ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫 @ ウィキ内検索 / 「ラ・フェ・アンサングランテ 第十一話」で検索した結果

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  • ラ・フェ・アンサングランテ 第十一話
    339 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十一話】  ◆AJg91T1vXs :2010/12/24(金) 00 47 51 ID g6UM6UEf  薄暮の迫る時分、ジャンはいつもの如く馬車に揺られながら、自分の寝泊まりしている宿場へと戻ってきた。  街の空気は相変わらずで、冷たい風が路傍を吹き抜ける音がする。  この地方を包む冬の寒さはジャンも十分に理解していたが、街を覆う空気が嫌に冷たく感じるのは、季節のせいだけではないだろう。  この街は、自分の家族を追い出した街だ。  そこに留まることが決して望ましいことでないというのは、当然のことながらジャンにもわかっていた。  だが、ここで全てを投げ出して、ルネに何の贖罪の意思も示さないというのは気が引けた。 「つきましたよ、ジャン様。  しかし……今日は、本当に驚きましたよ。  まさかジャン様が...
  • ラ・フェ・アンサングランテ 第十一話
    名前:ラ・フェ・アンサングランテ 【第十一話】  ◆AJg91T1vXs [sage] 投稿日:2010/12/24(金) 00 47 51 ID g6UM6UEf [2/12]  薄暮の迫る時分、ジャンはいつもの如く馬車に揺られながら、自分の寝泊まりしている宿場へと戻ってきた。  街の空気は相変わらずで、冷たい風が路傍を吹き抜ける音がする。  この地方を包む冬の寒さはジャンも十分に理解していたが、街を覆う空気が嫌に冷たく感じるのは、季節のせいだけではないだろう。  この街は、自分の家族を追い出した街だ。  そこに留まることが決して望ましいことでないというのは、当然のことながらジャンにもわかっていた。  だが、ここで全てを投げ出して、ルネに何の贖罪の意思も示さないというのは気が引けた。 「つきましたよ、ジャン様。  しかし……今日は、本当に驚きましたよ。  ま...
  • ラ・フェ・アンサングランテ
    ラ・フェ・アンサングランテ 第一話 ラ・フェ・アンサングランテ 第二話 ラ・フェ・アンサングランテ 第三話 ラ・フェ・アンサングランテ 第四話 ラ・フェ・アンサングランテ 第五話 ラ・フェ・アンサングランテ 第六話 ラ・フェ・アンサングランテ 第七話 ラ・フェ・アンサングランテ 第八話 ラ・フェ・アンサングランテ 第九話 ラ・フェ・アンサングランテ 第十話 ラ・フェ・アンサングランテ 第十一話 ラ・フェ・アンサングランテ 第十二話 ラ・フェ・アンサングランテ 第十三話 ラ・フェ・アンサングランテ 第十四話 ラ・フェ・アンサングランテ 第十五話 ラ・フェ・アンサングランテ 第十六話 ラ・フェ・アンサングランテ 【第十七話】
  • ラ・フェ・アンサングランテ 第一話
    659 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第一話】   ◆AJg91T1vXs :2010/11/06(土) 00 07 43 ID N323y57t  そこは、どこにでもある小さな町の酒場だった。  夕暮れ時だというのに、酒場の中には数人の客しかいなかった。  決して小さな店ではないが、客足は店の大きさに反して悪いようだ。 ―――― カラン、カラン……。  扉につけられた鈴が鳴り、新しく客が入って来たことを告げた。 「いらっしゃいませ……」  マスターが、店に入って来た青年の方を一瞬だけ向いて言った。  客には興味がないのか、それとも単にあれはあれで忙しいだけなのか。  青年がカウンターに座った後も、マスターは手にしたグラスを磨いているだけだった。 「あの……」  持っていた鞄を足元に置き、青年がマスタ...
  • ラ・フェ・アンサングランテ 第十話
    253 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十話】   ◆AJg91T1vXs :2010/12/20(月) 00 57 10 ID dWxH0GEx  街を吹き抜ける風が、宿場の窓を叩いていた。  霙はいつしか雨に変わり、夜の世界を容赦なく冷やして行く。  三階に与えられた自分の部屋で、ジャンはその日、一日の間にあったことを再び思い出していた。  光のない、淀んだ瞳を携えて、人が変わったように血を求めてきたルネ。  そして、先ほどの浴室で、こちらを誘うようにして近づいてきたリディ。  自分の周りで、何かが狂い出している。  それが何なのかはわからないが、ジャンにはそうとしか思えない。  ルネも、リディも、その行いは悪戯と言うにしてはあまりに酷い。  なにより、彼女達が自分に悪戯を仕掛けて来る理由がない。  いったい、あれは何だっ...
  • ラ・フェ・アンサングランテ 第十五話
    410 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十五話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/21(金) 23 58 26 ID QB6qlEts  ジャンが目を覚ましたのは、太陽が既に東の空から顔を出している時刻だった。  ベッドの脇に置いておいた懐中時計を開けると、その短針は八の数字を指している。  さすがに、少し寝過ぎたか。  そう思って隣に目をやると、そこには未だ小さな寝息を立てて眠っているルネの姿があった。  時に気丈な一面を見せながらも、寝顔だけ見ればあどけない少女のままである。  眠りながらも幸せそうに微笑んでいるところを見ると、昨晩のジャンとの行為を夢にでも見ているのだろうか。  隣で寝ているルネを起こさないように気をつけながら、ジャンはそっと身体を起こした。  すると、そのままベッドから離れようと彼の腕を、細く小さい何かが...
