ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫 @ ウィキ内検索 / 「【楔】第一話」で検索した結果

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  • 【楔】
    【楔】第一話 【楔】第二話
  • 【楔】第一話
    819 :【楔】 ◆seRwt2jbbc [sage] :2009/01/07(水) 18 00 39 ID rx8mu9nu 私… もう我慢できない… あの醜い淫売に… 好きな人を汚されるのが…!!!    【楔】 俺は山芳高等学校に通う2年の七瀬由岐(ななせ ゆき)だ。 今日もいつも通り学校に向かう為にいつも通りの道を歩いている。…ん?あの後ろ姿は? 「よぉ!茉莉華!」 「…あ!由岐くん!おはよ♪」 こいつは俺と同じクラスの綾橋茉莉華(あやはし まりか)で、まぁ幼馴染みの間柄だな。 「ねえ♪由岐くんは昨日のあの番組は観た?」 「観た観たw俺的にはぐっ〇ん〇ーンが面白かったなw」 「あれは笑っちゃダメだけど笑っちゃうよね~♪」 そんな感じで昨日観た番組だとかの話しをしながら、いつも通りの時間が流れていく。 まさか…あ...
  • 【楔】第二話
    833 :【楔】 ◆seRwt2jbbc [sage] :2009/01/08(木) 01 25 21 ID NYsbUkXr 放課後になってようやく早苗も落ち着きを取り戻したが (結局午後の授業サボッちまったぜ…) 教室に戻った俺達は茉莉華に俺と早苗が付き合う事を告げると… 「ええ!?由岐くんと早苗ちゃんが付き合うの!?2人して中々帰って来ないから心配してたんだけど…」 「…うん?おめ…でとう…?ごめん!私、先に帰るね!」 この突然の出来事に茉莉華も素直に祝福してくれると思ったのに微妙な表情のまま走って帰ってしまった…。 俺達は茉莉華の様子が気になりながらも下校時間ギリギリまで教室で初デートは何処に行くかなど話し合いながら帰宅する事とした。 その帰宅の途中… 「ねぇ…手を繋ぎながら帰らない?」 早苗が顔を赤くしながら、そんな事を言うもんだから...
  • たくあん議長 ◆seRwt2jbbc氏
    【楔】
  • 第一話 「目覚め」
    249 :第一話 「目覚め」 1/11  ◆Thmxzr/sD.HF :2010/04/20(火) 05 36 22 ID mjRXjmEu 何度、この窓からこの景色を見ているのだろうか。 確かに素晴らしい眺めだし、少しずつ変化もある。 季節や時間で徐々に景色は移ろっていくし、 その中でここからではとても小さくゆっくりと動く 遠くの車、人、小舟などが見える。 この窓からの眺めは好きだ。 好きではあるのだが―― もう、とうの昔に見飽きてしまっている。 毎日これを見ているのだ。 でも他に時間を潰し、気を紛らわせるいい方法が無い。 時間があるなら本当は勉強などもした方が良いのかもしれない。 でも、やる気など起きるはずもない。 やりがいがない。 どうせ無駄になるのだから。 だから結局、窓の外を眺める。 特別な喜びなど何もないが、 それでもこの空だけは常に自...
  • 愛と憎しみ 第一話
    358 名前:愛と憎しみ 第一話 ◆O9I01f5myU[sage] 投稿日:2011/07/22(金) 21 43 30 ID BEYROaUY [2/6] 1  結末が知れている恋ではあった。  その日、一人の女の抱いていた恋心が儚く散った。  面と向かって拒絶されたわけではない。自分の想いを伝えられるだけ、まだその方が救われたかもしれないが、今の女の心境からすれば、その様なものは詮無い事だろう。  想いが胸で燻り続けている内に感じられていた。どんなに足掻こうとも、報われる事はないだろうと。その隣には誰かがいるのではないかと。自分が入る余裕なんて、既に失われているのではないかと。  それらの不安は的中していた。女が慕うその人は今まで見せた事もない頬笑みを浮かべながら、こう告げてきたのである。「子宝を授かった」と。  何時か宣告されるであろうと思っていたが、恋は終わりを迎え...
  • にゅむる前 第一話
    77 : ◆BbPDbxa6nE:2011/10/17(月) 22 48 19 ID LqvrHp2M 放課後の事である。 俺はいきなり話しかけられた、何の脈絡もなく。  「〝本の切り裂き魔(ブックスラッシャー)〟には気をつけてよ、礼」  「〝本の切り裂き魔(ブックスラッシャー)〟? ………なんだよ、その気味が悪い単語っていうか………中学二年生がつけそうな感じの造語は?」 高校生の間に学ぶモノと言えば、やはり一番に勉学であろう。 将来何のために使うんだよ、こんちきしょー、とか思いながら習わせられる意味不明な文字の配列や数学公式、元素記号に長文読解。 まぁ、意味不明な文字の配列(英語)に至っては、習っておいて損はないのかもしれないがともかく……めんどくさい。 しかし、めんどくさいと言って無視していいものではなく、周りからの圧力も受けつつ、大学入試のためにも励まなくてはいけない。……とかそうい...
  • あなたのために 第一話
    451 名前:あなたのために 第一話 ◆PLalu2rSa. [sage] 投稿日:2009/05/02(土) 12 49 52 ID Y7M3agut 「マサトくん、朝ですよ、起きて下さい」 私は出来るだけゆっくりと、マサトくんの身体をゆすってあげます。 マサトくんはすごく低血圧で朝が弱いので、間違っても叩き起こしたりしてはいけません。 「んー・・・?ミク・・・?」 マサトくんがゆっくりと瞳を開き、私の姿を認識してくれます。 寝ぼけ眼のマサトくんの顔はとっても眠そうで、それでも起こさなければならない事に、私は思わず罪悪感を抱いてしまいます。 「はい。おはようございます、マサトくん。そろそろ起きないと学校に遅刻してしまいますよ?」 「・・・眠い。もう少し寝ていちゃダメ・・・?」 温かい布団の中から、頭一つだけを出してマサトくんは私に懇願してきます。 マサトくんのお願いとあれば、私としてはそ...
