ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫 @ ウィキ内検索 / 「リバース第二十一話」で検索した結果

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  • リバース第二十一話
    名前:リバース ◆Uw02HM2doE [sage] 投稿日:2010/12/21(火) 17 37 08 ID Jda9/gGC [2/8] 「……えっ?」 一体亮介は何を言っているんだ。潤が遥や撫子を陥れた?そんな馬鹿なことある訳―― 「……千秋と理香子、何でここにいるの?」 感情の一切篭っていない声で潤が問い掛ける。その矛先は亮介の後ろで怯えながら潤を見ていた二人の女子に向けられていた。 ショートボブの活発そうな女子とロングヘアーの大人っぽい女子。校章が一年生用なのでおそらく潤のクラスメイトなのだろう。 ロングヘアーの女子は躊躇いながらもゆっくりと亮介の横に並ぶ。その目はしっかりと潤を見据えていた。 「……潤、私たち見ちゃったの」 「……見ちゃったって…何を?」 潤は俺を抱きしめながら訝しげにその女子を見つめている。 「……潤が最近元気なかったから千秋と一緒...
  • リバース第二十話
    114 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/12/10(金) 02 12 52 ID iAaJxc+e 『……あれ?』 気が付くと教室に立っていた。どうやら授業中らしく目の前にいる黒川先生がこちらを睨んでいる。 『す、すいませんでした!すぐ席に――』 先生は必死に謝る俺を"すり抜けて"一番後ろで眠りこけている"白川要"の頭を叩いた。 「いてぇ!?……あ」 「おはよう白川。気持ち良さそうに寝ていたようだな」 クラスメイトが呆れたような視線で見つめる中、俺と先生のいつものやり取りが繰り広げられていた。 『……一体どうなってんだ』 そして同じく白川要である俺が、それを教室のど真ん中でぼーっと見ている。 『……誰も気付いてないみたいだな』 俺がど真ん中で突っ立ているにも関わらず教室内の誰も俺に気付いていな...
  • リバース第二十二話
    144 :リバース ◆Uw02HM2doE :2011/01/07(金) 23 30 50 ID sGhEY2Nt 運よく花壇の下に落ちたのが良かったらしい。もしコンクリートだったならば即死だったと医者に言われた。 ただ意識不明の重態が本当に良かったのかどうかは分からない。 即死は免れたにせよ脳へのダメージが著しく下手すれば脳死、高い確率で何らかの後遺症があると付け加えられたからだ。 まるで記憶を無くしたいと願った潤の願いに神様が応えたかのような状態。俺はただただ医者の話を聞くしかなかった。 「要……。潤は……?」 「……命は助かったよ。でも……」 医務室を出ると亮介が駆け寄って来た。時刻は既に午前2時。 普通ならば帰されている時間だが亮介は土下座までして頼み込んだ。どうしてもここにいたい、と。 最初は否定的だった医者と看護婦達も亮介の熱意...
  • 第二十一話 ナギ編1『こころ』
    829 :ワイヤード 第二十一話 ナギ編1    ◆.DrVLAlxBI:2012/01/13(金) 12 36 29 ID WlbiZkq2 第二十一話 ナギ編1『こころ』 「ナギ、俺は――」 千歳はそこまで口に出すことが出来たが、それっきり黙りこんでしまった。ナギの肩を抱きながら、ナギの紅い瞳を見つめている。 ナギの目は伏せられ、泪の雫が浮かんでいた。今にも泣き出してしまいそうな、危うい表情をしていた。 これ以上は、ナギの心を傷つける。 千歳はその事実を悟り、口をつぐんだ。ただ、ナギを見た。伝えたい気持ちがあった。聞いて欲しい言葉があった。 だけど、こんな顔をされて、どんな言葉をかけられる? どんな気持ちを伝えられる? ナギは言った。心と心は通じ合わない。人は自らの知ることしか知らない。 誰かの抱いた感情を推し量ることはできても、自分のものにすることは出来ない。 他人の傷を奪う...
  • リバース第二十五話
    305 :リバース ◆Uw02HM2doE :2011/02/24(木) 18 51 57 ID 1JVwOzh/ 「……ここは……」 目が覚めると暗い天井が視界一杯に広がっていた。固いベッドから身体を起こすと鉄格子が目に入った。そして地面には白髪の少女が横たわっている。 「遥っ!?」 その少女、遥に近付いて呼び掛ける。意識はないものの死んではいないようだった。静かに目を閉じて眠っている遥はまるで人形のようだった。遥に近付こうとするが―― 「っ!?……手錠……」 右手には冷たく光る手錠がベッドまで繋がっている。がむしゃらに引っ張るが取れるはずもなく、俺はベッドを降りることすら出来なかった。 「くそっ……また、また傷付けちまった……」 誰も傷付けないように朔夜と一緒にいたというのに、結局俺は仲間を傷付けてしまった。やはり俺は皆と一緒にいるべきでは―― 「……...
