ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫 @ ウィキ内検索 / 「ことのはぐるま 第六話~従妹とお嬢様~」で検索した結果

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  • ことのはぐるま 第六話~従妹とお嬢様~
    386 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/03/13(火) 23 04 16 ID 4i4yRZ/G 第六話~従妹とお嬢様~  今夜、俺の部屋に女の子が二人も泊まっていくことになった。  なぜそんな状況になったかというと、  一人は、今も降り続いている雨のせいで帰れなくなってしまったから。  一人は、俺ともう一人の女の子が間違いを犯さないよう監視するために。  一人暮らしの男の部屋に女の子が泊まる。と聞けば、大概の人間は その夜に何が起こるかが予想できるであろう。  俺も男だ。もちろんそんな状況下で女性から迫られたならば、やることはやる。  とはいえどんな女でもいいわけではない。  俺の理想のタイプの女性は年上で、穏やかな性格の人だ。  だが、年上でなければ駄目というわけではない。そこは性格次第だ。  髪型などの好みは特に無...
  • ことのはぐるま
    ことのはぐるま プロローグ~遠山雄志のひとり語り~ ことのはぐるま 第一話~菊川かなことの出会い~ ことのはぐるま 第二話~天野香織との日常~ ことのはぐるま 第三話~現大園華との再会~ ことのはぐるま 第四話~腐れ縁の同級生~ ことのはぐるま 第五話~親友と幼馴染~ ことのはぐるま 第六話~従妹とお嬢様~ ことのはぐるま 第七話~にらみ合いと、秘められた伝言~ ことのはぐるま 第八話~二つの告白~ ことのはぐるま 第九話~姫~ ことのはぐるま 第十話~忘れていたこと~ ことのはぐるま 第十一話~前世の否定~ ことのはぐるま 第十二話~華の告白・二度目~ ことのはぐるま 第十三話~無計画な2人~ ことのはぐるま 第十四話~雄志の告白~ ことのはぐるま 第十五話~遠くに居た知り合い、遠くへ行った恋人~ ことのはぐるま 第十六話~犯行の動機~ ことのはぐるま 第十七話~クイズ~ ことのはぐるま...
  • ことのはぐるま 第九話~姫~
    55 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/23(月) 01 50 22 ID jt1jcRSu 第九話~姫~ ・ ・ ・  俺の足元には、なにやら高そうな絨毯が敷かれている。  かなりの人数が同じ空間に集中しているというのに、コツコツ、カツカツといった靴の音さえしない。  部屋の壁には、ところどころに絵画や美術品のようなものがあった。  どれもこれも美術のセンスも感性も持ち合わせていない俺には理解できないものばかり。  ど派手に飾られた花の群れを収めるのは、これまた高そうな花瓶だった。  そして俺の周囲に居る人間達は、いずれもタキシードやら着物やらドレスやらを着込んでいる。  仕事着にも使えそうなスーツを着ている人間など俺しかいないのではなかろうか。  そう思うと、周囲の視線が自分に集まったような気がした。  もちろんそれが...
  • ことのはぐるま 第十六話~犯行の動機~
    182 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/07/08(日) 07 37 47 ID e3g7TlOW 第十六話~犯行の動機~  まぶたが重い。  上下のまぶたが糊でくっついているようにべとべとする。  服の袖で目をこすり、目やにを取り除く。  少しだけ軽くなった目を開けると、白い袖が見えた。  袖口から離れた位置には薄いブルーの横線が入っている。  腕を下ろし、目線を自分の胸元へ。  そこで飛び込んできたものもまた白だった。  俺の部屋にある掛け布団のカバーは、あまり洗っていないせいでくすんだ色をしている。  とてもじゃないが、今体の上にかけられている布団のような純白とは程遠い色だったはずだ。  違和感を覚えつつ、視線を上へ向ける。  天井が見えた。またしても白。合板の継ぎ目の色が違うせいで、そこだけが浮いていた。  首を左に...
  • ことのはぐるま 第二十六話~令嬢と地下室で~
    554 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2008/03/28(金) 00 10 45 ID RF+iNqTl 第二十六話~令嬢と地下室で~ 「遠山様。どうぞ、中へお入りください」  室田さんの手によって、ドアが開いていく。  開ける前に自分の身分がそうするのにふさわしいのかと省みたくなるほど、重厚な扉だ。  今来ている場所はかなこさんの住む菊川邸。  三度目となる今回は望んでここにやってきた。俺がそうしてくれ、とかなこさんに頼んだのだ。  怪我をした華を助けるために。  バスの中で華を気絶させたのは、その後の会話を聞かせないため。  華も一緒に来たら邪魔になるから降ろして欲しい、と言って頼んだ。もし聞いたら、あいつは拒むに違いない。  それに、あのままにしておいたら、またかなこさんへ挑みにいっていただろう。 ...
  • ことのはぐるま 第二十四話~逃亡~
    180 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2008/01/20(日) 10 22 00 ID Czr6Onq7 第二十四話~逃亡~ 「さあ、雄志様。参りましょう」  かなこさんが一歩詰めてきて、手を差し出した。  手を取ってくれ、ということか? 「どこ、に……」 「もう一度、共に私の屋敷に来てくださいませ。そこに、殺されるにふさわしい場所を用意してありますわ」  自分の家に殺される場所の用意を済ませてから、ここにやってきたのか?  死の覚悟は既に済ませているということなんだろう。でも、どうしてかなこさんは普段と変わらないんだ。  少しも恐れを見せず、堂々として、澄ました顔でいられるなんて。  かなこさんは死すら恐れないというのか?   俺を――たった今殺してくれと自ら頼んだ人間を、自分の死地へと連れて行こうとしている...