  • 赤と緑と黒の話 第一話
    698 :赤と緑と黒の話 第一話 ◆BaopYMYofQ :2010/04/03(土) 23 18 18 ID TxU08vCn 「赤ちゃんができたの」 午後6時、誰もいない教室。教卓越しに俺の目の前に立っている、小柄な女子生徒はそう言った。 静寂。正午から降り始め、今はもう土砂降りとなった雨の水音と、俺自身の息を飲む音だけが聞こえる。 「………冗談、だよな?」 俺は静寂を裂き、喉の奥から搾り出すように小さく喋る。 だが背中には冷たい、嫌な汗の感触。心拍数がしだいに上がっていくのがよくわかる。 「本当よ。今、三ヶ月だって」 彼女-朝霧 湊はしかし俺の目を、光を宿していないような瞳でじっと見つめてそう答える。 愛おしそうに自らの腹部をさすり、頬を赤らめながら湊は微笑んだ。 「私、産むよ。先生との子供」 「な、なにを…」 「名前、何がいいかなぁ? 先生も一緒...
  • 変歴伝 第一話『路傍の花』
    120 名前:変歴伝 第一話『路傍の花』 ◆AW8HpW0FVA[sage] 投稿日:2011/10/22(土) 04 11 06 ID yQJJwSJ6 [2/10] 平安中期に出現した武士とは、元々は私有地の治安維持や貴族の身辺警護など、 本来であれば日の当たる事のない存在だった。 だが、律令の崩壊による地方の腐敗によって、 決して当たる事のなかった光が、二つの武家に当たった。 源氏と平氏、一方は東国で、一方は上皇に昵近して力を付けた両家は、 朝廷からその実力を評価され、王朝の社会不安の取り除く役割を担った。 時代は確実に、貴族から武士の世に移り変わろうとしていた。 これは、そんな時代の物語。 丹波国の豪族の子息である天田三郎業盛は、京に本拠を構える平清盛に仕えるべく、 山茶花が目に付くようになった山陰道を従者の赤井源蔵景正と共に歩いていた。 武家の名門である平家に、大した縁もない業...
  • わたしをはなさないで 第一話
    194 :わたしをはなさないで 第一話:2010/12/17(金) 01 37 37 ID 8uGlJG4D うちには拾って来たペットがいる 犬が二匹、猫が三匹、カメと女の子とが一匹ずつ アパートはペットOKとはいえ、一人暮らしのフリーターには餌代だってバカにならない なんだけど、どうしても我慢できずに拾ってきちゃうんだよなぁ エゴだとは思うけど、捨てられてるの見てるとやっぱりかわいそうでさ 「ワン!」 「ニャー」 「………」 「おなかすいたー!」 まったく、バイトから帰るなり飯の催促か 少しは温かく迎えて欲しいもんだがねぇ ………うん、何が言いたいかは分かる 今この場にポリスメンが居たら、俺はこれから三食税金で食わせてもらえる楽しい楽しい別荘行きだ けど、俺がこいつ―――古口夏樹(こぐちなつき)をここに住まわせてる理...
  • アヤツリ人形【第一話】
    206 名前:アヤツリ人形【第一話】  ◆S96vOI40zw [sage] 投稿日:2010/10/09(土) 03 04 55 ID 6gHj1X7Z 「あなたがいないと、私は死ぬらしいのです」 「…………は?」  思わず首を傾げた僕に対し、初対面であるはずの彼女は数回瞬きをしてから、 「あなたがいないと、私は死ぬらしいのです」  同じことを繰り返した。  いや、僕が聞き返したのは決して聞こえなかったからとかそういう理由じゃないんだけど。  BGMよろしく小鳥が背後で囀っている中、刺さるような彼女の視線から逃れるように視線を外し、 「悪いけど、何のことかさっぱりだから」  彼女が開口一番に言った言葉を聞いた直後から鳴り響いている警鐘に従い、僕は来た道を全力疾走で駆け戻った。  困っている女の子を助けないというのは基本許せないたちなのだが、彼女の場合はどう...
  • 第一話『コントラクター・再会』
    809 :ワイヤード 第一話 ◆.DrVLAlxBI [sage] :2008/10/10(金) 20 08 53 ID r9yyjKLi 第一話『コントラクター・再会』 ある意味では予知夢というものだろうか。 鷹野 千歳(たかの ちとせ)は、何の超能力も持たない普通の高校生だったが、この夜、確実に彼の夢は過去と現在を、そして未来を繋いでいた。 「ねぇちーちゃん、ちーちゃんのゆめはなに?」 「おれのゆめか……まだ、ないなぁ。そういういっちゃんはどうなのさ」 「え~。おしえてほしい?」 「いや、いいたくないならいい」 「ま、まってよぅ! いうからおいてかないで!」 「べつにおいていこうとしてるわけじゃない。いっちゃんがもったいぶるから、きかないほうがいいかとおもった」 「ぅ……ううん……。いいたくないわけじゃないよ。でも、ちーちゃんのこたえがこわかったの」 「おれがか...
