。

**異種族（トライブ）
審判の日に地球へ降り立った異世界人。背中に生えていた翼が、地球人の想像する「天使」や「悪魔」に似ていたことから「天使族」「悪魔族」と分けて呼ばれている。
特殊な能力（アビリティ）を生まれ持つといったことを除けば生態系は一般的な地球人とほとんど変わらない。

#right(){
&amp;link_up(▲)
}
----
#right(){ナ行}
#right(){ハ行}

**ヘヴンズ・アソシエイション
正式名称は株式特殊警察機関ヘヴンズ・アソシエイション。俗称ヘヴンズ。
主に異種族の関わる犯罪事件等を取り締まる特殊警察機関。あくまで株式結社であるが、その活動においての権限は極めて大きい。ヘヴンズは天使族の血縁者のみが採用され、対するヘルズ・アソシエイションでは悪魔族の血縁者のみが採用される。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
----
#right(){マ行}

**みやび
甘味処。和菓子を販売しており、喫茶スペースもある。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
----
#right(){ヤ行}
#right(){ラ行}
#right(){ワ行}
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
----    </description>
    <dc:date>2008-05-09T22:48:56+09:00</dc:date>
    <utime>1210340936</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/15.html">
    <title>既刊情報</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/15.html</link>
    <description>
      Heaven&#039;s Link ! に関する発行本のお知らせとイベント参加予定など。

----

今後のイベント参加予定/なし
今後の新刊予定
-assortment ２
-Heaven&#039;s Link !　２

予定は未定！

----


**新刊

#image(hl_1.jpg)

&amp;bold(){Heaven&#039;s Link! １}
A5 40P　本文：レーザープリンタ　
2008年5月5日　
￥100

[[試し読みはこちらから&gt;HL（１）　試し読み]]

これまで公開していたヘヴンズリンク本編をリライトした、新しい視点でのヘヴンズリンク本編。内容が大幅に変更されています。
webで公開している旧バージョンと比べてみるといろんな意味で楽しいかもしれません。作者としてはある意味地獄ですが。



**既刊

#image(hl_assortment_1.jpg)

&amp;bold(){Heaven&#039;s Link!　assortment}
A5 36P　表紙：インクジェットプリンタ　本文：レーザープリンタ　
2008年2月発行　
￥100

[[試し読みはこちらから&gt;assortment　試し読み]]

ヘヴンズリンクの本編より３年後のお話詰め合わせ。
トワ×リセだったり（？）ロード×リセだったり（？）。
書き下ろしはバレンタインのお話。概ねリセが苦労する小説本です。

「受難編」「悪い虫編」「ショコラカルマ」（書き下ろし）収録。





----    </description>
    <dc:date>2008-05-07T13:00:38+09:00</dc:date>
    <utime>1210132838</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/34.html">
    <title>HL（１）　試し読み</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/34.html</link>
    <description>
      **Heaven&#039;s Link !　１　試し読み

#blockquote(){
「リセ、君に耳寄りな仕事がある」
　オフィスビルの最上階、白で統一されたインテリアの並ぶ一室で、その男は突然リセにそう切り出した。二日前のことだ。
「耳寄り？」
「ああ。耳寄りだ」
　彼は中年とは言い難いが、もう若すぎはしない三十歳前後の風貌をしている。
　肩下までの長髪は黒々とし、サングラス越しに覗く切れ目の双眸は、鋭いブルーだった。
　スーツは白。ネクタイは黒。
　上から下まで、瞳さえ除けば限りなくモノクロに近い男である。
　その背中からは、純白の翼が生えていた。天使族の血が流れている証拠である。
「我らがヘヴンズ・アソシエイションＦブロック支部にとある司令が届いたんだが」
　両手の指を組んでデスクに肘をつく彼は、それを口元に当てながらまっすぐリセを見つめていた。
　丁度、『地球上における異種族の生存率論』というタイトルの本から引用文を探していたリセは、その男の視線にちらりとだけ振り向く。
「……司令？　まさかそれは俺にですか？」
「君以外に誰か心当たりがあるのか？」
「いえ。俺しかいないのはわかってます」
　リセはがらんとした室内を見渡した。
　この部屋の壁やデスク、プランターまでが白一色でまとめられている。
　生物といえば、リセと彼の上司であるクァンヴァント・ラーデＦブロック支部長のみだ。
　二人は唯一白以外の存在である。　　
　尤もクァンヴァントの格好は、下手をすれば色白も手伝って背景に溶け込みそうだった。
　プランターの中にある造花の緑のほうがいくらか目立っている。
「そうだ。このヘヴンズＦブロック支部に、エージェントは君しかいない」
「繰り返さなくてもわかっています」
　リセは『地球上における異種族の生存率論』を閉じた。
「Ｆブロックは天使族や悪魔族による犯罪が比較的多い地域ですから、エージェントやガーディアンは常に出回ってて部署に手が空いてる者はいなくなる―――ってのはもっぱら言い訳で、本当はただ単に人員不足なんですよね、うち」
「全くその通りだ」
「今述べた事で事実なのは、Ｆブロックは異種族の犯罪が比較的多いってトコくらいですね」
「――と、いうわけなのだ」
「何が――と、いうわけなのかはこの際黙ってるとして……『耳寄りな仕事』の内容を聞いてもいいですか？　と言う前に、もう聞かされそうな状態ですけど」
　クァンヴァントは、いつのまにかリセの手元にあった『地球上における異種族の生存率論』をその手に包み込んでいた。
　リセと彼の座っているデスクは二メートル程離れている。
　たかが二メートル、されど二メートル。移動するのが面倒だったのか、彼はまるで動かなかった。しかしリセの手にしていた本はクァンヴァントの元にある。
　引き付け（アトラクト）と呼ばれる一種の能力（アビリティ）だ。
　対象を空間移動させ、自分のもとへ引き寄せることができる。
　それまで本のハードカバーをいじりながら話半分に聞いていたリセの意識を集中させたかったのだろう。引き寄せた本を自分のデスクに置くと、クァンヴァントはまた肘をついて、先ほどと同じ格好をしながら静かに話し始めた。
「ヘヴンズ本部に、一般からのタレコミがあったらしい」
「はあ」
「お抱えの情報屋からということで、信憑性も高い」
「それで？」
「以前から本部が危惧していた、天使族と悪魔族の血が四分の一ずつ流れている混血児の存在が明確になったそうだ」
　リセは、クァンヴァントの言葉を反芻した。
「天使族と悪魔族の血が四分の一ずつ流れている混血児？」
「そうだ」
「……二分の一ずつ、なら……そういう種族も存在してるのは知ってますけど」
「早い話が……天使族と地球人の混血児と、悪魔族と地球人の混血児との間に生まれた子供だ。実は今までも存在の確認は取れていた。ただ、ここにきて彼らの存在を危惧する者が増えた」
「危惧する？　何故ですか？」
「混血だからだ」
　クァンヴァントは目を細めたようだった。
「審判の日から――つまり、地球人と異種族の共存が始まってから六十年以上が経つ。今やただの混血児など驚くべき存在ではない。そうだな？」
　リセは頷いた。
　自らこそがその代表たる存在だ。
　天使族と地球人との混血。もしくは、悪魔族と地球人との混血。俗に二種混血と呼ばれるが、この地球上でそのような生まれの人間は珍しくない。
「過去、二種族間の混血にも問題はあったがそう大したものではなかった。しかし今回のケースは話が別だ」
「三種族での混血には、問題が？」
「さあ、あるかないかは、これからだが」
　クァンヴァントが、『地球上における異種族の生存率論』を掲げた。
　瞬間、本が浮いた。かと思えば猛スピードでリセに迫る。二度目のアトラクトだ。
　胸元に飛んできたそれに激突されそうなのを間一髪で受け止め、その衝撃でリセは咽た。
「地球人にはなく、天使族や悪魔族……異種族の血を生まれ持つ者だけの特別な能力（アビリティ）。その初歩中の初歩がコレだ。何の対処もできない一般人には、それだけでも脅威だろうな」
「何が言いたいんですか？」
　リセの文句に、クァンヴァントは椅子から立ち上がった。
　オフィスの巨大なガラスの窓を背にし、床へ影を落とす。
「天使族の遺伝子、悪魔族の遺伝子、そして地球人の遺伝子。三種混血の彼らはその三つを備え持つ。未知なる存在だ」
「……ですね」
　まだ咽ながら、リセはそう相槌を打った。
「ただでさえ一般人を不安にさせるこの能力だ。二種混血である君でもアトラクト以上のものを楽々と扱える。それが三種になれば、遺伝子変異でそれ以上の能力を得ているかもしれない」
「……理論はわかりますけど」
「我々は彼らを見つけ、監視しなければならないだろう。彼らが凶悪犯罪を起こさないとは限らない。反対に、理不尽な危機に陥れられるという可能性もあるからだ」
「……どうせまた建前なんですね」
「そうだな……保護というより、優先したいのは捕獲だ」
「ヘルズは何か言ってます？　三種の混血児なんですから、悪魔族も関係してきますよね。俺達ヘヴンズだけが手をだせば、管轄の不当独占で反論されると思いますけど」
「今のところ、この件に関してヘルズからの意見書は提出されていない」
「ヘヴンズが先んじたってわけですか」
「間違えるな、先んじるのだ。これからな」
　クァンヴァントが口元の筋肉を緩めた
「さて、コバヤシ・リセ＝エージェント。君にその混血児達の捜索を命じる」
「ちょっと待ってください！　俺がやるんですか？」
「話は聞いただろう。君への指令だ」
「ええ、聞きました。聞きましたとも。だけど無謀すぎます！　どうもその混血児ってのは一人じゃありませんよね？　複数のターゲットを、俺一人でというのは合理的じゃありません」
「君でなければ誰がやるんだ？　この支部には……」
「それはもう結構です！　いつも通り、異種族による凶悪犯罪を阻止してこいとか、そういう仕事なら何も言わずに引き受けます。それがヘヴンズのエージェントとして適切な仕事だし。……けど、明らかに下っ端な俺に、そんな危険人物を捕獲しろって、本部の意図は何なんです？　耳寄りな箇所もありませんでしたし！」
　リセは言いながら、実際に胸焼けがしていた。
　本部の連中を思い出す。幹部の人間と会話をしたことは、実際数えるほどしかない。
　だがあの者達の虫唾の走るような思考にはうんざりしていた。嫌われているらしいことも随分前から感じてはいた。思い出すといい気分にはなれない。
「下っ端か。まぁ、間違ってはいない」
　しばらくして、クァンヴァントが静かに言った。
「だが組織とはそういうものだ」
　そしてさらに付け加える。
「たとえ私がこの司令をＡブロック支部から強奪してきたからといって……司令には変わりない」
　
　一瞬、場が凍ったのを、発言した本人も感じただろう。リセが出したのは搾りつくしたような声だった。

