放射能による甲状腺がん・甲状腺調査について [index]
2014-03-30 update
国連科学委が甲状腺被ばく健康影響ない
2014年3月「他県と福島の甲状腺がん発生頻度が同程度」
2014.3.28現在の最新情報
↓2014-03-30追加
福島県以外の地域(青森、山梨、長崎)において、18歳以下の者を対象に甲状腺超音波検査を行った結果、56.5%の割合でA2判定の者が認められました。また、"5.1mm以上の結節又は20.1mm以上ののう胞が認められた者及びA2判定の内容であっても甲状腺の状態等から精密検査を要すると判断された者"(以下「B判定」という。)は福島県民健康管理調査では、約0.7%に認められましたが、三県調査では、約1.0%(44名)に認められました。
環境省が行った青森、山梨、長崎県で甲状腺検査を受けた4365人のうち精密検査で1人が甲状腺がんと診断された。
これによりわかったこと。
1)福島県以外でも(スクリーニングを行えば)数千人に一人程度の割合で見つかる
2)福島の甲状腺がんの増加は「スクリーニングによる見かけ上の増加」してしまう。
(=徹底的に調べたことによって原発事故の影響とは関係ないものが見つかってしまう)
すでにこのような「見かけ上の増加」が起こりうることは、韓国や米国の調査等でわかっている。
甲状腺がん、福島は他県並み 環境省の比較調査
環境省は28日、東京電力福島第1原発事故による福島県の子どもの健康影響を調べるため、比較対象として青森、山梨、長崎の3県の子どもの甲状腺がんの頻度を調べた結果を発表した。「対象者数が違うので単純比較はできないが、福島と発生頻度が同程度だった」としている。
環境省は2012年11月~13年3月、青森県弘前市、甲府市、長崎市の3~18歳の計4365人を対象に、甲状腺の結節(しこり)などの有無を調査。福島と同様の56・5%に当たる2468人に5ミリ以下のしこりなどが見つかったほか、44人に5・1ミリ以上のしこりなどが見つかり、2次検査が必要と診断されていた。
2014/03/28 20:24 【共同通信】
「福島の子供たちはそんなに心配しなくていい」という理由
チェルノブイリの小児甲状腺がんの原因は放射性ヨウ素が入った牛乳等が原因だとされています。福島ではチェルノブイリの教訓を活かし、小児甲状腺ガンの原因になる放射性ヨウ素から子供達を守ったと言えます。(セシウムについても同様だがそれは別のページで)
国は事故直後牛乳の流通停止をしたので牛乳や乳製品による放射性ヨウ素の被曝は心配しなくて良いということです。さらに吸入についても「ほぼ心配がないだろう」というレベルの被ばくに抑えることができました。チェルノブイリ事故に比べれば数十分の一から数百分の一という被曝量と予想されています。(詳しくは後述)。
2013年3月に発表された他県の甲状腺調査との比較は、放射性ヨウ素への対策が間違っていないことを示しています。もちろん要観察ですが「そんなに心配しなくていい」し、チェルノブイリのように甲状腺ガンが増えることはまず考えられません。(他県の子供達の調査との比較に続く)
福島で甲状腺がんは増えたの?