  • 愛の亡者と金の亡者 第一話
    588 :愛の亡者と金の亡者:2010/01/31(日) 02 26 17 ID Kg6V6l3R 俺の青春ってなんだろう 身寄りもなく、元々経営難だったが遂に限界を迎え、高校に通う前に潰れた孤児院にも、当然ながら戻れない。 孤児院の友人は皆何処かの家に引き取られ、残ったのは院長が俺の将来の為に遺してくれていたほんの僅かな親の財産だけ。 高校は、必死になって猛勉強して奨学金で通えるようになった。 が、それだけでは何にもならない。 毎日毎日アルバイトに明け暮れる日々。 一時は高校も辞めようかとも考えたが、将来的な事も考えて踏み留まっている状態が一年と半年間も続くと、 青春なんて、そんな疑問も薄れてくる。 金、金、金、金、金。 金を求めて何が悪い。 一時は荒れた時期もあったが、それも虚しいだけだった。 暴力を振るい、誰かを傷つけ地...
  • ラ・フェ・アンサングランテ 第一話
    659 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第一話】   ◆AJg91T1vXs :2010/11/06(土) 00 07 43 ID N323y57t  そこは、どこにでもある小さな町の酒場だった。  夕暮れ時だというのに、酒場の中には数人の客しかいなかった。  決して小さな店ではないが、客足は店の大きさに反して悪いようだ。 ―――― カラン、カラン……。  扉につけられた鈴が鳴り、新しく客が入って来たことを告げた。 「いらっしゃいませ……」  マスターが、店に入って来た青年の方を一瞬だけ向いて言った。  客には興味がないのか、それとも単にあれはあれで忙しいだけなのか。  青年がカウンターに座った後も、マスターは手にしたグラスを磨いているだけだった。 「あの……」  持っていた鞄を足元に置き、青年がマスタ...
  • 星屑ディペンデンス 第一話
    147 :星屑ディペンデンス 第一話 ◆TvNZI.MfJE:2012/03/26(月) 17 24 18 ID cIlpiggY もしも、魔法が使えたら。 それは、誰しもが一度は思い描く夢である。 絵本や御伽噺、最近であればアニメやゲーム。 何時の時代も、それは人間の空想の中心にある。 幼い頃、布団に入ってから寝るまで、魔法使いの夢を見た人も多い筈だ。 もちろん、魔法について夢想するのは子供だけ、と決まっている訳では無い。 口に出さずとも、頭の中ではファンタジーな世界が展開している人というのは結構居るものだ。 そういった人達が小説や漫画といった物を産み出すのだから当然といえば当然だが。 かくいう俺も、そんな人間の1人だった。 小さい頃から、いつもそんな事ばかり考えていた。 順調に厨二病の道を歩んでいたが、普段は普通に振舞っていた為、周りには結構友達も居た。 高校に入学し、文芸部に所属した...
  • ラ・フェ・アンサングラント 第一話
    659 :ラ・フェ・アンサングラント 【第一話】   ◆AJg91T1vXs :2010/11/06(土) 00 07 43 ID N323y57t  そこは、どこにでもある小さな町の酒場だった。  夕暮れ時だというのに、酒場の中には数人の客しかいなかった。  決して小さな店ではないが、客足は店の大きさに反して悪いようだ。 ―――― カラン、カラン……。  扉につけられた鈴が鳴り、新しく客が入って来たことを告げた。 「いらっしゃいませ……」  マスターが、店に入って来た青年の方を一瞬だけ向いて言った。  客には興味がないのか、それとも単にあれはあれで忙しいだけなのか。  青年がカウンターに座った後も、マスターは手にしたグラスを磨いているだけだった。 「あの……」  持っていた鞄を足元に置き、青年がマスタ...
  • サイエンティストの危険な研究 第一話
    859 名前:サイエンティストの危険な研究 第一話[sage] 投稿日:2011/09/23(金) 22 34 07 ID i775jQ6E [2/6] 所長:では今回の研究データはこちらの額で買わせていただきます。  一仕事を終えた俺は、側にあった冷えきったコーヒーを一気飲みする。 「まじぃ・・・。」  不味さが頭を回復させていく。寝ずに頭を使いすぎていたせいで、回復と言ってもまさしく雀の涙程度だ。 トントン  扉がノックされた。 「亮介、朝飯ここに置いておくからな、ちゃんと飯食えよ。」  扉の前に食器が置かれる音がした。 「じゃあ俺、祐希と図書館言ってくるからな、昼飯は朝食と一緒にお金置いておくからな。」  扉の先から聞こえる声が終わり、足音が遠くなっていった。  俺の名前は藤崎 亮介。そして今扉の前にいたのは、俺の兄の藤崎 昭介だ。  兄は面倒見が良い。だから、寝ず...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第一話
    672 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第一話 ◆AW8HpW0FVA [sage] :2009/07/09(木) 22 10 26 ID sYEvhO7c 第一話『非情な王と、不幸な王子』 今から大体千年前、この世界は魔王の支配する暗黒の世界でした。 人々は、魔王の脅威に晒され、眠れぬ日々を過ごしていました。 そんなある日、一人の青年シグルドが、天の声を聞き、魔王を討つべく旅立ちました。 シグルドと仲間達は、幾万もの艱難辛苦を共にし、 ついに魔王を封印することに成功しました。 シグルドは人々に推されて王となり、さらに、自分に従った仲間達を各地に封建し、 魔王の復活に備えました。 それから千年の間、人々は平穏に暮らしていました。 しかし、その平穏は突如として破られた。 魔王が復活したのだ。 復活を告げるような大地震の後、魔王を封印した北の大地から、 無数...
  • ニーベルンゲンの歌 第一話
    335 :ニーベルンゲンの歌 第一話 [sage] :2009/12/20(日) 01 36 58 ID 19S8AU3u 西暦20XX年 人類は、異世界からの襲撃を受けた。 それは秘密裏に、世界各国の政府によって水面下で処理される筈だった。 しかし、異世界の軍隊の所有する人型兵器は人類の兵器を圧倒し、蹂躙した。 人々は事態を理解する間もなく滅亡するかに思えた。が、異世界にも味方はいた。 異世界の軍勢が所有する人型兵器、通称『シグルス』 それを手に入れた地球の軍と異世界軍は均衡状態にあった。 これは、その戦火を駆けた少年少女の、狂愛の物語 * * * * * 「…眠いなぁ」 帰り道の坂を下っている少年。彼の名前は貴志堂 生(きしどう いきる)。今年高校二年になったばかりだ。 坂を下りた先の桜並木は桃色の吹雪を散らしている。生はその道の端を歩きながら、大きな欠伸...