  • ことのはぐるま 第二十一話~拒絶~
    91 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/09/20(木) 02 12 13 ID gYbbEYsn 第21話~拒絶~  無言で廊下を突き進む。  香織とかなこさん、あの2人からとにかく離れたかった。離れなければならなかった。  2人を助けず置き去りにしたことの後ろめたさと、自分が何をしでかすかわからない、その2つの理由からだ。  薄情だが、香織はあのまま放っておいても大丈夫だったろう。うつぶせながらも喋っていたし、腕も動いていた。  香織以上に心配なのは、俺が殴ってしまったかなこさんだ。  きっと、窓ガラスの破片で怪我をしているだろう。  あれだけ強く殴ったのだから、もしかしたら肋骨を骨折しているかもしれない。  心配だが、今から引き返すわけにもいかない。俺がまた同じ事を繰り返さないとは言えないからだ。  室田さんが発見してくれるのが...
  • ことのはぐるま 第八話~二つの告白~
    238 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/01(日) 03 56 26 ID HTSRzVfw 第八話~二つの告白~  中庭にある時計に目をやって、現時刻を確認する。  午後1時5分過ぎ。  ろくに弁当に手をつけていないというのに、従妹やお嬢様や変人と会話したり、 全員がその場から立ち去ったりしているうちに、正午から一時間も経過してしまっていた。  実にもったいない。  一時間もあれば、ご飯を食べ終わって、その後で軽く昼寝するぐらいの時間はとれる。  以前、会社に勤めていたころの俺にとっては至福の時間だった。  ――今は違う。  今では弁当の味を褒めたら華が顔を紅くしたり、かなこさんがなぜか箸をつきつけてきて、 それに対して華が険悪になって、十本松が変な本を渡す、という良くも悪くも味わい深い時間になっている。  そんな...
  • ことのはぐるま 第二十話~異常~
    524 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/08/31(金) 01 33 53 ID u4NqwWR8 第二十話~異常~  とても心地のいい眠りだ。  脳が地面に沈み込んでいてびくとも動かなくて、それに倣うように体全体が言うことを聞かない。  つまり今の俺は熟睡しているのだった。  俺が気持ちのいい眠りだと思うかどうかには、判断基準がある。  まず、夢を見ているか。そして、眠っていると自覚しているか。  今は、夢を見ておらず、なおかつ眠っていると自覚している状態にある。  それこそが俺にとっての熟睡状態であるのだ。  いつの頃だったか忘れたが、眠っていて悔しい思いをしたことがある。  布団に潜り込んで目を閉じたら、次の瞬間朝だった、というものだ。  前日はとてつもなく体が疲労していたからそうなったのかもしれない。  それ以来、俺は夢...
  • ことのはぐるま 第十七話~クイズ~
    427 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/07/23(月) 00 09 33 ID itF5uxVe 第十七話~クイズ~  菊川邸の中に潜入するのは拍子抜けするほどに簡単だった。  室田さんの運転する車で屋敷の裏について、室田さんが取り出した鍵で裏口の門を開けて敷地内へ侵入。  携帯電話のディスプレイは7時を過ぎる時間を報せていた。  空に浮かぶ月は光を地上に降り注いでいて、うっそうと生い茂る草木の作る影を強くさせていた。  手入れもされていないらしく、数年は誰も使ったことのない道だ、と室田さんが教えてくれた。  暗い獣道を2人で歩き、ようやく開けて見えた場所には物置のような建物が建っていた。  建物のドアを鍵で開け、中にはいると階段があった。そこから屋敷の中に入れるということらしい。  階段を降りきって、目の前を見るとずっと先まで続...
  • ことのはぐるま 第十一話~前世の否定~
    349 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/14(月) 00 10 05 ID Phq6Y94j ------- 第十一話~前世の否定~ ・ ・ ・  目隠しをされたうえベッドに長時間縛り付けられていると、無性に不安な気分にさせられる。  もしかしたら目隠しを隔てた向こう側には刃物を持った殺人鬼がいて、俺をどうやって殺そうか 考えているのかもしれない。  身じろぎをしただけで殺されるかと思うと、うかつには首を動かすこともできない。  それとも、どこか人目につかない場所にベッドごと閉じ込められているのかもしれない。  もし誰も来なかったら、この惨めな状態のまま死んでしまうだろう。  不意に、ベッドの下や天井を這うムカデやゴキブリの姿を想像してしまった。  無数の足を持った黒い虫たちがベッドの足を登って、または天井から落下して俺...
  • ことのはぐるま 第二十二話~選択~
    ... 117 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/11/04(日) 01 40 33 ID eHyIlQrB 「なんとなくだ」 「なんとなく、ですか」 「ああ」 「あんまりよくありませんね、そういうの。なんとなく、で済ませようとしたら頭の中にあるかもしれない  答えのしっぽすら逃してしまうかもしれませんよ。真剣になって思い出してください。  なにか、そう思うきっかけみたいなものがあるんじゃないですか?」 「やけにつっこんで聞いてくるな、華」 「おにいさんに追求する姿勢がなさそうだから、私が代わりになっているんですよ」 「……そりゃどうも、ご苦労様。お礼にコーヒーでもおごるよ」 「じゃあ、お願いします」  と言って、華はコーヒーカップを差し出してきた。  もちろん華もドリンクバーを頼んでいるから、厳密にはおごりではない。  ...