※この項目は後で別ページにまとめる予定
福島の甲状腺検査でガンなどの異常が多発している」という情報を発信している方がいます。
これは専門用語でいうと「スクリーニング効果」によるものです。
韓国の甲状腺癌罹患率が、ガン保険と検診のセットで上がった
甲状腺癌は実はその気になって探せばすごく多い
米国における甲状腺がんの発症率は過去35年間で3倍に
甲状腺微小乳頭がんの検出例増加が主な原因
米・Veterans Affairs Medical CenterのLouise Davies氏らは,米国における甲状腺がんの発症率は1975年から2009年にかけて3倍に上昇したが,死亡率に変化はないことから,その原因は疾患の増加ではなく,甲状腺微小乳頭がんの検出例が増加したことによるもので,いわば“診断エピデミック”の状態にあると JAMA Otolaryngol Head Neck Surg(2014年2月20日オンライン版)に報告した。
他県と変わらない福島の子供たちの甲状腺( 2013.3.8
放射性ヨウ素:甲状腺に影響を与えるのは、半減期8日の放射性ヨウ素
チェルノブイリの原発事故で増えたガンは甲状腺がん。これの原因になったのは事故直後に乳製品から摂取した放射性ヨウ素です。セシウムではありません。その量については、福島は対策を行ったのでチェルノブイリ事故の際数十分の一から数百分の一だと分かっています。(詳しくは後述)
現時点で放射性ヨウ素は心配しなくていい。
※放射性ヨウ素の半減期は8日。放射性ヨウ素の放出は事故直後のみ。そのため2ヶ月以上経過した現在の放射性ヨウ素についての被曝は(再度、事故などで放出されない限り)気にする必要はありません。
関連「瓦礫焼却で甲状腺への影響が全国に広がった」というのは誤解・デマ
放射性ヨウ素の半減期が8日なので福島であっても水素爆発から二ヶ月後にはほとんどゼロになっています。つまり放射性ヨウ素は事故直後しか体に取り込む可能性はありません。(原発からの放出も事故直後のみ)
放射性ヨウ素への対策→甲状腺はチェルノブイリと福島を比較するレベルでない
甲状腺について、多くの専門家から「福島でチェルノブイリのような甲状腺がんが増えることはありえない」という分析が出ています。まず、これについての概要を説明します。その後、専門家の様々な意見を列挙することにします。
チェルノブイリの小児甲状腺がんは大量の甲状腺被曝 数Svの場合
チェルノブイリ事故での一般住民の直接の健康被害で確認されているのは小児甲状腺がんの増加のみ。多くの小児が放射性ヨウ素によって【10Sv(=1万mSv)】甲状腺に被曝。事故直後に対策がされないまま数千ベクレル/kg以上の牛乳や乳製品を住民が摂取してしまったことが原因。このため小児甲状腺がんが増加。
※チェルノブイリではmSvではなくSvという単位で被曝しました。福島県の浪江町・飯館村などでは、最大で30mSv程度だと推定されています。詳しくは後述。
福島では甲状腺への被曝対策(摂取)はとられた
事故直後チェルノブイリの教訓を活かし牛乳などは出荷停止され、さらに厳しい検査をしてほとんど放射性ヨウ素が検出されることがなかった。なので放射性ヨウ素の内部被曝は心配しなくても良いと考えられる。
関連:
日本での牛乳に関する対策
福島県の甲状腺についての各調査、推定など
※いずれも甲状腺の【等価線量】なので注意。実効線量ではありません。甲状腺への影響のみを示すもの。
資料PDF 女子高校生における甲状腺検診の意義
福島の甲状腺等価線量はチェルノブイリとは桁が違う
福島県県民健康管理調査における甲状腺超音波検査について
甲状腺被ばく30ミリシーベルト以下 原発事故時周辺の1歳児、放医研推計 2013年1月30日
東京電力福島第一原発事故直後に飛散した放射性ヨウ素による1歳児の甲状腺被ばく量(等価線量)は30ミリシーベルト以下がほとんどだったとする推計結果を放射線医学総合研究所(千葉市)の研究チームがまとめ、東京で27日に開かれた国際シンポジウムで発表した。国際原子力機関(IAEA)が甲状腺被ばくを防ぐため安定ヨウ素剤を飲む目安としている50ミリシーベルトを下回った。
甲状腺リスクを考える
福島で「チェルノブイリで起こった甲状腺がんの増加」が起こらないと推測できる理由
- チェルノブイリで甲状腺がんが増えたのは放射性ヨウ素を大量に含んだ牛乳などが原因 日本の場合は出荷停止などの措置ができた
