ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫 @ ウィキ内検索 / 「上書きBルート」で検索した結果

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  • 上書き第6話後編Bルート
    420 :上書き6話後編 Bルート ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/20(火) 19 39 45 ID d5rR2kul  俺は加奈と一瞬目を合わせ、そして…やはり本当の事を言おうと決心した。  このまま嘘に嘘を重ねてもいつかは必ず崩れさる、それならいっそ今言ってしまうべきだ。  それに何より、加奈に嘘をこれ以上つくのは苦しい。  加奈が真っ直ぐ俺を想ってくれているのに、その想いを裏切るなんて俺には出来ない。  まぁ当然未だに俺の首筋に蒼白く残っているキスマークの事は口が裂けても言えないが…。  胸に手を当て、一旦咳払いをした後、俺は静かに加奈を見つめる。  半分目の色を失いかけている少女を白昼夢から目覚めさせる為、俺ははっきりと耳に届くよう精一杯の努力をして声を張り上げる。 「加奈!最初にこれから言う事に嘘はない事を約束する!最後まで全部聞いてくれ...
  • 上書き第7話Bルート
    596 :上書き第7話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/25(日) 01 35 26 ID MlyMp9a6 「誠人くんっ、早くしないと遅刻しちゃうよ?」 「いや、このままのペースで行けばいつもより20分は早く着いちまうぞ」 「え?誠人くんの時計壊れてるんじゃないの?」 「この腕に付いてる物が見えないのか?」  そう言って加奈に腕時計の付いた左腕を見せつける。  銀盤に曇り空から僅かに射す日光が反射し、いい具合に俺の目線を遮る。  長針と短針が微妙なバランスで共存し示してくる時間は、いつもの登校時間より遥かに早いものだ。  その腕時計を明らさまに興味なさげに流し見し、すぐにまた前を向く加奈。  しかし、こんな姿は”今朝は”何度も見ているので今更特別視しない。  特別視しないというのは”諦めた”という事ではなく、”認めるのが怖い”という事だ。  ...
  • 上書き第8話Bルート
    25 :上書き第8話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/26(月) 00 50 30 ID 7vA5fpNJ 「まだかなぁ…」  腕時計の時間を見て思わず呟いてしまった声は周りのざわめきにかき消される。  いつものように数分の連絡事項だけで幕を閉じたHRの後は自習時間…という名目の自由時間になる。  担任も終業時間になるまでは職員室に戻ってしまうから、喋り場と大して変わらない。  当然勉強している奴なんかほぼ皆無で、皆周りの人間との会話に忙しそうだ。  さっきの質問攻めで今日一日分喋ってしまったような気がして、そして何より考え事をしたくなかったので俺は腕枕を作り机に突っ伏した。  疲れているが寝つけない、幾ら目を閉じても全然眠気は襲ってこない。  こういう時だけ都合の良いものだと観念した俺は寝る事を諦め肘をついた。  そして加奈の事を考える…加奈につ...
  • 上書き第9話Bルート
    58 :上書き第9話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/27(火) 18 21 19 ID Quf4Ljbq  昨日のように、あるいは条件反射のように、加奈の視線を感じた瞬間俺は島村との距離を置いた。  その一瞬の動作だけで俺の息は荒くなる、心臓の鼓動音が聞こえてくる、胸が破裂しそうになる。  加奈の存在が、”いい意味”でも”悪い意味”でも俺の心をかき乱している。  そんな俺の精神状態を覗き込むように加奈は笑顔を崩さないまま、相変わらずの光沢を失い黒々とした目を細めてくる。 「誠人くんのクラスの人に聞いたら”他の人と”どっかに行ったって言ってたから探したんだよ?勝手に行っちゃうなんて意地悪だなぁ」 「悪い加奈…」 「素直でよろしい!」  表面上は何の変哲もないやり取り、いつもと違うところと言えば加奈の目が俺を凝視したまま笑っていないのと...
  • 上書き第10話Bルート
    320 :上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/03/11(日) 05 37 33 ID +Tw/UoDg 「今日一晩、加奈を俺ん家に泊めていいですか?」  左隣にいる加奈の肩に左腕を回しながら、ほとんど有無を言わせない口調で訊いた俺と視線を合わせた君代さんは、  一旦俺から自分の視線を加奈の方へと移し、加奈と数秒見つめ合った後僅かに口元を緩めながら静かに頷いた。 「ありがとうございます。明日の朝には帰しますんで、何か心配事あったらいつでも連絡下さい」 「ありがとう、お母さん。我侭言ってごめんなさい」  俺と加奈は深々と頭を下げる、そんな俺たちを君代さんはただ笑顔で見送ってくれた。  そんな気遣いに心から感謝した、正直今平常心でいられるだけでも凄いと思うのに。  加奈の奇行を間一髪で止めた後俺は加奈を抱き締めていた、  その光景は何秒か遅れて部屋まで...