  • ことのはぐるま 第二話~天野香織との日常~
    328 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/02/05(月) 18 05 42 ID VgLGiMfZ 第二話~天野香織との日常~  朝食を済ませてバイト先へ向かうため玄関を開けると、冬らしい冷え込んだ空気が 襲い掛かってきた。  アパートの鍵を閉めて自転車に乗って出発。  風はほとんど吹いていないが、今日ぐらい冷えていれば手袋をしていても指先が冷える。 「冬はいつもこれぐらい冷えてればいいのになぁ・・・・・・」  冬は好きだ。他の季節と違い寒さが身を引き締まらせてくれるし、 なにより生きているという実感がある。  最近の自堕落な生活ではこういった刺激がないとすぐに退屈になってしまう。  自堕落な生活の一番の敵は退屈だ。  ・・・・・・いや、人生における最大の敵が退屈なのだろう。  退屈は人間を磨耗させる。  退屈だから夫婦喧嘩を...
  • ことのはぐるま 第三話~現大園華との再会~
    363 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/02/06(火) 22 26 28 ID UWU+IsLa 第三話~現大園華との再会~ 『おにいさん。どうして会社をやめちゃったんですか?』  この声は誰だ?  なんだかやけにエコーがかかっているな。  『おにいさん』?俺に妹はいないぞ。  たしかに欲しかったが母親に頼んだらスルーされたからな。 『高校卒業してすぐ正社員になれたっていうのに  やめるなんて私は悲しいです』  ・・・・・・いろいろあったんだよ。  逃げた。と言われたらそれまでだが。  しかし誰だか知らない女にそんなことを言われる筋合いは無い。 『おにいさんみたいなアウトローが日本のニート・フリーターになって  ひいては少子化を招くんですよ』  知ったことか。俺一人がフリーターになったところで日本人に占める フリーター人...
  • ことのはぐるま 第四話~腐れ縁の同級生~
    223 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/02/16(金) 22 57 11 ID 6jmPJ/Y5 第四話~腐れ縁の同級生~  天野香織に出会ったのは俺が12才のころ。  中学校に入学した日のことだった。 ・ ・ ・ ・ ・ ・    入学式の後、クラスメイトへの自己紹介を終えてHRが終了した。  その後でクラスは話し声や席を移動する音でたちまち喧騒に包まれた。ここからは クラスメイトとの友達作りが始まる。  ここで友人を作っておくことは大事なことだ。初日は大概の人間が友人を作りたいと 思っているので、話しかけられても親しく接してくれる。  つまり、一番友人を作りやすい状況だと言えるのだ。  俺も誰か友人を作ろうと思い話しかける相手を探したら、左隣にいる女生徒が最初に目に入った。  何故彼女のことが最初に気になったかと言う...
  • ことのはぐるま 第十話~忘れていたこと~
    102 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/28(土) 10 51 01 ID d5beOcdA ----- 第十話~忘れていたこと~ ・ ・ ・  頭がくらくらする。  たった今眠りから覚めたけれど目を開ける気にならない。  今の俺にとっては目を開けるだけでもかなりの重労働だ。  頭の中を酸性の液体で溶かされてしまったようにぼろぼろになった気分。  二日酔いと似ているが、吐き気を催さないだけまだマシではある。  ぐるぐると思考がまわっている。落ち着かない。  そもそも、何でこんな状態になっているんだ?  俺はただ華と一緒にパーティへやってきて、十本松となんの得にもなりそうにないやりとりをして、 かなこさんに自室に誘われて、それから―― 『……忘れた振りをなさっているならば……許しませぬ………』 『あぁぁぁぁぁぁぁぁ...
  • ことのはぐるま 第一話~菊川かなことの出会い~
    284 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/02/04(日) 15 02 02 ID InR9IB3M ~菊川かなことの出会い~ 『ぴぴぴぴっ ぴぴぴぴっ ぴぴぴぴっ ぴっ』  目覚ましを止めて時間を見ると、朝6時。  いつもバイトの日に起きる時間だ。   今日はバイトも無いのだからゆっくりしていてもいいのだ。  そんなわけでもう一度布団に潜りなおす。  ・・・・・・・・・・・・。むぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。  眠れない。寝すぎか?昨日は何時に寝たんだっけ。  えっと・・・・・・  思い出せない。何時に寝たかが分からない。  たしか昨日は家に帰ってきて、シャワーを浴びて飯を食って、 布団に入りながら本を読んで・・・・・・読んで・・・・・・どうしたんだ?  いつもならその後で歯磨きをして寝る。でも、昨日は歯磨きをした記...
  • ことのはぐるま 第十八話~事の歯車~
    552 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/08/02(木) 01 09 29 ID RGmejfhr 第十八話~事の歯車~  菊川邸の地下にある、第448地下室。  俺は今、そこに向かっている。ナイフと、拳銃をポケットに入れたまま。  室田さんの誘導に従って、屋敷のロビーに向かい、二階へ向かう階段の裏にあるドアを開ける。  そこに、地下へ続く階段があった。  おそらく、十本松と香織とかなこさんがこの階段を下りた先にいる。  壁に手をつき、暗い階段を下っていく。明かりはない。運の悪いことに携帯電話の充電まで切れている。  下りていくにしたがって、1階から差し込んでくる光が弱くなる。  踏み出した足がちゃんと地面についているのか疑わしい。  第448地下室と十本松は言っていたが、実際は菊川邸の中には448も地下室はなく、2つしか存在しな...