  • 煉獄 第一話
    218 名前:煉獄1/3:2011/01/10(月) 19 48 32 ID ftcWccZi 誰かの温もりが欲しい。 誰でもいい。 私を温めてほしい。 頬を撫でて、それから私の瞳を覗き込んで愛していると言って欲しい。 無理だと分かっていた。 自分には一生縁のない経験だろう。 長すぎる一日に向かう前の妄想。 私に僅かだけ許された安らぎの時間。 誰にも邪魔されない、私だけの大事な時間。 そんな時間も携帯のアラームは容赦無く奪い取ってくれる。 甲高いその音を苛立たしく止めて私は今日も学校に向かう。 学校に友達はいなかった。 当然だ。 私は醜いし、暗いから。 時折男子がこっちを見てヒソヒソと何かを言っているのを私は少し悲しい気持ちで受け止めた。 分かっていても、やはり辛い。 辛い物は、辛いのだ。 昼休みは特に苦痛だ。 話す人もいないまま長い時間を教室で...
  • ヤンデレ素直クール第一話
    64 :ヤンデレ素直クール:2010/02/16(火) 21 57 37 ID SwZnrzYb 第一話 3レス消費 「何度でも言うぞ。私は君がす・・・」 女は困ったような顔をして、すでに二度繰り返した言葉を再び口にした。 女の目の前に立つ男の顔はすでに茹で上がったように真っ赤になっている。 窓が開いて薄ら寒い教室の片隅には、すでに人垣が出来上がっていた。 当たり前だ。学校中で有名な美人の女が、突如告白をしたのだから。 1分前から唐突に始まった事件に、教室中はもう興味深々だ。 顔を真っ赤にした男は焦ったように大きな手振りで女を遮った。 「ストォーップッ!!ストップストップ!分かったから!ちょっとまって!」 女は男の大げさな反応に戸惑って彼の目をじっと覗き込んでいる。 男は、はぁーっ、と大きなため息をついて脱力してみせた。冬の風が沁みる。 思わず、「なんの罰ゲームだ...
  • 娘第一話
    65 : 娘    2010/08/17(火) 11 59 13   ID RFacS0Bc0  私の両親は決して私に愛情を注ごうとしなかった。 かと言って虐待をする訳でもないし、親としての責任の放棄があった訳ではない。 最低限の親としての義務は果たすが、それ以外は何があっても関与しない。 以前一度この話をした相手は眉を顰め、どういう意味なのか分からないと質問を返してきた。 だから、相手に伝えやすくする為に例え話をすることにした。 “例えば私が風邪を引いたとします。私が風邪であることを察知した両親は通院する為のお金は出すが、決して看病はしない” 例え話を出しても相手はいまいち釈然としなかったらしい。 結局その時は別の話にすり換えることで相手からの追求をかわしたのを覚えている。 私自身、上手に説明できる自信がない。だから逸らすし...
  • 玲子 第一話
    70 名前:玲子 (1)◇あばばばばば 投稿日:2010/10/01(金) 20 14 52 ID wdstd6t7 昔から玲子は不気味な奴だった。 幼稚園の頃、廊下の隅で玲子はよく泣いていた。大声を上げるような泣き方ではなく、 音を立てずに体を振るわせて泣いていた。なぜ泣いているのかというと、まあ簡単に言えば玲子はみんな に虐められていた。 無視され、叩かれ、そしていつも一人だった。 ある日、俺はそんな玲子が年長の餓鬼3人に虐められている現場に行き会った。 玲子は教室の隅に追いやられ、うずくまっていた。 その餓鬼3人は、ヘラヘラ小汚い笑い声を上げながら玲子のわき腹に蹴りを入れていた。 自分以外に人はいたが皆見て見ぬふりをしていた。 その時自分がなにを思ったのかは知らないが、急に目の前が赤くなり。 気がつけば、その餓鬼3人に突進していた、突然の奇襲に会いよろけている餓鬼3人に、 無我夢中に...
  • 似せ者第一話 ~始まり~
    749 :似せ者  ◆Tfj.6osZJM [sage] :2009/01/03(土) 05 00 55 ID clWZ+s3E 第一話 ~始まり~  偽者は本物を越す事は出来ない。  偽者が本物を越す時、それは偽者と本物が入れ替わる時。  似せ者は本物になる事は出来ない。  似せ者は本物を越そうが越さまいが似ているだけのオリジナル。 入学式から丁度一ヶ月が経った。 俺は苦労の末に仁衣高校に入学した。 県内トップクラスの学力を保持、様々なスポーツで好成績を収めるという文武両道の校風、そしてさらに日本トップレベルの仁衣大学へエスカレーター方式で行かれるとなれば、当然、皆行きたがるというものだ。 女子の場合はさらに制服が可愛いことも人気に拍車をかけているらしい。 倍率は10倍以上。去年は二年前に仁衣高校に入学した姉さんとの猛特訓の日々だった。 「はい、次はこの問...
