各国概略史その5・フィリピン共和国
大東亜戦争中、日本が占領したフィリピンを独立させたもの。
しかし戦前から独立を約束されていたところを戦乱に巻き込まれた形であり、
民衆にとってはありがた迷惑とでも形容できる独立劇となった。
そのため戦後も日本とはやや距離を置いた、中立国に近い付き合い方になっている。
また日本も周囲が完全に日本の勢力下にあるため、敵対しなければそれでよしとして、半ば放任したかたちとなっており、
アジア諸国の中ではかなり特異な立場にいる国である。
この立場にまず欧州連合が着目し、ついで日本も利用価値に気づく。
つまりフィリピンは日本勢力圏下にぽつんと浮かんだ中立地域のようなものであり、欧州におけるスイスの立場に期せずして立ったのである。
この結果、フィリピンはアジアにおける外交・諜報拠点となり、ますます不可侵の存在となった。
東西双方ともそういう利用法である以上、周辺で波風を立てるのは好ましくなく、
冷戦も中盤に入ると、政治的・外交的な一切の干渉が行われなくなった。
フィリピン自身も自らが置かれた立場を理解し、アジアにおける信用ある金融・情報拠点たるべく努力している。
将来的に「欧州のジュネーブ、亜細亜のマニラ」と並び称されることがフィリピン国民の宿望である。
最終更新:2011年06月09日 20:20