無題7-295

THE IDOLM@STER 創作発表まとめWiki内検索 / 「無題7-295」で検索した結果

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  • 7スレ
    ... 無題7-290 無題7-295 Cryin
  • 無題7-295
    上田鈴帆というアイドルを担当している俺は今、ある問題に直面していた。 彼女は元気で素直な良い娘で、仕事もパワフルにこなして着実にファン層を広げている。 しかし彼女にはバラエティ番組の仕事ばかり入ってきて、歌やダンス関係の仕事は一切来ない。 俺は彼女に歌って欲しくてスカウトしたのだが、未だにその目的を果たせていなかった。 原因はまだDランクに上がったばかりの頃にある。その時彼女は某テレビ番組の特番に出た。 正月番組でタレントを集めてワイワイするだけの番組だったが 鈴帆のランクを考えると、まず来ないビックネームの仕事だ。 俺はどういったアピールをするべきか迷ったが ここはインパクトを重視して着ぐるみで出演させることにした。 正月に相応しい鏡餅の着ぐるみを来た鈴帆が登場すると、番組は笑いに湧いた。 お茶の間からの反響も大きく、あれから鈴帆の名前は一気に知れ...
  • ふじた ◆07mafIj/ZY氏作品
    7 無題7-260 7 無題7-275 7 無題7-290 名前 コメント
  • 無題7-290
     事務所に戻ると、美希がソファの上で寝ていた。  ごろんと背を向けてくぅくぅ寝息を立てているその姿は、髪の毛のボリュームも相まってともすれば金色の毛虫にも見えて少し不気味である。  少しだけ膝を曲げて、背を丸めて、シャツがめくれて素肌が見える。 「風邪引くよ」  手近なところに毛布が見当たらなかったので、着ていた上着を代わりにかぶせた。  どうせ暖房も入れるし、そろそろ少しずつ温かくなってきたおかげで普通に行動している分には問題ない。  ただ彼女みたく背中がちろりと見えていると寒いのではないだろうか、との配慮である。  あと、万が一担当アイドルに風邪引かれると私が困る。下げなくて済むなら、あまり頭は下げたくない。 「しっかしまぁ元気に寝てること」  もこもこ金髪に隠れる寝顔は、良い夢でも見ているのか満面の笑みだった。  時折口...
  • メグレスP ◆gjBWM0nMpY作品
    5 イニシャルビスケットのP 5 宇宙人ジョーンズアイマス編 6 ミル姉さんのアイマス紹介 6 メタルの帯風キャッチコピーを考えてみた 7 A Song For Life 7 無題7-123 7 無題7-139 7 Secrets On Parade 7 四条貴音のラーメン探訪番外編 7 Cryin 8 You Make Me Smile 8 無題8-12 8 すごいよ! わくわくさん! 8 シンデレラガールズの地元紹介新潟編 8 アイマス×ばりごく麺(ばりごく麺とのクロスオーバー) 8 無題8-124 8 無題8-125 8 無題8-143 8 無題8-145 8 When The Sun Meets The Sky 8 Sometimes 8 Anytime Anywhere ...
  • 無題7-260
     風呂上がりの晩酌を済ませ、さあ寝ようか、と思った所で、テーブルの上に投げ出していた携帯電話がぶぶぶと震えた。メールの着信だった。  サブディスプレイを覗くとそこには現在担当しているアイドル――雪歩の名前が表示されていた。  男が苦手、という彼女の性格はメールにも如実に表れていて、自信のなさそうな語尾や三点リーダ等が頻繁に見られる。  それでもこうして時々送られてくるメールの内容は実に他愛のないもので、それが逆に、こちらとの距離を少しずつでも頑張って縮めようとする彼女の努力がはっきりと表れていてなんとも喜ばしい。  尤も、今回注目すべき点はそこではないのだが。 『小学生並み……』  メールを開いて最初、タイトルにはそう記載されている。  はてさて一体何が、と思いながらつらつらと文面に眼を通し、 「……ふむ」  誰に対して気取ってい...
  • 無題7-205
    社長「えー、今日集まってもらったのは他でもない。わが765プロでもQCをやることにした」 P「そこでみんなにも、QCをしてもらう」 アイドル一同「QC???」 小鳥「うちでもやるんですか。確かに必要かも……」 亜美「QCってなあに?」 真美「キュゥべえなら知ってるけど。アニメに」 律子「QCというのは、Quality Controlの略。品質管理ね。 お客さんに出す商品やサービスの品質を良くするための活動を言うのよ。 みんなはアイドルで、歌がイベントが商品でしょ。それをどうしたらもっと良くすることができるかを考えるのよ」 千早「そんなの簡単じゃないですか。もっとレッスンや場数を積めば……」 P「甘い。そのレッスンもただすればいいってもんじゃない。もっと効率良く、効果を出せるか。 そこを考えるんだ。現場にいる者の目線で」 春香「何か難しそうです...
