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リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ まとめサイト Ver.2 @wikiVer.内検索 / 「メニュー」で検索した結果

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  • (26)637 『ある日の喫茶リゾナント』
    ...た。 そういえばメニューもたくさん増えたなぁ…。 テーブルに置かれたメニューに目をやり、ぼんやりとそんなことを思う。 一気にお客さんが減ったところで、私は静かに息を吐いた。 思えば、これまでいろんなことがあったな。 この喫茶リゾナントを継いで、仲間を集めて、闘って、笑ったり、泣いたり、怒ったり…全てが忘れられない時間で。 その全ては、仲間がいなきゃ味わえなかったものばかりだ。 私がおいしいコーヒーを作れるようになったのも、常連さんが増えたのも、メニューが増えたのも、全部みんながいたから出来たこと。 「今日は絵里が退院する日やっけ?」 「そうだよー」 「今ガキさんが迎えに行っとる」 難しい顔で本と睨めっこしながら答えるさゆに続いて、私も説明を付け足した。 「愛佳は?」 「今日は小春とお出かけ」 ...
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  • (29)856 『リゾナントは本日休業』
    ...てみたい。 店のメニューを口にすることは出来ないだろうけど、自慢の珈琲の香りを嗅いでみたい。 看板メニューのオムレツの鮮やかな黄金色を目に焼き付けたい。 今の私には感じることは出来ないだろうが、共鳴という絆が織り成す空間にこの身を置いてみたい。 優しい色の木の扉に手を掛けて開けようとする。 中にいる人間には独りでに扉が開いたように見えるだろうけど、それは風の悪戯ってことで。 アレッ、開かないや。 どうしてだろう。 まさか寝坊してるの。 この程度の扉なら私の正拳突きで突破出来るけど、それじゃ意味が無いし。 アレッ。 「本日休業」って書かれたボードが掛けてあるよ。 普通なら目に入るはずなんだけどね。 何でだろう、心が浮き立っていたのかな。 組織による作戦行動や襲撃は予定されて無かったから、出動ってことは無いと思う...
  • (40)078 『ことよろリゾナント』
    ...だいまの時間はフードメニューの提供はしておりません。" 「う~~~っ、さっむ~~~~~~っ!!」 まだ交代の時間にならんとかいな…。 愛ちゃんがそれを言い出しよったんは、ほんの何日か前の事やったと。 「年越しはリゾナントを営業して、甘酒も売るやよ!」 リゾナントの近くにはけっこう大きなお寺があって、毎年初詣には人出が多くなる。去年はみんな集まって年越しパーティーしよって、朝になってからみんなで初詣に行ったっちゃけど…。 この時期、絵里の誕生日にクリスマスと、イベントが目白押しで去年はその調子で年越しパーティーもやってたら…。正直、1月の遣り繰りがヤバかったと。 んで、去年はガキさんと絵里の成人祝いもやったし、今年はれなとさゆの成人祝いも控えよる。それに、小春の送別会もやった。 同じ調子でやってたら、去年以上にヤバくなると…。愛ちゃ...
  • (39)704 『サンタさんへの贈り物』
    ...頭の中はリゾナントのメニューでいっぱいだった。 「まだ出来てないもん!」 「もうご飯の時間だから後にしなさい」 「ご飯食べてたら暗くなっちゃうよ!」 角を曲がった時、男の子と女の人の声が聞こえた。 リゾナントのそばで男の子がお母さんにごねているようだった。 「いつもおいしいご飯作ってくれるお姉ちゃんにプレゼントあげるんだもん!」 その言葉に、絵里の頭にパッと愛ちゃんの顔が浮かんだ。 男の子のそばには、小さくも大きくもない雪玉が転がっていた。 「もう明日にしなさい」 「クリスマスが終わったらサンタさんじゃなくなっちゃうよ!」 「困ったわねぇ…」 気付いたら絵里は立ち止まっていて、頭の中は愛ちゃんやみんなでいっぱいだった。 「あ…あの!」 男の子とお母さんが同時に絵里の方を見る。 ...
  • (35)325 『motor game(前編)』
    ...悪いの~ガキさん、新メニューの試食をしてもらって~」 高橋は秋用に新作のデザートを考えており、閉店後新垣に試食を頼んでいた。 「それで、どうやろう?新作『気まぐれプリン』今日の昼に、絵里とサユに食べてもらったら絶賛だったんだけど。」 「うん・・・まあまあかな。かぼちゃのプリンってよくあるからインパクトが強いメニューが多い『リゾナント』ではぼんやりしちゃうかもね」 「厳しいの~ガキさん。でも、ありがとう。よし、もう少し頑張ろうかな」 ―何気ないあなたの表情や、仕草や、話し方で・・・私はあなたの心まで分かるようになっていた。 いつの間にか、私はあなたのことを誰よりも分かるようになっていた。 早速改良を重ねるためにキッチンに向かっていく高橋に向かって新垣が声をかけた 「愛ちゃん、今日はもうやめなよ。ほら、こんなに遅いんだし。明日でもいいじゃ...
  • (40)046 『変わらないモノ』
    ...店の度に注文する定番メニューをれいなへと告げる。 相手の顔を見ずにメニューを告げる、横柄とも言えなくもない態度。 だが、周りの人間はそれに慣れているのか。 れいなのオーダーを読み上げる声と、それを復唱する愛の声がリゾナントに響いた。 注文が出来るまでの間、小春は一切言葉を発することはなかった。 小春にも、そして―――ここに集う“仲間達”にも、それは常のこと。 自分から話を振ることもなければ、人の話に乗っかることもない小春。 それは、ともすれば仲間達に対して心を開いていないように捉えられかねなくもない。 だが、実際はそうではない。 気心が知れている仲間だと思うからこそ、小春はあまり自分のことを語らないのだ。 それは、小春が“月島きらり”というアイドルをやっていることに起因する。 アイドルである以上、どうしたって愛想を振...
