*タジキスタン共和国憲法 **第1章 憲法体制の基盤 ***第1条 [[タジキスタン共和国]]は、主権、民主、法治、世俗及び単一国家である。 タジキスタンは、社会国家であり、各人の尊厳ある生活と自由な発展を保障する条件を創出する。 タジキスタン共和国とタジキスタンは、同義の概念である。 ***第2条 タジキスタンの国語は、タジク語である。 ロシア語は、民族間交流語である。 共和国領土に居住する全ての国民と民族は、その母国語を自由に使用する権利を有する。 ***第3条 タジキスタンの国家象徴は、国旗、国章及び国歌である。 ***第4条 タジキスタンの首都は、ドゥシャンベ市である。 ***第5条 人間、その権利と自由は、最高の価値である。 人間の生命、名誉、尊厳その他の自然権は、不可侵である。 人間及び市民の権利と自由は、国家により承認、遵守及び擁護される。 ***第6条 タジキスタンにおいて、国民は、主権の担い手かつ直接又はその代表者を通して行使する国家権力の唯一の源泉である。 国民の権力の最高直接の表現は、全国民投票と選挙である。 タジキスタン国民は、民族に拘らず、タジキスタン市民が構成する。 いかなる社会団体、政党、人々の集団又は個人も、国家権力を簒奪する権利を有さない。 権力の簒奪又はその権限の剽窃は、禁じられる。 タジキスタン全国民の名において発言する権利は、タジキスタン共和国大統領、その共同会議におけるマジリシ・オリーのマジリシ・ミリ及びマジリシ・ナモヤンダゴンにのみ属する。 ***第7条 タジキスタン領土は、不可分かつ不可侵である。 タジキスタンは、ゴルノ・バダフシャン自治州、州、市、地区、町及び村から成る。 国家は、タジキスタンの主権、独立及び領土保全を保障する。国家の統一の分裂に向けられた宣伝及び行動は、禁じられる。 行政単位の設置及び変更秩序は、憲法法により規制される。 ***第8条 タジキスタンにおいて、社会生活は、政治及びイデオロギーの多元主義に基づき発展される。 いかなる政党、社会及び宗教団体、運動又は集団のイデオロギーも、国家的なものとして承認されることはない。 社会団体と政党は、憲法及び法律の枠内において創設され、活動する。 宗教組織は、国家から分離され、国務に干渉することはできない。 人種、民族、社会及び宗教的反目を宣伝するか又は憲法体制の暴力的打倒及び武装集団の組織を訴える社会団体及び政党の創設及び活動は、禁じられる。 ***第9条 国家権力は、立法、執行及び司法へのその分立に基づき行使される。 ***第10条 タジキスタン憲法は、最高の法的効力を有し、その規定は、直接の効力を有する。憲法に抵触する法律その他の法令は、法的効力を有さない。 国家及びその全機関、責任者、市民及びその団体は、共和国の憲法及び法律を遵守及び執行する義務を有する。 タジキスタンが承認した国際法は、共和国の法制度の構成部分である。承認された国際法令に共和国法が一致しない場合、国際法令の規定が適用される。 ***第11条 タジキスタンは、平和愛好政策を行いつつ、他の国家の主権と独立を尊重し、国際規定に基づきその対外政策を決定する。 戦争の宣伝は、禁じられる。 タジキスタンは、国民の最高の利益に指導されつつ、共同体その他の国際組織に加盟し、並びにそれから脱退し、外国との関係を樹立することができる。 国家は、在外同胞と協力する。 ***第12条 タジキスタンの経済の基盤は、各種形態の所有が構成する。 国家は、経済及び企業活動の自由、私有を含む全形態の所有の平等及び法的保護を保証する。 ***第13条 土地、その地下、水域、領空、動物界及び植物界その他の自然資源は、国家の排他的所有であり、国家は、国民の利益において、有効なその利用を保証する。 **第2章 人間及び市民の権利、自由、基本的義務 ***第14条 人間及び市民の権利と自由は、共和国の憲法、法律、タジキスタンが承認した国際法令により規制及び保護される。 人間及び市民の権利と自由は、直接行使される。これらは、法律の目的、内容及び適用、立法、執行及び地方権力、地方自治機関の活動を規定し、司法権力により保障される。 市民の権利と自由の制限は、他の市民の権利と自由の保障、公共秩序、共和国の憲法体制及び領土保全の擁護を目的としてのみ許される。 ***第15条 タジキスタン市民と考えられるのは、憲法採択日にタジキスタン共和国市民であった者である。 他の国家の市民権へのタジキスタン市民の所属は、タジキスタンの法律及び国際条約により規程された場合を除き、許されない。 市民権の取得及び喪失の秩序は、憲法法により規定される。 ***第16条 国外のタジキスタン市民は、国家の保護下にある。いかなる共和国市民も、外国国家に引き渡されることはない。外国国家への犯罪者の引渡は、二国間協定に基づき許可される。 外国市民及び無国籍者は、宣言された権利と自由を享受し、法により規定された場合を除き、タジキスタン市民と同等の義務と責任を有する。 タジキスタンは、人権侵害の犠牲となった外国市民に政治的庇護を提供することができる。 ***第17条 全ての者は、法と裁判の前に平等である。国家は、その民族、人種、性別、言語、信仰、政治的信条、教育、社会及び財産上の地位に拘らず、各人の権利と自由を保証する。 男女は、同権である。 ***第18条 各人は、生存権を有する。 何人も、特別重犯罪に対する裁判所の判決によることを除き、生命を奪われることはない。 身体の不可侵性は、国家により保証される。何人も、拷問、残虐及び非人道的取扱に処せられることはない。人間に対する強制医学及び科学実験は、禁じられる。 ***第21条 法律は、被害者の権利を擁護する。国家は、司法保護及びその与えられた損害の補償を被害者に保証する。 ***第22条 住居は、不可侵である。 法により規定された場合を除き、人間の住居への侵入及びその住居の剥奪は、許されない。 ***第23条 法により規定された場合を除き、信書、電話会話、電信その他の連絡の秘密は、保障される。 その同意のない人の私生活に関する情報の収集、保管、利用及び流布は、禁じられる。 ***第24条 市民は、自由な移動及び居住地の選択、共和国外への出国及び帰国に対する権利を有する。 ***第25条 国家機関、社会団体、政党及び責任者は、法により規定された場合を除き、その権利と利益に係わる文書の受領及び周知の機会を各人に保障する義務を有する。 ***第28条 市民は、団結権を有する。市民は、民主、宗教及び無神性を有するものを含む政党、労働組合その他の社会団体の創設に参加し、自発的に入会及び脱会する権利を有する。 政党は、政治的多元主義に基づき、国民の意思の形成及び表現を助力し、政治生活に参加する。その機構及び活動は、民主主義の基準に一致しなければならない。 ***第29条 市民は、法により定められた集会、ミーティング、デモ及び平和的行進に参加する権利を有する。 何人も、これらへの参加を強制されることはない。 ***第30条 各人には、言論、出版の自由、情報手段の利用に対する権利が保証される。 社会、人種、民族、宗教及び言語的反目及び敵意を扇動する宣伝及び扇動は、禁じられる。 国家検閲及び批判に対する迫害は、禁じられる。 国家秘密を構成する情報の一覧は、法により規定される。 ***第31条 市民は、個人的又は他者と共同で国家機関に訴える権利を有する。 ***第32条 各人は、所有権と相続権を有する。 何人も、市民の所有権を剥奪及び制限する権利を有さない。