  • 題名のない長編その七第一話
    第一話  日に一度は必ず型をとり、技を振るう。  師父にそう教わり、欠かすことなく行ってきたのは俺にとってある種誇りである。  全身に酸素を行き渡らせるように呼気をし、丹田に力を蓄えながらゆっくりと体を動かす。  呼吸こそが内功の基礎であり極意。そう信じなければ俺とて毎日スーハースーハーなどできない。  塀を起点として圧腿をし、準備運動とする。  圧腿はすべての基本だ。これを怠る人間で強い人間を俺は見たことがない。それくらい大事な物だ。  はじめは全く開かなかった関節も10年以上やっていればそれなりには開くようになる。  正確には測ったことはなかったが、圧腿の時間が修練の中で一番比重を占めていると俺は思う。  暗かった周りが明るみ始めるころになってやっと圧腿は終わり、次の段階へと進む。  次は歩型である。これまた大事なものなので欠かすことはできない。  特に三体式と跟歩を練習しない日な...
  • 言の葉 第一話
    260 :言の葉:2011/05/01(日) 20 30 25 ID cP3ZCu9M 時間があるので投下してみようと思います。駄文ですがもしそれでもよろしければよんでくださるとさいわいです。 ピピピピ--ピピピピ----- もう朝か・・・・今日からまた学校か・・・・朦朧とする意識の中でそう思いながらむくりとおきて着替えた。 「環おきるのがおそいわよ!瑠璃はもうご飯を食べて学校にいっちゃったのに・・・」 ご飯をよそいながらおこっているのは俺の母である新城 澄 40を超えているはずなのに24,5歳に見えるをどなぜか若々しい。 「わかったよ、さっさと食べてあいつに捕まる前に学校にいかないとな。」 殆ど飯をあじあわない胃にかき込むように食べて急いで家を出た。 ガチャ-----ふう、いないようだあいつがくるまえにダッシュだな・・・・・・ 「今日は何でそんなにはやいの?あんた...
  • 森山家の青少年第一話
    305 :森山家の青少年:2010/06/15(火) 01 34 30 ID GLRNYcdj 「第一話」(少年編)  兄曰く俺の家、森山家の家系の男衆は総じて女運が無いらしい。  別に仲の良い異性がいないわけでもない。  ただ、少なくとも曽祖父のあたりから女性に関してろくな事が無いそうだ。  母は優しい。いつも笑顔を絶やさず、父と円満な家庭を作り上げている。  ただし惚気かたが半端じゃない。  5年前、俺が小5の頃、「母さんはどうして父さんと結婚したんだ?」と尋ねたことがあった。  すると母は年齢に全く比例していない若々しい顔を赤らめて、当時の父さん争奪戦を語った。  何人もライバルがいて、それでも愛の力で乗り越えた・・と語っていたが、遠巻きに見ていた父さんの苦々しげな表情が、内容を悪い印象に塗り替える。  俺個人としては最初、恋愛ドラマを観るような感覚だったが、...
  • 闇母第一話
    11 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/01/11(金) 01 50 43 ID WorItLoe 《闇母(やみはは)》 トントンと軽快な音をキッチンに響かせて、私は最愛のあの人に、夕御飯を作る。長年付き合ってきたこの包丁で、私は仕事でくたくたになって帰ってくる彼のために、腕を振るう。 私、織田市代(おだいちよ)が深海市代(ふかみ)となって早12年。 最愛の夫の深海聡史(さとし)と私はご近所の幼馴染みだった。幼い頃にはよく遊んでいた私たちも、中学に上がった頃にはお互いを意識して、疎遠になった。けれど、それが逆に私に彼を意識させてくれた。 彼の何を好きになったかなんて、きっと一生、いや永遠に分からないだろう。分かっていそうで、分からない。解けそうで、解けない。そういうもの。それが愛なのだ。 けれど、これだけははっきり言える...
  • 深月第一話
    100 :深月 [sage] :2008/01/14(月) 22 43 50 ID pk/0UBFF  闇に包まれた山道を深山蒼佑(みやま そうすけ)は走っていた。立ち止まることもなく、後ろも振り返らずに。切れ切れに吐き出される吐息は白く、瞬く間に昏い空に溶けていく。 今宵は満月。見慣れていたはずの月はいつもより、ひと際白い気がする。 その中で火照った体を冷やしてくれる冬の寒さと、夜の山道を照らし出してくれる月の光だけが彼にとって唯一の救いだった。  もうどれほど走っただろうか。 今は少しでもあそこから離れ、街に近づけさえいればいい。  街にさえ出ることができれば救いはきっとある。そう信じて蒼佑は走り続けた。 「っ!……あった」  闇の向こう側一筋の光が見える。ようやく山道から街へ続く道路へ出たのだ。  ここまで来れば、街はそう遠くはない。やっとあいつから逃げられる。 ...
  • 家族第一話
    171 :家族:2010/07/15(木) 23 02 21 ID U/aLEh+W 僕はどこにでもいる普通の人間だけど周りにいる人が普通ではない。 その中の一人である実の妹なのだが僕と違って頭脳明晰、容姿端麗の完璧超人なのだ。 名前は寺下三咲といい長身黒髪で性格も明るく誰にでも優しく、成績はオール5だ。 ちなみに、僕は寺下実というどこにでもいるモブキャラだ。 177 :家族:2010/07/15(木) 23 39 55 ID U/aLEh+W 「お兄ちゃん最近私、クラスの男の子に告白されたんだけどどうしたらいい?」 三咲がそう僕に尋ねてくる。 「三咲も青春☆まっしぐらだから、彼女の一人くらいつくったらどうだ?」 「いやだ、私はお兄ちゃんに純潔を捧げるとお母さんのお腹にいるときから決まってるの」 三咲は小さい時からこうやってモテない僕に優しい言葉をかけてくれるのだ、あ...