  • (32)572 『スパイの憂鬱11 狂乱のリゾナント(前編)』
    ... 首をさすりながらメニューを抱えたれいながその集団を席へと案内していく。 逃げ出そうと思ったことを忘れ、里沙はぎこちない動きで元居た席へと戻っていく。 逃げ出せる訳がない、否、逃げ出したらどうなるか分からない。 内心、これは不味いことになったのだと呟かざるを得ない状況になった。 こんな話を聞いていたら、最初から具合が悪いから一日寝ていると予め連絡して部屋に閉じ籠もったというのに。 席に戻り、机に突っ伏す里沙。 喫茶リゾナントに現れた集団こそ、悪の超能力組織ダークネスの幹部達(変装済み)。 ご丁寧に、里沙の大切な人“以外”全員揃ってのお出ましである。 ―――新垣里沙に、かつてない程の憂鬱が襲いかかろうとしていた。
  • (25)128 『魔女が降らせた恋の雪』
    「うわ、さっぶ」 「ちょっとー、3月なのに雪降ってるよー?」 閉店後のリゾナント。 CLOSEDの札を下げようと開けたドアから冷たい風が入り込んで、 あーしと、その脇から一緒に空を見上げたガキさんは思わずため息をついた。 「先週はあったかかったんやけどなぁ」 「今週は寒くなったからねー。  桜の見頃も遅くなるって、ニュースで言ってたよ?」 「今週末にでも花見しようとか言っとったけど、中止やね」 「小春とか、きっと悔しがるね、お花見したいって」 ガキさんがくすくすと笑う。 どうにもならん天気に駄々こねる姿が簡単に想像できて、何か頬が緩む。 「…しっかしなんで雪なんて降るんかの」 いくらなんでも、もうすぐ4月。 雪、といっても積もる気配などまったく感じられない、チラチラ舞うだけのそれ。 吐きだした白い息が...
  • (29)656 『ツキシマ キラリ』
    『小春は可愛いからアイドルになれるよ』 『あいどる?』 『そう、綺麗な服着て、歌をうたったり、踊ったり、お芝居したりするの』 『こはるがアイドルになったら、ママうれしい?』 『すっごく、すっごく嬉しいよ』 買ったばかりの可愛い服を着せ、 鏡の前で愛おしそうに小春の髪を撫でる。 つい数年前まで母と暮らしていたはずなのに、 今思い出せる記憶は幼少時代のこの部分だけだった。 いつから均衡が崩れたのかは分からない。 気がつくと小春はいつも独りぼっちで、 身に纏うもの全てが偽りで創りあげられていた。 思い出そうとすると米神に痛みが走る。 耳を劈くような罵声、振り上げられる拳、ガラスの割れる音、骨の軋む感触。 あんたなんて産まなきゃよかった。あんたがいなければ私は幸せになれるのに。 残された言葉に、矢継ぎ早に代...
  • (41)138 『暑い夏のリンゴジュース』
      こんな暑い日にわざわざ会いに行くのは   このリンゴジュースを届ける為だ   決して 会いたくて行くわけじゃない   このリンゴジュースを届ける為に 会いに行くだけだ         ◇◆ 病院前に止まったバスから降りて、向かう先は彼女がいる病室。 足早に歩いてエレベーターに乗り、目的の階のボタンを押す。扉が開き、すぐに足を進めた。 病室の番号を口ずさみながら、彼女がいるであろう病室の前へとたどり着く。 扉を開ける前に一度だけ深呼吸をする。三日ぶりに会うことになり、少しだけ弾んでいた心を鎮める。 そして、扉を開けた。  「…さゆぅ~?」  「さゆやなくてれいなやけん」  「あ、れーなだぁ~」 うへへと笑うその顔は本当に嬉しそうで、自分もつい微笑んでしまうぐらいだった。  「でも珍しいね、れ...
  • (36)178 「かなしみ戦隊リゾナンターミラクルズ」~(36)777 「YAH!愛したい!」
    ...たなぁ→怪魚が今夜のメニューよ♪         【完璧だ!!!】 早速 船(第一共鳴丸)を借りて作戦開始                    ≪フィッシュ オン!!≫   リンリンを銜えた怪魚が跳ねる! あきらかになる『ごなつよ』のおぞましいその姿               あまりにも驚いたれいながいきなり・・・             「うわああああ!燃えろーーーーーーーー!!」 imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (panda.jpg) 「バウッ!?ちょっと待つダ!リンリンとワン子忘れてるダヨ」パンジュンが怪魚の腹に一撃        腹から吐き出された子犬とリンリンを 間一髪救い出す事に成功    今だとばかりに怒りの炎が怪魚...
  • (36)529 『暑い夏の伝言』
      夏の暑い季節   私はまだ 感謝の言葉も伝えていない   聴いてよ 伝えたい言葉はたくさんあるんだから           ◇◆ 病院前に着いたバスから降りて、足早に入り口へと歩を進めた。 外ではジリジリと太陽に照らされて暑いが、病院の中はとても快適で吹き出ていた汗も少しずつ消えてゆく。 すでに覚えている部屋番号を思い出すまでもなく、足は勝手に目的地へと進んでくれる。 エレベーターに乗り、目的の階のボタンを押した。 少ししてエレベーターは音が鳴ると共に目的の階へと着き、私は扉が開くと同時に外へ出た。 廊下をしばらく歩き、ある病室へとたどり着く。 私は中に入る前に扉の前で立ち止まり、一度だけ深呼吸をした。 そして、小さく声で自分に喝を入れ、横開きの扉を開けた。  「…絵里ー?起きてるー?」 ...