「……司令、されたんじゃなかったんですか？」
　先ほどのセリフは己が聞き間違えたのではないかと疑ったが、クァンヴァントの読み取れない表情が答えを物語っていた。
　サングラスはそのブルーの瞳を隠し、黒々と光る。
「本部からの司令だと言ったはずだが」
「でも強奪したんですね？　Ａブロックから」
「……寒くはないか？　リセ」
「はぁ？」
「エアコン、去年から壊れているな？」
「ええ。直したいって前から言ってましたね」
「金さえあればなんとかなるんだが」
「……まさか……支部経費削減されたんですか？」
「エアコンのためだリセ。いくら私と君しかいないこのＦブロックとはいえ、この大役を果たした暁には本部に認められるだろう」
「いや、エアコンはどーでもいーです」
「そうか。ならば目標のないまま仕事をするのはつらいだろうが、頑張ってくれ」
　リセはそうしてやっと上司の顔をまともに見た。彼は楽しそうに笑っていた。　
「…………つくづくあなたには閉口します、クァンヴァント部長」

}

&amp;link_back()





----    </description>
    <dc:date>2008-05-07T12:46:02+09:00</dc:date>
    <utime>1210131962</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/12.html">
    <title>作品一覧</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/12.html</link>
    <description>
      ***現在公開している小説一覧

作品を新規に発表するたびに順次更新予定。
上から順番にたどることによって、ヘヴンズリンク内での時間の流れ通りに読んでいただけます。
#right(){
&amp;link_anchor(補足){補足}
}


オススメは「まず本編（[[Heaven&#039;s Link !（2002年）&gt;Heavens Link ! （旧）　act.1]]）→それから好きなタイトル直感」
とはいえ、一話完結型なのでどこから読んでも大丈夫です。

本編リライト（セルフカバー）版を2008年5月に刊行しました。
詳細は[[既刊情報&gt;既刊情報]]からどうぞ。イベント・発行本案内もこちらです。

最新のヘヴンズリンク本編はリライト版という位置づけになりますが、旧本編を軸にしていますので大まかな筋に違いはありません。

----
#right(){本編より2年前}

***[[スイカわりはおことわり&gt;スイカわりはおことわり（前）]]（2004年）
「危険なスイカ割り」より改題

***[[チャイナタウンで休日を&gt;チャイナタウンで休日を（前）]]（2004年）

***[[幽霊屋敷においでませ&gt;幽霊屋敷においでませ（１）]]（2004年）
「危険な幽霊屋敷」より改題

***[[不器用なたまご酒&gt;不器用なたまご酒（前）]]（2004年）

----
***Heaven&#039;s Link ! 
リライト続行中。第1巻を2008年5月に刊行しました。
詳細は[[既刊情報&gt;既刊情報]]からどうぞ。イベント・発行本案内もこちらです。

#right(){
***[[Heaven&#039;s Link !（2002年）&gt;Heavens Link ! （旧）　act.1]]
ヘヴンズリンク本編。旧バージョン。
会員制所属サークル会報で発表・連載したもの。
現在は多少設定が異なっていますが、お話の流れは同じです。
}

----
#right(){本編より３年以後}

***[[Don&#039;t CUT off ！&gt;Don&#039;t CUT off ！]]（2005年10月）
みつあみ番外編。

***[[Are you READY ?　&gt;Are you READY？（１）]]（2005年1月）
みつあみ番外編。
会員制サークル会報で発表

***受難編（2008年2月）
assortmentに収録

***悪い虫編（2008年2月）
assortmentに収録

***ショコラカルマ（2008年2月）
assortmentに収録

----
[[assortment　試し読み&gt;assortment　試し読み]]
----


&amp;aname(補足,option=nolink){▼補足}

+ネット公開後、同人誌として刊行した作品はその旨収録表記をしています。
+今の所、原則的にはWEB発表したものを刊行しても、削除しないように心がけています。
+ネット公開せずに刊行した作品については、ネット掲載の予定はありません。

-テンプレは作品名（発表年月日等の補足）
-発表年月日は書いた人が公式に「発表した」と定義する年月日であって、作品の中の時間や創作した日付ではありません。

#right(){&amp;link_back()}




----    </description>
    <dc:date>2008-05-07T12:31:21+09:00</dc:date>
    <utime>1210131081</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/1.html">
    <title>ヘヴンズリンクとは</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/1.html</link>
    <description>
      #center(){

生真面目な主人公とお気楽極楽がとりえの天然娘、
そして唯我独尊を突っ走る青年、さらには無愛想な美少女が繰り広げる
地上の捕り物・どたばたコメディ。

}

創作中心で活動している作者が2002年1月に所属しているサークルで書いた小説から始まりました。
ライトノベル系、読み物中心の作品です。
WEB上で観覧可能な作品は[[作品一覧&gt;作品一覧]]からどうぞ。

その他の詳しい情報は[[登場人物&gt;登場人物]]や[[用語解説&gt;用語解説]]等で観覧できます。


-2004年冬より番外編を含め、ネット上での公開を始めました。
-2008年4月より公開を@wikiに変更。





**author

藍（らん）
創作中心で活動しています。
音声劇団「ラヂオグリーン」にて脚本を担当しています。
&amp;blanklink(){http://radiogreen.ciao.jp/}

#right(){
&amp;link_up(▲)
}
----    </description>
    <dc:date>2008-05-07T12:25:45+09:00</dc:date>
    <utime>1210130745</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/30.html">
    <title>Heavens Link ! （旧）　act.1</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/30.html</link>
    <description>
      　それは、どこからどう見ても、ぼろアパートだった。
　場所は都市区を少し離れたところにある路地。
　腐敗しかけた痛々しい錆鉄の柱に支えられて、トタン板の屋根からは雨漏りがしてそうな―――そんな感じの、アパート。
　その立地条件は、悪くないといえる。
　近くに商店街、駅も電車の音がうるさくない程度の距離にあったし、植込の緑も良い雰囲気でアパートを囲っている。
　ただし、それまで自分が居を構えていた都市区に比べると、ショッピングビルやモノレールステーションといった近代的なものは存在しない。
　大分不便さを感じるが、仕方ないだろう。

　―――ぼろアパート、《エンゼル・ハイツ》、二〇四号室。

　とても見た目、そんなふうに呼べやしないだろう新しい自分の部屋の玄関の前で、彼は短く嘆息した。
　背後、腰辺りまでの高さしかない柵の向こうから、サンサンと太陽の光が優しく降り注いでいる。
　まったく穏やかな午後だ。
　少年……オレンジがかった茶髪の毛と、白いブラウス。少し市販のモノとは違うデザインで、ただのブラウスではない。その下に履いているのは深いグレイのズボン。
　名は、梨世。小林梨世（こばやしりせ）。
　音の響きから、よく性別を間違えられるのだが、彼は生まれたときかられっきとした日本男児であった。
　年齢は十八になったというのに、まだあどけない面立ちだ。
　もとから童顔なのはコンプレックスだったが、こればっかりはどうしようもない。
　表情はどこかひねくれたような目つきに、きゅっと結んだ唇……。

（人が悪いよなぁ、部長も）

　心の中で悪態をつき、彼は狭い廊下に積んである自分の荷物―――ダンボールの箱が数箱、中には衣服類が詰め込んである―――のひとつを持ち上げた。
　重くはないが、嵩高いので結構苦労する。
（重要任務のためアパートメント生活だ？　経費削減で支給品なし？　なんか左遷された気分だぞ、こっちは）
　リセは顔を歪めたまま、つい先日の出来事を思い出していた。






「リセ、君に……とっても耳寄りな仕事がある」
　オフィスビルの最上階、白で統一されたインテリアの並ぶ一室で、その男は突然リセにそう切り出した。
「耳寄り？」
「ああ。耳寄りだ」
　繰り返す男。
　中年とは言い難いが、もう若すぎはしない三十歳前後の風貌をしている。
　肩下までの長髪は黒々とし、サングラス越しに覗く切れ目の双眸は、鋭いブルーだった。
　パリッと着こなすスーツは白。ネクタイは黒。
　上から下まで、瞳さえ除けば限りなくモノクロな男である。
　その背中からは、これまた真っ白の、かなり立派な翼が生えていた。
　天使の血が流れている証拠である。
「我が《ヘヴンズ・Ｆブロック支部》にとある司令が昨日届いてな」
　両手の指を組んでデスクに肘をつく彼は、それを口元に当てながらまっすぐリセを見つめていた。
　丁度、『地球上における天使と悪魔の生存率論』というタイトルの本から、感想文を提出するための引用文を探していたリセは、その男の視線にちらりとだけ振り向く。
「……司令？」
　怪訝な顔つきで続ける。
「クァンヴァント部長、まさかそれを俺にやれって言うんですか」
「君以外にできる者がこの部署にいると思うのか？」
「いえ、いない事はわかってます。この部署には」
　リセはがらんとした室内を見渡した。
　白いインテリア、と称したが、本当にこの部屋の壁やらデスクやら、プランターまで白一色でまとめられている。
　そこには彼自身と、彼の上司であるクァンヴァント・ラーデＦブロック支部長しかいない。
　二人は唯一、白以外の存在である。　　
　尤もクァンヴァントの格好は、下手をすれば色白も手伝って背景に溶け込みそうだったが。
　それを考えればプランターの中にある造花の緑のほうが、いくらか存在感が強い。
　そんなことはさて置いて、今……というか四六時中、この部屋にはこの二人以外に、心の臓を持った生き物は皆無であった。
「そうだ。この《ヘヴンズＦブロック支部》に、エージェントはお前しかいない」
「繰り返さなくてもわかっています」
　リセはぱたん、と『地球上における天使と悪魔の生存率論』を閉じた。


　ヘヴンズ―――都市区の中心、現代社会の行政を扱うような建物が立ち並ぶオフィス街に本社をもつ、天使血縁者の結社である。正式名称は「ＨＥＡＶＥＮ&#039;Ｓ　ＡＳＳＯＣＩＡＴＩＯＮ（ヘヴンズ・アソシエイション）」。
　区域や地域はそれぞれＡ～Ｚまでのブロックに管轄が分けられているが、リセはそのＦブロック―――主に都市区の中心部―――に所属している。
　社員はエージェント、ガーディアンなどと呼ばれ、それぞれに役割が課せられる。