  • 上書き第11話B-2ルート
    128 :上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/03/28(水) 20 06 18 ID EUQSeXtA 「加奈の、好きにしてくれ…」  俺には止める事が出来なかった。  別に止める理由もなかったし、加奈自身が”ちょっと”と言っているんだから本当に 些細な事なんだ。  そんな事をわざわざ気に留める必要もない、ある筈がない。  なのに……… 「ありがとう…」  俺と全く視線を合わそうともせず俺の傍を離れていこうとする加奈に、言い表せない ような奇妙な『不安』を感じているのは何でなんだ…?  俺は加奈の幼馴染だ…加奈の彼氏だ…”加奈が一番信頼してくれている”人間なんだ。  その俺が、加奈を信頼しないでどうするんだよ…っ!  沢崎誠人よ、お前はさっき加奈と誓い合ったばっかじゃなかったのか…?  独り善がりせず、意思疎通を通して相手との『信頼』を何よ...
  • 上書き第6話後編Cルート「永遠の世界」
    457 :上書き6話後編 Cルート「永遠の世界」 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/21(水) 23 36 56 ID YHaHzkpB Cルート「永遠の世界」  俺は加奈と一瞬目を合わせ、そして…嘘をつき通そうと決心した。  きっと加奈はまだ疑心暗鬼なんだ、だからこんな事を訊いてきたんだ。  さっき感じた加奈に全てを見透かされている感覚を記憶の彼方へと封じ込め、俺はひたすら自分に言い聞かせる。  ”今なら”まだ間に合う、確信を持たれていない今なら大丈夫だ。  押しを強くすれば加奈なら信じてくれる、祈りのようにそう確信しながら、俺は嘘の発覚を恐れ加奈と目を合わせず言った。 「だから、島村に腕の治療をしてもらってたんだよ」  瞬間加奈が狐に抓まれたような表情をした後うつ向いた。  一瞬しか見えなかったがその顔に”疑念”は見受けられなかった。  どう...
  • 上書き第12話B-3ルート
    64 :上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/06/30(土) 23 27 41 ID Vw45L8oY  ”本当の恐怖”を感じると、体は微動だにしてくれず、頭は悪い方向へどんどん想像を 膨らませていく――そんなことを聞いたことがある。  正直それは違うと思っていた。恐怖を認識したらすぐにそこから逃げようとするだろう し、必死に状況を打破する策を考える為に思考を巡らせもするはずだと信じていたから。 事実今まで加奈には結構”見られちゃマズイもの”を目撃されてきたけど、その度に俺は 何とか乗り切っていた。保健室での一件は島村の助け――今となってはそれが本意だった のかは定かではないが――を借りて丸く収められたし、体育館裏でのことも島村に対して 敵意を露わにしていた加奈を結果的に宥められた。それは、それらの状況が全て言い訳や 最善の行動でとりあえずはどうにか...
  • 上書き第11話B-1ルート
    47 : ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/03/24(土) 14 28 35 ID UIL5bFFq  俺は一目散に床に静かに横たわっている携帯電話の下へと駆け寄っていった。  そもそも加奈が”急に”こんな事言い出すのは明らかにおかしい。  何か『きっかけ』がなければ俺と目を合わさないなんて事はありえない。  そう考えるならその『きっかけ』として最も怪しいのは、机の上にあったはずなのに、  不自然にも今は床の上で沈黙を守っている携帯電話だ。  加奈はその携帯電話の中の”何か”を見てこんな事言い出しているんだ。  ならば今すべき事は真っ先にその中身を確認する事だ。  俺と加奈の関係の脆さを思い知った今、僅かな溝ですら作ってはならないのだ。  加奈が知っていて俺が知らない、そういった状況から勘違いが生まれ崩れていくのだ。  二度とそんな事は御免だ。 ...
  • 上書き第6話後編Aルート「出口のない迷路」
    483 :上書き6話後編 Aルート「出口のない迷路」 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/22(木) 22 55 16 ID 0JNoMNMo Aルート「出口のない迷路」  俺は加奈と一瞬目を合わせ、そして…今すぐ謝ろうと決心した。  加奈に対して嘘をついてしまった事に今更ながら罪悪感を感じる。  確かにあの状況で本当の事を言うのはかなり気まずいものだった。  勿論その理由の大半は俺が加奈にそういう事をしていた事実を知られたくなかったからだ。  その一方で、その事実を知る事で加奈が傷付くのを恐れていた部分もあった…しかし違ったんだ。  加奈にとって最も悲しい事は俺に嘘をつかれる、”俺に裏切られる”事なんだ…自慢じゃなくそう思う。  真っ直ぐ俺を好きでいてくれている加奈に対して嘘をついてしまった事に後悔の波が押し寄せる。  だが後悔している暇なんて...