  • 無題7-275
     高槻やよいが自主レッスンから帰ってくると、事務所の中に朝見かけた姿はどこかへと消えていた。  祝日のことである。その日は予てから高木順二郎社長がこの日は会社丸ごとオフにする! と宣言していた日で、きょろきょろと辺りを見渡しても人っ子一人見当たらない。  やよいが今事務所の中にいるのは、朝、彼女が間違えて出勤した際にこの部屋で事務仕事をしていた『誰か』がいたからで、自主レッスンを終えて戻ってきても部屋に入ることが出来たのはその『誰か』がまだ帰っていない、ということになる。  しかし、その『誰か』の姿が見られなかった。  ぽふぽふと歩いてデスク群に近付けば、その『誰か』のデスクの上にはすっかり冷めた珈琲がマグカップの中で静かに佇んでいた。  パソコンの電源は入りっぱなし。一応スリープモードにはなっているらしく、電源ランプは気だるげに点滅していた。  買物にでも出...
  • 無題7-230
    「春香ー?夏休みの宿題は終わったのー?」 夏休みももう少しで終わりという日の夜 母から毎年お決まりのセリフを頂戴した春香は、返答に詰まっていた 今年の夏は、海外ロケやら何やらで忙しかったのだ 「うー…Pさんは出張だし、困ったなー」 「しょうが無いわねー。明日にでも、お兄ちゃんに聞いてききたら?」 春香の家の裏手には、春香と7つ程の離れた従兄が一人で住んでいる 天海家の血を引く者の中ではずば抜けて頭が良く 主に生物学を専門としているが、他にもわけの分からない研究を色々やっている 世界レベルの大手企業から主任待遇で幾つも誘いを受けているが 全て『めんどい』の一言で断っているらしい 今は家庭教師と塾の講師をして生計を立てている 最近はPに宿題や課題も手伝ってもらっているが 昔から、この時期の春香の切り札は彼だった 「うん。そうする」 一...
  • 無題7-123
    事務所に戻ると、プロデューサーがソファで居眠りをしていた。 デビューしたての頃と違って、今はひっきりなしに仕事が入ってくる。 そういった活動が出来るのはプロデューサーを始めとした表には出ないスタッフの助力があるからで、 当然その人達も自分と同じくらい、もしかしたらそれ以上に疲れは溜まっているのかもしれない。 そんな訳だから起こしてしまうのが気の毒に思えたからであって、 滅多に隙を見せる事の無いプロデューサーの寝顔をこの機会に観察してみようなんて思った訳では決してない。 少しずつ近くに寄ってみる。物語で言われてるみたいに寝顔だけはあどけないなんて事はなくて、 やっぱりいつも通り気難しい顔つきのままだったのがなんだか可笑しかった。 そういえば、初めて会った時はあまりにも怖くて穴を掘るより先に気絶してしまった事とか、 暫くは面と向かって話す事も出来...
  • 無題7-139
    パソコンに向かって一人の男性が作業をしている。 よほど集中しているのか身じろぎもしない。 やがて一段楽したのか男性──天海春香のプロデューサーは大きな欠伸をした。 「ふぁ……」 「あら? 随分お疲れみたいですね」 「ああ小鳥さん。そうか……もうこんな時間か。ちょっと根を詰め過ぎたみたいです」 「仕事熱心なのは良いですけど、自分の体も気遣ってくださいね。春香ちゃん心配しますから」 「そうですね。すいませんがちょっと仮眠室使います」 数十分後。よたよたとおぼつかない足取りで春香が出勤して来る。 「おはよ~ございます……」 普段から三半規管の働きに疑問を持たれるというのに、 更に輪をかけてあやしげな動きに思わず如月千早のプロデューサーが声をかけた。 「どうした? 随分元気が無いようだが」 「最近スケジュールが詰まってて……ちょっと...
  • 無題7-120
    「ん~?」 「どうしたの真? 深刻な顔をして」 「これ、ボクの初期ステータスなんだけどさ……」 「歌が駄目ね」 「うっ、確かにそれはあるけど仕方ないかな、って」 「なら、何を悩んでいるの?」 「Viが低くない? 不本意だけど『王子様』なのにさ」 「……」 「……」 「このゲーム、プレーヤー層がほぼ男性よ」
  • 5スレ
    イニシャルビスケットのP 如月千早、オールド・ホイッスルに出演 気づいてほしい 無題36 宇宙人ジョーンズアイマス編 はい。その真っ赤なのをお願いします 無題74 無題90 6月25日の事件簿 無題111 アップローダ作品の為不明 メルヘンメイズ やよいの大冒険 第4話 こおりの国  ~雪歩の大事なお友達~ 第5話 じかんの国  ~双子パワーVSトリプルヘッズ~ 第6話 みずの国  ~律子さんは水がお嫌い!?~ 第7話 そらの国  ~あずささんと迷子のひよこ~ 第8話 かがみの国  ~春香さんがいっぱい!?~
  • 無題74
    「伊織、やよい、千早、ランクアップおめでとう!今日は俺の奢りだ、好きなだけ食え!」 「あんたの安月給でおごりなんて、何が出るかと思ったけど意外と良い雰囲気の店じゃない」 「ええ、水瀬さんの言う通り、落ち着いた雰囲気のお店で素敵だわ」 「こんな高そうなお店でご馳走になるなんてなんだか悪いです……」 「心配には及ばんよ、酒を頼まないんだったらそこまで高い店じゃ無いしな」 「やよい、大丈夫って言ってるんだから素直に甘えれば良いのよ、  プロデューサーだって見栄の為に生活費まで使い込む程バカじゃないでしょうしね」 「信頼して貰って何よりだ」 「ま、そろそろアンタとの付き合いも長いしね」 「ふふっ、水瀬さんもなんだかんだでプロデューサーの事を信頼してるのね……ところで、ここで何を頼むつもりですか?」 「ああ、ここは鍋が旨くてな、水炊きなんか最高だぞ?」 「...