社会的需要のための国家による個人財産の収用は、その価額の完全な補償の下、法に基づき、所有者の同意によってのみ許される。 国家機関、社会団体、政党又は個人の不法行為の結果個人に与えられた物的及び精神的損害は、法に従い、その負担で賠償される。 ***第38条 各人は、保健の権利を有する。各人は、法により規定された枠内において、国家保健施設において、無償医療援助を享受する。国家は、環境の健全化、大衆スポーツ、体育及び観光の発展に関する措置を採択する。 他の形態の医療援助の提供は、法により規定される。 ***第39条 各人には、老齢、病気、身体障害、労働能力の喪失、扶養者の喪失の場合及び法により規定されるその他の場合における社会保障が保証される。 ***第42条 タジキスタンにおいて、各人は、その憲法及び法律を遵守し、他者の権利、自由、名誉及び尊厳を尊重する義務を有する。 法律の不知は、責任から解放しない。 ***第43条 祖国防衛、国家の利益の保護、その独立、安全及び防衛力の教科は、市民の神聖な責務である。 軍務実施秩序は、法により規定される。 ***第47条 非常事態の条件下において、憲法第16条、第17条、第18条、第19条、第20条、第22条、第25条及び第28条において規定された権利と自由は制限されることはない。 非常事態の法体制は、憲法法により規定される。 **第3章 マジリシ・オリー ***第48条 タジキスタン共和国議会たるマジリシ・オリーは、タジキスタン共和国の最高代表かつ立法機関である。 マジリシ・オリーは、マジリシ・ミリとマジリシ・ナモヤンダゴンの二マジリシから成る。 マジリシ・ミリとマジリシ・ナモヤンダゴンの任期は、5年である。マジリシ・ミリとマジリシ・ナモヤンダゴンの権限は、新期マジリシ・ミリ及びマジリシ・ナモヤンダゴンの活動開始日に停止する。 マジリシ・オリーの組織及び活動は、憲法法により規定される。 ***第50条 政府閣僚、裁判官、法保護機関職員、軍人その他の憲法法により規定された者は、マジリシ・ミリ議員たることはできない。 市民は、同時にマジリシ・ミリ議員とマジリシ・ナモヤンダゴン代議員たることはできない。マジリシ・ミリ議員は、2つを超える代表機関の代議員たることはできない。 マジリシ・ナモヤンダゴン代議員は、他の代表機関の代議員たり、他の職務に就任し、科学、創作及び教育を除き、企業活動に従事することはできない。 ***第52条 マジリシ・ミリとマジリシ・ナモヤンダゴンの第1回会期は、選挙後1ヶ月以内に、タジキスタン共和国大統領が召集する。 マジリシ・ミリとマジリシ・ナモヤンダゴンの第1回会期は、最高齢の議員又は代議員が開会し、これらマジリシの議長選出までこれを主宰する。 マジリシ・ミリの活動は、会期の形態で実施される。マジリシ・ミリの会期は、年に4回以上、マジリシ・ミリ議長が召集する。 マジリシ・ナモヤンダゴンの活動は、会期の形態で実施される。マジリシ・ナモヤンダゴンの定例会期は、10月最初の労働日から6月最後の労働日まで、年に1回行われる。 マジリシ・ミリとマジリシ・ナモヤンダゴンの会期間の期間、タジキスタン共和国大統領は、必要な場合、臨時会期を召集することができる。同会期においては、同会期召集の事由となった問題のみが審議される。 ***第58条 立法発議権は、マジリシ・ミリ議員、マジリシ・ナモヤンダゴン代議員、タジキスタン共和国大統領、タジキスタン政府、ゴルノ・バダフシャン自治州人民代議員マジリスに属する。 ***第59条 法案は、マジリシ・ナモヤンダゴンに提出される。 大赦に関する法案は、タジキスタン共和国大統領がマジリシ・ナモヤンダゴンに提出する。 予算、税の制定及び廃止に関する法案は、[[タジキスタン共和国政府]]がマジリシ・ナモヤンダゴンに提出する。 **第4章 大統領 ***第66条 大統領選挙は、選挙人の過半数が参加した場合、成立したものとみなされる。 投票に参加した選挙人の過半数が賛成投票した大統領候補者が、選出されたものとみなされる。 大統領選挙の秩序は、憲法法により規定される。 ***第68条 大統領は、他の職務に就任し、代表機関の代議員たり、企業活動に従事する権利を有さない。 **第5章 政府 ***第73条 共和国政府は、首相、第一副首相及び副首相、相、国家委員会議長から成る。 政府は、経済、社会及び文化分野の効率的な指導並びに法律、マジリシ・ミリとマジリシ・ナモヤンダゴンの共同決定、マジリシ・ミリ決定、マジリシ・ナモヤンダゴン決定、タジキスタン共和国大統領の命令及び指令の執行を保障する。 政府閣僚は、他の職務に就任し、代表機関の代議員たり、科学、創作及び教育活動を除き、企業活動に従事する権利を有さない。 **第6章 地方権力 ***第76条 地方権力は、代表及び執行機関から成り、その権限内で活動する。憲法、法律、マジリシ・ミリとマジリシ・ナモヤンダゴンの共同決定、マジリシ・ミリ決定、マジリシ・ナモヤンダゴン決定、タジキスタン共和国大統領及び政府の法令の執行を保障する。 **第7章 ゴルノ・バダフシャン自治州 ***第81条 ゴルノ・バダフシャン自治州は、タジキスタン共和国の構成かつ不可分の一部である。 人民代議員マジリスの同意なくして、ゴルノ・バダフシャン自治州領域の境界を変更することは、禁じられる。 ***第82条 ゴルノ・バダフシャン自治州人民代議員マジリスは、立法発議権を有する。 ***第83条 社会、経済、文化分野におけるゴルノ・バダフシャン自治州の権限その他の州の権限は、憲法法により規定される。 **第8章 裁判所 ***第84条 司法権力は、独立であり、国家の名において、裁判官が行使する。司法権力は、人間及び市民の権利と自由、国家、組織、施設の利益、適法性及び公正を擁護する。 司法権力は、憲法裁判所、最高裁判所、最高経済裁判所、軍事裁判所、ゴルノ・バダフシャン自治州裁判所、州、ドゥシャンベ市、市及び地区裁判所、ゴルノ・バダフシャン自治州経済裁判所、州及びドゥシャンベ市経済裁判所が行使する。 裁判所の活動の組織及び秩序は、憲法法が規定する。 裁判官の任期は、10年である。 特別裁判所の創設は、禁じられる。 ***第87条 裁判官は、その活動において独立であり、憲法及び法律にのみ従属する。その活動への干渉は、禁じられる。 ***第90条 裁判官は、他の職務に就任し、代表機関の代議員、政党及び団体の党員たり、科学、創作及び教育活動を除き、企業活動に従事することができない。 **第9章 検察庁 ***第93条 タジキスタン領土における法律の正確かつ画一的な執行に対する監督は、その権限内において、検事総長及びその従属検事が実施する。 ***第94条 タジキスタンの検察機関の統一かつ中央集権システムは、検事総長が指揮する。検事総長は、マジリシ・ミリ及び大統領に報告義務を負う。 ***第95条 タジキスタン検事総長は、任期5年で任命される。 検事総長は、その従属検事を任免する。検事の任期は、5年である。 検察機関の活動、権限及び機構は、憲法法により規制される。 ***第96条 検事総長及びその従属検事は、他の国家機関、責任者に依存せず、その権限を行使し、法にのみ従属する。 ***第97条 検事は、他の職務に就任し、代表機関の代議員、政党及び団体の党員たり、科学、創作及び教育活動を除き、企業活動に従事することができない。 **第10章 憲法修正秩序 ***第98条 憲法の修正及び補足は、全国民投票の実施により行われる。 国民投票は、大統領又はその代議員総数の3分の2以上の同意によりマジリシ・ナモヤンダゴンが公示する。 **移行規定