  • 上書き第14話B-3ルート
    81 :上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2008/01/13(日) 21 43 21 ID 637IVz6l 「加奈を、本当に、好きか?」  島村の質問を、そのまま口にしてみる。 そうでもしないとそのまま聞き流してしまいそうな程、それは当たり前なことだ。 頭の中でも、言葉でも、繰り返し繰り返し確認してきた――俺という人間の前提。 「お前にしては愚問だな」 「真面目に答えて下さい」  準備していましたと言わんばかりに即答された。 完全に返答を読んでいなければ絶対に出来ないであろうスピードだった。 それだけ真剣なのだということは理解したが……改めて思う。  愚問にも程がある。  島村は何を言っているんだ? 自分で、俺が加奈を好きだということは分かっていると言っておきながら、何で再びその一言を要求しているんだ? 経験...
  • 上書き第5話
    265 :上書き第5話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/17(土) 15 39 09 ID /Q0pBnTr 『誠人くん…あたしがちゃんと”上書き”してあげるから…大丈夫だよ…?あはははは!!!』 『あぁあああ!!!』  容易に想像のつく悲惨な末路、自分で想像しておきながらそのあまりに生々しく現実味溢れ、何より起きても納得してしまう光景に身震いする。 加奈ならやりかねない…。  きっと加奈にとっての問題は”傷”なんかではなく、自分以外の人間が俺に触れた”証”の有無なのだろう…傷でなくても加奈がそれを”傷”と捉えるかは置いておいて。 だから、たとえ俺の首元に付けられたのが”直接的外傷のない”キスマークであったとしても、それは加奈にとって十分”上書き”すべき対象なのだろう。 万が一にでもこのキスマークが見付かれば、加奈は容赦しない…首は少し傷付けるだけ...
  • 上書き第11話B-3ルート
    273 :上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/05/08(火) 00 17 09 ID l1rWfINJ 「眼鏡……?」  困惑した俺の口から漏れたのは、何とも間の抜けた言葉だった。  目の前で自分の眼鏡を情け容赦なく踏みつけてみせた島村を前に、俺は驚きを隠すこと ができなかった。島村の足元に目をやると、踏み潰された眼鏡は最早原型を留めておらず 様々な部分が拉げた状態で地面に横たわっていた。  その無残な最期を尻目に、俺は再び島村に目をやる。艶かしく濡れた瞳が俺のことだけ を真っ直ぐ見つめてくる。決して大きくない眼を無理矢理開かせている様を見ていると、 まるでその眼球の中に自分が束縛されているような錯覚に陥りそうになる。きっとそんな ことを考えてしまうのは、女子トイレから出てきたことを脅迫文句にして結構な仕打ちを 受けてきたという肉体の本能的察知と...
  • 上書き第3話
    659 :上書き第3話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/11(日) 20 15 22 ID AcKNDcu5 ――――――――――――――――――――――――――――――― 「それじゃ!」 そう言ってあたしは誠人くんと別れた。 本当はもっと一緒にいたいけど、クラスが違うから仕方がない。 普通恋人同士なら、学校でも一緒にいたいって気持ちは普通だと思う。 だけど誠人くんは違う。 ”お互い学校での付き合いってのもあるだろ”と極力会わない様に仕向けてくる。 あいさつは勿論交わすし、時々は一緒に弁当食べてくれたりもしてくれるから誠人くんがあたしを好きでいていくれるのはわかるけど、 でもやっぱり足りない。 あたしにも友達だっているし、友達と話してたりしている時は楽しけど、誠人くんと一緒の時間に比べれば他愛ないものだ。 誠人くんと一緒にいられるなら他に何...
  • 上書き第1話
    584 :上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/10(土) 19 41 39 ID EZ/bc10q 「ねぇ、何で夏なのに上着なんか着てるの?」 「別にいいだろ…」 帰り道、沢崎誠人は隣で寄り添っている城井加奈の顔色を伺いながら答えた。 目が合うと誠人は慌てて視線を逸らす。 「暑くないの?」 「あぁ、暑くない。これ着てるくらいが丁度いいんだよ」 嘘だった。真夏の炎天下に黒の学ランは最悪の組み合わせだ。 常に流れ落ちる汗をハンカチで拭いながらも、平生を装って加奈のロングの黒髪を撫でる。 くすぐったそうに笑う加奈を誠人は本当に愛しいと思った。 若干大きめの制服から覗くか細く弱々しい手足を美しいと思った。 少し動く度に漂う髪の匂いが心地良いと思った。 この笑顔がいつまでも続く事を心から望んだ。 ほどなくして、二人は自宅に到着する。 二人の家...
  • 上書き第4話
    728 :上書き第4話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/12(月) 19 53 37 ID laI97l2T マズイ、絶対にマズイ! まだ女子トイレ内にいる俺を見ながら固まっている島村。 状況を理解し切れていないのか、微動だにしない体に反し目がきょろきょろとしている。 それがせめてもの救いだった、この場で悲鳴でもあげられようものならその瞬間俺の高校生活は幕を閉じる。 軽蔑の眼差しを常に受けながら無視され続け、友達も思い出もないまま俺の青春が終わる。 そんな情景を思い浮かべて思わず身震いしてしまう。 絶対にそれだけは免れなければならない、俺はその一心で島村の左腕を掴む、加奈によって上書きされた右腕で。 痛みは先程より若干増しているが、それどころではない。 「えっ!?」 一瞬周りに誰もいない事を確認すると、驚く島村と顔を合わせないように前を向き、俺...