  • ことのはぐるま 第十四話~雄志の告白~
    234 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/06/07(木) 22 53 14 ID RsTTLffE 第十四話~雄志の告白~ 「1170円になります」  コンビニ店員の声を聞いて、千円札と100円玉を2枚レジに置く。  店員はそれを素早く手にとると、慣れた手つきでレジを打つ。 「30円のお返しになります。ありがとうございました」  レジ袋を手にとって、コンビニエンスストアの自動ドアを通り抜ける。  季節はまだ2月。昼間の格好で出歩くには少々寒い。  俺が1人でコンビニへやってきた理由。それは、今日の夕食と明日の朝食を買うためだ。  夕食と朝食だけで1170円も払うほど、俺はブルジョワジーではない。  ではなぜ1170円分の食料を買い込んだのか?もう1人の非ブルジョワジー人間のためだ。  天野香織の胃袋は、世間的によく囁かれるように...
  • ことのはぐるま 第二十五話~逃亡不可能~
    252 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2008/01/28(月) 21 38 58 ID xf3pEIi4 第二十五話~逃亡不可能~  腕を組んで窓の外を眺めつつ、思考を巡らせる。  横にいる華が財布を取り出して、中身を覗いていた。 「バス代、持ってないのか?」 「それぐらい持ってますよ。全部でいくらあるか確認してるだけです」  華の財布を覗き見る。ほう、千円札が二枚か。なるほど……勝った。  見えないように手を強く握りしめていると、視線を感じた。  他に乗客がいない以上、俺に視線を向けることができるのは華しかいない。 「なんだ、その目。ああ、別に哀れんでいるわけじゃないぞ。気を悪くするな」 「言っておきますけど、私はおにいさんよりお金持っているはずですよ。無駄遣いしませんから」 「持ってるって言っても、せいぜい...
  • ことのはぐるま 第二十三話~令嬢の誤解~
    629 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2008/01/07(月) 03 10 08 ID Dwn9Nfj7 第二十三話~令嬢の誤解~  食事を済ませたあと、俺と華はこの町が建てた図書館へと足を運んだ。  移動手段は徒歩。実はさっきまで食事をしていたファミレスと自宅、あと自宅から図書館までの距離は そう遠くはない。自転車に乗らなくても二十分少々歩けば到着する。  女性に長く歩かせるのは良くないということは経験上知っているのだが、華はどうやら例外であるらしく、 図書館に着くまで疲労を訴えたりすることはなかった。  それどころか上機嫌ですらあった。弾んだ声音で何度実家の素晴らしさを語られたことか。  実家に帰りたくない、というわけではない。だが帰りたいわけでもない。ちょうど中間ぐらいだ。  フリーターとなった今の状況では一旦実...
  • ことのはぐるま 第五話~親友と幼馴染~
    152 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/03/03(土) 20 55 23 ID TLFyhqD/ 第五話~親友と幼馴染~  俺は今、ちょっとした手違いで香織を押し倒している状態にある。  ちょっとした、ただの友人同士のじゃれ合いをしているうちにこんな状態になってしまっただけだ。 決してわざとではない。  だが今の光景だけを見た幼馴染がそれを理解しているわけがない。  華には俺が女の子を部屋に連れ込んで今まさに襲い掛からんとしているようにしか見えないだろう。  しかし、それは誤解である。大きな誤解である。  決して俺は香織をどうにかしようとして押し倒しているわけではない。  香織の腕が俺の背中に回っていて、抱きしめる力が弱らないのは俺のせいではない。  「俺を抱きしめてくれないか」などと変態みたいなことを言った覚えは生まれてこの方一...
  • ことのはぐるま 第十三話~無計画な2人~
    178 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/06/05(火) 00 24 16 ID z5DhbTSq 第十三話~無計画な2人~  華に二度目の告白をされた。  それだけならいい。女性には何度告白をされても嬉しい。  俺が気になっているのは、華の告白に込められた想いの強さだ。  華に初めて告白されたとき、正直言って嬉しかった。だが、あまり真剣には受け止めていなかった。  男を美化するあまりに行われる、ごくありふれた告白と変わりないと思っていた。  しかし、昨日の華の様子を見ていると、その考えは吹き飛んだ。  俺のことを昔から思っていた、俺が他の女と付き合っていたとき悔しかった、 俺が就職して離れていったときには寂しかった。  どう考えても、幼馴染としての好意とは違うものだった。  執着心、嫉妬、怒り。  持てる感情の全てをぶつける...
  • ことのはぐるま 第十九話~復讐者が滅ぶ~
    573 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/08/06(月) 00 17 57 ID vFMbIiL1 第十九話~復讐者が滅ぶ~  柔らかい。  十本松の唇も、密着させている体も、後頭部にまわされている手も。  十本松の存在の全てが、愛しく感じられる。  わけがわからない。  さっきまで俺は十本松に敵意を抱いていた。  俺と華を気絶させて香織をさらい、かなこさんと一緒に地下室に閉じ込めた。  こんな犯罪者を俺が好きになるはずがない。  そのはずなのに、俺が今抱いている感情は一体なんだ。  十本松が欲しい。  俺の舌で、口内を貪りたい。  抱きしめて押し倒して、俺のものにしたい。  いきなりこんな愛情を抱くなんて、どういうわけだ?  催眠術か?  それとも、この部屋に立ち込める甘い匂いに媚薬作用でもあるのか?  わからない。...