  • リバース第二十三話
    368 :リバース ◆Uw02HM2doE :2011/01/17(月) 20 10 13 ID 4MZiJLWo 目を開けた瞬間、飛び込んできたのは見慣れない風景だった。無機質な物で部屋は囲まれており、必要最低限の物しか置いていないようだ。 何故だか妙な物悲しさを覚える。この部屋の主は"生活"ということに大して一切の希望を持ってない、そんな印象を受けた。 「……ここ……何処だ…」 まだ少し靄が掛かった頭を働かせて記憶を引っ張り出す。どうして俺はこんなところにいるんだ。確か病院から帰って来た途中―― 『おやすみ、要』 「っ!朔夜は……!?」 慌てて部屋を見渡すが人影はない。無機質な部屋の隅には扉が一つあり、どうやら出口はそこだけのようだ。 寝ていたベッドから下りて自分の状態を確認する。てっきり手足を縛られて監禁……なんてパ...
  • リバース第二十七話
    591 :リバース ◆Uw02HM2doE :2011/03/22(火) 22 55 16.11 ID OJqpm33j あれから、あのクリスマスに起きた出来事から半年が経った。 季節は既に春の穏やかさを過ぎ、太陽が照り付ける夏に入ろうとしている。白川要が記憶喪失になってから間もなく一年が経とうとしていた。 「さあ、要!今日は和風だぞ」 燃えるような赤髪に透き通る碧い瞳を持つ少女が黒髪の青年の前に重箱を差し出した。余りの大きさに彼等の目の前にあるテーブルの半分ほどが使えなくなっている。 新生徒会長である少年は前生徒会長である少女の毎日の愛と言う名の拷問に思わずため息をつく。 この生徒会室に毎日のように押しかけては少女、美空優は少年、白川要に弁当を持って来ているのだ。ちなみにこれでもう二ヶ月目になる。 何故この東桜高校を卒業して今は東京の名門大学に通ってい...
  • リバース第二十四話
    672 :リバース ◆Uw02HM2doE :2011/02/13(日) 19 44 03 ID wYk0Fgw8 住み慣れると案外森の中も過ごしやすいなと思った。何よりも澄んだ空気と水が心を洗い流してくれる。 「水汲みお疲れ様!ゴメンね、寒い中……」 出迎えてくれた朔夜は申し訳なさそうに謝ってくる。そんな彼女を抱きしめながら俺は答える。 「こんなの大したことないよ。力仕事は俺に任せてくれ。伊達に海有塾で鍛えてないからな」 「ふふっ、頼りにしてるわ。さ、早く入りましょ」 笑い合う俺達を迎えたのは無機質な部屋。中には机や台所やトイレ、そして風呂とベッドなど最低限の家具しかなく暖房もない。だから冬の寒さが一番堪えるのだ。 「……要、私…寒いな」 「……朔夜はどうしたい?」 「い、言わせないでよ!……わ、分かるでしょ…」 朔夜は真っ赤になった顔を俺の胸に埋め...
  • リバース第二十六話
    272 :リバース ◆Uw02HM2doE :2011/03/17(木) 01 19 00.16 ID Lt1NYQrV 要が目を覚ますと周りには真っ白な景色が広がっている。これまでにも何度か見た光景に特に取り乱すことはなく、要は辺りを見回した。 今までならば彼女、海有朔夜が何処からともなく現れるはずなのだがその気配はない。ため息をついた後、要はそっと目を閉じた。 おそらく自分は海有朔夜と共に川に飲み込まれたのではないか、と要は推測する。何故敵であり仲間を散々傷つけた朔夜を助けようとしたのか。 要は自分自身の行動に疑問を感じたがとりあえずはここから出ること、つまり意識を取り戻すことが先決だと思った。 今までも何度かこの空間に来ているがあれは全て意識を失っている時に限り発生していた。だからこそ川に飲み込まれたであろうこの時にこの空間に長居すべきではないことは要も理解していた...
  • リバース第十一話
    159 : リバース ◆ Uw02HM2doE 2010/09/13(月) 18 03 06 ID N6hpsFd+0 学校は退屈だ。授業はつまらないし制服も好きではない。 何より私には周囲全てが"敵"に見えるのだ。だからこの教室にいる限り私が落ち着くことは決してない。 外は大粒の雨が降り注いでいて窓に当たった雨粒が心地好い音を奏でる。 こんな時だけはこの窓側の席に感謝する。 元々雨は好きだった。だって雨が降れば兄さんは外で遊べなくて家にいてくれる。 そうすれば兄さんは私に構ってくれた。 だから雨は好き。 「……ということで今日はここまで。来週は二年生の修学旅行があるが君達は休みじゃないからな」 眼鏡をかけた中年の教師が教室から出ていく瞬間、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。 「潤~!お昼食べよ!」 「とりあえず千秋...
