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    <title>棘</title>
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    <description>
      　深紅の滴が白い布に散った。
　それが、雪のなか鮮やかに散った血を思いださせた。
　幼きころに交わした誓約と白鳥の流した血――死を連想させる。
　カーラインは、血が滲んでいる指を舐めた。
「馬鹿ね」
　刺繍よりも、遠い異国の地にいるアルベルトのことしか頭になかった結果がこれだ。
　ため息をついて針をおく。物憂げに窓の外を見れば、吸い込まれそうなほど天高くどこまでも青い空がひろがっている。
　別れた日も、こんな青空の下だった。

　　　　　　　＊

「アルベルト！　お父さまと一緒に十字軍に加わるというのは、本当なの？」
　昼下がりの気怠げな空気を破ったのは少女の高い声。薔薇園に佇んでいる彼を見つけて、一直線に向かっていき、勢いあまって転けそうになったところを抱きとめられた。全速力で走ってきたせいで肩で息をしている。まだ幼さを残した頬を紅潮させて、青年を睨みつけた。
「……カーライン様」
　微かなため息が耳を甘くかすめる。彼女を見つめる澄んだ瞳はいつも優しい。その瞳で困った顔をされると、まるでわたしが困らせることばかりしているみたいじゃないの！　と頭にくるのだった。事実そうなのだが、彼女には自覚がなかった。
「その困った顔は本当だってことよね」
　腕を突っ張って、言い逃れを許さないとばかりにアルベルトを見据えた。
「わたしも一緒に行くわ！」
「駄目です」
　いつもは彼女の我が儘を少し困った顔で笑って許してくれるのに。今日は違った。彼は誰よりも優しかったが、彼女が悪いときは本気で怒ってくれる唯一の存在でもあった。でもこれだけは譲れない。
「アルベルト。あの白鳥にかけてあなたはわたしを独りにしないって誓ったわ。その誓いを破るなら、わたしがついて行くしかないじゃないの！」
　激しく気持ちをぶつけた後、カーラインはそんな自分が嫌になった。彼の瞳に苦悩がにじんでいるのを見たからだ。
「――ではこの城を誰が守るのですか？」
　声は静かだったが、厳しかった。
　あえて目を背けたいと思っている事実を彼は告げた。目をそらして、唇を噛む。
「……わかってるわ。お父さまの留守を預かるのは一人娘であるわたししかいないってこと。――わかってるわよ！」
　ただそれを受け入れたくないだけ。父の従者として聖地に向かえば、必ず生きて帰る保証などない。もう二度と会えなくなるかもしれないのだ。足下が崩れていく感覚に彼女は震えた。嫌だ。そんなこと耐えられない。
「あなたを失うぐらいなら、城なんてどうなろうと知った事じゃないわ！」
「カーライン様！」
「アルベルトの馬鹿！　どうしてわかってくれないのよ。あなたのことを息子だと認めないで、ただの従者としてしか扱わないあんな父親のためにどうして？」
　アルベルトは微笑した。
「たしかに馬鹿かもしれない……ですが、父と呼ぶことを許されなくても、母を亡くして身よりのなかった私を引き取ってくれました。……そのご恩に報いなければなりません」
「――わたしは許さないわ。あなたが許しても！」
　許さない。父を、運命を、神を！　
　真実を知らされた時、心は切り裂かれ――血が流れた。[[嵐の夜]]、犯した罪を薔薇だけが知っている。そして、わたし達を永遠に縛りつづける。
　
　

