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若き血の目覚め

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若き血の目覚め ◆Y47IPLbgaw


黒髪のショートカットの少女、天草紗耶香(女子二番〈あまくさ・さやか〉)は、その髪を揺らしながら、現在途方に暮れていた。

「とりあえず…どうすればいいのかな…」

目の前で、同じクラスメイトが二人死んだ。
安佐蔵と最強堂勇太
安佐蔵は粗暴な一面もあったが、普通の時は中々気前の良い人物で、最強堂は名前に似合わない静かで、とても優しい男子生徒。
紗耶香は、この二人が殺されるのだの、神楽が実は相手側だっただの、この殺し合いが担任である蝶野であった事だの、あまりに非現実すぎて着いていけなくなっていた。

(…まずは何処か落ち着く場所を探そうっと…)

と、地図を広げた時の事。
突如として、紗耶香の名前を呼ぶ声がしたのだ。
突然の事だ。
紗耶香は反射的に支給されていた武器らしき、草刈り鎌を構える。
殺す訳じゃない。
ただ、一応護身用に、という事。

「だ…誰…ですか…?」

声が震えながら疑問符を語尾につけ、紗耶香は声の主とあろう者に話しかける。
すると、何処からか顔を出して、近づいてくる同年代の少女がいた。

「三住さん!」

そしてそれが三住明梨朱(女子十八番〈みすみ・ありす〉)だという事が分かると、つい言葉をかけた。
紗耶香が初めて、殺し合いが始まってから出会った人物である。
普段、紗耶香とはあまり縁の無い三住であったが、紗耶香の心に、少しの安心感を持たせた。

「…三住さん…よかった…」

紗耶香は思わず息をつき、彼女に近づいた。
ブロンドの髪、濃い化粧。その他制服改造諸々。
本来ならば、地毛以外染めるのは校則違反なのだが、自分の今の状況を考えると、とやかく言ってる場合では無い事だ。

「…あの…私、怖くて怖くて…」

言葉を続ける紗耶香。

「その…えっ…と…私…いきなり殺し合いしろって言われても、出来ないし…」

対称的に黙ったままの明梨朱。

「それで…途方に暮れていたら…三住さんが居て…」

「天草さん」
「え?」

ようやく返ってきた返事に、紗耶香は一旦口を閉じ、明梨朱へと耳を傾ける。

「天草さんはさぁ…殺し合いとかぁ、乗ってる?」

髪をいじくりながら、まるで『彼氏が居るか居ないか』を聞く、まさに年相応の会話の様にも聞こえる風に話した。
紗耶香は当然と言わんばかりに、『いいえ』を示す、首を大きく左右に振った。

「だよねぇ~普通そうだよねぇ~」
「そうですよ!そうじゃないと、普通じゃないです!」

声を荒げて話す紗耶香に明梨朱は「あー」とばつの悪そうな顔をしながら、呟く様に、けれども普通に、会話する様に返した。

「あのさ、天草さん」
「…え?」
「もし、天草さんが言ってるのが普通だっていうんならさ―――あたし、普通じゃないね」
「え…?」
「分からない?天草さん。あたし、そんな優しくないんだよ?」
「優しくないって…あ…!」

紗耶香は、ようやく意味を理解した。
この人は、殺し合いに乗っている、と。

「―――だからさ、死んでくれないかなっ!」

ひゅん、と風を斬る音がした。
紗耶香はそれを反射的に後ろに下がる事で回避する。

(あ、あれって…包丁…にしては大きいよね…)

明梨朱の方を見ると、包丁の様な造形をしながらも、その大きさは包丁を一回り近く大きくさせた程だ。
しかし、間違いなく一発を食らえば死ぬのは明らかだ。
逃げるか?体力には自信がある。
…しかし、生憎足が思う様に動かない。
だからといって戦うといっても、リーチ、威力すべてが劣る。

「三住さん!やめましょう!こんなの!意味が無いですよ!」
「意味が無い…ねぇ。天草さん、本当なんで私達みたいな奴らが集められたクラスに来たんだろうね。
そうすればさ、死ぬ事なんてなかったのにさ」

ダッ、と地面を踏み切り、明梨朱が紗耶香へと迫る。
一方の紗耶香は戸惑いながら、だからといって何も出来ず―――

「きゃっ!?」

押し倒された。
意外だった。間違いなく斬り殺されるところだったが、危機に変わりはない。
ひるんだ隙に鎌を取られて、遠くへ投げられてしまった。
これで完全に、紗耶香の対抗手段は無くなってしまった。

「あ…ぁあ…」
「…あれ、もしかして怖い?大丈夫大丈夫。首を一発だからさ」
「…」

将棋で例えるならばほぼ詰みの状態。
紗耶香は、どうにか抵抗出来ないか考えてみたものの、鎌は取られ、手足は動かない。
この状況から、どうやって抵抗しろというのだろうか?