  • (32)378 『蒼の共鳴第二部-喫茶リゾナント、閉店-』
    『…本当にいいんだな』 「ええ、すいません、我が儘言って…」 『…記者会見には出ないのか?』 「休業ですから。 …あ、言われなくても分かってます…そう甘い世界じゃないことくらいは」 『…契約は未だ1年ある、休業がそれ以上に及ぶようなら…分かってるな?』 「はい。本当にお世話になりました」 携帯電話の終話ボタンを押す音が、静かな部屋に響く。 久住小春はしばし携帯電話のディスプレイを見つめた後、それを折り畳む。 港区某所に立つ高級賃貸マンション。 僅か16歳の少女が一人で住むには明らかに広すぎる3LDKの部屋は、既に大半の荷物が運び出された後だった。 小春は部屋を一瞥した後、ゆっくりとした足取りで玄関へと向かう。 静かな水面を思わせるかのようなその瞳からは、一切の感情を読み取ることは不可能だった。...
  • (36)201 『Have a good day!7~大好き!田中さん☆~』
    ――――PM 4 34 大型グッズショップ店内 日本には、八百長という言葉があるらしい。 八百長 → 事前に勝敗を決めておいた上で、互いに真剣勝負をしているふりをすること。 以前、日本の国技について勉強していた久住さんが、のど輪をかましながらそう教えてくれた。 なんで国技を勉強しててそんな言葉が出てきたのかは知らないが、 とにかくそういうこともあったな、というのを思い出したわけである。 そんな、協会から睨まれても仕方ないことをつらつら考えていると、 その思考に至った原因でもある田中さんが、再度私に話しかけてきた。 「どう、ジュンジュン。やってくれん?」 うーん、そうは言われてもなあ。 他ならぬ田中さんの頼みとあれば聞いてあげたいけど、道重さんだって一応あれでも大事な先輩だし。 助けを求めて周囲を見回しても、...
  • (40)310 『パニックデパート』
    初売りと言うには少し遅いが、そのデパートは福袋目当ての買い物客で賑わっていた。 リゾナンターの新垣里沙と亀井絵里も、福袋を求めて長い行列の後尾に並んでいた。 里沙の視界を黒い影が横切る。 目を凝らしてみると、黒覆面に黒い全身タイツを着た十数人の男達が行列の先頭付近にいる。 あの男達はダークネスの戦闘員!!ということは奴らを指揮するために幹部級の能力者もいる筈。 持ち前の鋭い洞察力で状況を判断した里沙は周囲を見回した。 この雑踏の中で戦闘員達を指揮するには、位置関係を把握しやすい高い場所。 今自分たちがいる1階の特別催事会場を見回せるとしたら・・・いた。 エスカレーターで2階に上がった辺りに、明らかに場違いな黒いドレスを着た女の姿が。 本来なら迷惑な筈なのに誰もが触れないのは、彼女が醸し出す闇のオーラに魅せられたのか、 それとも新春早々痛い...
  • (31)184 『ツキシマ キラリの追憶』
    光井愛佳は、喫茶「リゾナント」で、店に置いてあったファッション誌のページを開いていた。 それは、愛佳の年齢からするとやや対象年齢の高い雑誌ではあったが、そこに特集されていたのは、愛佳と同じ、まだ15歳のアイドルだった。 「月島きらり」 記事に曰く。 「年上の女性から見ても憧れるクールビューティー」 「神秘性すら漂わせる美しさ」 「芸能界入りを勧めたのは、今も全面的に活動を支援する美貌の母親」 「家族仲の良い、典型的な“お嬢様"タレント」 「現場では、上品で美しい母親にもファンがいるほど」 等々…。 そして、その「アイドル」であった「月島きらり」が、今度は初の映画に主演するのだと言う。 記事は「月島きらり」のグラビアと、本人のインタビュー、そして主演映画の監督のインタビューで構成されていた。 グラビアペー...
  • (41)145 『超能力戦隊(サイコフォース)リゾナンター・伝播』
    満月の夜。繁華街から離れた路地裏。 夜の喧騒や、人の灯りから離れていた、暗い通りだった。 ごく普通のOLである女性が、ほろ酔い気分で歩いている。 ある三流会社で事務を務めている彼女は、今日は何故か気分が優れなかった。 いつもの日々。いつもの日常ではあったが、苦手な酒が良く入った。 二桁まで飲み干し、閉店だと店員に起されなければあのまま深い眠りについていただろう。 一人で飲んでいたため、隣には身体を支えてくれる同僚すら居ない。 その内、女性は体勢を崩し、路上にも関わらず倒れこみそうになった。 そんな姿でさえも、辺りから見る者は誰も居ない。微かに酒の匂いを漂わせながら思う。 普段は仲良くやっているつもりでも、同じ人間でも断絶というのは必ずある。 寂しく思っていても、誰にも相手にされない事に胸が痛んだ。 溢れそうになる両眼のものを強引...
  • (39)758 (ヴァリアントハンター外伝リゾナント作2)
    辺り一帯の建物は最早、原型を留めてはいなかった。 崩れ落ちたビルの残骸、分断された道路。 生命の気配など一切感じられないその一帯に、たった一つだけ無傷の建物があった。 エヴォリューション。 全国に存在するヴァリアントハンターを統括するユニオンの本拠地であり、 所属人員は千人を超える地上地下合わせて53階にもなる高層ビルである。。 一人、また一人。 エヴォリューションを目指して歩く人間がいた。 その手には、鈍く輝く武器。 ただならぬ殺気をその身から迸らせた彼らこそ、異形を狩る者“ヴァリアント・ハンター”である。 エヴォリューション前にある広場には、既に多くのヴァリアントハンターが集結していた。 その数、およそ千人。 ハンター資格を得たばかりの新人から、ユニオン創立時よりハンターとして活動してきたベテラン、 ギル...