　一ヶ月前だった。
　父に呼ばれて、突然、結婚するように命じられた。相手は年寄りで結婚するのは三度目だった。
　彼女は初めて父に反抗した。自分が愛しているのはアルベルトだと告げた。
　その時だ。父からアルベルトが腹違いの兄だと知らされたのは。
　父は息子が欲しかったが、政略で結婚した妻との間には、娘が一人生まれただけ。失望した彼は妻の死後、十三歳になるアルベルトを呼び寄せた。しかし、神のもとで結婚の秘蹟を受けなかった男女から生まれた子供は、跡取りとして認められない。だから息子として認めず、ただ従者として側に置いた。まさか自分の娘が異母兄であるアルベルトを愛するようになろうとは思いもしなかったらしい。恋人同士のようだという召使いたちの噂を聞いた父は、娘を結婚させることで決着をつけようとしたわけだ。
　彼女は、告げられた真実に絶望した。
　そんなことを今更知らされても、もう手遅れだ。父にかえりみられなかった子供時代、あの寒々と広い城のなかで、互いに肩をよせあって生きてきた。わたしは、アルベルトを愛してしまった。兄としてではなく。
　
　アルベルトのところにどうやってたどりついたのか覚えていない。
「何があったんですか？」
　心配する声がして、彼女は悪夢から覚めたように思えた。一番聞きたかった声。もう何も考えなくていい。腕のなかにとびこんで、汗と日なたの匂いを吸いこんだ。これで大丈夫。恐れることはないのよ。
「大丈夫ですか」
　優しくあやすように背中を撫でてくれる。
　お父様は嘘を言っているの。アルベルトが兄だなんて。嘘よね。そうよね？
「わたし達、……異母兄妹なんですって」
　彼の手が止まった。震えが伝わってくる。でも、顔を見ることができない。
「……どうしてそれを？」
　彼の声は掠れていた。
　どうしてそれを？　彼女は頭のなかで繰り返す。もしかして、……知っていたの？
「お父様よ。棺桶に片足を突っ込んだ老いぼれ領主と結婚しろって言ったわ。だからわたしは嫌だってはっきり言ってやったのよ。愛している人がいて、その人以外と結婚なんてしないと――その時よ。あなたが兄だと告げられたのは」
　苦しげな息が漏れる。破れそうなほど激しい鼓動を感じる。
「でも、わたしの気持ちを止めることなんてできない」
「カーライン様、いけません！」
　さえぎろうとする声に被さっていく。「わたしが、愛しているのは――」顔をあげる。目と目があう。
「あなたよ」
　だが、彼の手が離れていく。こんなに近くにいるのに。遠くなる。
　握りしめられた拳が震えている。いつだって真っ直ぐに彼女を見つめた瞳は閉ざされた。
「……あなたは、私の、大切な……妹です」
　亀裂が走り、粉々に砕けていく。陽射しにきらめく硝子細工のような美しい思い出が。愛だと信じていたものが。
「……知っていたのね、そうでしょ？　わたし達が異母兄妹だということを！　なのにわたしに教えてくれなかった！！」
　怒りと悲しみが混じり合って、激しく吹き荒れていく。彼は、その嵐に為す術もなく立ちつくすだけだ。
「わたしの気持ちには気づいていなかったとは言わせない。わたしは恋人気取りでいたんだから。馬鹿みたい！　あなたは妹としてしか見てなかったのに」
　頬を伝う涙は熱いのに、目はきっと凍りついている。彼女はそう思って、笑った。なんだか無性に可笑しかった。
「カーライン様！」
　笑うのをやめて、冷たい視線を投げつける。
「なにかしら、お兄様。そんな顔なさらないで。もう二度とお兄様の側をうろついて困らせたりしませんわ。わたしは、お父様の命じた方と結婚します」
　彼の瞳が絶望に染まったのを見て、彼女は、微笑んだ。
　――残酷で美しい女神のように。

→[[嵐の夜]]

更新日：&amp;date()
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    <title>メニュー</title>
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    <description>
      *プロット
**第一章　病める薔薇
+[[白鳥の死]]
+[[棘]]
+[[嵐の夜]]
+[[幸せのかけら]]
+[[夜明け]]
+[[幕間　妖精の約束]]