「あのさ、天草さん。ちょっとごめんね」
「な、なにするんですか…」
「よっ」

そんな事を考えていた紗耶香の上の衣服が、明梨朱の手によって無惨にも破られた。
年相応、というと似合わないが、紗耶香の水色の下着があらわとなってしまう。

「―――!」

声にならない声を挙げる紗耶香。
殺されかける上に、同じ女子とはいえ下着姿を見られるとは。
紗耶香の心には、羞恥心と恐怖心、そしてほんの少しの抵抗心がごちゃごちゃに混ざり合い、訳が分からなくなっていた。

「天草さん、今どんな気持ち?」
「どんな…気持ち…?」
「私に殺されるかもしれないのにさ、こんな無惨な姿晒して、どんな気持ちかって聞いてんの」
「…」

『強いて言うなら最悪』と言おうとして辞めた。
言ってもどうにかなる訳では無い。
それは紗耶香には、よく分かった事。
しかしそんな紗耶香の事は知らずに、明梨朱は紗耶香の首元に光るペンダントに手を触れた。

「そ、それはっ!」

紗耶香が必死に明梨朱を離そうとするが、悲しくも手を拘束されている身。
明梨朱は紗耶香の首元のペンダントに触れる。

「天草さん、これ大事な物なの?」
「大事って…それは、そうですけど…」
「なんで?」
「なんで…って」
「ねぇ、話さないなら殺すよ?」

一回り大きい包丁を紗耶香の視界に食い入る様に、明梨朱はその刃をちらつかせた。
紗耶香はそれに目に涙を溜めながら、口を開く。

「…片身…」
「誰の?」
「お父さんの…片身、ですっ…大事な…大事な…お父さんの…っ!」

よっぽど話したくなかったのか、耐えきれずに泣き出す紗耶香。
声を殺して、しかしぼろぼろ涙を流す紗耶香を見た明梨はというと。

「ふふっ、泣いちゃってさ。そんなに言いたくなかった?」

表向きはこう、冷たく、見下す様に紗耶香に話すのだったが心の中では、

(かっ、可愛い!なにこれ持ち帰りたい!)

と、そう思わされたのだ。

…一応明梨朱には百合っ気も無ければ、お姉様キャラの様にリードが出来る訳でもない。勿論Sの気も無い。
好きなのは男である板倉竜斗だし、そっちの事は経験豊富では無い。
しかし、だがしかし。天草紗耶香の泣く姿は、彼女の心を捕らえてしまった。
そう、そんな気も無い彼女の心を、身勝手に。

(や、やっば…私そっちに目覚めた!?…でも、このままじゃ、動揺して殺せないし…)
「…」

紗耶香に視線をやる。
白く透き通った肌、それにしたたる首筋の汗。
少し視線を下にやると、自分程では無いが平均的な体に、可愛らしい水色の下着。
先程の制服の様にこの手で破りたくなる衝動を必死に押さえる。
そして○○○を○○った後、二人で○○○をしたくなってくる。

(おっ、おかしいわよ!あたしはノーマル!そっちの気は無いのに!なんで…なんで…)

遂に変な気でも出来たのだろうか?
そう思っていると、いつの間にか泣きやんだ紗耶香が明梨朱をじっと見た。

(うっ!?)

先程の小動物の様な可愛さがそのまま、威力倍増する様に明梨朱を見る紗耶香。
それにやられて鼻血が出かける明梨朱。

(だ、駄目っ!この子は、『私には合わない』!)