  • ことのはぐるま 第十二話~華の告白・二度目~
    442 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/20(日) 12 18 26 ID Fj6FOqqI ----- 第十二話~華の告白・二度目~  爆発は室内で起こったようではなかったが、部屋に近い場所で起こっていた。  なぜそうわかったのかというと、音波が心臓を余分に収縮させるほどのものだったからだ。  目を開けて立ち上がり周囲の状況を確認する。  部屋の中は薄い煙が立ち込めていて、部屋の入り口のドアの片方がかろうじて立っていて、 片方はどこかに消えていた。  まさか、ドアのすぐ向こうで爆発が起こったのか?だとしたら、華とかなこさんは? 「華! かなこさん!」  床に座ったまま大声でよびかける。すると、 「……おにい、さん……?」  俺を呼ぶ、華のか細い声が聞こえた。  華は右の壁に背中を預けるようにして床に座っていた...
  • ことのはぐるま 第七話~にらみ合いと、秘められた伝言~
    89 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/03/27(火) 20 03 32 ID ZX4xyh8k 第七話~にらみ合いと、秘められた伝言~  従妹が通っている大学の先輩が、以前に一度だけ会ったことのある女性だった。  今日俺が大学に来ているのは華に無理やり連れてこられたからなのだが、 そこで菊川かなこさんに会うとは予測も予想もしていなかった。  しかも、かなこさんと華は先輩・後輩の仲らしい。  こんな偶然が起こる確率はどれほどのものだろう。  数値化することはできるのだろうか。  できるのならば、導き出すための数式を誰かにご教授願いたい。  俺は、完全な予測を立てるのは不可能だ、と考えている。  天気予報の降水確率などは信じられないものの代表格だし、 いくら綿密にNASAが計算したところでシャトル打ち上げの成功を保証することなどで...
  • ことのはぐるまルートA
    ことのはぐるま 第二十三話~令嬢の誤解~ ことのはぐるま 第二十四話~逃亡~ ことのはぐるま 第二十五話~逃亡不可能~ ことのはぐるま 第二十六話~令嬢と地下室で~
  • ことのはぐるま 第十五話~遠くに居た知り合い、遠くへ行った恋人~
    509 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/06/23(土) 14 27 34 ID PZFnWyFu ******* 第十五話~遠くに居た知り合い、遠くへ行った恋人~  階段を上がり、上りきったところで自分の部屋の扉を見る。  特に変わった様子は見られない。玄関前に荷物が届いていたり、動物の死骸が置かれたりはしていない。  ただ、俺の方をじっと見ながら無表情で立ち尽くす華がいるだけだ。  ぱっと見では怒っているように見えない。しかしここで安心してはいけないことを俺は知っている。  階段を上るとき以上の重い足取りで歩き、華の前に立つ。 「おにいさんおかえりなさい。――これはさっき言いましたね。  どこに行っていたんですか? 私に一言も告げずに外泊してくるなんて。  私がどれだけ心配していたかわかりますか? わかるわけないですよね。...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part4-Page3
    ...だw 386 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/03/13(火) 23 04 16 ID 4i4yRZ/G 投下します。第六話です。↓ 第六話~従妹とお嬢様~ 今夜、俺の部屋に女の子が二人も泊まっていくことになった。 なぜそんな状況になったかというと、 一人は、今も降り続いている雨のせいで帰れなくなってしまったから。 一人は、俺ともう一人の女の子が間違いを犯さないよう監視するために。 一人暮らしの男の部屋に女の子が泊まる。と聞けば、大概の人間は その夜に何が起こるかが予想できるであろう。 俺も男だ。もちろんそんな状況下で女性から迫られたならば、やることはやる。 とはいえどんな女でもいいわけではない。 俺の理想のタイプの女性は年上で、穏やかな性格の人だ。 だが、年上でなければ駄目というわけではない。そこは性格次第だ。 髪型などの好みは特に無い...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part8-Page4
    551 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/08/02(木) 01 07 36 ID RGmejfhr 第18話、投下します。 552 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/08/02(木) 01 09 29 ID RGmejfhr 第十八話~事の歯車~ 菊川邸の地下にある、第448地下室。 俺は今、そこに向かっている。ナイフと、拳銃をポケットに入れたまま。 室田さんの誘導に従って、屋敷のロビーに向かい、二階へ向かう階段の裏にあるドアを開ける。 そこに、地下へ続く階段があった。 おそらく、十本松と香織とかなこさんがこの階段を下りた先にいる。 壁に手をつき、暗い階段を下っていく。明かりはない。運の悪いことに携帯電話の充電まで切れている。 下りていくにしたがって、1階から差し込んでくる光が弱くなる。 踏み出した足...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part2-Page2
    ...っせ 282 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/04(日) 15 00 28 ID InR9IB3M では投下します。 283 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/04(日) 15 01 09 ID InR9IB3M ~遠山雄志のひとり語り~ 一人称を僕から俺に変えたのはいつだったかはっきり覚えていないが、 俺の性格が大きく変わったのは二年前だった。 別にトラウマになるような事件が起こったわけではない。ただ俺が勝手に ひねくれただけのことだ。 学生のころはもっと単純な人間だった。 人間は話せばわかってくれる、悪いことばかり考えている人間はいないと思っていた。 しかし就職してからはすぐに現実と言うものを見せつけられた。 人の話を聞かない人間がいるということ。 人は自分さえ良ければ他はどうで...