  • 2スレ
    ペアカップ Happy holiday with you! 瞳 お元気で! ぺたぺた What color is your color? Brand New Fairy 愛の人 無題(287) 無題(298) 幸福Children 未知との遭遇 ねがい もしも春香以外がGSになったら エンジェルヘアーとコンソメのスープスパ、エビのフリット添え 風船祭り 風船 ばんそこ 無題(90) 無題(99) 俺的千早 風船のお家 風船の在処 俺的千早の後日談 helium/0.138 流れ星 正義の味方 Wizard and Witch 浮くもの、飛ぶもの 風船とハイタッチ 凱旋パレード カザフネ 夢見る少女 fairyt@le 太陽の鳥 虹色の鳥 100万回アイドルだった女の子 100ある961の話なら 芸能界鬼退治...
  • 無題(298)
    「すいませんでしたっ!」  九十度直角に頭を下げる、体が柔らかかったら逆さまになっている後の景色が見えていることだろう。  あずささんは既にレッスンへと出かけている。  そして俺は今、765プロの社長である高木順一郎氏の前で、解雇通知覚悟で頭を下げているというわけだ。  しかし、社長の言葉は俺の想像とは全く違っていた。 「まあまあ、誰にでも失敗はあるものだ、これから我が765プロで活躍してくれたまえ」  ああ、一生ついていきます社長。感謝の意思を伝えるためにフトモモの裏が痛くなるまで頭を下げた。 「そういえば、君はうちのアイドル達と顔合わせするのはまだだったね」 「あ、はい、あずささんとは繰る途中で会いましたけど」  突然変わった話題に困惑しつつ答える。  後々挨拶に回ろうと思っていたのだが、遅刻という大失態をしでかしたので、社長に謝りに行く前に会い...
  • 6スレ
    ミル姉さんのアイマス紹介 無題13 オフライン another year around メロディ 親友 Escape 聞いてマダオリーナ New Life 太陽女帝 レス109 アップローダ作品の為不明 Keeping 3rd Blood You re my destiny ハミングライフ 4人のシンデレラ 静かに貴き 無題202 無題204 メタルの帯風キャッチコピーを考えてみた 武田氏2.25 無題220 無題227 無題235 僕の、大切な君へ。 無題255 The First One 響と貴音のルームシェア 東豪寺麗華の世界:対峙 wasted 宵闇偶像草紙 たるき亭の小川さん ふくれづき 無題356 無題371 黒い鳥
  • 8スレ
    You Make Me Smile 無題8-12 すごいよ! わくわくさん! 金色のHEARTACHE メイプル・フレーバー 未来の足跡 open face love telepathy 女王と駒 シンデレラガールズの地元紹介新潟編 18歳のプレゼント What training? たてせん アイマス×ばりごく麺(ばりごく麺とのクロスオーバー) 無題8-124 無題8-125 秘湯 FIVE DOORS 無題8-143 無題8-145 無題8-149 When The Sun Meets The Sky Sometimes 無題8-166(ミリオンライブネタ) ふたりの食卓 Anytime Anywhere
  • 96P作品
    3 無題97 3 hot line 3 衷心 3 貴音の休日(fly with me to the moon) 3 無題310 4 無題108 4 ファイナル・ステージ 4 her definition 5 気づいてほしい 5 無題111 7 half and half 8 open face 8 What training? 8 秘湯 名前 コメント
  • 3スレ
    あなたと、ずっと、一緒に cicada 無題42 LIVE FOR ... 無題60 無題61 アップローダ作品の為不明 合戦時報 レス64、アップローダ作品の為不明 ある日の風景ABC placebo 青春ミンミキミキミキ 無題97 おひさま In severe rain. hot line ボクノメガミ前編 ボクノメガミ後編 衷心 もやしの運河 アップローダ作品の為不明 とりあえず何か食べよう 貴音の休日(fly with me to the moon) 月ノ歌 外出の旅情 アップローダ作品の為不明 勇気 おかえりただいま 無題310 subtle flavor 赤頭巾ちゃん改めバカリボンちゃん改めヘタレ狼ちひゃーちゃん a bad first morning 留守電 love liquid やよいの食事手帳 fai...
  • 無題36
     もうはっきりと陽射しは傾いたが、まだ夕暮れには早い。そんな時刻に、ときどき出会 える光景だった。蒸気は少なく、澄んだ空は深く透き通った独特の青みを見せ、ちぎれ雲 に反射する日の光がオレンジ色を帯びて何となく夕方の海を思わせる。  きれいだ、と雪歩は思った。車から降り、すぐに目が行った景色に、雪歩はしばし見と れていた。心底美しいと、――それ以外のことは忘れていた。 「きれいだなぁ」 「あっ、はい。……とっても、きれいです」  いつの間に三井が隣に来ていた。雪歩のプロデューサーである。雪歩は空を見上げるの を止めて三井の方を向いたが、それでも見上げることには変わりない。近くにいるときは 特にそうである。雪歩と同じように見とれた風のプロデューサーの横顔が見えた。  ――嬉しいな。  さきほどまでの感動はもう霞んでしまって、ひとつの共感を得た喜びが雪...