　
　次に、天使とは―――。
　『審判の日』に、人間界に降りてきた種族で、白い大きな翼と、人間にはないアビリティと呼ばれている潜在能力が特徴だ。
　外見はほとんど人間と変わりない。悪魔もまた同じような存在である。ただこちらは翼の形が酷く単調なギザギザで、基調とする色は漆黒だ。
　天使と悪魔は、別にお互いが険悪でもなんでもない。単に種族的な違いがあるだけで、善も悪もあったもんじゃない。天使だって強盗を犯すし、悪魔だって布教活動をする。ただ人間に、白か黒か、どちらかの翼が生えている―――くらいの感覚だ。
　
　では、ヘヴンズとは一体どういう結社なのか、というと―――。

「Ｆブロックは、比較的天使や悪魔による犯罪が多い地域ですから、エージェント達やガーディアン達は出回ってて、部署には手が空いてる者がいない―――ってのは建前で、本当はただ単に人員不足なんでしょう」
「流石にその歳で、伊達にヘヴンズエージェントをやっていないな、リセ。全くその通りだ」
「ま、述べた事で事実なのは……人間以外の犯罪が比較的多いってくらいですね」
「―――と、いうわけなのだ」
「何が―――と、いうわけなのか、……はこの際黙ってるとして……『耳寄りな仕事』の内容を聞いてもいいですか？　とか言う前にもう既に聞かされそうな状態ですけど」
　クァンヴァントはいつのまにやら、リセの手元にあった『地球上における天使と悪魔の生存率論』をその分厚い手の皮で包み込んでいた。
　リセと彼の座っているデスクの距離は、二メートル程離れているにも関わらず、全く動きもせず……である。
　『引き付け（アトラクト）』と呼ばれる一種のアビリティだ。それも、初歩の。
　対象を自分の方に、まるで磁石を使うような形で引き寄せてしまえる。クァンヴァントの得意技であった。
　それまで本のハードカバーをいじりながら、話半分に聞いていたリセの意識を集中させたかったのだろう。引き寄せた本を自分のデスクにぽん、と置くと、クァンヴァントはまた肘をついて、さっきと同じ格好をしながら静かに話し始めた。
「ヘヴンズ本部に、一般人からの情報が入ったらしい。以前から本部が予想していた、天使と悪魔の血が、四分の一ずつ流れている混血児の存在が明確になったそうだ」
「はい？」
　リセは、クァンヴァントの言葉に首をかしげた。
　言っている単語の意味がいまひとつ理解できない。
「天使と悪魔の血が四分の一ずつ流れている混血児？」
　二分の一ずつ、なら聞いた事はある。そういう種族も存在しているし。
　要は天使と悪魔の混血児、というわけだ。
「早い話が……天使と人間の混血児と、悪魔と人間の混血児との子供だ」
「ああ、成る程。５割は人間の血が流れてるってコトですか」
「今まではなかった例だがな。一応『審判の日』以来恐れられていた事態なのだ」
「恐れる？　何故ですか？」
　天使と悪魔の混血児さえ蔓延っているこの世界なのだ。
　どういう風に恐れるのか、それもよくわからない。
「『審判の日』が訪れたときから、―――つまり、人間と天使と悪魔の共存が始まってから……人間が取り締まれない問題を解決してきたのは、うちのヘヴンズと、悪魔族結社のヘルズでしょう。それが恐れるってのは？」
「混血児―――ああ、我々はとりあえず、オミと呼んでいるんだが―――それはまだ未知の存在なのだ」
「はあ」
「繰り返すようだが、それまで全くなかったタイプだ。アビリティの威力も、種類も、とにかく何も分かっていない。本部は危険を察知して、オミを重要人物に指定した。で、そのオミという人物をヘヴンズで保護しようというのが今回の目的だ」
「……どうせまた建前なんですね」
「そうだな……保護というより捕獲、だ」
「ヘルズは何か言ってます？　オミという人物には悪魔の血も入ってますよね。自分達の管轄だとか言って、文句がでないわけじゃないと思いますけど」
「今のところ、この件に関してヘルズからの意見書は提出されていない」
「ヘヴンズが先んじたってわけですか」
「間違えるな、先んじるのだ。これからな」
　クァンヴァントは、そこでようやく行動に出た。
　デスクの引き出しを開けて、切れ味のよさそうな一枚の用紙を取り出す。
　リセが近付いてよく見てみると、一番上に直筆で「命令書」と書いてあった。達筆だ。
　本来、ヘヴンズ結社に「命令書」は存在しない。リセはなんとなくだが、これはクァンヴァントが勝手に作った物なんだと思っていた（実際、その様なのだが）。
「コバヤシ・リセ＝エージェント。君にオミの捕獲を命じる」
「ちょ、ちょっと待ってください！　話は聞きましたけど本当にそれ、俺がやるんですか？」
「だから、君でなければ誰がやるんだ？」
「いつも通り、天使族や悪魔族による凶悪犯罪を阻止してこいとか、……そういう仕事なら何も言わずに引き受けます。それがヘヴンズのエージェントとして適切な仕事だし。……けど、あきらかに今『下っ端』な俺に重要指定人物を捕獲しろってのはどういう事ですか？　考えが無さ過ぎます」
「本部からの司令だといったはずだが」
「じゃあ本部は一体何を……？」
「……寒くはないか？　リセ」
「はぁ？」
「エアコン……去年から壊れているな？」
「ええ。直したいって前から……」
「金さえあればなんとかなるんだが」
「……まさか……支部経費削減されたんですか？」
「理由はわからん。が、とにかく今回の仕事は内容の規模が極端に大きいからな。成功すればこのＦブロック支部、いくら私と君しか配属されていないからといっても……本部に認められるだろう」
「……司令されたんじゃなかったんですか？」
「たとえ私がこの司令をＡブロック支部から強奪してきたからといって……司令には変わりない」
「…………つくづくあなたには閉口します、クァンヴァント部長」
　リセは半眼になって、命令書を受け取った。
「もちろん、オミの居場所は大体見当ついてるんでしょうね？」
「Ａブロック近辺の一般人から、多数情報が寄せられている。おそらくその周辺が妥当だろう。君の新しい居宅も用意しておいた。ちなみに本件においての調査費諸々は成功報酬となっているのでそれまでは自活するように」
「なっ……？」
　ブラウンの双眸を見開き、リセは思わずクァンヴァントのデスクに身を乗り出していた。
「耐えろリセ。エアコンのためだ」
「いや、エアコンはどーでもいーです」
「何を言う、エアコンを直すのが、今の我々の最大の目的だという事を忘れたのか？」
「それが最大の目的とかいう以前の問題だと思うのは俺だけですか、部長？」
「…………わかった、今の発言はなかたことにしよう。とにかくそういう事なんだ。経費削減によって任務にすら金をかけることができん」
　クァンヴァントから視線を外し、はぁ、と項垂れるリセ。
「……ところで、オミっていう呼び名は一体なんなんです？」
「そう呼ばれているらしい。ただ、名字なのか名前なのか……本名かどうかすら怪しいのだかな」
「ってことはもちろん性別なんかは……」
「わかっていない。一般人の情報など割とあやふやなのだ。ただ、年齢は二十歳前後だそうだが」
　クァンヴァントは『地球上における天使と悪魔の生存率論』のページをいじりだしていた。
　ちらちらと中身を覗き込みながら、もうすでに意識はそちらに集中しているらしい。
（こりゃ……並大抵の仕事じゃねーな……）
　リセは一瞬だけ宙を仰ぐ。
　それから、パラパラページをめくり始めた上司から本を奪い返し、あきらめたように言った。
「とりあえず、この本は返してくださいね」






（……ああ、なんでひき受けたんだ俺……）

　―――と、後悔しながらそんなくだりを思い出していたリセは、突然、ドスドスドサァァァ！という物音でハッと我に返った。
　とりあえず自分が抱えていたダンボール一箱を通路に降ろして、何事かと、周囲を見渡す。
　《エンゼル・ハイツ》二〇四号室は、二階建てのぼろアパートの二階、急で狭苦しい階段のすぐ目の前に位置している。
　そのそばに積んでいた他の荷物のダンボール箱が崩れ落ちたらしかった。
　もう一度積み上げようとしたリセの視界に、ふと小豆色のサラサラした頭髪がよぎる。
「あたたた……」
　頭髪―――声を発したことにより、とりあえずヒトだということはわかった―――がかぶりを振っている。
　その度に、絹のように輝く長い髪の毛が、幾度かヒビの入ったコンクリートの床を撫でた。
「ごめんねー、私声かけよーとしたんだけど、足躓けちゃって」
　女。というより少女か。大体、顔の面影からしてリセと同じ位の世代の。
　彼女はえへへ、と笑って見せていたが、体が半分ダンボールに埋まっていた。
「……大丈夫か？」
　状況からみて、この女がダンボール箱をひっくり返してしまったらしい。考え事をしていたリセは、彼女が近づいた事すら気付いてはいなかったのだが、まぁ、そんな事は今更どうだっていい。
「へーきへーき。あ、ねぇ、あなた小林サンよね？　今日越してきた。……違う？」
「そうだけど……」
「あ、ホント？　良かったー！　あ、あのね、大家さん今ちょっと留守でね……私、いろいろあなたのこと頼まれてんだけど……」
　体をねじらせて、ダンボール箱から這い出ながら彼女。
　リセはあちらこちらに散らかってしまったそのダンボール箱を拾っては、さっきとは反対側に積んでいく。
「これって荷物だよね。ホントごめんね。あ、手伝うね！」
「……あんたは？」
　リセは、やっと全身が外の空気にさらされたその女を見据えて尋ねた。
　白のブラウス、グレイのズボン……とシンプルな格好のリセに対して、彼女は柄入りニットにチェックのミニスカート、とどこか華やかな風貌である。小豆色という珍しい髪の色があったからかももしれないが。
　しかしどこからどうみても、普通の女、（いや、やはり少女か？）という外見だった。
「あ。キサラっていうの。えーとね、お隣」
　人指し指を、自分の肩を通り越して背後に向ける。
「二〇三号室。よろしくね」
「こちらこそよろしく」
　半分社交辞令で、リセは笑顔を作ってあいさつをしておいた。
　普段あまり人と関わりをもとうなどとは思わないのだが、お隣なのでそれなりの配慮はしておいたほうがいいのだろう。後々、面倒なことにもしたくはない。
「あ、いいよ。これ俺が片付けるから」
　ダンボール箱を整理し始めた彼女……キサラに、リセは続けた。
「どのみち部屋にはいったら自分でやんなきゃなんねーし」
「え、そぉ？」
　きょとん。
　そんな可愛らしい擬音で、キサラは首をかしげている。
　暫くそのまま何か考えていたらしいが、やがて「そっか」というとポケットを探り出した。
「これ」
「？」
「こっちのパンダのキーホルダーついてるのがポストの鍵ね。近頃盗難が増えてるらしいから気をつけて。あ、それからこっちのいちごみるくキャンディは……私からのお近づきの印★」
「……ああ……アリガトウ」
　頬に一筋汗を流しながら、傍から見れば中学生の喜びそうなファンシーパンダのキーホルダーとピンクのまるい包み紙を掌に収め、リセは頷く。
「それじゃあねっ、用があったらよんで頂戴ね！　すぐ隣だから」
　キサラはくるりとスカートのフリンジを翻して、颯爽と二〇三号室へ消えていった。
（……かわったヤツ）
　いや、普通の女子高生くらいってのはあんなものだろうか……。
　自問しながら、リセは二〇四号室の古いドアをギギ……と開いた。


