ガンダムF フィナーレⅡ

「ガンダムF フィナーレⅡ」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ガンダムF フィナーレⅡ - (2008/09/08 (月) 22:08:18) の編集履歴(バックアップ)



「なんだ、カーネリアの妹か」
 という失望が、エウリュノメ・ソレルにとってエターナ・フレイルの全てであった。
彼女がその姉と共に出奔する際に、犯した罪を問うほどの関心はないのだが、
武を司るギィ・ギンガナムなどはこれを看過すべきではないと強く主張するのである。
 それをアグリッパ・メンテナーにまで交渉の道具として使えると後押しされれば、
この交渉の席で口にせざるを得ないのが女王たるエウリュノメの立場なのだ。
「貴公らの言うところのターンXな。あれは我がソレル・ブリゲードのものでな?」
 民主的に選ばれたという地球連邦政府の長の、その皺の多い顔を覗き込み、
王となるべくして生まれた種の女がどこか威圧的な笑みを浮かべる。
所詮、下々の顔色を窺ってきた王というのはこんなものなのかな、という感触。
この老人に覇気を感じられないのは、それだけ地球が疲弊しているのだと想像した。
 であれば、異邦人に対する貴重な戦力として、Xを返すという選択肢はあるまい。
MS一機と引き換えにどれだけの土地を確保できたものか――。
卓上に広げられた地球の地図を見下ろし、エウリュノメはコツコツとテーブルを叩く。
「サンベルトをいただければXについては不問とするが、どうか?」
「北米は我々の要衝であります、女王陛下。それを寄越せとおっしゃる」
「フン……? Xにはそれだけの価値があると思うがな、キャンベル中将殿」
 獅子の鬣のようなキャンベル中将の金髪を見やり、くつくつとエウリュノメが笑う。
獣が吠えるのは劣勢である証であろうと呟き、地球側の代表者たちを挑発した。
長旅を終え疲弊している今、武力衝突に至ればこちらとて痛手を被るとは思えど、
火遊びは危険であればある程に愉快なものだと心弾むのがエウリュノメという女だ。
 そういう気質を、かつての親衛隊長の妹がどこまで理解しているものだろうか。
引っ込み思案で目立たない娘であったなとエターナの能面のような顔を見詰め、
地球側に折れるよう説得する器量があるものかとアグリッパ・メンテナーは嘆息した。

「あは。これ、サイズぴったりですね。測ったみたい」
 パイロットスーツを着用し、鏡の前でくるりと回転してレイチェル・ランサムが笑う。
∀ガンダムに専用のスーツが用意されている事自体は、そうそう不思議な事ではない。
あの異常なまでの機動性を思い返せば、それ相応のものが必要だろうとは思うのだが。

ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。