  • ラ・フェ・アンサングランテ 第十四話
    348 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十四話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/17(月) 09 58 28 ID WX6p2kPN  丘の上を包む静寂が、夜の帳が降りたことを告げている。  満月の薄明かりに照らされた屋敷の一室で、ジャンとルネは互いの身体を重ねていた。 「んっ……ちゅっ……はぁ……」  唇と唇が触れ合い、二人の舌が別の生き物であるかのようにして相手を求める。  ジャンの舌がルネの口に入り込み、不器用ながらもルネが懸命にそれに応える。  今、二人がいる場所は、他でもないルネの部屋にあるベッドの上だ。  互いに一糸纏わぬ姿のまま、その腕を相手の背に絡ませて抱き合っていた。 「ふぅ……」  ジャンがルネの唇から離れたとき、唾液が音を立てながら糸を引いて伸びた。  目の前では、ルネが名残惜しそうな...
  • ラ・フェ・アンサングランテ 第十三話
    名前:ラ・フェ・アンサングランテ 【第十三話】  ◆AJg91T1vXs [sage] 投稿日:2011/01/10(月) 22 13 30 ID amJrtyAU [2/11]  薄暗い地下の一室で、ジャンは様々な実験器具の並べられた机の前にいた。  今朝、街で見たルネの笑顔。  彼女があんな顔を見せたのは、実に久しぶりのことだった。  ジャンがルネの身体の治療法を探し始めたのは、彼女に対する贖罪の意味が強い。  少なくとも、今まではそうだった。  だが、今日のことではっきりとわかった。  ルネは、贖罪など求めていない。  自分勝手な理屈かもしれないと思ったが、それでもジャンは、むしろ今までの行いの方がルネを寂しがらせていたのではないかと考えた。  ルネはただ、偽りのない自分の姿を受け入れてくれる人が欲しかっただけなのだろう。  養父にさえも己...
  • ラ・フェ・アンサングランテ 第十二話
    92 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十二話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/06(木) 01 19 05 ID f6PLVhrx  早朝であるにも関わらず、その日、ジャンは既にテオドール伯の屋敷の前にいた。  昨日の晩にルネから頼まれたささやかな願い。  それを叶えるためである。 「お待たせしました、ジャン」  伯爵とクロードに連れられて、屋敷の中からルネが姿を現した。  いつも以上に黒いドレスに身を包み、頭にも黒い帽子を被っている。  目元は黒いレースで覆われて、その上日傘まで差していた。  太陽の下をまともに歩けないルネにとっては、これ以上にない重装備ということになる。  昨晩、ルネがジャンに頼んだこと。  それは、身体の弱い自分に同行し、一緒に街まで行って欲しいとのことだった。  別に街に出かけて何をするわけでもないのだが、なにしろ、今まで...
  • ラ・フェ・アンサングラント 第一話
    659 :ラ・フェ・アンサングラント 【第一話】   ◆AJg91T1vXs :2010/11/06(土) 00 07 43 ID N323y57t  そこは、どこにでもある小さな町の酒場だった。  夕暮れ時だというのに、酒場の中には数人の客しかいなかった。  決して小さな店ではないが、客足は店の大きさに反して悪いようだ。 ―――― カラン、カラン……。  扉につけられた鈴が鳴り、新しく客が入って来たことを告げた。 「いらっしゃいませ……」  マスターが、店に入って来た青年の方を一瞬だけ向いて言った。  客には興味がないのか、それとも単にあれはあれで忙しいだけなのか。  青年がカウンターに座った後も、マスターは手にしたグラスを磨いているだけだった。 「あの……」  持っていた鞄を足元に置き、青年がマスタ...
  • ラ・フェ・アンサングランテ 【第十七話】
    60 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十七話】  ◆AJg91T1vXs [sage] :2011/02/03(木) 01 35 20 ID 3nsdqCoA  ジャンが宿場に着いたとき、そこには客の姿は見当たらなかった。  それは一階の酒場も同じであり、建物の中は不気味な程に静まり返っている。  あの、小さいながらも活気のある声が飛び交っていた様子からは想像もできないくらいに、今の宿場は閑散とした状態だった。  リディの話によれば、今は宿場に泊まっている客もいないとのことだった。  疫病のせいで客足もぱったり途絶えてしまい、下の酒場も店を閉じている。  酒場の店主とその妻も、しばらくは自分たちの実家に戻っているようだった。 「あ、あのさ……リディ……」  お茶を持ってやってきたリディに、たまらずジャンは話しかけた。  別に話したいことがあるわけではなかったが、あ...
  • ラ・フェ・アンサングランテ 第十六話
    521 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十六話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/28(金) 00 30 05 ID IV/TJIB5  人気の少ない裏通りの一角に、その古びた酒場はあった。  街外れの酒場の中でも一際古く、また治安の悪いことでも有名な場所だ。  酒場の中では男達が、めいめいに酒を飲んでいる。  どの者の顔を見ても、過去に何かしらの悪事をしでかしてきたであろう、強面の連中しかその場にはいない。  女もいるにはいるが、派手な化粧をして男に色目を使っているような者ばかりだ。  中には娼婦と思しき者も混ざっており、露骨に男の股間にあるものを撫でたり、その腕に抱きついて甘い声を出していたりした。  汗と油と酒の匂い。  それらが混ざり合い、酒場の中には独特のきつい臭気が溢れている。  慣れた者でなければ、こんな場所ではまと...