  • (30)720 『Have a good day!1~はっぴーでらっきーなサンデー~』
    ――――AM 7 37 正門前 すっごい人。 それがこの場所に着いて最初の感想だった。 きっと小春だけじゃなく、みんなもおんなじ気持ちだったと思う。 開門と同時に入場しようってことになったから早めに出てきたのに、先客が何百人もいたんだもん。 前に撮影で来た時はこんなに人はいなかった。 あ。ひょっとして、あの時の順調な撮影はスタッフさんの人知れぬ苦労とかがあってこそなのかも。 今度一緒になったら差し入れでもしてあげようかな。 ここは、富士京DEZUNIE動物公園。 「いろんなテーマパークのいいとこどりをしたみたい」って評判の、国内有数の大型遊園地だ。 小春たち9人は、その遊園地の開門を待つ入場列の中にいた。 はじめこそ予想以上の人の多さに圧倒されたけど、そんなことでテンション下がるほど うちらはヤワじゃない...
  • (42)397 『SINNERS~3.山気が立ちこめる~』
    「はい、これ着て」 そう言って手渡されたのは、煌びやかな蛍光ブルーのチャイナドレス。 スリットは控え目だけど、丈は完全に膝上だ。 伝統衣装というよりは、中華文化を勘違いした外国人などに受けそうな感じである。 「これ・・・私が着るんですか?」 「うん。組織のコンピュータにアクセスして顔写真調べてみたらね、ハワイ支部の幹部の  キムラって人の顔が琳によく似てたの。だから琳はその人に成りすませばいいと思って」 「ハワイ支部の人がチャイナドレス着るんですか」 「着てたよ?こんな地味なのじゃなくて、もっといい感じにいかがわしい赤のチャイナドレス」 この蛍光ブルーが地味と申すか! いちいち突っ込んでいたらきりがない。 琳は、素直にその服に着替えることにした。 こんなものまで用意するということは、純は本気で自分を脱走させようと...
  • (26)163 『黒い羊(2)』
    愛の眼が落ち着き無く宙を泳ぐ。本当に後藤は仕留められたのか…? と、その時、愛の耳元で後藤がささやいた。 「遅いよ、愛ちゃん」 愛が弾かれたように振り返ろうとする。しかし、粉々になった身体はそれに付いていくことができない。ギクシャクとした、不自然な動きで振り返ろうとする愛の両眼を、後藤の2本の指がえぐった。 「ぐわあああああ~ッ!!」 のけぞった愛が仰向けに瓦礫の中に倒れこむ。ドシャッ!!と全身の砕けた骨がきしむような音がし、口から鮮血が飛ぶ。 「ガハッ!!」 「愛ちゃん、あんなすごい『チカラ』があるのにねえ…、闘い方がヘタ。だから指2本にもやられちゃうんだよ…」 愛はシュー…、シュー…、と、荒い呼吸を繰り返している。 「…正直、あたしより上なんだよ、キミの『チカラ』は…」 (…れいな!!後藤は!?後藤はどこにいる…!?) ...
  • (39)631 『坂の上の亀』
    「亀井さん、お誕生日――おめでとうございます」 そう、亀井絵里の墓前で呟いた同行者は、なんとなく照れくさいような顔をしていた。 12月の風が添えられたガーベラを撫でている。 「冷えますね、今日は。ガーベラには気の毒だったかも知れません。元々は温暖な地方の花ですから」 違う花にすれば良かったかもしれない。と私が言うと、同行者―エリソン・P・カーメイ氏は流暢な日本語で気を使って下さった。 「しかしながら、亀井絵里にガーベラは相応しい花かもしれません」 「何故です?」 「日本では、ガーベラの別名をアフリカセンボンヤリというらしいですから」 ひょっとすると、カーメイ氏はアフリカセンボンヤリを「アフリカ船、ぼんやり」という意味だと勘違いしているのかもしれない。 そう考えると、確かにぼんやりしたアフリカの船というのは何となくだがしっくり...
  • (36)036 『ミティの受難』
    世界征服を目指し、日夜悪行三昧に精を出している悪の組織ダークネス。 7ヶ国に23の支部と60の出張所、78の連絡事務所を有し 創立11年の中堅勢力ながらも悪の組織業界第3位のシェアを誇る。 ただ第3位ということは、1位になれない問題点を抱えているということでもある。 幹部級の能力者の実力には定評があり、戦闘魔獣の改造技術においても注目されている。 戦闘員の戦闘能力にも大きな問題はない。 情報部門の弱さがもたらした市場のニーズと組織トップの認識の乖離こそが、業界のトップに手が届かない原因とされていた。 その状況を打破する為に、新たな能力者の獲得による戦闘部隊の再編、調査部門に精力を注入している途上にある。 とはいえ、本来の業務である悪事を怠るわけにもいかない。 今日も幹部ミティの率いる実行部隊、コードネーム“マッドドッグ”は、 悪の組織にとって永...
  • (40)403 『ひかれる星の顛末は新雪の道へ』
    あの日の想い出。 あの頃の自分と、あの頃にあった自分。 眩しい光と新しい日々。 何かが変わって欲しいと願い。何かが変わって欲しくないと願い。 信じて、確かめて、眩しい光に目を細める。 鮮やかな光に焦がれて、歩き出した自分。  胸の高鳴る場所へと。心はいつだって、其処にあるから。 だから歩くのだろう。だから、歩き続けるのだろう。 ―――チリン。 小さくなった微かな音色に、光井愛佳は目を開ける。 三人の小学生がバタバタと走り抜けていく所だった。 ひとりのランドセルに結ばれたお守りの鈴が、不規則なリズムで跳ねる。  「…ヤバ、寝てしもた」 揺れる心と同じリズムで、電車がガタガタと鳴っていた。 決まったレールの上を決まった時間に走る音。 いつもと変わらない空気と、親しい友人との笑い声。 眠...
