「ぐっ・・・・・ああああああ!!」 俺は炎の鳥に包まれ、全身を焼かれている。体が熱い。だが、俺はそこから脱出できないでいた。 「アリウスっ!!どうして逃げないんだよ!!」 「確かさっき・・・・・・体が動かないって・・・・・・」 「まずい!!早く助けないと!!」 ルークは俺のほうに向かって走って来た。 「アリウスーーーーーっ!!!」 そうルークが叫んだかと思った瞬間、俺は体を抱きかかえられ、炎の鳥から脱出することができた。 「ルーク!!お前、なんて無茶を・・・・・・」 「馬鹿、自分の心配をしろよ・・・・・・大丈夫、怪我はしてないよ。それよりお前は大丈夫なのか?」 「ああ・・・・・・まだ死にはしないさ。体が全く動かないけどな・・・・・・」 「もしかして・・・・・・何度も無茶して強い魔法を使ったからじゃないかな・・・・・・?」 確かに、今回の俺の魔法の使用量は半端ではなかった。この塔を探し出すために使ったレンディル・ストーム、この部屋に入るために使った浮遊の風。 そしてついさっき使った牙流双烈波。恐らく、強力な魔法を使いすぎたせいで魔力が尽き、体に限界が来たのだろう。 「やっぱり無理しすぎたんだよ!!ルーク、アリウスを離れた場所に!!」 「ああ、分かってる!アリウス、少し休んどけ!」 そう言ってルークは俺を部屋の隅に運び、再び炎の鳥の前に立った。 「でもまずいな・・・・・・。アリウスが戦えないとなると、あいつに攻撃を当てることは・・・・・・」 そのとき、俺の目の前で二人に異変が起きた。 「な、なんだ・・・・・・呼吸が辛い・・・・・・」 「息が・・・・・・しづらい・・・・・・」 俺はその異変の原因がすぐわかった。自分も同じだから。なんとか話すことはできたので俺は二人に向かって叫んだ。 「まずい・・・・・・酸素不足だ!!こんな部屋の中でずっとあいつは燃えてるんだ、酸素が足りなくなって当たり前だ!ルーク、アルル。大丈夫か!?」 「私はなんとか大丈夫。・・・・・・え?ちょっと待って、酸素不足・・・・・・?炎の鳥は燃えてるんだよね・・・・・・そうだ!!アリウス、風の力を私に渡せない!?」 「わからない・・・・・・やってみるしか・・・・・・ないな」 俺は床に膝をついたまま、集中した。 「力よ・・・・・・我の内に眠りし風の力よ・・・・・・今一時の間我を離れ、力の持ち主を移せ!!」 そう唱えると風の力は俺から離れ、アルルの中に入っていった。 「アリウス・・・・・・ありがとう」 「アルル、来るぞ!!」 そうルークが叫んだ時、炎の鳥は二人に向かって襲い掛かってきた。 「すぐ・・・・・・開放してあげるからね・・・・・・」 そうアルルが優しく言うと、詠唱を始めた。強力な力を使うのだろう。 「俺だって、このくらいは役に立てるぜ・・・。ほれ、こっちだ!!かかって来い!!」 アルルが詠唱をしている間、ルークは炎の鳥を引き付けている。俺はその様子を離れて見ているしかなかった。 「風の根源となりし空気よ・・・・・・自然の摂理に逆らい、ここに今、新たなる風を生み出せ・・・・・・。ルーク、炎の鳥から離れて!!!」 そうアルルが言うと、ルークは炎の鳥から離れた。すると炎の鳥はアルルに向かって飛んで来た。 「アルル、危ない!!逃げろーーっ!!」 「大丈夫。ありがとうアリウス、心配してくれて。空気中成分の濃度調整・・・・・・行くよ!『CO2・ブラスト(シーオーツー・ブラスト)』!!」 アルルが放った風の波動は炎の鳥を貫いた。 「なるほどな。燃えるやつは炎を消せばそれで終わり、か。それで風の力で二酸化炭素の風を・・・・・・」 「自信はなかったんだけどね。なんとかうまく行ってよかった」 そのとき、再びあの鳴き声が聞こえてきた。 #comment [[19話]]へ戻る [[21話]]へ進む [[小説]]ページへ戻る [[トップページ]]へ戻る