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デレ&ヤン第一話 - (2008/01/16 (水) 23:28:31) のソース

117 :デレ&ヤン [sage] :2008/01/15(火) 19:22:03 ID:c3YyXhk/ 
俺の名前は裕(ゆう)。 
高校二年の男子生徒だ。 
家族構成は高3の京(みやこ)という姉が一人、中2の梢(こずえ)という妹が一人だ。 

京姐(”みやこねぇ”と俺は呼んでいる)は黒髪ロングストレートで、家の外では性格もよく、 
優しげな顔立ちと、175センチの長身とスレンダーな体つき(ただしバストも)で、 
どこに出しても恥ずかしくないモテモテの姉だ。 

梢の方は、150センチくらいと小柄で、やっぱり黒髪のツインテール。 
京姐とは違い、口数は少なく、毒吐きで急所を抉るタイプである。しかも”すぐにキレる”子だ。 
バストのほうは・・・ODAが必要かもしれない。 
いつも眠そうな目がツボに入るのか、彼女もモテモテである。 

両親はというと、母は五年前に他界し、父は俺が小学校に上がるころには、ほとんど家に寄り付かなくなっていた。 



118 :デレ&ヤン [sage] :2008/01/15(火) 19:23:33 ID:c3YyXhk/ 
「朝ご飯できてますよ、裕君。おきて下さい」 

京姐の微かな声に目を開けると、京姐の顔がアップで飛び込んでくる。 
横向きに寝ていた俺は、丸めていた背をのばし、さらにそれをもう一度丸めることで、 
柔道の寝技回避法「エビ」を繰り出し、京姐の突き出している唇を回避する。 

ゴン!! 

「ぐわぁっ!?」 

突如、後頭部を襲う痛みに悶絶する俺。 
ベッドは壁際に配置されており、「エビ」を繰り出せば確実にこうなるのだ。 

「ふふ。裕君、梢ちゃんが朝ご飯作ってくれていますから、早く着替えてきてくださいね?」 

京姐は楽しそうに笑うと、一階の居間に下りていった。 

「京姐は俺に何か恨み・・むしろ怨みでもあるのかな?」 

一人つぶやく俺。 
何しろ、京姐が起こしにくるときは、いつもキスをしようとしてくるのだ。 
で、俺はいつも「エビ」を使っては、頭を打ち付ける羽目になる。 
それでも、重度のシスコン(ちなみに姉にも妹にも)の俺は、 
キスを甘んじて受ける、という選択はなく、京姐を傷物にしないように、 
後頭部を打ち付ける毎日なのだ。 



119 :デレ&ヤン [sage] :2008/01/15(火) 19:24:14 ID:c3YyXhk/ 
一通りの準備をし、居間に下りると、お吸い物の木の芽の香りが鼻腔をくすぐる。 
自慢じゃないが、俺は食べ物にはうるさく、匂いを嗅いだだけで、 
ある程度の献立を予想することができる。 

「おはよう、京姐、梢!!今日のメニューは、お吸い物と塩鮭、りんごのトルタ、あとラピュタパンだろう!!?」 

俺は背景に稲妻を背負い、ピシャーン!!という効果音と共に、梢に指を突きつける。 

「おはよう、そうだよ」 

梢は、うるさいといわんばかりに言い捨て、食卓に着く。 
・・・目もあわせてくれない。 
俺はまたひとつ、心に傷を負った・・・。 

ちなみにトルタはイタリアかぶれの京姐の分で、和食は俺の分、 
ラピュタパンは梢のお気に入りである。・・・奇妙な取り合わせだ。 

「「「いただきます」」」 

家訓の皆でいただきますを済ませ、食事(京姐は食餌)に取り掛かる。 
京姐は、宅配ピザLサイズはある、巨大トルタを恍惚とした表情で貪り食っている。 
いつものことだが、あの体のどこに入っているんだろう? 
・・まぁ気にしないでおこう。 

そういえば梢は、トルタとラピュタパンと和食、三種類も用意するの大変だよなぁ。 

「そうだ、梢。俺も梢と同じメニューでいいぞ?和食って手間かかるし、 
三種類も用意するの大変だろう?」 

梢は目をパチクリとさせ、急に、恐る恐る、といった風になった。 

「でも・・兄は、それが・・好きなんだよね?」 

「あ、あぁ、俺は和食党だからな」 

慌てて答える俺。 
すると梢は、ホッとしたような顔になり・・・次に、鬼の顔になった。 

「だ、だったら、黙って食えぇー!!」 

梢が、気合と共に腕を一線すると、なにやら粉末状のものが俺を襲う。 

「は、ハックション!!・・・?・・・!!ギャー!!」 

粉は、ラピュタパン用の黒胡椒だったのだ。 
目はビリビリ、喉はカッカッ、鼻はダラダラだ。 
読者諸兄には、擬音しか使えない俺の状況を理解してほしい。 

「あっ!?兄!ゴメン!つい勢いで・・」 

謝辞より水を!釈明より目薬を! 

慌てている梢。恍惚のままの京姐。苦しむ俺。 
まさに、地獄絵図と化した朝食だった。 


120 :デレ&ヤン [sage] :2008/01/15(火) 19:27:05 ID:c3YyXhk/ 
京サイド 


今朝の裕君は、いつにも増して可愛い寝顔でした。 
あまりにも可愛いので、いつものようにキスしようとしたら、 
やっぱり避けられてしまいました。 
なんで避けるんでしょう? 
でも頭を打って悶えている裕君は可愛いので、許してあげます。 

あぁ、しかし、いけないいけないと思いつつも、 
梢ちゃんのドルチェ作戦には逆らえません。 
朝食の記憶はおいしいトルタのことばかりです。 
・・・ちょっと反省。 

気合を入れなおして泥棒退治をがんばります。 


梢サイド 


兄に、和食じゃなくてもいい、と言われ、 
不覚にもうろたえてしまった。 
せっかくの好物なんだから黙って食べてればいいのに・・・ 
でも胡椒はやりすぎたかなぁ? 

でも、京姉さんは、ドルチェに夢中だったから、 
「裕争奪戦朝の陣」は私の勝ちだね。 

さて、争奪戦は家の中だけだから、 
あとは協力だよ京姉さん。 
高校の泥棒猫を兄に近づけないでよね。 


投下終了