**第二章　剣の乙女
+[[決意]]
**三章　幽囚の姫君
**第四章　魔性の恋人    </description>
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    <title>嵐の夜</title>
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    <description>
      　嵐の夜だった。
　鎧戸は叩き破られんばかりに激しく音をたてて揺れていた。外を彷徨う亡霊が入れてくれとすすり泣き、唸り、脅しつけている――あれはただの吹き荒れる風の音だ。彼女は耳を塞ぎ、ベッドの中で胎児のように丸まって震えながら、必死に言い聞かせていた。
　荒れ狂う風に怯える夜は、アルベルトが手を握ってくれた。彼女が眠りにつくまで。
　だが今、側に彼はいない。拒絶された日から、彼の姿を追いかけそうになる度に唇を血が滲むほどに噛みしめた。心は凍てついたはずだ。恋が死んだあの時に。なのに！
　明日になれば、結婚相手である隣領主の城に向けて出発することになっていた。せめて、最後に別れの言葉を交わしたかった。未練たらしいと自分に腹を立てたが、これで最後かもしれないと思うといてもたってもいられず、アルベルトを探した。城中を探し回った。
　だが彼はどこにもいなかった。
　――こんな嵐の夜にいったいどこへ？
　唸りをあげる風にまぎれて馬がいななくのが聞こえた気がした。
　アルベルトだ！
　直感だった。寝台から飛び降りる。燭台を手に取り、闇に浸食された螺旋階段を駆け下りていく。扉を開けると、薔薇の濃厚な香りが鼻をついた。庭園は母の好きだった薔薇で狂おしいまでに満たされている。幾何学式に整えられた通路に足を踏み入れた途端、激しい風雨に叩きつけられ、燭台の火は消えた。
　星も月もない、圧倒的な闇。
　稲光が闇を切り裂いた。
　一瞬の鮮烈な輝きに照らされ、闇から男が現れた。死を運ぶ烏の翼のように、マントは風に煽られはためく。
「アルベルト！」
　吹きつける風雨に挑むように叫び、彼女は駆け寄っていた。何も考えず、一途に彼だけを想った。
　手が腕に触れた。
　頭巾（フード）からこぼれた濡れそぼった髪が目にかかり、雨が滴り落ちていく。見上げる彼女の顔にも。
「……どこへ行っていたの？」
　彼は答えない。どこか遠いところにいるようだった。腕を揺さぶる。
「明日になれば、わたしはもうこの城にはいないのよ。もう会えなくなるのよ！」
「……安心してください」
「それはどういう意味なの？　会えなくなるのが嬉しいとでも？」
　アルベルトは、首を微かに横に振った。
「結婚しなくても良くなったからですよ」
「なぜ？　どういうことなの」
　腕を伸ばし、彼の目を隠している濡れた髪をかきあげた。また闇を切り裂く青白い光が走った。澄みきった湖のような瞳が彼女を見つめていた。
「――私が、殺したからです」
　白鳥の命を奪ったときと同じように、彼は静かに告げた。
「あの男は、あなたを汚してしまう。殺さなければ、皮と骨だけの皺まみれの手であなたを抱く――死んで当然なんです」
　淡々と語っていた声がふいに震えを帯びた。目を見開いたままで言葉もない彼女を見下ろして。
「ですが、私も同じだ。きっと、あなたを汚して、壊してしまうでしょう」
　無理に微笑んでみせて、彼は離れていこうとする。彼女は必死に腕にしがみついた。
「答えも聞かずに行く気？　わたしは、汚しても壊されてもいい。あなたに側にいてほしいの！」
　背中に手が回された。抱き寄せられる。嵐よりも強く、激しく。
　雨が二人の体温を奪っていく。だが自分以外の体温が暖めてくれる。
　互いに相手の姿だけを見つめ、熱病に罹ったように震えながら、唇が重なっていく。