  • リバース第二話
    413 :リバース ◆Uw02HM2doE [sage] :2010/07/24(土) 01 29 34 ID LvHK/g05 あの電話から一週間程が経ったある日。 あれから何の音沙汰もなく、俺は諦めかけていた。日課になりつつあるリハビリを終えて、俺は自分の病室に戻る。 病室の扉横には402のプレートと、その横には手書きで"白川要"と書いてある。 なんといびつな字かと思うが、同時にこれは俺が書いたんだということも思い出す。 鮎樫さんに名前を教えてもらった後、医者の黒川のとこへ伝えにいった。 しかし「成る程。これは再検査した方が良いかもね。現実と虚構が…」とぶつぶつ独り言を言い始めた。 埒が明かないので不審がられながらもナースステーションから油性ペンを借り、自分で書くことにしたのだ。 「これで大丈夫だな」 何が大丈夫かというと看護婦さんたちや同じ階の...
  • リバース第一話
    388 :リバース ◆Uw02HM2doE [sage] :2010/07/22(木) 01 41 31 ID WTpz/NJg 目を開けると白い天井が広がっていた。何色にも染まっていない純白。俺はそれを眺めて思った。 世界はこんなにも白かったのかと。 「…………あれ?」 静の空間を切り裂いた何とも間抜けな声は俺自身のものらしい。しかしそんなことはどうでもよい。 今一番の問題は 「……俺、誰だっけ?」 俺が何も覚えていないということだった。 「いやぁ、まさか意識が戻るとはね。診察したところ、記憶喪失みたいだけど…いやぁ、とにかく意識が戻ってラッキーだったよ」 とりあえず病室を出て廊下をふらふらとしていたら看護師に捕まり、この黒川という医師のところに連れて来られた。 「…はぁ」 どうやら俺の担当医らしい。 しかし俺は自分が誰とかいう前に何でここにいるか分からな...
  • リバース第四話
    646 :リバース ◆Uw02HM2doE [sage] :2010/07/27(火) 15 12 28 ID nEHf91vK 「ふーん…裏切るんだ」 白髪の少女は月を見ていた。どうやら今夜は満月のようだ。 「…裏切る訳じゃない。ただ遥とはもう…二人きりでは会わない」 「じゃあ…誰とは会うの?」 「………」 「だんまり?」 少女は少年へと振り返る。月の光が反射して少年には少女が幻想的な何かに見えた。 「本当にゴメン。でも遥が悪いとかじゃ」 「聞きたくない」 遥と呼ばれた少女は語気を荒げる。 「嘘つき。ずっと守ってくれるって約束したのに」 「…ゴメン」 「信じて…たのに」 遥の眼からは大粒の涙が流れていた。 「遥、俺は」 少女に近付いた瞬間、少年は違和感を覚える。 いや、違和感というより腹部が妙に熱い。見てみるとシャツには真っ赤な染みが出来ていた。 「...
  • リバース第九話
    130   名前:  リバース ◆ Uw02HM2doE   2010/09/04(土) 00 48 16   ID YjbkacLc0 廃ビルの屋上にはコンクリート製の小屋が端の方に一つ佇んでいるだけだった。 ということはおそらくこの中に里奈さんがいるはずだ。 「……ふぅ」 小屋の前で深呼吸をする。もしかしたら俺の記憶にも関わることかもしれないから。 「……行くぞ」 ドアノブをそっと捻るとドアが開いた。どうやら鍵は掛かっていなかったようだ。 無用心だなと思うし、同時に何かの罠かもしれないとも思う。 「……暗いな」 小屋の中は暗くてよく見えない。 だが今俺がいる場所はどうやら玄関のようで目の前には外と同じ形状の扉がある。 「…………」 同じ扉のはずなのに開けられない。ドアノブに触るのがやっとだった。 冷たい...
  • リバース第五話
    55 : リバース ◆ Uw02HM2doE    2010/08/15(日) 23 21 37   ID VoIVX7j+0 会長と電話した次の日の朝、黒川先生に出されたレポートの存在に気が付くも既に遅かった。 結局罰として放課後、鬼の様な個人レッスンが金曜日まで続いた。 亮介や一部のファンは「こ、個人レッスンだとっ!?羨ましい!」とか阿保なことを口走り、瞬間黒川先生に殺られていたが。 そしてようやく迎えた土曜日。 俺は会長との待ち合わせ場所である、桜ヶ崎駅東口にいた。 潤には友達と遊ぶと言ってある。ま、あながち嘘じゃないし。 「しかしこんなラフで良かったのか」 自分の格好を改めて見てみる。 無地のパーカーにカットソーのTシャツ。そしてグレーのジーパン。 明らかに手抜きだが家にあまり服がなかったので仕方ない。怨むなら過去の自...