  • 上書き第13話B-3ルート
    9 :上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/10/21(日) 23 34 41 ID CSIWB/IF  ……瞼が重い。眼の周りだけ重力が倍になっているのではないかと思うくらいに。 こんな感覚は久しぶりだ。いつも朝の目覚めは良かったからな。加奈を起こしに行くことを考えれば当然だが。  ――加奈。  もう、起こしに行くこともないのかな。 別に極楽浄土なんて信じてないけど、俺が今こうやって思考しているということは、少なくとも死後に世界があるという証拠だ。 そしてそこは、俺と加奈以外誰もいない、俺たちだけの楽園だ。 学校に行く必要もないし、その上、加奈とずっと一緒にいられる。誰からの干渉も受けず、真っ直ぐな加奈と永遠を過ごせる。  ――最高だ。  これが俺たちが目指していた到達点だ。お互いに絶対の信頼を持って、疑心なんて言葉とは無縁の生活を...
  • 上書き第2話
    616 :上書き第2話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/10(土) 23 16 03 ID EZ/bc10q 今日もいつもと変わらない朝。 朝の新鮮な空気をたっぷり吸い込みながら、家の前で加奈を待つ誠人。 「誠人くん~!もうちょっと待ってぇ~!」 「はいはい待ってるよ」 開いたままのドアから加奈の叫び声が聞こえる。 ひどく慌てた様子が誠人に伝わる。 いつも寝坊する加奈を待つのは、誠人の日課だ。 家中に縦横無尽に動き回る加奈の足音が広がる、それを聞くのが楽しかった。 「ごめ~ん!すぐ行こう!」 両手を合わせ真剣な表情で謝る加奈をおかしく思う誠人。 「あっ!笑ったな!?」 「笑ってないから、さっさと行こうぜ」 「ちょっと待ってよぉ!」 早足で歩く自分に並ぶために必死についてくる加奈を見つめる誠人。 (本当可愛いな…) あんまりにも見とれて...
  • 上書き第10話後編B-3ルート
    254 :上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/04/01(日) 18 10 53 ID rphe6b+j 「”すぐに”済む『用事』だから…」  加奈が俯いたまま、覚束ない足取りのせいで揺れる体で扉の前へと向かっている。  発せられた言葉からは一言一言を噛み締めるように相手の脳裏に焼き付けようとする 強い意志が感じ取れ、同時に根拠のない説得力が俺に安心感を齎した。  だから、俺は加奈の発した言葉から僅かに滲み出ている、延々と続くエレベーターに 乗っているような心の隅に滞在して不安を煽る不快感を払拭する為に振り向いた。  そして”加奈の『背中』”を見た瞬間、何かが弾けた。 「ひゃっ!? ま、誠人くん?」  俺は自分より一回りは小さい加奈の背中目掛けて無我夢中で飛び込んだ。  加奈が驚いているのも厭わず、俺は自分の頭を加奈の背中に擦り付けた。  動物の...
  • 上書き第6話前編
    372 :上書き6話前編 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/19(月) 18 16 35 ID hQq+AdIr 「加奈ッ!ごめんな、弁当の事すっかり忘れてたよ」  さっきまで島村の命令の為に下ろしていた腰を起き上がらせ、足早に加奈の元へ歩み寄る。  加奈の小さな両肩を掴み、大袈裟に且つ不自然にならないような笑顔を作る。  加奈に見られたのかは分からないが、どっちにしたってする行動は決まっている。  今はとにかくこの状況で一番納得のいく言い訳を考えるんだ…って、今日の俺は言い訳しようとし過ぎだな。  自分に呆れつつ、思考回路を全て最適な言い訳のために整備する。  とりあえずこの言い訳を考えるのは島村の時よりは遥かに簡単だ…そんな油断が俺から物事を客観視する為の冷静さを奪った。 「ちょっとこの腕の治療しようとして、偶然ここにいた島村に頼んだんだよ。な、島...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part3-Page3
    401 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/19(月) 23 55 17 ID yvPtJ3hG 「先輩、お腹の具合はどうですか?」 「だからたいしてすいてないよ」 「いえ、トイレの方です」 「…………」  沈黙する。  沈黙せざるを得ない。  沈黙し続けていたかった。  思い出したくないことを思い出してしまい軽く鬱になる。そんな状況ではないとわかっては いても、これで鬱にならなかったら男じゃない。  おかしいとは思ったんだ。  たしかに地下にトイレはあるけれど――繋がれている状況で出来るはずもないってことに。 深く考えなかったのは、出てくる結論が恐ろしかったからだ。  そんな僕を見下ろして、神無士乃はにやりと笑った。  邪悪そのものの笑みだった。 「先輩、ほしいなら今すぐ尿瓶をですね」 「僕にはもう尿瓶が死瓶としか思えないんだがな……...