　風に翻弄されて悶え、薔薇が散っていく――血のごとく赤い花びらが。
　
　――わたし達は罪を犯した。

　そして、あの時と同じ薔薇園で、彼は離れていこうとしている。
　隣領主を殺した暗殺者はまだ見つかっていない。死体は森の中で発見されたが、犯人の手がかりも血の跡も嵐でかき消されてしまっていた。とはいえ、まだ安心するわけにはいかなかった。隠された罪が暴かれる日がいつ来るか脅えながら生きていかねばならない。
　それでも、この恋が禁じられていても、神に背いたって貫いてみせる。なのにアルベルトは一人で罪を背負って、聖地へ行くのだ。
　壁際のベンチの両脇に二本の低木が壁に沿って互いに蔦を絡ませ合っている。まるで恋人同士のように。カーラインは睫毛を伏せて、指を伸ばし、掴んだ。
　それは深紅の、薔薇。
　刺が突き刺さり、血が滲んだ。優しく彼の唇が押し当てられ、痛みが熱にかわる。
　伏せていた眼を上げた。
「――約束して」
　真っ直ぐに、強い眼差しで。
「必ず生きて帰ってくるって。約束してくれないんだったら、どんなに反対したって、無理矢理ついていくから！！」　
　空の青にとけ込んでいくような微笑みを浮かべ、彼は誓った。
「片割れをなくした白鳥にかけて約束します。必ず帰ってくると」
　カーラインの瞳から涙がこぼれ落ちる。
　聖地へ向かう恋人同士は、こうして約束を交わしあうのだろう。だが、約束を果たせずに死んでいく者のなんと多いことか。それでも、泣いて縋ってもとめることができない男を好きになってしまったのだ。騎士が忠誠を尽くすのにふさわしい貴婦人として振る舞わなければならない。
　背筋をのばす。
「……父をよろしく頼みます」
　もう約束をせがまない。
　アルベルトは差しだされた手をとり、接吻する。
「……御意」


　　　　　　　＊


　あれから、もう三年が経ったのだ。
　聖地エルサレムが異教徒の手に陥ちたという知らせが届いたとき、領主である彼女の父は、聖地奪還を神に誓った。
　父の従者だった彼もまた、ともに出征した。
　武勲となによりも無事を祈って、神に捧げるタペストリーを縫っていたのだ。
　それなのに、血が流れた。
　不吉な予感に胸が締めつけられる。この空につづく異国の地で、彼は無事でいるだろうか。
　その祈りは、馬の嘶きによって破られた。
　中庭が、騒がしい。
　窓から身を乗り出すと、もうもうと砂埃をたて、騎士が連なって帰ってくるのが見えた。砂埃にまみれ、くたびれきった姿が彼らの旅が長く過酷だったことを知らせてくれる。
　カーラインの顔が喜びで輝いた。
「帰ってきたんだわ！」
　勢いよく立ち上がると、側で一緒に刺繍をしていた侍女が、驚いた顔を向ける。
「主の下で戦ってきた騎士たちが帰ってきたのよ！」
　弾んだ声で告げると、侍女も喜びの声をあげて、立ち上がった。
「長旅で疲れている騎士のために熱い風呂の用意と宴の準備を急いでちょうだい」
　女主人の指示に侍女は丁寧に一礼し、迎えの準備をするため足早に去っていく。
　カーラインもまた軽やかな足取りで大広間へと向かった。



「……お父さまが死んだ？」
　カーラインは、自分の声がどこか遠くから聞こえてくるようだと、思った。
　床に跪き報告をしているのは、古くから父に仕えていた老騎士。霜のように白い髭を震わせ、言った。異教徒の軍に攻め寄せられ、味方が総崩れしそうなときでも、決して退かずに勇敢に闘われ見事な死を飾ったと、領主である父を褒め称えた。
　カーラインは父らしい死に方だ、と思っていた。後悔などなかっただろう。戦うことが生きることだった根っからの武人である父には。それでも少しは、後に残す娘のことを、心配してくれただろうか。
　カーラインは、視線を泳がせる。崩れそうな自分を支えてくれる人を探す。
　壁に掛けられたタペストリーと領主の紋章楯が飾られた大広間には、花が散りばめられたイグサで覆われた床に跪いている家臣たちの姿があった。だが、意気揚々と出発していった兵たちの半数以上の姿がない。聖地から無事帰ってきた者がこれだけしかいないのか。まるで夢をみているようだ。そう、これは夢だ。あの人がいないもの。
「……アルベルトの姿がみえませんね。遅れてやってくるのですか？」
　声が震えるのを抑える。何気ない口調を装って、尋ねる。だが、答えは彼女の聞きたかったものではなかった。
　老騎士は、言う。
「主君の危機に、自らを楯とし、異教徒の刃に倒れました。見事、騎士としての務めを果たし、主君の恩に報いたのです」
　嘘をついている、と彼女は思った。あの人が私を置いて死ぬはずがないもの。