  • 炸裂超人アルティメットマン第一話~第二話
    248 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/12/19(水) 02 00 10 ID lUt+bHho   炸裂超人アルティメットマン 第一話 見よ!炸裂の巨大変身  登場巨獣 超ゴム巨獣 マノーン  「ああ、寒い寒い・・・ったく、この季節はやってられないなあ本当に」  僕、東条 光一はそういって今の今まで寝ていたうすっぺらいせんべい布団を折りたたむと顔を洗い 三畳一間の部屋の隅に押し込められたちゃぶ台を引っ張り出して食事の用意を始めた。  冬のこの季節、暖房もない中で朝早起きするのはとても辛い事だと思う、しかしこうしなければいけ ないのも事実だ、などと冷蔵庫から取り出した納豆と、炊飯器から取り出した温かいご飯を食べながら思う。  モルタル張りの三畳一間、狭くてぼろい上にアスベストも使っているようなアパートの中で...
  • 僕は自分が大嫌いだ
    僕は自分が大嫌いだ第一話 僕は自分が大嫌いだ『裏』第一話 僕は自分が大嫌いだ第二話 僕は自分が大嫌いだ『裏』第二話
  • 忍と幸人 第一話
    570 名前:忍と幸人[sage] 投稿日:2011/03/22(火) 21 25 10.98 ID yuKj7wwx [4/12] 1  夏の日差しが連日降り注いでるおかげで、このところの平均気温は三十を下らない。  日によっては三十七度を観測する事もあり、熱中症に悩まされる人々が連日テレビで紹介されている。この猛暑は記録的だとワイドショーで取り沙汰されており、「今年の夏はおかしい」と誰もが口にしていた。  日程を考えるべきだったと、私は焼ける様な道路を歩きながら思っていた。  今日は日曜日。兼ねてから約束していた友人と外出していた。他愛の無いショッピングを楽しんだその後に友人と別れて、今は一人ホームセンターへと向かっているところだ。  書物を纏めるのに本棚が欲しくなったので、休暇である今の内に用意しようと思い、そのまま直行しようとしたのだが……強い日差しの下を長く歩き続けたせいか、些か...
  • 黒の領域 第一話
    95 :黒の領域 ◆mxSuEoo52c [sage] :2007/02/28(水) 23 37 22 ID 4cDItwUT  目が覚めると古ぼけた屋内の中に僕はいた。 中古のアパートで建物の老朽化があちこちに目立ち、自分が住んでいる家とは全然違う。 田舎に帰った頃に感じられる懐かしいの樹木の匂いがする。余程、このアパートが建築されてから随分の歳月が経っているのであろう。  それはともかく、僕は両足両腕をしっかりと縄で縛られていた。 いかにも、僕は一体どこの誰かわからない人間に拉致か誘拐をされてしまったのだろうか?  恐らく、後者だろう。こんな高校生になったばかりのガキを拉致する変態よりも、誘拐して多額の金を両親に請求する誘拐犯の方が この不景気の世の中では当たり前だと思ったのだ。  狭い家に閉じこめられているが、犯人らしき姿はどこにも見当らない。両親に多額の身の代金を...
  • ヤンバル 第一話
    372 :名無しさん@ピンキー [age] :2006/09/14(木) 23 43 20 ID SY9ZcJzr 初めて苛められたのはいつの事だったか正直覚えていない、だが確か小学校の頃からだったと思う その日何時も通りに学校に行くとなぜか机が無く訳が解らずおろおろしている僕を見てクラスメイトが笑っていた。 その中には幼馴染で幼稚園に入る前から何時も一緒だった、猛と麻紀の姿も在った。その日から苛めが始まった。 何故苛められるのか僕にも解らなかった。物を隠されたりするのが多かったと思う。 中には仲の良かった子からも苛められ僕はどうしていいのか解らなかった、ただ漠然と耐えていれば苛めも無くなるのではないかと思っていた。 学年が上がるごとに苛めはエスカレートしていった小5の時給食のスープにミミズを入れられた、小6の時いきなり後ろから後頭部に石を投げられた。 中学に上...
  • 中村さん 第一話
    89 :緋口宗一 :2007/04/27(金) 20 29 26 ID 74nAWJQm 中村さん 「ごめんねー、またやっちったよ」 「ああ、はいはい。部屋ですか?」 「うん。」 「手ぇ、動かないとかないですか?」 「ちょっとぴりぴりしてる・・・。血は、前みたいな 感じ」 「すぐいきますわ」 「ありがとー。・・・怒ってる?」 「はい」 「ごめん」 「はい。じゃあ、脇の下ちゃんと押さえててください。」 「うん。あ、あとさ、ゴムも持ってきて?」 通話を切って救急箱を持って中村さんの家に 向かった。 カウンセリングもあんまり効果がないみたいで、 相変わらずこんな真似を繰り返している。 90 :緋口宗一 :2007/04/27(金) 20 52 18 ID 74nAWJQm すでに中村さんの右手はムカデみたいな 縫いあとだらけで(彼女は左利き)、 ...
  • 恋人作り 第一話
    446 :恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] :2007/02/09(金) 00 26 38 ID 1xdnCuh9 「聖祐人(ひじりゆうと)、私、あなたのことが好き。あなたも私を好きだから付き合って!!」 「……彼女がいるから無理」 「それは祐人の勘違いだよ。だから私の所へおいで」 「うるさい黙れどっか行け」 「姫野ーなんか先生が呼んでるぞー」 「またなの?なんで毎日呼び出しくらうのかしら。じゃあね、祐人。また明日ー」  姫野真弓は明るく笑いながら走って行った。  入学してから一週間、毎日のように繰り広げられる光景に誰もが慣れつつある。 「毎日助けてくれてサンキューな水城……」 「なんの、お前も真綾ちゃんいるのに変なのがくっっついて大変だな」  聖祐人は大きくため息をついた。水城(みずき)が先生の呼び出しと偽って引き剥がすまで 姫野真弓は聖祐人に...