  • ラ・フェ・アンサングラント
    ラ・フェ・アンサングラント 第一話
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十一話
    192 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十一話 ◆AW8HpW0FVA :2010/06/10(木) 23 44 39 ID XyGZt+cK 第十一話『西方擾乱して、異人勇往邁進する』 まるで幽霊の世界だな。 それが西大陸の玄関口エトナに着いたシグナムの正直な感想だった。 交易などで活発であるはずの港は沈黙し、 時折すれ違う人は悉く俯いて、その瞳には光がなかった。 それは、まさしく生きる事に絶望した者達がする目であった。 事前に情報を集めてはいたが、ここまで酷いとは想像も出来なかった。 しばらく港を見つめていたシグナムは、ここにいても意味がない事を悟り、町に向かう事にした。 町に入ってみて、シグナムはサヴァンでの情報が、 いかに楽観に満ちたものであったかを思い知った。 町中の壁という壁は崩れ落ち、家という家は焼け崩れ、 路地という路地には埋めきれない死体で溢...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に
    ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第一話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第二話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第三話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第四話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第五話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第六話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第七話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第八話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第九話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十一話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十二話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十三話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十四話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十五話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十六話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十七話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十八話 ドラゴン・ファンタジーのなく...
  • 第十一話『ちょっとした休息と・推測』
    270 :ワイヤード 第十一話  ◆.DrVLAlxBI :2008/10/22(水) 00 28 49 ID wHrqCpJg 第十一話『ちょっとした休息と・推測』 「私の処女、千歳君にあげますね」 「……!?」 「驚かなくてもいいじゃないですか。期待していたんでしょう?」 ――こんなことされてるんですから、行き着く先はおのずとわかるでしょう。 くすくす笑い。それは聞き飽きた。 「お前……なんで」 「何故か、ですか? まだ分からないんですね。ならそれでいいです。一生迷っていてください」 ミクの小さな手が、それにそぐわない腕力で千歳の性器を掴む。 「やっぱり、普通よりちょっと大きいんですね……。こういうの、ちょっと気分がいいです。じゃあ……」 ミクはハーフパンツを脱ぎ去り、下着を露出した。 昨日より何倍も大人っぽい、黒い下着。ぐちゃぐちゃに濡れて、薄い生地が透けてい...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第二十一話
    628 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に  ◆AW8HpW0FVA :2011/02/12(土) 23 52 43 ID rhvtT6cM 第二十一話『バッド・コミュニケーション』 ブリュンヒルドを殺す。記憶継承のその日から、シグナムの頭にはそれしか思い浮かばなかった。 これまでにもブリュンヒルドを殺そうと思った事は幾度もあった。 しかし、その度に思い留まった。良心ではなく、打算からの理由だった。 怒りに任せて突撃しても、謀略で以って殺そうとしても、 あれは全てを跳ね返してしまうだろうと思ったからである。 とはいえ、今回ばかりはそうも言っていられない。 漠然とした予感が、確信へと変わった。イリスの記憶がそれを明確に物語っている。 このままでは、間違いなくブリュンヒルドに殺される。 なぜ今までなにもされなかったのか、理解に苦しむところであるが、そ...
  • 第二十一話 ナギ編1『こころ』
    829 :ワイヤード 第二十一話 ナギ編1    ◆.DrVLAlxBI:2012/01/13(金) 12 36 29 ID WlbiZkq2 第二十一話 ナギ編1『こころ』 「ナギ、俺は――」 千歳はそこまで口に出すことが出来たが、それっきり黙りこんでしまった。ナギの肩を抱きながら、ナギの紅い瞳を見つめている。 ナギの目は伏せられ、泪の雫が浮かんでいた。今にも泣き出してしまいそうな、危うい表情をしていた。 これ以上は、ナギの心を傷つける。 千歳はその事実を悟り、口をつぐんだ。ただ、ナギを見た。伝えたい気持ちがあった。聞いて欲しい言葉があった。 だけど、こんな顔をされて、どんな言葉をかけられる? どんな気持ちを伝えられる? ナギは言った。心と心は通じ合わない。人は自らの知ることしか知らない。 誰かの抱いた感情を推し量ることはできても、自分のものにすることは出来ない。 他人の傷を奪う...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十六話
