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ストライフ・デリバリーサービス営業開始! - (2010/07/29 (木) 20:03:58) のソース

**ストライフ・デリバリーサービス営業開始!◆WoLFzcfcE.


とうの うえに いる。 


クラウド・ストライフは眼下に広がる大地を見渡して嘆息した。 
何度目か数えるのも億劫だが、とにかくそれくらいに辟易しているということだ。 

疲れを感じている理由はいくつかある。 
こんな殺し合いに巻き込まれたのというのが一つ。 
戦いが終わりせっかく始めた運び屋商売の、よりによって仕事始めの日に休業せざるを得なくなったことが二つ。 
三つ目は―― 

「……普通だ。まずくはないがうまくもない。こういうのが一番コメントに困る」 
「まあそう言うな。腹の足しにはなろうさ」 
「俺は悪くはないと思うがな」 

なにが悲しくて初対面の男三人で車座になってスシ――味付けした米の上に生魚を乗せた食べ物、らしい――を食べなければならないのか。 
夜空には満点の星々。心地よい風が吹く。酒でもあればさぞ風流だろう。 
だが、ここにあるのは手掴みで食べるしかない寿司なる食料だけ。情緒もへったくれもない。 

(ウータイの料理だろうか……あまり好みじゃないな) 

と、軽く現実逃避しながらクラウドは先ほどのことを思い出す。 
目の前にいる二人の男。 
クラウドがこの屋上に上ってきたとき。こいつらは自分が置かれた状況に戸惑いもせず大はしゃぎで(クラウドにはそう見えた)斬り合っていたのだ。 

髪を好き放題伸びるにまかせた粗野な印象を与える男の名は、腑破十蔵。 
鬣のように髪を逆立てている壮年の男の名は、トゥバン・サノオ。 

クラウドがこの二人の闘いを止めたわけではなかった。 
十蔵がクラウドの持っていた剣を見るなり、興が醒めたと剣を収めてしまったのだ。 
と言っても、それは剣というより、 

――それは剣と言うにはあまりにも大きすぎた 大きくぶ厚く重くそして大雑把すぎた それはまさに鉄塊だった―― 

としか、説明できないような代物。 
クラウドがかつて愛用していた友の形見バスターソードと並べられるほどに巨大な常識外れの一品、ドラゴンころしだった。 
そんなものを軽々と振り回す十蔵も恐ろしいが、もっと恐ろしいと感じたのはその剣を苦もなく避け続けていたトゥバンだ。 
当たれば身体のどこであろうと千切れ飛ぶであろう剣撃を笑いながら凌ぐ様は、本当に人間かと疑いたくなった。 
彼が持っていたのはこちらはやや小ぶりな――と言っても十蔵の剣と比べれば、だが――大剣だ。 
妖魔を狩る大剣、クレイモアである。 
外道と妖魔。存在する世界は違えど人に仇なすという点では非常に近しいもの。 
なればこそ十蔵と至近に配置されたトゥバンにこの剣が渡ったのも偶然ではないのかもしれない。 

人の身から外道に墜ちた者。 
人の身でありながら人外を斬ることに喜びを覚える者。 

二人に言葉など要らず、ただ剣さえあればよかった。 
尤も、十蔵は獲物が使い慣れた裏正ではないことには不満だった。ドラゴンころしは威力こそ十分だが十蔵の腕力を以てしても片手で振るうことは不可能だ。 
トゥバンにしても、その最大の武器といえる機動力がクレイモアの重量で殺されていた。 
そこでクラウドの携えた剣――志葉丈瑠の愛刀、シンケンマルが視線を集める。 
十蔵は宿敵と認めたシンケンレッドの刀が、その本人以外に渡されたという事実に憤慨し、トゥバンはクレイモアよりも使い勝手がよさそうなシンケンマルを欲しいと思った。 
その停滞を機と見たクラウドが休戦を呼びかけ、驚いたことに一番乗り気に見えた十蔵が剣を収めたものだからトゥバンとしても続けるわけにはいかなくなったのだ。 

そして情報交換などしつつ、こうしてともに食事を取っている訳なのだが―― 

「つまり、この状況はあんたたちにとってはそう悪くないって言うのか?」 
「然り。森守ほどとは言わぬまでもそこの男はかなりの使い手。他にも無双の兵が幾人もいると見た。ならば手合わせを願うのが兵法者の性というもの」 
「強い者と骨の髄まで斬り合える。これ以上の悦楽は他にあるまい」 

