inusuke @ ウィキ内検索 / 「稲荷山蕎麦店繁盛記」で検索した結果

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  • 稲荷山蕎麦店繁盛記 六杯目(1)
    ...ましょう 「稲荷山蕎麦店繁盛記 五杯目 年越し蕎麦」 はぁじぃまりぃはぁじぃまぁりぃっと!! 年が明けるその夜、稲荷山蕎麦店は記録的な忙しさであった。 もともと、年の終わりは蕎麦で締めるという考えが人々の間では強く 毎年のように稲荷山蕎麦店はいつもより忙しくなるのだが、今年は、そこに歩という出前要因が加わりひっきりなしに店には注文の電話が殺到した。 二人きりしかいない厨房で、親方は黙々と蕎麦を作り続け、おなじく二代目大黒屋も黙々と天麩羅を揚げた。この日、ずんどう鍋二組分のつゆがなくなり、何百という数の天麩羅がからりと揚げられた。そのどれもが手抜きでなく、今年も終わりだねぇとほほが緩む味であった。親方がいうところによれば、この日、二代目大黒屋は初代大黒屋の元を離れたらしい。職人にしか分からないものもあるのだろう。しかしながらそれが悪いことではないということは、そ...
  • 稲荷山蕎麦店従業員名簿(仮)
    ...!」「…ちわ」 「稲荷山蕎麦店繁盛記ではおなじみの昼の部看板娘、向日葵だよー」 「…同じく夜の部、夜見」 「今日はこの稲荷山蕎麦屋さんの名簿を使って遊んでみたいと思いまーす」 「…人物紹介」「そうともいうねっ!」 「そして今日は箪笥書店で遊ぶんでいるので、ゲストに来てもらっていまーす」「…保護者」 「子供だけで遊ぶと危ないからだねっ!というわけで変人先生でーす」 突然訪ねてきて。さっそく失礼だね…どうも、眼鏡先生です 「…どうして、お手伝い?」 蕎麦を買ってきてあげないって脅されてね 「せんせよわーい」「…最弱」 はいはい、それじゃはじめようか。本を見せてくださいな、看板娘さん? 「それじゃせんせといっしょにいってみよー」「…よー」 お菊/女/稲荷山蕎麦店の女将/(おせっかい/口が軽い/狐)/ まずはこの稲荷山蕎麦店の女将さんからだね。 割烹着まと...
  • 稲荷山蕎麦店繁盛記 五杯目(2)
    さぁてさぁてやってまいりました!繁盛記ぃ! 駆け込んできた珍客に、気合をいれる厨房とくれば なにかが起こらないわけはないってのは、このあっしにも分かること。 ついに狐面の初仕事ぉ!舞台は歓声溢れる稲荷山蕎麦店。 さぁさ、続きのぉはじまりぃはじまりぃ! 「狐面」 いったいなにが起こるんだろう? 歓声を体中にびしびし感じるし、期待のこもった視線もばしばし感じる。 なんだかとんでもないお店にきちゃったなぁと思いながら、実はものすごく楽しい気持ちになってきたのが自分でも分かった。体がうずうずしてきた。 「坊」女将さんの手が僕の頭にのっかる。そしてわしゃわしゃと撫でた。 「これからあんたの初仕事が始まるよ。やれるかい?」 「もちろん」 「いーい男だねぇ、あんた。まかせたよ」 まかせた。握りこぶしに力がはいる。まかせる、おいらに。まかせる。 「で、追神爺さんの注...