    242 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十六話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/10(日) 18 46 45 ID mNhTWqXt 第十六話『レッド・ホット・サマーデイズ』 馬車に乗っているシグナムの表情はげんなりとしている。 バトゥの腕に抱き着いて離れないヘカテが目に入るからである。 特にヘカテは、バトゥと目が合うと問答無用でキスしようとするのだから堪ったものではない。 バトゥも何度か目でこちらに合図を送ってくるのだが、シグナムにはどうしようもない。 ここに自分がいなければ、ディープな奴になるのではないかと思ったが、 いてもいなくても、それはまったく関係のないものらしく、 目の前では口付けてちゅぷちゅぷと音を立てている二人の図がありありと広がっている。 というか、実はこれでも遠慮していて、 自分がいなくなったら、さらに凄い事で...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十話
    429 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十話 ◆AW8HpW0FVA :2010/05/23(日) 22 41 27 ID Z9+/ToUj 第十話『西方へ』 ニプルヘイムに向かうための難所は、出る時も難所である。 シグナムにとって、半月も山越えに時間を費やす暇はなかった。 正直な所、別なルートを模索したかったが、ニプルヘイムの周辺は、 アムリタ、ソーマ、ネクタル、アンブロシアの四山以外は未開と言ってよく、 下手に踏み込めば二度と出てこれないという有様であり、 ならば川を下るならばどうかというと、切り立った渓谷の間を流れる凄まじい激流が、 いかなる船も沈めてしまうので、これもまた行うのは至難である。 結局は、北方三山を越えなければ、外に出れないというなんとも不便なものだった。 復路の最初のネクタル山を、シグナムとブリュンヒルドは無言のまま歩いていた。 シグナムの...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第一話
    672 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第一話 ◆AW8HpW0FVA [sage] :2009/07/09(木) 22 10 26 ID sYEvhO7c 第一話『非情な王と、不幸な王子』 今から大体千年前、この世界は魔王の支配する暗黒の世界でした。 人々は、魔王の脅威に晒され、眠れぬ日々を過ごしていました。 そんなある日、一人の青年シグルドが、天の声を聞き、魔王を討つべく旅立ちました。 シグルドと仲間達は、幾万もの艱難辛苦を共にし、 ついに魔王を封印することに成功しました。 シグルドは人々に推されて王となり、さらに、自分に従った仲間達を各地に封建し、 魔王の復活に備えました。 それから千年の間、人々は平穏に暮らしていました。 しかし、その平穏は突如として破られた。 魔王が復活したのだ。 復活を告げるような大地震の後、魔王を封印した北の大地から、 無数...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part19-Page2
    180 名前:天使のような悪魔たち 第2話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 23 25 14 ID 69OvmC0n ―――――あれ。どうしたんだ結意のやつ。なぜ立ち上がろうとしない? 「あ…あしに、ちからはいんないよぉ…ふぇぇぇん…」 ―――ああはい、そうですか。 「なんで…なんでよお…ぐすっ…立てないよぉ…飛鳥くんに……また置いてかれちゃうよぉ…」 ほんっと、しょうがないな。俺は、結意に背中を差し出した。 「ほら、乗れ。」 「…ごめんね。飛鳥くん…ごめんね。」 「謝るな。その…俺のせいなんだし。」 ―――数十分後。早くも後悔していた。 結意のやつ…さっきから人の背中ですーはーくんかくんかしやがって…恥ずかしいったらありゃしない。おかげで、人目につかないよう道を選ばざるをえなくなったじゃない か。すれ違う人はみんな怪しそうに俺たちを見ているし。…...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十五話
    105 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十五話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/03(日) 18 33 13 ID TDSsLryv 第十五話『エロスの弓矢』 ピドナに帰還してから、数日が経った。 ブリュンヒルドは未だに各地を転戦しており、ここにはいない。 そんな中、シグナムはバトゥとハイドゥを自分の執務室に呼び寄せた。 だというのに、その中にハイドゥはいない。呼びに行ったが、不在だったのだ。 まぁ、いいか、とシグナムは思い、やって来たバトゥに向かって、 「バトゥ、お前は妻帯をしていたり、思い人がいたりするか?」 と、切り出した。あんぐりと口を開けているバトゥを尻目に、シグナムは、 「いないのなら、お前には結婚をしてもらいたい」 と、言った。 そんな大した事を言ったつもりはないのに、バトゥは顔を赤くし、激しく動揺していた。 ...
  • サイエンティストの危険な研究 第一話
    859 名前:サイエンティストの危険な研究 第一話[sage] 投稿日:2011/09/23(金) 22 34 07 ID i775jQ6E [2/6] 所長:では今回の研究データはこちらの額で買わせていただきます。  一仕事を終えた俺は、側にあった冷えきったコーヒーを一気飲みする。 「まじぃ・・・。」  不味さが頭を回復させていく。寝ずに頭を使いすぎていたせいで、回復と言ってもまさしく雀の涙程度だ。 トントン  扉がノックされた。 「亮介、朝飯ここに置いておくからな、ちゃんと飯食えよ。」  扉の前に食器が置かれる音がした。 「じゃあ俺、祐希と図書館言ってくるからな、昼飯は朝食と一緒にお金置いておくからな。」  扉の先から聞こえる声が終わり、足音が遠くなっていった。  俺の名前は藤崎 亮介。そして今扉の前にいたのは、俺の兄の藤崎 昭介だ。  兄は面倒見が良い。だから、寝ず...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十九話
    78 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十九話 ◆AW8HpW0FVA :2011/01/05(水) 19 55 37 ID VAiLZtsu 第十九話『予兆』 ワールシュタットにてアルダー率いる軍が大敗した頃、 シグナムとブリュンヒルドは船に乗り、大洋の上に浮かんでいた。 船に乗り込んでから、シグナムは気が抜けたのか、亡霊の様な表情で、ベッドに横になっていた。 虚空になにかを呟き、差し出される食事にも手を出さず、それはあたかも廃人の様だった。 三日間もその様な事が続いた。 「シグナム様、お願いですから一口だけでも食べてください。このままでは衰弱する一方です」 今までなにも言わなかったブリュンヒルドが、ついに口を出した。 その顔には憂色が浮かんでいた。 ブリュンヒルドを見たシグナムは目に見えて怯えた表情になった。両手を頭に置き、縮こまった。 「シグナム様、どうした...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十三話