　ダンボール箱の量を考えると、四畳半一間台所＋ベランダ付き、というのは少し狭い。
　今まで少々羽振りのよいマンションで暮らしていただけあって、がらりと変わった環境というのは慣れるまで時間がかかるものである。
　あらかたの荷物を整理して、リセは通販で買った自前の折りたたみデスクにノートパソコンを置いた。
　ノートパソコンの方は、ヘヴンズの支給品である。こればっかりは、いくらなんでも自分では用意できない。市販のパソコンとは機能が異なりすぎているためである。
　外装はミルキーホワイト。シンプルだが、右下にはヘヴンズのロゴマーク（天使の羽を象った、アルファベットのＨ）が刻まれている。
「あ、部長。リセです」
　早速モニタの向こうに呼びかけた。
　液晶画面に見慣れた三十歳代の男を確認すると、リセは表情がちゃっかりエージェントのそれになっている。
「今現場につきました。これから暫くの間、例の人物を探します」
『うむ、ごくろう』
　すこしデジタルで、機械を通した声が伝わってくる。クァンヴァントは相変わらず、肘をついて両手の指を絡め、その上に自分の顎を乗せた状態でモニタに映っていた。
「それと定期報告ですが……どうしますか？」
『そうだな、一週間に一度でいいだろう。但し急を要する場合はいつでも構わない。早急に対処してくれ』
「わかりました。では」
　事務的な会話を済ませて通信を切る。
　さて、これからどうしたものだろうか、とリセは伸びをした。
「とりあえず情報集めと……あと昼飯、かな」
「それなら美味しいラーメン屋さん、知ってるわよ！」
「……ラーメンかぁ。悪くないよな……ってっ？」
　バッ！
　リセは反射的に後ろを振り返っていた。
　さっき普段着を根こそぎしまいこんだ小さな押入れの下の段から、小豆色の髪の毛の女が顔をひょっこり出している。
　這いつくばって、まるで空き地の土管を抜けてきた、というような格好であった。
　さっき別れたばかりのキサラである。
「なっ……なんで押入れにお前っ……！」
「やー、さっきい言い忘れてた事があってぇ」
「ちょっと待てそういう事じゃないだろ、そういうことじゃ！」
　にこにこ微笑む彼女に、こちらも四つん這いで近づいて……リセは腕を組んだ。
「いつのまに入りこんだっ？　全く気付かなかったぞっ？」
「えーと……別に入りこんだワケじゃないんだけどな。あ、ねーそれより小林サンてリセって名前なの？カッコイイね、リセってよんでもいーい？」
　きゃっきゃらと笑っているキサラ。
「俺の質問に先に答えろっ」
　腕組を解き、堪りかねてリセが問い質す。
　勢いで、うつ伏せのまま器用に肩をすくめているキサラの顔面寸前まで身を乗り出していた。
「その一、どーしてここにいるんだ？　そのニ、どーやって入ったんだ？　その三、いつから見てた？　おまけっ、なんの目的があるっ？」
「やだ、怖い顔しないでよー……だからー、えーと……わかった、順番に答えますってば」
　実際には怖い顔、というよりも、脂汗のようなものを流しているためにものすごい形相（しかもそれがキサラの眼前にある）のリセに驚いたのか、彼女はちょっと退いて口篭もった。
「ええーっとぉ、その一、言い忘れた事があって伝えに来たのよ。そのニ、入ったんじゃなくて抜けてきただけだもん、押し入れ。その三、さっきあなたがそのノートパソコン開いた時くらいから見てたんだけど。おまけっ、別に目的っていうほどの目的なんてないんだけどな」
「……抜けてきた？　押入れを？」
「うん。ほら」
　と、言いながら、キサラは何故かリセの部屋に上がりこみ、それまで自分が居た押入れを指差す。
　なんと、その奥の壁に四角形の穴が開いていた。あまり大きなモノではないが、細身の女性か、小学生以下の子供なら通りぬけられそうである。
「な、なんだこれ？」
「私が何年か前に引っ越してきた時からあるんだよ。私の部屋と繋がってるの。ねーねーだからそれよりねっ、リセって―――あ、もう呼んじゃうからね、決まりねっ―――で、リセってヘヴンズの人だったんだねぇ。なーんで言ってくれなかったのよぅ、もぉっ。確か天使の血族の人じゃないとお勤めできないんでしょっ？　ってことはリセって天使関係の人？　ここに来たのも仕事なのっ？　あ、そうだ、ラーメン食べにいく？　引越しそばの代わりだけどいーよねっ」
「……ちょっと」
　いきなり捲し上げる目の前のお気楽娘―――少なくとも彼にはそう思えた―――に、リセはストップ、という意味で右手を差し出す。
「なんなんだよ一体？　抜け穴があるのはわかったよ。それでアンタがここに居た事も理解できたけど……」
「うんっ。それで？」
「アンタ……キサラって言ったっけ。何か言い忘れた事があったんじゃなかったのか？」
「……あ、そうそう」
　手鼓をポン、とうつと、彼女は人差し指を天井に向けてすらすらと、まるで教科書の全文を暗唱したかの様に話し始めた。
「トイレは男女共同、お風呂は近くに銭湯があるからそこを利用すべし。尚一風呂大人四百円、子供半額、この場合子供は小学生以下対象。ゴミの日は毎週月曜と木曜。ちなみに木曜は月の最後の週のみ粗大ゴミを扱っている。新聞古雑誌は定期的にトラック集荷が来るのでできるだけそっちに出すように。たけや～さおだけ～のメロディに騙されちゃダメよん」
「……アパートのルールか……最後のは何？」
「よく竿竹屋サンのトラックを、古雑誌の回収と間違える人がいるらしいよ」
「…………」
「それよりっ、ねー教えてっ。リセってヘヴンズの人なんでしょ？　エージェント？　ガーディアン？　って聞いたところで実は私あんまりよく知らないんだけどぉ……あ、やっぱり羽とか背中にしまってあるのっ？」
　キサラはまたにこにこ顔に戻っていた。
　はぁ、と嘆息してから、掌を額に当てて項垂れる。
　いるいる。新入りに根掘り葉掘り質問して、内情知りたがる隣人諸々。何がそんなにおもしろいのか……真意は計り知れないがこっちは迷惑千万である。そして彼ら（彼女ら）はそれに全く気付かない……というかわざとそんな振りをしているだけなのか……言い聞かせて聞くような輩共ではないのがほとんどだ。
　このキサラという女もそのクチか。……そんな気のするリセである。
「……そーさ。俺はヘヴンズＦブロック支部のエージェントのコバヤシ・リセ。ちょっと人探しの任務に今日就いたところ。ちなみにそっちの期待通り、一応天使の血ひいてるよ。人間と天使の混血児だかんな」
「きゃーっ、やっぱりやっぱりっ！」
「何がそんなに嬉しいんだ……？」
「えへ。私ってあんまり天使の血をひいてる人間って見た事ないんだよねぇ。天使の血をひいてるってだけなら知り合いもいるんだけど、ヘヴンズに務めてるってのはなかなか聞かないし……私ヘヴンズにスッゴク興味あるのっ。でねー、新しい人が隣に引っ越してくるっていうんで、ちょーっと期待しちゃったりしてて……その服見た時からもしや、って思ってたんだけど、やっぱそうだったってのが嬉しくって」
　めちゃくちゃな文法で話すキサラだったが、リセはなんとかその意味くらいは理解できた。
　要するに自分は、歓迎されている立場にあるらしい。別に嬉しいわけではなかったが。
「それはいいけど、なんで押入れから来るんだよ」
「コミュニケーション取るには最適じゃない？」
「どーいう考えだっ、それはっ！」
「どーいうって……玄関からチャイムを鳴らして入るのって、ちょっと味気がなさ過ぎるでしょ？　印象も薄いだろうし」
「それが普通ってもんなんだっ」
　どうやらこのお気楽娘は、ただお気楽なだけではないらしい。セットで極楽と、バカという文字が付いてきそうだ。お気楽極楽バカ娘。
　我ながら核心づいている、たぶん。……と、リセは一人で納得することにした。
「普通じゃつまんないじゃないっ。気に入ってるんだから、この押入れの穴。私くらいのオンナノコしか通れないし、だから今まで直さないでいたんだもん」
「直せ。今すぐ」
「考えとくね」
「直せぇぇぇぇっ」
「もー、そんなに叫んだら血管きれるよ？」
「そしたら治療費と慰謝料を請求するから覚悟するんだな」
「え、ヘヴンズが出してくれるんじゃないの？　労災費だよね、それって」
「…………」
　無言でそっぽを向く。
　不景気の三文字が、リセの両肩にのしかかった。
「エアコンも直せない支部が、ヒト一人を救えるだろうか……」
「……なんか切羽つまってるみたいねぇ……」
　うっすらと涙を浮かべ、零すまいと天を仰ぐ隣人に、キサラはあまりよくわからなかったがとりあえずそんな言葉を投げかけた。
　そして―――。
「……もしかして、困ってる？　仕事、手伝ってあげようか？」
　そんな台詞がふと聞こえたような気がしたが、リセはなんとなく現実逃避したまま聞かなかったことにしたかった。
　まぁ、無駄になってしまう気はしたのだが。




[[NEXT…Heavens Link ! （旧）　act.2&gt;Heavens Link ! （旧）　act.2]]

&amp;link_up()