  • 初めから 第一話
    205 名前:雌豚のにおい@774人目[] 投稿日:2011/10/29(土) 02 52 53 ID cBJALoeM [2/6] 「これじゃ間に合わないな…」 深夜二時土砂降りの大雨の中、車を飛ばしながら病院へ向かう。 妻の出産が始まったと連絡を受けたからだ。 妻の美代子は、今年で32になる俺より3歳年下だ。 彼女との出会いは4年前、会社の上司からの紹介だった。 当時の俺は、大学時代から付き合っていた彼女とわかれ 仕事が手につかず、情けないさまだった。 それを見かねた上司が彼女を紹介してくれた。 半ばお見合い染みた初対面であったが 互いに良い印象を持ち半年の後、交際に至り 2年後に結婚まで至った。 その後、会社での俺の昇進が決まり、生活にも余裕 ができ始め、念願の女の子を授かった。 今、俺は間違いなく幸せの絶頂にいる。 「急がないとな…」 病院から連絡があったのは、三十分前。...
  • 十六夜奇談 第一話
    267 名前:十六夜奇談 ◆grz6u5Kb1M[sage] 投稿日:2013/12/13(金) 02 27 58 ID WEky9wKo [2/6] 1. 月明かりだけが差し込む薄暗い部屋の中、何かを啜る音が反響する。 部屋の中には人影が二つ。 華奢で小柄な少女と、どちらかと言えば大柄で、筋肉質な体付きの少年。 二人はお互い向き合って座っており、少年は少女に手を差し出し、少女は少年の手を取って自分の顔の前へと持ってきている。 ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃり。 舐めていた。 少女は熱に浮かされた表情で、差し出された少年の手の中指を、一心不乱に舐め回していた。 だがただ舐めるだけでは無く、時折少年の指を咥え込み、何かを吸うみたく口を窄めたりもしている。 否。みたく、では無い。 少女は吸っていた。 少年の血を。体液を。そこに含まれる、少年の生命そのものを。 舐り、啜り、吸収していた。 少年はそん...
  • 桜の幹第一話
    713 名前:桜の幹[sage] 投稿日:2009/05/18(月) 13 12 27 ID ZxkbSc9Y 多分、給食費の盗難事件から始まったんだと思う。 小学校の頃、皆が親から預かってきた給食費が消えたことがあった。 発覚が一時間目の前にあるホームルームだったので、担任の教師はこの中に犯人がいると、すぐさま持ち物検査を強行した。 勿論、犯人はあっけなく捕まった。 犯人はランドセルの底にびっしりと給食費の封筒を隠していたのだ。 教師は犯人を咎め、クラスメート達は侮蔑の目で犯人を突き刺した。 「何でこんなことをしたんだ!!」 教室中に響き渡る怒号と、胸を締め付けられる様な罪悪感。 でも、咎められているのは、 「答えろ!幹也!!」 何故か、この僕だ。 それから、僕は担任に何度も小突かれ、初めて六限目まで説教された。 最後の終わりの会で皆に謝れと教師に命令され、クラ...
  • 触雷!第一話
    260 :触雷! ◆0jC/tVr8LQ :2010/06/13(日) 21 32 15 ID uxqRNGO8 学校から帰ると、家の前に人がうつぶせになって倒れていた。 「あっ……」 遠目にその人を見つけた僕は、すぐに走り寄った。鞄を投げ出し、肩を揺さぶってみる。 「もしもし。大丈夫ですか?」 「んっ……」 声が聞こえた。よかった。生きている。呼吸が止まったりもしていないようだ。抱き起して仰向けにする。 「…………」 その人(若い女性だった)はうっすらと目を開け、僕の顔を覗き込んだ。口が動き、言葉が発せられる。 「ああ。助けてください……」 「もちろん助けますよ。どうされたんですか?」 「お腹が……」 「痛むんですね?」 腹膜炎か。虫垂炎か。救急車を呼ぶべく、僕の手はポケットの携帯に伸びかけた。しかし女性は、弱々しく首を横に振る。 「空いてるんです。とても……」...
  • I had love.Ⅰ 第一話
    414 :I had love.Ⅰ [sage] :2007/02/20(火) 09 32 34 ID cwHHHjY1 ≪I had love.≫ ■■故に、すべてが終わる。 ■故に、全手が墜ちる。 いつの頃からか、ある特定の『誰か』ではなく、全ての異性が同等の存在だと思っていた。 全ての異性が等価。 誰も彼もが等価。 そして、彼は醜く儚いヒトの業は平等に愛を持つことで赦されると信じていた。 415 :I had love.Ⅰ [sage] :2007/02/20(火) 09 33 20 ID cwHHHjY1 「あー圭次、ご飯食べにいこー」 「悪い、今日は先約があるからパスだな」 夕食の誘いをかけに来たのは伊能〈いのう〉海七〈うみな〉。 俺よりふたつ年上 なのだが留年一回と浪人一年を経験して俺と同じ大学・学年に在籍している人物だ。 何故か現役で入っ...
  • 家族A第一話
    115 :家族A [sage] :2007/07/04(水) 11 34 41 ID KPfaKu2r 朝、朝食を食べた後にコーヒーを飲みながら何気なくニュースを楽しんでいたのだがその静寂は声によって阻害される。 「お父様、今日は何時ぐらいにご帰宅なさいますか?」 洗い物担当の百合花が濡れた手をエプロンで拭いながら話しかけてきた。 「7時ぐらいかな。」 「分かりました、出来るだけ早くお願いします。」 「何か用事あるのか?」 「いえ、余り遅いと心配になりますから。」 親が子を心配するなら分かるのだが、子が親を心配するのはいかがなものだろう? これじゃ、立場が反対だな。 思わず苦笑が洩れる。 「お父様、何か楽しい事でも?」 俺が笑っていると、百合花まで楽しくなるのか。 自分の事のようにくすりと微笑む。 「なんでもない、それより時間良いのか...