    39   名前:  ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十三話 ◆ AW8HpW0FVA   2010/08/02(月) 01 04 34   ID qlPYhIj20 第十三話『ピドナ侵攻』 バトゥの従属により、シグナム軍の経略の幅が広まった。 バトゥの騎馬隊は、兵力は千と少ないが、圧倒的な機動力と精強さを誇り、 一介の馬賊ではなく、十分に軍として機能する、とシグナムは見た。 しばらくの間、シグナムはバトゥと騎馬隊を麾下に置き、反抗勢力を討伐していった。 バトゥの活躍は凄まじく、流石は馬賊の頭領をやるだけあり兵法は多少心得ている様だった。 それでも物足りなかったシグナムは、幕下では兵法を説き、 戦中は、机上の兵法と実戦の矛盾について教えた。バトゥはこれ等を真綿の様に吸収した。 ことさら、シグナムと兵法談...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十七話
    92 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十七話 ◆AW8HpW0FVA :2010/10/31(日) 20 38 46 ID DPPMAttU 第十七話『夏祭りと明暗』 凱旋したブリュンヒルドは、都中からの万雷の拍手と歓声で迎えられた。 満面の笑みを民達に振りまきながら、ブリュンヒルドは入廷した。 しかしどういう訳か、その笑顔はすぐに消えてしまった。 王より直々の褒詞を受けたというのに、ブリュンヒルドはまったく喜ぶ様を見せず、 ただ静かに受け答えをするだけだった。退廷してからもブリュンヒルドは、 文武百官達からの祝辞に耳を傾けず、憮然とした表情を浮かべながら歩き去ってしまった。 百官達は皆、ブリュンヒルドの機嫌の悪さの原因がなんなのか分からなかった。 ブリュンヒルドが向かった先は、シグナムの執務室である。 ノックする事なく扉を開けたブリュンヒルドは、書類に目を通して...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十八話
    373 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十八話 ◆AW8HpW0FVA :2010/12/26(日) 20 54 18 ID Xac2tW7W 第十八話『ワールシュタット』 ブリュンヒルドが朝早くに出て行ったのを確認したシグナムは、昼頃になってから出立した。 出立する前に、オゴタイ王から二頭の駿馬を貰い、その馬で以って平原を駆け抜けた。 乗っている馬が疲れ始めたら、併走している馬に乗り代える。 高等技術であるが、シグナムには大した事ではなかった。 六日後にはエトナに到着し、そのまま船に乗り、サヴァンに向かった。 サヴァンまでは、一月程の船旅である。 ブリュンヒルドのいない一月は、シグナムにとって心休まる日々だった。 初めて西方大陸に向かった時の様なピリピリとした空気は感じられず、 ただ徒然なるままに釣りをしたり、賭け事などをして時間を潰した。 予定通り一月もする...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十二話
    232 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十二話 ◆AW8HpW0FVA :2010/07/16(金) 20 01 43 ID WbSBxrpW 第十二話『東方の小覇王』 エトナの町に凱旋した時、シグナムは町中の賞賛に包まれた。 女達を救い出しただけでなく、憎き山賊達を皆殺しにしたのだ。 町人達は溜飲が下がった思いだったのだろう。唯一の心残りとしては、火計を行なう上で、 集められた金目の物を回収する事が出来なかった事だが、その辺りは責められなかった。 とにかく、シグナムは町民達の期待に十二分に応え、町民の人身掌握は成功した。 それを実感したシグナムは、町民達に目を向け、 「喜ぶのはまだ早いです。山賊を滅ぼしたとはいえ、それはその他大勢の内の一部に過ぎません。 これから先も、この町には山賊だけでなく、群盗、海賊などがやってくるでしょう。 どうか皆さん、我こそはという人...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十四話
    145 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十四話 ◆AW8HpW0FVA :2010/09/15(水) 19 37 25 ID IGAMPonY 第十四話『西方の統一』 ピドナを攻略したシグナムは、そこから軍を動かさず、今後の統治について話し合った。 これは、勢力の拡大により、今までの統治方法に限界が来てしまい、 新たな政策を模索せざるを得なくなったからである。 火急の問題として上がったのは、占領地の統治についてと、流民の救済についての二つだった。 話し合いの結果、占領地統治については、シグナムが土地を郡と県に区分し、 郡には守、県には令を派遣し、支配させる、所謂、郡県制を提唱し、それを実施する事になった。 この制度により、政府の命令がスムーズに行き渡るだけでなく、 さらに君主が役人を選んで派遣するので、君主権力の強化にも役立った。 次に、流民の救済に関しては、トゥ...
  • 第一話 「目覚め」
    249 :第一話 「目覚め」 1/11  ◆Thmxzr/sD.HF :2010/04/20(火) 05 36 22 ID mjRXjmEu 何度、この窓からこの景色を見ているのだろうか。 確かに素晴らしい眺めだし、少しずつ変化もある。 季節や時間で徐々に景色は移ろっていくし、 その中でここからではとても小さくゆっくりと動く 遠くの車、人、小舟などが見える。 この窓からの眺めは好きだ。 好きではあるのだが―― もう、とうの昔に見飽きてしまっている。 毎日これを見ているのだ。 でも他に時間を潰し、気を紛らわせるいい方法が無い。 時間があるなら本当は勉強などもした方が良いのかもしれない。 でも、やる気など起きるはずもない。 やりがいがない。 どうせ無駄になるのだから。 だから結局、窓の外を眺める。 特別な喜びなど何もないが、 それでもこの空だけは常に自...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第二十一´話
    637 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に  ◆AW8HpW0FVA :2011/02/13(日) 00 00 18 ID jfDCykFL 第二十一´話『そういえば、レギンってどうなるの?』 岩が崩れ落ちる中、シグナムは右腕だけで崖縁に掴まっていた。 ブリュンヒルドを殺すためとはいえ、流石に岬崩しの策はやりすぎた。 その代償で、左肩を強かに打ち、骨を砕いてしまった。 だが、こうでもしなければあの化け物は殺せなかったのだ。 それを思うと、左肩の犠牲くらい安いものである。 シグナムは右腕に力を入れて、懸垂する様に崖をよじ登ろうとした。 突如、月光を遮る影がシグナムを覆い、右手を掴んだ。 「シグナム様、大丈夫ですか!?」 それは最も聞きたくない声だった。身体中の血という血が引いてしまった。 右手を掴んでいたのは、間違いなくブリュンヒルドだった。 ...
