第一羽…「目覚め-Wake-」

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第一羽…「目覚め-Wake-」 - (2010/06/05 (土) 03:12:14) のソース

 
――彼此何年経ったのだろうか…? 
…此処は何処?周囲には薬の臭いと血腥い空気が立ち込めていた。 
『――……?』 
…視界が暗く、何処か分からなかった。顔には目隠しの様なモノを嵌められていて、視界を遮られている…。 
『…ッ。』 
其れだけじゃなく、手足にも何か嵌められてる…。身動きは100%無理の状態だった…。 
場所だけでも確認したい所だけど…。其れも無理に近い…。取り敢えず、体勢維持するしかない…。 
 
…暫くして、扉の開く音が微かに聴こえた気がする。其の後、閉まる音も聴こえた様な…。 
ウィーン…、カシャーン…。 
…誰か来たのだろうか?一体誰が…?相変わらず、身震いしてしまう。 
……コツ…コツ……。 
…足音が聴こえる。…ハイヒールを履いて歩く音が周囲に響く。 
音が段々、近くに聴こえて来る…!此方に接近して来てるのが其の音で確認出来た…! 
『…?』 
…足音は至近距離(?)に近付いた所で途絶えた。暫くは何も聴こえなくなった…。 
『…ッ?』 
…何で急に足音が途絶え――。  
 
…カタカタ。バシュッ…、ビビビ…。…ピロピロ。 
何かを動かす音が間近で聴こえた…!?…何の音?…変な音だ。 
…ピーーーーッ。バシュッ…、バシュッ…。カチィ…。 
『…!?』 
何かが外れた音が…!?…何か身が軽い様な…? 
『……ッ!?』  
…突然目隠ししていたモノが外れ、足元に落ちる。 
『…ッ!!?』 
一体何が起きて…!?視界が急に明るくなり、咄嗟に目を覆う…! 
『…うっ。眩しいぃ…!』  
…長時間暗がりで過ごしてたら、眩しいのは当然だろう。  
…まぁ、其れは置いて置いて。少し間を置いて、目を開けて見る…! 
 
…薄らと視界が見えて来る。…其処は?  
一度は目にした事のある四角く、狭い空間が拡がっていた…。  
『…此処は?何処かしら?』 
…言葉は多分、其れしか言えないかも。 
辺りを見回して見るが、其処には自分の腰掛ける手術台(?)とか、何かの機械とかしかない…。
『…一体此処は何処なの?何故私…、此処に居るんだろ…!?』 
…ジャリッ。 
『…あ。』 
…目隠しは外れても、手は動かせるけど…、足が自由になった訳じゃなかった。
『…う~ん。…パスコード式みた…い?』 
何でこういう系統は…?パスコード式なのよ!? 
『…て言うか。パスコードってのは何処にあるし…。』
…見た所パスコードらしきモノなんて、見当たらないのが現実。 
『…誰よ!?こんな面倒なモノを作ったのはぁ…!!?』 
…はい。其れ系統の職人ですね。 
『…って。そんな事言ってる場合じゃない。』 
 
気を取り直して、辺りを隈なく探した…。見落とさない様に。 
足は鎖には繋がれてるけど、部屋中は移動出来た…。随分長い鎖だと思う…! 
『…この鎖意味ある訳?…無いよね、絶対。』 
部屋をうろうろしながら、色々探して見るが…?見つからない…。 
『…何で無いのよぉ!?…うわぁ、もう最悪。』 
…ある意味絶望ムードに為り掛け、諦めて近くにあった何かに腰掛けたら? 
ビビッ…。カタカタ…、ピロロッ…。 
急に機械っぽいのが起動した…!?あ、此れ…?パソコンじゃん。 
『…ちょっ、パソコンじゃん。此れ…。』 
 
…あ、そうか!…パスコードって。此れで検索出来るとか? 
『…そう言えば。さっき誰かが来て、何かしてたのって?此れだったりして?』 
予想が合ってるかは気にせず、まず行動しよう。考えてる場合じゃない。 
『…一か八かよね。こういうのはさ…!』 
パソコンのキーボードに手を伸ばし、指を乗せ、キーを打つ。 
『…えーと。どのファイルだろ?』 
…画面には色んなファイルが掲載してる様子。でも、どのファイルにあるのだろう…? 
『…ちょっ。…どれなのよぉ!?』 
…取り敢えず、一つずつクリックして見る。 
カチィ…。 
『Σ…何よ!?此れぇえ…!!?』 
…どう見ても、グラビアアイドルの画像集にしか見えない。誰だよ?こんな趣味者は…!? 
『…もう。…次往こう、次!』 
カチィ…。次のをクリックする。 
『Σぶっ…。…次!』 
…とにかく、クリックして、ファイルを確認する。 
『…ッ。ろくなファイル無いじゃない…!誰のパソコンよぉ…!?』 
…はい。あの博士のだよ!
 