----    </description>
    <dc:date>2008-05-06T15:53:51+09:00</dc:date>
    <utime>1210056831</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/11.html">
    <title>登場人物</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/11.html</link>
    <description>
      ----
**小林梨世（こばやしりせ）
#image(rise.gif)
１９歳：男
元・ヘヴンズ・アソシエイション本部捜査一課所属エージェント。
現在はＦブロック支部勤務。
生真面目な性格が災いして何かと苦労が多い主人公。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
**麻績キサラ（おみきさら）
#image(kisara.gif)
１９歳：女
リセの隣人。お気楽極楽天然娘。
ヘヴンズどんとこい！ヘヴンズでご飯３杯は軽くイケる！
という勢いで特殊警察機関が大好き。
今日も今日とて笑顔をふりまき、本屋で働いている。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
**大林永遠（おおばやしとわ）
#image(towa.gif)
２０歳：男
ヘヴンズ・アソシエイション捜査二課所属エージェント。
年が近くて名前が似ているという理由からリセを目の敵にしている。
ところが実際は仲が良いのか悪いのか不明。
射撃の名手。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
**姫野白雪（ひめのしらゆき）
#image(shirayuki.gif)
１８歳：女
ヘヴンズ・アソシエイション捜査一課所属エージェント。
無愛想だが超のつく美少女。
リセの元パートナーで、身近な者をからかうという高尚なご趣味お持ちである。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
**クァンヴァント・ラーデ
#image(quanvant.gif)
３２歳：男
元・ヘヴンズ・アソシエイション本部局本部長。
現在はFブロック支部の支部長。
チャッカリ者でムッツリ者。
そのサングラスの奥の瞳が何を物語っているかは誰にもわからない。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
**ローブリィ・鴇（とき）
#image(toki.gif)
２９歳：男
ヘヴンズ・アソシエイション生活安全課課長。
嵐を呼ぶバイセクシュアル。クァンヴァントとは同期。
何故か生物学に詳しい。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
**ベルガモット・ソン
#image(bell.gif)
２８歳：女
元・ヘルズ・アソシエイションのクラスSエージェント。
現在は中華料理店のオーナーを勤める。
クァンヴァントとは旧知の仲。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
**森永こえだ（もりながこえだ）
#image(koeda.gif)
１９歳：女
ヘルズ・アソシエイション所属のクラスSエージェント。
可愛いもの好きで自らもロリータ・クラシックな衣装に身を包む。
保の従妹。女の子としてはやや危険な発言が多い。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
**森永保（もりながたもつ）
#image(tamotsu.gif)
２０歳：男
ヘルズ・アソシエイション所属のクラスSエージェント。
こえだにメロメロ。人情の厚く義理固い。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
**ロードウェイク
#image(road.gif)
年齢不詳：男
謎が謎を呼ぶ性格の持ち主。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
----
**有働祭（うどうまつり）
１９歳：女
ヘブンズアソシエイション捜査二課所属エージェント。
トワの後輩兼部下。
お騒がせハツラツ娘。結構頑固。
みつあみ番外編の主人公。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
**アンリ・グラント
１９歳：男
ヘヴンズ・アソシエイション捜査二課所属エージェント。
冷静沈着な祭の腐れ縁パートナー。
物静かだが実はカーマニアという側面アリ。
#right(){
&amp;link_up(▲)
}
----    </description>
    <dc:date>2008-04-15T14:52:11+09:00</dc:date>
    <utime>1208238731</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/33.html">
    <title>Heavens Link ! （旧）　act.4</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/33.html</link>
    <description>
      　突然の揺れと落下が、自然現象―――つまりは、地震でないことを理解するのに、リセは数秒を要した。
　その間何を考えていたかと問われれば、まず最初に思いついたのが重力への反抗だった。
　床のが崩れ落ちていく感覚に戸惑い……しかしながら、今は一緒に居合わせたキサラの安全を確保すべきである。そんな一瞬の判断から少し遅れて、彼はその隣人の少女の腰を抱えた。
「きゃああっ！　なにっ？　なんで落ちるのっ？」
　やけに冷静なリセとは違い、キサラは急なアクシデントにかなり動揺しているらしい。
　それもそのはずだ。
　普通に暮していて、こんなことに慣れていたりするほうがどうかしてる。
　尤もリセは、そのどうかしてる部類に振り分けられてしまうのだろうが……。
　なにはともあれ、キサラの台詞が終わらぬうちに、リセは久しぶりに「天使」としての行動を始めていた。


　念じると、背には純白の翼が大きく象られる。

　はばたき、リセはキサラを抱えたままほんの少し上昇して……。
　その刹那、ずがぁぁぁぁぁっ！というものすごい轟音と共に、二人の眼下で畳の床が土煙をあげてバラバラになった。

「……っ、あっぶねぇ……」
「…………う、浮いてる！」
　二人の声がデュエットする。
「……って、リセっ？　すっごい！　ほんとにほんとに羽があるんだねっ！　きゃーカンドー！　ね、触っていい？　触っても？　ねぇっ？」
「ちゅーかまたんかっ！　目の前の状況を把握してみろ！　俺の部屋が落ちたんだぞ？　下の……一〇四号室の住人はっ……」
「あ、平気、たぶん……」
　キサラはリセに促されて、無残なアパートの姿を眺めながら言った。
　アパートの端は、巨大な鉄球に上から押しつぶされたかのように大破していて、かなりの重傷を負っている。もし下の部屋に人間がいたなら、確実にご愁傷様、であった。
「大丈夫だと思うよ……友枝さん、今日は確かラジオの生収録があって朝帰りだとか言ってたし」
　友枝、というのは、件の一〇四号室の主のことなのだろう。
　ラジオの生収録という用事の方に少々興味がそそられたが、そんなリセの心境を読み取ったかして、キサラが抱えられたまま付け加えた。
　抱えられてる、というのも妙な表現で、正確に説明すると、腰の部分のみをリセの腕につかまれ、身体はくの字に折り曲げられている。で、リセ共々、そのまま宙に浮いているのだ。
　……とはまぁ、簡単にいうが、キサラの体重がそこそこ軽かったのが幸いしてできた芸当である。
「ああ、友枝さんね、声優やってんだよ。知ってる？　えーとね、『ファクトリアース』っていう近未来もののアニメの脇役で―――」
「その話はいい。とにかくいないんだな、あそこには」
　リセはもう一度アパートの崩れた残骸に上空から目を移し、それから確認して胸をなで下ろした。
　二〇四号室と、その下の階の一〇四号室以外の部屋は全くの無害で済んでいる。
「それにしても……誰もこの騒ぎに気付いていないのか……？」
　一向に気配のない他の住人に気がついて、リセが呟いた。
「あー、だって大家さん含めてみーんな、この時間帯は出かけてるから」
「どこにっ？」
「みんな夜型のお仕事みたいよ」
　キサラの返事は、なんとなくだが茶を濁したようなものだった。
「……っていうより、一体何がおこったの？　地震……ってわけじゃなさそう……」
　さすがに、アパートの一部分のみが崩れ落ちているのをみて、これがただの自然災害だ、とは思えなかったらしい。その判断は間違ってはいない。しかし、説明は必要だろうとリセは思った。
「能力―――アビリティだな」
「あびりてぃ？」
「天使か悪魔の血をひいてる種族なら、人間の持てないなにかしらの特殊なチカラを持ってる。それがアビリティって呼ばれるものなんだ」
「……ん、具体的にはよくわかんないけど、……このアパートが崩れちゃったのもそのアビリティってやつの所為なの？」
「そーいうこと。このアパートを大破させたアビリティの使い手が―――なんの目的かは知らねーけど―――この近くにいるんなら、とっつかまえないと……」
「つかまえるって……」
「決まってる。逮捕さ。本来ヘヴンズのエージェントってのは、そういう迷惑千万なやつらを捕まえるのが仕事なんだかんな。つーか、もう降りるぞ。いいかげん、お前抱えて浮いてるの疲れたし……」
「え～、もっと飛んでたいよぅ」
「アホ！　非常事態だぞっ？」
　それでなくても長く上空にいるのは体力を消耗する。
　リセはしびれかけてきた腕からキサラを落とさないように、慎重にゆっくりと、地面へ降り立った。
　じゃりっ。
　裸足が地面を少しだけこする。
　部屋の中にいた二人は、当然靴など履いていなかった。
「……リセも、アビリティを持ってるの？」
　キサラがつぶやく。
「当然。じゃなきゃエージェントなんて危険すぎてできないだろ」
「アパート壊しちゃうようなヤツとか……？」
　その質問には答えなかった。
　聞こえないフリをしていると、キサラはこちらの心情を読み取ったのか、それともただ単にどうでもいい質問だったのか、それ以上追及はしてこなかった。
　二人は、それぞれアパートを惜しむように見やってから、振返る。
　と―――。

「ちっ」
　……その男は、深くかぶったフードの下で舌打ちしていた。

「！」
　リセの身体が硬直する。
「……お前は……」
　本屋にいた、片方の翼が漆黒の、『天使』。
　昼間見たままのその姿で、男がアパートの出入り口近くに立っている。
　フードは相変わらずだったが、夜の暗闇に必要のないサングラスは外していた。
（なんで、こいつがここに……？）
　確か、こいつは店長のストーカーではなかっただろうか―――と、リセは考えをめぐらせて押し黙った。
　店長のストーカーでないなら、本当にキサラが狙われていた？

　キサラは恐る恐る、と言った感じで、リセの背に隠れるように寄り添っている。
　無意識の内にそんな彼女を後ろ手でかばった時、目の前の男は再び口を開いた。
「……エージェントか……お前、ヘヴンズリンクを狙ってるな？」
　顔を上げた男の、ブラウンの双眸が闇の中で光った。
　視線は真っ直ぐ、リセを捉えている。
（こいつ、俺がヘヴンズの人間だって知ってるっ？）
　しかも、今彼はなんと言っただろうか。
　ヘヴンズリンク―――オミ。リセがオミを探している事まで知っているという。
　ザッ……。
　一歩退き、相手との間隔を開ける。
　リセの本能は、何かを察知していた。
　この男は危険だ―――それはそんな、シグナルのように感じる。
「狙ってる……っていうのは酷い言われようだな。俺は狙ってるんじゃない。保護するために探してる」
「ふん……どうだか……あの本屋でお前を見つけたときは驚いたが……どっちにしろ、ヘヴンズリンクが必要なオレとお前は敵同士。邪魔な芽は摘み取らないとな……そうだろ？　小林梨世」
「！　なんで俺の名前知ってるんだよ、あんた！」
「さぁな。　あの世があるなら、そこで聞け」
　言葉と同じに、男が片腕を掲げる。
　この男の狙いは、リセだったのだろうか。

「キサラ！　避けろ！」

　男の手に、光の弾が形成されていく。
　閃光は、地面を裂きながら、リセ達に向かって放たれた。
「きゃああああっ」
「このアビリティ……『衝撃（インパクト）』！」
「な、なんなのぉ！　リセっ？」
「アビリティの中でも、割と高度な技量を要する技だ……大概は特殊訓練をうけたエージェントしかその技術をもつことはできない…………まさか、あいつ……」
　リセは、つい先刻のクァンヴァントの台詞を思い出した。
　彼は……彼はなんと言っていた？

