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ハウス・オブ・ウルヴズ - (2018/09/01 (土) 15:55:09) の編集履歴(バックアップ)


【名称】「ハウス・オブ・ウルヴズ」

【略称】「ハウス」「HoW(ハウ)」

【目的】

「裏社会は表の社会なくして成り立たず、裏社会は存続する為に表社会との均衡を保つべきである」という理念を持つ。
社会よりドロップアウトした者たちの生存権を訴え、法律だけでは解決できない問題を終結させ、表を荒らす裏社会の勢力に対する抑止力となる。

【HoWの掟】

+ 「俺達に加担するならまずこれを読め。ニュービー」
狼は群れを守る
ハウスの一員として、仲間を尊重し、仲間を守る事を常に誓え。
仲間を重んじることの出来ない者はハウスに必要ない。
狼は規律を守る
ハウスは『アルファ』によって統率されるが、アルファと狼の立場は対等である。
群れの統率を守るのは個々の狼達の規律と、心構えによるものである。
狼は社会を重んじる
社会はハウスが根付く根幹であり、蔑ろにしてはならない。
ハウスは社会から利益を得る見返りとして、行動に社会的責任を負う。
狼は始末をつける
狼は得物を綺麗に始末する。死体は放置せず、殺しの報告は必ずアルファを通す事。
たとえ敵であろうと弔い、死の聖女の名の下に、我々は死を重んじる必要がある。
狼の穴に入った者は生きて帰すな
密偵は最大の敵である。不穏の気配は直ぐにアルファへ知らせろ。
審議の後、アルファが直々に密偵を裁く。

【構成するアイデンティティ】

HoWの理念に賛同する者であれば、人種・性別・国籍を問わない。
各組織を排他する意志はなく、理念に反しなければ共存を選ぶ。
また、HoWと他組織の掛け持ちも可能である。

【構成人数】

現在 23人
裏社会に根ざす者たちを中心に少数精鋭の組織として展開されている。
ヤクザや警察など、本来相反する者たちであっても、ハウスの中では仲間となる。

【主要なメンバー】

アルファ(群れのボス)

狼(構成員)

キツネ(外部の協力者)

+ ...


【歴史】

+ ハウス・オブ・ウルヴズの滅亡
ハウス・オブ・ウルヴズは元々デステロが17歳の時に立ち上げた麻薬カルテルであった。

初めは弱小カルテルも良い所で、奇抜なヘアスタイルと刺青で全身を飾っていても、彼の若さが仇となっていた。
そこで彼は組織をより大きなものとする為、極めて短絡的かつ効果的な策、つまり暴力に訴える事で組織を叩き上げた。
メキシコで暴虐の限りを尽くした彼は瞬く間に名を上げ、凄まじい影響力を獲得した。暴力に依る支配である。
次に彼の愛人であった白い髪を持つ女性を「サンタ・ブランカ(白き聖女)」と呼び、組織のアイコンへと仕立て上げた。

暴力的支配と思想的支配。さらに富豪から奪い、麻薬で得た資金を用いて、自らと同じ生まれの貧民を助ける。
デステロが24歳の時。組織の構成人数は10万人を超え、既に彼はメキシコ国内の裏社会を牛耳っていた。

改革を訴える議員を殺し、アメリカからの刺客を殺し、撤退を訴える民衆を排除した。やりたい放題の絶頂。
いつものように会合の最中に踏み込んできた警察の大群を、異能を用いて蹴散らしていた。
その時だった。突如として異能が暴走し、彼は周囲に居る者たち全てを無差別に焼き殺したのだ。
混乱に陥る街と、破壊される都市機能。デステロはまるで太陽のように光と破壊を振りまいた。
全てが終わったその時、辺りにあるのは焦土と化した町と瓦礫、そして焼け焦げた最愛の女性だった。

サンタ・ブランカを自らの手で殺めたデステロは生きる気力を失い、そのまま生まれ故郷であるコロンビア・メデジンへと消える。
それから間もなく、アルファを失った狼の群れは分裂し、争い、摘発され、根絶され、絶滅した。