  • ◆G7K5eVJFx2氏作品
    6 無題371 6 黒い鳥 7 『僕は友達が少ない』 7 『口癖と微妙に違う』 7 『既視感』 7 『紳士』 7 『命題「愛は人を殺すか?」』 名前 コメント
  • 無題60
    千早「夏が終わったら、アメリカへ行こうと思います」 社長「――私は反対だ」 千早「っ……。何故、です?」 社長「IU予選のビデオを見たが、君はまだ響君に及ばない。     今、海外へ行くという。それは、“逃げ”じゃないのかね?」 千早「ッ――違います! 私はただ、自分の力を――」 社長「とりあえず君は、日本一のアイドルになりなさい」 千早「……!」  響 「千早はオーディションの時もライブの時も、おんなじだな」 千早「……?」  響 「千早は自分の能力を活かし切れてない。     歌も、アイドルとしての在り方、その選択肢の一つでしかない。     それがわからないうちは――千早には負ける気がしないぞ――」
  • 無題13
    ―――そうね、あれは私が小学校に入ってすぐだったかしら 夜中に目が覚めて、全然眠れなくなった時があったの なんで目が覚めたか?そんな事まで覚えてる訳無いじゃない、10年近く前の話よ? それはともかく、全然眠くならなかったから眠るのはあきらめて布団を出たの まあ、ちょっとした探検気分ね、今思えば何かが変わる訳でも無いけど あの時の私には夜中の家はお化け屋敷みたいに思ってた……と思うわ。 ……想像したら震えて来た?あなた、お化けが苦手って言っても限度があるでしょう? 落ち着いた? それじゃあ、続きだけど……まあ、そんな訳で夜中の家を探検してたんだけど 誰もいない家がだんだん怖くなってきたの、ママもパパも別の部屋で寝てたから 何笑ってるのよ……ママをママと呼んだら悪い? 確かに意外って言われるけど、あなたに笑われるのは気に入らないわね ...
  • 無題16
     第一回IU優勝のタイトルを手に単身渡米して三年、撤退と言われない程度の結果を残し 成人式を日本で迎える為帰国した千早を待っていたのはかつてのパートナーは既に事務所 を退職しているという事実だった。  事務所に彼の退職の理由を尋ねてみても「一身上の都合」以上の返答は得られず、彼の 元の住まいは既に引き払われたあと。これではもうひとつの帰国の目的が果たせない。 (私はきっちり三年で結果を見せた。あなたの心配が杞憂であったことを証明して見せた。 なのにあなたはいったい何をしているのですか?プロデューサー…)  そう、今の千早には日本の成人式に参加するという世間様向けの目的の他にもうひとつ 目的があった。それは三年前のパートナーに自身の間違いを認めさせ、彼を伴い再び渡米 すること。  今の自分ならアメリカでの活動基盤もあるし、日常会話程度の英語...
  • みなとP ◆bwwrQCbtp作品
    1 春香が家にやってきた 1 ある歌手とアイドル 1 春香が家にやってきた:番外編 2 無題(99) 2 夢見る少女 2 芸能界鬼退治譚 2 Brand New Fairy 3 鬼退治:CERO C 3 a bad first morning 4 one night before 4 春香エンジェル 4 three months later 6 another year around 名前 コメント
  • 無題90
     ある日の午後、プロデューサーは律子が普段と違う様子なのに気づいた。 「律子、コンタクトに変えたのか?」 「え?いいえ、ちょっと目薬をさすので外してただけですけど」  律子はそう言うと、そばに置いてあったいつものメガネをかけた。 「そうか…」 「なに残念そうにしてるんですか。前に『律子のチャームポイントは、やっぱりそのメガネだよな』 とか言ってませんでした?」 「あー、そうだっけ?」プロデューサーは覚えてないなあ、というように頭をかいた。 「そうですよ!だからこっちだって、コンタクトじゃなくてずっとメガネを…じゃなくて、そうじゃなくて!」 「なにそんなにうろたえてるんだよ」 「うろたえてなんかいません!私はいつでも沈着冷静です!」律子はどう見てもそうとは思えない様子で叫んだが、 急にいぶかるような目つきでプロデューサーをにらんだ。 「ひょっと...
  • 無題42
     昨晩から今朝に掛けて一気に展開した引っ越し作業も昼に差し掛かる頃には一段落を迎え、 午後になっていつでもおはようなギョーカイ挨拶と共にアイドルたちが事務所に出てくる頃までには、 ほぼ新事務所も仕事に支障がないほどには片付いた。  この事務所を手配するに至った原動力たる伊織は、だいたいIU優勝した段階でなんでまだあのビルいたのよ、 移転先がマンションってのもショッパイ話ね、なんぞとぶーたれてはいたものの、だいぶ環境がよくなったので ああ見えて結構機嫌もよいようだった。  確かにあの雑居ビルは、ボロで手狭だった。その上で貴音たちが新たに入ってきてさらに余裕が なくなったことを考えると移転も必然なわけだが、それでも狭い分だけ人の温かみというか、 身を寄せ合って過ごすような良さはあったよなあ、なんぞとも思ってしまう。  そんな自分の思い入れを言って...