  • リバース第七話
    95   名前:  リバース ◆ Uw02HM2doE   2010/08/21(土) 17 20 25   ID crG1kL7+0 「いってぇ…」 商店街を歩きながら身体を摩る。桜花との特訓が始まって10日程経った。 身体中痣だらけの湿布、包帯だらけだった。 黒川先生には喧嘩したかと疑われるが大和さんは毎日心配してくれて、今日は何故か弁当を作って来てくれた。 潤のと両方食べるのは結構キツかったがせっかくの好意を無駄にするのもあれなので完食した。 お礼を言ったら大和さんは顔を真っ赤にしていたが。 「今日は少し早く終わったな…あれ?」 「…ケーキ………あ」 商店街のケーキ屋の前でやけに暗い売り子に話し掛けられる。 いや、正確には売り子をしている遥に。 「…バイトか」 「ケーキ、食べる?」 「いや、要らない。...
  • リバース第八話
    120   名前:  リバース ◆ Uw02HM2doE   2010/08/28(土) 23 39 03   ID dieu1QOw0 桜ヶ崎市にある廃ビルに俺と桜花の姿はあった。 会長によると桃花らしきメイドの目撃情報はいくつかあるらしく、俺達はその一つである廃ビルに来ている。 廃ビルの中は暗くあまりよく見えないが桜花の暗視能力で何とか最上階まで来れた。 「……ここで鉢合わせたら最悪だな」 まあこういう時に限って現れたりするものだ。 「大丈夫です。私が全力でサポートしますから」 桜花は俺の真横にぴったりと寄り添っている。確かに暗視能力は助かるのだが。 「…桜花」 「なんでしょう?」 「……ちょっと近すぎじゃないか」 距離が全く無い上に腕を組まれているので否応なしに弾力がこちらに伝わってくる。 ……いくら...
  • リバース第十話
    138 : リバース ◆ Uw02HM2doE 2010/09/08(水) 17 10 54 ID akRFxQac0 10年前、ある密約が二つの大企業のトップ同士で結ばれた。 元々美空開発と藤川コーポレーションは様々な事業を提携することが多かったが、ある時お互いの"持ち物"に目を付けたのだ。 美空開発の社長である美空昴は藤川家のメイドにして当時すでに軍隊並の戦闘力を持つ桃花を欲した。 そして桃花のDNA情報を基にアンドロイドの桜花を作った。 逆に藤川栄作が欲しかったもの。それは保険だった。 早くに妻を亡くしその妻に似ている娘の里奈を溺愛していた栄作が一番恐れていたもの。それは里奈を亡くしてしまうこと。 だから彼は"保険"として美空開発の力を借り、里奈のクローンを生み出すことにした。 結果的にそれは成功しもう一人の藤...
  • リバース第三話
    名前:リバース ◆Uw02HM2doE [sage] 投稿日:2010/07/26(月) 00 55 15 ID 6vjtxC6b [2/8] 「…つまり私では役不足だということか」 放課後の空き教室。窓からは夕日が射し彼女の髪をさらに赤く染めていた。 「そうじゃない。役不足とかじゃ、ないんだ」 「じゃあ何なんだ!?」 疲れた顔で返答する少年に対して赤髪の少女は怒りをぶつける。 「じゃあ何で…何でそんなことを言う!?」 思わず涙が頬を伝う。彼女にとっては生まれて初めての屈辱。 「……ゴメン」 「言ってくれただろう!?私を受け止めてくれるって!俺だけは味方でいるって!私を理解してくれるのは要だけなのに!」 彼女の心の叫び。 彼女にとって生まれて初めて出来た失いたくないもの。それが目の前の少年だった。 「はは…何か照れるな」 「ごまかすな!知っている癖に!」 ...
  • リバース第六話
    79 : リバース ◆ Uw02HM2doE    2010/08/19(木) 01 34 39   ID uG2ca43Y0 深夜。 とある研究機関。一人の男が液体に満たされたカプセルの前に立っている。 男は慈しむようにガラスを撫でて、その中で眠っている少女を見つめた。 「10年…か。長かった。…しかしついにこの日が」 「来た、というわけですね」 「だ、誰だっ!?」 この場所には許可無く男以外は入れない。しかし聞こえた女の声に、男は振り向く。 するとそこには美しい銀髪を携え燃えるような赤い目をした女がいた。 「お久しぶりです、旦那様。そして」 「お前は!?」 「さようなら」 一瞬だった。男が反応するよりも遥かに早く、女の蹴りが腹部に突き刺さった。 男の身体は吹っ飛び受け身もろくに取れず近くの壁に当たる。 「さてと……これが」...
  • リバース第十三話
    8 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/09/28(火) 02 00 18 ID Z38Oz+x4 修学旅行三日目。 天気は今までの二日間と打って変わってどんよりとした雲で覆われている。 厚い雲が今日は雨が降るということを俺達に知らせていた。 「白川君!大丈夫かい?」 廊下で佐藤先生に話し掛けられる。そういえば昨日は先生の前で突然倒れたんだっけ。 「はい。昨日はいきなりすいませんでした」 「いやいや、白川君が無事なら良かったよ!今日も無理そうだったら遠慮せずに言ってね」 「ありがとうございます」 佐藤先生のおかげで俺は記憶を取り戻せるかもしれない。 今はとにかく放課後が待ち遠しかった。だからかもしれない。 もしくは周りが全く見えてなかったのだろう。 「…………」 大和さんが濁った目でこちらをずっと見ていることに、俺は気付かなかっ...