  • 稲荷山蕎麦店繁盛記 一杯目
    「近くて遠い食べ物屋さんてどーこだ?」 答えはなんだか分かりやすね?そう、答えは蕎麦屋。 いやいや駄洒落を言おうってわけじゃぁありやせん。 じつはこの謎かけ、まことのはなしなんでさぁ。さてさて、これからお話しいたしますのは…近くて遠いまさにそのとおりの、或る蕎麦屋のお話であります。 『お菊』 一杯目『かけそばの巻』 「ごちそうさまでしたぁ!」 稲荷山蕎麦店自慢の天麩羅蕎麦を綺麗に平らげた坊と連れの和服の女が行儀よく頭を下げて、店の外へと出て行った。 「またきておくれよ!」女将であるお菊がにっこり笑って答える。 がらがらぴしゃっと戸が閉まったのを見届けて、ふぅとお菊は息をついた。忙しい時間が過ぎたのだ。店の中にお客の姿はない。 お客がいなくなってしまうとちょっとだけ寂しくなる。 こりゃ職業病かねと笑いながら、先日習った女将体操をしていると、女将さーんと厨房に...
  • 稲荷山蕎麦店繁盛記 四杯目(4)
    しばらくしばらく、あいやしばらく 帰ってまいりました稲荷山蕎麦店繁盛記 語り部のわたしもお話を忘れちまうぐらいのご無沙汰でございます。 と、いうわけで今までのおさらいといきましょう。 ある月夜の晩のこと、稲荷山蕎麦店のまん前に女の子が振ってきた。 これがこのお話の幕開けでございました。 どうやらこの女の子、あのお空に浮かぶまん丸お月様から降ってきたというもんだから、さぁ大変。あたしらじゃどうにもならないってんで、女将のお菊が知恵を借りに人を行かせたのが、あの有名な変人、箪笥書店の主人、野比のところでございます。 その野比。仕事がめんどうなのか、自分とこの彼岸という少女に自分の本を持たせ、解決してこいと任せたところがここまでのお話。 さてさてどうなりますことやら。 「彼岸」 いったいあの男はなにを考えているんだろう? わたしを試している?ひょっとしてこれって試験?...
  • 稲荷山蕎麦店繁盛記 三杯目
    『?』 私は人より五感が鋭い人間だ。 だからこうして雑多な社会から離れ、書斎に篭って世界を紡いでいる。 だが、こうして本の海に身を埋めていようとも、感覚は研ぎ澄まされ、外の世界のことを敏感に感じ取る。ほら、いまもまた感じた。 私は人より五感が鋭い人間だ。 失恋の音などすぐに分かる。 『お菊』 「あーあーあー」 高く積み上げられた天麩羅の山を見てお菊はため息をついた。 これ見るのはずいぶん久しぶりだぁねぇ。 稲荷山蕎麦にある皿で一番大きい皿にこんもりと天麩羅が乗っかっている。しかも、天麩羅一つ一つが組み体操ようにきちんとバランスをとって皿の上に整っていた。きらきらと輝くその衣の重なりは砂金の小山にも見えなくもない。 言葉が出ないので、お菊は黙って親方を見るしかなかった。その親方も言葉を失っているのか、肩をすくめてそれに答えた。 ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち そ...
  • 稲荷山蕎麦店繁盛記 六杯目(3)
    「夜見」 眩しい。影縫夜見は目をつむる。 外には誰もいなかったのに。 自分が戸を開けた瞬間、いつのまに入り込んだのか分からないその老人はおまけに体からまばゆい光を放っていた。 でも、なんだろうこれ。 夜見は光が苦手だった。眩しいものならなんでも苦手だった。 しかし、今、自分の目の前にある眩しさは、光は、なんともない。 むしろ温かささえ感じる。温かさ!この自分が温かさを感じている? 夜見はゆっくりと目を開けてみる 老人がにこやかに笑っていた。 「入れてくれてありがとう」 あぁ、あたしが招いたんだ。夜見は可笑しくなる。 生まれてからずっと自分が招くのは不幸だけだと思っていた。 そして実際に、不幸ばかり、暗いものばかり招いていた。 でも、今、目の前には眩しいもの。 ほんとに、ここに来てからは調子が狂っちゃって狂っちゃってしかたない。 夜見は、頭を下げた。 「いら...