  • 髪の話第一話
    26 :名無しさん@ピンキー:2010/02/14(日) 18 10 13 ID EuCn9m2t 木村千華という奴がクラスメイトにいる。 滅多に他人とコミュニケーションを取らない、過剰なくらい無口で無愛想な女である。何を考えているのかもわからないし、声を聞く機会と言ったら、教師に名指しされたときくらいだった。その返答は意外にもしっかりしているし、問題を間違えているところを見たこともない。 だが別段テストの点が学年トップクラスということはなく、上位ではあるが飛びぬけているわけではなかった。それについては、単に予習に余念がないのだろうな、と勝手に想像している。 テストのときには、それなりに覚えていないし、それなりに間違う。そのあたりに、無感情に見えても人間味を感じられるものだ、などと思うのだ。 身長が低いし、括っていないストレートの黒髪は病的に長いし、ふとすれば人形のように...
  • 劣等感第一話
    501 :劣等感 ◆vha3FDwXe6 :2010/05/27(木) 00 09 19 ID EEDmV8oT 俺はお前のことが嫌いだ。 何でもできるお前が嫌いだ。 お前が一位で俺が二位。 毎日毎日みんな口では言わないが心中ではそう思っているだろう。 「……」 だから、こうやって狭い部屋の中一人でパソコンとにらめっこしている方が気楽でいい。 それでも、お前は 「おい。いつまで引き篭もってんだよ!!しまいにゃキノコが頭に生えてくんぞ!!さっさと出てこいよ!!」 俺を引っ張り出そうとしてくる。 「いやだ」 「いやだじゃねえ!!一緒に学校行こうぜ!」 ドンドン、と乱暴に部屋のドアを叩いてくる。 「ドアが壊れる。やめろよ」 「やめない。なあ、光(ひかる)出てこいよ……」 「うるさい」 「……そうか。わかった……」 そういって去っていく足音が微かに聞こえた。 ざま...
  • 白い翼第一話
    476 :白い翼 ◆efJUPDJBbo :2010/08/18(水) 02 47 32 ID ozWSUQaD  「私は昔、神様だったの」 少女は語る。 静寂に包まれた闇の中で少女は俺に一言、そう告げた。  「へぇ」 俺はさして興味無さげに呟いてみた。 だって考えてもみろ。 神? なんだそりゃいるわけねえさ。非現実的すぎる。  「白い大きな羽をはばたかせてさー、空を飛んでたんだ」 ―――瞬間、暗闇は頭上から裂け、大きな青空が広がった。 透き通るような青空に、俺は目を奪われた。  「それって、神様じゃなくて天使じゃね?」 どうも俺の中で白い羽と言ったら天使が一番に思いつく。 俺は、この環境の変化に戸惑いながらも、目の前にいる可憐な少女に話しかけた。 もちろん少女の背中に羽はない。そしてどこからどう見ても人間だ。  「かもね、私はやっぱり神様じゃなかったのかも...
  • ヤンデル妹 第一話
    636 名前:雌豚のにおい@774人目[] 投稿日:2011/06/03(金) 22 20 19 ID BimajhBQ [1/2] 俺はいたって普通の高校生だ。 俺の家族は父親と母親そして妹が1人のどこにでもいる普通の家族だ。 けれど、最近妹の様子がおかしいんだ。 それは、いつもの日曜のけだるい朝。 今日友達からの遊びの電話も来ないし、とりあえず暇な日曜だった。 そういや、今日は妹は用事があるとかで家にいないんだっけ。 男なら考えてしまういけない事。 妹の部屋という禁断の間。 ちょっとした好奇心だった。暇だったし。 まさかこんな事になるなんて。 ちょっとだけ、のぞいてみよう。 いや、でももし帰ってきたら・・。 俺は携帯の時刻表をみる。 妹が帰ってくるまでまだ少し時間がある。 俺は期待と少しのエロ心を持ちながら妹の部屋に向かって歩...
  • ウェハース 第一話
    784 :ウェハース ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/10(金) 11 25 44 ID cZRhL+3d 【放課後、四時半2年2組の教室まで来てください】 なんて事が書かれた可愛らしいデザインの手紙が自分の通学鞄の中に入っていたら、男子ならどう思うだろう? ダーリン!とか言っちゃう宇宙人の襲来?それとも昼は高校生、夜は怪盗の二束草鞋の生活を送る高校生からの挑戦状? 答えはどちらもNO、放課後の四時半(僕は緊張しすぎて三時半から、つまり放課後になってからずっと)待っていたのはフィクションの美少女達ではなく、五、六回しか喋った事しかないクラスメートだった。 名前は藤松小町さん、通称マツコ。その人だ。 成績は上位にいつも名を連ね、得意科目であろう生物の成績は、この間学年三位。 イメージカラーは赤、というかおそらく彼女が好きな色なんだけど、赤...
  • 氷雨デイズ 第一話
    102 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/02/14(水) 23 27 14 ID WcOgEC9V 玄関の扉が開閉する音がして、針先のように研ぎ澄まされていたわたしの集中は、やや散ることになってしまった。 といっても、それで都合が悪いわけじゃないんだけれども。 ちょうど味の調整を終えたところだったし、何より、集中したままで兄さんの帰宅に気づかないものなら、妹の沽券に関わるというものだ。 わたしはコンロの火を止めて、玄関まで小走りに移動した。 「お帰りなさい、にいさん」 常々心がけているように、わたしの用意できる最高の笑顔で、世界で一番大切な人をお出迎えする。 もっとも、兄さんの前なら、そう意識するまでもなく自然と笑顔になれるけれど。 「お、いつもより早いんだな」 兄さんもまた、笑顔で応じてくれる。いつものことだけれど、やっぱりうれしい。 ふわりと温かく...
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