  • 無題97
    「また泊まったんですか?」 「え、ええ」彼はばつが悪そうに、音無小鳥の質問に答えた。クリーニングから帰っ てきたばかりで、ぴしっと折り目のついたスラックスを穿き、糊の効いたワイシャツ を無頓着に腕まくりして着ている姿は、いつもの彼そのものだった。起きたばかりと はいえ、靴下をはかずに素足にスリッパというのが、ずぼらな彼らしくもあった。  だが、バイタリティ溢れるその見かけとはうらはらに、どこか青年らしさを欠いた 疲労の色があるのを小鳥は感じていた。無理もない。アイドルを数人抱えているにも かかわらず、この会社には彼しかプロデューサーがいないのだ。若いエネルギーに だって限界はある。 「会社は宿泊所じゃありませんよ。ちゃんとご自分の部屋へ帰って、きちんと睡眠を とってください。日中だって、それほど休憩時間があるわけじゃないでしょう。そん なことをし...
  • 無題227
    人生においてどうしても忘れられない体験を挙げろと言われれば 伊織にとってのそれは初めて765プロを訪れた日であろうか 父親の紹介で来たプロダクションであったが 最初はその建物自体のボロさに若干引きつつ 事務員らしき女性に案内され面接の為にとある部屋の前で待っていた時だ 手持ち無沙汰にウサギの人形を弄びつつこの間行ったばかりのイギリスで見た橋を思いだし その鼻歌を歌っていた時のこと 「London Bridge is falling down,  Falling down, Falling down. London Bridge is falling down, My fair lady…. 」 突然綺麗な発音で歌が聞こえてきたので 伊織は心臓が飛び出るかと思った 横を見ると黒いロングコートを羽織った男が一人隣に立っていた 男は伊織の驚...
  • 無題310
    「ら、らぶれたー!」  雪歩は思わず叫んでしまった。学校の中とはいえ、土曜日の放課後ともなれば、もう 昇降口にもあまり人影はなかったが、下校中の何人かが、何だろうと雪歩の方を見ていた。 視線に気づいた雪歩はハッとし、あわてて靴を履きかえると、平静を装って校舎を出て行った。  学校を少し出たところで街路樹が見えてくると、雪歩は早足になり、一番大きな樹の陰に ぴったり貼り付いた。あたりに知っている人がいないのを確認し、ゲタ箱に入っていた 一通の手紙をカバンから取り出すと、震える手で開けてみた。 「萩原雪歩様」で始まるその手紙は、まさしくラブレターに違いなかった。相手は知らない 同学年の男の子だった。「好き」という字が何度も書かれているのを見て、雪歩はどうにも 落ち着かなくなった。 「好きだなんて言われたの、は、初めて……あれ?……初めてだよね、私」 ...
  • 無題202
     パチ、パチ  ある日の午後、天気は晴れ、いや、快晴か。雲一つない空模様で、澄み切った青が 頭上を覆い尽くしている。陽射しが燦々と射すが、それは汗を流すほどではなく、た だ仄かな温かみをもたらすだけである。  パチ、パチ  俺はそんな昼下がりの陽だまりの中、たまたま社長室で、社長と将棋をしている。  パチ、パチ  「ま、待った!」  「…またですか?」  ちなみに、もう10戦目。お昼前から始めて、すでに社長の待ったの声も、飽きる ほど聞いている。  「なぜ、手加減してくれないんだね?」  「これ以上したら、俺が確実に負けますから」  最初は平打ちだったのだが、徐々に駒を少なくしていき、今では金銀と歩以外の駒 を落としている状態だ。だが、  「それでも、君は強いではないか」  「そんなことないですよ」  今の俺の手持ちに飛車...
  • 無題204
    P「ふむ…まさかサ〇ーからでるとはな…」 春香「Pさん何みてるんですか?パチンコ情報サイト?Pさんパチンコするんですか?」 P「うんにゃ。おれはもっぱらスロットだよ。でだな春香これを見たまへ」 春香「え~と・・・『アイドルマスタースロット化!!』。へ~アニメ化の次はスロットなんですね~」 P「おいおい春香よ。そんな呑気なことでは困るぞ?」 春香「え?なんでですか?」 P「いいか春香よ。スロット打っててもな、バケとかハズレでも、演出で可愛い女の子が出れば許せるもんだ。  例えばバイ〇ハザードのレベッカとかエ〇レカセブンのアネモネとかな。(ただしアスカてめーはダメだ)」 春香「はぁ…」 P「だがな春香よ…考えてもみろ。仮に春香が絡む演出の当選期待度が全部10%以下とかだったら…」 春香「だったら…?」 P「間違いなく春香は液晶に出てきただけで舌打ちさ...
