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大いなる遺産 - (2009/04/10 (金) 08:28:34) のソース

*大いなる遺産 ◆hhzYiwxC1. 

少し歩いた先に見えた民家で見つけたノートパソコンで、追原弾から受け取ったメモリーチップの中を覗く。『FRIENDS』、『PROGRUM』と言う名の2つのプログラムがその中には存在した。 
デスクの椅子に腰かけながら、まずは『FRIENDS』の中身を見るべく、マウスでそのプログラムをダブルクリックする。 


「このプログラムを開いているということは、恐らく君は研究者のうちの誰かだろう。」 
プログラムにはそう書かれてあった。 

「俺は研究者でも何でもねーよ」 
太田は嘲笑うようにそう呟く。 
呟きながら、ページを下の方へとスクロールして行く。 

『この場では、自分に素直になれるので、日記のような形式で行かせてもらう。尚、研究者たちに読まれ、自分に不利益が生じる内容には、パスワードを設定しているため、読むことはできないことをあらかじめ了承してほしい。虫食いのようになっているはずだ。』 

「パスワード?」 

一度ページを一番下までスクロールさせたが、虫食いされている箇所など一箇所もない。 

「壊れる前にパスワードを解除したのか? 追原の奴」 

そう思い、納得したあと、太田は再びページをスクロールさせ、先の位置に戻す。 

『結論から言うと、『シティー』の正体は割れている。クラスメイトという事は少し前に知ったし、彼女が時折こぼしていたやや荒っぽい愚痴から、彼女は『苗村都月』である確率が非常に高い。』 

「苗村……?」 

太田が、苗村都月の顔を思い出すのに、少しだけ時間がかかった。 
影の薄い苛められっ子。と言うイメージしかなかったし、何より顔もあまり見たことがない。 

「アイツがシティーか……まあアイツならちょっと脅せば容易にヤラせてくれるかな……?」 
「で……次はキューブだ」 


ページを再びスクロールさせる。 

『次はキューブだ。彼女は日々自分の影が薄い事を嘆いていた。「あたしは所詮モブキャラか……」ってな』 

『以上の条件を満たす女子は、クラスの中には二人いる。古賀葉子と、長谷川沙羅だ。』 
『俺の計算では、古賀である確率は51%、長谷川である確率は49%となっている。』 

『これで、『シティー』と『キューブ』に対する考察は終わりだ。虫食いだらけでさぞ読みにくかっただろう。済まない。』 

「まあ俺には虫食いなんて関係ねーけどな」 

太田は、瞬時に確率が2%だけ高い古賀葉子に目を付ける。 
アイツも苗村同様あんまり知らないが、まあヤレりゃあいいだろう。 
そう思いながらミネラルウォーターをデイパックから取り出し、喉に必要な量だけ流し込んだところで、放送が始まった。 
不細工な若狭による、不細工な放送だ。 

「若狭です。みんなー、元気にやってるかー? じゃあ六時になったから放送するぞ。まず死んだ友達の名前を呼ぶぞー」 

「おーハイハイ。待ってました。待ってました」 

「男子からです。多いなー。一番、愛餓夫君。五番、追原弾君。」 

「ああ…餓夫死んだか……やっぱりな」 

まあもともと奴が生存できるとは思っていなかった。 
仮にも友人である餓夫の死を、太田は決して悼まず、寧ろ嘲笑していた。 


「七番、加賀智通君。十番、如月兵馬君。十二番、グレッグ大澤君。十四番、鹿和太平君。十五番、宍戸亮太郎君。十七番……」 

「しかしいっぱい死んだな…………まあいいんだけどよ」 
男子の死には興味もわかないし、その逆の生存にも全く感慨は湧かない。 
問題は女子だ。 
苗村、古賀、長谷川がもう死んでたらせっかく得た情報が無駄になる。 
どちらかと言うと無駄が嫌いな太田は、それを避けたかった。 
せっかくの情報が水泡と化す………… 

「次は女子だー。一番、麻倉美意子さん。六番、神崎志緒里さん。十五番、古賀葉子さん。」 

一つ目の予想は、当たった。 
やはり古賀は死んでいた。 

「ま・いいか…」 

「十七番、シルヴィアさん。二十一番、仲販遥さん。二十六番、松村友枝さん」 

シルヴィアも、死んでいたのか。そう思っていたら、そのすぐあとで死者の名前を言う放送は終わった。 

「おやおや…長谷川と苗村は生きてんのか」 
ま……2%なんて誤差の範囲内かもしれん………一応長谷川の前でも『リン』を名乗って見るか。 
多少博打染みているが…上手くいけばめっけものだ。 

「いいペースだぞー。では禁止エリアを発表します。きちんとメモしておけよー。一時間後に 『C-4』 、三時間後に 『E-3』 、五時間後に 『D-6』 だー」 


「『C-4』か……もうじきだな」 
こちらもあまりゆっくりはしていられんだろう。 
このパソコンはインターネットに繋ぐことはできないし、長居をするのも難だろう。 

「この『PROGRAM』とか言うのも気になるが……」 
それでも、大した時間のロスになりはしないだろう。 
一度だけ、『PROGRAM』を開いてみる。だが、現れたのは追原弾の詳細設定ではなく、パスワード入力画面だ。 

「何だよ……」 
太田は、この画面にひどくがっかりしたようだったが、その少し後に、閃いたかのように、ある4文字の半角アルファベットを入力した。 


「………………うん、ねえな…」 

「追原自身が設定したわけじゃあないんだ。こんなパスワードなわけがない。何を期待しているんだ俺は…」 

そのアルファベットをバックスペースで消した後で、太田はパソコンをシャットダウンし、メモリーチップをパソコンから抜き出すと、その民家を後にした。 


「『CUBE』なわけねえよな…」 



【B-4 市街地/一日目・朝方】 
【男子六番:太田太郎丸忠信(おおた-たろうまる-ただのぶ)】 
【1:俺(達) 2:あんた(達) 3:○○さん(達)】 
[状態]:左肩に裂傷(応急処置済)、脇腹に打撲 
[装備]:イサカM37(4/4) 
[道具]:支給品一式×3、簡易レーダー、12ゲージショットシェル(7/12) 
    S&W M500(5/5)、エクスキューショナーソード(刀身に刃毀れアリ) 
    500S&Wマグナム弾 、追原弾のメモリーチップ 
[思考・状況] 
基本思考:ゲームを潰す。最悪自分だけでも生き延びる。テトを引っ張り出して調教し直す。 
0:男は皆殺し。女は犯してから奴隷にする 
1:「リン」を名乗って「キューブ」と「シティー」に接触し、自分の奴隷にする 
2;グループの仲間(愛餓夫、壱里塚徳人、吉良邑子)を捜す。 
3:女を引き連れてる“勘違い野郎”は苦しめて殺す(同行している女にトラウマを植え付ける意味合いも込めて) 
4:間由佳、エルフィを警戒
5:シティーこと苗村都月を捜し奴隷にする。 
6:念のため長谷川沙羅に会った場合はリンを名乗る(ほぼ博打行為のためTPOで判断する) 
[備考欄] 
※「シティー」=苗村都月、「キューブ」=古賀葉子です。 
※太田のグループの仲間は三人の他にも居るかもしれませんし、いないかもしれません。 
※「シティー」=苗村都月と認識しました。 
※「キューブ」については半分諦めています(古賀葉子である確率の方が高かったから) 



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