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  • リバース第十四話
    540 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/10/19(火) 20 16 44 ID VKPE3Ad+ 修学旅行の翌日。 二年生は昨日まで修学旅行だったということで、今日は休校日になっていた。 「じゃあ行ってくるね、里奈、兄さん!」 「おう、いってらっしゃい」 「いってらっしゃい!」 学校へ行く潤を玄関で見送る。隣にいる里奈は元気良く手を振っていた。 「さ、もう一眠りするかな」 「じゃああたしもカナメと一緒に寝る!」 俺の左腕を掴む里奈。 どうやら修学旅行で俺が家にいなかった間、潤と里奈は仲良くなったようだ。 今も里奈が潤を見送りに来ていたし、今朝の朝飯を作っていた潤を自ら手伝っている里奈を見ると二人はまるで仲の良い姉妹のようだった。 「この家には慣れたか?」 「うん!カナメは好きだし、ジュンも最初は怖かったけど今は優しいもん!...
  • リバース第十二話
    286 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/09/19(日) 23 41 39 ID l+2rZwWw 修学旅行と聞いて皆さんはどんな気持ちになるのだろうか。 嬉しい? ワクワクする? 待ちきれない? まあ様々な気持ちはあるだろうがプラスの感情を抱く人が殆どだと思う。 いつもはクールぶってる秀才君も悪ぶってる不良君も修学旅行と聞けば少しはプラスの感情になるのが一般的ではないだろうか。 そういう意味では俺は、いや俺達東桜高校二年生一同は少数派に入るのかもしれない。 「修学旅行かぁ……」 窓の外を見つめながら亮介が呟く。 電車の窓はかれこれ一時間ほど、同じような田んぼを写し続けている。 「まさかこれほどとはね……。去年が羨ましいよ」 「言うな英!気が滅入るからそれ以上は言わないでくれ……」 英の恨み言を咄嗟にシャットアウトする...
  • ウェハース
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  • リバース第十六話
    485 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/11/04(木) 01 51 21 ID c382CckG 「今日から二人……だね」 「……ああ」 窓からは夕日が差し込む。母さんが精神的に病んで2年。そして介抱も虚しく息を引き取ってから一週間が経っていた。 「兄さん……大丈夫?」 「……ああ」 結局アイツが死んでも母さんは救えなかった。 そうだよ、何で気が付かなかったんだろう。母さんは確かにあのろくでなしを愛していたのだから。 母さんは殴られてもアイツを愛し続けていたんだ。 まるで狂気。何でだ、何でそんなこと出来るんだよ。俺には理解出来ない。 「兄さん……こっちを向いて」 「……ああ」 俺は……一体どうすれば良かったんだ。どうすれば……。 「兄さん……」 潤の手が俺の頬を触る。そのまま右に向けられて―― 「んっ」 ...
  • リバース第十八話
    145 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/11/17(水) 00 39 12 ID 62RE9K3N 翌日の放課後。俺は職員室に呼び出されていた。呼び出したのは担任の黒川先生だ。 「まあ座ってくれ。悪いな、急に呼び出して」 「……俺、何かしましたっけ?」 先週提出締め切りの科学のレポートはちゃんと出したはず。 確かに多少ネットから切り貼りしたが、大半は自分でやった。まさかやり直しなのかと思わず身構える。 「そう身構えるな。別に怒るために白川を呼び出した訳じゃない」 「あ、そうなんですか……」 「まあレポートの切り貼り部分についてはまた今度たっぷりと搾るけどな」 「ぐっ!?」 やっぱりばれてたのか。でも用件はそれではないらしい。 「……話は兄貴から聞いた。大和の方はもうすぐ退院するそうだし、美空の方は会社が隠すから誰かに伝わる心配はない...
  • リバース第十九話
    417 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/11/22(月) 19 23 23 ID o6vSvWyT 「誰かが経由してる……?」 「そうだよ。そう考えれば全てつじつまが合うの」 潤は相変わらず冷たい笑みを浮かべていた。それは誰かさんへの死刑宣告にも見える。 「つじつまって…一体どういうことなんだよ」 「私の携帯にはピリオド一つで登録してある。多分他の人もそう。でも兄さんの携帯にはピリオド二つで入っている」 「だからそれが何なんだよ」 ついイライラしてしまう。ただムカつくからじゃない。 ……怖いのだ。潤の言わんとしていることが、その意図が何となく分かってしまうから。 「兄さん、最近アドレス変えた?」 「……変えてない」 「だったら簡単だよ。誰かが兄さんの気が付かない内にアドレスを変えて、誰かさんは兄さんの元のアドレスに変える」 ...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に
    ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第一話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第二話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第三話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第四話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第五話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第六話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第七話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第八話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第九話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十一話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十二話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十三話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十四話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十五話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十六話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十七話 ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第十八話 ドラゴン・ファンタジーのなく...