  • 無題356
    765プロに関わる人間は皆大抵知っているが 765プロは非常に貧乏である そのため所属しているプロデューサー達は 一日の内その殆どを本業とは別の仕事をして過ごしている事が多い その日、とある用事で別のプロダクションを訪れていた二人のPを待ち受けていたのは ある意味拷問とも呼べる仕打ちであった  と言っても、別に弱小であることを理由に苛められたとかいうわけではない まず立派な建物 入口の自動ドア 笑顔で迎えてくれる受付嬢 広いエントランス 当然エレベーターも完備 事務室だけでビルの一階を丸々使い 最新のパソコンが一人一台用意されたデスク ピカピカの機材 おまけに福利厚生も充実 ○○P「違う…うちとは何もかもが違いすぎる…」 △△P「急いでここを出た方がいいな…これ以上ここにいたら765プロでやっていけなくな...
  • 無題371
    朝、広告用の写真を撮るためにスタジオへと向かえば、美希が既に来ていた。 眠そうな目で、やる気はなさそうだが、時計を見れば私が指示された十五分前。やっと美希にも自覚が出てきたのだろうか。 十五分、私からすれば気合いを入れ仕事モードに入るには十分だ。 「悪い、千早。かなり待たせる事になる」 訳が分からず戸惑う私への説明を保留し、美希を隣の部屋へ押し込む。 慌ただしく指示を出すプロデューサーにわざわざ声をかけるのもはばかれ、開いている椅子に腰かけ楽譜に目を通し、フレーズを口ずさむ。 relations、美希の持ち歌で新しく組むことになったトリオで歌う予定の曲でもある。 良い歌詞だと思うし、精一杯表現したい。それこそ美希に負けないように。 やっと落ち着いたのかプロデューサーが説明に来る。 聞けば今回の撮影は和風がコンセプトらしく、衣装もそれに合わせたらしい。 ...
  • 無題255
    「お酒ってホントにおいしんですか?」 「ん~…どうだろうね?ただ…」 「ただ?」 「酒を飲む人間には主に3種類あってね」 そこで彼は一呼吸入れるように新しい氷をグラスに入れ 律子には読めない字で書かれたビンの中の液体を注ぐ 「一つは単純に味を楽しみたい人、一つは所謂“飲まなきゃやってられない”人…、そしてもう一つのタイプが厄介でね」 「と、言うと?」 「“隠す人”かな」 「隠す?」 「そう普段は勿論、酒の席でも本音と建前をアルコールに溶かしこんで喋るから本心が殆ど見えない」 「はあ…プロデューサーなんてその典型って気がしますけど」 「おいおい765プロで俺ほど裏表が無い人間も珍しいんだぜ?」 そんな会話を何とはなしに思いだしていた 某ホテルの最上階の雰囲気の良いバー 今日も今日とて夜景を肴に濃い酒を煽る 「そりゃあ人に聞かれ...
  • レシP ◆KSbwPZKdBcln作品
    ※編集テスト中※ 作者保管庫 a la c@rte ~アラカルト~ 投稿 タイトル 出演 企画 注意事項 1 125 20081126 くのいち雪歩・忍び穴 萩原雪歩 水瀬伊織菊地真 1 256 20090206 秋月政談 秋月律子双海亜美 双海真美 1 431 20090411 天海の岩戸 天海春香 音無小鳥 1 486 20090421 Home Place 我那覇響 1 556 20090508 ある夜の居酒屋 プロデューサー 2 059 20090512 ペアカップ 音無小鳥 2 087 20090516 ばんそこ 天海春香 風船祭り 2 090 20090516 無題(90) 菊地真 風船祭り 2 154 20090524 浮くもの、飛ぶもの 我那覇響 風船祭り 2 167 20090526 風船とハイタッチ 高槻やよい 風...
  • 4スレ
    ある夜の事務所 one night before 無題16 partiality 美希曜日よりの使者 私の声が聞こえますか 昇華する讃美歌 TENGAさん万能説 とあるダメダメプロデューサーのおはなし Merry Christmas 武田の歌姫調査 季節外れの馬鹿話/OBON! favorite 七草十草 日高愛は中二病 ちーちゃん アイマス小噺 きみはともだち ファイナル・ステージ 春香エンジェル 花は降り降り 霞のかかった夢の中で ある夜の帰り道 世界はキラキラ 小噺323 her definition 保守小噺366 three months later オフリミット~猛犬に立ち向かう メルヘンメイズ やよいの大冒険 プロローグ 第1話 おかしの国  ~やよいと不思議なシャボン玉~ 第2話 きかいの国  ~スーパー...
  • 無題220
    「お疲れのようで…」 その男はいつもの様に廊下の片隅に立っていた  いつもなら気にしないという訳ではないが、今日は特にこの男の顔を見たくなかったので 普段はエレベーターで降りる所をわざわざ階段で下りようと思ったらこれだ そのまるで… 「『そのまるで“何もかもお見通し”という雰囲気が気に入らないのです、この下郎』と?」 男は煙草の箱に手を掛けながら薄ら笑いを浮かべて言う 「おっと、銀の女王様は煙草はお嫌いだったかね」 貴音「その呼び方はお止めなさい。大体貴方は人に“様”を付けて呼ぶような人ではありませんでしょう    そういうことは人を少しでも敬える方がすることです。」 貴音はこの男の名前さえ知らない、知らされていないし、知ろうとも思わないが 分かっていることは黒井プロと何らかの契約を結んでいるということ そ...