  • キャラ紹介
    431 :ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] :2008/10/28(火) 16 28 17 ID gifGW32h 注:このSSのヒロインは「全員ヤンデレ」です。今は違えど将来的には絶対に変質します。 レギュラーヒロインズ 西又 囲炉裏(にしまた イロリ) :千歳にはじめて出来た友達であり、幼稚園時代の大親友。ある時、イロリの家の都合(詳細不明)でイロリが京都へ行ってしまったため、離れ離れになるが、イロリは千歳を思い続け、ついに帰ってきてしまったところからワイヤード本編が始まる。 一応はメインヒロインであるが、未だヤンデレの片鱗を見せてはいない。しかし初登場時の口調や性格、行動などを見たナギが「吐き気がする邪悪だ」と認識した事実があり、その根本には何か怪物が潜んでいるのではないかという疑いもある。 どうにしろ今のところは千歳への強い愛を原動力に動く純...
  • サイエンティストの危険な研究
    サイエンティストの危険な研究 第一話 サイエンティストの危険な研究 第二話 サイエンティストの危険な研究 第三話 サイエンティストの危険な研究 第四話 サイエンティストの危険な研究 第五話 サイエンティストの危険な研究 第六話 サイエンティストの危険な研究 最終話
  • 第十三話『ネクストステージ・始動』
    416 :ワイヤード 第十三話 ◆.DrVLAlxBI [sage] :2008/10/28(火) 15 39 49 ID gifGW32h 第十三話『ネクストステージ・始動』 道場の中心で向かい合う千歳と理科子。二人の周囲には誰にも踏み込ませないほどの強力な闘気の壁がある。 見物に回ったイロリと、隣に座るここあももはや言葉を発することができず、ただ見ているのみ。 もはや、この勝負は向かい合った時点から始まっていた。 「(すごい……これがちーちゃんの『清水拳』)」 理科子の微妙な視線の変化と、脚の筋肉の収縮。次の動きへの予備動作。千歳はその全てを見切り、微細な牽制を繰り返していた。 おそらく、かなり修業をつんだものか、感覚の鋭いものにしか見えないであろう、その牽制。 この場では、イロリと、この道場でもトップクラスの実力を持つ数人の門下生達――ここあを含む――にしか気づけな...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part21-Page2
    151 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/21(水) 15 34 23 ID BKFgU1gH 誰かいますか?投下しようと思うのですが・・・ 152 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/21(水) 15 39 40 ID FViU4SmV 151 何をしている?早く投下したまえwktk 153 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/21(水) 15 41 18 ID BKFgU1gH 152 ありがとうございます。生意気にも、初投下で長編です。 前置き ・内容はすごく浅い。あくまでみなさんの作品が投下されるまでの繋ぎ的なものとして見てください。 ・gdgd ・なにも始まらないくせに長い一話 ・登場人物無駄に多い ・批判/指摘はガンガンください。直せる限り努力します。 ・でもキツイと凹みます。ダメ人間...
  • ことのはぐるま 第十一話~前世の否定~
    349 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/14(月) 00 10 05 ID Phq6Y94j ------- 第十一話~前世の否定~ ・ ・ ・  目隠しをされたうえベッドに長時間縛り付けられていると、無性に不安な気分にさせられる。  もしかしたら目隠しを隔てた向こう側には刃物を持った殺人鬼がいて、俺をどうやって殺そうか 考えているのかもしれない。  身じろぎをしただけで殺されるかと思うと、うかつには首を動かすこともできない。  それとも、どこか人目につかない場所にベッドごと閉じ込められているのかもしれない。  もし誰も来なかったら、この惨めな状態のまま死んでしまうだろう。  不意に、ベッドの下や天井を這うムカデやゴキブリの姿を想像してしまった。  無数の足を持った黒い虫たちがベッドの足を登って、または天井から落下して俺...
  • 第十六話『イロリ汚いなさすがイロリ汚い』
    292 :ワイヤード 第十六話 ◆.DrVLAlxBI [sage] :2009/01/24(土) 23 47 35 ID PqgTn3fx 第十六話『イロリ汚いなさすがイロリ汚い』 「ん、ちーちゃん、もう帰っちゃうの?」 「ああ、ちょっと野暮用でな」 「ええー。カナメちゃんの親睦会をしようと思ってたのにー」 頬をふくらませるイロリに苦笑いしつつ、千歳はぷらぷらと手をふって教室を出て行った。 「前から思っていたが、お前は千歳をそんなに好きだというのに、必要以上にべたべたくっついていかないんだな」 「うん。ちーちゃんに、迷惑かけたくないから」 「……?」 イロリの返答の意味を図りかねたナギは、首をかしげたがその後は追及をしなかった。 ただ、イロリは過去に起こった何かが原因で、千歳に若干遠慮をしているのだということはかろうじてわかった。 「とにかく、本題は、カナメだ」 ...
  • わたしをはなさないで 第一話
    194 :わたしをはなさないで 第一話:2010/12/17(金) 01 37 37 ID 8uGlJG4D うちには拾って来たペットがいる 犬が二匹、猫が三匹、カメと女の子とが一匹ずつ アパートはペットOKとはいえ、一人暮らしのフリーターには餌代だってバカにならない なんだけど、どうしても我慢できずに拾ってきちゃうんだよなぁ エゴだとは思うけど、捨てられてるの見てるとやっぱりかわいそうでさ 「ワン!」 「ニャー」 「………」 「おなかすいたー!」 まったく、バイトから帰るなり飯の催促か 少しは温かく迎えて欲しいもんだがねぇ ………うん、何が言いたいかは分かる 今この場にポリスメンが居たら、俺はこれから三食税金で食わせてもらえる楽しい楽しい別荘行きだ けど、俺がこいつ―――古口夏樹(こぐちなつき)をここに住まわせてる理...