手の拘束を離す。
馬乗りの状態から、明梨朱は紗耶香を解放した。
何故なのか分からず、ぽかんとなる紗耶香。
明梨朱は、表面上はぶっきらぼうにこう言った。

「って、やーめた。今天草さん殺しても、あたしが疲れるだけだし。
あ、鎌近くにあるけど、向けたら殺すからね」

疑問符が頭に浮いたままの紗耶香を置いたままで、明梨朱は言葉を更に述べる。

「天草さん、ごめんね。服駄目にしちゃって。でも、変わりに殺さないから許して」

わざとらしく、舌を出して、謝る素振りを見せる明梨朱。
相手を挑発する手段の一種なのだが、こんな奇天烈なやり方をしたならば、こういう台詞も悪くないだろう。

「E-5ってとこにさ、映画館があるから、そこで服か布を探すといいわ。ま、天草さんが露出の趣味が無ければだけど」
(露出ってつまり天草さんの裸体が…っ!やばいわ、そろそろ私)

と、言って明梨朱は紗耶香に背を向ける。
大きな刃を持って、力強く、そして何故かときめきを抱きながら。

「…行っちゃった…」

天草紗耶香は訳が分からなかった。
先程まで自分を殺そうとした相手が突然殺そうとするのを止めた。
何故なのだろうか?
何か言った訳でもないのに、どうして自分は殺されなかったのだろうか?
疑問は増えるばかりである。

「そういえば、映画館、近くにあるって言ってた…」

敵の言葉を信じるな。
昔そう言っていた偉人が居た気がする。
でも、何処か場所を探していたところだ。そこに行ってみるのもアリだろう。

「…この格好じゃ恥ずかしいし、なんとかしないといけないし…ね」

はぁ、と溜め息をつきながら、あまりおぼつかない様子で紗耶香は映画館へと出向くのだった。

(ところで、鎌何処に行ったのかな?三住さんここらへんにあるって言ってたけど、まぁ良いよね)

天草紗耶香。
このクラス内で同じ様な境遇にある穂積宗一が『普通』と自負するならば、彼女は『普通以下』。
普通は、真似をすれば出来る。
しかし、紗耶香の様な超人に恐怖し、死に怯え、それでこそ戦う手段を持つ普通の少女ならば、殺し合いでは凡人以下だろう。
しかし、一部の非日常に居る者達はその『普通以下』に憧れるのだ。
本人が、知らぬまま。いつの間にかそれを代弁しているかの様な彼女に惚れ込んでしまう。
まるで我々日常で生活する者達が、芸能人やセレブを羨ましがり、憧れるのと同じ様に。
果たして、それが吉と出るか、凶と出るか。
天草紗耶香。彼女は殺し合いでの台風の目となれるか否か。
それは、まだ分からないだろう。



【F-5 山道/一日目・深夜】
【女子二番:天草紗耶香〈あまくさ・さやか〉】
【1:私(達) 2:貴方(達)、○○さん(達) 3:○○(名字)さん】
[状態]:上の制服が破れた、精神疲労(小)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本思考:映画館に行って、落ち着きたい。
0:このままじゃ恥ずかしいよ…何か隠す物見つけないと…
1:なんで三住さんは私を殺さなかったのかな…
2:ペンダント無事でよかった。
3:そういえば水原さんと嵐崎さん大丈夫かな?
[備考欄]
※全員が三住の様になる訳ではありません。ここ重要。
※ペンダントは他人の精神への干渉を防ぎます。
【女子十八番:三住明梨朱〈みすみ・ありす〉】
【1:私(ら) 2:○○さん(達)、あんた、あなた 3:○○さん(達)】
[状態]:ときめき、精神疲労(大)
[装備]:肉切り包丁
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本思考:殺し合いはやっておこうかな。
0:包丁戦いにくいなぁ。銃とか欲しい。
1:天草紗耶香にときめいた。私大丈夫か。
2:正直、あの子は私には合わない…
[備考欄]
※紗耶香に魅了されています。決して紗耶香に興奮してなった訳ではないと思いたいです。はい。



ところで先程二人が激闘を繰り広げた場所のすぐ近くでは。

「痛いよヤバいよ血出るよ~!どうなってんだこれは~!」

たまたま通りかかった時に紗耶香の鎌が足首に刺さった藤ヶ原二臣が、痛みと戦っていたのだった。

「ちょっ、おま、出番これだけかよ!?」

はい。これだけです。



【F-5 山道/一日目・深夜】
【男子十六番:藤ヶ原二臣〈ふじがはら・つぎおみ〉】
[状態]:足首に痛み
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本思考:まずはこいつをどうにかする。話はそれからだ。
0:なんでいきなり鎌が飛んできたんだ?
1:足首いてぇ~~~っ!早く抜かねぇと!



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