  • いない君といる誰か ルートA
    いない君といる誰か 第十話ルートA いない君といる誰か 第十一話ルートA いない君といる誰か 第十二話ルートA いない君といる誰か 第十三話ルートA いない君といる誰か 幕間ルートA いない君といる誰か 第十四話ルートA いない君といる誰か 第十五話ルートA いない君といる誰か 第十六話ルートA いない君といる誰か 第十七話ルートA いない君といる誰か 第十八話ルートA いない君といる誰か 第十九話ルートA いない君といる誰か 第二十話ルートA いない君といる誰か 第二十一話ルートA ルート1 ルート2 ルート3
  • いない君といる誰かルートA-2
    いない君といる誰か 第二十二話ルートA-2 いない君といる誰か 第二十三話ルートA-2 いない君といる誰か 第二十四話ルートA-2 いない君といる誰か 第二十五話ルートA-2 いない君といる誰か 第二十六話ルートA-2 END1 END2
  • 慎太郎の受難2ルート第1話
    111 :慎太郎の受難2ルート第一話 ◆lPjs68q5PU [sage] :2007/03/28(水) 00 20 46 ID bpuO8QO6 ・・・俺は今までのことを考えた。 今まで自分は素直に生きたことがあったか?自分の思うままに行動してきたか? いつも周りばかり見て、自分の身にはなにも起きないようただのらりくらりとすごしただけじゃないのか? 考えてみろ。 今までの俺は心の中で思うだけ、または冗談みたいに言うだけで、自分の言いたいことなんて、素直に言ったためしがないじゃないか。 そう考えれば今日は自分を変えるチャンス。今日こそは絵里に自分の気持ちを伝えなきゃいけないんだ。 絵里のところへ行こう。奈津子には断りをきちんと入れよう。 俺はそう心に決めた。決めたはずだった。 なのに、心の中はもやもやしたままだった。自分がやりたいことをやるって決めたはずなのに、何か後ろめ...
  • 慎太郎の受難2ルート第2話
    425 :慎 ◆tXhMrjO4ms [sage] :2007/04/07(土) 19 10 15 ID okgjui4L 俺は家に帰り、絵里のうちへ行く準備をしていた。だが、なんとなく気分が浮かない。 服を用意し、今日はご飯はいらない、泊まってくることを母につげ、家を出た。 坂ををくだり、登り、下ってまた登る。 どうしてこうも複雑な地形をしているのか最近恨めしく思えてきている。 この近辺は山が二つあり片方の山に俺が通う高校、そして対面の山にうちがある。 高さはないが勾配が急で、そのせいか、うちの高校は自転車通学が禁止されている。 そもそも校則で禁止されなくても誰がするか!と言うぐらいきつい登りで、そんな坂を延々のぼった先にうちの高校はある。 生徒はバスで通学するのだが、乗り遅れたが最後。きつい登りを必死で登る必要がある。 あるものはタクシーを使うが、ばれると怒られるので...
  • いない君といる誰かルートA-2END1
    いない君といる誰か 第二十七話ルートA-2END1
  • ◆2.775XTAfE氏
    上書き 甘い世界
  • 投下イラスト
    終わらないお茶会/カーニバルの夜に/いない君といる誰か マッドハンター/如月更紗 須藤幹也 眠らないヤマネ 裁罪のアリス 神無士乃 里村冬継 里村春香 須藤冬華 グリム 神無佐奈 壱口のグレーテル パッケージ案 チェシャ キャラアイコン 恋人作り 姫野真弓&姫野亜弓 真夜中のよづり 榛原よづり 上書き 城井加奈&沢崎誠人 『首吊りラプソディア』 カオリ・D・D・サウスフォレスト 奉梨・フジノ 鬼葬譚 第一章 『緋の詩』 戦巫女 氷雨デイズ 氷雨 彩 味香(仮) 彩味香 狂人は愛を嘯く. 果敢那 あなたと握手を 大河内桜 ヴァギナ・デンタータ 月乃鞠 時坂歩 月輪に舞う 弧太郎 気に病む透歌さん 倉井透歌 デレ&ヤン 梢 ワイヤード 野々村ナギ 鷹野百歌 西又囲炉裏 井上深紅...
  • 長編SS
    終わらないお茶会(完結) ◆msUmpMmFSs氏 題名の無い長編集 カーニバルの夜に ◆msUmpMmFSs氏 ヤンバル ideal ◆zvQNG0FZvQ氏 いない君といる誰か(一部ルート完結) ◆msUmpMmFSs氏 あなたと握手を(完結) ◆Z.OmhTbrSo氏 ひどいよ!おおこうちさん(完結) ◆Z.OmhTbrSo氏 『首吊りラプソディア』(完結) □ボ ◆JypZpjo0ig氏 渋沢夏恋の話 ミツバ氏 ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo氏 真夜中のよづり 赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg氏 恋人作り ◆5PfWpKIZI氏 慎太郎の受難(一部ルート完結) 慎 ◆tXhMrjO4ms氏 類友 シアン・マゼンダ・イエロー・ストーカー(完結) ◆Z.OmhTbrSo氏 上書き(一部ルート完結) ◆2.775XTAfE氏 終わったあとのお茶会 ◆msUmpMmFSs氏 越えら...