  • ラ・フェ・アンサングランテ 第六話
    482 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第六話】   ◆AJg91T1vXs :2010/11/25(木) 08 22 40 ID Pk9vug3C  窓を叩くパラパラという音に、ジャンはベッドの中でゆっくりと目を開けた。  この季節、ジャンのいる国では雨が多くなる。  農家にとっては恵みの雨なのだろうが、街で暮らす人間にはたまらない。  日の出ている時間も徐々に短くなるため、本格的に寒さが身にしみる季節となってくるのだ。  足先の冷たさに、ジャンは目覚めるなり体を起こし、同時に足を毛布の中に引っ込めた。  寒い。  昨日までの晴れていた天気が嘘のようだ。  身体の芯から氷で冷やされているような感覚に、思わず胸の前を両腕で抱えて震え上がった。 「やれやれ……。  どうやら、本格的に冬がやってきたみたいだな。  この寒さで、伯...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part6-Page1
    ...いから 55 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/23(月) 01 50 22 ID jt1jcRSu 第9話、投下します。 第九話~姫~ ・ ・ ・ 俺の足元には、なにやら高そうな絨毯が敷かれている。 かなりの人数が同じ空間に集中しているというのに、コツコツ、カツカツといった靴の音さえしない。 部屋の壁には、ところどころに絵画や美術品のようなものがあった。 どれもこれも美術のセンスも感性も持ち合わせていない俺には理解できないものばかり。 ど派手に飾られた花の群れを収めるのは、これまた高そうな花瓶だった。 そして俺の周囲に居る人間達は、いずれもタキシードやら着物やらドレスやらを着込んでいる。 仕事着にも使えそうなスーツを着ている人間など俺しかいないのではなかろうか。 そう思うと、周囲の視線が自分に集まったような気がした。 もちろんそれが...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part6-Page3
    351 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/05/14(月) 00 12 28 ID Phq6Y94j ガチャリ、と音がして誰かが部屋に入ってくる気配がした。 足音はしなかった。聞こえてきたのは、トン トン トン、という空気を伝わる軽い音だった。 その音が自分の方に近づいてきて、みぞおちの辺りにもどかしい不安を感じとったところで音は止まった。 続いて左側にベッドが軽く傾くと、陶器のカップにスプーンを入れたときの音がした。 チィン、とも、チン、とも表せる小さな音。 その音の正体が物騒なものでないことを祈っていると、視覚を覆っていた目隠しの布が外されて 閉じたまぶたの向こうに光の気配を感じられた。 数秒かけて目を光に慣れさせてから開くと、なんとなく予想していた通りにかなこさんが目の前にいた。 ベッドの左縁に腰掛けて俺の顔を緩やかな笑みで見つめている。 ...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part14-Page3
    ...H1OM7WJ 俺はことのはぐるまをずっと待ってる 華ルートが気になって仕方ない 432 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 01 58 15 ID wVGM9x27 423 To Heart2のこのみ? 422 俺に彼女ができてから急に学校を休んでいた美弥が突然飯を作るから家に来ないか、とメールを送ってきた。 幼馴染のコイツは小さい頃からいつも俺に甘えてきて、よく彼女ではないのかと周囲から言われ続けていたが、実は違う。 俺はコイツのことを妹くらいにしか思ってないし、どうしてもそうとしか認識できない。 たぶん、俺はコイツに慣れすぎたんだと思う。 「てへへ、こうして二人っきりでご飯食べるの久しぶりだよね♪」 そう言って俺にすり寄って来る美弥。 ほんの一瞬、俺は躊躇ったが、俺は美弥を振りほどく。 「……なあ、美弥。俺も彼女がいる身分になった...
  • 題名の無い短編その六十七
    98 :名無しさん@ピンキー:2010/04/12(月) 01 04 21 ID au0+PYwn 小説全然関係ないが、ヤンデレお嬢様に監禁されてニーソを履かせたり脱がせたりする仕事をさせられる夢を見た。 105 :名無しさん@ピンキー:2010/04/13(火) 20 06 41 ID iZOxnAsn 「どう?私専用のペットになったのは?」 「何を言い出すんですかお嬢様。早くこの手錠を解いてください!」 どうしてこうなったのだろうか?未だに失治(しつじ)はよく分からないでいた。 事の発端は確か・・・ 「美里お嬢様、はやく身支度をなさらないと学校に遅刻しますよ?」 「そんなこと分かってるわよ!うっさいわねー・・・」 そういいながら美里(みさと)お嬢様は支度をする。その間に僕はお弁当などの準備を済ませる。 「あー!もうっ!失冶、ニーソを履くのを手伝いなさい!」 失...
  • しまっちゃうメイドさん 第八話
    52 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/05/31(木) 03 06 11 ID hi8v30i6 十八時十五分 浅原沙紀  すっかり暗くなった五月の夜道を私は歩いています。剣道部の部 員さん達と別れ、一人で歩くこの道はなんだか妙に長く感じます。  私が高校に入るまでは、いつもお嬢様が隣にいて、共に歩くこの 帰り道は私の毎日の小さな楽しみの一つでした。お嬢様は何にでも 直ぐに興味を示されます。それは帰り道も例外ではありませんでし た。お嬢様は、何度も何度も、それこそ何万回もこの道を通られて いるのに、その度に、何か新しい発見をなさいます。  例えば、それは木々の紅葉であったり、  例えば、それは燕の巣であったり、  例えば、それはタンポポの綿毛であったりします。  そうして無邪気にはしゃぐお嬢様の姿はなんとも微笑ましく...