ときた。つまりこの二人は頭のおかしい戦闘狂であり、超がつくほどの危険人物ということだ。 
そんなやつらと一緒に食事をしている自分もどうなのかと思わなくはないが、それは置いておいた。 
救いがあるとすれば、彼らは『斬り合い』がしたいのであって『殺し』がしたい訳ではないということだ。 
それとなく聞いてみたところ、十蔵は弱い者には興味がないというし、トゥバンはもう少し柔らかくそもそも相手に立ち会う意思がなければ強要はしないとのことだった。 
無差別に人を襲うわけではない。だが少しでも相手に闘う意志があるなら受けて立つ。 
危険といえば危険だが、相手を選ぶだけまだマシなのだろうか。真剣に悩んでいたクラウドだったが、 

「おい、お前。クラウドとかいったな」 
「俺は闘う気はないぞ」 
「そうではない。お前も中々楽しめそうではあるが……今はいい」 

十蔵が話しかけてきた。 
一瞬仕掛けてくるかと警戒したが、十蔵は寿司を口に放り込む手を止めず、クラウドの方を見もせずに言葉を続ける。 

「お前、運び屋をやっているらしいな」 
「やってると言うか……今日から始める予定だったんだ」 
「どうでもいい。お前に仕事をしてもらう」 

と、当然のように言う十蔵。懐から通信機らしきものを取り出して放ってきた。 

「そいつを志葉丈瑠という男に渡せ。見つけたらここに連れて来い」 
「おい、受けるなんて俺は一言も」 
「寿司を食っただろう。前払いだ」 
「……あ」 

どう見ても他人に気を遣うようにはできていない男がやけに気前良く振舞うものだと思っていたら、裏があったらしい。 
いまさらそんな契約は無効だなどと言った所で食べてしまったものは戻せない。 
それに初仕事を断るのもなんだか気が引ける。 

「あと、裏正という刀も探して持って来い。俺の刀だ」 
「おい、無茶言うな。人探しの上に刀探しだと? どこにいるか、誰が持ってるかもわからないんだぞ」 
「期待はしていない。できればでいい。……そうだな、日の出までここで待つ。 
 もしお前か志葉丈瑠がそれまでに来なければ、俺はここを出て好きに暴れさせてもらう」 
「脅迫じゃないか!」 
「待て、その前にわしと仕合ってもらおうか」 
「あんたも止めてくれ!」 
「ふん、そうだな。シンケンレッドが来なければさっきの続きをするのもいい……が、まずはシンケンレッドだ」 

日の出までに志葉丈瑠=シンケンレッドという人物を探して通信機を渡す。 
平行して裏正という刀も見つけ出す。 
その両方をここに連れて来る――面倒にもほどがある。 

「そう悪い話ではない。数時間の間こやつをここに足止めできるのだからな」 
「あんたはそれでいいのか? すぐ決着をつけたがるものと思ったが」 
「そうしたいが、先約があるのではな。それを見届けるのも一興よ」 
「止める気はないのか……」 

このトゥバンという男もやはりどこかずれている。 
まあ十蔵という危険人物を数時間抑えていてくれて、いよいよのときには決闘して倒してくれるかもしれない。 
そう考えれば悪い話でないかもしれないが。 

「これを使うといい。どうやら今のお主に必要であろう」 

そういってトゥバンがクラウドに渡してきたのは、緑色のマントだ。 
かなり大きなサイズで纏えばすっぽりと身体が隠れるだろう。 

「風のマント……というものらしい。これを身に着けて高いところから飛び降りれば風に乗って移動できるそうだ」 
「ほう、そいつはいい。人探しにはうってつけだな」 

この二人の中ではクラウドが依頼を受けることは確定事項として扱われているようだ。 
もう反論する気もなくしてクラウドはマントを受け取った。 

「……ああ、わかったよ。行けばいいんだろう……」 
「待て、用はまだある。お主の刀、わしのものと交換せぬか?」 

トゥバンとしてはそれが一番の狙い。 
ドラゴンころし、クレイモア、シンケンマル。トゥバンがこの三本の刀で一番使いやすいと判断したのはシンケンマルなのだ。 
形状もニホントウに最も近い。験を担いだというわけでもなかったが。 

「それは構わない。俺としてもこの細い剣よりはそっちの大剣のほうが性に合ってる」 
「待て、なら俺のものとも換えろ。裏正が見つからなかったとき、その剣を代わりに使う」 