  • ウェハース第十話
    463 :ウェハース第十話 ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/26(日) 19 01 55 ID TClGu358 携帯のデジタル表記で九月一日の午前三時。 大学生未満の学生なら確実に憂鬱な気分になるであろう今日、僕はこの前から続く憂鬱を作る原因に頭を悩ませていた。 暗い、光といえば月光ぐらいの自室のベッドの上で夏休みの内にあった事を思い出す。 あれから暇があれば僕か彼女の家にいた。 それは彼女があれからずっと僕と一緒にいたという意味で。 彼女は家に帰り、眠り、朝食を済ませるとすぐに僕の家に電話を掛けてきた。 携帯では確実性に欠けると判断したんだろう。 あれからたまにセックスはするけど、どれも僕は気が進まなかった。 四日前なんかは外でやった。 映画を見に行った際に、小町が急にトイレに行きたいと言い出した。 やたらと...
  • 第十話『ロストマイセルフ・喪失』
    196 :ワイヤード 第十話 ◆.DrVLAlxBI [sage] :2008/10/18(土) 20 13 39 ID jpNcDmls 第十話『ロストマイセルフ・喪失』 信じていたものが崩れる瞬間、人はなにをするのだろうか。 悲しむのだろうか。怒りにとらわれてしまうのだろうか。心を失ってしまうのだろうか。 愛が憎しみに変わるのだろうか。 それは、それぞれが決めて、進んでいくこと。乗り越えること。 鷹野百歌は、愛にしがみつくことを選択した。 「誰だ……近づくな、近づくな……」 がたがたと震える男に、百歌は手を伸ばす。 ――百歌だよ……私は、百歌だよ。 「知らない……! 私はそんなやつ、知らない!」 男は、化け物でも見るような目つきで百歌を睨み、その手を払いのけた。 「亡霊め……『あの女』の形をとって、私をまだ……まだ、縛りつけようと……!」 男は、ぶつぶつと呪...
  • 炸裂超人アルティメットマン第一話~第二話
    248 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/12/19(水) 02 00 10 ID lUt+bHho   炸裂超人アルティメットマン 第一話 見よ!炸裂の巨大変身  登場巨獣 超ゴム巨獣 マノーン  「ああ、寒い寒い・・・ったく、この季節はやってられないなあ本当に」  僕、東条 光一はそういって今の今まで寝ていたうすっぺらいせんべい布団を折りたたむと顔を洗い 三畳一間の部屋の隅に押し込められたちゃぶ台を引っ張り出して食事の用意を始めた。  冬のこの季節、暖房もない中で朝早起きするのはとても辛い事だと思う、しかしこうしなければいけ ないのも事実だ、などと冷蔵庫から取り出した納豆と、炊飯器から取り出した温かいご飯を食べながら思う。  モルタル張りの三畳一間、狭くてぼろい上にアスベストも使っているようなアパートの中で...
  • 第一話『コントラクター・再会』
    809 :ワイヤード 第一話 ◆.DrVLAlxBI [sage] :2008/10/10(金) 20 08 53 ID r9yyjKLi 第一話『コントラクター・再会』 ある意味では予知夢というものだろうか。 鷹野 千歳(たかの ちとせ)は、何の超能力も持たない普通の高校生だったが、この夜、確実に彼の夢は過去と現在を、そして未来を繋いでいた。 「ねぇちーちゃん、ちーちゃんのゆめはなに?」 「おれのゆめか……まだ、ないなぁ。そういういっちゃんはどうなのさ」 「え~。おしえてほしい?」 「いや、いいたくないならいい」 「ま、まってよぅ! いうからおいてかないで!」 「べつにおいていこうとしてるわけじゃない。いっちゃんがもったいぶるから、きかないほうがいいかとおもった」 「ぅ……ううん……。いいたくないわけじゃないよ。でも、ちーちゃんのこたえがこわかったの」 「おれがか...
  • ニーベルンゲンの歌 第一話
    335 :ニーベルンゲンの歌 第一話 [sage] :2009/12/20(日) 01 36 58 ID 19S8AU3u 西暦20XX年 人類は、異世界からの襲撃を受けた。 それは秘密裏に、世界各国の政府によって水面下で処理される筈だった。 しかし、異世界の軍隊の所有する人型兵器は人類の兵器を圧倒し、蹂躙した。 人々は事態を理解する間もなく滅亡するかに思えた。が、異世界にも味方はいた。 異世界の軍勢が所有する人型兵器、通称『シグルス』 それを手に入れた地球の軍と異世界軍は均衡状態にあった。 これは、その戦火を駆けた少年少女の、狂愛の物語 * * * * * 「…眠いなぁ」 帰り道の坂を下っている少年。彼の名前は貴志堂 生(きしどう いきる)。今年高校二年になったばかりだ。 坂を下りた先の桜並木は桃色の吹雪を散らしている。生はその道の端を歩きながら、大きな欠伸...