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  • 稲荷山蕎麦店繁盛記 四杯目(1)
    「3杯目 月見蕎麦の巻-1-」 『お菊』 女の子が振ってきた。 閉店間際の夜の底。そろそろ閉めようねと表へ出たときだった。 急に目の前にどすんと何かが落っこちてきて、目を凝らしてみると女の子が一人倒れていた。 困ったことになったねぇと頭を掻いて、店の中へ「大黒屋ぁ」と呼んだ。 『向日葵』 稲荷山蕎麦の二階でぼんやりと月を見上げていた向日葵は目を丸くした。今、目の前で月からなにかが零れ落ちたのだ。見間違えじゃない。 一緒に夜空を見ていた夜見も「落ちた」と驚いている。 その何かはふらふらと揺れながら店の近くに落ちた。向日葵はしばらく口を開けて動けないでいたが、慌てて階段を駆け下りて、女将のお菊に報告する。 「女将さん!今ね、お月さんのかけらがおっこってきた」 しかしお菊は「へぇ、そうかい」と別段驚くこともなく、暖簾をしまっている。 「一大事なんだってば!」と...
  • 稲荷山蕎麦店繁盛記 二杯目(1)
    はーるがきーた!はーるがきーた!どーこーにーきたー? やーまにきーた!さーとーにきーたー!のーにーもーきたー! お耳汚し失礼いたしました。そう私が今こうして歌いましたとおり、 暖かい春がやってまいりました。そうそれは近くて遠いあの場所にも 今まさにやってきたのでございます。 『出前:さくらそばの巻(1)』 『大黒屋』 彼女の姿を見るのはいつも桜の木の前だった。 憂いを帯びた目で、じっと桜の木を見つめている。それが私の知っている彼女だ。綺麗な唐傘をくるくると回しながら、なにをするわけでもなく桜の木の前にたたずんでいる。美しかった。本当の美に必要な儚さやもろさを彼女は備えていた。だから私はひとつの美術品を見るように遠くから彼女を見ているだけだった。それで十分だった。 『夜見』 稲荷山の裏看板娘、影縫夜見は遠くから迫り来る春の陽気を、ひしひしと感じていた。ま...
  • 稲荷山蕎麦店繁盛記 六杯目(2)
    「夜見」 雪は好きだ。白くて丸くて綺麗で、なんてことはまったくの論外。 そもそもそういうのが好きっていうのは自分らしくないと夜見は思っている。 自分らしさ。あたしらしさ。夜見らしさ。 そういったものを夜見は稲荷山蕎麦で獲得した。 それまでの自分にはそういったものが一切なかった。 ただあるだけの塊にすぎなかった。ただの夜の塊。名前もない。 あたしが雪を好きなのはと夜見は空を仰ぐ。 本当はホコリとかチリとかそういう汚いものなのがくっついているのに、それなのに純白でいようとするところと、そして消えてしまう分かっているのに美しいいようとする、気丈さであった。 もうじき年が明ける。冷たい夜を吸い込んで、夜見は店に戻った。 「向日葵」 向日葵は眠かった。 本来ならばぐっすりと夢の中を浮遊している時間である。 しかしながら、今日は仕事納め、大晦日、無理をして働いていた。 ...
  • 稲荷山蕎麦店繁盛記 二杯目(2)
    『夜見』 稲荷山蕎麦の店先で、夜見は犬と見詰め合っている。 ついさっきやってきた春が連れていた犬で、賢そうな顔をした日本犬だった。主人のことを待っているようで置物みたいに寸分も動かない。 夜見は腰を落として目線を犬にあわせ、じいっとその目を覗き込んだ。 にらみあいのようにも見えるし、テレパシーで通信しているようにも見える。夜見はしばらくそうして、たまらず手を伸ばした。 ワシワシと乱暴に犬の頭をなでる。犬のほうはというと、抵抗もせずにワシワシとされるのを受け入れている。犬がくすぐったそうに目を細めた。 がらがらと戸が開いて、春が外へと出てきた。夜見には春の姿は背の低い老人に見える。その老人が「そろそろ行くよ」と犬に声をかけると犬は、魔法が解けたみたいにしなやかにするすると動き、春の傍らへと付き添った。夜見は腰を上げた。春に続いて女将と向日葵も暖簾をくぐってやってくる。 「夜見ち...