  • 甘い世界
    171 : ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/16(金) 00 21 10 ID VNEswL9I とりあえず上書きの番外編と捉えてください。 172 :甘い世界 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/16(金) 00 25 25 ID VNEswL9I 「加奈~!早くしないと先行くぞ~!」 「ちょっと、もうちょっとだから待ってよ誠人くんー!」  今日もいつもと変わらないやり取りで朝が始まる。  半開きのドアから漏れる声が朝の寝惚けてる耳に心地良い。  加奈を迎えに行って登校するまでのこの些細な一時の幸せを噛み締めつつ、俺は手でメガホンを作って声を通す。 「置いてくぞ~!」  そんな気持ちはさらさらない、加奈が隣にいない通学路なんて考えられない。  それでも、俺のこんな一言を単純に信じてくれる加奈の反応を期待すると、つい意地悪な...
  • ヤンデレの小説を書こう!Part2-Page4
    601 名前:シアン・マゼンダ・イエロー・ストーカー ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 27 56 ID +Ky50rQJ 600 パスタGJ!! 崩壊していく光景を眺めながらバジリコのパスタを食べたいもんです。 では、続けて投下します。 WARNING! WARNING! 警告です。途中の注意書きをよく読んでください。 602 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 28 20 ID mCeR+K8E ノベルゲーの人どうなったんだろ? 流石に二、三日で出来てるとは思わないがタイトルとか気になる 603 名前:シアン・マゼンダ・イエロー・ストーカー ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 29 18 ID +Ky50rQJ 真也は今、自宅の玄関前で目を閉じてい...
  • 慎太郎の受難2ルート第3話
    302 :慎 ◆tXhMrjO4ms [sage] :2007/05/10(木) 21 03 43 ID zGJa7IMm --------------------------------------------------------------- さて今俺が向かってる駅前の周辺はこの市では、繁華街の中に入る場所だ。 実際のところは、再開発によってできた駅ビルぐらいしかないのだが、近くに港があり、 その港におおきなショッピングモールができたせいもあり、この前絵里と行った中心街を越える買い物スポットになろうとしてる。 また交通の要所でもある。この市を走るバスの98パーセント以上はこの駅前を通ってるとも思う。 そのため夜になっても人の流れが衰えることはない。 仕事を終え、ニュータウンへ帰りを急ぐ人々、出張から帰ってきた人、このあたりで買い物を楽しんだ人・・・さまざまな人がいる...
  • ことのはぐるまルートA
    ことのはぐるま 第二十三話~令嬢の誤解~ ことのはぐるま 第二十四話~逃亡~ ことのはぐるま 第二十五話~逃亡不可能~ ことのはぐるま 第二十六話~令嬢と地下室で~
  • ヤンデレの小説を書こう!Part5-Page1
    1 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/03/20(火) 13 28 10 ID 0xGFv+j9 ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。 ○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど) ○ぶつ切りでの作品投下もアリ。 ■ヤンデレとは? ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。 →(別名:黒化、黒姫化など) ・ヒロインは、ライバルがいてもいなくても主人公を思っていくうちに少しずつだが確実に病んでいく。 ・トラウマ・精神の不安定さから覚醒することもある。 ■関連サイト ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫 http //yandere.web.fc2.com/ ■前スレ ヤンデレの小説を書こう!Part4 http //sakura03.bbspin...
  • 和菓子と洋菓子 第十六話ルートA
    30 :和菓子と洋菓子 [sage] :2007/09/18(火) 00 45 39 ID f93AyQ5E 自転車のペダルに力を入れて、足に残る鈍痛を少し気にかけかばうように、ごく見慣れた道を行く。 住宅地を抜け、公園の傍を通るあたりになると、すぐに汗が体から吹き出てきた。 照りつける日光の破壊力はすさまじいものがある。 さらに、蒸した温風が頬をかする。 その風に混じって草木の青臭い匂いが鼻をつく。 夏の熱気でより青臭さが増しているので、気に留めないではいられない。 そして、暑いとそう思えば思うほどに、発汗量は右肩上がりにまし、皮膚を伝い蒸れている。 気持ちが悪いこと、この上なく不快指数は大絶賛で五桁を優に突破した感がある。 「今日は本当に天気になったなあ。」 しかし、口をつついて出てきた第一声は暑いではなく、雨雲を淘汰し、澄明に晴れ上がった蒼天への賛辞の言葉だっ...