  • 愛と憎しみ 第一話
    358 名前:愛と憎しみ 第一話 ◆O9I01f5myU[sage] 投稿日:2011/07/22(金) 21 43 30 ID BEYROaUY [2/6] 1  結末が知れている恋ではあった。  その日、一人の女の抱いていた恋心が儚く散った。  面と向かって拒絶されたわけではない。自分の想いを伝えられるだけ、まだその方が救われたかもしれないが、今の女の心境からすれば、その様なものは詮無い事だろう。  想いが胸で燻り続けている内に感じられていた。どんなに足掻こうとも、報われる事はないだろうと。その隣には誰かがいるのではないかと。自分が入る余裕なんて、既に失われているのではないかと。  それらの不安は的中していた。女が慕うその人は今まで見せた事もない頬笑みを浮かべながら、こう告げてきたのである。「子宝を授かった」と。  何時か宣告されるであろうと思っていたが、恋は終わりを迎え...
  • 天使のような悪魔たち 第1話
    105 : ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/15(水) 00 20 25 ID Oz0i9diC 俺の名は、神坂 飛鳥。成績は中の下、ルックスも普通。悪くもないが、飛びぬけていいわけではない。多分。そんな、ありふれたごく普通の高校生だ。 そして今俺は、ある女子に呼び出されていた。放課後に体育館裏という、あまりにベタなシチュエーションだ。 「好きです。付き合ってください!」 ―――やはり。が、俺の返事は決まっていた。 「ごめん。」 そいつは、名を確か………なんだっけ?まあいいや。そいつは決してぶさいくとかそういうわけではない。むしろ、間違いなく美少女の類に入るだろう。そして俺はその美少 女に告白されているわけ。 「そんな……なんでよ!わたしはこんなにあなたが好きなのに……」 「……あのさあ、いい加減諦めてくれないかなあ?もう何度目だよ?」 ...
  • Tomorrow Never Comes一話「平平凡凡」
    154 :Tomorrow Nver Cmoes一話「平平凡凡」 ◆j1vYueMMw6 [sage] :2009/01/21(水) 15 47 21 ID BKFgU1gH 「はい、じゃあ各自念入りにダウンしといて。レギュラー外の一年は手伝うか片付け。最後の子は戸締りをして、一階のラウンジに集合」 今日も部活が終わった。相変わらずの不完全燃焼で、不満が募るばかりだ。 季節は冬、12月。ごく普通に中学を卒業した俺は、ごく普通の高校に、特に何の波乱も無く入学し、大きな変化も無いまま一年が終わろうとしていた。 現に、今年の授業は今日で収めとなり、明日からは冬休みが始まる。冬休みはカレンダーで見るよりもずっと早く、あっという間に年が明けるだろう。 「さて、と」 散らばったボールを籠に戻すと、俺は体育館を見渡した。梅ちゃんが舞台のほうへと向かったので、おそらくモップを持ってくるはずだ...
  • 第十四話『存在に心奪われる時』
    773 :ワイヤード 第十四話  ◆.DrVLAlxBI [sage] :2009/01/05(月) 13 32 38 ID TDyDTYz3 第十四話『存在に心奪われる時』 「(どこだ……どこから撃ってきている……)」 第二射。 千歳は即座に反応して手のひらで矢を受ける。 千歳の手のひらを貫くかと思われた矢は、逆にひしゃげて地面に落ちた。 そして、千歳は分析を終了した。 今の一撃で。矢の方向や速度、角度によって、狙撃者のいる位置を特定したのだ。 「(ありえないことだが、3000メートルほど離れた地点から撃っている。そして、恐らく高くて、俺が見える場所……)」 ――学校、だ。 「っ!?」 思考している間に、三発目が迫っていた。 「蒼天院清水拳、流転投槍!」 両手を円状に回転させて、その中心で作った空気の壁により、触れずに受け止める。 矢にこもったエネルギーを保...
  • 第十二話『きみの散歩道・憫笑』
    330 :ワイヤード 十二話 前  ◆.DrVLAlxBI [sage] :2008/10/25(土) 19 41 44 ID BCBiq9CW 第十二話『きみの散歩道・憫笑』 ひたすら歩く千歳の後ろを、イロリがてくてくとついていく。今の千歳の気分はドラクエの勇者だ。 いや、カモの親か。 どちらにせよ、後ろにいる奴が可愛くてほほえましくて仕方が無い。 「なつかしいね」 イロリが口を開いた。 「ああ、昔はお前と結構遊んだな。ここでさ」 商店街。 ある程度の活気と、ある程度の落ち着きがある街並み。 現代的ではない。ノスタルジックな光景。 昔のままだった。 「走り回って、八百屋さんに怒られたっけ」 「ジャッキーチェンの真似とかしてな。思えばあの頃は馬鹿ばっかしてたな」 「ジャッキーかっこいいし面白いしね。たぶん、男の人の中ではちーちゃんの次くらいに好き」 「なんだ...
  • 第十七話『遥か久遠の彼方に・前編』
    299 :ワイヤード 第十七話 ◆.DrVLAlxBI [sage] :2009/01/24(土) 23 51 27 ID PqgTn3fx 第十七話『遥か久遠の彼方に・前編』 この山は久遠の家、九音寺家の持ち物である。 それだけではない。この山のふもとにある千歳たちの通う私立高校も、もとを辿れば九音時家が出資して作られたものだ。 今は経営者が変わっているが、この辺りの地域を切り開いて活気付けたのは、九音寺家の功績だった。 故に、彼らの権力は強く、商店街などはいまだ主導権を握っている。 ヤクザというとあまり聞こえがよろしくないが、彼らは進んで汚いことに手を染めたりはしないし、人道に外れた行いもしない。 彼らは、カタギの人々が思っている以上に暗黒に包まれているこの日本の裏社会の波から、街を守っているのである。 さて、今千歳と久遠が入ったこの小屋は『旧九音寺跡』と呼ばれる場所...
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