『その連中―――ヘヴンズの内部関係者が関与している疑いが強い』

　この男が内部関係者だとすれば、つじつまがあう。
　リセがエージェントだと知っていることも、アビリティを駆使できることも。
　そして、あの本屋での奇妙な行動は……。
（俺の行動を監視していた？　……いや、それにしては、態度がおかしすぎる……それに、こいつ、いまさっき本屋で俺にあって驚いたって言ってた……どういうことだ？）
「しぶといな……突然の奇襲もまんまと免れるし……今の衝撃波もまだ生ぬるいと？」
「くっ……キサラ、どいてろ！　できれば遠くへ逃げたほうがいい」
「で、でも……」
「おっと……彼女を逃がそうなんて考えるな……」
　男は、続いて両手を掲げる。
　その掌に淡い光が灯っている。
「ちっ……二撃目……！」
　リセが左へ跳躍した。このまま避けているだけでは、どの道やられてしまう。
　対抗するには、こちらも攻撃を仕掛けなければならない。辺りにはアパート以外にも建物が存在するので、その範囲に気を配る必要もある。
　最小限で―――しかし、相手をひるませるような技は……。
「くそっ、ンなもんねーじゃねーかっ！」
　叫びながら、相手の掌の一際大きい閃光が、こちらに届かない内に唱える。
「『衝撃（インパクト）』、レベル・シルバー！」
　リセが唱えると、光りの球体が、勢い良く男のほうへと放たれた。
「っ？　……さすがに……扱えるらしいな」
　男は吐き捨てて、軽々と身をよじる。その隙にリセが地を蹴った。男の間合いに詰め寄り、肉体戦に持ち込もうという算段だった。
　が。
「こちらの攻撃を忘れてもらっては困る」
　猛々しい、空を切る音がした。
　男の拳から放たれた閃光……それがリセの光の球体を避けるようにカーブし、彼の横腹に直撃する。
「がはっ……っ！」
「リセェェッッ！」
「キサラ……馬鹿、早く逃げろって！」
「何よ馬鹿なのはそっちでしょ！　血が出てる！」
「こんくらいなんともないっ！」
　リセは泣き出しそうな表情のキサラに怒鳴った。民間人の彼女を巻込んで、危険な目に合わせるわけにはいかないのだ。
「なんともないだと……？　へらず口を」
　男が口元を緩ませる。リセはその挑戦的な行為に、
「はっ……お前もヘヴンズ関係者なら知ってるだろ……？　天使の血族は、回復能力が優れてんだ。傷なんてすぐ治る」
「しかし……攻撃を受け続ければどうだ？　回復が間に合わなければ、天使だろうが一般人だろうが関係ない」
　ばしゅ！
　その風を切り裂く音は、男の台詞の後すぐにリセの耳に届いた。
　気付くとすぐに、鈍い痛みがみぞおちを襲う。
「……っ！」
　声無き叫び。
　見れば男の手刀が、腹部に食い込んでいる。
　だが逆にこれはチャンスだった。
「……っ……『衝撃（インパクト）』、レベル・プラチナ！」
「なっ！」
　激しい蠢きと共に、リセの体が発光する。
「ちょっと、リセ、りせぇぇぇぇっっ？」
　キサラの声が聞こえている。数秒間爆音が響き、アパートが少しだけ揺れた。
「ち……」
　男がよろめき、リセから離れる。ダメージは与えられた。しかし、崩れ落ちるように前のめりに倒れたリセと比べれば……彼にはまだ余裕があるようだ。
「リセ！」
　キサラが駆け寄る。
　リセの外傷は少ない。しかし顔色が悪くぐったりとしている。瞳も閉じられていた。だが、かすかに胸が上下している。
　……生きては、いる。
「……な、なんなの……あなた、なんなのよぉっ？」
　キッと鋭い双眸で、キサラが男を睨み付けた。
　男はそれを待っていたかのようにフードを脱いで……そこから、まるで病床にある老人のような、やつれた顔を闇夜に浮かび上がらせる。
　彼は、うつろな目でキサラにささやいた。
「……こっちへ来い」
「……いやよ！　どーして私が、あなたなんかに……それよりも、リセをこんなにして！　許さないわよ！」
「……来るんだ……さぁ……俺を天国へ連れていってくれ」
「いやだってば！　……天国って何よっ？　わけわかんないこと言わないで……っ！」
「ずっと……ずっとあの本屋で機会をうかがっていた……しかしもう……時間が……ヘヴンズが動いている……」
「こないで……私は何もわかんないよっ！　……リセにこれ以上何もしないでぇっ！」
　ざっ、と近付く男に、キサラは倒れたままのリセをかばった。
　その時、リセのまぶたが重く開く。
「……くそ……」
　半身に、彼は力を込めた。なんとか起き上がれそうだ。キサラの被さった体を、押しのけるように立ち上がる。
　―――使うしかないかもしれない。アレを……。
「リセっ？　駄目だよ、動いちゃ」
「動かないでいられるか！！」
　男が目の前まで迫る。
「ヘヴンズリンク……応じないなら、力ずくで……」

　―――その直前だった。
「……いいかげんに、してぇぇぇぇぇっ！」
　

　キサラの声が、響く。
　とたん、今までで一番大きな風がアパートの周辺に集まり、耳を劈くようなうねりを帯びて旋回した。


「なにぃっ！」
「キサラっ……？」

　まばゆい光―――　
　光が包んでいたのは、キサラだった。
　リセは、真昼より明るい閃光のなか、うっすらと彼女の姿を捉える。
　キサラは小豆色の髪の毛を逆立ちにして、仁王立ちになっていた。まわりにオーラのようなものも見えている。
「もう、なんだかよくわかんないけど……私あなたみたいなひと、すーーーーぅっごく大っっ嫌い！」
「……な……な……」
　男が、途切れ途切れに声を漏らす。
　リセは我が目を疑っている最中だった。
　このチカラは知っている。おそらく自分が、もっともよく。
　攻撃専門アビリティの最高峰―――。
　それがどうして今、キサラを包んでいるのだろうか……？
　しかしその思考も、次のキサラの言葉とともに停止した。
「人を傷付けといてなんなの……っ？　ちゃんと、はんせーしろぉぉぉっ！」

　きゅぼぉっ！　

　ゴムとゴムをすり合わせたような、そんな音がする。
　もちろん、そんな小規模のものではなく、激しく鼓膜を震えさせるような……そんな、巨大な振動。




　次の瞬間――これまでで、最大級の爆音と爆風が巻き起こる。
　なのに、まるで突然静けさが襲ってきたように、リセには感じられた。
　

　そして聞こえた……かすかな叫び声。

「何故……ヘヴンズ……リンク……お前は俺のものになるはず……」

　そこまでは、リセも覚えているのだが……その後はぶっつりと、意識が途絶えた。








『……男の身柄は無事……というわけではないが……確保させてもらったよ』
　リセの耳に、上司クァンヴァントの声が届く。
『彼の正体はやはり、ヘヴンズの元幹部だった。エージェントだった頃からオミの『ヘヴンズリンク』としての能力を狙っていたらしい。その後、ヘヴンズを辞職……ま、君を襲った動機などは残念ながら……記憶を失ってしまっている彼からは、聞けそうにない……。うまくすればオミの所在を知っているかとも思ったのだが』
「……そーですか」
　腕を吊られ、足を吊られ……。
　包帯をぐるぐる巻きにした体で、リセはモニタの向こうの渋い顔に返事をする。カーテン越しからはさわやかな風が吹き込んできた。
　都市区の、とあるヘヴンズ経営の病院。その個室は、やはり白一色の部屋である。
『君も大変な目にあったようだな……無事で何よりだ……いや、無事というわけでもないか。しばらくは体をゆっくり休めたまえ。本当にご苦労』
「……部長」
『なんだね？』
「ひとつ尋ねますが……オミのほうの捜索は、どうなるんでしょうか」
『まぁ、君が回復するまでは一時打ち切りだろう。他に抜擢できるエージェント……少なくともＦブロック支部にはいないからな。今回の件で、アレを使ってしまった君の身体がいつ完全復活できるか、心配ではあるが』
「あ、そのことなんですが……俺、アレのアビリティは使ってな……」
　と、リセが言いかけたとき、病室の扉が開かれた。
「やっほー、リセ！　元気？」
　花柄プリントのブラウスに、レースのついたブリーツスカートの少女が現れる。
『……おっと、見舞いかな？　また連絡しよう。ああ、ちなみにエアコンは直してもらえたぞ。君のおかげだ、リセ』
　ぶつ。
　……クァンヴァントの通信が切れる。
　リセはドアに目をやった。
　にこにこと笑っている彼女にむかって、
「……キサラ……お前ノックくらいしろ！」
「まー！　せっかくお見舞いにきたのにぃ～、そういう言い方ないでしょ」
「……なんか、怪我が酷くなりそうだ……」
　頭を抱える。
「具合どうなの？　もう一週間も入院してるけど……」
「心配するほどじゃないよ……」
「ああそっか、回復能力が人間より優れてるんだっけ……なんか不思議ぃ。あんなにすごい、ぼろぼろだったのにねぇ」
「俺はお前のほうが不思議だよ……あんだけの衝撃波の中で……なんで傷ひとつ……」
　リセはキサラを見て、そこでハッとした。
　何かものすごい事に気が付いてしまった気がして、だんだんと胸の内側から押し寄せる不安にかられる。
　あんな衝撃の中で？
　特殊な訓練をうけて、エージェントをやっているリセがこんな大怪我を負ったのに……？

「そうだ、あの男のひとはどーなっちゃったわけ？　のびてたけど」
　キサラはお見舞いのために持ってきたらしい生け花を、花瓶に移し替えようとしながらたずねてきた。
「ヘヴンズが捕獲したよ。裁判の後、処分が決まるだろうな……なんせあいつが元凶で、アパートが全焼しちまったようなもんだし……俺への傷害罪と、器物破損方違反で間違いなく有罪」
「……ふーん……あ、あとね、あの人妙なこと言ってたんだけど」
「何？」


「私のこと、ヘブンズリンクだって」
「……は？」


「何の事だろうね？」
「…………ちょっとまて……お前の名前は、確かキサラだろ？」
「今更なに言ってるのよ、あたりまえでしょー？」
「……だよな」
「そうよ。私の名前は麻績（おみ）キサラ。それ以外に名前なんてないもん」
　
　キサラが胸を張って答える。