  • リバース第十七話
    832 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/11/09(火) 23 32 36 ID ykVc5Wto 「とりあえず命は何とか繋いだ。後は本人の体力次第だな」 「すいません黒川さん。帰ってきて早々」 藤川邸には医者が常駐していると英に聞いたことがあった。だからこそ避難先に英の屋敷を選んだ訳なのだが……。 「よっ、少年!元気だったか」 「……何でアンタがここに居るんだよ」 「いやぁつい先日病院の仕事が片付いたからこっちに戻ってきたら……ねぇ。妹さんも元気か」 「あ、はい」 そう。よりによってその"常駐している医者"が記憶喪失直後の担当医だったあの黒川さんだったのだ。 「まあこれも何かの運命だな!仲良くやろうや少年!」 「はあ……」 「要、話は聞かせてもらった。今亮介にも連絡したらすぐに来るってさ。……その子か」 英...
  • リバース第十五話
    200 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/11/01(月) 19 21 18 ID wwWV46GA 「いきなり全校集会とは……。誰かやらかしたのかな」 翌日、突然全校集会をやるということで俺達は体育館に来ていた。周りも突然の全校集会の話で騒がしい。 「やらかしたって……。この学校で会長に逆らう奴がいたら見てみたいぜ」 亮介がおどけながら言う。まあ東桜に半年も通えば会長の手腕と彼女に逆らうことの恐ろしさを十分に理解出来るだろう。 「まあ連絡事項か何かだろうよ。……お、来たぞ」 会長が壇上に姿を現した。気が付けば話している愚か者は一人もいず、皆が前を向いて会長が話すのを待っている。 ……時代が時代なら立派な恐怖政治だな、これ。 「今日はいきなり全校集会を開いてしまって申し訳ない。君達に早急に伝えなければならないことがある」 全体に緊張が走...
  • いない君といる誰か ルートA
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  • ヤンデレ家族と傍観者の兄
    埋めネタ~ヤンデレ家族~ ヤンデレ家族と傍観者の兄第一話(勘違い編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第二話(勘違い編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第三話(文化祭編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第四話(文化祭編) ヤンデレ家族と傍観者の兄パラレル編 ヤンデレ家族と傍観者の兄第五話(文化祭編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第六話(文化祭編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第七話(文化祭編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第八話(クリスマス編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第九話(死闘編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第十話(死闘編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第十一話(死闘編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第十二話(死闘編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第十三話(死闘編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第十四話(死闘編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第十五話(死闘編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第十六話(死闘編) ヤンデレ家族と傍観者の兄第十七話(...
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  • ワイヤード ナギ編
    第二十一話 ナギ編1『こころ』
  • 触雷!第二十一話
    509 :触雷! ◆0jC/tVr8LQ :2011/02/10(木) 04 34 07 ID 65q6vaKc ミニパトが、夜の街を滑るように疾走していく。 僕は改めて、車内を見回してみた。どう見ても本物にしか見えない。 警察から本物を借りて来たか、はたまた普段から偽物を用意しているのか、どちらにしろ、中一条家は恐ろしいと心から思った。 そしてとうとう、中一条家のお屋敷に到着してしまう。 正面の門が開き、敷地内に入る。庭の暗がりに目をやると、道善さんと水下さんが、木の枝に逆さ吊りにされているのが見えた。 ただ吊るされているだけでなく、使用人と思しき女性達が、竹刀でバシバシ叩いている。 ここは、何という魔窟だろうか。 僕は、生きてここから出られるのか? 道善さんは? 水下さんは? 心は千々に乱れたが、どうにもうまい打開策は見つからなかった。 そうこうし...
  • ワイヤード
    第一話『コントラクター・再会』 第二話『ナイトメア・侵食』 第三話『深紅・猛攻』 第四話『二人の景色・融和』 第五話『百歌・兆候』 第六話『ダイヤモンド・発光』 第七話『ファーストバトル・開催』 第八話『ロールアウト・鉄槌』 第九話『獣のアギト・解放』 第十話『ロストマイセルフ・喪失』 第十一話『ちょっとした休息と・推測』 第十二話『きみの散歩道・憫笑』 第十三話『ネクストステージ・始動』 キャラ紹介 幕間『少女の祈り』 第十四話『存在に心奪われる時』 第十五話『カナメ様の憂鬱』 第十六話『イロリ汚いなさすがイロリ汚い』 第十七話『遥か久遠の彼方に・前編』 第十八話『遥か久遠の彼方に・後編』 第十九話『イロリ日記』 第二十話『千歳の選択』 ナギ編
  • ウェハース第十一話
    325 名前:ウェハース ◆Nwuh.X9sWk[sage] 投稿日:2011/05/07(土) 02 56 56 ID L7ycfpd2 [2/6] 何も大したことはない。 そういう風に装っているのが分かった。当たり前のように、そこにずっといたように。 小町は僕の家族を取り込んでいた。 肉親以外の親戚よりも近く、兄弟よりも少し遠くに腰を下ろして。 僕の『彼女』のポジションに納まっていた。 母さんは上機嫌に笑い、妹は実の兄より懐いていた。 それから時折僕を見ては、「どう? 上手くやれたでしょう?」と言わんばかりの顔で小町は僕に微笑んで見せた。 「そろそろ、お暇します」 切り出したのは小町からだった。 時計を見ると七時を少し過ぎているくらいだった。 「えー、お姉ちゃん、穂波と一緒に晩御飯食べよー!」 困ったように見せる表情が少し、演技に見えた。 「こーら、ホナちゃんワガママ言...