クリックし捲る。指が正直疲れて来た頃…。 
『…好い加減、疲れた。見つから無いじゃない!』 
…残すは何気に怪しいアイコン(?)のファイルのみ。 
『…どう見ても、怪しいわね?このファイル…。』 
開けるべき?開けぬべき?いや、開けるしかない。この状況的に…! 
 
…一息してから、マウスでファイルにカーソル合わせ、クリックする。 
『…ゴクリ。』
カチィ…。ウィーン…、カタカタ…。 
処理音が響く…。画面が変わった…!? 
『Σ…こ、此れは!!?』 
其処には…?手術台で眠る自分が映る映像が映し出された…!? 
『Σ…う、嘘ッ!?…此れ、私!?』 
驚くのも無理はない…。…だが何度見ても…、其れは自分だった。 
『…そんなぁ!?…嘘でしょ!?』 
少し硬直しそうな身体を支えながら、何かを探した…!?  
『…ううっ。…嘘よ!?』 
 
…探して、向かったのは『鏡』。
そして、鏡の前に立ち、自分の姿を見た。 
『Σ――…ッ!?』 
…言葉にならなかった。…そんな事あって好いのか? 
『Σ…うっ、うぁあああああああああああっ!!!!!』 
…思い出した。…何もかも…!あの時の…事を。 
『…私、あの時に!…捕まって…!?』 
鏡に映る自分の姿を見ながら、呟く…。 
『…私は。『Dr.フェニックス』って博士に…!?』 
…髪は金茶色だったのに、色を失い、淡い海水の様な色に。 
『…信じたくない。でも…。』 
…此れは変え様の無い事実だった。鏡に映る姿が其れを物語っていた…。 
『…ッ』 
…拳を握り締め、顔を歪ませる。 
…何で自分が?…こんな目に遭うの?そう頭では浮かんで離れなかった…。 
『…何で、こんな目に!?…ううっ。』 
何よりも乙女としては信じ難い程、屈辱な額の大きな×印の傷が痛々しかった…。 
『Σ…ッ!!!!』 
バリィィィン…! 
…鏡に近くにあったモノを投げ付けた。 
 
鏡は音を立てて、崩れ落ちる。 
『…見たくない!…こんな姿見たくないよ!』 
 
チャリ…。  
足元に何かが落ち、光っていた…。 
『…ううっ。……?』 
足元で光る何かに目を向けると…?其処には…?  
『Σ…ん?…プ、プレート?』 
…小さな金属加工されたアクセサリーサイズのプレートが足元に落ちていた。 
『…こ、此れは!…『被験者番号』が書かれた奴じゃない!?』 
…そう。其れは被験者番号が書かれたプレートである…!彼女がしていたモノでした。 
『…何で此れが此処に?』 
…プレートには『被験者番号-010-』と書かれていた。 
『…被験者番号…-010-かぁ。』 

…被験者番号-010-。…何か忘れてる様な気が…。 
『……あ!!!!!!』 
…番号、…パス…パスコード。 
『Σそうそう…!パスコード探してたのよ…!忘れてたし…。』 
…しっかりして下さい。 
 
当たって砕けろ思考で、プレートに書かれた番号を鎖に付属の機具に入力して見る。 
『…遣る価値はあるでしょ。きっと…。』 
 
ピピピ…。カチャリ…。
『Σおっ…!?』 
ポロッ…。カランカラン…。 
解除音と共に足に嵌まったモノが外れた…! 
『Σ…か、解除出来たぁあああああああああああああああああ!!!!!』 
…もう縛るモノは何もない。彼女は解放されたのである…! 
『…逃げよう。…此れ以上こんな所には居たくない!』 
…逃げなければ、ずっと居たら、何されるか分からない!? 
『Σ…早く逃げよう!…もう最悪な事はされたくないもんね!』 
彼女は此処から逃げる事を決意する…! 
『Σあ、其の前に…。脱出ルートを探さないと…!』 
…此処からが彼女の逃避行の始まりなのである。 
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