　リセは言葉がすぐに出てこなかった。
　だが、一度ごくん、と喉をならすと、かすれた声で確認する。

「……今、なんて……」
「だから、私は　お　み　キ　サ　ラ　……だってば。……あれ、フルネーム言ってなかったっけ？」


「………………あのさ……お前……前にいってたな……本棚ひっくり返した事があるって」
「……え？　ああ……そうなの。実は私、ときどきそういう超現象？　起こしちゃうんだよね……」
「ちょう……げん……って、あの……」
「なーんかちっちゃい頃から、わけわかんない事がまわりで起るのよ。でねー、しかもその後かならず貧血起こして倒れるの。リセが病院運ばれた時も、私一緒にとなりのベッドでねてたんだよ。一晩だけだったけどね。あのすっごい光はなっちゃったら、モー疲れて疲れて」
「……あ、あのー……別のことも、きいてもいいか？」
「ん？」
「お前の両親の話……とか……」
「ああ！　そーそーそれ！　リセに聞かせたかったの！　なんとね！　うちのお母さんは天使と人間の混血でねっ、お父さんは悪魔と人間の混血なのっ！　ど？　珍しいでしょっっ？　あ、そうだ、忘れないうちに……はいこれ、おみまいのおまけにみかん♪　また送ってきたの。実家から」
「……そ、それって……」
「何、その顔……豆鉄砲食らった鳩みたい」
「……いや、まさか……だって、……けど……昨日のあの衝撃波……あれはもっともレベルの高い攻撃専門の………でもまさか……はは……俺でも、あのチカラは、使った後無事なんかじゃいられないんだ……」
「……リセ？」
「……まさか、な……まさか……まさか、なのか……っ？」
　不安は大きくなっていく。
　鮮明になる頭の中で、疑惑が確信に、近付いていく。
　
　昨日の不可解な衝撃波。
　天使と悪魔、それぞれ混血児の両親。
　
　それから……麻績キサラ、彼女のフルネーム。


「どしたのー？　おーい、リセ？」
「……自覚……ないのか？　……全く？　そんな馬鹿な……こんな近くにいたなんて……」
「……自覚？　なんの？」
　顔を歪ませるキサラ。どうやらリセの今の表情が、とてつもなく妙だったらしい。
　その変な顔についている唇が動いた。　

　キサラを指差して。

「……オミ？　……ヘヴンズ……リンクっ？」

　実に穏やかな、冬の終わりの午後だった。


fin.


[[PREV…Heavens Link ! （旧）　act.3&gt;Heavens Link ! （旧）　act.3]]


&amp;link_up()

----    </description>
    <dc:date>2008-04-12T18:22:38+09:00</dc:date>
    <utime>1207992158</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/32.html">
    <title>Heavens Link ! （旧）　act.3</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/heavenslink/pages/32.html</link>
    <description>
      「何かお探しですかぁ？」
　精一杯の笑顔を作って微笑むリセ。
　普段笑う事を滅多にしない彼の笑みは、自分でもひきつってるような気はした。
　しかしそんな事に構ってはいられない。リセは男の反応を待つ。
　サングラスにマスク―――フードをかぶったアヤシイ格好（キサラ・談）。
　男はぎょっとして、リセを振りかえった。口元から、マスクのせいでくもった声が漏れる。
「い、いや……」
　しどろもどろ……という感じだ。
（……確かにアヤシイ）
「よろしければ、オススメの本などありますが……」
　我ながら、変な台詞だな、とは思った。
　どこの世界に、わざわざ店員自身から本を薦めて売る本屋があるのだろう。いや、もしかしたらそういう本屋もあるのかもしれないが、それはそれで結構鬱陶しいだろう。
　リセは一瞬、まずったか、と舌打ちしそうになった。
　ところが、男はリセを怪しむことなく、素直にそれに応じたのだ。
「……あ、じゃあ中に……」
　と、もごもごしながらオートドアから店内へと入っていく。
（……？）
　拍子抜けであった。てっきりそのまま逃げられでもするかと考えたのだが。
　とにもかくにも、男が店内に入った事で状況の悪化は招かなかったが……。
　リセも中に戻ると、男を捜す。
　レジカウンターでは、店長が忙しそうに客の相手をしていた。
（……ん？　キサラは……？）
　さっきの場所にはいない。
　探している間に、男のほうの姿を先に捉えた。
　彼はしきりにレジの方を気にしているらしく、本人は普通に振舞っているフリをしているのだろうが、傍からみれば不自然極まりなかった。
　何せ、格好が格好でもあったのだ。
（なんでレジなんて見てるんだ……？　もしかして万引きでも企ててんのか……？）
　どこかで聞いたか、読んだ事がある。
　万引きをしようとしているヤツは、店に入って真っ先にレジの方を確認するのだそうだ。
（いろんなイミで目がはなせないな、アイツ……）
　と、リセが男を角の棚に身を隠すようにして見張っていると―――。
「ほらほら、じっとしてないで働いてね、キサラちゃんのお友達！」
　こつん、と後頭部を小突かれ、リセは前につんのめった。
　……店長の柳家である。
　いつのまにやら、レジの仕事から切り替わったらしい。
「す、すみません」
　一応謝ってから、リセは再び男を監視しようと視線を戻した―――が、男の姿はそこにない。
（げ、見失った―――？）
　と思ったら、彼は別の場所で、さっきとは別の方に見入っている。
　そこには移動した店長と、キサラの姿があった。
　二人で客の対応をしている。
「キサラ！」
　リセは長い髪の少女を呼んだ。
「え？　何、リセ」
　キサラが振り返る。
　その様子に男がびくり、とし、そそくさと彼女達から視線を外している。
（なんだ、こいつ―――）
　男はリセの、怪訝な目を垣間見たようだった。
　瞬間、はっとした表情をすると、店を出ていく。
「何よ？　何かあったの？」
「……ああ」
「あ、例の男の人は？　どう？　リセの探してる人だった……？」
　キサラは辺りを少し見渡してから、小声で問い掛けてきた。
「いや……っつか、お前……どこ行ってたんだ、さっき？」
「ん？　ちょっとお手洗い」
「……人がアアシイあいつに接近してたって時に……呑気にトイレって……まあ、そんなことはいいや。……なぁ、お前……」
「何？」
　幼さの残る笑顔で、キサラがきょとんとしている。
　彼女はの顔は、可愛いと言うならば素直にそうなのかもしれない。ただ、美人、という部類ではないが……。
　かといって万人がそれを肯定するかといえば、あまり確実ではない。
　要は普通。ただし、これはリセの独断と偏見である。
「……まさか、あいつ……ストーカー？」
「は？　ちょっと、リセってば急になぁに？」
「さっきのあいつ……なんかじーっとお前等のほうを……」
　リセは考えこんでいた。
　腕を組んで、棒立ちになり……。
　キサラは自分を指差して、
「……私？　まさか。私のストーカーって事はないでしょ。確かに自分でもちょっと可愛いかなーとか思っちゃうときもあるけど」
「そーだな、まさかそんなナルシーなガキんちょのストーカーするヤツはいねーよな」
「あーっ、ひっどい！　馬鹿にしたー」
「馬鹿にもするわ！　ったく、ホンットお気楽極楽娘だな。……とにかく、なんか俺の探してるヤツじゃあないみたいだったけど……」
「……ふーん、残念だったねぇ」
　キサラは表情を暗くして、自分も落ちこんだ風につぶやいている。
「それにしてもさ、それじゃあ一体何なんだろうね、あの人」
「さぁな」
　オミだったとしても、本屋であんな行動を取る理由などわからなかったが……。
「あ、もしかしてぇ、店長のストーカーだったりしてっ」
「へ？」
　キサラが唐突にそう言ったので、リセはマヌケな声をあげてしまった。
「店長の？」
　柳家はまぁ、美人である。
　それこそキサラと比べようものなら月とスッポン（……までとはいかないが、やはりリセの独断と偏見）だ。
　すらりと伸びた手足や、きゅっとしまったウエスト。キューティクルのキラキラ光る髪の毛なども魅力的だ。
「って、リセ……どーしてそう店長をじろじろ見てるのっ？」
「お前が、あの男は店長のストーカーだっていうからだろ？」
「あ、そーだっけ」
　と、キサラ。
「……月とスッポンじゃ表現がぬるかったか……？」
「なんのこと？」
「お前と店長の比較」
「……ん？」
　キサラ『わからない』と首をかしげている。
「……まーどーでもいーことだし、気にするな？」
「……うん。まぁ、リセがそういうんなら……なんか気になるけど」
「人間ちいさな事を気にしすぎると、堕ちてくぞ」
　顔は不安そうなキサラをなだめ、リセはさっさと仕事……臨時の本屋店員に、戻る事にした。
　後ろで、キサラの台詞が聞こえている。
「リセの探してる人、やっぱりそう簡単には見つからないよねぇ……」