  • 和菓子と洋菓子 第十五話ルートA
    450 :和菓子と洋菓子 [sage] :2007/08/30(木) 00 55 38 ID PLj8WAU4 僕の取るべき行動は唯一つ―。 北方さんに理不尽で無意味な自殺を思いとどまらせる事だ。 彼女に自殺などさせるわけにはいかない。 賢明な彼女だから、この自殺の企てが愚かしいことであることくらい解っているだろう。 そして、彼女自身、死にたいという感情の濁流に流されていながら、心のどこかで助けて欲しい、そう願っているはずなのだ。 それは、彼女の遺書が雄弁すぎるほどに物語っているではないか。 ここで死んでしまっては、彼女は何の為に生まれてきたのであろう? 母親の虐待だけではなく、父親の無視、使用人の無関心を幼い時分から一心に受け続けた。 そして、母親が目の前から姿を消し、父は彼女の為に心を砕く事によって、やっと幸福な日常に期待をもてるようになった。 しかし、今度は...
  • いない君といる誰か 第十三話ルートA
    249 :いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] :2007/02/03(土) 22 34 54 ID vpHTOitt  時計を持っていないので時間が分からない。太陽の位置ならともかく、月の位置から時間を 特定する方法は忘れてしまった。まだ月は真上には浮かんでいない――それでも太陽が完全に 消えてしまっているので、もう完全に夜だということは分かる。  夏の夜空には星がよく見える。星座の形なんて小学校にならったきりで忘れてしまった。北 極星が見えるのは夏だったか冬だったか。そんなことももう憶えていない。  思考が錯綜しているのが、自分でも分かっていた。  姉さんの次に付き合いが長い少女。神無士乃が、ここまで逸しているとは思っていなかった。 普通の人間なら、とっくに帰ってきているはずだ。  いや。   いや――違う。  そもそも、前提が違う。  今ま...
  • いない君といる誰か 第十一話ルートA
    200 :いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] :2007/02/02(金) 02 13 44 ID 7Ww8SaUH  いい天気だった。  どうしようもないくらいにいい天気だった。真上に太陽があるせいで、余計にそう思う。遠 くに流れる雲はあるものの、夏の近づく空は遠く遠く遠くにまで蒼い。あの空を泳げたらさぞ かし気持ちがいいだろうとがらにもなく思う。それほどまでに、いい天気だった。  太陽が真上にあるせいで、陽射しが余計に強く感じた。じりじりと、コンクリートから照り 課す熱を感じる。 「……昼間だから当然だよな」  虚しい独り言を言うが、虚しさに変化はなかった。むしろ言葉に出したせいで、感じる必要 のない物寂しさまで覚えてしまった。  横に立つ如月更紗が、突如立ち止まって空を見上げて独り言を呟いた僕を見遣り、暑さを感 じさせない淡々とした声で言...
  • 和菓子と洋菓子 第十七話ルートA
    255 :和菓子と洋菓子 [sage] :2007/10/05(金) 01 52 33 ID Fe03hxK+ いつからでしょう。 父が母に愚痴を度々こぼすようになったのは―。 父が知らない女の人に怒鳴られているのを見たのは―。 父のやつれた表情を見るようになったのは―。 誕生日、決まって連れて行ってくれたレストランへも行かなくなったのは―。 幼心に偉大なものとして、絶対視していた父の背中を見ることができなくなったのは―。 何もかも取り戻せなくなってしまったのは―。 それ以来、私には父の記憶は一切無い。 父の記憶というと幼い頃の数年しかない。 父は母と娘である私が居ながらも、私たちと同居していなかった。 ただ、私たちの家を訪れるときには決まって、父はケーキを買ってくるのだった。 そのケーキの甘さが妙に鮮烈に残っている。 当時は、父が母と同居するものだという感覚は...
  • 慎太郎の受難
    慎太郎の受難第1話 慎太郎の受難第2話 慎太郎の受難第3話 慎太郎の受難2ルート第1話 慎太郎の受難2ルート第2話 慎太郎の受難2ルート第3話
  • いない君といる誰か
    いない君といる誰か 第一話 いない君といる誰か 第二話 いない君といる誰か 第三話 いない君といる誰か 第四話 いない君といる誰か 第五話 いない君といる誰か 第六話 いない君といる誰か 第七話 いない君といる誰か 第八話 いない君といる誰か 第九話 ルートA ルートB ルートC
  • いない君といる誰か 幕間ルートA
    439 :いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] :2007/02/09(金) 00 15 49 ID 76e5wCUJ  10歳の僕は、疑問に思った。  どうして姉さんは学校に行かないのだろう、と。  中学生だった姉さんは、けれど中学生には見えなかった。買ってもらった制服はクローゼッ トの中で眠り続けていたし、体操服はゴミ箱に捨てられたいたのを見た記憶がある。学校にも、 部活にも、姉さんはいかなかった。保健室登校ですらしなかった。  何かを怖がるかのように、学校へは行かなかった。  何もかもを怖がるように――部屋から出ることすらなかった。  そして姉さんは、弱すぎた姉さんは、一人で部屋の中にいるのも怖かったのだろう。大きな 人間である父や母すらも怖かったのだろう。一人ぼっちで部屋にいることに耐えられなくて― ―僕を部屋の中へと呼んだ。  自分より...