  • 第六話『ダイヤモンド・発光』
    12 :ワイヤード 第六話  ◆.DrVLAlxBI [sage] :2008/10/12(日) 20 25 49 ID 4ulifI0Q 第六話『ダイヤモンド・発光』 お母さんは言っていた。泣いてる子を見たら元気付けてあげなさいって。 お母さんは言っていた。悪い子を見たら、迷わず戦って、勝ちなさいって。 お母さんは言っていた。輝けるものを見たら、一生大切にして、放してはいけないって。 お母さんは死んでしまったけど、息子はずっとその言葉を胸に秘めて生きていた。 ――そして少年は、あのとき『輝けるもの』を見つけた。 「うっ……うぅ……」 「なぁー」 「うぅ……うっ……ぐすっ……」 「なんで泣いてんの?」 少年の目の前にうずくまり、泣いている少女。髪は燃えるように赤く、目は鋭い。誰も信じてはいないとでも言いたそうな、攻撃的な姿。 「……だまれ、話かけるな」 「泣い...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part7-Page2
    ...ス。 177 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/05(火) 00 22 33 ID z5DhbTSq お久しぶりです。13話を投下します。 178 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/05(火) 00 24 16 ID z5DhbTSq 第十三話~無計画な2人~ 華に二度目の告白をされた。 それだけならいい。女性には何度告白をされても嬉しい。 俺が気になっているのは、華の告白に込められた想いの強さだ。 華に初めて告白されたとき、正直言って嬉しかった。だが、あまり真剣には受け止めていなかった。 男を美化するあまりに行われる、ごくありふれた告白と変わりないと思っていた。 しかし、昨日の華の様子を見ていると、その考えは吹き飛んだ。 俺のことを昔から思っていた、俺が他の女と付き合っていたとき悔し...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part8-Page1
    ...かw 181 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/08(日) 07 37 05 ID e3g7TlOW 投下します。16話です。 182 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/08(日) 07 37 47 ID e3g7TlOW 第十六話~犯行の動機~ まぶたが重い。 上下のまぶたが糊でくっついているようにべとべとする。 服の袖で目をこすり、目やにを取り除く。 少しだけ軽くなった目を開けると、白い袖が見えた。 袖口から離れた位置には薄いブルーの横線が入っている。 腕を下ろし、目線を自分の胸元へ。 そこで飛び込んできたものもまた白だった。 俺の部屋にある掛け布団のカバーは、あまり洗っていないせいでくすんだ色をしている。 とてもじゃないが、今体の上にかけられている布団のような純白とは程遠い色だっ...
  • ほトトギす 第十一話
    614 :ほトトギす ◆UHh3YBA8aM :2010/05/31(月) 15 36 28 ID rteUYnWY 源逆灯が去ってすぐ。 入れ替わるようにして『恋人』はやって来た。 否、やって来ていた、と云うべきだろうか。 微睡みの洞窟を抜け、現実と云う今に視線が合うと、織倉由良は風景の中にいたのだ。 所作や格好から判断するに、夕食の支度をしているらしい。 澱んだ瞳でその姿を見ていると、織倉先輩は笑顔で僕に近付いてきた。 「あ、日ノ本くん、目が覚めたのね? 上がらせて貰っているわよ?」 夜にまた来る――予告通り、と云う訳か。 「具合が良くないって云ってたけど、本当に顔色が悪いわね。待ってて、精のつくものを沢山作ってあ げるから」 そう云って支度を続行する姿を見て僕はちいさく首を振った。 食欲などない。 それが偽らざる心境であり、状態だ。 織倉由良が日ノ本創の家に...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part7-Page3
    ...ー? 509 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/06/23(土) 14 27 34 ID PZFnWyFu 投下します。 ******* 第十五話~遠くに居た知り合い、遠くへ行った恋人~ 階段を上がり、上りきったところで自分の部屋の扉を見る。 特に変わった様子は見られない。玄関前に荷物が届いていたり、動物の死骸が置かれたりはしていない。 ただ、俺の方をじっと見ながら無表情で立ち尽くす華がいるだけだ。 ぱっと見では怒っているように見えない。しかしここで安心してはいけないことを俺は知っている。 階段を上るとき以上の重い足取りで歩き、華の前に立つ。 「おにいさんおかえりなさい。――これはさっき言いましたね。 どこに行っていたんですか? 私に一言も告げずに外泊してくるなんて。 私がどれだけ心配していたかわかりますか? わかるわけないですよね。 不安...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第六話
    308 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第六話 ◆AW8HpW0FVA :2009/12/13(日) 23 26 08 ID uJs1YfE0 第六話『シグナム・ファーヴニルの喪失』 シグナムの手に入れた聖剣は、どちらかといえば魔剣みたいだった。 柄は黄金で、見たこともない文字が刻まれており、 鍔には銀のヤドリギが巻き付き、刀身は血の様に赤い。 そんな聖剣を前に、朝からシグナムは悩んでいた。剣の名前が分からないのである。 別にこのまま聖剣で押し通してもいいのだが、それではあまりにも味気なさ過ぎる。 ここはかっこいい名前を付けた方がこの剣も幸せであろう、とシグナムは考えたのだ。 「ふぁ……、朝からなにをしているんですか、シグナム様?」 そんなシグナムに、起きたばかりのイリスは、眠気を孕んだ眼を向けた。 「あぁ、実はこの剣に名前を付け様と思ったん...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part4-Page2
    151 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/03/03(土) 20 53 27 ID TLFyhqD/ ? なんか呼ばれた気がする。 というわけで、投下します。第五話です。 152 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/03/03(土) 20 55 23 ID TLFyhqD/ 第五話~親友と幼馴染~ 俺は今、ちょっとした手違いで香織を押し倒している状態にある。 ちょっとした、ただの友人同士のじゃれ合いをしているうちにこんな状態になってしまっただけだ。 決してわざとではない。 だが今の光景だけを見た幼馴染がそれを理解しているわけがない。 華には俺が女の子を部屋に連れ込んで今まさに襲い掛からんとしているようにしか見えないだろう。 しかし、それは誤解である。大きな誤解である。 決して俺は香織をどうにかしようとし...