　カーラインは、どうやって寝室まで帰ってきたのかわからなかった。
　騎士たちに風呂で疲れを流させ、食事をとらせるようにと侍女に命じたことは、ぼんやりと覚えていた。父のいない年月してきたこと、城主としての務めを果たすことは、すでに習慣だった。
　閉じた扉にもたれたまま、胸をおさえてうずくまる。
「……嘘よ。だって、ずっと側にいるって誓ったもの。絶対に帰ってくるって言ったんだもの」
　彼女を残して旅立つ前、必ず帰ってきますと彼は誓ったのだから。
　彼は約束を破ったことは一度もなかった。
　だから、きっと帰ってくるわ。
　茫洋と泳いでいた視線が窓の外にひろがる空を見た瞬間。
　――ああ、あのときの空もこんなふうに眩しいほどに青くて。
　涙がとまらなくなる。
　女主人として家臣の前では決して見せなかった涙が、彼女の頬を濡らしていく。
　今だけは、ただの恋人を失った少女になれた。    </description>
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    <title>青き騎士との誓い</title>
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}}}}}}


購入日：07/12/01
読了日：08/03/25

こんな頑固で気の強いヒロイン、好きになれないわと思っていたんだけど、だんだん困難を雌ライオンのように踏みつぶしていく強さに、だんだん悲観的になっていくヒーローよりもたくましくてステキだと思えてきました。
ヒロインの妹も強烈。ヒーローの友人とのサイドラブストーリは、年齢差萌えでございました。
今のところ、ジョハンセンでハズレはないなぁ。これもかなり面白かったです。ロマンスがメインだから、テンプル騎士団の謎がいまひとつだったりしたけど。

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    <title>サ行</title>
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    <description>
      ***ローズマリ・サトクリフ
***定金伸治
***佐藤賢一
***司馬遼太郎
***シェイクスピア
***ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
***アイリス・ジョハンセン
-[[青き騎士との誓い]]
***テリー・ジョーンズ
***ブライアン・ジェイクス
***ロバート・ジョーダン
***須賀しのぶ
***杉本苑子
***ピーター・ストラウブ
***妹尾ゆふ子    </description>
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    <title>カ行</title>
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    <description>
      ***茅田砂胡
***アラン・ガーナー
***ダイアナ・ガバルドン
***スーザン・クーパー
***楠本ひろみ
***アーシュラ・K・ル・グィン
***樹川さとみ
***金蓮花
***キプリング
***J・グレゴリイ・キイズ
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***久藤冬貴
***栗本薫
***ディーン・R・クーンツ
***ニール・ゲイマン
***今野緒雪
***五代ゆう
***駒崎優
***片山奈保子    </description>
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    <title>ア行</title>
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      *ア行
***アヴィ
-[[クリスピン]]
***ポール・アンダースン
-[[折れた魔剣]]
***池上永一
***ジーン・アウル
***ラルフ・イーザウ
***井上靖
***井上祐美子
***ブレンダ・リックマン・ヴァントリース
***コニー・ウィリス
***上橋菜穂子
***サラ・ウォーターズ
***ジョー・ウォルトン
***荻原規子
***小野不由美    </description>
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    <title>著者名索引</title>
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    <description>
      *ア行
***アヴィ
-[[クリスピン]]
***ポール・アンダースン
-[[折れた魔剣]]
***池上永一
***ジーン・アウル
***ラルフ・イーザウ
***井上靖
***井上祐美子
***ブレンダ・リックマン・ヴァントリース
***コニー・ウィリス
***上橋菜穂子
***サラ・ウォーターズ
***ジョー・ウォルトン
***荻原規子
***小野不由美