チェルノブイリで分かった甲状腺ガン発症リスクと比べてみる
チェルノブイリでの解析結果:甲状腺等価線量が1000mSvで甲状腺ガン発症リスクが年間、1万に2人か3人上乗せということがわかっています。
では福島とチェルノブイリを比較してみよう。
福島の飯館や浪江町では、甲状腺等価線量 最大で30mSv程度。(平均、中央値はさらに低い)年間0.02または0.03%の甲状腺ガン発症を上乗せするとされている等価線量1Sv(=1000mSv)に比べればかなり低い数値になっています。多くの子供は【100分の1にも満たない】被曝量と推測できるでしょう。最大で30mSv程度)
そしてチェルノブイリでは未就学児童11912人のうち45%が1000mSv超とされている。5000mSvも約5%弱。
チェルノブイリ事故の解析結果に依れば、甲状腺が1Svの被ばくを受けた場合(つまり、甲状腺等価線量が1Svの場合)、甲状腺ガン発症のリスクが、年間、1 万人あたり 2ないし3 名上乗せされるとなっています。(文献;P. Jacob et al., Thyroid cancer risk to children calculated、Nature 392, 31 (1998)。)
他県との比較
東京での甲状腺検査3千人「福島の子どもの嚢胞は放射線の影響とは考えにくい」
Togetter:神戸での小児甲状腺コントロール調査について
医師が「甲状腺ガンのリスク」が説明
※タイトルが長かったので変更させていただきました。
学会などの見解
放射性ヨウ素による甲状腺癌の増加について 日本核医学会 2011.3.18
チェルノブイリでの事故後に東欧諸国で小児を中心とした甲状腺癌の増加が見られましたが、その主な原因はミルク等に含まれていた放射性ヨウ素による体内からの被ばく(内部被ばく)であったことが分かっています。
11年9月18日現在まで、
原乳の段階から放射性ヨウ素および、セシウムの数値は、ほぼND(不検出レベル)となっています。
リンク
また、日本では、リスクがさらに低くなります。
食物中、土壌中のヨウ素量の多い日本では、通常の食生活を行うことで十分にヨウ素を摂取できており、自然と甲状腺は安定ヨウ素で満たされています。ごく少量の放射性ヨウ素が簡単に健康に影響するほど吸収されることはありません。
福島甲状腺調査について参考になるブログ
関連資料・その他
小児甲状腺被ばく調査の現場からの声
2011 年 3 月の小児甲状腺被ばく調査について
六甲の甲状腺検査について
原状で放射性ヨウ素の放出はない。
放射性ヨウ素の半減期(半分に減るまでの期間)は8日であるために、二か月ほどでほとんど無くなってしまいます。そして福島などの空間線量の推移は、【放射性ヨウ素が崩壊し減少していく様子】と相似しているので、放射性ヨウ素は原発事故直後に放出されたのみ、つまり、新たな放射性物質の有意な放出はないと推測されます。
※放出されていたとしても有意(意味がある)ということではない。
新たに爆発などで放出がないかぎり、事故から二ヶ月以上経過した現在においては、甲状腺に影響する放射性ヨウ素の被ばくの心配はないと考えられます。セシウムは特に全身の筋肉などに分散しますので、甲状腺に特に溜まることはなく甲状腺がんにかかる恐れもありません。今後、この事故由来による甲状腺がんが増えるかどうかは、事故直後の放射性ヨウ素をどれだけ被ばくしたかということになります。
福島の甲状腺検査結果で騒いでる人たち
セシウムは甲状腺に集積して、甲状腺癌を引き起こすのか?
子供が甲状腺癌になるのではないか。という不安を持つ方が少なからずいますが、検証された方がいるので、ぜひ読んでみてください。
(以下、冒頭部分から引用)
結論から書くと、ある程度は集積するかもしれないが、極端に集積する訳ではない。ただし、小児甲状腺癌は引き起こさない。
なんだか歯切れが悪い結論ですが、この甲状腺や、内分泌器官に集積すると主張しているのは、私の知っている限り、バンダジェフスキーの論文しかなく、この論文は首尾一貫したデータを出しているとは言い難いからです。私がそう考える理由を説明します。
事故直後の甲状腺スクリーニング検査
2011 年 3 月 川俣町、飯館村、いわき市の子供の甲状腺スクリーニング検査。「異常なし」