そして3年後、異能者の溢れる混沌とした雑踏の中で。
全てを諦めた男が一人、意義のない余生を過ごす為に小さな看板を掲げた店を立ち上げたのだった。

+ 新たなる旅立ち
デステロが店を掲げて2年後。すっかりコーヒーショップの経営にも慣れた頃。
平日の昼間はならずものの集まる酒場として賭博やカードを楽しみ、嗜好品を販売する。
休日や夕方は彼等を追い出し、学校帰りの学生で賑わう温かみと活気のあるカフェとなる。
表裏表裏、ころころと面相を変えるその店は、彼にとって居心地の良いものだった。

だがここから一歩外に出れば命すら保証されない治安の悪さと、そこに住まうのが未来ある子供たちだという相反する事実。
デステロは引退した身だと弁えつつも、これに頭を悩ませていた。

夜な夜なバイクで街をうろついては、小悪党や犯罪者を拳で黙らせて廻る日々。
サンタ・ブランカの喪失から異能の力はすっかり弱まっていたが、彼はそれで十分だった。
己の拳で相手を叩き、潰し、打つ。大抵の悪人は異能を持っていても手こずることはなかった。
偶に手練れと居合わせれば、振り絞るように昔に戻りたくなるような貧弱な異能で対抗していたが。
そんな微弱な力であっても、反動で身体を蝕まれつつあることをデステロはひしひしと感じていた。

夜に眠りに陥るとき、不意に彼を襲う激痛。
咳き込むたびに吐き出される黒い血や、何も食べていなくても胃液をすべてぶちまけたり。
自分に残された時間が短いと知らされる度、嫌気が差すと共に、断罪されるようで気が楽になった。
死を望むわけではないが、生きていたい訳でもない。足掻く気力も生まれない。

治療をするわけでもなく、ただ流れる時をその身に受け、ただただ受け流す。それだけの日々。
その最中だった。彼の人生を大きく変える日が訪れたのは。

「ハロー……。」

「ワタシは組織の者……。でもダイジョブ……アナタと戦う気、少しも無いヨ……。」

デステロの運命はその日を境に、ふたたび時を刻み始めた。

+ 別離
数度しか顔も合わせなかった、ささやかなる友人。彼は予兆も無く死んだ。
潜入先で幾度か、間接的に世話になった上司。彼もまた目の前で死んだ。

手のひらで零れ落ちてゆく命の数々が、彼の心に悲しみをもたらす度に。
そしてその温もりの残滓を、ほのかに掌に遺してゆくたびに。
デステロの覚悟は固く、歩みは強いものとなった。

彼は死に忌避間を持たない。宗教性の違いもあるが、人として欠落しているものがある。
それがこそが渇望であり、恐怖であり、そしてなにより希望である。
彼は怒り、悲しみ、絶望することによって国を統治した。
強き者から奪い、弱き者に与える事を繰り返す事で。
そしてそれが間違いであると気付いたとき、彼の心の中には。

渇望が、恐怖が、希望が芽生えていた。

狼王は牙を抜かれた。恐ろしい獣たちを狩り、八つ裂きにしていた鋭い牙を。
しかしそのお蔭で、今は子供を口に抱え、思い切り走る事だってできる。
だからこそ彼は恐れた、その牙なき口に抱えた希望達が貪られてゆくことを。

灰の中に墨が飲み込まれることを。四度目の別離を、彼は認めなかった。


+ 収束する歩み
クラウディオ・ドロレスは殺された。デステロの頼みで身分を売り渡した男だ。
彼の死はデステロの生存を否定するということ。すなわち、彼は学園からの退去を余儀なくされた。
立つ鳥跡を濁さずとはいうが、彼は狼である。四足で駆けて、思いきり跡を濁して。

水面に立つ土煙を狼煙に、無数の狼が彼の根城へと赴いた。
年齢も、性別も、人種も所属も関係ない。同じ思想を共通点に、彼等は結束を果たす。
そしてこれこそが、局面が終結を迎える火種となるのであった。