  • (42)172 『SINNERS~1.一条の光~』
    中国東部の山間部。 人の出入りが厳しく制限されたその深緑の一画に、とある私設団体の所有する土地があった。 なんちゃらドーム何個分、とでも形容したくなるほどの広大な敷地に、大小さまざまな施設が並び建つ。 住居、教育機関、研究所、鍛錬場、処理場・・・・・・施設の名前を挙げ出したらきりがない。 ここは、中国全土から集められた超能力者を育成するための、“D”と呼ばれる組織が所有する区域。 真っ当な生き方をしている者など、ただの一人も存在しない場所だった。 異質な力は、人を遠ざけ人から遠ざかる。 この施設で生活しているのは、すでに帰る場所のない人間たちばかりだ。 孤児となって街を彷徨っていた所を組織の幹部に引き取られたり 組織の存在を知って自ら仲間入りを志願した故郷や両親を持たない者。 時には例外もあったが、ここにいる者は皆なんらかの孤独を...
  • (30)363 タイトルなし(道重さゆみ・久住小春生誕記念作)
    ―――道重さゆみは、悩んでいた。 主に自分に関することだが、解消するどころか思い溜息ばかりが吐き出される。 何かと想像をするのがさゆみの息抜きの一つなのだが、それすらも 出来ない状態に苛立ちだけが募っていく。  正直な話、さゆみは今後喫茶「リゾナント」に行くのを辞めようかと思っていたのだ。 喫茶店の常連客との会話は楽しいし、何よりも9人で集まった時は至福を感じている。 16歳の子から23歳までという年の離れた9人で結成された超能力者組織「リゾナンター」 としての自分も誇らしく思っていた。 全員が女の子という事もあり、何度も衝突したり、喧嘩をしたりもしたが それさえも自身に対する成長として受け止めていた。  それが今現在、さゆみに与えられたとんでもなく大きい影響である。 道重さゆみという人間の歴史には、人並みの幸福が全くと言...
  • (25)695 『絶対解ける問題 X=『G』』
    20090305 22 40 S区ラボ~拷問室 「グオオオオォォォォォン!」 電撃に晒され、苦しむ一匹のパンダ 「そろそろ白状して下さいよぉ、刃千吏の総本山の場所。パンダさん死んじゃいますよ?」 笑顔を浮かべながら電撃のコントローラーを握る白衣の女・・・Dr.マルシェ 「・・・断ワル」 モニターに映るマルシェを睨みつける鎖に繋がれた少女・・・銭淋 「殺さない、とか思ってるんじゃないですか?でもざ~んねん。  パンダさんの遺伝子取得と解析は済んだから用済みなんです」 更に電撃のボリュームを上げるマルシェ 「クッ、クワァァァァァァァァァァン!!!」 悲鳴に似た声を上げ、崩れ落ちるパンダ。徐々に人間の女の身体に戻っていく 「あぁ、もう限界みたいですねぇ・・・李純さん」 パンダから人間に戻った少女、李純の身体がビクンビクンと痙攣...
  • (39)640 『サプライズプレゼント』
    今日は絵里の誕生日だ。 なのに、絵里は病院のベッドの上にいる。 昨日は検査入院の日で、今日もまだ退院出来ずにいる。 もう検査は終わったのに、念のために今日も入院しなきゃいけないんだって。 「リゾナント行きたかったなぁ」 今日はリゾナントでもパーティーをするらしい。 絵里も行きたかったなぁ。 というか、主役がいないのにパーティーとかおかしくない? 主役はここにいますよー!! 誰かに届けばいいと思いながら、必死に心の中で叫んだ。 「せっかくの誕生日なのにぃ」 ぼやいてみても、返事をしてくれる人は誰もいない。 リゾナントの賑やかさに慣れてしまったせいか、ちょっとしたことで寂しく感じるようになってしまった。 「さゆ早くぅー」 ケーキ買って来てあげるからね、と言って昨日は帰って行った。 いつ来るんだろう。...
  • (27)126 『ヴァリアントハンター Ver.Ai Takahashi』
    「ガアアアアアアアアア!!!」 低く濁った咆吼が辺り一帯に木霊する。 その咆吼を上げているのは、2メートルを軽く超える異形の者。 赤黒い肌の色、異常発達した筋肉、血走った双眸…常人であれば、この姿を見た時点で腰を抜かすだろう。 異形の者が吠える度に、その全身から吹き出すのは青白い光だった。 その光は大気を切り裂く空気の刃と化し、常人の目では視認不可能な速度で“標的”へと放たれる。 黒い服に身を包んだ小柄な女性は、目に見えぬ刃を紙一重で回避した。 その動きは、まるで風に靡く柳の如く。 一切の無駄を感じさせない回避を見せながら、女性は両手に持った拳銃を構えて発砲した。 放たれた弾丸は、異形の者の全身を覆う淡く輝く“障壁”へと命中する。 刹那、弾丸は破砕し―――鮮やかな黄色の閃光が障壁へと炸裂した。 「…そろそろ終わり...
  • (30)906 『ヴァリアントハンター外伝(3)』
    ガラス越しに人間の声が聞こえ、ソレはわずかに目を開けた。 ソレは粘性を持った液体の中、複数のチューブに繋がれて眠っていた。 一体いつからここにいたのか、ソレ自身には判らない。 目が覚めた時にはすでにこの場所にいた。 それ以前の記憶はない。 ただ、今はまだその時ではないと誰かに言い聞かせられるように、ソレは眠っていた。 静かに。 無音という静寂の中を。 静謐な闇の中をたゆたうように。 ソレはさながら胎児のようなものだった。 ソレは胎児のような存在であるがゆえに、この世に再び生まれ落ちるその時を待っている。 胎動は静かに、しかし力強く、ソレが生きた存在であることを証明している。 人間の声が遠ざかり、ソレは再びまぶたを閉ざす。   *  *  * 東京都千代田区霞ヶ関、警視庁。 廊下の窓から外を窺うと、あたりはすっかり...