  • 和菓子と洋菓子
    和菓子と洋菓子 第一話 和菓子と洋菓子 第二話 和菓子と洋菓子 第三話 和菓子と洋菓子 第四話 和菓子と洋菓子 第五話 和菓子と洋菓子 第六話 和菓子と洋菓子 第七話 和菓子と洋菓子 第八話 和菓子と洋菓子 第九話 和菓子と洋菓子 第十話 和菓子と洋菓子 第十一話 和菓子と洋菓子 第十二話 和菓子と洋菓子 第十三話 和菓子と洋菓子 第十四話 和菓子と洋菓子 第十五話ルートA 和菓子と洋菓子 第十六話ルートA 和菓子と洋菓子 第十七話ルートA
  • いない君といる誰か 第十四話ルートA
    477 :いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] :2007/02/09(金) 02 00 24 ID 76e5wCUJ  目が醒めたら地下室にいた。 「…………」  それが本当に地下室なのかどうか、いまいち判然としない。周りを打ちっぱなしのコンクリ ートに無理矢理木の板を拵えたような、大雑把な壁に囲まれて、窓も扉もないからそう判断し ただけだ。正面、部屋の奥には上へと繋がるハシゴがある。あのハシゴをあがったら屋上だっ た――なんてことになれば、そこそこ面白そうなのだが。  部屋は狭い。六畳一間、あるかないかといったところだろう。それだけなら狭いというほど でもないが、部屋の両脇に詰まれた木箱が部屋を圧迫していた。低い天井には電球一つしかな くて、余計に圧迫感が増していた。電球から伸びたむき出しのコードは、部屋の端へと繋がっ ている。部屋にあるのは、奇...
  • いない君といる誰か 第十話ルートA
    177 :いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] :2007/01/31(水) 23 40 54 ID C6nX4lQD 「……話したいことっていうのは、他にはないのか」  言って――僕は如月更紗の隣、白いベッドの上に腰掛けた。学校の保健室のベッドなんて、 そんな大そうな大きさを持っているわけではない。一人用の、こじんまりとした安物ベッドだ 。手を届くまでもなく、如月更紗と毛布ごしに身体が触れてしまう。毛布の下に何もきていな いと考えると、色々こう、心にくるものがあるが――その辺は勤めて考えないようにする。  如月更紗の黒い髪が、黒く長く綺麗な髪が、白い毛布の上に広がっている。その内の一房を 、特に意味もなく手にとる。手の中を流れていく柔らかな感触があった。 「今なら……なんでも聞いてやるぞ。どうせサボったついでだ」  元々――授業はサボるつもりだった...
  • いない君といる誰か 第十二話ルートA
    220 :いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] :2007/02/02(金) 23 25 52 ID 9yD2ehT5 「KRの4」  わざわざ口で宣言して、如月更紗は黒のクイーンを動かした。かつん、と木の触れる良い音 がする。プラスチック製の安物ではない、しっかりと造られた木彫りのチェスだ。赤と白―― ではなく、黒と白。白は使いたくない、と如月更紗が言ったので、僕が白、如月更紗が黒だ。  姉さんが買ったチェス盤で、姉さんと遊んでいたチェスを、如月更紗としている。  妙な違和感があった。  なんで僕はこんなことをしているんだろう――とめどなくそう思う。 「…………」  チェス盤がある以上、口頭する必要はない。無言のまま、白のポーンを動かす。かつん。音 を共に木彫りの兵士が一歩前進。目指すは黒のキングだ。もっとも大してやる気があるわけで もないので、...
  • ことのはぐるま
    ことのはぐるま プロローグ~遠山雄志のひとり語り~ ことのはぐるま 第一話~菊川かなことの出会い~ ことのはぐるま 第二話~天野香織との日常~ ことのはぐるま 第三話~現大園華との再会~ ことのはぐるま 第四話~腐れ縁の同級生~ ことのはぐるま 第五話~親友と幼馴染~ ことのはぐるま 第六話~従妹とお嬢様~ ことのはぐるま 第七話~にらみ合いと、秘められた伝言~ ことのはぐるま 第八話~二つの告白~ ことのはぐるま 第九話~姫~ ことのはぐるま 第十話~忘れていたこと~ ことのはぐるま 第十一話~前世の否定~ ことのはぐるま 第十二話~華の告白・二度目~ ことのはぐるま 第十三話~無計画な2人~ ことのはぐるま 第十四話~雄志の告白~ ことのはぐるま 第十五話~遠くに居た知り合い、遠くへ行った恋人~ ことのはぐるま 第十六話~犯行の動機~ ことのはぐるま 第十七話~クイズ~ ことのはぐるま...
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