十蔵までも口を出してきた。 
三本の剣で裏正と大きさが近いのはクレイモアだ。 
シンケンレッドを相手にするならできるだけ慣れた獲物で闘いたいという目論見があった。 

「とすると俺はその馬鹿でかい剣か。使い慣れてるといえばそうだが……」 
「問題はないな。そら」 

ひょい、とドラゴンころしが放られる。 
受け取ってみればバスターソードよりやや重い。が、やはりこのくらい重みがあるほうがクラウドにはありがたかった。 
シンケンマルをトゥバンに渡し、トゥバンがクレイモアを十蔵へと差し出す。 

「一つ言っておくが、シンケンレッドが来た場合その刀はやつに返してもらう。構わんな?」 
「ふむ、まあ仕方なかろうな」 

話は終わったとばかりに、十蔵はごろりと床に寝転んだ。 
やれやれとクラウドは立ち上がり、マントを羽織り塔の外壁の縁に立った。 
トゥバンが見送ってくれるのか近づいてくる。 

「じゃあ、行ってくるよ」 
「気をつけろよ。わしらのような者はおそらく大勢いる。この島に安全という場所などないだろうからな」 
「ああ、わかってるつもりだ。あんたこそあいつをしっかり見張っておいてくれよ」 
「承った。しかし、お主もこの状況で中々したたかなものよな。どうだ、戻ってこれたらわしと仕合わんか?」 
「遠慮させてくれ……俺はそういうのに興味はないんだ」 

それは残念だ、と呟く兵法者に背を向けてクラウドは空中に身を躍らせた。 
クラウドは乗り物酔いしやすい体質であるが、これはスノーボードの空を飛ぶバージョンだと思えばいい。 
全身を包む風に爽快感を感じ、こんな状況だというのにどこか笑い出したい気分になった。 

「さて……どこに行こうか、な」 

クラウドの仲間に剣を使う者はいない。かつてはいたが、今はいない。 
だからどこか、心のどこかで安心したのかもしれない――こんな事態に巻き込まれたのが自分一人で良かったと。 
そんな彼が、その手で倒したはずの英雄と――セフィロスと出会えば、はたして何を思うのか。 


それはまた、別の話。 


【B-2/塔の頂上/一日目/深夜】 

【腑破十蔵@侍戦隊シンケンジャー】 
【状態】健康 
【装備】クレアのクレイモア@CLAYMORE 
【道具】基本支給品、梅森源太の寿司×大量@シンケンジャー 
【思考】基本:志葉丈瑠との決着をつける。斬り合いを存分に楽しむ。 
 1:日の出まで待ち、シンケンレッドが現れなければトゥバンと立ち会う。 
【備考】 
 ※シンケンレッドとの決闘直前からの参加。 

【トゥバン・サノオ@海皇記】 
【状態】健康 
【装備】シンケンマル@シンケンジャー 
【道具】基本支給品、獅子ディスク@シンケンジャー 
【思考】基本:森守のように人を超えた存在を斬る。 
 1:日の出まで待ち、シンケンレッドが現れなければ十蔵と立ち会う。 
【備考】 
 ※原作終了後からの参加。 
 ※十蔵は人間ではないと薄々看破しています。 


【不明/上空/一日目/深夜】 

【クラウド・ストライフ@ファイナルファンタジーⅦ】 
【状態】健康 
【装備】ドラゴンころし@ベルセルク 
【道具】基本支給品、風のマント、ショドウフォン、ランダムアイテム(個数、詳細不明) 
【思考】基本:殺し合いに乗る気はない。 
 1:志葉丈瑠を捜索し、ショドウフォンを渡して十蔵の元へ案内する。 
 2:裏正の捜索。見つけたら十蔵に届ける。 
【備考】 
 ※原作終了後からの参加。 
 ※クラウドがどこに着地するかはお任せします。 



支給品の内訳は 

・十蔵  ドラゴンころし、ショドウフォン、源太の寿司 
・トゥバン クレイモア、風のマント 
・クラウド シンケンマル+獅子ディスク(獅子ディスクはシンケンマルとセットで支給)、ランダムアイテム 
  ↓ 
・十蔵  クレイモア、源太の寿司 
・トゥバン シンケンマル+獅子ディスク 
・クラウド ドラゴンころし、風のマント、ショドウフォン、ランダムアイテム 

です。 


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