  • (37)163 モーニング戦隊リゾナンターR 第10話「ツキシマキラリの肖像」
    「A」に連れ去られるような形で、さゆみと絵里に別れを告げた愛。 次なる世界の行く先は…海辺に立てられた病院だった。 愛は何故かナース服を、一緒に世界を移動した「A」も白衣を身に着けている。 自分をさゆみ達の居た元の世界に戻すように「A」に迫ったが、お前の旅の行き先には関知しない、といなされる。 愛は看護婦として、「A」は検査技師として病院で働くことになる。 愛は久住小春という少女の担当になった。 カルテには外傷の後遺症による視力の減退とあるが、傍目にはさして支障があるようには見えない。 そんな小春の評判は最悪に近かった。 これまで彼女の担当になった看護婦の殆どが、3日と持たずに担当を外れていったという。 驕慢な小春に振り回される愛だったが、幼い子の声を聞いた時、彼女が優しい表情を見せていることに気づく。 子供が好きなんか、と話題を振...
  • (34)336 『Have a good day!6~リアル・スマイル~』
    ――――PM 13 41 ファイティングステージ 集合時間に遅れてきた三人をたっぷり注意してから昼食をとったら、もうだいぶ時間が過ぎていた。 移動時間と待ち時間短縮のために、お昼はわざわざピザにしたっていうのに。 あーあ、キャラクターがお出迎えしてくれるようなレストランに行きたかったなあ。 予約と予算の関係で、元々無理だったけどさー。 この無念さは、エイリアンでも倒して晴らそう。 そう思って、私はみんなをファイティングステージへ連れてきた。 このエリアは、屋内のゲームアトラクションが中心になっている。 そのほとんどがシューティングゲームみたいな個人得点を競うアトラクションだ。 激し過ぎずゆる過ぎずで、食後に遊ぶにはちょうどいいだろう。 私も午前中いろいろ振り回されて、ちょっと疲れてるところだし。 ・・・それにしても、なん...
  • (26)100 『黒い羊(1)』
    < 注 意 書 > 非情に残酷な描写を含みます。お子様には読ませないで下さい。女性もご注意を。 それは『予知されていない出来事』だったようだ。 その『悪魔』が眼前に現われた時…。高橋愛、田中れいなはもとより、『予知能力』を持つ光井愛佳までもが、驚愕の表情を隠せないでいた。 破壊され尽くしたビルの瓦礫が広がる、ここアメリカ、ロサンゼルスの一角。勢ぞろいしたリゾナンターたちの目の前に、巨大な鋼色の翼を持った悪魔が降り立った。 「愛ちゃん、れいな、久しぶり…。やっとアタシのところへ来てくれたのかと思ったけど…、その顔を見るとちょっと違うようだね」 後藤真希。その巨大な翼は彼女の強大な『念動力』の発現イメージであった。 『能力』を発動する時、その精神エネルギーをより効率的に集中する為、具象的な『イメージ』を脳裏に浮...
  • (39)915 『パスワード』
    ICU-集中治療室-の中で酸素マスクをつけ、何本ものチューブを体に突き刺された仲間を見ているのは痛々しかった。 青白い顔でベッドに横たわる絵里からは全くといっていいほど覇気が伝わってこない。 電子音が一定のリズムで短い音を刻み、緑色の線が波打つ。 それだけが、今、彼女が生きているという証だった。 愛は拳を握る。無理はさせていないつもりだった。 それでも、絵里の体は確実に蝕まれていた。 ―――― 蓄積された疲れが一気にでたんだろう。 医師がそういったとき、8人の表情は一段と険しくなる。 心当たりは、ありすぎるほどに、ある。 「山は越えたからもう心配いらないよ。 でも、もうちょっと絵里ちゃんには生活を考え直してもらう必要があるね。 場合によっては長期入院も免れない。分かってあげてくれるね、君たちなら」 初老を迎...
  • (36)817 『ヴァリアントハンター外伝(9)』
    中澤の直後に入って来た医師の診断で特に異常がないことを確認されてから、 れいなは改めてこの1ヶ月で激変したという世間の情勢を教えてもらうことになった。 「まずお前らが病院に担ぎ込まれた直後や。  "後藤真希"と外見的特徴が一致する人物によってエヴォリューションが襲撃された」 エヴォリューション。 日本におけるユニオンの本部とも呼べる施設だ。 「いや、襲撃っちゅー言葉は適切やないかもしれんな。  アイツは建物そのものにはたいした損壊も与えず、  ただ内部にいる特定の人間のみをほぼ全員"凍死"させた。  被害者は心臓の血液温度を一瞬で氷点下まで引き下げられ、  心臓と、それに伴う脳細胞の壊死で苦しむ間もない即死やったそうや」 不特定多数の人間の心臓のみを、それも外部から凍らせて死に至らし...
  • (34)091 『motor neuron』
    ある日マルシェはいつものように研究室に向かおうとしていた所を吉澤に呼び止められた。 「ちょっとマルシェいいか?」 「どうかしましたか?吉澤さん?何か新しい武器でも考えたんですか?」 吉澤はマルシェの肩に手をのせてじっとマルシェの目をみた 「あ、あの・・・吉澤さん?なんですか?」 「・・・マルシェ・・・お前、最近運動してないだろ?」 「・・・はい?」 気の抜けた返事をするマルシェと真剣な吉澤の間には明らかな温度差があった。 「だ・か・ら、お前最近ずっと研究室にこもりっぱなしだろ。それじゃ体に悪いぞ。昔は長距離得意だったの覚えているんだから。『スポーツの秋』だぞ。動かなきゃ」 「いえ、私は『食欲の秋』です。おいもがおいしんですよね~吉澤さん、今度一緒にさつま芋ケーキ食べに行きましょうよ~」 「おう、いいね!甘いもの大好きだからね~ってち...