■カ行

***茅田砂胡
***アラン・ガーナー
***ダイアナ・ガバルドン
***スーザン・クーパー
***楠本ひろみ
***アーシュラ・K・ル・グィン
***樹川さとみ
***金蓮花
***キプリング
***J・グレゴリイ・キイズ
***ジェーン・ギャスケル
***久藤冬貴
***栗本薫
***ディーン・R・クーンツ
***ニール・ゲイマン
***今野緒雪
***五代ゆう
***駒崎優
***片山奈保子


■サ行

***ローズマリ・サトクリフ
***定金伸治
***佐藤賢一
***司馬遼太郎
***シェイクスピア
***ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
***アイリス・ジョハンセン
-[[青き騎士との誓い]]
***テリー・ジョーンズ
***ブライアン・ジェイクス
***ロバート・ジョーダン
***須賀しのぶ
***杉本苑子
***ピーター・ストラウブ
***妹尾ゆふ子


■タ行

   1. ダンセイニ
   2. 橘香いくの
   3. S・D・タワー
   4. 高殿円
   5. 谷瑞恵
   6. 竹岡葉月
   7. 陳舜臣
   8. ジュード・デヴロー
   9. ジェイム・ジュニア・ティプトリー
  10. ジョセフィン・テイ
  11. 高橋直樹
  12. J・R・R・トールキン
  13. ポール・ドハティ
  14.
  15.
  16.

■ナ行

   1. 梨木香歩
   2. 中井由希恵
   3. ドナ・ジョー・ナポリ
   4. ガース・ニクス
   5. ダリアン・ノース
   6. ローレンス・ノーフォーク
   7.
   8.
   9.

■ハ行

   1. クライヴ・バーカー
   2. チャールズ・パリサー
   3. 榛名しおり
   4. バーバラ・ハンブリー
   5. リンダ・ハワード
   6. 支倉凍砂
   7. ロイス・マクマスター・ビジョルド
   8. バリー・ヒューガート
   9. タモラ・ピアス
  10. スーザン・プライス
  11. ひかわ玲子
  12. 藤原瑞記
  13. 藤原京
  14. 古川日出男
  15. 藤本ひとみ
  16. フィリップ・プルマン
  17. パトリシア・ブリッグズ
  18. エリザベス・ヘイドン
  19. ケビン・クロスリー=ホランド
  20. ロビン・ホブ
  21.
  22.
  23.
  24.

■マ行

   1. パトリシア・A・マキリップ
   2. ジョージ・R・R・マーティン
   3. アン・マキャフリー
   4. ダイアナ・マーセラス
   5. O・R・メリング
   6. 本宮ことは
   7. 森谷明子
   8. 毛利志生子
   9. カレン・マリー・モニング
  10.
  11.
  12.
  13.

■ヤ行

   1. 山尾悠子
   2. 雪乃紗衣
   3. 夢枕獏
   4. ゆうきりん
   5. 吉田直
   6.
   7.
   8.

■ラ行

   1. フリッツ・ライバー
   2. レベッカ・ライザート
   3. マーセデス・ラッキー
   4. タニス・リー
   5. マイク・レズニック
   6. J・K・ローリング
   7.
   8.

■ワ行

   1. ウォルター・ワンゲリン
   2. 渡瀬草一郎
   3.
   4.
   5.    </description>
    <dc:date>2008-03-30T15:39:39+09:00</dc:date>
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    <title>2008年度</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/icefire/pages/78.html</link>
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      *2008年3月分