  • 無題235
    アイドル事務所の仕事はアイドル達に関するものだけではない 故に、所属アイドルが休みであろうともPや事務員の仕事は続く 小鳥「…熱いわね~」 P「今春香達は楽しい夏休みを送ってるんでしょうね…」 小鳥「ほんとにね~」 P「まあ休日出勤は良いんですけどよ。けど問題は…」 そういってPが見上げた上には P「ウンともスンとも言わないクーラー」 小鳥「そろそろ危ないとは思ってたんですけどね~」 P「社長がお金ケチって修理に出さないからかえって出費がかさむんですよね」 社長「ケチとはなんだね、ケチとは。清貧と言いたまえ、清貧と」 小鳥「ああ、そう言えば社長、コピー室のコピー機が壊れまして…    業者のヒトに見てもらったら、もう寿命だから新しいの買うようにって    込み込みで130万円だそうです」 社長「パソコンにつてるプリ...
  • 無題(99)
    「あら、どうしたのかしら。あの男の子は・・・」 千早が言う方を見てみたところ、5歳くらいの男の子が、大声で泣いていた。 「あ、あの風船は!」 男の子の指差す先、青い風船が空に向かって上がって行く。 「先ほどのイベントで、私が手渡した物でしょうか。」 「そうみたいだな。」 イベントの最後に、握手会をやった際、小さな子供には千早のサイン入りの風船を渡した。 どうやら、その風船を誤って手放してしまったようだ。 「喜んでもらおうと思ってやった事なのに、それが子供に悲しみを与える事になるなんて・・・。」 「ああ・・・皮肉なもんだ。」 「プロデューサー、風船は、もう余ってないんでしょうか?」 「全て配っちゃったからなあ。残念だけど。」 「そうですか・・・」 千早はわずかに逡巡した後、子供の方に駆け寄って行った。 俺は黙って後を追うこと...
  • 無題(90)
    「あ、プロデューサー、あそこ見てください。男の子」 「どうしたんだろう、あんなに泣いて」 「ねえきみ、どうしたの?・・・え、上?・・・あ、木に」 「風船がひっかかって。さっきの握手会のか」 「あ、ボク憶えてる。一番前で応援してくれてた子だよね?どうもありがとう」 「風船離しちゃったのかあ。ごめんな、風船はもうないんだよ」 「プロデューサーちょっと待ってください。たぶんあれ、取れると思います」 「取れるって?え、真、お前まさか登っ・・・こっこら、やめっ、あぶっ」 「へっへー、大丈夫ですっ!んしょ、よしょ、っと・・・よし、取れた!おーい、取れ――」 ミシッ・・・バキッ・・・バキバキバキッ 「――わああーっ!?」 「真ーッ!」 ガシィッ 「・・・あ、れ・・・無事・・・?」 「むきゅう」 「うわーっ!ぷ、...
  • 無題8-12
    とある雑居ビルの2階にある芸能事務所の1室。 普段は少女達の声で賑わうこの空間だが、今はまだ朝も早くアイドル達の姿は見当たらない。 そんな中、皆よりも先に出社して準備を行う女性の姿があった。 彼女の名は千川ちひろ。この事務所のお手伝いである。 1通りの準備を終えてお茶で休息を入れながら、アイドル、あるいはプロデューサー達の到着を待つ。 そうして聞こえてきた足音に耳を傾ける。 柔らかく、ゆっくりとした静かな足音。 その音とスケジュールを照らし合わせて来ようとしている人物の見等をつける。 (多分美穂ちゃんね) その予想通り、入り口のドアを開けて所属アイドルの一人である小日向美穂が顔を出した。 「おはようございますちひろさん」 「おはよう。美穂ちゃん」 そう挨拶を交わしたところで美穂の姿にどこか違和感を覚える。 服装に変わった...
  • 無題8-143
    神谷奈緒は困っていた。 非常に困っていた。 今現在自身の置かれた状況から抜け出す術が思い浮かばず、散々悩んだ末に結局、隣の部屋に居るはずの友人に助けを求めるべく手元の携帯でメールを送ることにした。 「おりょ、奈緒からメールだ」 「加蓮にも来たの?」 「ってことは凛にも?」 はて、と二人は顔を見合わせる。 共通の友人である神谷奈緒が怪しげな足取りで隣の仮眠室に入っていったのがつい先ほど。 そんなに眠いのならさっさと家に帰ってから寝たらいいのにと言ってみたところ、返ってきた返答は、 「少し仮眠取らないと絶対電車の中で寝過ごすから」 であった。 この後は特に予定も無く、先に帰っても良かったのだが誰も居ない中一人で帰るのは寂しかろうと二人時間をつぶしている最中の事。 さて何事かと携帯を開いてみれば文面にはシンプルな「たすけて」の4文字のみ...
  • 無題8-124
    水の底から水面に浮かび上がってくるように、ゆっくりとした早さで意識が覚醒していく。 自分を、渋谷凛を思い出す。 飼い犬のハナコがエサを催促しようと吠える声も聞こえないし、シーツの肌触りも、枕の固さも、布団の重さもいつも感じている物とは違うことに気づいてようやく自分の居る場所が事務所の仮眠室であることを思い出す。 最近アイドルとしての活動は順調で仕事が増えてきたのは良い事だけど事務所の方針で成績上位とは言わないまでも勉強もある程度はこなすように言われていて、 仕事が増えた分学校にいられる時間は減ってきて、その分の遅れもどこかで取り戻さなければいけないわけで、 つまりは最近少しばかり寝不足気味だった。 バレンタインのイベントを終えて事務所に戻ってきたのがつい先程。時間を確認すると少し中途半端に時間が空いていて、 いつもなら近くまで買い物にでも出かけてみよ...