  • (33)836 『ヴァリアントハンター外伝(4)』
    本来、ソレには人格があった。 生い立ち、名前、生涯。 だが今は記憶がない。 ただ、キオクというものがあったような感覚だけが脳のどこかに澱のように沈殿している。 しかし、その感覚もすでに薄れ始めていた。 誰かがいる。 自身の中に、別の誰かが。 その誰かはソレの人格を塗り潰し、徐々に、ゆっくりとソレを別の"誰か"へと変えていく。 抗う術はなかった。 ソレはただ、抗う意思すら奪われて、静かにガラスの中で眠る。 そうしてやがて、ソレの持つソレ"自身"は、周囲の液体に溶けるように霧散した。   *  *  * 『脊髄リンクオンライン』 アルエの音声と同時。 脊髄に挿入された針を通し、人工的な電気信号がじかに全神経を疾駆し、侵し、支配していく。 動脈から毛細血管に至るまで冷水に満た...
  • (40)175 『ヴァリアントハンター外伝(12)』
    瞬間移動で次の狙撃ポイントへ着地すると、足元がグラグラ揺れている。 姿勢を低くしつつ窓から外を覗うと、 ほんの数秒前まで自分たちがいたビルの屋上が上階部分ごと巨大な顎に噛み千切られたかのように消失していた。 この揺れはその衝撃の余波によるものだろう。 『チッ、さっきからちょこまかと五月蝿いなぁ……ッ!』 無線機越しに"後藤真希"の声をした"藤本美貴"の苛立ちが伝わってくる。 すでに十回の狙撃を行い、その全弾が敵の障壁の一点に着弾していた。 田中が聞いたさゆみからの情報によれば、"藤本美貴"は自分や絵里を殺さない方針に変えたそうだが、 徐々に攻撃の威力に容赦がなくなっている。 二人が確実に退避しているから――というわけでもなさそうだ。 邪魔をするなら消すという方針に再転換したのか、...
  • (29)468 『少年の瞳』
    久住小春は空港のホールを一人歩いていた。LAでの仕事を終え、たった今帰国したばかりである。担当マネージャーは現地メディアとの打ち合わせがあり、めずらしく単身での帰国となっていた。 「あれ!?『きらり』だ…!」 「ね、あれ、『月島きらり』じゃない?」 周囲から軽い驚きの声が上がる。しかし、『芸能人モード』ではない時の、小春特有の『クールなオーラ』の所為か、足早に歩く彼女に声を掛けられる者はいなかった。 ふと、ホールに別のざわめきが広がる。 何やら、騒々しい雰囲気を撒き散らしながら、あきらかに『暑い国』から帰ってきた風情の二人組みがホールへと入って来ていた。 イスラム圏の女性が着用する、民族衣装の黒い薄布のコート(アバヤ)を着込み、頭を包む為のスカーフ(シェイラ)を首に巻いている。 黒髪に大きな瞳、口元のホクロが印象的な女と、金髪にハー...
  • (37)221 「Sugao-flavor」
    ずっと昔。またはずっと未来。来ない日。来る日。ある日のこと。 言葉。嘘。本当。幻と現実。 闇は光を隠し、光は闇を映し。 闇が光を返せと問い詰め。光が闇を返せと問い詰める。 暗闇の使者は、夜空に浮かんで、光って消えた。臆病に笑って、卑屈に笑う。 何も確かなモノはないと。終わる事だけが、全てを失くす。 やがて太陽が空を焼き尽くす頃。 答えを求めて彷徨う少女は―――星の煌く夜に出会った。 午前十時。曇った空。灰色の雲。 相変わらず変な天気が続いている。 時季が時季のせいで唇がかさかさ乾き。左の頬に分かりづらいニキビが出来た。 あー、最悪。 1週間ぶりの授業も聞かず、久住小春はそんな事を気にしていた。 年明けに全国模試があるが、まぁなんとかなるだろうとぼんやり思う。 冬休みもほぼ仕事で潰れるのだろう。 ...
  • (43)122 『SINNERS~4.終幕のその先へ~』
    逃避行が終焉を迎えたことがわかっても、琳は冷静さを失わなかった。 瞬時に自分が今何をすべきなのか考える。 大丈夫。 計画していた通りに振る舞えばいい。 「痛みが二倍ってのは、どんな感じなんだろうなぁ」 「・・・どういうことですか」 粛清部隊のリーダーらしき男が話しかけてくる。 純を攻撃したのもこの男に違いない。 ・・・そう思うと、少し冷静さを欠きそうになった。 「監視の目をかいくぐって外に出るルートは一つしかないってことは知ってたか?  そこに罠が仕掛けられていたってことは?」 「言っている意味がわかりませんが」 「おまえらの通ってきたルートには、一時的な遠隔催眠の発生装置が仕掛けてあったのさ。 “お仕置き”のために、痛覚を通常の倍にする催眠装置がな。まさか、こんなにうまく  引っかかってくれるとは。仕掛けを考案し...
  • (30)482 『少年の瞳(3)』
    「あ~ん?誰だよ…?」 吉澤が、今さっきまで命のやり取りをしていたとは思えない、気の抜けた声を出す。 しかし、次の瞬間吉澤は再び“戦闘者”の表情になると、銃を構えなおしドアへと近づいた。 襲撃が想定される場合、ノックされたドアに正面から近づくのは危険だ。吉澤はセオリー通りドア横の壁際に立ち、一度ドアノブを回して音を立てて見せる。 …しかし、外からは何の反応も無い。 「うおおおおい!!誰だあ!?」 突然、面倒になったのか、吉澤が大声を上げる。小春の肩がビクっと動いた。 「俺っす!ヒロシっす!」 さっきの少年の声だ。 「あ~んだよぉ!今取り込み中だっつの!!」 「スンマセン!ちょっとだけでイイす!みんな集まったんで!」 「…みんな… って…え? なんだよ…?」 吉澤はいぶかしげにつぶやくと、右手でドアを少し開けて外を透かし...