「……まぁ、店長のストーカーかもしれない、という可能性はあるんですが……どうやらオミではないようです」
「そうか」
　リセの淡々とした声に、機械を通した静かな言葉が返ってくる。
　夕刻―――正確に言うと、夕飯には遅すぎ、ちいさな子供ならばとうに夢の中にいるだろう時刻。
　リセは、自室である二〇四号室の畳の上に、例のヘヴンズの支給品パソコンを広げて、上司クァンヴァントとの定期連絡を取っていた。
　彼は、画面の向こう側でいつもにましてすまし顔である。
「引き続き捜索を頼む」
「了解」
「ところで、リセ」
　クァンヴァントは、何か思い出したかのように切り出した。
「君の今回の仕事についてだが……どうやら少し雲行きが怪しくなってきたぞ」
「……どういう事ですか？」
「本来、ヘヴンズの任務は一般人には極秘事項だろう？　場合によっては一般人に協力を求める事もあるのだが、君の件の捜査は前述した通りの極秘事項に属する。……しかし、どうやら漏れているらしい」
「……って、オミのことが……ですか？」
「ああ。……というのは、物騒なことに、我々ヘヴンズの人間がオミを捕獲しようと動いているとは違って―――オミを悪用しようと企んでいる輩がいるようなのだ。ついさっき報告が入ってな」
「悪用って……オミをどう悪用できるんです？」
「…………」
　モニタに映る上司の表情が硬くなった。元からそれほど温和な顔の作りだというわけではないが、眉間にしわの寄ったそのなんとも言い難い険しげな目に、リセは一瞬息を飲む。
「部長、何か―――あるんですね？　オミに、まだ……秘密が」
「―――世間に広まると、厄介なハナシだ」
　そういうと、クァンヴァントはリセとの通信を『シークレット・フィールド』に設定した。
　いくつも張り巡らされている通信回線を限りなく少なくし、双方の会話をより親密にすることで盗聴などを防ぐシステムである。
「オミは、未知数の能力を持っているかもしれない、という危険人物だと言う事は、説明した通りだ。それと、もうひとつ。ヤツは……ヘヴンズリンクという俗名がある」
「……ゾクミョウ……」
「我々はオミという、恐らくヤツの『呼び名』である名前を使っているが―――本部はそう呼んでいる」
「ヘヴンズ……リンク、と？」
「リセ、本来我々が言うところの『天国』とは、どういうところか述べてみろ」
　リセは、その問いかけにいとも簡単に口を開いた。
　彼にとっては、別に難しい事ではない。これと同じ質問を、ヘヴンズ就職試験の時に目にした事もある。
「人間や天使、悪魔、全ての種にとって極楽浄土などと呼ばれている場所です。人間は古来から、死ねば魂はそこへ行けると考えていたようですね。花畑など美しい情景が、故人の著名画家作品などにも残されています。しかし……天国とは、あくまで想像上でしか存在しない架空の楽園を指すことが多い……」
「……その通りだ」
　満足だ、とでもいう風に、クァンヴァントは頷いた。
「しかし、一説には本当にその天国が存在した、というのもある……。考えられるとすれば、そこは我々天使族や悪魔族……異種族が地球へ降り立つ前に生活していたとされる異次元の一種のことだろう。その『天国』では、ヒトは誰であろうと幸福を手に入れ、それこそまさに魂が浄化されるかのような極楽を味わえる」
「……なんですか、それは……まるで中学生の噂のようなくだらないハナシですね」
「私もそう思う。我々異種族が地球に降り立つし以前にいた場所というのは、『天国』とは呼ばれていないし、そのような事実もない。しかし実際それを信じて、オミを悪用したがる連中が出て来てしまった」
「部長……いまいち話のスジがみえませんが」
「ああ……つまりだ。オミがヘヴンズリンクと呼ばれている由来なのだが……どうやらその極楽浄土だと信じられているほうの『天国』に、連れて行ってくれる能力をオミが持っている―――というのが、そもそもの噂の全貌らしい」
「って……ことは……要するに、オミを使ってその『天国』とやらに行きたいと思ってるヤツラも、オミを狙い出した……ってことですね」
「ああ。……私の言いたいことはわかるな、リセ？　気をつけろ。万が一の時は、君の能力（アビリティ）の使用は許可する」
「……アレ、ですか」
　ふぅ、ちいさく、リセは溜息をついた。
　アビリティ―――できれば、自分のそのアビリティと呼ばれるチカラは、任務であろうが頻繁には使いたくない代物だった。
　クァンヴァントはそれを承知の上で言っているのだろうか。だとしたら、相手は相当ヤバイ連中なのか。
　同じ「オミ＝ヘヴンズリンク」を追っているのだから、出会えば衝突は避けられないだろう。
　その時に備えて、という警告に違いない。
　それを確証付けるかのように、クァンヴァントは続けた。
「……君がオミを探しているという内部情報が、出まわってるという可能性もあるからな……もしかしたら最悪、向こうから手を出してくるやも……」
「そのオミを狙っている連中というのは、目星はついていますか？」
「…………あまり、こんな事はいいたくないのだが……」
　クァンヴァントの表情がまた変化した。これほど短時間に、彼の顔のしわがいろんな方に動くのを、リセはあまり見たことがない。
「その連中―――ヘヴンズの内部関係者が関与している疑いが強い」
「！」
「だから、気をつけて欲しいのだ、君に、な」
「……わかりました……では、容疑をかけられているヘヴンズの……」
「ああ、今からそのリストを送ろう。本部に連絡を回さなければならない……少し時間がかかるが」
「構いません……では、部長、また」
　
　プツリ。
　電源を切ると、狭い部屋にしーんとした冷たい空気が流れるのを感じる。
　隣に敷いたままになっている布団に仰向けに寝転がり、リセは天井の、例の埃がかった電灯を見つめた。
（……支部のエアコン修理代にしちゃあ、高くつきすぎないか？　この任務）
　とは思えど、まさか口に出してはこんなこと、言えるわけが無かった。あの、険しい顔のクァンヴァントには。


「……リセー、起きてる？」
「……あ？」
　暫くぼんやりと布団の上にそんな風にしていたリセは、声の聞こえた押入れのふすまを見やる。
　もう条件反射というべきか、そこに誰がいるのかなど、わざわざ考える必要はなくなっていた。
「キサラ、なんの用だ？」
　咎める気力も起こらない。
「えへへー。ちょっとつきあってくれない？」
「何に？」
　……と聞いてから、すぐにその問いが不必要なことに気がついた。
　押入れの穴から出てきたキサラの手に、『みかん』と大きく書かれた箱が抱えられている。
「実家からいっぱい届いてたの。私一人じゃ食べられないし、リセもたべよーよ」
「……はいはい。いつまでもそこに四つん這いになってないで、入ったら？」
　リセは布団を片し始めた。そんな彼の行動に、キサラは少し目を大きくして、
「……なんか……リセ……いつもみたいに小言いわないの？」
「お前のやってることにいちいち突っ込んでたら、声が枯れそうだからな」
　折りたたみの机を組み立てて、もう一言付け加える。
「たまには、ま、隣人としてつきあってやる」
「……まー、えらそーなんだから」
　いいながらもキサラは、うれしそうにみかんを取り出し始めた。


「ねえ、今日のあのアヤシイ人のことだけど」
「ストーカー？」
「うーん……あのね、やっぱ、店長のストーカーかも～とか、私心配になってきたんだよね」
「で？」
「だってさー、よくよく思い出してみたら、そういえばあの人前から店長と私が話ししてるとこ見つめてたりとか、レジ交代する時もずっと見てるし……ちょっと怖いかなーって」
「だから？」
「私達で、店長を守ってあげよ？　ね？」
「ね？　ってンな首を傾げられてもなぁ、俺だって仕事があるんだ。自分のシゴトが！」
「えー、でも、確かリセってその探している人見つけるまでお金が無いんだって、この間言ってなかった？」
「う、それは……」
　みかんの粒を口に入れようとしたその手が止まった。
「だからー、こう思うのよ。リセはお金がないでしょ。で、それを本屋のアルバイトでまかなうの。ンで、ついでに私と一緒に店長の護衛をする！　ホラ、完璧！」
「どこがだっ？　俺の仕事はどーなる？　完全に本屋の店員業しかしてないだろーが、それっ！」
「店員業だけじゃなくてボディガードもしてるじゃない」
「いいか、確認しとくぞ？　俺の仕事はヒ・ト・サ・ガ・シ！」
「大丈夫だってばー。本屋に来る人とかをじーっと探してればそのうちみつかるよぅ」
　キサラは二つ目のみかんに手を伸ばし、ついでに顔をぐん、とリセに寄せて言いきった。
「……本屋、ね……」
　彼女の迫力に負けた、というよりは、妙に言い分に納得しそうになるリセ。
　言われてみれば、本屋でその仕事を手伝うのは一石二鳥かもしれない。
（まぁ、悪くないか……やってみる価値はあるかもしれないな。もしかしたら、万が一にでも……そこにオミらしき人物がやってくるかもしれない）
「…………そーだな……まー……店長の護衛も兼ねて、やってみても……いーけど」
　なんとなくしぶしぶと承諾すると、キサラは瞳を輝かせ、
「良かったー！　あのね、さっき店長に電話しといたんだ！　強力なボディーガード一人確保しといたよって！」
「コラ待て！　勝手にそーいう事やるな！　しかも確保ってなんだ、確保って！」
「まーまー、この際どーでもいーじゃない」
「良かないわ！」
「……そんなに怒らなくったって～……ねーお願いっ！　私、いろいろ普段、店長にお世話になってるんだもん……ちょっとくらい、恩返し手伝ってよぅ～」
「世話～？」
　たしかにかけてそうだ……なんて野暮な事は口には出さないが。
「どーいう世話かけてるんだ、お前」
「それがねー、はじめてのバイトのときは本棚丸ごとひっくり返しちゃって、そいでやっと慣れてきた頃にはニセ札を使われちゃったの気付かなくって……あと貧血で倒れた時なんか一週間も看病してもらっちゃって……」
「……待て」
　リセは半眼になった。
「どーやったら本棚丸ごとひっくり返せるんだ？　ニセ札はともかく……お前貧血で一週間ってなんかおかしくないかっ？」
「……やーね、リセってば……女の子っていったらいろいろ……あるでしょっ」
　珍しく、照れた様子でキサラがもじもじと突っ込んできた。
　リセは、はっ、と気付くと「あ、そうか」と口走ったが……。
「でもやっぱおかしくないか？　一週間？」
「もーいーじゃないのー。そーいうことはー」
「……いーけど……」
　いまいち腑に落ちない。
「話題をかえましょ、話題」
「……んー……」
　みかんを頬張りながら、リセは唸った。
「そーいやお前の実家って、農園かなんかやってンの？」
「え？　うち？」
　と、キサラ。
「うん、田舎の方でね。　でも農園っていうか……うーん、農園、なのかなぁ……？」
「なんだそりゃ」
「あのね、私もあーんまりよくは知らないんだけど、私のお父さんとお母さんは昔むかし……」
「おいおい、まさかこれからお前の両親の恋愛話でもはじめるつもりか～……？」
「ききたい？　ききたいでしょっ？」
「ぜんっぜん」
　胸躍らせるキサラに、力いっぱい拒否する。
　キサラがその一言に、
「えー、なによぉ！　こんな珍しい話は他じゃちょっと聞けないわよ」
　……と言いかけて、終わらない内に―――

ドォォォォッッ！

　突然―――その音は、二人の座っている畳を上下に揺るがして轟いた。
「きゃぁっ？」
「地震……っ？」
　頭を抱えて、体をくの字に折ったキサラをかばいながら、リセが叫んだ。
　間髪いれずに、ヒュッ！という風の音がして……、二人の体が急降下する。
「ちょ……」
「……うそだろーっ！」

　二〇四号室は、その時床ごと崩れ始めていたのだ。



[[NEXT…Heavens Link ! （旧）　act.4&gt;Heavens Link ! （旧）　act.4]]
[[PREV…Heavens Link ! （旧）　act.2&gt;Heavens Link ! （旧）　act.2]]


&amp;link_up()

----    </description>
    <dc:date>2008-04-12T18:21:39+09:00</dc:date>
    <utime>1207992099</utime>
  </item>
  </rdf:RDF>