+(08/03/03）隋唐演義 4／田中芳樹／小説
+(08/03/04）隋唐演義 5／田中芳樹／小説
+(08/03/06）狐弟子／森福都／小説
+(08/03/06）中国古典小説選【唐代Ⅰ】／小説
+(08/03/08）桃夭記／井上祐美子／小説
+(08/03/08）奇景の図像学／中野美代子／エッセイ
+(08/03/10）楽昌珠／森福都／小説
+(08/03/13）カスティリオーネの庭／中野美代子／小説
+(08/03/15）のだめカンタービレ 20／二ノ宮知子／マンガ
+(08/03/16）流れる水のように／マルグリット・ユルスナール／小説
+(08/03/17）諏訪に落ちる夕陽／ながと帰葉／小説
+(08/03/17）瀧夜叉姫(上)／夢枕獏／小説
+(08/03/18）瀧夜叉姫(下)／夢枕獏／小説
+(08/03/19）金の鈴―風の王国／毛利志生子／小説
+(08/03/21）夜光杯ノ巻／夢枕獏／小説
+(08/03/22）屏風のなかの壺中天／ウー・ホン／資料
+(08/03/23）古代飛鳥「石」の謎／奥田尚／資料
+(08/03/25）[[青き騎士との誓い]]／アイリス・ジョハンセン／小説
+(08/03/27）王への手紙　上／トンケ・ドラフト／小説
+(08/03/28）[[王への手紙　下]]／トンケ・ドラフト／小説

2008年2月分

   1. (08/02/03）スクレイリングの樹／マイクル・ムアコック／小説
   2. (08/02/05）夢の仕掛け／井辻朱美／評論
   3. (08/02/07）白き狼の息子／マイクル・ムアコック／小説
   4. (08/02/13）軍犬と世界の痛み／マイクル・ムアコック／小説
   5. (08/02/16）星に永遠の願いを／アイリス・ジョハンセン／小説
   6. (08/02/19）長安牡丹花異聞／森福都／小説
   7. (08/02/21）双子幻綺行／森福都／小説
   8. (08/02/24）契丹伝奇集／中野美代子／小説
   9. (08/02/25）隋唐演義 2／田中芳樹／小説
  10. (08/02/27）隋唐演義 3／田中芳樹／小説

2008年1月分

   1. (08/01/07）悪魔の薔薇／タニス・リー／小説
   2. (08/01/15）メルニボネの皇子／マイクル・ムアコック／小説
   3. (08/01/18）この世の彼方の海／マイクル・ムアコック／小説
   4. (08/01/22）暁の女王マイシェラ／マイクル・ムアコック／小説
   5. (08/01/25）ストームブリンガー／マイクル・ムアコック／小説
   6. (08/01/29）夢盗人の娘／マイクル・ムアコック／小説    </description>
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    <title>折れた魔剣</title>
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}}}}}}


　9月1日読了しました。
　読んでいる間、どっぷりと北欧神話の世界に浸っていました。なんて壮絶な運命なのか。夏なのに寒気がして鳥肌が立ちました。
　スカフロクよりも取り換えっ子のヴァルガルドの方が悲惨です。彼の人生っていったい何だったの？　エルフとトロールの混血で人間じゃないのに、彼の慟哭は人間のもの。運命に操られるようにして弟を父を妹を次々と殺していく。そして我に返ったときに、やつらはオレの本当の家族じゃないんだ、と言い聞かすようにつぶやくのが哀しい。家族と信じていたものには血のつながりはなく、人間の子どもを手に入れるためだけにエルフの太守イムリックによって作られた彼は、スカフロクの影でしかない。だからこそ、憎む。自分から全てを奪った男から全てを奪おうとする。だが、光であるスカフロクが息絶えるとき、影であるヴァルガルドの命もまたないのだ。
　スカフロクには愛があった。ヴァルガルドは最後まで愛されることはなかった。影として生まれ、影として死んでいった。
　神話コードを与えられたキャラは、冬の海のごとく吠え猛る運命に翻弄されていく。魔剣を手にするために愛を失い、英雄となり、そして愛ゆえに破滅し、愛しい人の腕のなかで息たえる。これは短い生涯だとしても存外しあわせではないだろうか。ヴァルガルドに比べたら(T.T)。

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    <dc:date>2008-03-30T15:12:49+09:00</dc:date>
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