  • 無題8-145
    ピピピピッ。 聞き慣れた電子音と共に取り出した体温計の表示は37.5度。 幾らか症状は治まってきたとはいえまだまだ立派に風邪の真っ最中だった。 (最近は調子よかったから油断してたなぁ……) 実際に数字として見てしまうと体調も幾分悪化したような気がしてしまい、見慣れた天井を見上げてため息をつく。 昨日からずっと横になっていたので眠気もすっかり無くなっていたが、かといって何が出来るわけでもなく結局おとなしくしているしかないと観念して再度の眠りについた。 何度目かの緩い覚醒。 ふと、視線を感じて首だけを動かしその方へ向ける。 プロデューサーが椅子に座ってこちらを見ていた。 「……変態」 「酷い言いぐさだ」 「女の子の寝顔をずっと見てるなんて変態以外の何者でもないじゃない」 来てくれた事は嬉しいと思うけれどこれぐらいの憎まれ口は許して欲し...
  • 無題8-125
    比較的浅い眠りから木場真奈美は目覚めた。 ソファに座ったまま知らずのうちに眠っていたらしい。 目を開けず、とりあえず体に異常が無いことを確認する。 膝の上に重さを感じる。 その時点になってようやく目を開けその正体を確認する。 一人の男が自分の膝を枕にして眠りこけていた。 というか自分の担当プロデューサーなのだが。 並んで座っていたのが覚えている最後の記憶だったから、恐らくはもたれ掛かって眠っていた所でさらに膝の上に倒れ込んできたものと考えられた。 それだけの衝撃でお互いによく目を覚まさなかったものだと妙な所で感心する。 起きる気配のない無防備な姿に少々呆れもするが、大体のところは仕方ないかという感想だった。 体力に自信のある木場でさえうたた寝をする程度には疲れていたのだ。見るからに線の細いこのプロデューサーがこうなってしまうのも無理は無い...
  • 無題(287)
    俺は焦っていた。  大学4年の秋、内定が貰えないまま、就職浪人になりそうだった時でも、ココまで焦っていなかっただろう。  その時のダメ元で受けた零細(って言うとマズイかもしれないが)芸能事務所が内定出してくれなければ、 恐らく視界の隅に映るハロワに並んでいるような就職浪人組になっていただろう。  そう、これから向かう765(なむこ、と読むらしい)プロダクションには人生の完全敗者になる寸前で拾ってもらった恩があるのだ。  だからこそ、入社当日に遅刻という大失態は避けなくてはならないのだが…… 「ああああああああああああ、この目覚ましがああああああああああ!!!」  朝礼開始が午前8時、で、今の時間は8時10分前。全力で走れば何とか間に合うだろうが、初出社がギリギリの新入社員、他の社員からの心象は最悪だろう。  下手すると出社と同時に社長から 『おお、君か、...
  • 無題8-149
     この冬一番の寒波が街を襲っていた。早足で暖の取れる家へと急ぐ人々と心持ち重い足取りで寒さに耐えながら歩を進める人々に分かたれた雑沓というにはまばらな人影、その後者の中に二人のアイドルの姿があった。 ずびっ 「ちょっと涼、さっきから鼻、大丈夫?」 「熱はなかったし、駅まで我慢すれば大丈夫だよ」  その内の一人、桜井夢子は隣に居るもう一人、秋月涼に心配半分呆れ半分の表情を向けている。 「何が“大丈夫”よ、まだ鼻水出てるわよ。ほら……はい、全く世話焼けるんだから。」  取り出したティッシュで涼の鼻先に残っていた分を拭き取ると、窘めるように言った。 「こんな所撮られてごらんなさい、鼻水垂らしたトップアイドルなんてファンが見たら嘆くわよ」 「ははは……うん、ありがとね。」  そんな事より、それを夢子ちゃんに拭いて貰ってた事の方が問題じゃないかなと考えながら礼を返...
  • 無題8-166
    「最上静香……そう名乗ったのか、遊びやがって」 「遊ぶ?」 「二重の言葉遊びだ……いや、三重かな」 「言葉遊び……偽名を使っているっていうことですか?」 「芸能人だ、芸名ってことにしてやろう。最上……モガミは『喪神』だ」 「喪神?ああ、付喪神とかって言いますよね」 「ツクモの別字を知ってるか?同じ読みで、違う当て字を使うことだ」 「有名なのは九十九ですよね、って!そのツクモは」 「そう。付喪神とは『九十九神』だよ。修羅の道を歩いて神を破り、その拳の最強を証明しようとした、 あの男の名だ」 「まさか……いや、まさか、あんな女の子が」 「三重の言葉遊びと言ったろう。奴の系譜をたどった者が行き当たる女性の一人に、その名がある。 そうでなきゃ、俺だって偶然で済ませてた」 「静香……まさか……静御前……ですか?」 「静御前は舞の名手だったそうだ...
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