  • ドラゴン・ファンタジーのなく頃に 第二十一話
    628 :ドラゴン・ファンタジーのなく頃に  ◆AW8HpW0FVA :2011/02/12(土) 23 52 43 ID rhvtT6cM 第二十一話『バッド・コミュニケーション』 ブリュンヒルドを殺す。記憶継承のその日から、シグナムの頭にはそれしか思い浮かばなかった。 これまでにもブリュンヒルドを殺そうと思った事は幾度もあった。 しかし、その度に思い留まった。良心ではなく、打算からの理由だった。 怒りに任せて突撃しても、謀略で以って殺そうとしても、 あれは全てを跳ね返してしまうだろうと思ったからである。 とはいえ、今回ばかりはそうも言っていられない。 漠然とした予感が、確信へと変わった。イリスの記憶がそれを明確に物語っている。 このままでは、間違いなくブリュンヒルドに殺される。 なぜ今までなにもされなかったのか、理解に苦しむところであるが、そ...
  • ウェハース第九話
    381 :のどごし ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/23(木) 19 22 21 ID aQqOV8y4 何かを得るためには、それを叶えようとすると行動すること。 それが何かを得るためのコツであり、必須条件でもある。 しかし、逆に何かを捨てるための……、捨てようとする人は滅多にいないが、その秘訣は忘れる事だと思う。または忘れられる事。 僕はあの日から小町の家に通っている。約束していない日でも形態に携帯でお呼びが掛かる。 『今日も家に誰もいないの……、今から家に来ない?』 メールを返信しなければ留守電に繋がるまで携帯に電話を十回入れ、それにも出なければ家に掛けてくる。 電話に出れば嬉しそうな声の調子で僕がなぜ出なかったのか聴いてくる。 僕はテキトーな嘘を用意するのだけれど、簡単に見破られ、彼女はこう言う。 『この前...
  • 題名の無い長編その二十一
    題名の無い長編その二十一 【プロローグ】
  • ウェハース第十三話
    532 :ウェハース第十三話 ◆Nwuh.X9sWk:2011/05/21(土) 17 41 56 ID IAfhlHSE 「えっ?」 僕の膝を枕にしていた小町がいきなりボリュームの大きい声を出した。 そんなに驚くことだろうか? 「痩せるって、なんで?」 「そんなに驚くことでもないだろ」 小町は状態を起こし、首を横に振った。 「私体型とか気にしないから大丈夫だよ」 少し声が焦っているように聞こえる。 何でだ。 「いや、小町と付き合ってからさ僕と小町の体型のギャップに驚いてるんだよね」 小町は物凄く華奢だ。それに対して僕はなんと言うか骨太って感じ。 二人して街を歩いているときにガラスを見ると、おおよそこの二人が付き合っているとは思えないほどに容姿に差があるのを実感する。 その時には、いつも下を向いてしまう。 隣で嬉しそ...
  • ウェハース第七話
    205 :ウェハース第七話 ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/17(金) 11 01 55 ID 9UEy9fHN 夏休みに入って三週間。僕たちは休みを謳歌していた。授業のある学校生活より疲れ果てて毎日家に帰ると泥のように眠り、そしてまた体 力のギリギリまで遊びに行くという地獄の鉄人レースのような毎日を繰り返していた。 今日も平沢、武藤と隣町の山の麓にある河川敷にまで遊びに出かけた。 「やべー……、足折れたかも知れねえ」 武藤は暗くなり、山を降りた頃から足が痛いだの、折れただの、五月蝿い。 「マジ折れたかも、ちょい見てくれよ」 「馬鹿野郎、この暗さでお前の臭い足見ても何にもわかんねえよ……」 お前が押したせいだろ、と武藤は半べそをかいて言う。 昼間、高低差のあるちょっとした滝のようになっている所から僕...
  • ウェハース 第二話
    813 :ウェハース第二話 ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/11(土) 21 26 28 ID jXR79SdM あの衝撃の告白から一週間。 僕は藤松さんと登校を四回、下校を三回共にした。 彼女は見れば見るほど魅力的で、話せば話すほど不可思議な存在だった。 まず、待ち合わせは必ず破られる。これは約束の時間に遅れるとか、場所に来ないとかそういうのじゃない。 忘れっぽいとかいうそんな野暮な話でもない。 必ず約束の場所へ僕が向かう前にわざわざ向こうから出向いて来る。 本人曰く待ち切れなかったらしいが、少し怪しい。 他にも付き合い始めてからは外出の時によく彼女と遭遇するようになり、買い物や散歩を一緒にするようになった。 その時の彼女はとても楽しそうで僕としても嬉しいが、よくよく考えてみると、少し怖いというのが僕の本音だ。 外出...