  • 稲荷山蕎麦店繁盛記
    近くて遠いそんな町の、とある蕎麦屋の物語 簡単なキャラクター紹介 入念なキャラクター紹介 一杯目 かけそば 二杯目 さくらそば (1) (2) 三杯目 てんぷらそば 四杯目 つきみそば (1) (2) (3) (4) 五杯目 駆けそば (1) (2) 六杯目 年越しそば (1) (2) (3)
  • 稲荷山蕎麦店繁盛記 四杯目(2)
    「夜見」 眠っている人間の頬は突きたくなる。 夜見はそっと手を伸ばして、目の前の少女の頬に人差し指を伸ばした。 しっとりしてやわらかくて暖かい。こねた小麦粉みたいだ。 この少女は月から落ちてきたらしい。向日葵と女将がそう話しているのを聞いた。 月。漆黒の闇を照らす唯一の明かり。夜見にとってそれはオセロの裏のような存在に近かった。裏。「…あたしのほうが裏か」頬をつつきながらぼそりと呟く。 こうして頬を突くのは、夜が月をじわじわ覆い隠すのと似ているなと思って少し笑った。指を止めてそっと動かす。 あたし月に触れてるんだ。夜見はなんだか誇らしい気持ちになる。 「夜見ぃ」と女将の呼ぶ声が聞こえた。 『大黒屋』 さっきから夜見はかがんで何をやってるんだろう。同じ厨房の椅子に座っていた大黒屋は考えた。あんなに突いたら目を覚ましてしまうだろうに。 でも、確かに珍しいものに触れて...
  • 稲荷山蕎麦店繁盛記 五杯目(1)
    あいやしばらく!じつにしばらくぅ!! ひさびさに帰ってまいりました。ご無沙汰しておりますっ! ん、ま、あっしのことは忘れちまってもかまいやせんが まさかあの店のことは忘れちまってませんよね? そうですそうです!そのお店! さてさて今回のお話はぁ 駆けて駆けて駆け抜けて 熱い思いをお届けします! 駆けそばのお話でぇございますぅ! え?字が違う。ままままま、そいつぁお話を聞いてくれなくっちゃぁ! そう、話は夜の闇を一匹の物の怪が駆けるところからはじまります。 駆けそば 「?」 ただ、走っていた。 走って、走って、走って、走って、走って… もう自分がなにから逃げているのか分からなくなるくらい走っていた。 そんなときだった。 そう、そんなときだったんだ、おいらの顔にあの紙が張り付いてきたのは! 「天まで駆け上れる方、求ム」 あ、これ、おいらのことだ...
  • 稲荷山蕎麦店繁盛記 四杯目(3)
    「暁」 「月から女の子が落ちてきたんだよ」 開口一番の向日葵の言葉に、暁はちょっと戸惑った。さっきまで、あの男のことでばたばた慌ててからかもしれない。 蔵書室として機能している客間で、暁は向日葵と夜見の話を聞いていた。 「知恵を貸してほしいのよ」と今度は夜見が言ってくる。「貴方の先生にね」 「先生ではありません」きっぱりとそこは否定しておく。人のものを勝手に取るようなやつは先生じゃないし、そんなことしなくてもあいつは先生じゃない。 「彼はただの変人です」 「やっぱり変人なんだー」向日葵が嬉しそうにはしゃぐ。 「ね、いったでしょう」夜見も口の端を上げる。 「さっきのは君達か」えらそうに座っている野比が苦笑した。「しかし、その変人に知恵を借りに来るとは君達も十分変だよ」 「変人でも賢ければいいのよ」夜見がぴしゃりという。「月から落ちてきた女の子について。知恵を貸して」 月...
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