  • (36)398 『ヴァリアントハンター外伝(8)』
    目の前で、小さな女の子が泣いていた。 空港だった。 女の子の傍らの床には、彼女の体躯には不釣合いなほど大きく膨らんだリュックが置かれている。 涙を溢れさせた大きな瞳は、やはり自分と同じ遺伝子を引いているのだろう、 泣いていながらそれでもどこか気の強そうな鋭さを持っている。 藤本れいな。 いや、今日からはもう田中れいなか。 美貴はこれから遠方の地へと養子へ出されるまだ三歳の妹を、 自身も泣きそうになるのをこらえながら、なだめるように抱きしめた。 父や母も姉妹の抱擁に混じり、「ごめんね、ごめんね」と呟きながら辛そうに顔を歪めている。 やがて遠慮がちに田中のおじさんが飛行機の搭乗時間が迫っていることを告げ、 れいなは気丈にも涙をぬぐい、笑顔を見せておじさんの手を掴んだ。 まだこんなに小さいのに、この子も自分の置かれた境遇は理解しているのだ。 ...
  • スレ別INDEX
    第25話 2009/03/24(火) 01 30 07.53 0 ~ 2009/04/14(火) 02 13 43.46 0 第26話 2009/04/14(火) 00 05 45.70 0 ~ 2009/05/08(金) 07 10 08.93 P 第27話 2009/05/07(木) 23 09 52.81 P ~ 2009/05/22(金) 20 01 45.79 O 第28話 2009/05/22(金) 22 39 59.60 0 ~ 2009/06/13(土) 00 24 08.08 0 第29話 2009/06/13(土) 08 33 52.25 0 ~ 2009/07/09(木) 12 48 59.88 0 第30話 2009/07/09(木) 09 25 44.92 0 ~ 2009/08/02(日) 17 49 40.51 0 第31話 2009/08/02(日) 14 ...
  • (17)447 『コードネーム「pepper」-ガイノイドは父の夢を見るか?-2 』
    第6話 : One for all all for one ここは、入り口のドアに「本日休業」の札が掛けられた喫茶店「リゾナント」の中。 リーダーの愛が、珍しく里沙を除き全員集合したリゾナンター達を前にしていた。 「どうしても全員なんですかぁ~? 小春、これから仕事なんだけど~」 小春が不機嫌そうに言う。 「今回の任務はリゾナンターの総力、全員でいきます。」愛が答える。 「日本の誇るロボット工学の権威、阿久悠博士が、警察庁、科学技術局の手により拘束されています。」「その所在を突き止め、我々の手で奪還します!」 「えええええ~!!」 メンバー全員が一斉にどよめく。 「ほえ~?それって、警察庁の総本山を敵にまわすって事ですか~?」 「でも、そもそもそれって誘拐だと思うの…。」 「ミッションインポッシボーてやっちゃね!まともに考えたら無理ったい!」 「無理...
  • (36)800 「友達(♀)が気に入っている男からの伝言」~(38)022 「無色透明なままで」
    (36)800 「友達(♀)が気に入っている男からの伝言」 2009/11/25(水) 08 45 01.62 0 (36)835 「パープルウインド」 2009/11/26(木) 07 27 55.71 0 (36)861 「女子かしまし物語3」 2009/11/27(金) 07 48 30.63 0 (36)956 「Yes!POCKY GIRLS」 2009/11/30(月) 20 26 13.27 0 (37)015 「卒業旅行~モーニング娘。旅立つ人に贈る唄~」 2009/12/01(火) 22 05 53.43 0 (37)048 「直感~時として恋は~」 2009/12/02(水) 21 53 36.07 0 (37)083 「「すごく好きなのに…ね」」 2009/12/03(木) 21 36 30.55 0 (37)117 「がんばっちゃえ!」 2009/12/04(金) ...
  • シリーズ作品INDEX
    絶対解ける問題(未完) 「俺」(未完) 四字熟語 BLUE PROMISES 蒼の共鳴 復讐と帰還(RとR) 黒い羊 少年の瞳 コードネーム「pepper」-ガイノイドは父の夢を見るか? Air on G 闇の桎梏・光の抗争(「海上の孤島」シリーズ) 雨 “未来”への反逆者たち 闘え!リゾナンター ヴァリアントハンター外伝 Have a good day! 「声」 「motor」 モーニング戦隊リゾナンターR(未完) SINNERS かなしみ戦隊リゾナンターミラクルズ (※各作品解説は用語wiki「シリーズ作品解説」の項より転載) 絶対解ける問題(未完)  起動中僅かに許された思考の中で“A”は考える。  私は誰なのか? 何のために生まれたのか?  ミッション遂行の最中に錯綜する記憶。  その引きの強さと緊迫した展開でスレ住人を魅了し続ける長編シリーズ。 ++...
  • (40)271 『ヴァリアントハンター外伝(14)』
    彼我の距離、956m。 南南西の風、秒速約1.7m。 誤差を修正。 呼吸は正常。 夜半だが、月明かりのおかげで対象は十分に捕捉可能。 肩づけで固定した銃身にブレもない。 発砲。 着弾を確認。 次の目標を捕捉、発砲。 次。そしてさらに次。 「こちら亀井。カメラや警備、逃走車両は全部潰したよ。後はよろしく愛ちゃん」 『了解』 三年前に出現した最後のヴァリアントによる未曾有の災害の爪痕が深く残る場所。 東京都西部の、まだ再開発の手が生き届いていない場所に絵里はいた。 伏射姿勢を崩し、少し肩や首を回して筋肉をほぐす。 敵状の監視も兼任していたとはいえ、流石に三時間以上同じ体勢を維持するのは骨が折れる仕事だ。 壁面の崩れたオフィスビルの屋上から、眼下に見える廃病院を"鷹の目"で俯瞰する。 すでに戦闘は...
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