  • ウェハース第十話
    463 :ウェハース第十話 ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/26(日) 19 01 55 ID TClGu358 携帯のデジタル表記で九月一日の午前三時。 大学生未満の学生なら確実に憂鬱な気分になるであろう今日、僕はこの前から続く憂鬱を作る原因に頭を悩ませていた。 暗い、光といえば月光ぐらいの自室のベッドの上で夏休みの内にあった事を思い出す。 あれから暇があれば僕か彼女の家にいた。 それは彼女があれからずっと僕と一緒にいたという意味で。 彼女は家に帰り、眠り、朝食を済ませるとすぐに僕の家に電話を掛けてきた。 携帯では確実性に欠けると判断したんだろう。 あれからたまにセックスはするけど、どれも僕は気が進まなかった。 四日前なんかは外でやった。 映画を見に行った際に、小町が急にトイレに行きたいと言い出した。 やたらと...
  • 第十一話『ちょっとした休息と・推測』
    270 :ワイヤード 第十一話  ◆.DrVLAlxBI :2008/10/22(水) 00 28 49 ID wHrqCpJg 第十一話『ちょっとした休息と・推測』 「私の処女、千歳君にあげますね」 「……!?」 「驚かなくてもいいじゃないですか。期待していたんでしょう?」 ――こんなことされてるんですから、行き着く先はおのずとわかるでしょう。 くすくす笑い。それは聞き飽きた。 「お前……なんで」 「何故か、ですか? まだ分からないんですね。ならそれでいいです。一生迷っていてください」 ミクの小さな手が、それにそぐわない腕力で千歳の性器を掴む。 「やっぱり、普通よりちょっと大きいんですね……。こういうの、ちょっと気分がいいです。じゃあ……」 ミクはハーフパンツを脱ぎ去り、下着を露出した。 昨日より何倍も大人っぽい、黒い下着。ぐちゃぐちゃに濡れて、薄い生地が透けてい...
  • ウェハース第六話
    164 :ウェハース第六話 ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/15(水) 23 23 44 ID aOHfBpVC テスト日程が全て滞りなく進み、全科目の答案が返された。 テスト返却、教室には憂鬱な表情の奴もいれば、満足な表情の奴もいる。 「おい、神谷。これはどういった事だ」 「ああ、俺にも不思議で仕方が無い」 机上に並べた僕の答案に、僕と平沢は目を疑っていた。 「平均点未満が一つも無くて、英語に関しては七割越え?神谷、てめえタカシの事忘れたのか」 「ビビリの俺がカンニングなんてするかよ」 カンニングと聞くとタカシと蟹を思い出すのは僕だけではなかったようだ。 「……、だよなあ。ちくしょう追試は俺だけかよ」 肩を落とす平沢を慰める。世界史を落としたらしい。 「でもスゲェな、お前実は勉強に目覚めたとか?」 「いや、藤松と何回か勉強したぐらいか...
  • ことのはぐるま 第二十一話~拒絶~
    91 :ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/09/20(木) 02 12 13 ID gYbbEYsn 第21話~拒絶~  無言で廊下を突き進む。  香織とかなこさん、あの2人からとにかく離れたかった。離れなければならなかった。  2人を助けず置き去りにしたことの後ろめたさと、自分が何をしでかすかわからない、その2つの理由からだ。  薄情だが、香織はあのまま放っておいても大丈夫だったろう。うつぶせながらも喋っていたし、腕も動いていた。  香織以上に心配なのは、俺が殴ってしまったかなこさんだ。  きっと、窓ガラスの破片で怪我をしているだろう。  あれだけ強く殴ったのだから、もしかしたら肋骨を骨折しているかもしれない。  心配だが、今から引き返すわけにもいかない。俺がまた同じ事を繰り返さないとは言えないからだ。  室田さんが発見してくれるのが...
  • ウェハース第八話
    216 :ウェハース第八話 ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/17(金) 16 25 51 ID 9UEy9fHN 「んぐ……」 小町さんの両手で顔を固定され、唇を重ねられる。 吸い上げられる唾液と舌。 流し込まれる小町さんの唾液。 それを吐き出す事は叶わず、瞳は開いて僕は捕らえたまま、小町さんの舌がそれを喉にまで押し込んでくる。 荒くなった小町さんの鼻息が彼女の状態を如実に表していた。 「っん、勉強してる時にしようかなって思ってたんだけどね……」 そう言って満足そうに微笑む彼女に掛ける言葉が見つからない。 彼女は舌なめずりをして、ワンピースを脱いだ。 ブラは淡い桜色、黒いストッキングが妙に艶かしい。 「破れちゃ不味いから脱いじゃうね?」 そう言って彼女は状態を起こすと素早くストッキングを脱ぐと...
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