  • わたしをはなさないで 第六話
    名前::わたしをはなさないで 第六話[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 02 40 45 ID njgyMu8k [2/6] 「フミ、変なこと言っちゃ嫌だよ」 「ああ、すまん。あのバカとのいつもの軽口だから気にすんな」 正直、今だけはあいつをバカと思いたくない メッセージは伝えた。あとはギンに全てを託す なるだけ穏便に済ませたいんだが、そこまで伝える余裕は無かった いや、ただ単にあの瞬間にそれを表すネタが思いつかなかっただけなんだが とにかくこの状況を何とかしたい 贅沢を言うなら、ナツに正気に戻って欲しい 今が正常なんて、あのドジで大メシ食らいだけど優しいナツを知ってる俺にしては絶対に信じたくないんだ 「じゃあさ、お風呂入ろうよ。フミが嫌って言うから昨日は入らなかったでしょ?  体がべたべたで気持ち悪いよ」 「風呂は好きだ。でも一緒に入るの...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part3-Page2
    ...! 222 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/16(金) 22 56 16 ID 6jmPJ/Y5 220 うすら笑いがなんとも・・・・・・GJ!! では第四話投下します。 223 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/16(金) 22 57 11 ID 6jmPJ/Y5 第四話~腐れ縁の同級生~ 天野香織に出会ったのは俺が12才のころ。  中学校に入学した日のことだった。 ・ ・ ・ ・ ・ ・    入学式の後、クラスメイトへの自己紹介を終えてHRが終了した。  その後でクラスは話し声や席を移動する音でたちまち喧騒に包まれた。ここからは クラスメイトとの友達作りが始まる。  ここで友人を作っておくことは大事なことだ。初日は大概の人間が友人を作りたいと 思っているので、話し...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part8-Page3
    ...ww 426 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00 08 47 ID itF5uxVe 投下します。17話です。 427 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 00 09 33 ID itF5uxVe 第十七話~クイズ~ 菊川邸の中に潜入するのは拍子抜けするほどに簡単だった。 室田さんの運転する車で屋敷の裏について、室田さんが取り出した鍵で裏口の門を開けて敷地内へ侵入。 携帯電話のディスプレイは7時を過ぎる時間を報せていた。 空に浮かぶ月は光を地上に降り注いでいて、うっそうと生い茂る草木の作る影を強くさせていた。 手入れもされていないらしく、数年は誰も使ったことのない道だ、と室田さんが教えてくれた。 暗い獣道を2人で歩き、ようやく開けて見えた場所には物置のような建...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part12-Page4
    ...!! 628 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/01/07(月) 03 09 13 ID Dwn9Nfj7 流れを切ってすいません。投下します。 629 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/01/07(月) 03 10 08 ID Dwn9Nfj7 第二十三話~令嬢の誤解~ 食事を済ませたあと、俺と華はこの町が建てた図書館へと足を運んだ。 移動手段は徒歩。実はさっきまで食事をしていたファミレスと自宅、あと自宅から図書館までの距離は そう遠くはない。自転車に乗らなくても二十分少々歩けば到着する。 女性に長く歩かせるのは良くないということは経験上知っているのだが、華はどうやら例外であるらしく、 図書館に着くまで疲労を訴えたりすることはなかった。 それどころか上機嫌ですらあった。弾んだ声音で何度実家の素晴...
  • サイエンティストの危険な研究 第六話
    294 :サイエンティストの危険な研究 第六話:2011/11/01(火) 22 56 04 ID U1juKE8k  次の日、俺はいつものように昼休みに観察をしていた。独自研究も早三日が経とうとしていた。今までの、既存のデータをまとめるだけの研究ではないため、俺にかかる負担はいつもよりでかい。  しかし、そんな負担すらも超える喜びがこの先に満ち溢れていると思うと、無意識にペンが進む。  というのがさっきまでの状態だ。しかし、俺のペンは今一寸たりとも動いてない。無意識すらも無視する信号、「魅入る」だ。  俺は瞬きをせずに現在の主な研究場所、兄の教室を見ている。そこでは、俺も予想していなかった出来事が起こっていた。 「いい加減にしなさいよ!お兄ちゃんにずっとベタベタしやがって!今すぐその汚い手をお兄ちゃんから離しなさいよ!」 「あなたこそいい加減にしなさい。少しは昭介の事も考えなさいよ。」...
  • 長編SS
    ...夏恋の話 ミツバ氏 ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo氏 真夜中のよづり 赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg氏 恋人作り ◆5PfWpKIZI氏 慎太郎の受難(一部ルート完結) 慎 ◆tXhMrjO4ms氏 類友 シアン・マゼンダ・イエロー・ストーカー(完結) ◆Z.OmhTbrSo氏 上書き(一部ルート完結) ◆2.775XTAfE氏 終わったあとのお茶会 ◆msUmpMmFSs氏 越えられない壁(完結) ◆Z.OmhTbrSo氏 氷雨デイズ 鬼葬譚 第一章 『緋の詩』(完結) 51 ◆dD8jXK7lpE氏 淳シリーズ 慎 ◆tXhMrjO4ms氏 おにいたん、だいすき!(完結) ◆dkVeUrgrhA氏 I had love.Ⅰ 同族元素:回帰日蝕(完結) ◆6PgigpU576氏 しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA氏 黒の領域(完結) トライデント ◆J7GMg...
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